寒くて目が醒めた、ひとりの夜。
Home alone.
定まらない視界と不明瞭な意識の中、どうしてこんなに寒いのかと考える。
無意識に伸ばした右腕が、ひやりとしたシーツの上をあてどもなく走った。
さらさらとした布の上には何も―――自分以外の、誰もいない。
ああ、そういえば。
あいつはなんとかっていうおぞましいファンクラブの出張講演でいないんだっけ。
俺を置いて、そんなくだらないものにうつつを抜かしてるバカ。だからこんなに寒いんだ。
抱き締めてくれるはずの腕はない。
いつもなら、嫌と言うほど強く縛り付ける彼の腕。
離せ、と言っても決して緩められることのない力強さが今は酷く恋しくて。
冷える体を毛布にくるんでシーツに鼻をこすりつける。
かすかに残る、彼の残り。
体の奥がうずいたが誤魔化すつもりで目を閉じた。
体温を求めて両手を伸ばしても、誰にも届かないから。
両腕が寂しいと訴えてくるから。
仕方なく、自分自身を抱き締める。
何も無い、空虚な空間を抱き締める。
そうでもしないと、寂しくて涙がこぼれてしまいそうで。
好きだ好きだと言ってくる割には、こうやってひとり、置いていって。
「お前は私をひとりにしてはいけないんだよ」って言うくせに。
アンタは俺を置いていくんじゃないか。
アンタこそ、俺をひとりにしちゃいけないんだ。
何も判ってない。バカ。アホ。変態。エロ親父。ごくつぶし。あれ? これはちょっと違うな。
ろくでもないことばかり考える、ヒトリノ夜。
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パパがいないと寂しいくせにそれを認めない意地っ張りシンちゃん。
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