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Feel on you
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昼頃隊長が来た。
いや、隊長っつっても俺、特戦部隊辞めてるわけだから『元』隊長。
未だに頭上がらないけど。
獅子舞とかナマハゲとか、色々呼び名のある人。(もちろん当人にはいえないが)
で、その隊長が来て、散々騒いでいった挙句についさっき元同僚引き取られていった。
山ほど一升瓶持ってきて、散らかし放題散らかしていって……。
そんで……。
「……うぅ……」
俺はかなりグロッキー状態で床に伏せってた。
ああ! 横に立ってる人の視線が痛いっ!
かなりの量の酒を呑まされてもう動けない。
スンマセン。起きたら謝りますからっ!! 眼魔砲だけはっ!!
もう一滴も残っちゃいないのに、酒臭さで酔いが深みにはまって行く。
うわっ、不思議の国に出てくる白ウサギが走ってる。
夢か幻覚。どっちだ?
……どっちでもいいか。
「……あはは~夢の国だ~。待って~うさぎさ~ん……」
ウサギを追いかけて草原を走る。
あれ? いつから草原……?
「オラ、邪魔だ。隅っこ行ってろ」
やけに遠い所からそんな声がして、背中を追い立てられる。
振り返ると獅子ま……もとい隊長が閻魔帳(給料査定ノート) を広げながら仁王立ちしていた。
「ぐぁ! スンマセンっ!」
何故か反射的に謝った。
下っ端街道驀進中!
……泣きたい。
「ディズニー坊やはマイナスだぞー?」
隊長の舌が蛇っぽくシューシュー音を立てながら、閻魔帳にはマイナス棒が引かれていく。
「スンマセン隊長っ! 査定は……! マイナス査定だけは……!!」
少ない給料これ以上減らさないで下さいっ!!
「はっはっは~」
隊長は涼しげな風と共に去っていった。
もちろんマイナス棒を引きながら。
グッバイ俺の給料。
風と共に去りぬ……。
と思ったら何かひんやりしたものが額に置かれた。
それが気持ちよくて、目を閉じると、段々何も考えられなくなる。
ただひたすら、体が熱い。
「んっ……」
あまりの熱さにゆっくりと目を開いた。
さっきも声を出していたはずなのに、喉が張り付いたように震える。
「……ぁ?……」
体を起こすと足元に湿ったタオルが落ちた。
ああ。これか。
「いつまで寝惚けてんだ。馬鹿」
今度は目の前にあの人がいて……、でも介抱なんかしてくれるわけないし、これも夢か幻覚なんだろう。
「…………」
どうせ夢なら、夢なら文句も言われないだろうから。
あなたに……――――。
「…………」
――――ぴとっ。
頬に触れた。
「…………」
やっぱ夢だ。
じゃなきゃ、こんなことしたら即眼魔砲だろ。
ああ。人肌ってこんなに冷たいっけか?
「冷たい……」
違うか。俺が熱いんだ……。
また酔いが回ってきてんのかも……。
「冷たくて、気持ちいいっス……」
言った瞬間に、手がそこにいたはずの人をすり抜けた。
ほら、やっぱり夢だ。
遠くの方で喋るねずみが手招きしながら笑っていた。
「ん……待てよ~ミ○キ~……」
走っていくそれを追いかけて俺も笑い声のするほうへ……。
「…………」
――――ゴンッ。
「いだっ!」
目が覚めたら、何でかコブが出来ていた。
END
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後書き
触れていたいと思うから。
それだけで充分なんだ。
異例の速さ。一日で両方上げた私って何?
2004(April)
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