最近、夜間残業することが多くなっている。
昼間仕事が終わらない訳じゃない。
ただ、一刻も早く父に追い付きたかった。
父ができたものを自分も出来なければいけない。
上に立つものとはそうゆうものなのだ。
出来なければ、人は自分をやはり、出来損ないなんだ。と言うだろう。
そうすれば団全部がバラバラになる。
それだけはシンタローは避けたいのだ。
祖父から父へ受け継がれたガンマ団を自分の代で終わりにはできない。
例え自分が、青の一族でなくとも。
「もーちっと頑張るかぁ。」
ガタリと革張りの総帥椅子から降りて、眠気覚ましの為コーヒーを入れる。
豆の独特の臭いと、温かい温度に少しだけ心が休まった。
「あちち」
少し熱かったらしく、シンタローは舌を出した。
「シンちゃん大丈夫!?舐めると治るよ!!」
プシュン!と機械音が鳴り、マジックが猛然ダッシュでシンタローを抱きしめた。
「わ!馬鹿!あぶねっ!!」
コーヒーが零れる!とカップをしっかり握る。
でも、マジックはお構い無しでシンタローにスリスリ、ベタベタ。
「テメェ、アブネーじゃねーかよッッ!!」
コーヒーが零れなくてホッとして、マジックに悪態をつく。
掌のコーヒーを総帥室の自分の机の上に置いて、どうにかこの危なっかしい父親にさっきの怒りをぶつけようか、なんて考える。
がぁッッ!!と、怒りの視線をマジックに向けたその時。
ちゅ。
怒って、ガツンと言ってやる!と意気込んで唇を開いたシンタローの口からは、声が発せられなかった。
何故ならマジックの唇がシンタローの唇を塞ぎ、尚且つ、舌を絡めたから。
「―――ッッ!」
先ほど火傷をした舌を必要に絡めとる。
怪我をして、唾つけときゃなおる、なんて、そんな程度じゃない。
明らかに意思を持って、シンタローの口内をまさぐる行為はまさに、シンタローの口内を犯していた。
「――ンゥッッ…ッア!」ぴちゃぴちゃと、水音が聴覚さえも犯し始める。
ドンドンとおもいっきりマジックの胸を叩くがびくともしない。
畜生ッッ!!
目尻に少しだけ涙をうかべて、それでも抵抗する。
「シンちゃん、パパの事、そんなに嫌い?」
絡ませた舌を外して、唇同士がくっつく程度で言葉を紡ぎ出す。
当たり前だと言いかけて止めた。
いつもなら、パパの事好き?って聞くはずなのに。
大体こーゆう逆パターンの時は何かあったと思う。
長年シンタローも父親の側に居るわけではない。
「嫌いじゃねーよ…。」
まさかそうシンタローが言うとは思っていなかったらしく、マジックは目をしばたかせた。
嬉しい、と、呟いて、又、舌を絡ませる。
「調子に乗るんじゃねぇ!」
ガツンと頭をゲンコツで叩いてやると、いたぁい!と膨れた面でシンタローをじとりと見た。
可愛くねぇんだヨ!
チッ!と舌打ちをし、心の中で悪態をつく。
マジックと目を合わせないよう、横を向いた途端、マジックの骨張った指がシンタローの頬を撫でる。
「だから調子に乗んじゃ…」
ねぇ!と言いかけて止まる。
酷く欲情的な瞳は綺麗な、綺麗過ぎるほどのスカイブルーで、ああ、又だと思う。
又なし崩しに抱かれるんだろうな。と予想できる。
「ね、シンちゃん、しよう。」
何があったのだろうか。
仕事中なのに。勤務中なのに。
でも、抱かれる事は嫌いではない。
唯一、マジックの全てが解る瞬間。
固く閉ざされた彼の心が自分にだけ開く時。
実はシンタローは、マジックに抱かれるのは好きなのだ。
いつも自分より圧倒的な高い位置にいる彼が、自分の体に欲情し、自分の事しか考えず、本気の愛の睦言を囁く。
その時だけ、シンタローは、自分がマジックと同じ位地にいられると思っていた。
でも。
「ダメに決まってんだろォ?ココ総帥室。俺仕事中。」
プライドの高いシンタローは、直ぐにYesを出さない。
さっさと書類に目を向ける。
頭になんて何も入らない。
マジックに全ての興味を持って行かれてしまったのに、素直になれないシンタローは、興味ないといった感じでパラパラと文字を見る仕種を取った。
勿論そんな事はマジックにはお見通し。
彼も又、長年シンタローの側に居るわけではないのだ。
「ね、シンちゃん。意地悪言わないで。こっちを向いて。可愛い私のシンタロー。」
優しくシンタローの顎を持ち上げ、優しい笑顔で彼をこちらに振り向かせる。
シンタローが世界で一番好きだし、一番愛しているし、抱きたいし、笑顔を見たいし、笑い合いたい。
それは紛れも無い真実で。
シンタローにYesと言わせる方法一番効果的な方法もマジックは知っている。
だから。
なし崩しにシンタロー総帥のディスクの上に組み敷いた。
ガツンと骨の当たる音。
バサバサと書類の落ちる音が聞こえる。
「いってぇ!」
およそ色気のない声をシンタローは発したのだった。
涙目で己を睨むシンタローに、マジックは笑顔を振り撒く。
シンタローを落とす心得その壱。絶対に怒らない。
その弐。無理矢理する。
シンタローはムードを重んじるから、怒りは禁物。
だからマジックは怒ったりはしない。
無理矢理するのはプライドの馬鹿高いシンタローの為。自分はそうゆうつもりじゃなかったのに親父が勝手に!と言える逃げ道をつくってやる為。
「愛してるよ。」
耳元で呟けば、ゾクリと鳥肌が立つ。
自分でも解る程ほてった顔と体。
こんなの俺じゃないなんて思いたくなる程、もう、マジック使用の体と心。
「しょーがねー奴。」
ぶっきらぼうに言えば、それすらも楽しそうに、
「そう、パパ、シンちゃんが居ないと駄目なんだ。しょうがない奴なんだよ。」
なんて言うから。
今度は拒否せず、マジックの薄い唇をすんなりと受け入れた。
それが合図かのように、シンタローの総帥服をゆっくりぬがす。
地肌に直接着ているそれは、ボタンが全て取り払われると、シンタローの健康的な肌が真っ赤な総帥服に栄えて、何とも悩ましい。
「お前の肌は私の指に吸い付くんだね。」
心臓に掌を置いて、ドクン、ドクンと、波打つ音を確かめる。
温かいシンタローの体温。
ペロと、ピンクの乳首を嘗めれば、シンタローはふるりと体を震わせた。
舌先でチロチロ嘗める。
「ぁ、ん、くぅん…。」
鼻にかかった甘ったるい声で鳴くシンタローに気を良くしたのか、そこを必要に攻め立てた。
シンタローはマジックの髪をぎゅっと持つ。
「シンちゃん、乳首がプックリしてきたよ?お前のはピンクでとっても可愛い。あ、勿論、お前がお前である全てが可愛いんだけどね。」
そう言って乳首をキュウッと握る。
「あァん…ッッ!」
喘ぐ事しかできなくて、マジックの髪をより一層力を込めて握る。
「ハハ、痛いよシンちゃん。」
痛いと言っている割には楽しそうに笑う。
ゆっくりと自分に絡められた指を優しく解くと、マジックの金髪の髪が数本パラパラと落ちた。
「あ…。」
申し訳なさそうな瞳でシンタローは、指から滑り落ちる金髪を見た。
昔からシンタローが自分の髪と瞳の色にコンプレックスを持っていた事をマジックは知っている。
だから気にしないで。そう言葉を紡ごうと思ったのに。
「ゴメン。」
潤んだ瞳で謝られた。
不謹慎ながらもマジックは思う。
これは…クる!!
. その謝りの言葉がマジックの過虐心に火を点けた。
「いけない指だね、髪が何本か抜けてしまった。」
わざとシンタローの心の弱い柔らかい部分に突き刺さる言葉を吐く。
ビクリとシンタローの肩が震えるのが解った。
こんな小動物ちっくなシンタローも可愛いな、なんて思い、罪悪感ですっかり大人しくなったシンタローの体を好き放題まさぐる。
そしてたどり着いた中心部分。
「あれ?」
元気がないようだ。
まぁ、それはそうだろう。
メンタル面に男は弱い。そうゆう種類なのだ。
「さっきの気にしてるの?」
そう聞くと、珍しくコクリと頭を前に倒す。
可愛くて仕方がない。
ニッコリ笑って額にキスを落とす。
「そんなに気にすることないのに。」
シンタローが黒髪黒目を気にしていることを知っていて、それで尚且つシンタローの傷つく言葉を吐いておきながらこの言い草。
素直になったことを少しだけ後悔する瞬間だった。
「お前の髪は美しいね、シンタロー。お前の全てが美しい。」
小さい時から何度も言われた言葉。
俺の髪なんてちっとも綺麗じゃない。皆みたいに光を反射しないし、キラキラ光らない。
シンタローは自分の髪と瞳がとても嫌いだった。
自分がジャンの分身のコピーだと知って、ああ、とすんなり納得したものだ。
「俺は綺麗じゃねーよ。」
「そんなことないよ。シンタローのものは全て美しい。」
優しく又笑いかけ、行為を再開される。
感じやすい敏感な体は浅ましくマジックの愛撫に反応した。
また、頭をもたげてくるシンタロー自身に、マジックはクスリと笑い、焦らすようにそこには触れない。
「ん、ぁ、な、で…」
「ん?なぁに?シンちゃん。」
何故触れてくれないのかと、潤んだ瞳で見るシンタローに、わざとらしく聞いて。
シンタローが破廉恥な言葉は言えないのを知っていて問い掛ける。
シンタローは黒い睫毛を下に向け、マジックの絶妙な愛撫をじっと見た。
そして。
「ちゃん、と…。」
「ちゃんと、何?」
「~~~ッッ!!」
勇気を出して言ったのに。
この親父はそれ以上を望む。
恥ずかしくて言えなくて。
ぐずった子供のように泣いてしまいたかった。
シンタローが少し唸ると、マジックは苦笑いをして、シンタローの髪を優しく撫でる。
「ごめんネシンちゃん。今のはパパ、ちょっと意地悪だったね。」
よしよしと頭を撫でてシンタローの顔を覗き込むと、シンタローは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
そんなシンタローも大好きで。
多分どんな顔をしても、どんな事をしても、マジックはシンタローを可愛いと、可愛くて仕方がないと思うだろう。
「ああっ!!」
いきなりマジックに中心部を触られた。
あられもない声が口から出てくる。
カァーッと、恥ずかしくなって両手で口を押さえた。
「いいのに。シンちゃんの可愛い声、パパ、すっっごく好きν」
「ば、ばかじゃね…の。」
ピクンピクンと体を震わせているシンタローの暴言なんて怖くもなんともない。
ゆるゆると中心部を上下にグラインドさせてやれば、先端部分から粘ついた液体がチロチロと出てくる。
それを確認した後、激しく擦ってやる。
「や、あぁああっっ!!」
「おっと!まだ駄目だよ、シンちゃん。」
キュッと根本を掴む。
まだイかせる気はないらしい。
「パパと一緒に気持ち良くなろう。」
入口部分にクニクニとマジックの熱いモノが縁を描くように突き付けられる。
ヒクリ、シンタローの体に力が入る。
これから与えられるであろう激しい快楽に、シンタローの心は波打った。
瞬間、ズブブッと中に入って来た。
感じる痛みと異物感。
何度体を重ねても、これだけは慣れない。
「ああああぁあ!!」
マジックの服を掴み、歯を食いしばって堪える。
「ンッッ…」
マジックの眉が苦しそうに歪んだ。
「全部入ったよ、シンタロー。」
ぴっちりと自分のがマジックのをくわえ込んで。
マジックは勝手知ったというようにシンタローのイイトコロばかりをつく。
「アッ!アッ!ひゃ、あ!あンッッ!ああぅっ!」
ギリギリまで抜いて最奥まで貫く。
ガグガクとシンタローは体を震わせた。
「お前の中は凄いよ。熱くて…溶けそうだ。」
「いう…なッッ!アァッ!!」
恥ずかしくて、思わず手で顔を覆う。
顔で覆っても、マジックのをリアルに感じてしまって、どうにもならない。
だが、マジックの瞳で見られたくなかった。
恥ずかしくて仕方がないのだ。
「駄目だよ、シンタロー。」
そっ、とシンタローの手を顔から外す。
「良く見て。私を。そして、私で感じてるお前を。」
「ふ、ぁ、や、ゃだぁッッ…。」
ふるふると頭を左右に振るが、マジックに掴まれた腕はどうにもならない。
顔は覆えない。
ぎゅっと目をつぶるシンタロー。
「シンタロー、ここが何処だか解っているのかな?」いきなり何をいい始めたのだろう。この親父は。
「鍵は…かけたっけねぇ?」
はっと目を見開くと、楽しそうに笑う父の顔。
サァッと、血の気が失せたのが自分でも解った。
「テメッ!ンァっ!」
ジュブジュブと激しく腰を動かされて、悪態をつく暇もなく快感に身をよじる。「いつ、誰が来るか、何て解らないよね?ここは総帥室だもんね。」
まるで欲しかった玩具を手に入れた子供のように無邪気に笑うマジック。
「や、やだ!も、ヤメ!とぉさ…ッッ!!」
マジックの襟元を掴み必死に抗議するシンタロー。
それでも動きは止めないし、速度も変わらない。
「こんな、総帥服をはだけさせて、父親に抱かれている総帥を見たら…部下達はどう思うかな?」
ねぇ、シンちゃん。
と、耳元で囁かれる。
「ふざ、けんな!こ、のアーパーおやじぃっ!!」
マジックの下から逃れようとするが、力の入らない今ではマジックはびくともしない。
そのくせ力を入れるものだから、余計マジックのを締め付ける事になり逆効果の悪循環。
その時、
トントン
扉の向こうからノックが聞こえた。
シンタローの顔が一気に青ざめる。
ビーッというインターホンが鳴った。
『シンタロー居るか?明日の会議の件について話したい事がある。』
声の主はキンタローであった。
非常にまずい。
今、この姿を誰にも見せられない。
ディスクの上に総帥服をはだけさせ、淫らに自分の父親と情事を交わしている姿なんて。
血縁者なら尚更だ。
息を潜めて居留守を使おうと決心した矢先。
「あぅっ!!んぐっ!」
マジックが動きを再開し始めた。
咄嗟に自分の口を手で覆う。
『シンタロー。居ないのか?』
「~~~ッッンッッ!!」
あンのクソ親父ィィ!!
潤んだ瞳でマジックを見れば我関せずといった風にニコニコ笑っている。
頼むキンタロー!今日の所は帰ってくれぇぇ!
心の中でそう祈る。
多分生まれてきて神にこれほどまでに祈ったのは二回目だろう。
一回目の小さい時に金髪碧眼にしてくれと祈った時以来だ。
「あんっ!!」
いきなり体位を横に変えられシンタローは思わず自分の声にびっくりした。
「そんなにいやらしい声を大きく出したらキンタローに聞かれちゃうよ?」
いいのかな?
意地悪く言葉を吐く。
慌てて又口を塞ぐ。
くぐもった声を響かせ、快感に堪える。
キンタローは諦めたのか、ブザーはそれから鳴らなかった。
良かったと安堵のため息を漏らすと、マジックの骨張った指がシンタローの中心に触れた。
「ひゃぁぁん!」
「シンちゃん。他の事考えちゃ駄目だよ。」
誰のせいだ誰の!!
声には出せないので心の中で悪態をつく。
片足を肩に乗せて、マジックは最奥に何度も何度も自身を入れる。
「あ、あ、や、もぉダメッッ!」
しかし、マジックは今度シンタローのイイトコロから少しズレた場所にポイントをずらした。
これではイクにイケない。
「も、ヤダ、イジワルばっか!!」
「イジワルっていうのもそそるけど、今日、イク時パパって言ってくれるならイカせてあげるν」
こーの変態親父ッッ!!
「言えるかバカ!」
「まだ余裕ありそうだねぇ?シンちゃん。この後30分位我慢する??」
その前に誰かしら又来るだろうけど。キンタローもお前に用があったみたいだしね。
そう付け加えられて、シンタローは唸った。
プライドが許さないが、こんな歯痒い思いをするのは嫌だ。
ゆっくりと、だが、確実にシンタローは頭を前に倒した。
「あっ!あっ!あっ!」
途端に激しくなるピストン運動にシンタローは息をするのさえ追い付かない。
卑猥な音に耳を犯され、マジックに体を犯される。
「シンちゃん、シンタローッッ!」
「も、ダメッッ、ダメ!アアアアッ」
ギュウウッと、マジックの背中を抱きしめる。
そして、耳元に唇を這わせ
「パパぁッッ!」
酷く艶っぽい声でマジックを呼んだ。
「―――ッッ!!」
余程嬉しかったのか、興奮したのか。
マジックにしては珍しくシンタローのすぐ後にシンタローの中で吐き出したのだった。
「シンちゃ~ん…機嫌直して?ね?」
ホーラ、スマイルスマイル!
と、無理矢理笑ってシンタローのご機嫌を取ろうと必死な元最強殺し屋集団総帥マジック。
「………。」
しかし、現在最強悪い人限定お仕置き集団総帥は、完璧シカト。
シカトは、構って構って、構ってくれないと淋しくて死んじゃう~なマジックには1番精神的にくる攻撃なのだ。
「さっきまでは素直で可愛かったのに~!勿論今のぶすくれてるシンちゃんも可愛いけどね☆」
「………。」
シンちゃ~ん…と泣きそうなマジック。
「せっかくスリリングな時間を一緒に経験した仲なのに!」
「なーにがスリリングだっ!スリリングすぎるわい!ぜーったいキンタローにばれた!つーか、ばれてたらアンタとは一ッッ生口きかねーからな!」
やっと喋ってくれたと喜んだのもつかの間のこの言い方。
「ばれてないよー!だってココ、防音完璧だもん。」
「あ。」
そうだった。
ここは防音は勿論、防弾も完璧。
なんせここは総帥室。
スパイに気付かれないよう、聞かれないよう、そういった設備は整っている。
ブザーをこちらから押さない限り、こちらの声は聞こえない。
「でもっ!」
シンタローは声を荒げる。「たまたまキンタローがドア開けなかったから見つからなかっただけで、鍵かけてなかったんだから見られてたかもしれねーだろ!」
すると、マジックはキョトンとした顔でシンタローを見た。
「鍵?かけてたよ?」
「は?だってさっき…!」
「鍵かけてたっけ?と聞いた事は聞いたけど、鍵かけてないとは言ってないよ。」
やられた!
シンタローは魚みたいに口をぱくぱくさせる。
マジックはハハハと笑って
「馬鹿だなぁ、シンちゃんν私がお前のそんな欲情的な姿を他人に見せると思うかい?有り得ないよ。」
そう言ってマジックはシンタローを後ろから抱きしめる。
「愛しているよ。シンタロー。」
そう呟いて。
「それにしても、最後の“パパ”は良かったよ。」
鼻血を吹き出しながら思い返すマジックに、シンタローはありったけの怒りと精神を掌に集中させ。
「眼魔砲!!」
マジックもろとも吹き飛ばした。
その時、書類も吹き飛ばしてしまい、シンタローはマジックに怒りをぶつけたのでした。
終わり
昼間仕事が終わらない訳じゃない。
ただ、一刻も早く父に追い付きたかった。
父ができたものを自分も出来なければいけない。
上に立つものとはそうゆうものなのだ。
出来なければ、人は自分をやはり、出来損ないなんだ。と言うだろう。
そうすれば団全部がバラバラになる。
それだけはシンタローは避けたいのだ。
祖父から父へ受け継がれたガンマ団を自分の代で終わりにはできない。
例え自分が、青の一族でなくとも。
「もーちっと頑張るかぁ。」
ガタリと革張りの総帥椅子から降りて、眠気覚ましの為コーヒーを入れる。
豆の独特の臭いと、温かい温度に少しだけ心が休まった。
「あちち」
少し熱かったらしく、シンタローは舌を出した。
「シンちゃん大丈夫!?舐めると治るよ!!」
プシュン!と機械音が鳴り、マジックが猛然ダッシュでシンタローを抱きしめた。
「わ!馬鹿!あぶねっ!!」
コーヒーが零れる!とカップをしっかり握る。
でも、マジックはお構い無しでシンタローにスリスリ、ベタベタ。
「テメェ、アブネーじゃねーかよッッ!!」
コーヒーが零れなくてホッとして、マジックに悪態をつく。
掌のコーヒーを総帥室の自分の机の上に置いて、どうにかこの危なっかしい父親にさっきの怒りをぶつけようか、なんて考える。
がぁッッ!!と、怒りの視線をマジックに向けたその時。
ちゅ。
怒って、ガツンと言ってやる!と意気込んで唇を開いたシンタローの口からは、声が発せられなかった。
何故ならマジックの唇がシンタローの唇を塞ぎ、尚且つ、舌を絡めたから。
「―――ッッ!」
先ほど火傷をした舌を必要に絡めとる。
怪我をして、唾つけときゃなおる、なんて、そんな程度じゃない。
明らかに意思を持って、シンタローの口内をまさぐる行為はまさに、シンタローの口内を犯していた。
「――ンゥッッ…ッア!」ぴちゃぴちゃと、水音が聴覚さえも犯し始める。
ドンドンとおもいっきりマジックの胸を叩くがびくともしない。
畜生ッッ!!
目尻に少しだけ涙をうかべて、それでも抵抗する。
「シンちゃん、パパの事、そんなに嫌い?」
絡ませた舌を外して、唇同士がくっつく程度で言葉を紡ぎ出す。
当たり前だと言いかけて止めた。
いつもなら、パパの事好き?って聞くはずなのに。
大体こーゆう逆パターンの時は何かあったと思う。
長年シンタローも父親の側に居るわけではない。
「嫌いじゃねーよ…。」
まさかそうシンタローが言うとは思っていなかったらしく、マジックは目をしばたかせた。
嬉しい、と、呟いて、又、舌を絡ませる。
「調子に乗るんじゃねぇ!」
ガツンと頭をゲンコツで叩いてやると、いたぁい!と膨れた面でシンタローをじとりと見た。
可愛くねぇんだヨ!
チッ!と舌打ちをし、心の中で悪態をつく。
マジックと目を合わせないよう、横を向いた途端、マジックの骨張った指がシンタローの頬を撫でる。
「だから調子に乗んじゃ…」
ねぇ!と言いかけて止まる。
酷く欲情的な瞳は綺麗な、綺麗過ぎるほどのスカイブルーで、ああ、又だと思う。
又なし崩しに抱かれるんだろうな。と予想できる。
「ね、シンちゃん、しよう。」
何があったのだろうか。
仕事中なのに。勤務中なのに。
でも、抱かれる事は嫌いではない。
唯一、マジックの全てが解る瞬間。
固く閉ざされた彼の心が自分にだけ開く時。
実はシンタローは、マジックに抱かれるのは好きなのだ。
いつも自分より圧倒的な高い位置にいる彼が、自分の体に欲情し、自分の事しか考えず、本気の愛の睦言を囁く。
その時だけ、シンタローは、自分がマジックと同じ位地にいられると思っていた。
でも。
「ダメに決まってんだろォ?ココ総帥室。俺仕事中。」
プライドの高いシンタローは、直ぐにYesを出さない。
さっさと書類に目を向ける。
頭になんて何も入らない。
マジックに全ての興味を持って行かれてしまったのに、素直になれないシンタローは、興味ないといった感じでパラパラと文字を見る仕種を取った。
勿論そんな事はマジックにはお見通し。
彼も又、長年シンタローの側に居るわけではないのだ。
「ね、シンちゃん。意地悪言わないで。こっちを向いて。可愛い私のシンタロー。」
優しくシンタローの顎を持ち上げ、優しい笑顔で彼をこちらに振り向かせる。
シンタローが世界で一番好きだし、一番愛しているし、抱きたいし、笑顔を見たいし、笑い合いたい。
それは紛れも無い真実で。
シンタローにYesと言わせる方法一番効果的な方法もマジックは知っている。
だから。
なし崩しにシンタロー総帥のディスクの上に組み敷いた。
ガツンと骨の当たる音。
バサバサと書類の落ちる音が聞こえる。
「いってぇ!」
およそ色気のない声をシンタローは発したのだった。
涙目で己を睨むシンタローに、マジックは笑顔を振り撒く。
シンタローを落とす心得その壱。絶対に怒らない。
その弐。無理矢理する。
シンタローはムードを重んじるから、怒りは禁物。
だからマジックは怒ったりはしない。
無理矢理するのはプライドの馬鹿高いシンタローの為。自分はそうゆうつもりじゃなかったのに親父が勝手に!と言える逃げ道をつくってやる為。
「愛してるよ。」
耳元で呟けば、ゾクリと鳥肌が立つ。
自分でも解る程ほてった顔と体。
こんなの俺じゃないなんて思いたくなる程、もう、マジック使用の体と心。
「しょーがねー奴。」
ぶっきらぼうに言えば、それすらも楽しそうに、
「そう、パパ、シンちゃんが居ないと駄目なんだ。しょうがない奴なんだよ。」
なんて言うから。
今度は拒否せず、マジックの薄い唇をすんなりと受け入れた。
それが合図かのように、シンタローの総帥服をゆっくりぬがす。
地肌に直接着ているそれは、ボタンが全て取り払われると、シンタローの健康的な肌が真っ赤な総帥服に栄えて、何とも悩ましい。
「お前の肌は私の指に吸い付くんだね。」
心臓に掌を置いて、ドクン、ドクンと、波打つ音を確かめる。
温かいシンタローの体温。
ペロと、ピンクの乳首を嘗めれば、シンタローはふるりと体を震わせた。
舌先でチロチロ嘗める。
「ぁ、ん、くぅん…。」
鼻にかかった甘ったるい声で鳴くシンタローに気を良くしたのか、そこを必要に攻め立てた。
シンタローはマジックの髪をぎゅっと持つ。
「シンちゃん、乳首がプックリしてきたよ?お前のはピンクでとっても可愛い。あ、勿論、お前がお前である全てが可愛いんだけどね。」
そう言って乳首をキュウッと握る。
「あァん…ッッ!」
喘ぐ事しかできなくて、マジックの髪をより一層力を込めて握る。
「ハハ、痛いよシンちゃん。」
痛いと言っている割には楽しそうに笑う。
ゆっくりと自分に絡められた指を優しく解くと、マジックの金髪の髪が数本パラパラと落ちた。
「あ…。」
申し訳なさそうな瞳でシンタローは、指から滑り落ちる金髪を見た。
昔からシンタローが自分の髪と瞳の色にコンプレックスを持っていた事をマジックは知っている。
だから気にしないで。そう言葉を紡ごうと思ったのに。
「ゴメン。」
潤んだ瞳で謝られた。
不謹慎ながらもマジックは思う。
これは…クる!!
. その謝りの言葉がマジックの過虐心に火を点けた。
「いけない指だね、髪が何本か抜けてしまった。」
わざとシンタローの心の弱い柔らかい部分に突き刺さる言葉を吐く。
ビクリとシンタローの肩が震えるのが解った。
こんな小動物ちっくなシンタローも可愛いな、なんて思い、罪悪感ですっかり大人しくなったシンタローの体を好き放題まさぐる。
そしてたどり着いた中心部分。
「あれ?」
元気がないようだ。
まぁ、それはそうだろう。
メンタル面に男は弱い。そうゆう種類なのだ。
「さっきの気にしてるの?」
そう聞くと、珍しくコクリと頭を前に倒す。
可愛くて仕方がない。
ニッコリ笑って額にキスを落とす。
「そんなに気にすることないのに。」
シンタローが黒髪黒目を気にしていることを知っていて、それで尚且つシンタローの傷つく言葉を吐いておきながらこの言い草。
素直になったことを少しだけ後悔する瞬間だった。
「お前の髪は美しいね、シンタロー。お前の全てが美しい。」
小さい時から何度も言われた言葉。
俺の髪なんてちっとも綺麗じゃない。皆みたいに光を反射しないし、キラキラ光らない。
シンタローは自分の髪と瞳がとても嫌いだった。
自分がジャンの分身のコピーだと知って、ああ、とすんなり納得したものだ。
「俺は綺麗じゃねーよ。」
「そんなことないよ。シンタローのものは全て美しい。」
優しく又笑いかけ、行為を再開される。
感じやすい敏感な体は浅ましくマジックの愛撫に反応した。
また、頭をもたげてくるシンタロー自身に、マジックはクスリと笑い、焦らすようにそこには触れない。
「ん、ぁ、な、で…」
「ん?なぁに?シンちゃん。」
何故触れてくれないのかと、潤んだ瞳で見るシンタローに、わざとらしく聞いて。
シンタローが破廉恥な言葉は言えないのを知っていて問い掛ける。
シンタローは黒い睫毛を下に向け、マジックの絶妙な愛撫をじっと見た。
そして。
「ちゃん、と…。」
「ちゃんと、何?」
「~~~ッッ!!」
勇気を出して言ったのに。
この親父はそれ以上を望む。
恥ずかしくて言えなくて。
ぐずった子供のように泣いてしまいたかった。
シンタローが少し唸ると、マジックは苦笑いをして、シンタローの髪を優しく撫でる。
「ごめんネシンちゃん。今のはパパ、ちょっと意地悪だったね。」
よしよしと頭を撫でてシンタローの顔を覗き込むと、シンタローは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
そんなシンタローも大好きで。
多分どんな顔をしても、どんな事をしても、マジックはシンタローを可愛いと、可愛くて仕方がないと思うだろう。
「ああっ!!」
いきなりマジックに中心部を触られた。
あられもない声が口から出てくる。
カァーッと、恥ずかしくなって両手で口を押さえた。
「いいのに。シンちゃんの可愛い声、パパ、すっっごく好きν」
「ば、ばかじゃね…の。」
ピクンピクンと体を震わせているシンタローの暴言なんて怖くもなんともない。
ゆるゆると中心部を上下にグラインドさせてやれば、先端部分から粘ついた液体がチロチロと出てくる。
それを確認した後、激しく擦ってやる。
「や、あぁああっっ!!」
「おっと!まだ駄目だよ、シンちゃん。」
キュッと根本を掴む。
まだイかせる気はないらしい。
「パパと一緒に気持ち良くなろう。」
入口部分にクニクニとマジックの熱いモノが縁を描くように突き付けられる。
ヒクリ、シンタローの体に力が入る。
これから与えられるであろう激しい快楽に、シンタローの心は波打った。
瞬間、ズブブッと中に入って来た。
感じる痛みと異物感。
何度体を重ねても、これだけは慣れない。
「ああああぁあ!!」
マジックの服を掴み、歯を食いしばって堪える。
「ンッッ…」
マジックの眉が苦しそうに歪んだ。
「全部入ったよ、シンタロー。」
ぴっちりと自分のがマジックのをくわえ込んで。
マジックは勝手知ったというようにシンタローのイイトコロばかりをつく。
「アッ!アッ!ひゃ、あ!あンッッ!ああぅっ!」
ギリギリまで抜いて最奥まで貫く。
ガグガクとシンタローは体を震わせた。
「お前の中は凄いよ。熱くて…溶けそうだ。」
「いう…なッッ!アァッ!!」
恥ずかしくて、思わず手で顔を覆う。
顔で覆っても、マジックのをリアルに感じてしまって、どうにもならない。
だが、マジックの瞳で見られたくなかった。
恥ずかしくて仕方がないのだ。
「駄目だよ、シンタロー。」
そっ、とシンタローの手を顔から外す。
「良く見て。私を。そして、私で感じてるお前を。」
「ふ、ぁ、や、ゃだぁッッ…。」
ふるふると頭を左右に振るが、マジックに掴まれた腕はどうにもならない。
顔は覆えない。
ぎゅっと目をつぶるシンタロー。
「シンタロー、ここが何処だか解っているのかな?」いきなり何をいい始めたのだろう。この親父は。
「鍵は…かけたっけねぇ?」
はっと目を見開くと、楽しそうに笑う父の顔。
サァッと、血の気が失せたのが自分でも解った。
「テメッ!ンァっ!」
ジュブジュブと激しく腰を動かされて、悪態をつく暇もなく快感に身をよじる。「いつ、誰が来るか、何て解らないよね?ここは総帥室だもんね。」
まるで欲しかった玩具を手に入れた子供のように無邪気に笑うマジック。
「や、やだ!も、ヤメ!とぉさ…ッッ!!」
マジックの襟元を掴み必死に抗議するシンタロー。
それでも動きは止めないし、速度も変わらない。
「こんな、総帥服をはだけさせて、父親に抱かれている総帥を見たら…部下達はどう思うかな?」
ねぇ、シンちゃん。
と、耳元で囁かれる。
「ふざ、けんな!こ、のアーパーおやじぃっ!!」
マジックの下から逃れようとするが、力の入らない今ではマジックはびくともしない。
そのくせ力を入れるものだから、余計マジックのを締め付ける事になり逆効果の悪循環。
その時、
トントン
扉の向こうからノックが聞こえた。
シンタローの顔が一気に青ざめる。
ビーッというインターホンが鳴った。
『シンタロー居るか?明日の会議の件について話したい事がある。』
声の主はキンタローであった。
非常にまずい。
今、この姿を誰にも見せられない。
ディスクの上に総帥服をはだけさせ、淫らに自分の父親と情事を交わしている姿なんて。
血縁者なら尚更だ。
息を潜めて居留守を使おうと決心した矢先。
「あぅっ!!んぐっ!」
マジックが動きを再開し始めた。
咄嗟に自分の口を手で覆う。
『シンタロー。居ないのか?』
「~~~ッッンッッ!!」
あンのクソ親父ィィ!!
潤んだ瞳でマジックを見れば我関せずといった風にニコニコ笑っている。
頼むキンタロー!今日の所は帰ってくれぇぇ!
心の中でそう祈る。
多分生まれてきて神にこれほどまでに祈ったのは二回目だろう。
一回目の小さい時に金髪碧眼にしてくれと祈った時以来だ。
「あんっ!!」
いきなり体位を横に変えられシンタローは思わず自分の声にびっくりした。
「そんなにいやらしい声を大きく出したらキンタローに聞かれちゃうよ?」
いいのかな?
意地悪く言葉を吐く。
慌てて又口を塞ぐ。
くぐもった声を響かせ、快感に堪える。
キンタローは諦めたのか、ブザーはそれから鳴らなかった。
良かったと安堵のため息を漏らすと、マジックの骨張った指がシンタローの中心に触れた。
「ひゃぁぁん!」
「シンちゃん。他の事考えちゃ駄目だよ。」
誰のせいだ誰の!!
声には出せないので心の中で悪態をつく。
片足を肩に乗せて、マジックは最奥に何度も何度も自身を入れる。
「あ、あ、や、もぉダメッッ!」
しかし、マジックは今度シンタローのイイトコロから少しズレた場所にポイントをずらした。
これではイクにイケない。
「も、ヤダ、イジワルばっか!!」
「イジワルっていうのもそそるけど、今日、イク時パパって言ってくれるならイカせてあげるν」
こーの変態親父ッッ!!
「言えるかバカ!」
「まだ余裕ありそうだねぇ?シンちゃん。この後30分位我慢する??」
その前に誰かしら又来るだろうけど。キンタローもお前に用があったみたいだしね。
そう付け加えられて、シンタローは唸った。
プライドが許さないが、こんな歯痒い思いをするのは嫌だ。
ゆっくりと、だが、確実にシンタローは頭を前に倒した。
「あっ!あっ!あっ!」
途端に激しくなるピストン運動にシンタローは息をするのさえ追い付かない。
卑猥な音に耳を犯され、マジックに体を犯される。
「シンちゃん、シンタローッッ!」
「も、ダメッッ、ダメ!アアアアッ」
ギュウウッと、マジックの背中を抱きしめる。
そして、耳元に唇を這わせ
「パパぁッッ!」
酷く艶っぽい声でマジックを呼んだ。
「―――ッッ!!」
余程嬉しかったのか、興奮したのか。
マジックにしては珍しくシンタローのすぐ後にシンタローの中で吐き出したのだった。
「シンちゃ~ん…機嫌直して?ね?」
ホーラ、スマイルスマイル!
と、無理矢理笑ってシンタローのご機嫌を取ろうと必死な元最強殺し屋集団総帥マジック。
「………。」
しかし、現在最強悪い人限定お仕置き集団総帥は、完璧シカト。
シカトは、構って構って、構ってくれないと淋しくて死んじゃう~なマジックには1番精神的にくる攻撃なのだ。
「さっきまでは素直で可愛かったのに~!勿論今のぶすくれてるシンちゃんも可愛いけどね☆」
「………。」
シンちゃ~ん…と泣きそうなマジック。
「せっかくスリリングな時間を一緒に経験した仲なのに!」
「なーにがスリリングだっ!スリリングすぎるわい!ぜーったいキンタローにばれた!つーか、ばれてたらアンタとは一ッッ生口きかねーからな!」
やっと喋ってくれたと喜んだのもつかの間のこの言い方。
「ばれてないよー!だってココ、防音完璧だもん。」
「あ。」
そうだった。
ここは防音は勿論、防弾も完璧。
なんせここは総帥室。
スパイに気付かれないよう、聞かれないよう、そういった設備は整っている。
ブザーをこちらから押さない限り、こちらの声は聞こえない。
「でもっ!」
シンタローは声を荒げる。「たまたまキンタローがドア開けなかったから見つからなかっただけで、鍵かけてなかったんだから見られてたかもしれねーだろ!」
すると、マジックはキョトンとした顔でシンタローを見た。
「鍵?かけてたよ?」
「は?だってさっき…!」
「鍵かけてたっけ?と聞いた事は聞いたけど、鍵かけてないとは言ってないよ。」
やられた!
シンタローは魚みたいに口をぱくぱくさせる。
マジックはハハハと笑って
「馬鹿だなぁ、シンちゃんν私がお前のそんな欲情的な姿を他人に見せると思うかい?有り得ないよ。」
そう言ってマジックはシンタローを後ろから抱きしめる。
「愛しているよ。シンタロー。」
そう呟いて。
「それにしても、最後の“パパ”は良かったよ。」
鼻血を吹き出しながら思い返すマジックに、シンタローはありったけの怒りと精神を掌に集中させ。
「眼魔砲!!」
マジックもろとも吹き飛ばした。
その時、書類も吹き飛ばしてしまい、シンタローはマジックに怒りをぶつけたのでした。
終わり
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「うざーっ!近寄るな!アーパー親父ィ!!」
「ヒドッ!シンちゃん酷いよッッ!!」
プンスカと、腹を立てて歩くシンタローの後ろでいい歳こいたオッサンが涙と鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっている。
そんな、訳の解らない生命体のような父親に無視を決め込み、シンタローは、ズンズン廊下を歩いて行ってしまった。
「ぶっ!」
余程腹が立っていたのだろう。
下を見ながら歩いていたせいで、誰かにぶつかってしまった。
悪いと思い顔を上げると、そこには自分が崇拝して止まないアノ人。
「おじさんっっ!」
わああ!と、満面の笑みで、崇拝する、叔父のサービスを見上げる。
ナイスミドルで、しかも男にしておくには勿体ない位美し過ぎる美貌のおじ様。
柔らかな物腰でクスリと笑い、シンタローの黒い髪を撫でる。
「総帥になってもお前はお転婆だな。」
「ちぇーっ!それより叔父さん、いつ帰って来たの?」
子供扱いをされて少しふて腐れたが、大好きな叔父が居る方が嬉しくて、そんな事はどうでもよくなる。
叔父さん、叔父さん、と、サービスの腕を掴んで
「とっても楽しそうね、シンちゃん。」
「おわ!ビビッた!!」
かなり後方で地面に泣きながら突っ伏していたマジックがいつの間にか自分の真後ろに。
しかも、奴は気配を感じさせないように近づく。
「ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?」
「すっげーデジャヴなんだが。」
耳元で囁かれて、少しビクリと震える。
マジックの息が耳に掛かり、シンタローはおもいっきり顔をしかめた。
「シンちゃん、パパちょっと傷ついたんだけど…。」
「一生傷ついてろ。」
そう言い放ち、シンタローはサービスの腕を掴んだ。
アアッ!シンちゃん!何でパパにはそんな事してくれないのにーッッ!!等と涙ながらに訴えるマジックを尻目に、さっさとサービスを連れて歩いて行ってしまう。
しかも、腕を組んだまま。
「早く叔父さん、行こう!コイツの側に居たら美貌の叔父様が汚れる!」
「あ、シンタロー。」
ぐいぐい引っ張って、サービスを自分の部屋の方向へと急がせる。
サービスは仕方ないなと言うように、素直にシンタローの後を着いて行った。
所変わってシンタローの自室。
サービスを自分のテーブルに着かせて、自分はかいがいしく紅茶の用意をする。
「叔父さん、今、ローズヒップティーと、オレンジペコしかないんだけど、どっちがいい?」
シンタローの部屋には専用のキッチンがある。
これは、料理が好きなシンタローが何時でも好きな時に腕をふるえる為である。
「シンタローはオレンジペコが好きだったね。俺もそれを貰おうかな。」
女王様のようにシンタローを見ると、シンタローはビシッ!と敬礼をして、直ぐさま紅茶作りに取り掛かった。
終始ニコニコしながら紅茶を入れる。
サービスが自分の好きな紅茶の種類を覚えていてくれたことが本当に嬉しくて。
満面の笑みでサービスに紅茶を渡す。
「ハイ、叔父さん!」
「ありがとう。」
サービスは出されたカップをこれでもかというくらい優雅に持ち、紅茶の匂いを嗜んだ後、ゆっくりカップに口を付けた。
コク、と喉が上下する。
それを見届けた後、シンタローも一口紅茶を飲んだ。「おいしい?」
「ああ。」
バックに薔薇が見える。
余りの眩しさに、シンタローは手を前にかざした。
カッコイイ!カッコイイよ!この人とあのアーパー親父が兄弟とか、ホント間違ってる!
シンタローは、サービスの頭の後ろにご来光が見えたとか、見えなかったとか。
「なんかお菓子持ってくる…。」
余りの眩しさに、ヨロヨロと立ち上がりながら目を押さえる。
「あ、叔父さん、クッキーでい…」
「シンタロー、俺の事好きかい?」
最後の一言に被せるように聞かれ、シンタローは一瞬止まった。
好きに決まってる。
サービスよりカッコイイ男をシンタローは知らない。と、思う。多分。
「え?何で?好きダヨ。決まってんじゃん。」
変な事を聞くなと、シンタローは笑った。
でも、サービスは真顔のまま、シンタローを見据える。
「マジックよりも?」
「?当たり前じゃん。」
様子が可笑しいなと思いつつも、シンタローは何時も通りのテンションでそう答える。
サービスは、もう一度シンタローの入れた紅茶を飲んでから、肘をテーブルに着け、指を組み、顔を乗っけた。
そのポーズはマジックがよくやるポーズで、やっぱり兄弟なんだなと思わせる少ない癖の一つ。
「質問を変えよう。」
ス、と、人差し指をシンタローの鼻に着くんじゃないかという位、近くで指す。
シンタローは訳が解らず、まだ、のほほんとしている。
「マジックと俺、どっちを愛している?」
シンタローの体がビクリと揺れた。
どっちを愛しているかなんて、そんな事は決まっている。
サービスの言う“好き”の意味はそうゆう事だったんだと、今更ながらに気がついた。
「……。」
恥ずかしさと気まずさが混ざり、シンタローが答えられないでいると、サービスがおもむろに立ち上がり、グイッ、とシンタローの顎を掴み、こちらに向かせる。
じっ、と青い瞳で見つめられ、バツが悪いのに、反らす事ができない。
この目はシンタローがよく知っている目によく似ていて。
「答えられないのは…どちらでもいいって事かな?」
サービスの白くて長い指がシンタローの顎から喉を撫でた。
「ッッ…!」
息を殺したような声がして、困惑した顔で、シンタローはサービスを見る。
見るには見たが、サービスは無表情で何も読めない。
どうしよう、と、悩んでいると、サービスの麗しい唇がシンタローに急・接・近!
おおお叔父さんッッ!!
あわあわと慌てふためくシンタロー。
「駄目ッッ!!」
グイ、と、サービスを突っぱねたのであった。
しかし、シンタロー自身、自分が何故、彼を突っぱねたのかは解らない。
頭より体が先に動いてしまったのだ。
でも、脳裏に一瞬過ぎった男が一人。
マジックである。
ハッキリ言ってシンタローはマジックに惚れている。
端から見ると、そうは見えないが、それは本心。
普段は恥ずかしさのせいで上手く本心を表していないだけ。
何となく気まずい気がして下を向く。
「コラ!!サービス!!」
バッターン!!と、物凄い音がして、シンタローの自室が開いた。
そこに現れたのは金髪碧眼のナイスミドル優勝者、マジック。
シンタローは無意識のうちに安堵の溜息をもらした。
「今、お前、私の可愛いシンタローにキスをしようとしただろう!!」
シンタローを抱き寄せて、私のものだと主張する。
ああ、親父!言ってる事はちょーっとムカつくけど、今はアンタがいて良かった!!
そんな失礼な事を思っていると、サービスは優雅に髪をファサッ、と掻き分ける。
「兄さん。僕はシンタローにキスをしようとなんてしてないよ。ただ、ジャンに似てると思って瞳を覗いただけさ。」
なーんだ。
シンタローが納得しかかっていると、
「そんな見え見えの嘘が私に通じると思ったか、サービス!!」
より一層力を込めてシンタローを抱きしめる。
凄く苦しいが、苦しいと言えない変なプライドがシンタローにはあった。
「でも、親父。叔父さん違うって言ってるし。」
マジックの胸の辺りからシンタローが声を出す。
苦しさを悟られないように。
ハッキリ言って、何でどーでもいい事で我慢するのか理解に苦しむ。
「シンちゃん!もー!この子ったらッッ!!今のサービス見てよ!!絶対シンちゃんを強姦する気だったんだよッッ!!」
「話しを飛躍させすぎだっつーの!!」
ゴホン!と、マジックが咳をする。
「さ、シンちゃん。今日からどっか泊まりに行こうか。」
何処か、キラキラした目でシンタローを見る。
シンタローは冷や汗をかいていた。
「ごまかしたな、兄さん。」
「と、言うか、兄さんだってシンタローが自分の事をどう思ってるか知りたくないのかい?」
とりあえず律儀にツッコミはしてからサービスがマジックに話を振る。
そう提案されて、マジックは少し考えたように睫毛を伏せた。
サービスとて、一族の人間であり、マジックと兄弟だ。
この兄が一番興味のあること位心得ている。
そして、何に対して不安を持っているのかも。
マジックはシンタローに対してだけ自身がない。
だからウザイ程シンタローを構い、愛の言葉を呟き、束縛する。
それは自身のなさの現れ。
シンタローが生まれるまで、サービスはそんな兄を見た事がなかったし、マジック自身、力も権力も持ち合わした身だった為、欲しければ力ずくだった。
でも、シンタローにそれは通用しない。
初めて味わう渇望感なのだろう。
「そうだね。…ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?どっちと寝たい?」
チュドーン!!
サービスとシンタローがダブル眼魔砲をぶちかました。
「何をするんだ!シンちゃんなら許すけど、サービス!お前に撃たれたくない!!」
「兄さん、話が飛びすぎなのでは?」
「叔父さん!疑問に思っただけで眼魔砲を撃ったの?むしろ、つっこむ所そこなの?ああ!!ツッコミ所満載でよく解らん!!」
頭を抱えているシンタローと、鼻血を垂れ流すマジックと、そんなマジックを見下すサービスとがそこに確かに存在した。
「仕方ないだろう。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理だ!」
力説するマジック。
同性愛者が自然の摂理とか使わないで欲しいが、そのツッコミは今は止めておこう。
マジックは自分で自分を抱きしめていた。
何処からともなくキラキラと光り輝いて、彼は妖精なんじゃないかと思わせる。
勿論、思わせるだけなのだが。
「親父キモい。マイナス10点。」
「え!?もう査定始まってるの!?」
おもいっきり、これでもかっていう位、シンタローはしかめっつらをして、又一人頭を抱えて悩み始めた。
ソリャ、愛してんのは親父だヨ。
ちらっと見ると、マジックがウインクをしやがった。ザワッ!と鳥肌が立つ。
ハリキリムカツク。
でも、サービス叔父さんに嫌われたくないし。
今度はサービスに目をやると、グラビアアイドルも真っ青な位、セクシーかつ、色っぽいポーズを取られた。
叔父さんが俺を誘惑するーッッ!!
ブーッッ!!と鼻血が直線に出た。
どうしよう、どうしよう、と悩んではみたものの、答えなんかは見つかるはずもなく。
一人、ガシガシと頭をかく。
「シンちゃん、もういいよ。悩んでくれただけで私は嬉しい。」
は、と、見上げると、マジックが笑顔でそう言った。
何だよ、何なんだよ。その諦めた言い方。俺が選ばないって解ってるんだよって顔。違うよ父さん。俺はやっぱりアンタのこと好きだし愛してるんだよ。
「やっぱり…ゴメン、叔父さん。俺、父さんの方が…」
好き。
その一言は言えなかったが、二人には十分通じただろう。
マジックが驚いた顔をしている事からもその事が伺える。
「いいんだ、シンタロー。お前の部屋に俺の好きなアールグレーが無くて、兄さんの好きなローズヒップティーのストックがあった時から解ってた。」
サービスは、特に傷ついた風でもなくそう言い、シンタローの頭を撫でた。
「ごゆっくり、兄さん、シンタロー。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理…なんでしょう?」
サービスはにこやかにシンタローの部屋を出た。
バタン!と、扉が閉まってから、気がついたかのようにシンタローの叫び声が児玉する。
久しぶりにジャンに会いたくなったな。
サービスは胸ポケットからケータイを出して登録されてあるジャンのケータイへと電話をかけたのだった。
「ストーップ!!親父、ストーップ!!待てまてマテ!」
いやー!と、否定を全面に出して抵抗するシンタローだったが、自分よりガタイもよく、しかも秘石眼を持つマジックに勝てるはずもなく、あっさり確保された。
「シンちゃん。パパ言ったよね?シンちゃんに言ったよね?どっちと寝たい?って、パパ聞いたよね?シンちゃんはパパを選んでくれたんだよね?ってことは、イコールパパと寝たいっていうことだよね?」
はあはあと息荒くシンタローを確保し、抱きしめて、ねちっこく聞いてくる。
シンタローの後ろ髪を持ち上げて、うなじにキスをした。
「わーったわーった!寝てやるヨ!だから、ホラ、ベッドいこーぜ、ベッド。」
ホラ、ホラ、と、急かすようにマジックをベッドまで引っ張る。
へっへっへー。寝るっつーのは、二人で横になる事だけでも寝るっつーしナ。横になった瞬間転がって逃げれば約束は破ってねぇ事になる!!
グッ!と、心の中でシンタローはガッツポーズをして、自分の完璧な作戦に酔いしれた。
「ハッハッハッ!シンちゃん積極的だなー。まさかとは思うけど、寝るっていうのは、一緒に横になってオシマイじゃないよ?セッ●スするって事だよ?お前も子供じゃないんだから、それくらい勿論解ってるよね?」
ギックーン!!
図星を指されて、シンタローは肩を震わせた。
腐っても自分の父親。
28年間一緒に居たのは伊達じゃない。
「ハハ、も、もちろん!」
渇いた笑いをする。
心の中でシンタローは、チキショー!!と、叫んだ。ノロノロと、さっきの勢いとは裏腹にベッドへ行く勢いが弱まる。
それに勿論気付いていたマジックは、ひょいっ、とシンタローをお姫様抱っこし、スタスタとベッドまで連れて行き、スプリングの聞いた広いベッドに落とした。
「ブッ!」
お尻から落ちる形になったシンタローは、ギシギシというスプリングに身を任せる形になる。
まだ揺れが納まらないうちに、マジックがシンタローの体を押さえ付けた。
「そうだよね。あれだけ悩んで私を選んでくれたんだもんね。」
そう言って、耳元に唇を近づける。
温かい感じが耳からじわりと伝わった。
「ありがとう。シンタロー。嬉しかったよ。」
ズルイ。と、シンタローは思った。
そんなこと言われたら逃げられなくなるじゃないか。
マジックとこのまま情事をしてもいいやって気持ちになるじゃないか。
いや、もう既にそんな気持ちになってしまっている。
シンタローは静かに瞳を閉じて、マジックの背中に両手を回した。
それをOKの合図と理解したのだろう。
マジックも静かに了解のサインのキスをシンタローの唇に落とした。
チュク、チュク、と、舌をまさぐりあい、飲み込めなかった唾液がシンタローの唇の端から伝う。
「ン、ン、ぅ」
鼻にかかった声でマジックに答える。
マジックは、シンタローの頭を固定しながら何度も何度も角度を変えてシンタローの唇を味わう。
「ぷはっ!」
やっと息が吸えて、シンタローは、ホッとした。
「あ、あんだよっ…!ン、ふぅっ!!」
ニコニコしながら自分を見るマジックに、シンタローは悪態をつく。
それでもマジックはニコニコして。
「シンちゃんかわいー!」
なんて言ってやがる。
この、余裕ぶっこいてるマジックをギャフンと言わせたくて、シンタローは、マジックの局部を触った。
そこは既に立ち上がっているようで。
ズボンの上からでも熱く、固かった。
「親父だって、もう、こんなじゃねーか。」
「もう、シンちゃんたら。せっかちなんだから。」
困ったように笑うマジックに、シンタローはフフンと笑って見せた。
何だかちょっと勝った気がして嬉しい。
「そうゆう勝ち誇った顔も、全部大好きだよ。」
プチプチと、ボタンを外し、ズボンを脱がせる。
衣一式纏わぬ姿にされ、シンタローは上気した頬を一層赤くした。
「俺ばっかズリィ。親父も…」
脱いで。と、続けて、マジックの服を脱がせて行く。脱がせたマジックは、とても50代とは思えない程、がっしりと程よく筋肉が着いていて、思わず見惚れる。
あれだけ前線で戦ってきたのに、傷一つないその体は、彼がどれくらい強いのかという証明のようだ。
「シンちゃん、今日は積極的だね。」
ぺろりとシンタローの胸の突起物を舐める。
「ひゃぁあぁん!」
油断していたシンタローは、いきなりの愛撫に思いきり声を出してしまった。
「シンちゃん、もっとお前の可愛い声を私に聞かせて。」
乳首をくにくにといじりながら、シンタローの中心部をもいじり倒す。
堪らず声を上げるシンタローに、マジックは喜びにうちひしがれた。
自分の指で、舌で、愛するシンタローが感じてくれている。
それだけでマジックは心地良い。
パクリとシンタローの局部をくわえると、シンタローから抗議の声を浴びせられた。
「ば、ばか!んなトコ汚ねぇって!!」
身をよじり、マジックの唇から逃れようとしたが、ガッチリ腰を押さえ付けられ逃げられない。
「シンちゃんに汚い所なんてあるわけないデショ。」
ジュプジュプと、マジックの唾液と、シンタローの精子が混じり合い、淫らな音が奏でられる。
「ん…っ…あ…はぁっ!」
熱い吐息がシンタローの唇から否応なしに出て、熱くほてらせた体を震わせた。
「アン!いっいっちゃ…あぅ?」
イきそうになったシンタローだったが、マジックにいきなり根元を押さえ付けられた。
イきたいのにイけない。
もどかしくて。恥ずかしい事だと、淫らな事だと知りつつも、腰をゆらゆら揺らす。
「なんでぇ…と…さんン!ぃ、イきたい…よぉ…。」
終いには生理的な涙がぽろぽろ零れて、頬にいく筋もの跡を残した。
「待って、シンちゃん。イく時は一緒に、ネ?」
「そんなAV男優みたいなの、ヤだよぉ…!」
「…シンちゃん…以外と余裕だネ。」
マジックは、根元を押さえ付けたまま、シンタローの片足を抱え、入口付近に自分の猛った雄をグニュグニュと、円を描くようになすりつける。
そして、先端から奥まで一気に貫いた。
「ッヒああぁあ!!」
喉が壊れるんじゃないかという位の叫び声。
目を見開き涙を流す。
「シンちゃん大丈夫?」
シンタローを気遣う言葉を投げかけるくせに、腰の動きは納まらない。
シンタローは、イヤイヤをするように頭を振った。
結合部分から、白い液体が流れ出す。
余談だが、マジックの我慢汁が凄い訳ではない!
先端から奥まで激しいピストン運動のせいなのだ!
「や、も…っ…とぉさん…!…し…死んじゃう…よぉ…!」
グズグズと、鼻を啜り、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったシンタローは、マジックの胸に顔を埋める。
「…ッ!シンちゃん、凄く可愛いよ…。もっと声聞かせて…?顔も見せてごらん。…私の愛しい息子…。」
「…ゃ!」
グイと、シンタローを引き離すと、掴むもののなくなったシンタローは、マジックに両手を広げる。
何だか可哀相になってきて、やっぱり抱きしめてあげる。
シンタローには甘いなと、自分で自分を笑いながら。
でも、そんな自分もマジックは、気に入っていた。
ラストスパートに入り、シンタローの足を上に上げる為、シンタローの根元から指を外す。
シンタローの足はガクガク奮え、シーツをにぎりしめ快感だけを必死に追っていた。
「…と…さん…も…だ、ダメッッ!!」
ビュルビュルと、シンタローの雄から白い液体が飛び散り、シンタローの腹、胸、顔に至るまでを汚す。
マジックも数回腰を打ち付けた後、シンタローの中に精子をぶちまけた。
「サイッテー!!」
「だぁって!シンちゃんがパパを選んでくれたから嬉しかったんだもーん。」
「もーんじゃねーよ!可愛くねーんだよ!!」
腰が砕けて立てなくなったシンタローは、不本意ながらもマジックと隣に寝ている。
怒り顔のシンタローとは裏腹に、マジックは幸せ顔。
チッ!
舌打ちはせど、寝返りさえ打てないこの腰を怨む。が、そんな体にしたのはこの目の前にいるマジックだと気付き、腰を怨む必要はないと思った。
「パパねー。本当に自信がなかったんだ。お前がサービスを選ぶんじゃないかって思ってた。」
そんなわけねーだろ。俺の1番は、昔から父さんだけだ。肉体関係を持った今でも変わらない。
でも、このアーパー親父は、すーぐ調子に乗るから絶ッッ対そんな事言ってやんねーけどな。
「眠くなってきた。」
「ちょっと頑張り過ぎちゃったもんね…お休みシンタロー。」
優しい声と共に、シンタローは、目をつぶった。
お腹を規則正しくポンポンと叩いてくれるのが気持ち良くて、より一層眠気が舞い降りる。
「選んでくれて、ありがとう。」
薄れゆく意識の中、マジックがもう一度同じ言葉を呟いた。
バーカ。何度だって選ぶよ。やっぱり俺はアンタが好きだ。
心の中でマジックが聞いたら鼻血の海になりそうな言葉を呟き意識を離す。
しばらくすると、本当に寝入ってしまったらしく、規則正しい寝息が聞こえてくる。
しばらくして。
「シンちゃん寝ちゃった?」
しかし、熟睡しているらしく返事は来ない。
マジックはイソイソと自分のポケットの上着から、超小型カメラを掴む。
そして、シンタローの寝顔を録り始めた。
「エッチしてる時のシンちゃんも可愛いけど、寝てるシンちゃんも可愛いなぁ…。」
いつベストショットが撮れるかわからないので、何時も持ち歩いてるかいがあったと、アップで録り始める。
さっきの情事もバッチリデッキに納めたし…。
ふふ、シンタロー愛してるよ。宇宙の果てまでフォーリンラブ☆
マジックがキモい呪文を唱えた辺りから、シンタローの安らかな寝息は消えて、シンタローのうめき声がきこえたのだった。
おわり
「ヒドッ!シンちゃん酷いよッッ!!」
プンスカと、腹を立てて歩くシンタローの後ろでいい歳こいたオッサンが涙と鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっている。
そんな、訳の解らない生命体のような父親に無視を決め込み、シンタローは、ズンズン廊下を歩いて行ってしまった。
「ぶっ!」
余程腹が立っていたのだろう。
下を見ながら歩いていたせいで、誰かにぶつかってしまった。
悪いと思い顔を上げると、そこには自分が崇拝して止まないアノ人。
「おじさんっっ!」
わああ!と、満面の笑みで、崇拝する、叔父のサービスを見上げる。
ナイスミドルで、しかも男にしておくには勿体ない位美し過ぎる美貌のおじ様。
柔らかな物腰でクスリと笑い、シンタローの黒い髪を撫でる。
「総帥になってもお前はお転婆だな。」
「ちぇーっ!それより叔父さん、いつ帰って来たの?」
子供扱いをされて少しふて腐れたが、大好きな叔父が居る方が嬉しくて、そんな事はどうでもよくなる。
叔父さん、叔父さん、と、サービスの腕を掴んで
「とっても楽しそうね、シンちゃん。」
「おわ!ビビッた!!」
かなり後方で地面に泣きながら突っ伏していたマジックがいつの間にか自分の真後ろに。
しかも、奴は気配を感じさせないように近づく。
「ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?」
「すっげーデジャヴなんだが。」
耳元で囁かれて、少しビクリと震える。
マジックの息が耳に掛かり、シンタローはおもいっきり顔をしかめた。
「シンちゃん、パパちょっと傷ついたんだけど…。」
「一生傷ついてろ。」
そう言い放ち、シンタローはサービスの腕を掴んだ。
アアッ!シンちゃん!何でパパにはそんな事してくれないのにーッッ!!等と涙ながらに訴えるマジックを尻目に、さっさとサービスを連れて歩いて行ってしまう。
しかも、腕を組んだまま。
「早く叔父さん、行こう!コイツの側に居たら美貌の叔父様が汚れる!」
「あ、シンタロー。」
ぐいぐい引っ張って、サービスを自分の部屋の方向へと急がせる。
サービスは仕方ないなと言うように、素直にシンタローの後を着いて行った。
所変わってシンタローの自室。
サービスを自分のテーブルに着かせて、自分はかいがいしく紅茶の用意をする。
「叔父さん、今、ローズヒップティーと、オレンジペコしかないんだけど、どっちがいい?」
シンタローの部屋には専用のキッチンがある。
これは、料理が好きなシンタローが何時でも好きな時に腕をふるえる為である。
「シンタローはオレンジペコが好きだったね。俺もそれを貰おうかな。」
女王様のようにシンタローを見ると、シンタローはビシッ!と敬礼をして、直ぐさま紅茶作りに取り掛かった。
終始ニコニコしながら紅茶を入れる。
サービスが自分の好きな紅茶の種類を覚えていてくれたことが本当に嬉しくて。
満面の笑みでサービスに紅茶を渡す。
「ハイ、叔父さん!」
「ありがとう。」
サービスは出されたカップをこれでもかというくらい優雅に持ち、紅茶の匂いを嗜んだ後、ゆっくりカップに口を付けた。
コク、と喉が上下する。
それを見届けた後、シンタローも一口紅茶を飲んだ。「おいしい?」
「ああ。」
バックに薔薇が見える。
余りの眩しさに、シンタローは手を前にかざした。
カッコイイ!カッコイイよ!この人とあのアーパー親父が兄弟とか、ホント間違ってる!
シンタローは、サービスの頭の後ろにご来光が見えたとか、見えなかったとか。
「なんかお菓子持ってくる…。」
余りの眩しさに、ヨロヨロと立ち上がりながら目を押さえる。
「あ、叔父さん、クッキーでい…」
「シンタロー、俺の事好きかい?」
最後の一言に被せるように聞かれ、シンタローは一瞬止まった。
好きに決まってる。
サービスよりカッコイイ男をシンタローは知らない。と、思う。多分。
「え?何で?好きダヨ。決まってんじゃん。」
変な事を聞くなと、シンタローは笑った。
でも、サービスは真顔のまま、シンタローを見据える。
「マジックよりも?」
「?当たり前じゃん。」
様子が可笑しいなと思いつつも、シンタローは何時も通りのテンションでそう答える。
サービスは、もう一度シンタローの入れた紅茶を飲んでから、肘をテーブルに着け、指を組み、顔を乗っけた。
そのポーズはマジックがよくやるポーズで、やっぱり兄弟なんだなと思わせる少ない癖の一つ。
「質問を変えよう。」
ス、と、人差し指をシンタローの鼻に着くんじゃないかという位、近くで指す。
シンタローは訳が解らず、まだ、のほほんとしている。
「マジックと俺、どっちを愛している?」
シンタローの体がビクリと揺れた。
どっちを愛しているかなんて、そんな事は決まっている。
サービスの言う“好き”の意味はそうゆう事だったんだと、今更ながらに気がついた。
「……。」
恥ずかしさと気まずさが混ざり、シンタローが答えられないでいると、サービスがおもむろに立ち上がり、グイッ、とシンタローの顎を掴み、こちらに向かせる。
じっ、と青い瞳で見つめられ、バツが悪いのに、反らす事ができない。
この目はシンタローがよく知っている目によく似ていて。
「答えられないのは…どちらでもいいって事かな?」
サービスの白くて長い指がシンタローの顎から喉を撫でた。
「ッッ…!」
息を殺したような声がして、困惑した顔で、シンタローはサービスを見る。
見るには見たが、サービスは無表情で何も読めない。
どうしよう、と、悩んでいると、サービスの麗しい唇がシンタローに急・接・近!
おおお叔父さんッッ!!
あわあわと慌てふためくシンタロー。
「駄目ッッ!!」
グイ、と、サービスを突っぱねたのであった。
しかし、シンタロー自身、自分が何故、彼を突っぱねたのかは解らない。
頭より体が先に動いてしまったのだ。
でも、脳裏に一瞬過ぎった男が一人。
マジックである。
ハッキリ言ってシンタローはマジックに惚れている。
端から見ると、そうは見えないが、それは本心。
普段は恥ずかしさのせいで上手く本心を表していないだけ。
何となく気まずい気がして下を向く。
「コラ!!サービス!!」
バッターン!!と、物凄い音がして、シンタローの自室が開いた。
そこに現れたのは金髪碧眼のナイスミドル優勝者、マジック。
シンタローは無意識のうちに安堵の溜息をもらした。
「今、お前、私の可愛いシンタローにキスをしようとしただろう!!」
シンタローを抱き寄せて、私のものだと主張する。
ああ、親父!言ってる事はちょーっとムカつくけど、今はアンタがいて良かった!!
そんな失礼な事を思っていると、サービスは優雅に髪をファサッ、と掻き分ける。
「兄さん。僕はシンタローにキスをしようとなんてしてないよ。ただ、ジャンに似てると思って瞳を覗いただけさ。」
なーんだ。
シンタローが納得しかかっていると、
「そんな見え見えの嘘が私に通じると思ったか、サービス!!」
より一層力を込めてシンタローを抱きしめる。
凄く苦しいが、苦しいと言えない変なプライドがシンタローにはあった。
「でも、親父。叔父さん違うって言ってるし。」
マジックの胸の辺りからシンタローが声を出す。
苦しさを悟られないように。
ハッキリ言って、何でどーでもいい事で我慢するのか理解に苦しむ。
「シンちゃん!もー!この子ったらッッ!!今のサービス見てよ!!絶対シンちゃんを強姦する気だったんだよッッ!!」
「話しを飛躍させすぎだっつーの!!」
ゴホン!と、マジックが咳をする。
「さ、シンちゃん。今日からどっか泊まりに行こうか。」
何処か、キラキラした目でシンタローを見る。
シンタローは冷や汗をかいていた。
「ごまかしたな、兄さん。」
「と、言うか、兄さんだってシンタローが自分の事をどう思ってるか知りたくないのかい?」
とりあえず律儀にツッコミはしてからサービスがマジックに話を振る。
そう提案されて、マジックは少し考えたように睫毛を伏せた。
サービスとて、一族の人間であり、マジックと兄弟だ。
この兄が一番興味のあること位心得ている。
そして、何に対して不安を持っているのかも。
マジックはシンタローに対してだけ自身がない。
だからウザイ程シンタローを構い、愛の言葉を呟き、束縛する。
それは自身のなさの現れ。
シンタローが生まれるまで、サービスはそんな兄を見た事がなかったし、マジック自身、力も権力も持ち合わした身だった為、欲しければ力ずくだった。
でも、シンタローにそれは通用しない。
初めて味わう渇望感なのだろう。
「そうだね。…ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?どっちと寝たい?」
チュドーン!!
サービスとシンタローがダブル眼魔砲をぶちかました。
「何をするんだ!シンちゃんなら許すけど、サービス!お前に撃たれたくない!!」
「兄さん、話が飛びすぎなのでは?」
「叔父さん!疑問に思っただけで眼魔砲を撃ったの?むしろ、つっこむ所そこなの?ああ!!ツッコミ所満載でよく解らん!!」
頭を抱えているシンタローと、鼻血を垂れ流すマジックと、そんなマジックを見下すサービスとがそこに確かに存在した。
「仕方ないだろう。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理だ!」
力説するマジック。
同性愛者が自然の摂理とか使わないで欲しいが、そのツッコミは今は止めておこう。
マジックは自分で自分を抱きしめていた。
何処からともなくキラキラと光り輝いて、彼は妖精なんじゃないかと思わせる。
勿論、思わせるだけなのだが。
「親父キモい。マイナス10点。」
「え!?もう査定始まってるの!?」
おもいっきり、これでもかっていう位、シンタローはしかめっつらをして、又一人頭を抱えて悩み始めた。
ソリャ、愛してんのは親父だヨ。
ちらっと見ると、マジックがウインクをしやがった。ザワッ!と鳥肌が立つ。
ハリキリムカツク。
でも、サービス叔父さんに嫌われたくないし。
今度はサービスに目をやると、グラビアアイドルも真っ青な位、セクシーかつ、色っぽいポーズを取られた。
叔父さんが俺を誘惑するーッッ!!
ブーッッ!!と鼻血が直線に出た。
どうしよう、どうしよう、と悩んではみたものの、答えなんかは見つかるはずもなく。
一人、ガシガシと頭をかく。
「シンちゃん、もういいよ。悩んでくれただけで私は嬉しい。」
は、と、見上げると、マジックが笑顔でそう言った。
何だよ、何なんだよ。その諦めた言い方。俺が選ばないって解ってるんだよって顔。違うよ父さん。俺はやっぱりアンタのこと好きだし愛してるんだよ。
「やっぱり…ゴメン、叔父さん。俺、父さんの方が…」
好き。
その一言は言えなかったが、二人には十分通じただろう。
マジックが驚いた顔をしている事からもその事が伺える。
「いいんだ、シンタロー。お前の部屋に俺の好きなアールグレーが無くて、兄さんの好きなローズヒップティーのストックがあった時から解ってた。」
サービスは、特に傷ついた風でもなくそう言い、シンタローの頭を撫でた。
「ごゆっくり、兄さん、シンタロー。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理…なんでしょう?」
サービスはにこやかにシンタローの部屋を出た。
バタン!と、扉が閉まってから、気がついたかのようにシンタローの叫び声が児玉する。
久しぶりにジャンに会いたくなったな。
サービスは胸ポケットからケータイを出して登録されてあるジャンのケータイへと電話をかけたのだった。
「ストーップ!!親父、ストーップ!!待てまてマテ!」
いやー!と、否定を全面に出して抵抗するシンタローだったが、自分よりガタイもよく、しかも秘石眼を持つマジックに勝てるはずもなく、あっさり確保された。
「シンちゃん。パパ言ったよね?シンちゃんに言ったよね?どっちと寝たい?って、パパ聞いたよね?シンちゃんはパパを選んでくれたんだよね?ってことは、イコールパパと寝たいっていうことだよね?」
はあはあと息荒くシンタローを確保し、抱きしめて、ねちっこく聞いてくる。
シンタローの後ろ髪を持ち上げて、うなじにキスをした。
「わーったわーった!寝てやるヨ!だから、ホラ、ベッドいこーぜ、ベッド。」
ホラ、ホラ、と、急かすようにマジックをベッドまで引っ張る。
へっへっへー。寝るっつーのは、二人で横になる事だけでも寝るっつーしナ。横になった瞬間転がって逃げれば約束は破ってねぇ事になる!!
グッ!と、心の中でシンタローはガッツポーズをして、自分の完璧な作戦に酔いしれた。
「ハッハッハッ!シンちゃん積極的だなー。まさかとは思うけど、寝るっていうのは、一緒に横になってオシマイじゃないよ?セッ●スするって事だよ?お前も子供じゃないんだから、それくらい勿論解ってるよね?」
ギックーン!!
図星を指されて、シンタローは肩を震わせた。
腐っても自分の父親。
28年間一緒に居たのは伊達じゃない。
「ハハ、も、もちろん!」
渇いた笑いをする。
心の中でシンタローは、チキショー!!と、叫んだ。ノロノロと、さっきの勢いとは裏腹にベッドへ行く勢いが弱まる。
それに勿論気付いていたマジックは、ひょいっ、とシンタローをお姫様抱っこし、スタスタとベッドまで連れて行き、スプリングの聞いた広いベッドに落とした。
「ブッ!」
お尻から落ちる形になったシンタローは、ギシギシというスプリングに身を任せる形になる。
まだ揺れが納まらないうちに、マジックがシンタローの体を押さえ付けた。
「そうだよね。あれだけ悩んで私を選んでくれたんだもんね。」
そう言って、耳元に唇を近づける。
温かい感じが耳からじわりと伝わった。
「ありがとう。シンタロー。嬉しかったよ。」
ズルイ。と、シンタローは思った。
そんなこと言われたら逃げられなくなるじゃないか。
マジックとこのまま情事をしてもいいやって気持ちになるじゃないか。
いや、もう既にそんな気持ちになってしまっている。
シンタローは静かに瞳を閉じて、マジックの背中に両手を回した。
それをOKの合図と理解したのだろう。
マジックも静かに了解のサインのキスをシンタローの唇に落とした。
チュク、チュク、と、舌をまさぐりあい、飲み込めなかった唾液がシンタローの唇の端から伝う。
「ン、ン、ぅ」
鼻にかかった声でマジックに答える。
マジックは、シンタローの頭を固定しながら何度も何度も角度を変えてシンタローの唇を味わう。
「ぷはっ!」
やっと息が吸えて、シンタローは、ホッとした。
「あ、あんだよっ…!ン、ふぅっ!!」
ニコニコしながら自分を見るマジックに、シンタローは悪態をつく。
それでもマジックはニコニコして。
「シンちゃんかわいー!」
なんて言ってやがる。
この、余裕ぶっこいてるマジックをギャフンと言わせたくて、シンタローは、マジックの局部を触った。
そこは既に立ち上がっているようで。
ズボンの上からでも熱く、固かった。
「親父だって、もう、こんなじゃねーか。」
「もう、シンちゃんたら。せっかちなんだから。」
困ったように笑うマジックに、シンタローはフフンと笑って見せた。
何だかちょっと勝った気がして嬉しい。
「そうゆう勝ち誇った顔も、全部大好きだよ。」
プチプチと、ボタンを外し、ズボンを脱がせる。
衣一式纏わぬ姿にされ、シンタローは上気した頬を一層赤くした。
「俺ばっかズリィ。親父も…」
脱いで。と、続けて、マジックの服を脱がせて行く。脱がせたマジックは、とても50代とは思えない程、がっしりと程よく筋肉が着いていて、思わず見惚れる。
あれだけ前線で戦ってきたのに、傷一つないその体は、彼がどれくらい強いのかという証明のようだ。
「シンちゃん、今日は積極的だね。」
ぺろりとシンタローの胸の突起物を舐める。
「ひゃぁあぁん!」
油断していたシンタローは、いきなりの愛撫に思いきり声を出してしまった。
「シンちゃん、もっとお前の可愛い声を私に聞かせて。」
乳首をくにくにといじりながら、シンタローの中心部をもいじり倒す。
堪らず声を上げるシンタローに、マジックは喜びにうちひしがれた。
自分の指で、舌で、愛するシンタローが感じてくれている。
それだけでマジックは心地良い。
パクリとシンタローの局部をくわえると、シンタローから抗議の声を浴びせられた。
「ば、ばか!んなトコ汚ねぇって!!」
身をよじり、マジックの唇から逃れようとしたが、ガッチリ腰を押さえ付けられ逃げられない。
「シンちゃんに汚い所なんてあるわけないデショ。」
ジュプジュプと、マジックの唾液と、シンタローの精子が混じり合い、淫らな音が奏でられる。
「ん…っ…あ…はぁっ!」
熱い吐息がシンタローの唇から否応なしに出て、熱くほてらせた体を震わせた。
「アン!いっいっちゃ…あぅ?」
イきそうになったシンタローだったが、マジックにいきなり根元を押さえ付けられた。
イきたいのにイけない。
もどかしくて。恥ずかしい事だと、淫らな事だと知りつつも、腰をゆらゆら揺らす。
「なんでぇ…と…さんン!ぃ、イきたい…よぉ…。」
終いには生理的な涙がぽろぽろ零れて、頬にいく筋もの跡を残した。
「待って、シンちゃん。イく時は一緒に、ネ?」
「そんなAV男優みたいなの、ヤだよぉ…!」
「…シンちゃん…以外と余裕だネ。」
マジックは、根元を押さえ付けたまま、シンタローの片足を抱え、入口付近に自分の猛った雄をグニュグニュと、円を描くようになすりつける。
そして、先端から奥まで一気に貫いた。
「ッヒああぁあ!!」
喉が壊れるんじゃないかという位の叫び声。
目を見開き涙を流す。
「シンちゃん大丈夫?」
シンタローを気遣う言葉を投げかけるくせに、腰の動きは納まらない。
シンタローは、イヤイヤをするように頭を振った。
結合部分から、白い液体が流れ出す。
余談だが、マジックの我慢汁が凄い訳ではない!
先端から奥まで激しいピストン運動のせいなのだ!
「や、も…っ…とぉさん…!…し…死んじゃう…よぉ…!」
グズグズと、鼻を啜り、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったシンタローは、マジックの胸に顔を埋める。
「…ッ!シンちゃん、凄く可愛いよ…。もっと声聞かせて…?顔も見せてごらん。…私の愛しい息子…。」
「…ゃ!」
グイと、シンタローを引き離すと、掴むもののなくなったシンタローは、マジックに両手を広げる。
何だか可哀相になってきて、やっぱり抱きしめてあげる。
シンタローには甘いなと、自分で自分を笑いながら。
でも、そんな自分もマジックは、気に入っていた。
ラストスパートに入り、シンタローの足を上に上げる為、シンタローの根元から指を外す。
シンタローの足はガクガク奮え、シーツをにぎりしめ快感だけを必死に追っていた。
「…と…さん…も…だ、ダメッッ!!」
ビュルビュルと、シンタローの雄から白い液体が飛び散り、シンタローの腹、胸、顔に至るまでを汚す。
マジックも数回腰を打ち付けた後、シンタローの中に精子をぶちまけた。
「サイッテー!!」
「だぁって!シンちゃんがパパを選んでくれたから嬉しかったんだもーん。」
「もーんじゃねーよ!可愛くねーんだよ!!」
腰が砕けて立てなくなったシンタローは、不本意ながらもマジックと隣に寝ている。
怒り顔のシンタローとは裏腹に、マジックは幸せ顔。
チッ!
舌打ちはせど、寝返りさえ打てないこの腰を怨む。が、そんな体にしたのはこの目の前にいるマジックだと気付き、腰を怨む必要はないと思った。
「パパねー。本当に自信がなかったんだ。お前がサービスを選ぶんじゃないかって思ってた。」
そんなわけねーだろ。俺の1番は、昔から父さんだけだ。肉体関係を持った今でも変わらない。
でも、このアーパー親父は、すーぐ調子に乗るから絶ッッ対そんな事言ってやんねーけどな。
「眠くなってきた。」
「ちょっと頑張り過ぎちゃったもんね…お休みシンタロー。」
優しい声と共に、シンタローは、目をつぶった。
お腹を規則正しくポンポンと叩いてくれるのが気持ち良くて、より一層眠気が舞い降りる。
「選んでくれて、ありがとう。」
薄れゆく意識の中、マジックがもう一度同じ言葉を呟いた。
バーカ。何度だって選ぶよ。やっぱり俺はアンタが好きだ。
心の中でマジックが聞いたら鼻血の海になりそうな言葉を呟き意識を離す。
しばらくすると、本当に寝入ってしまったらしく、規則正しい寝息が聞こえてくる。
しばらくして。
「シンちゃん寝ちゃった?」
しかし、熟睡しているらしく返事は来ない。
マジックはイソイソと自分のポケットの上着から、超小型カメラを掴む。
そして、シンタローの寝顔を録り始めた。
「エッチしてる時のシンちゃんも可愛いけど、寝てるシンちゃんも可愛いなぁ…。」
いつベストショットが撮れるかわからないので、何時も持ち歩いてるかいがあったと、アップで録り始める。
さっきの情事もバッチリデッキに納めたし…。
ふふ、シンタロー愛してるよ。宇宙の果てまでフォーリンラブ☆
マジックがキモい呪文を唱えた辺りから、シンタローの安らかな寝息は消えて、シンタローのうめき声がきこえたのだった。
おわり
あの、楽園のような島から帰って4年の月日が流れた。
あれだけ父、マジックと本音でぶつかったのも、自分の意思を貫き通したのもあの日が初めてで。
自分がマジックの本当の息子ではないと知り、ショックもそれなりに受けたし絶望もした。
シンタローは新総帥になり、真っ赤な軍服を身に纏い、激務をこなしている。
だが、ふと思う。
あの楽園パプワ島と、そこに居る小さな友達の事。
そして、無性に帰りたくなる。
なにもかも捨て去って、あの島へ戻りたくなる。
自分の選んだ道が間違いだとは思わない。思わないが、この感情は、どうすることもできないのだ。
自室の窓から月を眺める。
疲れきった体なのに、頭は無性に冴えていて。
「パプワ…」
一言呟きを漏らす。
ちゃんと飯は喰っているのか、きちんと寝ているのか、そして、自分が今見ている月をあの、楽園で見ているのか。
会いたい。
今会いに行ったら、アイツはどんな顔をするのだろう。
きっと、いつ会いに行っても、あいつは変わらず俺を俺として受け入れてくれるだろう。
これは自信ではなく確信。
ガタリとシンタローはおもむろに立ち上がり、硝子ごしの月へ歩み寄る。
手を伸ばせば掴めそうなのに、手は硝子に邪魔をされて、ひんやりとしたつるつるの感触だけが指先を支配した。
「シンちゃん!」
おもむろに後ろから自分を呼ぶ声がする。
振り向けば、父、マジックが悲痛な面持ちでシンタローを見据えていた。
「親父、いつの間に居たんだよ。」
泣きそうな笑い顔をして、父にそう話し掛ける。
マジックはツカツカと早足で歩いて、シンタローを抱きしめた。
「なんだよ。」
問い掛けても何も答えず、マジックはシンタローを抱きしめた。
痛い位に。
「どこにも行かないで。」
少し間が開いてから、訴えるような声。
「シンちゃんが又何処かに行ってしまいそうで、私は怖い。」
抱きしめられている為、顔を見る事は出来なかったが、声でわかる。
いつもは冷静で、余裕と威厳がたっぷりあって、動じない父親が震える声で訴えているのだ。
シンタローはどうしていいか解らず、気の利く台詞の一つや二つ何故出てこないのかと悔やんだ。
そう。
シンタローが此処から何故出ていけないか。
勿論それは、ガンマ団の新総帥となり、責任ある立場だからという事もある。
しかし、それは建前のようなもので、本当の理由は父親。
この父親を置いて自分だけ何処かに行く事はできない。
実の父でなく、今では肉体ですら青の一族とは真逆の赤の一族のものである。
そんな自分を息子だと言い、自分が築き上げたガンマ団の総帥というポストすら明け渡してくれた。
そんな父を置いて行けるだろうか。
「もう、何処にも行かねーから。安心しろ。」
親父、と付け足して背中を撫でてやる。
こうゆう時のマジックは、でかい子供。
「でも、パパは不安で不安でしょうがないんだ。朝起きたら又お前が居なくなっているんじゃないか、昼、抜け出して出ていくんじゃないか、夜、私が眠った後書き置きがあるんじゃないか…何時も不安でしょうがない。」
抱きしめていた力を緩め、代わりにシンタローの肩を両手で掴む。
痛くはないが、暖かい感触が、軍服から染み渡る。
「親父…俺、正直帰るかどうか迷った。正直な気持ちを言えば、今も迷ってる。でも、俺は親父達を選んだんだ。家族を選んだんだ。」
迷っている。そう聞かされた時、マジックの端正な顔が歪んだ。
何時もは馬鹿みたいにポジティブシンキングなのに、シンタローの事になると自信がないのかネガティブになる。
パパはここだよ、お前の居るべき場所は此処なんだよとシンタローに伝えないと不安なんだ。
そっと唇をシンタローに落とす。
シンタローは素直にそれを受け入れてくれたが、不安は取れない。
「シンタロー…お前が又居なくなったりしたら、私は狂ってしまうかもしれない。」
「随分怖い脅しだな。」
困ったようにマジックに笑いかける。
だが、マジックは思い詰めたように真剣で。
「心配しなくても何処にも行けねーよ。あの島は…パプワ島はもう無いし、パプワ達が何処に行ったかも解らない。」
そして又月を見る。
月明かりは眩し過ぎず二人を平等に照らしていて。
シンタローの心を独り占めしているのであろう赤の一族の少年が憎く思う半面羨ましかった。
「じゃあ、もし、パプワ島が見つかったらお前は私を置いて行ってしまうのかい?」
「さあな。そればっかりはなってみねーと解かんねーな。」
そう言ってマジックの今だ広い胸に顔を埋める。
すり、と擦り寄れば、マジックが優しい手つきでシンタローの黒髪を撫でてくれる。
鼻孔をくすぐるお互いの匂いにしばし酔いしれて。
撫でる手つきが止まり、どうしたのだろうとシンタローは自分の頭上にあるであろうマジックの顔を見る。
「シンタロー、今だけは…今だけでいい。ずっとなんて贅沢は言わない。パプワ島が見つかるまで、お前がパプワ島に行ってしまうまで、パパに独り占めさせて。」
切ない顔でそう言われ、シンタローは背の高い父親の頭を撫でた。
まるで小さい子供をあやすかのように。
「親父、勘違いすんなヨ。もし、パプワ島に俺が行ってしまっても、必ず俺は此処に戻ってくる。だから。」
そんな悲しそうな顔をしないで。
そう続けたかった言葉は口から出ては来なかった。
あまりにも酷い状況の人に面きって“酷いですね。”と言えないように、今のマジックも相当悲しそうな顔をしていたから。
「だから、何?シンちゃん?」
「チッ!何でもねーよ。」
ばつが悪そうに下を向く。
「シンちゃん。パパ、少しだけ元気になったよ、ありがとう。」
ちゅ、と、シンタローの額に唇を落とせば、シンタローは少しくすぐったそうな顔をした。
そして、瞼、頬、唇の順にキスを降らせてゆく。
舌をシンタローの咥内に侵入させれば、シンタローは黙って唇を少し開いた。
「ん、んむ、」
上手く舌を絡ませる事が出来ないシンタローは苦しそう。
でも、そんなシンタローもそそるな、なんて不謹慎にもほどがあるのだが、マジックはそう考えていた。
苦しさを訴えるシンタローを、そっと、まるで硝子細工を置くかのように、優しくベッドへと倒す。
ギシリ、とスプリングの聞いたベッドが重みを示す音を出した。
マジックがシンタローの中心部分を触れば、ソコは既に立ち上がっていて。
ボタンを外して直に触れる。
「ゃ!だ!やめ…!」
とりあえず講義の声を出すが、先ほどの寂しそうなマジックの顔が脳裏をちらつく。
チラ、とマジックを見ると、やはり寂しそうで。
シンタローは口を閉ざした。
「シンちゃん、シンちゃん、」
まるで壊れた人形のようにシンタローの名前を繰り返し、繰り返、呼ぶ。
「も、ダメぇ!!」
一際高い声で、まるで叫び声にも似た声を喉から搾り出す。
びゅる、びゅる、と、シンタローの白い精子がマジックの指を濡らした。
ハァハァと、肩で息をするシンタロー。
マジックをみやると、自分の出した精液をぺろりと嘗めていた。
カァッと顔が熱くなるのを感じる。
「我慢…出来なかったの?シンちゃん。」
にこりと笑ってシンタローを見る。
マジックも限界に近かったが、彼はそんなそぶりは絶対見せない。
それは、少しでもシンタローに良く思われたいから。
少しでもカッコヨクありたいから。
マジックの深層心理の働きでは、いつまでも勝てない親でありたいという願いが含まれている。
勿論、それは気付いているわけではないのだが。
「ああ!と…ぉさぁんっ…!!」
「――…っ!」
シンタローの余りのなまめかしさと、久しぶりの“父”と呼ばれる喜びにマジックは自分でも驚く位欲情した。
思いきり精液が飛び出し、シンタローは自らの顔と腹を汚した。
それと同時にキュゥウッ!と締まり、収縮するソコに釣られ、マジックも又、シンタローの中に自分の精液を注入したのである。
ふ、と、シンタローのしがみついていた腕が解かれた。
必死に意識を繋いでいた緊張と快感が無くなり意識を失ったのであろう。
目尻には泣いていたと肯定させる涙の跡がうっすらと線を帯びている。
マジックはその涙の跡を舌で掬う。
「ゴメンネ、シンちゃん。」
そう言ってマジックはシンタローを抱きしめた。
もう何処にも行かないように、行かせないように強く、強く抱きしめる。
耳元でシンタローの安らかな寝息だけがマジックの心を心地良くさせた。
「あーーーっ!!」
シンタローの自室で巨大な声が響き渡る。
「どうしたの、シンちゃん。」
もぞもぞと、枯れた声で目を擦りながら上半身を起こすマジック。
そこでマジックの見たものは、わなわなと怒りのオーラを出して震えている、愛息子のシンタロー。
「この、クソ親父!!コレどーすんだよっっ!!」
ズビシ!と、指された場所には、赤い跡。
「これじゃ、総帥服着れねーじゃねーか!!」
確かにあんな胸の開いている服なんて着たら、自分は昨日情事をかましましたと言って歩いている事に外ならない。
「どーすんだヨ!!」
問い詰めるがどこ吹く風で、マジックはシンタローを見つめる。
「いーじゃない。シンちゃんは、パパのだって皆に解って。シンちゃんも、昨日の夜、パパの所に最後は来てくれるって言ってくれたじゃない。」
「それとこれとは話しが違がうだろ!」
アーパー親父ぃぃぃ!!!
ドゴーン!!
朝から親子喧嘩で眼魔砲をぶっ放し、部屋を壊し人様に迷惑をかけ、スタートする。
感傷に浸る暇なんてない位に。
でも、シンタローは解っていた。
マジックが自分から離れさせない為に、こうやって刺激を与えたり、怒らせたり、甘えたりする事。
「チッ!んな事しなくたって何処にも行かねーよ、バーカ。」
「え?何?シンちゃん。」
「何でもねーよ!ってかコレどーすんだよ!!」
パプワ島に居た時も、パプワと暮らした日々も、シンタローの中でとっても充実していた。
それと同じくらい、この家族の中で自分も充実しているんだと思う。
この、もうデカイ子供に振り回されるのは釈だが、今、俺は幸せなんだと思える。
「シンちゃーん!もう一回昨晩の続きしよーよー!ね?」
「ふざけんな!埋もれろ!」
終わり
あれだけ父、マジックと本音でぶつかったのも、自分の意思を貫き通したのもあの日が初めてで。
自分がマジックの本当の息子ではないと知り、ショックもそれなりに受けたし絶望もした。
シンタローは新総帥になり、真っ赤な軍服を身に纏い、激務をこなしている。
だが、ふと思う。
あの楽園パプワ島と、そこに居る小さな友達の事。
そして、無性に帰りたくなる。
なにもかも捨て去って、あの島へ戻りたくなる。
自分の選んだ道が間違いだとは思わない。思わないが、この感情は、どうすることもできないのだ。
自室の窓から月を眺める。
疲れきった体なのに、頭は無性に冴えていて。
「パプワ…」
一言呟きを漏らす。
ちゃんと飯は喰っているのか、きちんと寝ているのか、そして、自分が今見ている月をあの、楽園で見ているのか。
会いたい。
今会いに行ったら、アイツはどんな顔をするのだろう。
きっと、いつ会いに行っても、あいつは変わらず俺を俺として受け入れてくれるだろう。
これは自信ではなく確信。
ガタリとシンタローはおもむろに立ち上がり、硝子ごしの月へ歩み寄る。
手を伸ばせば掴めそうなのに、手は硝子に邪魔をされて、ひんやりとしたつるつるの感触だけが指先を支配した。
「シンちゃん!」
おもむろに後ろから自分を呼ぶ声がする。
振り向けば、父、マジックが悲痛な面持ちでシンタローを見据えていた。
「親父、いつの間に居たんだよ。」
泣きそうな笑い顔をして、父にそう話し掛ける。
マジックはツカツカと早足で歩いて、シンタローを抱きしめた。
「なんだよ。」
問い掛けても何も答えず、マジックはシンタローを抱きしめた。
痛い位に。
「どこにも行かないで。」
少し間が開いてから、訴えるような声。
「シンちゃんが又何処かに行ってしまいそうで、私は怖い。」
抱きしめられている為、顔を見る事は出来なかったが、声でわかる。
いつもは冷静で、余裕と威厳がたっぷりあって、動じない父親が震える声で訴えているのだ。
シンタローはどうしていいか解らず、気の利く台詞の一つや二つ何故出てこないのかと悔やんだ。
そう。
シンタローが此処から何故出ていけないか。
勿論それは、ガンマ団の新総帥となり、責任ある立場だからという事もある。
しかし、それは建前のようなもので、本当の理由は父親。
この父親を置いて自分だけ何処かに行く事はできない。
実の父でなく、今では肉体ですら青の一族とは真逆の赤の一族のものである。
そんな自分を息子だと言い、自分が築き上げたガンマ団の総帥というポストすら明け渡してくれた。
そんな父を置いて行けるだろうか。
「もう、何処にも行かねーから。安心しろ。」
親父、と付け足して背中を撫でてやる。
こうゆう時のマジックは、でかい子供。
「でも、パパは不安で不安でしょうがないんだ。朝起きたら又お前が居なくなっているんじゃないか、昼、抜け出して出ていくんじゃないか、夜、私が眠った後書き置きがあるんじゃないか…何時も不安でしょうがない。」
抱きしめていた力を緩め、代わりにシンタローの肩を両手で掴む。
痛くはないが、暖かい感触が、軍服から染み渡る。
「親父…俺、正直帰るかどうか迷った。正直な気持ちを言えば、今も迷ってる。でも、俺は親父達を選んだんだ。家族を選んだんだ。」
迷っている。そう聞かされた時、マジックの端正な顔が歪んだ。
何時もは馬鹿みたいにポジティブシンキングなのに、シンタローの事になると自信がないのかネガティブになる。
パパはここだよ、お前の居るべき場所は此処なんだよとシンタローに伝えないと不安なんだ。
そっと唇をシンタローに落とす。
シンタローは素直にそれを受け入れてくれたが、不安は取れない。
「シンタロー…お前が又居なくなったりしたら、私は狂ってしまうかもしれない。」
「随分怖い脅しだな。」
困ったようにマジックに笑いかける。
だが、マジックは思い詰めたように真剣で。
「心配しなくても何処にも行けねーよ。あの島は…パプワ島はもう無いし、パプワ達が何処に行ったかも解らない。」
そして又月を見る。
月明かりは眩し過ぎず二人を平等に照らしていて。
シンタローの心を独り占めしているのであろう赤の一族の少年が憎く思う半面羨ましかった。
「じゃあ、もし、パプワ島が見つかったらお前は私を置いて行ってしまうのかい?」
「さあな。そればっかりはなってみねーと解かんねーな。」
そう言ってマジックの今だ広い胸に顔を埋める。
すり、と擦り寄れば、マジックが優しい手つきでシンタローの黒髪を撫でてくれる。
鼻孔をくすぐるお互いの匂いにしばし酔いしれて。
撫でる手つきが止まり、どうしたのだろうとシンタローは自分の頭上にあるであろうマジックの顔を見る。
「シンタロー、今だけは…今だけでいい。ずっとなんて贅沢は言わない。パプワ島が見つかるまで、お前がパプワ島に行ってしまうまで、パパに独り占めさせて。」
切ない顔でそう言われ、シンタローは背の高い父親の頭を撫でた。
まるで小さい子供をあやすかのように。
「親父、勘違いすんなヨ。もし、パプワ島に俺が行ってしまっても、必ず俺は此処に戻ってくる。だから。」
そんな悲しそうな顔をしないで。
そう続けたかった言葉は口から出ては来なかった。
あまりにも酷い状況の人に面きって“酷いですね。”と言えないように、今のマジックも相当悲しそうな顔をしていたから。
「だから、何?シンちゃん?」
「チッ!何でもねーよ。」
ばつが悪そうに下を向く。
「シンちゃん。パパ、少しだけ元気になったよ、ありがとう。」
ちゅ、と、シンタローの額に唇を落とせば、シンタローは少しくすぐったそうな顔をした。
そして、瞼、頬、唇の順にキスを降らせてゆく。
舌をシンタローの咥内に侵入させれば、シンタローは黙って唇を少し開いた。
「ん、んむ、」
上手く舌を絡ませる事が出来ないシンタローは苦しそう。
でも、そんなシンタローもそそるな、なんて不謹慎にもほどがあるのだが、マジックはそう考えていた。
苦しさを訴えるシンタローを、そっと、まるで硝子細工を置くかのように、優しくベッドへと倒す。
ギシリ、とスプリングの聞いたベッドが重みを示す音を出した。
マジックがシンタローの中心部分を触れば、ソコは既に立ち上がっていて。
ボタンを外して直に触れる。
「ゃ!だ!やめ…!」
とりあえず講義の声を出すが、先ほどの寂しそうなマジックの顔が脳裏をちらつく。
チラ、とマジックを見ると、やはり寂しそうで。
シンタローは口を閉ざした。
「シンちゃん、シンちゃん、」
まるで壊れた人形のようにシンタローの名前を繰り返し、繰り返、呼ぶ。
「も、ダメぇ!!」
一際高い声で、まるで叫び声にも似た声を喉から搾り出す。
びゅる、びゅる、と、シンタローの白い精子がマジックの指を濡らした。
ハァハァと、肩で息をするシンタロー。
マジックをみやると、自分の出した精液をぺろりと嘗めていた。
カァッと顔が熱くなるのを感じる。
「我慢…出来なかったの?シンちゃん。」
にこりと笑ってシンタローを見る。
マジックも限界に近かったが、彼はそんなそぶりは絶対見せない。
それは、少しでもシンタローに良く思われたいから。
少しでもカッコヨクありたいから。
マジックの深層心理の働きでは、いつまでも勝てない親でありたいという願いが含まれている。
勿論、それは気付いているわけではないのだが。
「ああ!と…ぉさぁんっ…!!」
「――…っ!」
シンタローの余りのなまめかしさと、久しぶりの“父”と呼ばれる喜びにマジックは自分でも驚く位欲情した。
思いきり精液が飛び出し、シンタローは自らの顔と腹を汚した。
それと同時にキュゥウッ!と締まり、収縮するソコに釣られ、マジックも又、シンタローの中に自分の精液を注入したのである。
ふ、と、シンタローのしがみついていた腕が解かれた。
必死に意識を繋いでいた緊張と快感が無くなり意識を失ったのであろう。
目尻には泣いていたと肯定させる涙の跡がうっすらと線を帯びている。
マジックはその涙の跡を舌で掬う。
「ゴメンネ、シンちゃん。」
そう言ってマジックはシンタローを抱きしめた。
もう何処にも行かないように、行かせないように強く、強く抱きしめる。
耳元でシンタローの安らかな寝息だけがマジックの心を心地良くさせた。
「あーーーっ!!」
シンタローの自室で巨大な声が響き渡る。
「どうしたの、シンちゃん。」
もぞもぞと、枯れた声で目を擦りながら上半身を起こすマジック。
そこでマジックの見たものは、わなわなと怒りのオーラを出して震えている、愛息子のシンタロー。
「この、クソ親父!!コレどーすんだよっっ!!」
ズビシ!と、指された場所には、赤い跡。
「これじゃ、総帥服着れねーじゃねーか!!」
確かにあんな胸の開いている服なんて着たら、自分は昨日情事をかましましたと言って歩いている事に外ならない。
「どーすんだヨ!!」
問い詰めるがどこ吹く風で、マジックはシンタローを見つめる。
「いーじゃない。シンちゃんは、パパのだって皆に解って。シンちゃんも、昨日の夜、パパの所に最後は来てくれるって言ってくれたじゃない。」
「それとこれとは話しが違がうだろ!」
アーパー親父ぃぃぃ!!!
ドゴーン!!
朝から親子喧嘩で眼魔砲をぶっ放し、部屋を壊し人様に迷惑をかけ、スタートする。
感傷に浸る暇なんてない位に。
でも、シンタローは解っていた。
マジックが自分から離れさせない為に、こうやって刺激を与えたり、怒らせたり、甘えたりする事。
「チッ!んな事しなくたって何処にも行かねーよ、バーカ。」
「え?何?シンちゃん。」
「何でもねーよ!ってかコレどーすんだよ!!」
パプワ島に居た時も、パプワと暮らした日々も、シンタローの中でとっても充実していた。
それと同じくらい、この家族の中で自分も充実しているんだと思う。
この、もうデカイ子供に振り回されるのは釈だが、今、俺は幸せなんだと思える。
「シンちゃーん!もう一回昨晩の続きしよーよー!ね?」
「ふざけんな!埋もれろ!」
終わり
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ニャンコでゴメン
また、俺さまピンチです。
朝起きたら頭の上に耳が生えていた。普通の耳じゃない。
ちゃんと耳はある…。耳の上…頭のてっぺんと耳の間にそれがある。
それだけでなく、下半身に違和感があるなと思うと尻尾も、もれなく生えている。
寝ぼけてるのかと寝直した。が、起きてもやはり。
あいかわらず、生えている…ι
「この耳と尻尾ってまるで…」
そう、何故かシンタローの頭には、まるで猫のような耳と尻尾が生えている。
ベットの上で、恐る恐る手を上にもっていけば、やわらかい三角の耳がついている。
「いて…っ!!」
試しに引っ張ってみたが、痛みが走る。本当に生えたみたいだ…。恐ろしくも現実である。
「ってぇー…と、取れない…ッ!!」
手で黒い尻尾も引っ張ったが、外れることはなかった。
一体自分に何が起こってしまったのか、シンタローが混乱するばかりである。が、二度寝したおかげで出社時間が過ぎている。遅刻である。
猫に恨まれるようなことなどしていないはずだ。たとえ恨まれていたとしても、耳と尻尾が生えるものなのか?
変な薬を飲んだ覚えもない。
「…薬………!!」
薬を飲んだ覚えはないが、そんな馬鹿げた薬を作れるようなやつには覚えがある!!
「ドクター…か…?」
いや、ドクターにそんなことする理由は……ある!!親父だ!!
親父がドクターに作らせて、それを何らかの形でシンタローが飲み、猫のようになった。
それをドクターに詰め寄れば、実験成功とばかりに親父が飛んでくるハズだ。
「ドクターはダメだ、ダメだッ!!!」
ベットの上で、ぶるぶると顔を左右にふると寒気に身体を振るわせた。
もし、親父にこの姿が見つかったらと思うと…想像が容易い。
ドクターに劣らずに、頭が切れて作れそうなやつは…。
「あ!! いるじゃん」
シンタローの脳裏に頭が切れて、作れそうな人物が浮かんだ。それに親父の頼みを聞くような奴じゃない。やつならなんとかしてくれるかもしれない。
思いたては行動あるのみ、
ティラミスとチョコレートロマンスには、遅れる。もしくは場合によっては休みと告げる。
目立つ赤い総帥服は避けて、もしもの時の為に用意した一般用の隊員用の軍服に袖を通す。セットで帽子がついてるので、耳を隠すことが出来る。
「よし、これなら…バレねぇだろ。 早くしねぇとな」
そう早くしなければいけない理由がある。ティラミスからシンタローが休みだと聞きつければ、間違いなく飛んでくる男がいる。
ましてや、今回のコレがその男の仕業だとするならば、自分から問い詰めに行くのも危険すぎる。飛んで火にいる…ってやつだ。
鏡の前で入念なチェックをして、耳も尻尾も出ないことを確認するとその人物へと急いだ。
やけに威圧感のあるオーラーをまとった平隊員は、多少の人目を浴びつつ正体がばれることなく、とある研究施設にたどりついた。
「おい、入るぞ」
軽くノックをすると返事を聞かずにドアを開ける。後ろ手にドアを閉めると、キョロキョロと室内に目を配らせる。
「シンタローか…どうした?その格好…総帥クビになったのか?」
「クビになるわけねぇだろ。相変わらず、つまんねぇこと言ってんなよ、キンタロー」
そう、シンタローが向かった先は、キンタローの研究部屋。
キンタローならば、どうにかしてくれるかもしれないと思い、訪れたというわけだ。
「で、どうした? 今日は体調が悪いんじゃなかったのか?二人が血相かいてたぞ」
「ティラミスが血相かくかよ。 お前に頼みがあるんだよ」
「…頼み?お前が、このオレに?」
「実は…………」
そういって帽子を脱ぐと、さしものキンタローもぎょっとして、その部分に釘付けになる。
「…………面白い趣味だな」
「…っっつ!! これが趣味にみえるか!!」
バンっと机を手で叩くと、置いてあったビーカーやフラスコが倒れる。そしてシンタローの怒りを表すかのように、ネコ耳もピンと立ち上がっている。
「冗談だ。 そう怒ると本当に、毛を逆立てたネコみたいだぞ」
「うるせぇ…ネコみたいじゃなくて、ネコなんだよ!!」
「まぁまぁ、いいから座れ。 最初からどうしてこうなったのか、分かる限りでいいから話せ」
一時は、驚きを示したキンタローも、すぐに冷静を取り戻すといつものように淡々と話だした。
そんなキンタローの様子に、シンタローは小さく舌うちをすると、渋々キンタローの向かい合わせになるようにイスに腰をおろし、朝からの顛末を語りだした。
「実に興味深いな」
用意したコーヒーを口に運びながら、話しを聴き終えて関心したように、キンタローが呟くと、
「興味深いで、片付けるな」
机に頬杖をついて、ぶすっとガラスに移る自身の姿を眺めていたシンタローがつっこむ。
「で、それをオレに治せっていうのか?」
「そうだ。お前なら、なんかわかんだろ」
「ま、オレに分からないことはない。このオレにかかれば…いいか、このオレに…」
「ごたくはいいから、早くしろ」
「せっかちな奴だな。 まあ、いいだろう」
そう言ってキンタローは席をたつと、戸棚からなにか箱のようなものを取り出してきた。
「なんだそれ?」
「メスだ。これでお前の耳を切るんだよ」
「は…!?」
訳が分からず、これか?とネコ耳をひっぱった。
「そうだ…。調べて分かるようなものだとも、思えないからな。てっとり早くその耳を切れば済む話だ。それに切り取った耳を調べて原因を突き止めてやろう」
淡々と告げながら、机を回り近づいてくるキンタローに、シンタローはゾゾっと身が凍るような思いがした。
「動物虐待だ!! ちょっと引っ張っただけでも、すッげー痛かったんだぞ」
机を回り近づいてくるキンタローを避けるように、キンタローが間合いを詰めるだけシンタローも机を回り、キンタローとの距離を広げる。
「動物じゃないだろ。それに、お前なら多少のことしても死なんだろう」
そういう問題!!?
白衣を身にまとい、メスを弄びながら、笑みを浮かべて近づいてくるキンタローは、顔が整っているだけに迫力がある。
迫りくる身の危険、動物の感なのか、ガタガタと騒々しい音を立て、棚にある物を床に落としながらドアへと向かった。
「いい!!遠慮する!!…自力でなんとかするからッ!!」
ドアに手をかけそれだけいうと、乱暴にドアを閉めると慌しくキンタローの部屋から飛び出した。
だめだ!!あいつは変態だ!!やっぱり変態だぁぁぁ!!
しっかり帽子で耳を隠しながら、研究施設を駆け抜けながら、
「仕方がない!! 次はあいつのところだっ」
行きたくはないが、一応科学者の端くれだ、もしかしたら…万が一、千に一の確立だが行くしかない。
次にシンタローが向かったのは、
「おい、バカ!!」
乱暴にドアをあけると、PCに向かっている、バカ…もとい紙一重バカ…もとい!グンマの肩を掴んだ。
「シンちゃんじゃない。 こんなところまで来るなんて、珍しいね~」
あくまでマイペース、シンタローが総帥服でないことも気にならないのか、久しぶり~。などと挨拶を投げかける始末…。
やっぱ…バカだ。
こんな能天気なお子様ランチに一体何ができようが…。
「あ、あ~…。なんだ……。なんでもない」
ぽりぽりと頭を掻くと、グンマに背をむけた。
「何?何か用事があるんでしょ?」
イスから立ち上がると、背向けるシンタローの腕を両手で掴んで、引き止めた。
「なんでもね~…。気にすんな」
「気にすんなって…気になるよ~。何か心配事?そうなんでしょ?ね、ね~」
黙りこくるシンタローに、しつこく言い募ると掴んだ腕で、大きくシンタローを揺さぶった。
「何でもね~…っあ!!」
「あっ!!!???」
大きく揺さぶられ、苛立ちからネコ耳も立ち上がり、その反動で帽子が床へと転がった。
「……………」
「……………」
お互い無言で見つめあるが、すぐにグンマの視線はシンタローのネコ耳へと注がれる。
今度はシンタローが黙りこくるグンマに耐え切れずに、口を開こうとしたが、
「かわいいぃぃ!!!!」
グンマの歓声がシンタローの鼓膜を大きく揺さぶった。まさに耳を劈くような声に、頭の中で声が鳴り響く、そしてネコ耳といえば…驚きにペタンと伏せてしまっている。
だが、
「かわいい?」
予想にしないグンマの答えにシンタローは、聞き返したが、もっと予想しない答えが返ってくることとなった。
「シンちゃん、かわいい~!!かわいい!! その耳どうしたの?作ったの?よくできてるね~!! ね、触っていいでしょ」
そう言って、シンタローを引っ張り無理矢理同じぐらいの身長にすると、シンタローのネコ耳を興味深そうに、触ったり撫でたりしてはしゃいでいる。
「すごい!!まるで本物みたいな手触りだよ~。すごい!!どうやったの?」
キラキラと瞳を輝かせながら自分を見るグンマに、自分じゃなくてグンマに耳ができていたなら、悩むことなんて無いんだろうな。などと感じて、
、ある種の尊敬のようなものが沸いていた。
「ここに来たのって、まさかその耳が原因?」
「……………」
無言でいるシンタローを肯定をとって、一度深く頷くとポンっとシンタローの肩に手をおいた。
「ボクに任せて!!ボクが治してあげる」
「え………お前が?」
グンマのまさかの発言に、間の抜けたような声がこぼれた。
「大丈夫!!昔、高松が似たようなことしてたから、薬があるはずだよ」
胸を張って、どうどうと応えるグンマの後ろに、後光がさしているような気さえしてくる。
「探して、もっていくから、シンちゃんは部屋で休んでてよ。もしその姿がバレでもしたら、大変ができちゃうよ」
落ちた帽子を、シンタローの頭にかぶせて、ドアの前まで押し出した。
「いいのか?」
信じられずにシンタローが、グンマをみるとグンマは力強く頷き、シンタローを部屋の外へ押し出す。
グンマはシンタローを部屋の外へ追い出すと、よしっと気合をいれて薬品の置いてある戸棚へと向かった。
「さて、どこにやったんだっけ?確か……」
すぐに薬を見つけるとことができた。それを袋につめると、あることを思い出した。
「あっ!!いけね、ボクこの後会議だったんだ!! キンちゃんも一緒に会議だし…誰かに頼まないと…」
やっぱりグンマはグンマなわけで…。それでも、なんとかしないといけないという事は分かるらしく、腕を組んで唸っていたが、
誰か信頼できる人物が思い浮かんだのか、ポンっと手を打った。
「適任がいるじゃないvv さ、頼みにいこう!!」
そそくさと、袋を抱えるとその人物のいる部屋へと向かっていった。
一方、シンタローといえは…。
「グンマもたまには!!役にたつもんだぜ」
帽子をとり、征服の襟元を緩めてソファーに倒れこんだ。
やっぱ、バカと天才は紙一重って本当だったんだな。などと事件解決!!とばかりに、煎れたてのコーヒーに口をつけながらゆったりと目を閉じた。
が、その安らぎはすぐに壊されることとなる。
「シンちゃん!!大丈夫かい?パパがきたからもう大丈夫だよ」
ドアが開いたかとおもうと、騒々しい足音とともに、よく知った声がするではないか。
「……………っ!!!??? あちっ!!」
ソファーから身を起こすと、慌てて起きたためにカップのコーヒーがズボンにこぼれた。
思わず出た声を手で塞ぐと、退路を探す。といっても、広いといっても所詮は部屋だ。
入り口から入ってきたマジックとかち合わずに、この部屋から出る手段はない。
キョロキョロと見回しても、逃げ道などあるはずもなく、マジックの自分を呼ぶ声がだんだんと近づいてくる。
くそっと舌をうつと、部屋の奥まった場所にある寝室に逃げ込んだ。
そしてベットに横になると、布団を頭からすっぽりと被る。
ドクンドクンと、逸る心臓の音が耳に大きく響く。そして、頭に浮かぶのはグンマのことだ。
『あのばか!!やっっっぱ、ばか!! くそバカグンマ!!』
親父に頼みやがった。よりにもよって、なんで親父なんだ!!
ばか野郎~!!・・・などと毛布の中で、悪態をついてもマジックの声はだんだんと近づいてくる。
「シンちゃん~? いないのかな~?」
『いない、いないぞ。とっとと薬だけ置いて帰れっ』
と胸の中で愚痴っても、マジックが帰るはずがない。そして、
「み~っけたvv シンちゃんパパだよ~」
寝室に足を踏み入れて、マジックが近づいてくる。シンタローはぎゅうっと毛布を握る指に力をこめた。
「シンちゃん?寝てるのかな」
ベットの縁に腰をかけると、そっと布団のふくらみの上に手をおく。
その感触にシンタローの身体がビクリと反応を返した。そんなシンタローの仕草に、にやーっと満面の笑みを浮かべると、しらじらしくも
「毛布から顔が出ないほど、具合が悪いのかい?」
とシンタローの頭あると思われる部分を布団の上から撫で付ける。
そんなマジックに焦れたようにシンタローは口をひらいた。が、
「具合が悪いんだよ。だから薬だけ…」
薬だけ置いて帰れといおうとして、マジックの言葉に遮られた。
「本当に?」
知っていることを隠しながらも、確信を感じされるものの言い方に、たじろくがココはどうにかしてマジックを欺かなくてはいけない。
布団の端をしかと掴むと、意を決した。
「本当だ・・・」
これ以上聞くんじゃねぇぞ!!と言葉に棘をしこんでも、
「じゃあ、顔色がどうなってるか見せてくれないかな?」
と返してくる。それに対してシンタローが、
「嫌だ」
と応えれば
「なぜ?パパはシンちゃんに熱がないかどうか、額に手をおいて確かめたいだけだよ」
と相手も負けてはいないが、シンタローも譲るわけにはいかない。更に
「熱はない。だから、ほっといてくれ。あっちにいけ!!」
と言葉を返す。二人の押し問答も、マジックの次の行動で均衡が崩れることとなる。
「せめて、可愛い顔だけみせてね」
「あ“……っ」
後頭部の布団を掴むと、無理矢理引っ張った。引きずられうような形で、シンタローは布団を握ったまま顔だけが毛布から出てしまった。
それにより、うつ伏せの体勢をとっていたため、顔よりも頭のぴこんと主張するネコ耳がマジックとご対面することとなった。
「シンちゃん…これどうしたの?」
恐る恐るといった感じで、マジックがシンタローの黒いネコ耳を撫でるつけると、くすぐったいのか耳がパタパタとマジックの指を押し返す。
「これは…その、その…新しいセンサーだ。うん、そう!!これつけるとよく、聞こえるんだ!!」
「そう…よく聞こえるためにね~」
もう一度、優しくネコ耳…シンタロー的に言えば、最新式のセンサーだそうだが。それを撫でつけると、やはりくすぐったいのか今度は耳とシンタローが反応をしめした。
「じゃあ…もっとよく見せてくれてもいいよね」
布団の中のシンタローの両脇に手を差込むと、自分の方向へと引き上げた。そして自分の顔の前にネコ耳がくるようにして、後ろにまわした手に力をこめた。
「あっ…ぅ…ん」
ハムっと耳の先端を甘噛みされ、シンタローの口から甘い吐息がこぼれた。
「そんなとこ…噛むなよっ……あっ…?」
シンタローの耳に軽く歯をたてては、引っ張ったりとマジックがじゃれつくと、シンタローがくすぐったさに身を竦めた。
そして、神経をそっちにやっている瞬間を見逃さずに、マジックは手に隠し持っていた鈴のついた真っ赤なリボンの首輪を素早くシンタローの首につけた。
シンタローが首への違和感に気付いた時にはもう遅く、チリンっと鈴の音色が寝室に響いた。
「な、なんだよ、コレ!!」
マジックの身体を押し返すと、両手の指を首輪と首の中にいれて引っ張った。が、
生地はただの布なのにいっこうに緩まない。イライラと力いっぱい引っ張っていると、笑いを噛み殺すような声がふってきた。
「そうして嫌がっている姿は…本当にニャンコちゃんみたいだね。 最初はみんなそうやって、首輪を嫌がるんだよ」
「誰がネコだってっっ!!誰だって嫌に決まってる」
まだ諦めがつかないのか、首輪を外そうと躍起になりながらも、マジックの言葉にシンタローは厳しく睨みつけた。
怒りに耳が立ち上がり、切れ上がった漆黒の瞳がキラキラと強気に濡れて、マジックの顔を映し出している。
そんなシンタローの姿にマジックは溜飲を下げると、無理矢理腕の中に抱きしめた。
「離せよっ!!」
暴れるたびに、首の鈴がチリンチリンと音を奏でた。
そんなシンタローの背中に置いた手の右手だけを、そのまま下にズボンの中に滑り込ませると、お目当てのものを掴む。
すると、その刺激にシンタローの身体が硬直する。
「うっ!! ぁっ……っっ」
そろそろと、ズボンの中から黒いしなやかな尻尾を取り出すと、ズボンの中では窮屈だったのか伸びでもするように、意思をもって尻尾が揺れている。
そんな尻尾の先を弄びながら、マジックはシンタローのネコ耳を軽く噛むと問いかけた。
「尻尾がある。やっぱりニャンコちゃんだね。ネコ耳型のセンサーと尻尾では、誰が見てもネコに見えるけど…?これ、尻尾じゃないのかな」
敏感なネコ耳を口に含まれながら話されると、時おり歯があたり…震え上がりそうな快感に肩をが震えてしまう。
それでもどうにかして耐えようと、マジックの白いスーツの肩口をぎゅっと掴むと、顔を埋めて歯を食いしばった。
「ねぇ…コレはなんなの?」
「あっ…噛む、な・・・それは……」
「それは?」
シンタローの答えを急かすように、尻尾の根元を掴むとツーッっと先に向かって指を走らせた。
「んっぁ!!」
ビクリと背を仰け反らせて、足元から駆け上がっていくような快感に震えあがった。
「尻尾も感じちゃう?どこもかしこも感じちゃって…。淫乱なニャンコちゃんだね、シンちゃんは」
執拗に尻尾をまるでペニスでも扱うかのように、上下に抜き差しを繰り返すと我慢できないのか、モジモジとシンタローの下半身が揺れ始めた。
「なんで? あ、あっんっ」
意志とは反して素直すぎる体に、思考がついてきけない。それでも、ソコを擦りあげられると正常に考えることが出来ないほど、快感に頭の中が朦朧としてくる。
快感に身をゆだねようとしている、シンタローの喉から顎先をネコにするかのように、尻尾を扱っていない指の腹で撫で上げると、シンタローの濡れた睫毛が気持ちがよさそうに揺れた。
「どうやら、完全にまわったようだね」
何度も指先の往復を繰り返しながら、抵抗の止んだシンタローの姿にマジックは笑みを浮かべた。
「っは……っ、なにを、っ…した?」
なんとか聞き取れたマジックの言葉に、息をつくのもやっとな程に切ないと息を漏らすと、顔を傾けて情欲に潤んだ瞳をマジックへむけた。
「知りたい?」
手の中にある尻尾を弄びながら、ずるずるとマジックにもたれかかるようにして倒れると、胡坐をかいているようなマジックの膝に膝枕をされるような形でシンタローはマジックにしがみついた。
そんな、切ない呼吸を繰り返す、シンタローの髪を優しく撫でながら、
「その鈴だよ。ネコにまたたびってね。こんなに聞くとはおもわなかったけど」
特殊な成分を鈴の中に含ませてあるからっと言葉を続けると、首の鈴を指で弾いた。
小気味のいい鈴の音が響く。
「腰をあげて…。もっと気持ちいいことしてあげる。 薬もほしいだろう」
その言葉に、快感に閉じかけられていた瞳がなんとか半分ほど開かれると、やっぱり!!という確信を秘めた眼でマジックを見つめる。
「素直に、パパのところに来たらすぐに薬あげたのに…残念。そんな可愛い姿をグンちゃん達に見せたと思うと虐めたくなっちゃった」
『そんなの、嘘だろ。最初からこうするつもりだったくせに…』と疑惑を目線で訴えると、マジックは軽く肩を竦めて「どうかな」っと答えた。
「ま、今日はいつもと変わったことしようか。たまには動物的に体をあわせるのもいい」
そういって、シンタローの双丘のあたりにズボンの上から手を置くと、嘗め回すように撫で上げた。
「んん、……っ」
ただ撫でられているだけどいうのに、反射的にシンタローの腰が浮け上がる。それを、両手で固定すると素早く下着ごとズボンを足から引き抜いた。
そして脱がせたものを床へと放り投げる。
「さあ…どうやって可愛がろうか」
下半身をむき出しにされ、上半身は軍服を着ているとなんとも、奇妙な格好のシンタローを見やり…手に持った薬の瓶を揺らしながら、これからのことを考えてかマジックの瞳に怪しい光が灯っていた。
* * * * *
『自分で広げなさい…ほら、しっかり広げないと、薬が零れてしまうよ。ずっとネコのままではいたくないだろう?』
そう言って、クッションの上に肩をつかせて両手で自分の秘部を広げるように促すと、シーツと軍服が擦れるような音をたたせながらゆっくりと、手を後ろにまわす。
『ひゃっ…、あぁ!!』
自分で広げさせられた中に、冷たい液体が徐々に入り込んでくる感覚に背を仰け反らせた。乱れた髪がぴったりと首筋に絡みつき、扇情的な姿を現している。
『中で出されるの好きだろう…』
心底、楽しそうに笑う声が頭の中でこだまする。涙で真っ赤にはらした眼をぎゅっとつむると、枕に額を擦りつけた。
『そうだ、この尻尾で慣らしてあげようか』
そういうと、ローションでたっぷり濡らしたピクピクと揺れるシンタローの尻尾を掴むと、秘処に運びゆっくりと差込んでいった…。
『あぁん!! とう…さんっ!!l』
尻尾と粘膜を当時に擦られて、自由のきかない体を精一杯仰け反らせ―――・・・。
「やだぁっっ!!」
割り開いていた手を離すと、力の入らない腕で起き上がった。はずだったが、目の前には白い天井と明るい日の明かりがあたりを照らしている。
「あれ…? おれ…あ!! 耳っ!!尻尾はっ!?」
マジックの身体を押し返したと思ったのは、自分の布団で…。
思い出したように、急いで耳に手をあてると、昨日まであった柔らかい弾力のある耳は姿を消していた。同じく、そろそろ下半身に手を伸ばせば…。
「よかった~っっっ!! あれは夢だったんだ」
ほっと息をついて、布団をかけなおしたところで声をかけられた。
「何が夢だったの?」
「えっ…だからおれがネコになっちゃう夢だよ。耳と尻尾があって…って………」
一人で寝てるはずなのに、隣から声がするのはおかしいだろうと、隣に顔をむければ・・・
「夢でもネコになってたの?」
身体を横向きにして、肘をたてその上に頭をのせたマジックと目があった。
「なんで親父が………!!」
自分が夢だと思ったことが、現実に起こったことだと思い出したくもない…徐々に浮き上がってくる記憶に蓋をするように、布団を被った。
「昨日のニャンコなシンちゃん…とっても可愛かったよ。たまには、おもちゃでいいから頭につけてくれないかな?」
そんなシンタローに追い討ちをかけるマジックの言葉と、ぽんぽんと自分の布団の上に置く手の重みを感じながら、もうニャンコなんかゴメンだ!!っと胸の中で叫んだ。
@End@
ご来読ありがとうございました。
6000の神楽さまリク。ネコ耳シンちゃん。コスプレ?オプション尻尾付です。
楽しかったです。マジシンならなんでも楽しいんですが…これは特に楽しかったです。ついシンちゃんと打ちこもうとして、シンにゃんとなってしまいます。
。。。未だに治らず、ちょっと困りものですι
キンちゃんやグンマがでてきました。いつも二人の世界なので楽しかったです。
ただ、もっと出したい~っと歯止めが聞かなそうだったので二人で止めておきました。
尻尾ももっと最大活用したかったですね~。バ●ブかわりにもっと挿ちゃうような、表現したかったです。
終わってから、あぁ~ちょっとぬるかったかぁって思ってしまうんですよねι反省。
コスプレシリーズも次回でひとまず休憩。
次回は、シンちゃん子供になる!?(コスプレっていうのかな?)
ありがとうございました。
ニャンコでゴメン
また、俺さまピンチです。
朝起きたら頭の上に耳が生えていた。普通の耳じゃない。
ちゃんと耳はある…。耳の上…頭のてっぺんと耳の間にそれがある。
それだけでなく、下半身に違和感があるなと思うと尻尾も、もれなく生えている。
寝ぼけてるのかと寝直した。が、起きてもやはり。
あいかわらず、生えている…ι
「この耳と尻尾ってまるで…」
そう、何故かシンタローの頭には、まるで猫のような耳と尻尾が生えている。
ベットの上で、恐る恐る手を上にもっていけば、やわらかい三角の耳がついている。
「いて…っ!!」
試しに引っ張ってみたが、痛みが走る。本当に生えたみたいだ…。恐ろしくも現実である。
「ってぇー…と、取れない…ッ!!」
手で黒い尻尾も引っ張ったが、外れることはなかった。
一体自分に何が起こってしまったのか、シンタローが混乱するばかりである。が、二度寝したおかげで出社時間が過ぎている。遅刻である。
猫に恨まれるようなことなどしていないはずだ。たとえ恨まれていたとしても、耳と尻尾が生えるものなのか?
変な薬を飲んだ覚えもない。
「…薬………!!」
薬を飲んだ覚えはないが、そんな馬鹿げた薬を作れるようなやつには覚えがある!!
「ドクター…か…?」
いや、ドクターにそんなことする理由は……ある!!親父だ!!
親父がドクターに作らせて、それを何らかの形でシンタローが飲み、猫のようになった。
それをドクターに詰め寄れば、実験成功とばかりに親父が飛んでくるハズだ。
「ドクターはダメだ、ダメだッ!!!」
ベットの上で、ぶるぶると顔を左右にふると寒気に身体を振るわせた。
もし、親父にこの姿が見つかったらと思うと…想像が容易い。
ドクターに劣らずに、頭が切れて作れそうなやつは…。
「あ!! いるじゃん」
シンタローの脳裏に頭が切れて、作れそうな人物が浮かんだ。それに親父の頼みを聞くような奴じゃない。やつならなんとかしてくれるかもしれない。
思いたては行動あるのみ、
ティラミスとチョコレートロマンスには、遅れる。もしくは場合によっては休みと告げる。
目立つ赤い総帥服は避けて、もしもの時の為に用意した一般用の隊員用の軍服に袖を通す。セットで帽子がついてるので、耳を隠すことが出来る。
「よし、これなら…バレねぇだろ。 早くしねぇとな」
そう早くしなければいけない理由がある。ティラミスからシンタローが休みだと聞きつければ、間違いなく飛んでくる男がいる。
ましてや、今回のコレがその男の仕業だとするならば、自分から問い詰めに行くのも危険すぎる。飛んで火にいる…ってやつだ。
鏡の前で入念なチェックをして、耳も尻尾も出ないことを確認するとその人物へと急いだ。
やけに威圧感のあるオーラーをまとった平隊員は、多少の人目を浴びつつ正体がばれることなく、とある研究施設にたどりついた。
「おい、入るぞ」
軽くノックをすると返事を聞かずにドアを開ける。後ろ手にドアを閉めると、キョロキョロと室内に目を配らせる。
「シンタローか…どうした?その格好…総帥クビになったのか?」
「クビになるわけねぇだろ。相変わらず、つまんねぇこと言ってんなよ、キンタロー」
そう、シンタローが向かった先は、キンタローの研究部屋。
キンタローならば、どうにかしてくれるかもしれないと思い、訪れたというわけだ。
「で、どうした? 今日は体調が悪いんじゃなかったのか?二人が血相かいてたぞ」
「ティラミスが血相かくかよ。 お前に頼みがあるんだよ」
「…頼み?お前が、このオレに?」
「実は…………」
そういって帽子を脱ぐと、さしものキンタローもぎょっとして、その部分に釘付けになる。
「…………面白い趣味だな」
「…っっつ!! これが趣味にみえるか!!」
バンっと机を手で叩くと、置いてあったビーカーやフラスコが倒れる。そしてシンタローの怒りを表すかのように、ネコ耳もピンと立ち上がっている。
「冗談だ。 そう怒ると本当に、毛を逆立てたネコみたいだぞ」
「うるせぇ…ネコみたいじゃなくて、ネコなんだよ!!」
「まぁまぁ、いいから座れ。 最初からどうしてこうなったのか、分かる限りでいいから話せ」
一時は、驚きを示したキンタローも、すぐに冷静を取り戻すといつものように淡々と話だした。
そんなキンタローの様子に、シンタローは小さく舌うちをすると、渋々キンタローの向かい合わせになるようにイスに腰をおろし、朝からの顛末を語りだした。
「実に興味深いな」
用意したコーヒーを口に運びながら、話しを聴き終えて関心したように、キンタローが呟くと、
「興味深いで、片付けるな」
机に頬杖をついて、ぶすっとガラスに移る自身の姿を眺めていたシンタローがつっこむ。
「で、それをオレに治せっていうのか?」
「そうだ。お前なら、なんかわかんだろ」
「ま、オレに分からないことはない。このオレにかかれば…いいか、このオレに…」
「ごたくはいいから、早くしろ」
「せっかちな奴だな。 まあ、いいだろう」
そう言ってキンタローは席をたつと、戸棚からなにか箱のようなものを取り出してきた。
「なんだそれ?」
「メスだ。これでお前の耳を切るんだよ」
「は…!?」
訳が分からず、これか?とネコ耳をひっぱった。
「そうだ…。調べて分かるようなものだとも、思えないからな。てっとり早くその耳を切れば済む話だ。それに切り取った耳を調べて原因を突き止めてやろう」
淡々と告げながら、机を回り近づいてくるキンタローに、シンタローはゾゾっと身が凍るような思いがした。
「動物虐待だ!! ちょっと引っ張っただけでも、すッげー痛かったんだぞ」
机を回り近づいてくるキンタローを避けるように、キンタローが間合いを詰めるだけシンタローも机を回り、キンタローとの距離を広げる。
「動物じゃないだろ。それに、お前なら多少のことしても死なんだろう」
そういう問題!!?
白衣を身にまとい、メスを弄びながら、笑みを浮かべて近づいてくるキンタローは、顔が整っているだけに迫力がある。
迫りくる身の危険、動物の感なのか、ガタガタと騒々しい音を立て、棚にある物を床に落としながらドアへと向かった。
「いい!!遠慮する!!…自力でなんとかするからッ!!」
ドアに手をかけそれだけいうと、乱暴にドアを閉めると慌しくキンタローの部屋から飛び出した。
だめだ!!あいつは変態だ!!やっぱり変態だぁぁぁ!!
しっかり帽子で耳を隠しながら、研究施設を駆け抜けながら、
「仕方がない!! 次はあいつのところだっ」
行きたくはないが、一応科学者の端くれだ、もしかしたら…万が一、千に一の確立だが行くしかない。
次にシンタローが向かったのは、
「おい、バカ!!」
乱暴にドアをあけると、PCに向かっている、バカ…もとい紙一重バカ…もとい!グンマの肩を掴んだ。
「シンちゃんじゃない。 こんなところまで来るなんて、珍しいね~」
あくまでマイペース、シンタローが総帥服でないことも気にならないのか、久しぶり~。などと挨拶を投げかける始末…。
やっぱ…バカだ。
こんな能天気なお子様ランチに一体何ができようが…。
「あ、あ~…。なんだ……。なんでもない」
ぽりぽりと頭を掻くと、グンマに背をむけた。
「何?何か用事があるんでしょ?」
イスから立ち上がると、背向けるシンタローの腕を両手で掴んで、引き止めた。
「なんでもね~…。気にすんな」
「気にすんなって…気になるよ~。何か心配事?そうなんでしょ?ね、ね~」
黙りこくるシンタローに、しつこく言い募ると掴んだ腕で、大きくシンタローを揺さぶった。
「何でもね~…っあ!!」
「あっ!!!???」
大きく揺さぶられ、苛立ちからネコ耳も立ち上がり、その反動で帽子が床へと転がった。
「……………」
「……………」
お互い無言で見つめあるが、すぐにグンマの視線はシンタローのネコ耳へと注がれる。
今度はシンタローが黙りこくるグンマに耐え切れずに、口を開こうとしたが、
「かわいいぃぃ!!!!」
グンマの歓声がシンタローの鼓膜を大きく揺さぶった。まさに耳を劈くような声に、頭の中で声が鳴り響く、そしてネコ耳といえば…驚きにペタンと伏せてしまっている。
だが、
「かわいい?」
予想にしないグンマの答えにシンタローは、聞き返したが、もっと予想しない答えが返ってくることとなった。
「シンちゃん、かわいい~!!かわいい!! その耳どうしたの?作ったの?よくできてるね~!! ね、触っていいでしょ」
そう言って、シンタローを引っ張り無理矢理同じぐらいの身長にすると、シンタローのネコ耳を興味深そうに、触ったり撫でたりしてはしゃいでいる。
「すごい!!まるで本物みたいな手触りだよ~。すごい!!どうやったの?」
キラキラと瞳を輝かせながら自分を見るグンマに、自分じゃなくてグンマに耳ができていたなら、悩むことなんて無いんだろうな。などと感じて、
、ある種の尊敬のようなものが沸いていた。
「ここに来たのって、まさかその耳が原因?」
「……………」
無言でいるシンタローを肯定をとって、一度深く頷くとポンっとシンタローの肩に手をおいた。
「ボクに任せて!!ボクが治してあげる」
「え………お前が?」
グンマのまさかの発言に、間の抜けたような声がこぼれた。
「大丈夫!!昔、高松が似たようなことしてたから、薬があるはずだよ」
胸を張って、どうどうと応えるグンマの後ろに、後光がさしているような気さえしてくる。
「探して、もっていくから、シンちゃんは部屋で休んでてよ。もしその姿がバレでもしたら、大変ができちゃうよ」
落ちた帽子を、シンタローの頭にかぶせて、ドアの前まで押し出した。
「いいのか?」
信じられずにシンタローが、グンマをみるとグンマは力強く頷き、シンタローを部屋の外へ押し出す。
グンマはシンタローを部屋の外へ追い出すと、よしっと気合をいれて薬品の置いてある戸棚へと向かった。
「さて、どこにやったんだっけ?確か……」
すぐに薬を見つけるとことができた。それを袋につめると、あることを思い出した。
「あっ!!いけね、ボクこの後会議だったんだ!! キンちゃんも一緒に会議だし…誰かに頼まないと…」
やっぱりグンマはグンマなわけで…。それでも、なんとかしないといけないという事は分かるらしく、腕を組んで唸っていたが、
誰か信頼できる人物が思い浮かんだのか、ポンっと手を打った。
「適任がいるじゃないvv さ、頼みにいこう!!」
そそくさと、袋を抱えるとその人物のいる部屋へと向かっていった。
一方、シンタローといえは…。
「グンマもたまには!!役にたつもんだぜ」
帽子をとり、征服の襟元を緩めてソファーに倒れこんだ。
やっぱ、バカと天才は紙一重って本当だったんだな。などと事件解決!!とばかりに、煎れたてのコーヒーに口をつけながらゆったりと目を閉じた。
が、その安らぎはすぐに壊されることとなる。
「シンちゃん!!大丈夫かい?パパがきたからもう大丈夫だよ」
ドアが開いたかとおもうと、騒々しい足音とともに、よく知った声がするではないか。
「……………っ!!!??? あちっ!!」
ソファーから身を起こすと、慌てて起きたためにカップのコーヒーがズボンにこぼれた。
思わず出た声を手で塞ぐと、退路を探す。といっても、広いといっても所詮は部屋だ。
入り口から入ってきたマジックとかち合わずに、この部屋から出る手段はない。
キョロキョロと見回しても、逃げ道などあるはずもなく、マジックの自分を呼ぶ声がだんだんと近づいてくる。
くそっと舌をうつと、部屋の奥まった場所にある寝室に逃げ込んだ。
そしてベットに横になると、布団を頭からすっぽりと被る。
ドクンドクンと、逸る心臓の音が耳に大きく響く。そして、頭に浮かぶのはグンマのことだ。
『あのばか!!やっっっぱ、ばか!! くそバカグンマ!!』
親父に頼みやがった。よりにもよって、なんで親父なんだ!!
ばか野郎~!!・・・などと毛布の中で、悪態をついてもマジックの声はだんだんと近づいてくる。
「シンちゃん~? いないのかな~?」
『いない、いないぞ。とっとと薬だけ置いて帰れっ』
と胸の中で愚痴っても、マジックが帰るはずがない。そして、
「み~っけたvv シンちゃんパパだよ~」
寝室に足を踏み入れて、マジックが近づいてくる。シンタローはぎゅうっと毛布を握る指に力をこめた。
「シンちゃん?寝てるのかな」
ベットの縁に腰をかけると、そっと布団のふくらみの上に手をおく。
その感触にシンタローの身体がビクリと反応を返した。そんなシンタローの仕草に、にやーっと満面の笑みを浮かべると、しらじらしくも
「毛布から顔が出ないほど、具合が悪いのかい?」
とシンタローの頭あると思われる部分を布団の上から撫で付ける。
そんなマジックに焦れたようにシンタローは口をひらいた。が、
「具合が悪いんだよ。だから薬だけ…」
薬だけ置いて帰れといおうとして、マジックの言葉に遮られた。
「本当に?」
知っていることを隠しながらも、確信を感じされるものの言い方に、たじろくがココはどうにかしてマジックを欺かなくてはいけない。
布団の端をしかと掴むと、意を決した。
「本当だ・・・」
これ以上聞くんじゃねぇぞ!!と言葉に棘をしこんでも、
「じゃあ、顔色がどうなってるか見せてくれないかな?」
と返してくる。それに対してシンタローが、
「嫌だ」
と応えれば
「なぜ?パパはシンちゃんに熱がないかどうか、額に手をおいて確かめたいだけだよ」
と相手も負けてはいないが、シンタローも譲るわけにはいかない。更に
「熱はない。だから、ほっといてくれ。あっちにいけ!!」
と言葉を返す。二人の押し問答も、マジックの次の行動で均衡が崩れることとなる。
「せめて、可愛い顔だけみせてね」
「あ“……っ」
後頭部の布団を掴むと、無理矢理引っ張った。引きずられうような形で、シンタローは布団を握ったまま顔だけが毛布から出てしまった。
それにより、うつ伏せの体勢をとっていたため、顔よりも頭のぴこんと主張するネコ耳がマジックとご対面することとなった。
「シンちゃん…これどうしたの?」
恐る恐るといった感じで、マジックがシンタローの黒いネコ耳を撫でるつけると、くすぐったいのか耳がパタパタとマジックの指を押し返す。
「これは…その、その…新しいセンサーだ。うん、そう!!これつけるとよく、聞こえるんだ!!」
「そう…よく聞こえるためにね~」
もう一度、優しくネコ耳…シンタロー的に言えば、最新式のセンサーだそうだが。それを撫でつけると、やはりくすぐったいのか今度は耳とシンタローが反応をしめした。
「じゃあ…もっとよく見せてくれてもいいよね」
布団の中のシンタローの両脇に手を差込むと、自分の方向へと引き上げた。そして自分の顔の前にネコ耳がくるようにして、後ろにまわした手に力をこめた。
「あっ…ぅ…ん」
ハムっと耳の先端を甘噛みされ、シンタローの口から甘い吐息がこぼれた。
「そんなとこ…噛むなよっ……あっ…?」
シンタローの耳に軽く歯をたてては、引っ張ったりとマジックがじゃれつくと、シンタローがくすぐったさに身を竦めた。
そして、神経をそっちにやっている瞬間を見逃さずに、マジックは手に隠し持っていた鈴のついた真っ赤なリボンの首輪を素早くシンタローの首につけた。
シンタローが首への違和感に気付いた時にはもう遅く、チリンっと鈴の音色が寝室に響いた。
「な、なんだよ、コレ!!」
マジックの身体を押し返すと、両手の指を首輪と首の中にいれて引っ張った。が、
生地はただの布なのにいっこうに緩まない。イライラと力いっぱい引っ張っていると、笑いを噛み殺すような声がふってきた。
「そうして嫌がっている姿は…本当にニャンコちゃんみたいだね。 最初はみんなそうやって、首輪を嫌がるんだよ」
「誰がネコだってっっ!!誰だって嫌に決まってる」
まだ諦めがつかないのか、首輪を外そうと躍起になりながらも、マジックの言葉にシンタローは厳しく睨みつけた。
怒りに耳が立ち上がり、切れ上がった漆黒の瞳がキラキラと強気に濡れて、マジックの顔を映し出している。
そんなシンタローの姿にマジックは溜飲を下げると、無理矢理腕の中に抱きしめた。
「離せよっ!!」
暴れるたびに、首の鈴がチリンチリンと音を奏でた。
そんなシンタローの背中に置いた手の右手だけを、そのまま下にズボンの中に滑り込ませると、お目当てのものを掴む。
すると、その刺激にシンタローの身体が硬直する。
「うっ!! ぁっ……っっ」
そろそろと、ズボンの中から黒いしなやかな尻尾を取り出すと、ズボンの中では窮屈だったのか伸びでもするように、意思をもって尻尾が揺れている。
そんな尻尾の先を弄びながら、マジックはシンタローのネコ耳を軽く噛むと問いかけた。
「尻尾がある。やっぱりニャンコちゃんだね。ネコ耳型のセンサーと尻尾では、誰が見てもネコに見えるけど…?これ、尻尾じゃないのかな」
敏感なネコ耳を口に含まれながら話されると、時おり歯があたり…震え上がりそうな快感に肩をが震えてしまう。
それでもどうにかして耐えようと、マジックの白いスーツの肩口をぎゅっと掴むと、顔を埋めて歯を食いしばった。
「ねぇ…コレはなんなの?」
「あっ…噛む、な・・・それは……」
「それは?」
シンタローの答えを急かすように、尻尾の根元を掴むとツーッっと先に向かって指を走らせた。
「んっぁ!!」
ビクリと背を仰け反らせて、足元から駆け上がっていくような快感に震えあがった。
「尻尾も感じちゃう?どこもかしこも感じちゃって…。淫乱なニャンコちゃんだね、シンちゃんは」
執拗に尻尾をまるでペニスでも扱うかのように、上下に抜き差しを繰り返すと我慢できないのか、モジモジとシンタローの下半身が揺れ始めた。
「なんで? あ、あっんっ」
意志とは反して素直すぎる体に、思考がついてきけない。それでも、ソコを擦りあげられると正常に考えることが出来ないほど、快感に頭の中が朦朧としてくる。
快感に身をゆだねようとしている、シンタローの喉から顎先をネコにするかのように、尻尾を扱っていない指の腹で撫で上げると、シンタローの濡れた睫毛が気持ちがよさそうに揺れた。
「どうやら、完全にまわったようだね」
何度も指先の往復を繰り返しながら、抵抗の止んだシンタローの姿にマジックは笑みを浮かべた。
「っは……っ、なにを、っ…した?」
なんとか聞き取れたマジックの言葉に、息をつくのもやっとな程に切ないと息を漏らすと、顔を傾けて情欲に潤んだ瞳をマジックへむけた。
「知りたい?」
手の中にある尻尾を弄びながら、ずるずるとマジックにもたれかかるようにして倒れると、胡坐をかいているようなマジックの膝に膝枕をされるような形でシンタローはマジックにしがみついた。
そんな、切ない呼吸を繰り返す、シンタローの髪を優しく撫でながら、
「その鈴だよ。ネコにまたたびってね。こんなに聞くとはおもわなかったけど」
特殊な成分を鈴の中に含ませてあるからっと言葉を続けると、首の鈴を指で弾いた。
小気味のいい鈴の音が響く。
「腰をあげて…。もっと気持ちいいことしてあげる。 薬もほしいだろう」
その言葉に、快感に閉じかけられていた瞳がなんとか半分ほど開かれると、やっぱり!!という確信を秘めた眼でマジックを見つめる。
「素直に、パパのところに来たらすぐに薬あげたのに…残念。そんな可愛い姿をグンちゃん達に見せたと思うと虐めたくなっちゃった」
『そんなの、嘘だろ。最初からこうするつもりだったくせに…』と疑惑を目線で訴えると、マジックは軽く肩を竦めて「どうかな」っと答えた。
「ま、今日はいつもと変わったことしようか。たまには動物的に体をあわせるのもいい」
そういって、シンタローの双丘のあたりにズボンの上から手を置くと、嘗め回すように撫で上げた。
「んん、……っ」
ただ撫でられているだけどいうのに、反射的にシンタローの腰が浮け上がる。それを、両手で固定すると素早く下着ごとズボンを足から引き抜いた。
そして脱がせたものを床へと放り投げる。
「さあ…どうやって可愛がろうか」
下半身をむき出しにされ、上半身は軍服を着ているとなんとも、奇妙な格好のシンタローを見やり…手に持った薬の瓶を揺らしながら、これからのことを考えてかマジックの瞳に怪しい光が灯っていた。
* * * * *
『自分で広げなさい…ほら、しっかり広げないと、薬が零れてしまうよ。ずっとネコのままではいたくないだろう?』
そう言って、クッションの上に肩をつかせて両手で自分の秘部を広げるように促すと、シーツと軍服が擦れるような音をたたせながらゆっくりと、手を後ろにまわす。
『ひゃっ…、あぁ!!』
自分で広げさせられた中に、冷たい液体が徐々に入り込んでくる感覚に背を仰け反らせた。乱れた髪がぴったりと首筋に絡みつき、扇情的な姿を現している。
『中で出されるの好きだろう…』
心底、楽しそうに笑う声が頭の中でこだまする。涙で真っ赤にはらした眼をぎゅっとつむると、枕に額を擦りつけた。
『そうだ、この尻尾で慣らしてあげようか』
そういうと、ローションでたっぷり濡らしたピクピクと揺れるシンタローの尻尾を掴むと、秘処に運びゆっくりと差込んでいった…。
『あぁん!! とう…さんっ!!l』
尻尾と粘膜を当時に擦られて、自由のきかない体を精一杯仰け反らせ―――・・・。
「やだぁっっ!!」
割り開いていた手を離すと、力の入らない腕で起き上がった。はずだったが、目の前には白い天井と明るい日の明かりがあたりを照らしている。
「あれ…? おれ…あ!! 耳っ!!尻尾はっ!?」
マジックの身体を押し返したと思ったのは、自分の布団で…。
思い出したように、急いで耳に手をあてると、昨日まであった柔らかい弾力のある耳は姿を消していた。同じく、そろそろ下半身に手を伸ばせば…。
「よかった~っっっ!! あれは夢だったんだ」
ほっと息をついて、布団をかけなおしたところで声をかけられた。
「何が夢だったの?」
「えっ…だからおれがネコになっちゃう夢だよ。耳と尻尾があって…って………」
一人で寝てるはずなのに、隣から声がするのはおかしいだろうと、隣に顔をむければ・・・
「夢でもネコになってたの?」
身体を横向きにして、肘をたてその上に頭をのせたマジックと目があった。
「なんで親父が………!!」
自分が夢だと思ったことが、現実に起こったことだと思い出したくもない…徐々に浮き上がってくる記憶に蓋をするように、布団を被った。
「昨日のニャンコなシンちゃん…とっても可愛かったよ。たまには、おもちゃでいいから頭につけてくれないかな?」
そんなシンタローに追い討ちをかけるマジックの言葉と、ぽんぽんと自分の布団の上に置く手の重みを感じながら、もうニャンコなんかゴメンだ!!っと胸の中で叫んだ。
@End@
ご来読ありがとうございました。
6000の神楽さまリク。ネコ耳シンちゃん。コスプレ?オプション尻尾付です。
楽しかったです。マジシンならなんでも楽しいんですが…これは特に楽しかったです。ついシンちゃんと打ちこもうとして、シンにゃんとなってしまいます。
。。。未だに治らず、ちょっと困りものですι
キンちゃんやグンマがでてきました。いつも二人の世界なので楽しかったです。
ただ、もっと出したい~っと歯止めが聞かなそうだったので二人で止めておきました。
尻尾ももっと最大活用したかったですね~。バ●ブかわりにもっと挿ちゃうような、表現したかったです。
終わってから、あぁ~ちょっとぬるかったかぁって思ってしまうんですよねι反省。
コスプレシリーズも次回でひとまず休憩。
次回は、シンちゃん子供になる!?(コスプレっていうのかな?)
ありがとうございました。
■パラダイス銀河■
突き抜けるような青い空。
眩しい太陽。
白い雲に透き通るような青い海。
煌く砂浜。
心地よい日差しを浴びながら、シンタローは砂浜に横になると、両手を頭上にかざしてぐーっと伸びをした。
気持ちよさそうに目を閉じると、波の音と気のせせらぎに耳を澄ます。
風がそよぐ度に、シンタローの艶やかな黒髪が、風になびいていた。
時間に追われることもなく、目まぐるしく変わるカレンダーに捕らわれずに、ゆっくり休みたい。
できるなら…南の島でゆっくりとできるリゾートがいい。っと思ったこともあった。が、
望まない、偶然によってそれが現実のものとなり、日常的に繰り返されて、うんざりした時もあった。
いつになったら出られるのだろうと、苛立つこともあった。
今はなんだかんだと、この生活を楽しみつつある自分がいる。
ただ、一つの問題を除けばだ…。
その原因は…。
「シ~ンちゃ~んvvパパだよ~vvv」
派手な水しぶきと爆音とともに、ど派手な戦艦が現れた。
…また、きやがった。
せっかくの、安らぎの時間を邪魔する奴。
そう原因は自分の父親でありガンマ団総帥、マジックだった。
近頃は週に一回のペースでくるから、マジックがくると一週間がたったのかと思うほど。
おまけに…本当に秘石を奪いに来てるのかとは思えない。
むしろ口実をつけて、自分にちょかいを出しに来ているのでは?とさえ思うほどだ。
「なんだ、もう一週間経っちまったのか」
面倒くさそうに、起き上がると砂をはらって立ち上がった。
「パパはカレンダー代わりかい? 確かに間違ってはないが…ιι」
戦艦から降りると、シンタローの前に立ちはだかる。
「どけよ。邪魔だ」
「今日こそは!! パパと、海辺でランチでも食べようじゃないか」
ね、ね。っといつのまにエプロンをつけたのか、いそいそとセッティングを始める。
「おい。…いいか、昼ってことはパプワとチャッピーの飯を用意しなきゃいけないんだよ」
「そうかい…じゃあ、これを持っていきなさい。そうすれば作る手間が省けるじゃないかvで、空いた時間にパパと海水浴でもしようvv」
「………」
ごくりと唾を飲み込んだ。親父の料理がうまそうだからじゃない(実際美味いけど…)。前半部分の魅力的な提案にだ。
「分かった。じゃあ…有難く……」
「いいんだね!!パパと海水浴vvvお揃いの水着、着ようね」
よこせよ。っと手を差し出したシンタローの手を両手で握ると、嬉しさを隠さずに、ぶんぶんと力強く上下に振る。
「違う!!その料理だけもらうってことだ。 バカ親父!!」
手を振り払って、傍らに置いてあった料理の入ったランチボックスを奪うと、クルリと背を向けた。
「パパは待ってるからね~」
その背中に向かってしつこく声をかけてくるマジックに、無視を決め込み。その場を去った。
「シンタローは食べないのか?」
豪華なランチボックスを堪能しながら、シンタローが一口も食べていないことに、パプワが気付いた。
「ん…。俺はいいから、お前らだけで食べな」
親父の料理は危険すぎる。
何が入れられているか分かったものじゃない。と考えを巡らせて疑っている間に、それは見る影もなくなった。
「…っ!? ………平気か?」
恐る恐る、尋ねれば…。
「何がだ?なかなか美味かったぞ。な、チャッピー」
「わう!」
「そ、そうか…」
何も入ってなかったのか…。いや…こいつらのことだから効かなかったのかも…。
なんにせよ、一食分手間が省けて助かった。たまには、役にたつこともあるもんだ。
夜もやってもらうか。…なんてな。
「さ~て、次は洗濯でもとりこむか」
昼食を片付けて、よし。っと気合をいれると照りつくような日差しの待つ、外に出た。
日差しと風のおかけで洗濯物の乾きも早く、物干しにかけられた洗濯物が気持ちよさそうになびいている。
それをさっと見やると、まずは手前の自分のシャツからと手をかけようとして…
「今日は風が強いから、選択物の乾きもはやいな……って!! やべッ」
強風に煽られて、自身のシャツが空を舞う。
「俺のシャツ…。 くそッ!! 生物にみつかったら面倒なことになる」
あいつらのことだから…。
『これ、シンタローさんのシャツよぉ。頂いちゃいましょうvv』とイトウ。
『イトウくん、ずるいわよ~。私、そのシャツをシンタローさんだと思って、スリスリするんだからvv』とタンノ。
ってな展開になるに決まってる!!
まずい!!まずいそ!! 想像するだけで、気色悪い。
「待て~!! 俺のシャツ!!」
空を舞うシャツを追って、シンタローは森へと駆け出していった。
「チっ…」
すぐに見つかると思ったが、なかなかシャツがみつからない。思わず舌を打った。
シャツなどほっておけ。と思うかもしれないが…。自分で洗ったものだ、それが袖も通さずになくなるのは、嫌だ!! そんなの俺が許さない!!
せっかく、手間かけたのに…時間の無駄じゃねぇか。
ブツブツいいながら、ヤシの木の上などにもを探しているうちに、広々とした真っ青な海が見えてきた。
「随分、来ちまったな。諦める…、か?」
ふと視線を海によこせば、そこにはガンマ団の戦艦がドトーンと浮いている。
やべ~…。
うるさいのに、会う前にここは引きかえそう。そう思い、シンタローは回れ右をして、戦艦に背を向けた。
そういえば、さっき…『待ってるからね』っと言っていたような記憶が…っとマジックのことを気にかけた時だ。
「シ~ンちゃん、遅かったね~。 パパ待ちくたびれちゃったよ。もう、焦らし上手なんだからv」
コツンと後頭部を指で小突かれた。
どこから沸いてきたのか、気配を感じさせないところはさすがといったところだが…待っていたとしたら…とんだバカだ。
「お、親父!! 帰ったんだじゃ…」
いきなり背後に立たれて、跳ね上がった心拍数をなだめるように、胸に手をやりながらマジックを指差した。
「パパ待ってるって言ったでしょ。今か今かと待ってたんだよ」
するりと、自分の腕に手を滑り込ませて、腕を組もうとするのをシンタローは払い落とした。
後ろに何歩か下がり距離をつくりながら、疑問を口にすれば、
「シンちゃんと一緒の時間を味わいたかったからね」
臆面もなく言い放つマジックに、思わずシンタローの顔が恥ずかしさで赤く染まる。
「ば、ばっかじぇね~の」
ぷいっと顔を背ける仕草が幼なくて、可愛くもあり…マジックはふっと吹き出しそうになるのを堪えた。
「で、何のようだよ」
顔を背けて、視線だけをマジックに向けると、冷たく言い放つと、
「何のってシンちゃんと、いちゃいちゃする為じゃない」
っと全く答える訳もなく、小首をかしげてわざとらしくしなをつくる。
「消えろ…」
自分の言葉に、眼魔砲の構えをする息子の様子に、彼が動くよりも先に動いた。
「まだ、外でしたことなかったでしよ。青空の下、いいこと…しよ」
シンタローの間合いに詰め寄ると、腰を抱き寄せた。
「ふざけろっ…。とっとと、帰れ!!」
グイグイと腰を押し付けられ、シンタローはマジックの肩に手をやり突っ張らせると、精一杯身体を反らす。
「帰れって…それは、あんまりだと思わないかい?さすがのパパも傷ついちゃうなぁ」
「全っ然!!…傷ついているように…見えねぇってιιι」
「え、向こうにいけば、木立が隠してくれるよ」
人の話聞けってばよ!! この親父は…!!!!
相変わらずのマジックに、シンタローはひたすら脱帽するばかり…。
こういうの何って言ったっけ?ぬかに釘…馬の耳に念仏って感じ?
なんて言葉遊びしてる場合じゃない。
マジックが自分の腕を掴み、今にも茂みに連れこうもしてるではないか。
「ば、ばかっ」
マジックが引っ張る方向と逆の方向に、身体を倒しながら足を地面にへばりつかせて、踏ん張った。
駄々っ子のような格好だが、この際そんな事は気にしていられない。
「だめかい?」
「ダメに決まってんだろ。離せっ!!」
どうにかして、自分の手首を握るマジックの手を外そうと試みても、手錠のようにがっちりと手首に指が食い込み、ピクリとも動かない。
「なんで?」
「っ、なんでって……、当たり前だろ!!」
その言葉に、背を向けてシンタローの腕を引っ張っていたマジックが、振り返りシンタローに向き直った。
今までのような、おちゃらけた雰囲気ではなく、総帥をしている時のようなマジックの顔にシンタローは思わず身を強張らせる。
蛇に睨まれた蛙の様に、動きたくとも身体がそれを拒否しているようだ。
「当たり前?こんな常識が通じない島で、何が当たり前というんだい。当たり前なことなど、この島じゃ何一つ無いんだよ。 シンタロー」
そして、唇が重なるのではないかと、身構えるほど顔を近づけられて、囁かれた。
だめだ…。この瞳に捕らわれたら…。ダメだとわかっているのに、マジックから眼が離せない。
だめだ!!
「いい加減にしろっ!!」
必死にマジックから視線をそらせた。
ただそれだけのことなのに、頭がガンガンと打ちつけるように痛い…。真夏だというのに、冷たい汗が背中を伝うのがよく分かった。
熱帯特有のむわっとした、じっとりと肌に絡みつくような暑さに、脳までいかれそうだ。
こんな所…こいつの前から、いっこくも早く離れなければ…!!
そうなる前に…その原因でもあるマジックの腕を振り払うと、踵を返してスタスタと歩き始めた。
「ッ………!!」
マジックはシンタローに追いつくと、抗うシンタローの腕を無理矢理掴み、木陰へと誘った。
「ここなら、大丈夫。見つからないよ」
そう言って、近くの木にシンタローの身体を押し付ける。木と木の間からの木漏れの日差しが、二人の姿を照らし出した。
「や…だって…」
押し戻そうにも、マジックはシンタローの足元に膝をつき、がっちりとシンタローの腰を掴んで離さない。
「本当は、見せびらかしたいぐらいだけど…」
ズボンに手をかけると、下着はそのままに引き落とした。
「動物たちには目の毒だからね」
下着の上から、挨拶がわりにシンタローのモノのいたるところにキスを降らすと、そのポイントをついた愛撫に、ビクリとシンタローの身体が小さく震える。
「ああっ」
ぴちゃぴちゃと水音を立たせ下着の上からしゃぶりつき、手をシャツの下に滑り込ませると小さな突起を親指と一指し指で摘みあげた。
それに反応して、シンタローのモノはますます硬さを増す。
「もうこんなにして……」
「ん…だめだって………っ」
身体を後ろに引こうにも、幹が邪魔をしてままならず、その些細な動きが余計にマジックを奮いたたせる。
「うそつき。ここ、はちきれそうだよ、カチカチで」
「違うっ……見るなっ」
目線を下におろせば、マジックの唾液と自らのもので下着がじっとりと濡れそぼっている、視界の卑猥さに眩暈がする。
とても、正視などできなくて空を仰いだが、キラキラとした木漏れ日が余計に恥ずかしくて目を細めた。
「ここは素直なのに、上の口は素直じゃないねぇ~」
ねっとりと、下着の上から硬さを増したモノを舐めあげた。
「そろそろ、直に舐められたいでしょ」
シンタローの答えを聞かずに、目線を上目遣いにシンタローを捉えながら、焦らすように下着を引き下ろした。
「濡れた下着は…おろしづらいね」
くすっと笑うと、そのままシンタローのモノを口元まで運ぶ。
「パパ、お昼食べてないから、シンちゃんのバナナ味わいたいな」
「勝手にしろ…」
また、流されてる。それは分かっているが、頭が霧がかったように、麻痺して…抗うことなんかできない。
この南国の無人島がそうさせるんだ。外でするなんて考えられないが、この熱帯の雰囲気が狂わせる…。全ては…この南の島が。
シンタローは諦めたように、マジックの頭に手をおいた。
それを、了解の合図ととって、マジックはゆっくりとシンタローを銜え込んだ。
「ん…ふ…っ」
「…ここ好きだったよね」
「あっ」
鈴口から、皮膚の薄い一番敏感な場所を舌で突っつかれ、シンタローは思わずうめいた。
「厭らしい身体だね」
シンタローの滑らかな背中のラインから、引き締まった局部にいやらしく指を滑らせる。
肌の感触を楽しみながら、マジックはうっとりと熱に浮かされたように囁いた。
シンタローの耳に届くようにワザと囁くと音を立てて、視覚と聴覚からシンタローを追い立てる。
「美味しいバナナだよ…。本当に食べちゃいたいぐらい」
そう言って少し強めに歯を立てた。敏感な箇所に歯を立てられてシンタローは身じろいだ。
「あぅ…ッ・・・」
「でも…ここも美味しそう…挿れたいな」
双丘の狭間のあさましく息づき始めた箇所に指を這わせ、ココっと合図するようにノックする。
「ん………っ」
シンタローの幹から流れ出るもので、テラテラといやらしく映し出す狭い場所へと、シンタローの返事を待たずに、指を差し込む。
「あっはぁ…、だめ…。だ、め…」
体内へと入る異物感にシンタローは、身体を微かに強張らせた。頭を仰け反らせると、片手で顔を覆い、もう一方のマジックの頭に置いた手が、髪を掴んだ。
「シンタロー…」
「あ、あぁ……っ」
くぷりと音を立てて、指を突き入られる度に、シンタローは小さく身じろぎ返す。
「あーっ、もう、………っ」
ぐちゅぐちゅと指を動かされ、シンタローの腰が物欲しげに揺れはじめる。
「もう我慢できない? シンちゃんもパパのバナナ味わいたい?」
指を乱暴に動かしながら、ダラダラとは涙を流しているシンタローの先端に吸い付き、吸い上げた。
「ぁっくぅ、…ぐだぐた…いうな…、と、っとと入れろっ」
「腰ゆれてるよ」
「ふっ…ぅあ……っ」
「パパのバナナが食べたいって、言って」
「や、だ……あぁっん」
突き入れた指を動かしなら、なおもいやらしく舌を這わせる。
「くっ、そ……っっ」
シンタローは額に汗を浮かべ、手の隙間から抜けるような青空をみた。
俺だけじゃない…親父だって、この無人島にやられてる…。
確たる保障はないが、自分が感じてるようにマジックも感じてるはずだと思った。
それを確認しようと、片足を動かすとマジックのモノを布越しに足で押し当てた。
「………っ!!?」
「親父だって…、早く挿れたい、んだろ…?」
目線を下げ、挑発的に微笑むとマジックのモノに当てた足をいやらしく撫で付ける。
まさかのシンタローの反撃に、さすがのマジックもこれには驚いた。
「いけない子だ…パパを誘惑するなんて…」
「…ァッ…ん」
シンタローのむき出しの腿を掴むと、自分の肩にのせあげる。
そうすとると、シンタローの膝がマジックの肩にかかり自然と足が広がり、今まで隠されていた部分が露になった。
そうして、内側の皮膚の薄い柔らかい部分に口付ける。
思いがけない仕草にシンタローの身体がビクリと強張ると、マジックはうっすらと笑みを浮かべながら、足の付け根のあたりを執拗に吸い付いては、赤く印のついた箇所を舌で縁を描いたり。
というような愛撫を繰り返し、蜜をしたたらせ熟したモノには触れようとしない。
「あぁ…ぅ…っ、親父っ」
「何? パパに何をして欲しいの?」
耐え切れずにシンタローの身体が小刻みに震え、マジックの名を呼ぶのを、わざととぼけてかわしている。
なんともしても、シンタローの口から言わそうというのだ。
「んっ、ふ…あぁ……ん」
意地悪く中にいれた指で、乱暴にポイントの部分に爪をたてられると、片足で身体を支えていた足は耐えられるはずもなく、その刺激にシンタローの膝がカクリと折れた。
「おっと。 もう…立ってられない?」
倒れそうになる所をシンタローの腰を掴み支えると、片足は肩にかけたままで立ち上がった。
そして、シンタローの身体を木の幹に押し付けると、自身の赤い軍服の前を開け、ズボンをくつろがせた。
「あっ…」
シンタローの視界に、鍛え上げられた腹筋と茂みにの中の、立ち上がりかけた逞しい肉棒が、木漏れ日に照らし出されているのが入ってくる。
瞬間、なんとも言いがたいゾクリとしたものが背中をかけあがり、ゴクリと唾を飲む。
初めてみるわけでもないのに、直にみることがあまりなかったせいか、この場所がそうさせるのか…そこから眼が離せない。
やけに唇が乾いて、何度も舌で唇を舐め上げる。
「欲しいんでしょ? すごく物欲し気な顔してる」
耳元で囁きながら足を抱えなおすと、マジックはそろそろとシンタローのモノに、自らのものを押し当てた。
そして、ゆっくりと蜜を滴らせた根元から先端の行き来を繰り返す。
「あん…はぁ…ぁ…ん」
「すごい…もう完熟って感じだね…ヌルヌルしてる」
先走りで濡れた、ぬらついたものを擦り合わせるようにして腰を使うと、にゅちゃにゅちゃと滑った音が辺りに響きわたった。
その音さえも、シンタローを追い立てて、マジックを押し返すように、腰をゆるゆると重ねてくる。
「あっ…くぅ…はぁ…、いい…」
「そんなに気持ちいい? でも、こっちに欲しいでしょ」
互いのもので、ぬらついた粘液を利用して、シンタローの奥まった蕾に押し当てた。
「あ、…欲しい…、いい…、はや、くッ」
「何が欲しいの?」
収縮を繰り返し、中へと引きこもうとする動きに反して、身体を離すと再びシンタローの肉棒に己のを重ね合わせる。
「と、さ…ん、の。 ぁっ、バナナ…たべ、…させ…ッて」
マジックの身体を逃がさないように、抱えられた足に力がはいる。
「たっぷり、食べるといいよ」
そういうと、シンタローの腰を両手で掴み、下から一気に突き上げた。
「んっ、…あああぁぁぁ…っ!!」
下から何度もえぐるように動く度に、木がギシギシと音を立てて揺れる。
「いいよ…。極上のフルーツのように、どこもかしこも甘いね」
いつのまにか、首までたくし上げたれたシャツとマジックのはだけた胸元が重なる。じっとりと汗ばんで熱い肌にシンタローの肌が粟立った。
「こんなに、木が揺れてたら誰かきちゃうかもね」
微笑を浮かべ、口調とは裏腹に奥へ奥へと突き立てた。
「ぁっん、いい…いくッ……いき…ぁぁっ」
快感の波にさらわれて、シンタローは無意識にマジックの固い鍛えられた腹筋に、自身のものの先端をこすり付ける。
「ぅあっ! あぁぁ、い…いい、ダメ…だ…ぁっ!も、俺…っ」
背中を木の幹に押し付けられ、素肌が擦れる痛みを感じるよりも、マジックに与えられる快感が激しくて、背中に手を回すと軍服のジャケットを掻き抱いた。
「イクッ…あ、ああっ」
見計らったように、ひときわ強く突き入れられて、シンタローは全身を硬直させて解き放つと、濃い粘液がシンタローとマジックの肌を汚した。
ガクリと力なく、幹に寄りかかるシンタローを抱きしめながら、マジックもシンタローの中へ注ぎ込んだ。
「愛してるよ、シンタロー…」
言葉にできない感情を、確執を、隠すかのように何度もキスを交わした。
そして、荒く息をつきながら見上げた空は、変わらずに…。
突き抜けるような青い空。
眩しい太陽。
そして一面には青い海と煌く砂浜。
波音と南の風に耳をかたむけながら、マジックに身体をゆだねた。
@End@
font-size L M D S
@Omake@
「今日のシンちゃんはよかったなぁ~」
軍艦の奥にある、総帥室で一人鼻歌まじりに悦に入る総帥が一人。そしてその男の手には白いタンクトップのシャツが…。
「あんなにうまくいくとはね~…さすが私」
うっとりと息子のシャツに握りしめ頬ずりをしながら、思い返した。
…シンタローはマジックに背を向けてランチボックス片手歩き出していたが、実はマジックもその後を歩き出していた。
だが、なぜか手には釣竿を釣り糸とフック。
シンタローが用意しているのを確認すると、素早くシンタローのシャツにそのフックをかける。そして後はシンタローが現れるのを待つばかり。
その後は、手はず通り…シンタローがシャツに手をかける前にシャツを釣竿でつればいいだけの話。
作戦は実にうまくいった。
釣ったシャツを小脇に抱え、一目散に逃げ…。そしてシンタローがくるのを今か今かと待っていたというわけだ。
どうにもやる気満々だったとしか思えないこの行動…。
そして、ちゃっかりシャツは返さずに持って帰るあたり…実に親族ストーカーという名がふさわしい。
マジックがシャツに鼻血を垂らさんばかりに陶酔している頃、シンタローといえば、タンノとイトウが持ってハズと二人…二匹に詰め寄っていたとか…。
@終了@
ありがとうございました。久々のおまけです。いや~これはキリリクの中では最短ですね。約一週間で終了。やればできるじゃん!!と思いました。
今回は青空でしたが、最初は青空でなく満天の星空の下で行うはずでした。なので、タイトルがパラダイス銀河なんです。
星空は木の茂みではなく、海辺でした。それもいいかなぁっと思いましたが、文字通り青空でいこうと、急遽青空で決行!!
全く違う内容になりました。夜は大人向けというかしっとり…という感じです。夜の海を見ながら…やっちゃうんですね!
結局、やることはやるんですが…。青空にしてよかったと思ってます~。素敵なリクをありがとうございました。
南国独特の開放感を少しでも感じていただけたら、幸いでございます。
突き抜けるような青い空。
眩しい太陽。
白い雲に透き通るような青い海。
煌く砂浜。
心地よい日差しを浴びながら、シンタローは砂浜に横になると、両手を頭上にかざしてぐーっと伸びをした。
気持ちよさそうに目を閉じると、波の音と気のせせらぎに耳を澄ます。
風がそよぐ度に、シンタローの艶やかな黒髪が、風になびいていた。
時間に追われることもなく、目まぐるしく変わるカレンダーに捕らわれずに、ゆっくり休みたい。
できるなら…南の島でゆっくりとできるリゾートがいい。っと思ったこともあった。が、
望まない、偶然によってそれが現実のものとなり、日常的に繰り返されて、うんざりした時もあった。
いつになったら出られるのだろうと、苛立つこともあった。
今はなんだかんだと、この生活を楽しみつつある自分がいる。
ただ、一つの問題を除けばだ…。
その原因は…。
「シ~ンちゃ~んvvパパだよ~vvv」
派手な水しぶきと爆音とともに、ど派手な戦艦が現れた。
…また、きやがった。
せっかくの、安らぎの時間を邪魔する奴。
そう原因は自分の父親でありガンマ団総帥、マジックだった。
近頃は週に一回のペースでくるから、マジックがくると一週間がたったのかと思うほど。
おまけに…本当に秘石を奪いに来てるのかとは思えない。
むしろ口実をつけて、自分にちょかいを出しに来ているのでは?とさえ思うほどだ。
「なんだ、もう一週間経っちまったのか」
面倒くさそうに、起き上がると砂をはらって立ち上がった。
「パパはカレンダー代わりかい? 確かに間違ってはないが…ιι」
戦艦から降りると、シンタローの前に立ちはだかる。
「どけよ。邪魔だ」
「今日こそは!! パパと、海辺でランチでも食べようじゃないか」
ね、ね。っといつのまにエプロンをつけたのか、いそいそとセッティングを始める。
「おい。…いいか、昼ってことはパプワとチャッピーの飯を用意しなきゃいけないんだよ」
「そうかい…じゃあ、これを持っていきなさい。そうすれば作る手間が省けるじゃないかvで、空いた時間にパパと海水浴でもしようvv」
「………」
ごくりと唾を飲み込んだ。親父の料理がうまそうだからじゃない(実際美味いけど…)。前半部分の魅力的な提案にだ。
「分かった。じゃあ…有難く……」
「いいんだね!!パパと海水浴vvvお揃いの水着、着ようね」
よこせよ。っと手を差し出したシンタローの手を両手で握ると、嬉しさを隠さずに、ぶんぶんと力強く上下に振る。
「違う!!その料理だけもらうってことだ。 バカ親父!!」
手を振り払って、傍らに置いてあった料理の入ったランチボックスを奪うと、クルリと背を向けた。
「パパは待ってるからね~」
その背中に向かってしつこく声をかけてくるマジックに、無視を決め込み。その場を去った。
「シンタローは食べないのか?」
豪華なランチボックスを堪能しながら、シンタローが一口も食べていないことに、パプワが気付いた。
「ん…。俺はいいから、お前らだけで食べな」
親父の料理は危険すぎる。
何が入れられているか分かったものじゃない。と考えを巡らせて疑っている間に、それは見る影もなくなった。
「…っ!? ………平気か?」
恐る恐る、尋ねれば…。
「何がだ?なかなか美味かったぞ。な、チャッピー」
「わう!」
「そ、そうか…」
何も入ってなかったのか…。いや…こいつらのことだから効かなかったのかも…。
なんにせよ、一食分手間が省けて助かった。たまには、役にたつこともあるもんだ。
夜もやってもらうか。…なんてな。
「さ~て、次は洗濯でもとりこむか」
昼食を片付けて、よし。っと気合をいれると照りつくような日差しの待つ、外に出た。
日差しと風のおかけで洗濯物の乾きも早く、物干しにかけられた洗濯物が気持ちよさそうになびいている。
それをさっと見やると、まずは手前の自分のシャツからと手をかけようとして…
「今日は風が強いから、選択物の乾きもはやいな……って!! やべッ」
強風に煽られて、自身のシャツが空を舞う。
「俺のシャツ…。 くそッ!! 生物にみつかったら面倒なことになる」
あいつらのことだから…。
『これ、シンタローさんのシャツよぉ。頂いちゃいましょうvv』とイトウ。
『イトウくん、ずるいわよ~。私、そのシャツをシンタローさんだと思って、スリスリするんだからvv』とタンノ。
ってな展開になるに決まってる!!
まずい!!まずいそ!! 想像するだけで、気色悪い。
「待て~!! 俺のシャツ!!」
空を舞うシャツを追って、シンタローは森へと駆け出していった。
「チっ…」
すぐに見つかると思ったが、なかなかシャツがみつからない。思わず舌を打った。
シャツなどほっておけ。と思うかもしれないが…。自分で洗ったものだ、それが袖も通さずになくなるのは、嫌だ!! そんなの俺が許さない!!
せっかく、手間かけたのに…時間の無駄じゃねぇか。
ブツブツいいながら、ヤシの木の上などにもを探しているうちに、広々とした真っ青な海が見えてきた。
「随分、来ちまったな。諦める…、か?」
ふと視線を海によこせば、そこにはガンマ団の戦艦がドトーンと浮いている。
やべ~…。
うるさいのに、会う前にここは引きかえそう。そう思い、シンタローは回れ右をして、戦艦に背を向けた。
そういえば、さっき…『待ってるからね』っと言っていたような記憶が…っとマジックのことを気にかけた時だ。
「シ~ンちゃん、遅かったね~。 パパ待ちくたびれちゃったよ。もう、焦らし上手なんだからv」
コツンと後頭部を指で小突かれた。
どこから沸いてきたのか、気配を感じさせないところはさすがといったところだが…待っていたとしたら…とんだバカだ。
「お、親父!! 帰ったんだじゃ…」
いきなり背後に立たれて、跳ね上がった心拍数をなだめるように、胸に手をやりながらマジックを指差した。
「パパ待ってるって言ったでしょ。今か今かと待ってたんだよ」
するりと、自分の腕に手を滑り込ませて、腕を組もうとするのをシンタローは払い落とした。
後ろに何歩か下がり距離をつくりながら、疑問を口にすれば、
「シンちゃんと一緒の時間を味わいたかったからね」
臆面もなく言い放つマジックに、思わずシンタローの顔が恥ずかしさで赤く染まる。
「ば、ばっかじぇね~の」
ぷいっと顔を背ける仕草が幼なくて、可愛くもあり…マジックはふっと吹き出しそうになるのを堪えた。
「で、何のようだよ」
顔を背けて、視線だけをマジックに向けると、冷たく言い放つと、
「何のってシンちゃんと、いちゃいちゃする為じゃない」
っと全く答える訳もなく、小首をかしげてわざとらしくしなをつくる。
「消えろ…」
自分の言葉に、眼魔砲の構えをする息子の様子に、彼が動くよりも先に動いた。
「まだ、外でしたことなかったでしよ。青空の下、いいこと…しよ」
シンタローの間合いに詰め寄ると、腰を抱き寄せた。
「ふざけろっ…。とっとと、帰れ!!」
グイグイと腰を押し付けられ、シンタローはマジックの肩に手をやり突っ張らせると、精一杯身体を反らす。
「帰れって…それは、あんまりだと思わないかい?さすがのパパも傷ついちゃうなぁ」
「全っ然!!…傷ついているように…見えねぇってιιι」
「え、向こうにいけば、木立が隠してくれるよ」
人の話聞けってばよ!! この親父は…!!!!
相変わらずのマジックに、シンタローはひたすら脱帽するばかり…。
こういうの何って言ったっけ?ぬかに釘…馬の耳に念仏って感じ?
なんて言葉遊びしてる場合じゃない。
マジックが自分の腕を掴み、今にも茂みに連れこうもしてるではないか。
「ば、ばかっ」
マジックが引っ張る方向と逆の方向に、身体を倒しながら足を地面にへばりつかせて、踏ん張った。
駄々っ子のような格好だが、この際そんな事は気にしていられない。
「だめかい?」
「ダメに決まってんだろ。離せっ!!」
どうにかして、自分の手首を握るマジックの手を外そうと試みても、手錠のようにがっちりと手首に指が食い込み、ピクリとも動かない。
「なんで?」
「っ、なんでって……、当たり前だろ!!」
その言葉に、背を向けてシンタローの腕を引っ張っていたマジックが、振り返りシンタローに向き直った。
今までのような、おちゃらけた雰囲気ではなく、総帥をしている時のようなマジックの顔にシンタローは思わず身を強張らせる。
蛇に睨まれた蛙の様に、動きたくとも身体がそれを拒否しているようだ。
「当たり前?こんな常識が通じない島で、何が当たり前というんだい。当たり前なことなど、この島じゃ何一つ無いんだよ。 シンタロー」
そして、唇が重なるのではないかと、身構えるほど顔を近づけられて、囁かれた。
だめだ…。この瞳に捕らわれたら…。ダメだとわかっているのに、マジックから眼が離せない。
だめだ!!
「いい加減にしろっ!!」
必死にマジックから視線をそらせた。
ただそれだけのことなのに、頭がガンガンと打ちつけるように痛い…。真夏だというのに、冷たい汗が背中を伝うのがよく分かった。
熱帯特有のむわっとした、じっとりと肌に絡みつくような暑さに、脳までいかれそうだ。
こんな所…こいつの前から、いっこくも早く離れなければ…!!
そうなる前に…その原因でもあるマジックの腕を振り払うと、踵を返してスタスタと歩き始めた。
「ッ………!!」
マジックはシンタローに追いつくと、抗うシンタローの腕を無理矢理掴み、木陰へと誘った。
「ここなら、大丈夫。見つからないよ」
そう言って、近くの木にシンタローの身体を押し付ける。木と木の間からの木漏れの日差しが、二人の姿を照らし出した。
「や…だって…」
押し戻そうにも、マジックはシンタローの足元に膝をつき、がっちりとシンタローの腰を掴んで離さない。
「本当は、見せびらかしたいぐらいだけど…」
ズボンに手をかけると、下着はそのままに引き落とした。
「動物たちには目の毒だからね」
下着の上から、挨拶がわりにシンタローのモノのいたるところにキスを降らすと、そのポイントをついた愛撫に、ビクリとシンタローの身体が小さく震える。
「ああっ」
ぴちゃぴちゃと水音を立たせ下着の上からしゃぶりつき、手をシャツの下に滑り込ませると小さな突起を親指と一指し指で摘みあげた。
それに反応して、シンタローのモノはますます硬さを増す。
「もうこんなにして……」
「ん…だめだって………っ」
身体を後ろに引こうにも、幹が邪魔をしてままならず、その些細な動きが余計にマジックを奮いたたせる。
「うそつき。ここ、はちきれそうだよ、カチカチで」
「違うっ……見るなっ」
目線を下におろせば、マジックの唾液と自らのもので下着がじっとりと濡れそぼっている、視界の卑猥さに眩暈がする。
とても、正視などできなくて空を仰いだが、キラキラとした木漏れ日が余計に恥ずかしくて目を細めた。
「ここは素直なのに、上の口は素直じゃないねぇ~」
ねっとりと、下着の上から硬さを増したモノを舐めあげた。
「そろそろ、直に舐められたいでしょ」
シンタローの答えを聞かずに、目線を上目遣いにシンタローを捉えながら、焦らすように下着を引き下ろした。
「濡れた下着は…おろしづらいね」
くすっと笑うと、そのままシンタローのモノを口元まで運ぶ。
「パパ、お昼食べてないから、シンちゃんのバナナ味わいたいな」
「勝手にしろ…」
また、流されてる。それは分かっているが、頭が霧がかったように、麻痺して…抗うことなんかできない。
この南国の無人島がそうさせるんだ。外でするなんて考えられないが、この熱帯の雰囲気が狂わせる…。全ては…この南の島が。
シンタローは諦めたように、マジックの頭に手をおいた。
それを、了解の合図ととって、マジックはゆっくりとシンタローを銜え込んだ。
「ん…ふ…っ」
「…ここ好きだったよね」
「あっ」
鈴口から、皮膚の薄い一番敏感な場所を舌で突っつかれ、シンタローは思わずうめいた。
「厭らしい身体だね」
シンタローの滑らかな背中のラインから、引き締まった局部にいやらしく指を滑らせる。
肌の感触を楽しみながら、マジックはうっとりと熱に浮かされたように囁いた。
シンタローの耳に届くようにワザと囁くと音を立てて、視覚と聴覚からシンタローを追い立てる。
「美味しいバナナだよ…。本当に食べちゃいたいぐらい」
そう言って少し強めに歯を立てた。敏感な箇所に歯を立てられてシンタローは身じろいだ。
「あぅ…ッ・・・」
「でも…ここも美味しそう…挿れたいな」
双丘の狭間のあさましく息づき始めた箇所に指を這わせ、ココっと合図するようにノックする。
「ん………っ」
シンタローの幹から流れ出るもので、テラテラといやらしく映し出す狭い場所へと、シンタローの返事を待たずに、指を差し込む。
「あっはぁ…、だめ…。だ、め…」
体内へと入る異物感にシンタローは、身体を微かに強張らせた。頭を仰け反らせると、片手で顔を覆い、もう一方のマジックの頭に置いた手が、髪を掴んだ。
「シンタロー…」
「あ、あぁ……っ」
くぷりと音を立てて、指を突き入られる度に、シンタローは小さく身じろぎ返す。
「あーっ、もう、………っ」
ぐちゅぐちゅと指を動かされ、シンタローの腰が物欲しげに揺れはじめる。
「もう我慢できない? シンちゃんもパパのバナナ味わいたい?」
指を乱暴に動かしながら、ダラダラとは涙を流しているシンタローの先端に吸い付き、吸い上げた。
「ぁっくぅ、…ぐだぐた…いうな…、と、っとと入れろっ」
「腰ゆれてるよ」
「ふっ…ぅあ……っ」
「パパのバナナが食べたいって、言って」
「や、だ……あぁっん」
突き入れた指を動かしなら、なおもいやらしく舌を這わせる。
「くっ、そ……っっ」
シンタローは額に汗を浮かべ、手の隙間から抜けるような青空をみた。
俺だけじゃない…親父だって、この無人島にやられてる…。
確たる保障はないが、自分が感じてるようにマジックも感じてるはずだと思った。
それを確認しようと、片足を動かすとマジックのモノを布越しに足で押し当てた。
「………っ!!?」
「親父だって…、早く挿れたい、んだろ…?」
目線を下げ、挑発的に微笑むとマジックのモノに当てた足をいやらしく撫で付ける。
まさかのシンタローの反撃に、さすがのマジックもこれには驚いた。
「いけない子だ…パパを誘惑するなんて…」
「…ァッ…ん」
シンタローのむき出しの腿を掴むと、自分の肩にのせあげる。
そうすとると、シンタローの膝がマジックの肩にかかり自然と足が広がり、今まで隠されていた部分が露になった。
そうして、内側の皮膚の薄い柔らかい部分に口付ける。
思いがけない仕草にシンタローの身体がビクリと強張ると、マジックはうっすらと笑みを浮かべながら、足の付け根のあたりを執拗に吸い付いては、赤く印のついた箇所を舌で縁を描いたり。
というような愛撫を繰り返し、蜜をしたたらせ熟したモノには触れようとしない。
「あぁ…ぅ…っ、親父っ」
「何? パパに何をして欲しいの?」
耐え切れずにシンタローの身体が小刻みに震え、マジックの名を呼ぶのを、わざととぼけてかわしている。
なんともしても、シンタローの口から言わそうというのだ。
「んっ、ふ…あぁ……ん」
意地悪く中にいれた指で、乱暴にポイントの部分に爪をたてられると、片足で身体を支えていた足は耐えられるはずもなく、その刺激にシンタローの膝がカクリと折れた。
「おっと。 もう…立ってられない?」
倒れそうになる所をシンタローの腰を掴み支えると、片足は肩にかけたままで立ち上がった。
そして、シンタローの身体を木の幹に押し付けると、自身の赤い軍服の前を開け、ズボンをくつろがせた。
「あっ…」
シンタローの視界に、鍛え上げられた腹筋と茂みにの中の、立ち上がりかけた逞しい肉棒が、木漏れ日に照らし出されているのが入ってくる。
瞬間、なんとも言いがたいゾクリとしたものが背中をかけあがり、ゴクリと唾を飲む。
初めてみるわけでもないのに、直にみることがあまりなかったせいか、この場所がそうさせるのか…そこから眼が離せない。
やけに唇が乾いて、何度も舌で唇を舐め上げる。
「欲しいんでしょ? すごく物欲し気な顔してる」
耳元で囁きながら足を抱えなおすと、マジックはそろそろとシンタローのモノに、自らのものを押し当てた。
そして、ゆっくりと蜜を滴らせた根元から先端の行き来を繰り返す。
「あん…はぁ…ぁ…ん」
「すごい…もう完熟って感じだね…ヌルヌルしてる」
先走りで濡れた、ぬらついたものを擦り合わせるようにして腰を使うと、にゅちゃにゅちゃと滑った音が辺りに響きわたった。
その音さえも、シンタローを追い立てて、マジックを押し返すように、腰をゆるゆると重ねてくる。
「あっ…くぅ…はぁ…、いい…」
「そんなに気持ちいい? でも、こっちに欲しいでしょ」
互いのもので、ぬらついた粘液を利用して、シンタローの奥まった蕾に押し当てた。
「あ、…欲しい…、いい…、はや、くッ」
「何が欲しいの?」
収縮を繰り返し、中へと引きこもうとする動きに反して、身体を離すと再びシンタローの肉棒に己のを重ね合わせる。
「と、さ…ん、の。 ぁっ、バナナ…たべ、…させ…ッて」
マジックの身体を逃がさないように、抱えられた足に力がはいる。
「たっぷり、食べるといいよ」
そういうと、シンタローの腰を両手で掴み、下から一気に突き上げた。
「んっ、…あああぁぁぁ…っ!!」
下から何度もえぐるように動く度に、木がギシギシと音を立てて揺れる。
「いいよ…。極上のフルーツのように、どこもかしこも甘いね」
いつのまにか、首までたくし上げたれたシャツとマジックのはだけた胸元が重なる。じっとりと汗ばんで熱い肌にシンタローの肌が粟立った。
「こんなに、木が揺れてたら誰かきちゃうかもね」
微笑を浮かべ、口調とは裏腹に奥へ奥へと突き立てた。
「ぁっん、いい…いくッ……いき…ぁぁっ」
快感の波にさらわれて、シンタローは無意識にマジックの固い鍛えられた腹筋に、自身のものの先端をこすり付ける。
「ぅあっ! あぁぁ、い…いい、ダメ…だ…ぁっ!も、俺…っ」
背中を木の幹に押し付けられ、素肌が擦れる痛みを感じるよりも、マジックに与えられる快感が激しくて、背中に手を回すと軍服のジャケットを掻き抱いた。
「イクッ…あ、ああっ」
見計らったように、ひときわ強く突き入れられて、シンタローは全身を硬直させて解き放つと、濃い粘液がシンタローとマジックの肌を汚した。
ガクリと力なく、幹に寄りかかるシンタローを抱きしめながら、マジックもシンタローの中へ注ぎ込んだ。
「愛してるよ、シンタロー…」
言葉にできない感情を、確執を、隠すかのように何度もキスを交わした。
そして、荒く息をつきながら見上げた空は、変わらずに…。
突き抜けるような青い空。
眩しい太陽。
そして一面には青い海と煌く砂浜。
波音と南の風に耳をかたむけながら、マジックに身体をゆだねた。
@End@
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@Omake@
「今日のシンちゃんはよかったなぁ~」
軍艦の奥にある、総帥室で一人鼻歌まじりに悦に入る総帥が一人。そしてその男の手には白いタンクトップのシャツが…。
「あんなにうまくいくとはね~…さすが私」
うっとりと息子のシャツに握りしめ頬ずりをしながら、思い返した。
…シンタローはマジックに背を向けてランチボックス片手歩き出していたが、実はマジックもその後を歩き出していた。
だが、なぜか手には釣竿を釣り糸とフック。
シンタローが用意しているのを確認すると、素早くシンタローのシャツにそのフックをかける。そして後はシンタローが現れるのを待つばかり。
その後は、手はず通り…シンタローがシャツに手をかける前にシャツを釣竿でつればいいだけの話。
作戦は実にうまくいった。
釣ったシャツを小脇に抱え、一目散に逃げ…。そしてシンタローがくるのを今か今かと待っていたというわけだ。
どうにもやる気満々だったとしか思えないこの行動…。
そして、ちゃっかりシャツは返さずに持って帰るあたり…実に親族ストーカーという名がふさわしい。
マジックがシャツに鼻血を垂らさんばかりに陶酔している頃、シンタローといえば、タンノとイトウが持ってハズと二人…二匹に詰め寄っていたとか…。
@終了@
ありがとうございました。久々のおまけです。いや~これはキリリクの中では最短ですね。約一週間で終了。やればできるじゃん!!と思いました。
今回は青空でしたが、最初は青空でなく満天の星空の下で行うはずでした。なので、タイトルがパラダイス銀河なんです。
星空は木の茂みではなく、海辺でした。それもいいかなぁっと思いましたが、文字通り青空でいこうと、急遽青空で決行!!
全く違う内容になりました。夜は大人向けというかしっとり…という感じです。夜の海を見ながら…やっちゃうんですね!
結局、やることはやるんですが…。青空にしてよかったと思ってます~。素敵なリクをありがとうございました。
南国独特の開放感を少しでも感じていただけたら、幸いでございます。