「……いいぜ」
「は……?」
了承を返すと、信じられないと言うように目を丸くして、聞き返して来た。
「あの……俺の話、聞いてましたよね?」
「だから答えたろ」
お前こそ聞いてないんじゃねぇか?
「それとも怖じけづいたか?」
「ち、違うっすよ!」
必死で首を振り、ひとしきりに否定をした後、正面から見据えて、もう一度同じ問答。
「い、いいんっすよね……?」
「これ以上聞いたら殴るぞ?」
一回で理解しろ。馬鹿ヤンキー。
「じ、じゃあっ……オ願イシマス」
『お願いします』はねぇだろ。
声震えてんぞ。
頭下げてどうすんだよ。
覚悟でも決めているのか、両肩に手を置いたまま動こうとしない。
ったく、世話焼かすんじゃねぇ。
「おい」
仕方なく置かれた手を引き寄せる。
「へ……?!」
軽く、触れるだけの。
「シ、シンっ……?!」
「これくらい出来んだぜ?」
いつも受け身だと思うなよ?
「不満かよ?」
あったら殴るがな。
「と、んでもないっ…!」
首を振る姿に苦笑する。
ああ、こいつも俺も、相当な馬鹿だ。
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