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「ただいまー」
シンタローは今やっと自分の家件ガンマ団本部に帰って来た。
短い遠征ではあったが、やはり幼い頃から慣れ親しんでいる自分の家より住み心地のいい場所はない。
しかも遠征は旅行ではない。
シンタローは飛空艦の中自分の部屋があり寝る事が出来たが、下になればなる程一つの部屋で雑魚寝となる。
まだマシな環境ではあったが、やはりふかふかのベッドと温かいお風呂。そして人の手によって作られたご飯は遠い遠征の地に居る時から夢に見るような環境ではある。
そして何より、この精神的に重たい総帥服を脱ぎ捨てて、ただのシンタローになれるのだ。
団員に威厳を奮う事も気を使うこともない、今自分の行ける範囲でシンタローになれる場所。
行けない所を含めば、あの南国の楽園ではあるのだが、それと肩を並べる位、自室も安心できるのだ。
「おかえり、シンちゃん。パパね、すっっっっごく淋しかったんだよーッッ!!」
凄く、の場所を溜めに溜めてマジックはシンタローに訴えかける。
その目も仕種もパパに構って、パパと遊んでと言っているようで。
懐かしい。
そう思う。
そしてこのマヌケ面を見て俺は帰ってきたんだとしみじみ思うのだ。
そんな事は口が裂けても言えないが。
「あー、ハイハイ。早くナンか喰わせろヨ。」
そんな暖かい感情は見せないように、シンタローはまるでマジックを小間使いのように扱う。
もう、シンちゃんたら。感動の体面ときたらほっぺにチュッ!なのに!
拗ねたように唇を突き出しぶつくさ言う父親にジトッと瞳だけ動かすと、オーバーリアクションで、あー、怖い怖い。と肩を竦めるのだった。
ちょっとムカつく。
大体あの親父はどーして顔に似合わず自分を可愛く見せようとするのだろう。
人には向き不向きというものがあるということをこの五十代の父親に教えてやりたいと心の底から思った。
そう、もっと。
もっと親父の似合うキャラクターがあるのに。
それに気付かない所か真逆に行くンだから、あの親父も相当鈍い。
例えばサービスおじさんのようにクールで物静かで嫌味のないエレガントさで。
そこまで考えてシンタローは想像してしまう。
そんな理想のマジックを。スリスリも抱き抱きもせず、自分に余り関心を持たず、あまつさえ、自分が遠征から帰って来ても顔色一つ変えない。
…………それはそれでムカつく。
結局マジックがどう変わってもシンタローは気に入らないのだ。
「シーンちゃん!今日はシンちゃんが帰ってくる日って知ってたから、カレー、作って待ってたんだよ!」
ニコニコと善人そうな顔でマジックはシンタローに笑いかける。
シンタローもチロ、とマジックを見たが何を話し掛ける訳でもなく、頬杖をついていた。
キッチンから溢れる香辛料たっぷりの食欲をそそるカレーの匂い。
いつかシンタローも父のカレーの作り方をこっそり見て、同じ材料で同じやり方で作った事があったのだが、あの辛みがあるのに甘くてまろやかな味はどうやったって同じには作れなかった。
あの病み付きになるカレーはきっとマジックにしか作れないのだろう。
しかし、いつかは奥義を習得してやると、シンタローはひそかに闘争心をめらめらと燃やしているのであった。
「あーあ。昔はカレーって聞いただけで『パパ大好き!』って飛び付いて笑ってくれたのに…」
はぁ、と重い溜息をついてからとぼとぼ歩くマジックの後ろ姿を見れば、怒られてしょんぼりした犬みたいに肩を下げている。
まったく…
これじゃどっちが親かわかンねーじゃねぇか。
それに。
シンタローは思う。
ガキの頃と違って俺にも人並みの羞恥心はあるし、この歳でそんな事をしたら気持ち悪ィじゃねぇか。
そんな思いを抱きつつ、うざったそうにマジックを見る。
キンイロの髪がサラリと髪にかかっている。
「どーでもいいけど早く持って来いヨ。腹減ってるンだけど。」
呆れたようにそう言えば、マジックは「ハイハイ」と適当に返事をした後、「あーあ。昔はよかったなー。」などとグチグチ言っている。
あー!もう!そんなに昔が良かったってか!
今の俺はどーでもいいと!?
空腹とマジックのグチグチにシンタローの苛々が募る。
ダンッ!
テーブルに両手をついてマジックを呼ぶ。
テーブルに乗っていた花瓶がカタリと揺れた。
「親父ッッ!!」
呼ばれたのと煩い音にマジックはシンタローの方へ振り向く事は振り向いたが、悲しかったのか少し涙を溜めていて。
拗ねているのか、唇を尖らせていた。
「なぁに、シンちゃん。パパこれからお前の為にカレー持ってくる所なんだけど。あーあ。所詮お前にとってパパは小間使いなんでしょ!ふーんだ!」
「俺が全面的に悪い言い方止めろ~…。」

ぐすっ、と鼻を啜った後も、まだグチグチ言っている。
あーもうしょーがねぇなぁ。
どう言われたって、未来が見えないように過去にも帰れない。
一秒前にですら帰れないのだから。
「親父、解った。」
ガタリとテーブルから立つ。
白いレースのテーブルクロスが少しだけ揺らめいた。
来い来いと手招きをすれば、マジックは不信がりながらもシンタローの場所にやってくる。

チョコチョコ
チョコチョコ…。

警戒心全開なマジックはまるで野良猫みたいだな、と思う。
こんなデカイのが居たらたまったモンじゃないが。
マジックがシンタローの射程距離に入った瞬間、
がしっ!
マジックを両手で捕まえる。
マジックは少しびっくりしたようだが直ぐにふて腐れたあの顔に戻ったので、シンタローは気に入らない。
なんなんだヨ。

そう思ってマジックの唇に自分の唇を押し当ててやるのだった。
その瞬間、マジックの背後にはピンクの薔薇が咲き乱れる。
そして、天使達が頭の上を旋回し、黄金の鐘がリンゴーンと鳴り響き、沢山のトランペットの音と共に鳩が飛び出した。
「ん、ん…んむ…」
ぬめりとシンタローの舌がマジックの口内を侵入してきたので、それを絡めとる。
その気持ち良さからか、シンタローはギュッと目をつぶった。
息が苦しくなったので唇を離そうとするのだが、何故か離す事が出来ない。
マジックがシンタローの頭を押し付けていたから。
ダンダン!と、マジックの背中を叩いてみるが微動だにしない。
いや、動いてはいる。動いてはいるのだ。
頭と舌だけはシンタローの快感を引き出す為に、何度も角度を変えて、なぶるようにキスをする。
「ん!ン!んーーーッッ!」
頭がクラクラしてぼうっとする。
霞みがかった意識に、シンタローは次第にトロンとしてきた。
ようやくマジックが唇を離したので、シンタローは苦しかった息が楽になり、肺いっぱいに空気を吸い込んだ。
しかし、いきなりめいいっぱい息を吸い込んだ為、体が拒絶反応をおこし、咳込む。
体を丸めて咳込むシンタローに、まだ夢うつつなマジックは、キラキラ光りながらシンタローの丸まった背中を撫でてやる。
「大丈夫かい?シンタロー…。」
今のマジックは世界征服を企む悪の組織元総帥ではなく、紳士の国ジェントル星から来たファラオ、ジェントルマンであった。


「げほ、げほっ!」
しかし、そのお相手のシンタローはマジックにいらついていた。
が。
自分からした事なので怒るに怒れない。
はーはー、と肩で息をして呼吸を整える。
赤く潤んだ瞳でちら、とマジックを伺うと、幸せそうなマジックと目が合った。「あ~、シンちゃんからのキス!何年ぶりだろう!やっぱり私達は愛し合っていたんだねー!」
無駄にキラキラしつつシンタローを抱きしめる。
しかもオーバーリアクション。
「ば!バッカ!!あ、愛とか言ってんじゃねーヨ!恥ずかしいヤツ!!」
怒鳴って、恥ずかしくなって顔が赤い。
ポーカーフェイスができる柄じゃないから。
睨むようにマジックを見るが、劣情を含んだ瞳と、ひどくほてった体では、マジックは怯まない。
骨張った白い指先でシンタローの髪を撫でれば、ビクリと震えるシンタローがいて。
不覚にもマジックの顔が赤くなった。
それに目敏く反応するシンタロー。
だって、だって。
こんなマジックは珍しいもの意外の何ものでもないじゃないか。
親父でも、こんなツラすんのか。
じっと見ていると、ばつが悪そうにシンタローを見る。
「シンちゃん。私は珍しい動物か何かかい……。」
「そんなよーなモン…あ!バッカ!手で顔隠すんじゃねーヨ!!」
赤くなった顔をこれ以上さらけ出したくなかったのか、マジックは口元から顔を隠す。
「何、アンタでも恥ずかしい事があるんだ。」
アハハと、能天気に笑うシンタローに、マジックは眉をしかめた。
でも、すぐに口元の手を外す。
「当たり前だろう。私はお前の前では常にかっこ良くありたい。恋人の前なんだから当然だろう。」
そう、まだ顔の赤身が引かない顔で言われて。
シンタローの心臓がキューーンと締め付けられる。

恋人の前なんだから

言葉の意味を理解した途端、なんだか嬉しくなってしまって。
「あれ、シンちゃん。顔が赤いよ?」
「………。」
なのになんで雰囲気をぶち壊すような事を言うかな。このアーパー親父は。
肝心な所で鈍い。
ふて腐れていると、ふわりと何かに包まれた。
懐かしい匂いと、キラキラの髪。
それで、自分がどうなっているのかが解った。
俺は今、マジックに抱きしめられている。
「好きだよ。シンタロー。愛している。」
二度目のキスはマジックからであった。




「ふ…うん…っ」
鼻にかかる甘い声と、吐息。
シンタローの体を確かめるようにうごめくマジックの指先。
優しく、優しく、シンタローの体に自分の跡をつけていく。
「あぅ!!」
ビクリ!と、シンタローがわなないた。
そこはシンタローの感じる場所であり、シンタローを知りつくしているマジックならではの攻め方だった。
「大丈夫?シンちゃん…。」
ふうふうと浅い息を繰り返して、ふるふると首を横に振る。
否と言っているのに、その場所から違う場所へ移動する気はないらしい。
言葉は優しいのに、態度は残酷で。
しかも一番触れて欲しい場所には触れてくれない。
「あ、あ、や、やだ…ッッ!」
マジックの手を掴むのだが、やんわりと外されてしまう。
服を着たまま汚され、犯されていく。
「シンちゃん、可愛いよ。凄く可愛い。」
うっとりと耳元で囁かれて、シンタローは耳を塞ぎたくなる。
全身が既に性感態のようになってしまって。
耳元にかかるマジックの熱い吐息ですら、シンタローをおかしくさせる。
「ふ、や、やだ…ぉやじ…や…」
「何が嫌なの。」
こんなに喜んでいるのに、と付け加えて、ズボンの上からシンタローをさわる。
そこは既に熱く、湿っぽくて、シンタローの我慢汁が既に出ている事は想像に難しくなかった。
「あ、あ、」
ぎゅっと目をつぶり、マジックの服をにぎりしめるが、力が入らないのか、ほとんど触っているだけの状態。
やっと触って欲しい所に触れてもらい、シンタローは艶っぽい声を押さえきれない。
ゆらゆらと浅はかに揺れる腰に、己の恥態を恥じるが、止めようと思っても体が言う事を効かないのだ。
「や、あ、も、もぉ手、離せよぉ…」
唇を噛み締めて、イヤイヤと頭を振る。
ゾワゾワと鳥肌が立ち、黒い髪がぱさぱさと揺れた。
「可愛いね、お前は。本当に可愛い。ね、シンタロー。このまま服の上からイッてみるかい?」
言っている意味が余りにも残酷だと理解するのにそうは時間がかからなかった。
それは潔癖症なシンタローにとって、死ぬ程恥ずかしく、嫌な事で。
マジックの手から逃げようと必死にもがく。
「おやおや。まだ余力あるみたいだね、シンタロー。本当にやってしまいそうだよ。」
「は、離せ!変態!馬鹿!スケベ親父ッッ!!」
ヒクヒクとわななく体でそこまで暴言を吐くが、マジックが有利なのは至って変わらない。

「ホントにそんな事したら家出すっからナ!」
そう言うと、マジックは苦笑いをして、「それは困るね」と言った。
そして、シンタローのズボンを緩やかに脱がす。
シンタロー自身が外気に触れ、より一掃感じたらしく、猛々しく、天へヒクヒクと震えながら立ち上がっていた。
そして、その震えて涙を流しているソコに、直に触れられる。
「あぁ………」
待ち焦がれた快感に、甘い溜息を吐く。
早くイキたい。
それを強くシンタローは思う。
マジックの手の中で早く解放してしまいたくて、手の動きに合わせてシンタローも腰を振る。
でも……マジックによって作り替えられてしまったシンタローにとって、それだけじゃ足りない。
快感が足りないのだ。
今待ち望んでいる場所は男としては余り機能する事のない場所。
先程から金魚みたいに口をぱくぱくさせている。
勿論、揺らめく腰もヒクつく蕾も、今シンタローが何を求めているかすらマジックには解っている。
だが、それをあえてしてあげない。
シンタローの口から聞きたいのだ。
酷くストイックな男の口から卑猥な言葉を聞きたい。
普段のガードの固いシンタローも大好きなのだが、劣情に負けて哀願するシンタローもまた好きなのだ。
「どうしたの、シンタロー。物欲しそうだね。」
「ふ、ふぅ……」
声を出さまいと唇を噛み締めるシンタロー。
口を開けば言ってしまいそうになる卑猥な言葉を懸命に堪える。
絹糸のような細い理性にまだしがみついている。
「ここも男の子なのにヒクヒクさせて…言って御覧。その小さな唇でお前の思っている事を。」
そう言って、ヒクつく蕾をツツ…と指でなぞってやれば、シンタローはぶるりと震える。
ふるふると震えるシンタロー自身からはテラテラと白濁の液が溢れ出して、己の蕾までつたってゆく。
それを指で掬い取り、シンタローの目の前で見せる。
親指と人差し指でその液体を擦り、離す。
粘つくそれをシンタローに見せれば、恥ずかしさの余りシンタローは目線を反らした。
「ホラ、シンちゃんよく見て御覧?お前の出した液体だよ。イヤラシイ子だね。何か欲しそうだ。言わなければ解らないよ。ホラ、ね?」
まるで甘い囁きの誘導尋問。
催促するかのように、マジックはシンタローの液で濡れた人差し指をシンタローの蕾に浅く出し入れをする。
にちゃにちゃと音がした。

「あ!あ!あ、あぅ…」
気持ちはいい。
いいのだが、絶頂を迎えられるものではまだない。
もっと奥まで入れて欲しい。
解ってる癖にしてくれない。

意地悪。

シンタローは唇を強く噛み締めた。
「……て」
「ん?」
「―――ッ!」
勇気を振り絞って言った言葉は、マジックの耳に届かなかった。
いや、これだけ近い距離で言ってるのだから聞こえない訳がない。
キッと睨むがマジックは笑顔でそれをかわす。
ああ、俺は何をやってもこの人には勝てない。
もどかしい快感の中、シンタローは一人そう思った。
いや、違う。
わざと。わざと俺が負けてやるんだ。
コイツ精神年齢は俺より下なんだから。
ここは一つ俺が大人になってやらないと。
だから。

「親父の………入れて。」

そう言った瞬間、前のめりに体を倒された。
腰を高く掲げられ、一気に………貫かれた。
「あああああっ!」
指の比ではない圧倒的な質量と、熱い塊がシンタローを襲う。
フローリングの床にシンタローは爪をたてた。
待ち焦がれていた最奥の場所は、やっと来た快感に食らいついて、うねうねと奥へ誘い込む。
「シンちゃんの中…凄いキツくて、熱いよ…」
貫いた直後マジックが言う。
でも、シンタローの耳には声が届いても理解ができない。
限界まで引き抜かれ、また最奥へ貫かれ、シンタローの一番欲しい所へピンポイントで狙われる。
「ひぁ…あ、あ、と、とぉさん、ンンン…!」
ゆらゆらと無意識に快感を求め揺れる腰。
閉じられない唇から垂れ流される唾液。
溢れる涙。
「シンちゃん、シンちゃん」
睦言のように繰り返し繰り返し名前を呼ばれ、手を前にかけられ虐められる。
頭がくらくらしてどうにかなってしまいそう。
理性なんて引きちぎられて、ただ快感を追う事に必死で。
ぐるりと中に入れたまま体を回転させられ、顔がお互い見れるようにしてから、足をM字に広げられて貫かれる。
「あ!あ!あ!」
意味のない母音を並べ立て、マジックに必死にしがみつく。
息が苦しいが、快楽を追う方が優先されて、マジックの腰に己の足を絡ませ、催促する。
一際大きく貫かれ、マジックの熱い唇で塞がれた時、シンタローは前身を痙攣させ、絶頂を迎えた。
「――っさん…ッッ!」
ドクドクと流れる精と、きゅうっと締まる蕾。

その刺激にマジック自身も締め付けられ、シンタローの中で一際大きくなったかと思うと、熱い精をシンタローの中に流しこんだ。
「ひッッ…あ、あつ…」
涙で霞んだ瞳でマジックを見れば、滴る汗と共に笑顔で笑っていて、そんなマジックを見てシンタローも釣られて笑う。
安心したのか、シンタローはそのまま意識を手放したのだった。











ぱか、と瞳を開けると、マジックの顔があって、自分がマジックにひざ枕をしてもらっていたのだと気付いた。
「あ、シンちゃん起きた?」
気配に気付いたのか、優しい笑顔でシンタローの髪を撫でる。
「…ん。」
起き上がろうとしたら、腰に激しい鈍痛を感じ、ぱたりとマジックの膝に逆戻り。
マジックは困ったように笑ってから、ごめんね、と呟いた。
謝る事じゃないと思いつつ、空腹とけだるさから何も喋りたくなく、ぼぅっとマジックを捕らえる。
ぐうう…
「あ、ごめんねシンちゃん。お腹空いてるよね。今ご飯持って来るから。」
そう言って、近くにあったクッションをシンタローの頭の下に置き、立ち上がる。
その仕種をまた、ぼぅっと見送る。
キッチンに行くマジックだったが、ふと、止まり、シンタローを見た。
目と目がかちあう。
「さっきは昔は良かったなんて言ってゴメンネ。パパは今の方がやっぱりいいよ。」
そう言われ、シンタローは目をぱちくりさせた。
心がほんわか暖かくなるのを感じる。
「だって、シンちゃんとこうやってえっちもできるしね☆」
「………。」
バチン☆とウインクしていうマジックに、シンタローはさっきの胸のときめきを撤回し、殺意を覚えた。
頭の下に敷いてあったクッションを掴みマジックの顔面に投げ付ける。
「あ、アンタなんかサイテーだっ!!」
「アハハ☆シンちゃんたら照れちゃって。」
「照れてねーーーッッ!!」









終わり


.







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■4話 by Yukio

マジック

「何って…こうしないと、シンちゃん抵抗するだろう?」
 背後から、シンタローの顔を見つめて、楽しげに囁く。
 相当悔しいのか、形のいい唇を噛み締めて怒りに震えている。
 その様子にほくそ笑みながら、彼の顎に一指し指を置くとそのまま、喉元からくっきりと隆起した鎖骨をなぞり、総帥服のボタンに指をかける。
 その後の行動を読んでか、立ち上がろうとシンタローの身体が浮き上がる。…否、浮き上がろうとしたという所か。
 左腕でしっかりと固定していた為、実際にはさほどの抵抗でない。
 その隙に右手を器用に走らせて、ボタンを全て外して左右に開くと、淡い色の小さな飾りを先端に乗せた、ほどよく筋肉のついた胸が目に入った。
 なおも小さな抵抗を繰り返すシンタローを見やりながら、無言で拘束していない左腕から邪魔な衣服を無理矢理はいだ。
「ちょっ…!冗談でもやりすぎだろっ!…っく!!」
 まさか、執務中にここまでするとは思っていなかったらしく、シンタローが本格的に焦ったのか拳を私の腕めがけて突き出した。
(甘いよ…シンちゃん。パパはいつでも本気だよ)
 …だから、お前は甘いというんだよ。
 袖から左腕をはぎとれば、もう自由にしておく必要は無い。受け止めた左手をそのまま捻り右手と同様にヘッドレストに縛り付けた。
「おや、冗談でこんなことをするようなお友達がシンちゃんには居るの?…許せないね」
 …こんなにスムーズに行くとは思わなかった。
 目を細めて背後からシンタローの耳元に囁くと、彼の肌が朱に染まりピクリと身じろいだ。
「痛い?そんなことないよね」
 へットレストに括りつけられた、シンタローの手に軽く唇をつけると、そのまま左手の肘あたりまでゆっくりとなぞり…背後から手を差込んで、彼の背中でごわついている服を引っ張り胸元を露にする。
「その友達とは…こんなこともする?」
 シンタローの言葉をわざともじりながら、肘の内側の二の腕あたりに、吸い付いてうっすらと紅い後を残した。
 そのまま、イスに手をかけると反転させてシンタローと向き直る。
「どうするつもりだよ……」
 こんな状況だというのに、気丈に私を睨みつける。そんな瞳でさえ、私を誘っているようにか思えない。
「どうしようか…。どうすると思う?」
 片手を肘かけてにそえて、もう片方の指先で耳の後をなぞると、シンタローの身体がヒクン、と反応する。
 そんな自分の反応が嫌なのか、紐を千切ろうと腕が小刻みに震え、歯は食いしばっている。
 …このままでも問題は無いが、この先暴れられて逃げられては面白くない。
 …念には念を…転ばぬ先の杖ってね。ニタリと唇を吊り上げると、その笑みにシンタローが狼狽の色を濃くする。
 …う~ん、久々に見たな。シンちゃんのこういう顔…新鮮・新鮮。
「今、シンちゃんを縛ってる紐ね。特殊なゴムでね…最近作らせたんだけど、どんなに力入れても無駄よ」
 まっ、暴れたいなら暴れてもいいよ。幸い、跡がの残らない素材にしてあるし。
 私がそう言うと、瞳を一瞬見開き、ガタガタと諦め悪く腕を一層振るわせる。
 意識が腕に向いているうちに、身体を足の間に割り込ませると、片膝をシンタローの左腿に乗り上げて、ベルトに手をかけた。
「テメェ、ふざけろよ…」
 ギリギリと歯を食いしばり、興奮に目元を朱に染めて滲ませるがその瞳には、不思議なほどの色気がある。
 その様子が、私の欲望にまた火をつける。
「そんな顔しても、煽るだけだといつも、言ってるだろう」
 言いながらスラックスのベルトと、ボタンを外すとシンタローは息を飲む。
 私の手がファスナーをゆっくりおろしているのを見て、彼は一層焦ったように、
「やめ……っ、やめろって!」
「腰をあげて」
 そのままスラックスを、臍の下あたりまで下ろして促すと、シンタローは歯を噛み締めて、逆に腰を強く座席に押し付ける。
「腰をあげなさい。 このまま放置してもいいんだよ。……それか、今から誰か呼ぼうか……ん?」
 見上げてやると、屈辱に歪んだ顔でおずおずと、腰を浮かせる。
「……いい子だ」
 私は囁いて首筋に顔を埋めると、滑らかな肌に口をつけて軽く歯を立て、腿に乗せた足を下ろすとパンツごとスラックスを抜き去った。
「……あっ……」
 シンタローの唇が微かな喘ぎを漏らす。
「感じちゃった? まだ早いよ」
「何が…っ」
 その言葉に一笑すると、右足を掴み肘掛かけると足首を括りつける。
「おい…何してんだよっ!解けっ」
「何って…楽しい事に決まってるだろう」
 言いながら、抵抗する左足を掴むと同じように肘掛に括りつけた。
「すぐに、お前も…楽しくなるよ……」
(悦くなるの間違いかな…)
 数歩、シンタローの前から下がると、腕を組んで鑑賞するように下から上へと、ゆっくりと視線を動かす。
 両腕をヘッドレストへ括り付けられ、両足を肘掛にかけられて縛られ、M字開脚のシンタローの姿を…。
「見るな…ッ!見るんじゃねぇっ……さっさとやめろ!」
 恥ずかしそうに、身を捩じらせて、視線が合わないように顔を背けかぶりを振りながら、拒絶の言葉を口しても、露になった彼の欲望は立上がりかけていて…。
「やめて欲しいの?…それならどうして……」
 私はすぐ近くまで行くと、彼のやや立上がったものを見つめながら言う。
「…こんな風に硬くしかけてるのかな」
「違う…達ってなんかない」
 これまでの行程で、彼のものが少しではあるが立上がりを見せている。
「コレが感じてないと言うんだね…じゃあ、シンちゃんはどこか一番感じるのか、私に教えてくれないか」
 指先で、硬くなりかけた茎の部分をそっと悪戯に上下に擦り、指を離して彼の顎を掴むと、顔を正面に向きなおさせる。





■5話 by Hisui

シンタロー

「すぐに、お前も…楽しくなるよ……」
 艶を含んで歌うような声で囁かれる。

 ふざけんなっ。
 わざわざこんな場所で、こんな格好にされた時点で、楽しくなる要素なんか全然ないだろうが。
 いつも腰を下ろしている革張りの椅子が違うもののように感じられるのは、右袖を除けば「ほぼ」ではなく「確実に」全裸に剥かれた皮膚が、直接触れているからだ。
 身を捩れば、体温に馴染んだ場所からぺり、と引き剥がされ、新たに触れる冷たい感触が再び肌に吸い付いて温まっていく。
 この感触だけでも気色悪いっていうのに、更に腕は首の後ろへ上げられ、両足は開かれ、腋の下も、股間も全て晒されたとんでもない格好のまま椅子に括り付けられて、楽しい気分もあったものじゃないだろ。
 くそっ。どんなに暴れても戒めは痛みを感じはしないが、きつく食い込む圧迫感だけは確実に伝えてくる。

 なのに。
 マジックが手をかけた跡が僅かな熱を持つように感じた。
 肌を辿った指の体温。腕の内側や首へと遠慮なく吸い付いてきた唇の熱さ。そして、服を掴んで引き剥がす際に掠めた生地の摩擦からさえ、熱を移されたかのように皮膚が粟立つ。
 全ての感覚が生々しく、忘れていたもどかしい熱を呼び覚まし、身体は素直に反応を示しているのが自覚できた。
 隠すこともできず、ただ浅ましく欲望を示す身体を、明らかにそれを愉しんでいる視線の前に差し出すしかないのが口惜しい。
 それでも、明らかに欲望を示す自身に直接触れる指が動けば、薄い皮膚を通して伝わる刺激に腰が揺れ、更に快感を求めてしまうのは、仕方がないことで。
 喉が震えたのだってそれが気持ち良いからってわけじゃないというのに、全てをわかったような視線が肌に纏わりつくのが疎ましい。
 顎をとられると、愉しげに目を細めて見下ろしてくるマジックと視線がかち合う。今の状況が俺の意に沿わぬものであることを伝えようと眉を顰めたまま睨み返すが、薄い唇の端が僅かにつりあがって笑みが深まるだけだった。

「コレが感じてないと言うんだね…じゃあ、シンちゃんはどこか一番感じるのか、私に教えてくれないか」
「は?何馬鹿言って…」
 そんなこと言われて教えられるわけがないだろう。そうでなくても既に言い様に振り回されてこのザマだ。これ以上付け上がらせてたまるか。
 と、続けて口走ろうとした言葉は、耳許を擽る吐息と声に打ち切られた。
「教えたくないっていうなら、ひとつずつ確かめていくとしよう」
 そのまま耳朶を柔らかく食まれ、かかる息の熱さから逃れようと喉を反らすが、後頭部を支える椅子に遮られる。
「耳も気持ち悦かったよね。確か…」
「…なっ……ぁ!」
 強張る身体に一切触れず、左の頬を掌で包み込まれ、伸ばされた指先の爪が小さく掻くように耳の縁を辿ってくる。そのむず痒い刺激に反り返った喉が震える。
 身体の奥で燻る熱が更に高まり、中心に覚えるもどかしさもまた増していき腰が揺らぐ。
無意識のそれを、戒められた足首と椅子の軋みによって自覚させられた。
 頭を起こしたマジックが、唇に吐息のかかる至近距離で見つめてくる。耳孔の縁を滑らかな指の腹が丁寧になぞると、そのままゆっくりと奥へと。
 強く皮膚を擦るわけではなく、産毛を掠めるような小さな動き。ざわりと意外なほどに大きな音が響いて、背中を這い上がる奇妙な感覚。そこから呼び覚まされる欲望に一瞬ここがどこだかを忘れそうになり、椅子が小さく軋んだ。
「ほら、腰が揺れた。恥ずかしい子だね。ここがどこだかわかっているの?」
 愉しげな笑いを含んだ声に、意識を現実に引き戻され、背中が冷たくなる。
 このまま目を伏せて流されてしまえば楽だった筈なのに、マジックは許してくれなかった。
 卓上のペンを手に取ると、トントン、と机の端を叩いて鳴らし、机上に投げ出したままの書類の端をめくる音まで聞かせ、ここが俺の執務室であることを思い知らそうとしてくる。
 更に追い討ちをかけるように繰り返される問い。
「ねぇ、シンちゃん。ここがどこだかわかっている?」
「…ぁ……やだ…」
 乾いた指で嬲られた耳の縁を熱い吐息が覆う。強い羞恥に煽られた身体は、意識が冷えるのとは裏腹に更に過敏に感覚を受け止め、快楽へと変換していくらしく、息が甘く震えてしまう。
 堪え切れずに、両目を固く閉じる。今の自分の身体を目の当たりにしたくなかったのだが、それも逆効果だった。視界を塞いだ分、より匂いや音に対しては過敏に反応してしまい、耳を掠めてくる吐息や、僅かに鼻腔を擽る甘い香までが甘い刺激となって、俺の身体を苛む。
 張り詰めて脈打つ幹の先端から、とろりと何かが溢れ伝い落ちる気配に小さく息を詰めた。
「ぁ……っ……」
「やっぱり耳にもボタンがあったね」
「なっ…に……!?」
 囁きと共に、耳朶から耳孔へと濡れた舌が忍び込み、ぴちゃりと水音が大きく響く。
 何かを確かめるような口調に瞼を開けると、眼前にマジックが満面の笑顔で迫っていた。
 身体の内側に篭る熱を見透かすような深い青が、俺の喉元から下、胸元へと舐めるように視線を滑らせていき、一点で静止する。
 質量を伴いそうな視線に射抜かれ、胸元で僅かな主張を始めて固く尖り始めた乳首が主張を始めていた。






■6話 by Yukio

マジック

「も……っ、……よせっ!」
 私が濡れる耳朶から、ほどよく汗ばんで艶やかにしたシンタローの肌を舐めるように視線を走らせると、先ほどまでは大して変化を示さなかった乳首が反応を示す。
 シンタロー自身もそれを知ってか、居心地悪そうにモゾモゾと不自由な体を動かした。
 …それじゃ、弄って下さい。と言っているようなものだろう。
「なぜ……気持ちよくない?」
 口角を吊り上げて、耳元で低く囁くと微かなシンタローの動きとともに、胸の飾りが立ち上がりをみせる。
「あー、耳だけで感じちゃったのが恥ずかしい?でも、シンちゃんの乳首はそう思ってないみたいだよ」
 ほら。っと耳元で囁いたまま鎖骨に置いた指先を胸まで走らせて、飾りの周りの薄いピンクの部分をクルクルとなぞりあげる。
「………っ」
「触って欲しい、嘗めて欲しいって言ってるみたいだけど…」
 そう囁いて、口をうっすらと開くとシンタローの耳朶を包み込んで、じゅっと音を立てながら吸い付くと、顔を背けて
「離せよ、仕事中だろ……っ」
 きつい眼差しを私に向ける。
 ここまできても、抵抗を示すシンタローには、尊敬の念さえ浮かぶ。
 例え声が掠れて上擦り、瞳の奥では欲望の火が灯っていたとしても。
「ねぇ、嘗めて欲しくない?それとも歯を立てて…吸ってあげようか。音がするぐらいに」
 唾液で濡れた耳に、熱い息を吹きかけ、胸元で固くなった乳首を弾いた。
「あ、や……はっ」
「嫌?……やめて欲しい?」
 何度も指先で片方の乳首を弾きながら、もう片方は先端の周りをクルりとなぞりあげた。
 歯を食いしばりつつも、甘い吐息が唇から零れ落ちた。のは、一時ですぐに奥歯を噛み締めると、ギリギリと刺すような瞳で私を睨みつける。
 その瞳からは、『さっきから、そう言ってるじゃねぇか!同じことを言わせるなッ!』という言葉が聞こえてくるようで、思わず口元が緩んでしまう。
 …本当に、私を煽るのが上手いよ。故意にしてるのでは?とさえ思えてくるほどにね。

「素直じゃない子には、お仕置きが必要かな」
 私の言葉に微かに、動揺の色を浮かべたシンタローを見やりながら、彼の机へと視線を走らせた。
 几帳面な息子のことだ、あるハズだろう。
 折角だから、常に執務室で羞恥心が芽生えるようにするのも、面白い。
 そう想いを巡らせながらシンタローの執務机に手を伸ばすと、引き出しから目当てのものを探り出した。
「シ~ンちゃん。これ、なーんだ」
 それをわざとらしく、彼の目の前に見せ付けると左右に軽く揺する。はじめは 怪訝そうな顔をしていたが、私の行動に思い立つものがあったのか、ハッ!と顔色を変えた。
「そんなもの…羽根ボウキなんてどうするつもりだッ!」
 そう、どこにでもある…羽根の弾力がしっかりとした、片手に持ち消しゴムなどを払う時に使うそれである。
「どうって…シンちゃんの想像通りだと思うけど」
 そう言って、それでシンタローの首筋から胸元へと一瞬滑らせると、こそばゆいのか身を捩じらせた。
「………くぅっ」
「くすぐったいかい?」
 普段なら、くすぐったいと笑い声しかでない所だろうか、ある程度追い詰められた色気を帯びた体には辛いかもしれないね。
 何度も、肝心な胸の飾りには触れずに、耳元からお腹の臍あたりを往復させると、クネクネと体を身を捩らせ始めた。
「どうして、欲しいか。シンちゃんの口から聞くまでは、コレやめる気ないからね」
 シンタローの視線が羽根ボウキに集中するの見とめて、ゆっくりと胸元へそれを這わせた。
 最初は、羽根先が触れるか触れないかぐらいで、胸元の先端を掠めさせ、時折強く弾く。
「ぁ…、はぁっ……ん」
「感じちゃう?」
 クスクスと喉の奥で笑いながら、胸元の羽根ボウキはそのままに、もう片方の乳首に顔を近づけるとチュウとわざと音を立てて吸い上げた。
「あ……ッ、あ、あぁ」
 縛り付けたイスの時折軋む音を聞きながら、吸い付いた乳首がたっぷりと濡れたのを確認して口を離した。
「さ、今度はこっちの乳首を可愛がってあげよう」
 そういって、濡れた乳首を羽根ボウキでなぞりあげると
「やめっ…くっ、ん……あ……!」
 シンタローの甘い嬌声ともに、先ほどの先走りの蜜がトロトロと幹を伝って、革張りのイスに濃い染みをつくった。
「おやおや、シンちゃんから出た透明な液が革張りのイスを汚してるよ。ガンマ団総帥ともあろうものが、恥ずかしくないのかい?」


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地球は丸い。
誰もが確認することなく当たり前のように認識している。
そんな当たり前の事を言うかのようにマジックがシンタローに言う。
『シンちゃん、婚前旅行は何所に行こうか?』

食卓に並べられたお味噌汁からほこほこと白い湯気が立っている。
それを取ろうと伸ばそうとしていた手がぴたっと止まった。
「は?」
シンタローが何を言われたのか分からない、というようにマジックに訊き返す。
「もう、やだなぁシンちゃんったら。照れちゃって。パパも恥ずかしいんだから・・・」
器用に箸で焼き魚の身を突付いていたマジックが手を休めて、恥じらいなく言い切る。サックリと真顔で。
「婚前旅行。どこがいい?」
シンタローが誤って何か硬いものでも噛んでしまった様ななんともいえない表情をする。
右手に持っていた箸を丁寧に箸置きへと横たえる。
自由になった指先をこめかみに当てながら、つぶやく。
「ああ、最近忙しかったからなぁ。」
「何をいっているんだい、シンちゃん?」
ぶちっとどこかで何かが切れるような音がした。
そう言いたくなるほど、シンタローの表情が一変する。
「馬鹿かっ!」
怒声とともに、食卓にバンッと手をつく。食卓のものが跳ね上がる勢いだ。
「えー、パパはいたって正気だよ?」
怒鳴られようが、どこ吹く風。暖簾に腕押しとはこの男のためにある言葉かもしれない。
一休み、といわんばかりにお茶を一口含み、マイペースに続ける。
「愛する人とは、結婚してずっと一緒に居たいと思うのはあたりまえでしょ?」
トンと湯飲みを置く。
「だからその約束をするまえに、記念の旅行。」

シンタローの瞳をこの上なく真剣に見つめる。
本音をまっすぐにぶつけると、この照れ屋の息子は逃げてしまうだろう。
だから普段マジックは軽く言う。が、ふっと気持ちが零れてしまうことがある。
それがこういうときだ。
シンタローがそれを察したのか、ぐっと言葉に詰まる。
いつもなら怒鳴り返して、終わり。
それが今日は出来ない。
マジックはあんなに馬鹿なことを言っているのにだ。
ここで拒絶したら、もう振り返ってもらえないかもしれない。
常に俺様道を行くシンタローだが、マジック相手だと上手くいかない。
唐突にぶつけられると、気弱な心がもたげる。
心の奥まで、勝手にずかずかと踏み込まれる。
そんな思いが顔に出ていたのだろうか、マジックが
「シンちゃん。ごめんね。」
あっさりと身を引く。
「な、なんで謝るんだよ・・・」
「シンちゃんを困らせちゃったみたいだからね。」
「別に困ってなんかねーよ。」
「そう?ならいいんだけど。」
シンタローの下手な嘘に乗るマジック。
「じゃ、どこに行こうか?」
いつものマジックに戻りほっと息を吐き出す。いつの間にか強張ってしまっていた肩の力を抜く。
「・・・どこでもいいよ。アンタと一緒なら・・・」
それでも先ほどの雰囲気に呑まれたままだったのだろうか、
常には絶対に言わない言葉を吐いてしまう。
「そっか。」
マジックは心からの笑みを浮かべる。 とても優しげだ。
いつも笑っているように見えるが、この笑みはあまり見ることはかなわない。
「じゃあやっぱり出かけるのは止めて、今みたいにのんびりと家で一緒に過そうか?」
その方がシンちゃんとゆっくり過せそうだしね。とまた微笑む。
「そうだな。」
「またシンちゃんの手料理が食べたいなぁ。」
「いいぜ。アンタの好きなもの作ってやるよ。」
つい嬉しくなり、応じる。
「シンちゃんは、お料理も家事も得意だものね。」
また食事に箸を伸ばし、シミジミと呟く。
「直ぐにでもパパのお嫁さんになれるね。」
「チョーシに乗るなよ。」
シンタローも食事を再開する。
照れているのか、ご飯を口に運ぶ動きがせわしない。
そんなシンタローを、マジックが見つめる。
久しぶりに素直なシンタローが見られて嬉しいのかもしれない。
シンタローもマジックをチラッと伺う。
そして、思う。


たまにはこんな日もいいかもしれない。

6.11
mm*
「ねぇ、シンちゃん。」
「あんだよ。」
「コスプレごっこしない?」










「しない。」
又あの、アーパー親父は訳の解らん事を!
今、シンタローとマジックは、マジックのベッドの上で裸で抱き合っていた。
かなりイイ雰囲気だったのだ。
それは、なし崩しじゃなく、シンタローの意識がハッキリしていて、それこそ合意の上ということになれば、それ相当じゃないといけない事はお分かりだろうか。
その雰囲気をいきなり根本からぶち壊し発言をしてきたのだ。
このバカたれは!!
「そこをなんとか!」
「なんとか、じゃねぇ!!」
普通にできんのか。
いつも通りでいいじゃねーか!
シンタローはベッドからギシリと音を立てて下りる。
マジックが泣きそうな顔をしていたが構うもんか。
「あ、あの、シンちゃん?」
シンタローの手を握り締めようとしたが、タッチの差でマジックは空を掴む。
シンタローはマジックをギロリ、と睨むと一言。
「さいてぇ。」
それだけ言うと、さっさとバスローブを身に纏いマジックの部屋から出ていってしまったのであった。
マジックは己の失敗に涙でうちひしがれた。
ああ、何で私、我慢できなかったのだろう。
シンちゃんのあられもない姿が見たいという欲望に負けたッッ!!
私のばかばか!マジックのばか!!
そう後悔しても後の祭。
あれだけ雰囲気よくシンタローが抵抗せず身を任せてくれたのに。
そんな事、一年に一回有るか無いかなのに!
マジックは今日の失敗を胸に悶々した気持ちの中、ベッドに潜り込んだ。









アイツ最低!
つくづく普通じゃねぇと思っていたが、あそこまでとはッッ!!
クッ!あれが親!俺の親父!!恥ずかしい!!!
シンタローは大股で部屋に帰る。
今日の事は寝てスッキリしよう!
親父がアホなことは前々から知ってたが、いくらなんでも俺もう成人してンだから。
親父の着せ替え人形じゃねぇンだヨ。
部屋に戻るなり、シンタローはベッドに寝転がる。
そして、少しほてってしまった顔を枕に押し付けた。
マジックとの情事を期待していた体は少し熱くて。
ちょっと勿体ない事したかな、とか考えてから、ブンブン頭を振った。
わーわーわー!!何を考えてンだ!俺はぁ!!は、恥ずかしい!!
余計顔が熱くなったのを感じたが、シンタローは枕に顔を埋め無理矢理瞳を閉じた。

次の日、シンタローは苛々した気持ちの中仕事をする。
毎日毎日飽きる事なく続くデスクワーク。
時折コーヒーをがぶがぶ飲み、コップをディスクにたたき付ける。
頭の中では昨夜のマジックの事ばかり。
ムカつく!すっげームカつく!!
だん!だん!と、ハンコを押すシンタローに、回りの秘書達は恐れおののいていた。
「シンタロー、どうした。」
唯一シンタローと肩を並べるキンタローが話し掛けるのだが、
「あんでもねーよ!」
不機嫌極まりない声色で突っ掛かるように言うのだった。
キンタローは溜息をつき、空になったシンタローのコップにコーヒーを入れる。
入れた途端、又それをがぶがぶ飲んで、乱暴にハンコを押す。
そんな中、休憩時間に突入したのだが、いつものごとくシンタローは休む事なくハンコを押し続けていた。
秘書達は総帥の「俺に構わず休み時間はしっかり休め!」の言葉通り、総帥室からは出ないが昼飯を食べたり雑誌を読んだりしている。
一人の秘書が読んでいた雑誌にシンタローの目が止まった。
じっ、と見つめるその目線の先には“マンネリ対策!!コスプレ必須!!”の文字が。
マンネリ対策ぅ?
シンタローはふと、思う。
なんだ、親父のやつまさかマンネリなんて感じてんのか?
いや、まさか親父に限ってンな事ねぇよな?
だって、いつもシンちゃん、シンちゃん、ってウザイ位に言ってるし…。
でも、万が一、もしも、もしかしたら………。
俺、親父に飽きられちゃってる―――?
今、シンタローの脳内映像のマジックは、マジックが下品な笑いを浮かべ、顔は見えないが、コスプレ美女と肩を組んでいるシーン。
「オイ!」
シンタローは思わず雑誌を読んでいる秘書を呼ぶ。
雑誌を読んではいけないと今まで言われた事などないので、その秘書は怪訝な顔をしながらも返事をした。
「ハ、ハイ、何でしょう?シンタロー総帥。」
「悪ぃんだけどヨ、その雑誌、ちょっと見せてくんねぇ?」
「あ、ハイ、どうぞ。」
秘書は、シンタロー総帥も週刊誌なんて読むんだな、なんて思いながら素直に渡す。
シンタローはパラパラとお目当ての記事の所まで開くと、食い入るように見た。
何々、男がコスプレを求めるのはマンネリ解消の一つの方法。
フーン。
コスプレをする事によって日頃マンネリ化した行為が解消される事確実!
へー。


日頃、浮気をしない人や、浮気が出来ない人にはオススメです!
…………。
コスプレをして、マンネリ解消!!楽しい性ライフをおくってみましょう!
……ほぉ
コスプレをしたいと言う恋人に、したくないと答えてはいけません。断った場合、相手に浮気をされる確率は68%にも昇ります。(当社比率)
………!
恋人に飽きられない為にも恥ずかしがり屋なアナタ!是非やってみて下さい。もしかしたら以外な彼の一面が見れるかも!!
シンタローに衝撃が走る。
下にはコスプレしてほしい服装のランキングが男と女に分かれて書いてある。
シンタローは男がしてほしいコスプレランキングを目を皿のようにして見つめた。
③位!ナース服
②位!スチュワーデス
①位!セーラー服
①位に寄せられたコメント:清楚な感じが堪らない。若々しい感じがする。ストイックな感じがいい。
ほー、セーラー服がいいの。馬鹿じゃねーの、犯罪じゃねーかよ!
……………親父もそうなのかな。
イヤイヤイヤイヤ!!例えそうだったとしても俺は断じて着ない!絶対!どうしても!!
その記事を見終わると、シンタローは雑誌を秘書に返し、目を隠すように机に肘をつく。
でも、しなかったら親父が他の女と……いや、俺には関係ねぇ!!
そうは思うが、本心では気に入るはずもなく。
シンタローは深く重い溜息を吐いて仕事を再開した。
しかし、先程とは打って変わって、のったらのったらと。
キンタローも又、軽く溜息を吐き、又、空になったシンタローのコップにコーヒーを入れてやるのだった。










のったらのったらしていたせいで、日も大分とっぷり暗くなってしまった。
時計を見ると22:54。
キンタローは一時間前に帰らせていたので、残るはシンタロー一人。
家に帰ったら夕飯食って、風呂入って寝よう。
ぽけ、っとしながらそう考えてシンタローは家迄帰って行く。
エレベーターに乗って自宅フロアまで。
チーンという間抜けな音がなってから、プシュン!と空気の抜ける音がする。
だらだらと食堂に入ると、いつものようにシンちゃんシンちゃんとウザイ位付き纏うマジックの姿が見当たらない。
御飯は綺麗にラップされていて、多分、グンマとキンタローが食べた後の食器が流しに水に浸からされてあった。
御飯の下にはピンクのカードに赤い文字で“シンちゃんの分ν”と書かれてある。

こんな事を書く位なのだから、マジックは何かの用事で外出しているのだろう。
自分は何時もこれくらいの時間に帰って来るのだから、それまでに帰ってくる気がないからわざわざメッセージカードなんかを置いておくのだ。
あの親父、なーにやってんだ!
冷めた冷や飯を食べる気分にはなれず、シンタローはとりあえず有り合わせのもので炒飯を作る。
おかずにキムチがあってラッキーとばかりだ。
ポテトサラダをつまみながらシンタローはふ、と昼間の事を思い出す。
思い出したのは自分のイメージが作り上げた他の女とコスプレごっこを楽しむマジック。
「うわ、気持ち悪ッ!」
おえ、と、誰も見てないのに一人ジェスチャーをしてみる。
だが、脳内の妄想はシンタローの意思とは関係なく進んでゆき、最後は見知らぬ女性とキスをし始めた。
そして、マジックが「私にはアナタしかいない。」と呟き、顔の見えない女性は「私も…愛してるわ!マジック!!」と言い、辺り一面に白い薔薇が咲き乱れる。
20代後半の分際でこんな少女漫画みたいな妄想しかできないのは、彼が女を抱いた事がないからと言えるであろう。
そして、父親の情事を妄想したくないというストッパーがついているから、AVのようなグロテスクかつ、エロチシズムな妄想に捕われなかったのかもしれない。
「まさか、な。」
ハハ、と渇いた笑いを浮かべる。
まさか本当に浮気だったりして。
そしたら笑えないじゃねぇか。
なんだかんだ言ってもシンタローはマジックを愛している。
口には出さないがそうなのだ。
取り敢えずマジックを待ってみようと、シンタローは夕飯を平らげ、コーヒーを飲みながら待っていることにした。
べ、べつに親父が浮気してるかもしれないからとかそーゆーんじゃ絶対ねぇんだからな!!
ここにはシンタロー一人しかいないのに、しかも心の中で自分に自分で言い聞かせる。
そして、シンタローは自分の言い訳に納得すると、静かに座ってマジックの帰りを待った。










どれくらいの時間がたったのだろうか。
シンタローは寝てしまったのだが、ふとした違和感で覚醒した。
長い事軍人なんてやっているので、臭いや物音に敏感なのだ。
歩いて来る足音はマジックのソレなのだが、匂いが。

違う。

何時ものマジックの匂いじゃない。
幼い頃から慣れ親しんだ心地良い匂いと異なる匂いに、シンタローは眉を潜めた。

なんだってーんだ?
聞き耳を起てると、足音はこちらに近づいてくる。
どうやら食堂に明かりが付いていることが気になったのだろう。
プシュン!ドアの開く音と共に鼻にかかる甘ったるい匂い。
明らかにマジックの匂いと異なるそれに、シンタローは苛々してしまう。
「シンちゃん。シンタロー。起きないと風邪引くよ。」
シンタローを揺さ振って起こそうとする。
シンタロー自体はもう起きているので、そのままガバと起き上がった。
「くさい。」
起き上がるや否やマジックに一言。
微かだが酒の匂いも感じとれる。
「え?そ、そうかな?ごめんねシンちゃん!パパお風呂すぐに入って来るから!」
お風呂、という単語で匂いの正体が解った。
あの匂いはシャンプーの匂い。
誰だったか忘れたが、団員の誰かが今流行ってるとかで、そのシャンプーを使っていた事があったのだ。
薔薇とストロベリーのドッキングされた甘い匂いだ。間違いない。
「又入るの?その匂いシャンプーの匂いだろ?」
指をマジックの髪に向かい指す。
「だってシンちゃんクサイって言うから…。」
うちにそんなシャンプーを使ってる奴はいない。
うちのシャンプーは節約の為、個人個人で別けていないので、一般的な普通のシャンプーなのだ。
「親父、アンタ今まで何処行ってたんだヨ。」
そう尋ねると、マジックは別に、とさしてなんでもないかのような口ぶりで笑う。
それが益々気に入らない。
だが、シンタローの脳内にピーンと浮かぶ妄想イメージ。
も、もしかしなくても浮気かよ!?
やってきた後で一緒に風呂にでも浸かってきたのか。
ムカムカとやり場のない怒りがシンタローを支配する。
あ、そう。そーゆー訳。へー。
つーか、何処の誰とヤってきた訳?
残り香迄つけてきて。
ガタン!と勢い良くシンタローは立ち上がる。
「どうしたの?シンちゃん。不機嫌だねぇ。」
理解していないマジックはニコニコとシンタローの肩に手を置いた。
しかし、振り向いたシンタローにマジックは驚愕する。
シンタローの顔は怒りではなく悲しみ。
泣きそうな、今にも涙の出そうな顔でマジックを見つめる。
そして、
「アンタさいてぇ。」
昨夜とは違った意味の持つ同じ言葉を吐いたのだった。
「な、何で?パパ、お前に何かした?ねぇシンタロー、どうしたの。」
そう聞いてもシンタローは、うるせー、黙れ、の一点張り。
一方マジックは意味が解らないでいた。
まして自分が浮気の疑いをかけられているなんて知るよしもない。
「ちゃんと言ってくれなきゃ解らないよ。どうしたの、シンタロー。」
シンタローの頬を両手で覆い、マジックはシンタローの瞳を見る。
ゆらゆら揺れている黒い瞳はいつ見ても綺麗で。
「アンタ。今まで何処で何してたの。」
シンタローが前と同じ質問をもう一度投げかけた。
「何もしてないよ。ただちょっと飲みに行ってただけで。」
「誰と。」
「一人だよ。」
「何で風呂入ったの。」
「気まぐれだよ。」
そこまで聞いてシンタローは深い深呼吸をした。
俺、これじゃまるで浮気を問い詰める妻みてーじゃねぇか。
馬ッ鹿みてー。
「どうしたのシンちゃん。今日、本当に少し変だよ?」
「証拠は?」
「え?」
「一人で居たって証拠!」
そこまで言われて流石のマジックもピンときた。
ははぁん、この子、私が浮気してると勘違いしてるな。
頭の中の妄想が本当かどうか確かめたいって所だろうね。
「証拠なんてないよ。ねぇシンタロー。何で今日に限ってそんな事聞くの?何時も聞かないのに。私が誰と飲みに行っても何も言わないのに。」
「な、なんでって…何となくだ!何となく!!」
プク、と膨れて顔を反らす。
あれあれ、シンちゃんたら、カワイイんだから。
「変なシンちゃん。ま、いいや。パパちょっと疲れちゃったからもう寝るよ。オヤスミ。」
「え?」
マジックは素知らぬふりで部屋を出ていく。
シンタローは呆然と立ち尽くした。
いつもだったら、シンちゃん一緒に寝ようって、しつこく聞いてくるのにそれすらしない。
怪しい!怪しすぎる!
シンタローは唸る。
もしかして、もう、俺に飽きちまって、その、誰だか知らない奴の方がよくなっちまったのかも。

コスプレをしたいと言う恋人に、したくないと答えてはいけません。断った場合、相手に浮気をされる確率は68%にも昇ります。

今日見た雑誌の記事が脳裏に過ぎる。
シンタローは真っ青になった。
ヤダ。そんなの嫌だ。
もう、シンタローは自分の気持ちに言い訳はしなかった。
そんな余裕すらない。
やってやる!俺はやってやるッッ!!そいつに出来て俺に出来ない事はねぇ!俺は!俺はガンマ団総帥、シンタローだーッ!!
シンタローはそう意気込むと、ラックにあるシャンパンに手を延ばす。

そして、コルクを抜き、がぶ飲みをする。
そんなに酒の強くないシンタローは、一升ビンを空けた途端顔が真っ赤。
チュポン!と、唇を離し、へべれけである。
コスプレ位なんだっつーの!俺なんかなぁ!着ぐるみだってなんらって、やってやるさぁ!コンチクショー!!
シンタローは空になった酒ビンをテーブルに置き、又新たにシャンパンを開ける。
それを片手にシンタローはマジックの部屋へ行くのだった。
待ってろよー!クソ親父!!俺が本気になればアンタらんてなぁ!一発よ!一発ッッ!!
フラフラと千鳥足で歩いて行く様は、どっかのサラリーマンみたいだった。










「おやじぃー!」
ビーッ!
「おやじいぃぃ!!」
ビーッ!ビーッ!
部屋のインターホンをビービー鳴らし、仕舞いにゃ、ドアをバコバコたたき付ける。
直ぐにドアが開き、マジックが顔を出すが。
「シンちゃん!?どーしたの!?さっきまで素面だったのに!いつ飲んだの!?」
心配するマジックに、シンタローはにへら~と笑って又シャンパンを飲む。
「おやじ、おれとぉ、コスプレごっこしたいってヒック、いってたよなぁ~!だからぁ、今、Now!しよーぜー!着ぐるみでも何でも持ってこぉおい!!」
ハッハッハー!!と、何故か誇らしげに笑うシンタロー。
「や、別に着ぐるみは…」「あんだよ!じゃ、セーラー服かぁ?」
「そ、それも捨て難いんだけど、シンちゃん本気?パパ、夢を見てるようなんだけど。」
「本気も本気!らいほんきらーー!」
そして、又、にへら、と笑う。
とりあえず酔っ払いを部屋に招いてマジックは、シンタローに着てもらおうと通販で買ったコスチュームをシンタローに渡す。
渡されたコスチュームを見て、シンタローは案外普通だな、と酔った頭で思う。
渡されたのは弓道等で着る袴。
酔ったシンタローは、総帥服を脱ぎ捨て、袴を着る。
上は合わせるだけなのだが、袴なんて履いた事がないので中々悪戦苦闘。
あんだ?この紐。結べばいーのか?
そんな事をやっていると、マジックが後ろからシンタローを抱きしめた。
「シンちゃん。」
妙に艶っぽい声で自分を呼ぶので、シンタローは鳥肌が立つ。
ぶるり、と体を震わせて、シンタローはマジックのされるがままに身を委ねた。
優しくベッドに下ろされて、至る所にキスの雨。
くすぐったくて、シンタローは身をよじる。

「あはは、お、親父、くすぐってーけど。」
「フフ、シンちゃん上機嫌だね。」
せっかく合わせた上着をはだけさせると、シンタローの健康的な肌が表になる。
首筋から胸元を舌で舐めれば、また、シンタローはくすぐったがり、クスクス笑うのだった。
クスクス位ならまだいいのだが、いきなり爆笑されたりもする。
「やべ!アハハ!親父、やべーよ!あはははは!!」
「え、シンちゃん、それって笑いすぎじゃない?」
ヤバイのはお前だよ、と言えない息子に甘いパパなのでした。
「そんな子には、お口を塞いじゃおうね。」
「ふ、ンーー!」
マジックがいきなり舌を入れてきた。
ねっとりとした感触が口内に広がる。
音をわざと立てて、シンタローの羞恥心をかき立てる。
「ン、ン、ふ、ウン、」
「ね、シンタロー、知ってるかい?」
ちゅ、と、唇を離し、お互いの唇が付くか付かないかの距離でマジックが話し始める。
シンタローは軽く息を吸いながらマジックの話を半分聞いているようないないような。
何しろ酔っ払いなので、余り意識もハッキリしていない。
「くすぐったい場所は全部性感帯なんだって。」
そうすると、シンちゃんは全身性感帯ってコトだよね。
楽しそうにマジックが笑う。
そして、またキスをする。
シンタローがキスに酔っていると、
「ンン!!」
シンタローの体がびくついた。
マジックの指が、袴からシンタローの下半身に忍びより、ふとももを撫で上げる。
ゾクリとした快感。
触って貰えないもどかしさ。
何で?という風に見上げれば、絶対分かっているくせにすっとぼけるマジックがいて。
でも、触って、なんて。口が裂けても言えない言葉。
意地悪。
心の中で悪態をつく。
「おや?…ふふ、シンちゅんったらイヤラシイ…。」
マジックの指にほだされて、シンタローの腰が宙に浮き、浅ましくゆらゆらと揺れる。
マジックが腰が、だよ。という風に腰を撫でると、ハッとしたようにシンタローは目を見開き、羞恥に悶えながら、泣きそうな顔をしてそっぽを向く。
その態度が又、マジックを酷く煽り、彼の加虐心を刺激する。
「シンちゃん。ココ、ヒクヒクしてるね。」
ココとは、シンタローの蕾で。
骨ばった長い指をツンツンと入口付近を触る。
赤く充血しているそこを楽しそうに触るのだ。
「とぉさ…」

意を決したかのようにシンタローがマジックに話しかける。
しかも、親父、ではなく、父さん。
マジックは優しく笑い、汗ばんだシンタローの前髪をかき揚げ、顔を良く見た。
虚ろな瞳は既に劣情に負けていて。多分、酒の力も借りて、いつもより体が熱っぽい。
「なぁに?シンちゃん。」
「………。」
「どうしたの?言わないと解らないよ。」
解ってるくせに。
ジトリとマジックを見ると、マジックはにこやかに、まるで今気付いたかのように笑った。
「ああ、もう入れて欲しいんだね。」
そう言われ、シンタローは頬が熱くなるのを感じた。
たまにはマジックも自分の気持ちを解ってくれるんだと、シンタローは思う。
しかし。
「じゃあ、シンちゃん。」そう言って唇を耳元へ近づける。
マジックの息遣いが聞こえた。
そして、その唇からとんでもない言葉が発される。

上に乗って自分で動きなさい。

驚愕の表情でシンタローがマジックをみやる。
しかしマジックはにこやかな笑みを崩さない。
うえ?上?上に乗…な、なんつー事を言いやがんだ!こンのクソ親父ッッ!!阿保か!ムリムリぜーったい無理!!
あわわ!と取り乱すシンタロー。
だが、待てよ。
俺は何の為にこんな事をしてたんだっけ。
そーだ!親父が浮気してたかもしれなくて、そいつに勝つ為…そーだよ。勝つ為だよ。なのにこーんな所でもたついててどーすんだ俺ッッ!恥とか棄てねーと。第一俺酒飲んでるし。酒のせいにしちまえばいいじゃねーか!
俺ってば頭イイ!!
シンタローの頭の中で自分は天才と結論が出たようだ。
のそり、と起き上がり、マジックを組み敷く。
マジックは薄い唇の端を上げてシンタローをみやる。
「俺のぉ、スーパーテクをとくとみやがれ~!」
そう意気込み、己の蕾をマジシン自身に埋め込む。
「ン、ヒァ、ッッ――!!」
ググ、とうごめく熱いもの。
ゆっくり腰を降ろし、シンタローは歯を噛み締めた。
生理的な涙が目に留まる。
「シンちゃん。ホラ、まだ半分だよ。頑張って。」
マジックはそう言って、シンタローの己を支えている手を払った。
「ヒャアアアア!!」
ズブブブ!!と、調節していたものがタガを外したように、シンタローの最奥へ無遠慮に侵入してくる。
「は、はぁ、はぁ…」
肩で息をして、飲み込めなかった唾液が口から垂れ流された。
ビリビリと甘い電流が脳を支配する。

それに伴い、体が自分の意思とは関係なく、ビクビクとわななく。
「ホラ、シンちゃん動いて。」
腰を摩られシンタローは手を使いゆっくり動き出す。
時折聞こえるのは自分とマジックの結合部分の粘膜の音と、己の切ない声。
「シンちゃんカワイイよ…」
いつもは良く見る事のできない息子の劣情にまみれた顔。
マジックの息遣いも段々荒くなる。
「は、はぅ、あ、ふ、」
一生懸命動くが、慣れない体位に悪戦苦闘する。
どうしよう。
シンタローの頭の中はそれだけで。
気持ちはイイ。
だけどこんなにゆっくりじゃ…。

イケない…。

「父さ…ん…も、ムリ…」
動くのを止めてマジックに抱き着く。
マジックは困ったように笑い、溜息を一つつく。
そして。
「仕方のない子だ。」
そう言うと、いきなりシンタローを突き上げた。
「ひゃ!あ!な、なに!?あ、ああッッ!!」
逃げ腰になるシンタローの尻を押さえ付けて、マジックは動いた。
いつもの快楽にシンタローは震える。
「ン!ア!と、さ…!!も、も、イッちゃ…あ、あう!」
ビクビクと痙攣させ、声にならない声を発して、シンタローはそのまま達した。
そして、マジックも、痙攣するシンタローの中に己の欲望を叩きつけたのだ。











「シンちゃんの臭いがすっかり染み付いてしまったよ。」
肩で未だ息をするシンタローの背中をあやし、マジックが冗談混じりで言う。
「ン、あ、はぅ…」
涙の跡が残る頬に、マジックは口づけた。
「私が浮気なんてするはずないのに。」
そう言ってシンタローを抱きしめる。
そうだよシンタロー。
私にはお前しか居ないんだ。
愛してるのはお前だけなんだよ。
お前が私の全てで、世界なんだ。
こんな事を言ったらお前は又怒るだろうけれど。
これが私の本心なんだよ。
「親父…」
そう言ってシンタローの方からキスをしてくれたので。
マジックは嬉しそうに瞳を閉じた。










「愛してる」
そう言ったのはマジックなのかシンタローなのか、あるいは二人なのか空耳なのか、真相は二人のみ知る
二人が知っていればそれでいいのだ。













終わり






.
mn*
パプワ島に来て、一体どれほどの月日がたったのだろうか。
何度も太陽を見て、何度も星を見た。
そんなある日。
奴が再び姿を表したのづある。
「やぁ、シンちゃん元気?パパはお前が帰って来たら元気になるんだけどなー!」
ガンマ団総帥、マジックその人である。
ニコニコ笑い、手なんて振って、無遠慮にパプワハウスへ入ってくる。
「おーきゃくさん!おーきゃくさん!」
「わーうわう!わーうわう!」
パプワとチャッピーが扇子両手にマジックの回りをクルクル回る。
マジックは、ハッハッハ!と笑い、パプワとチャッピーの頭を撫でようとした。
その時。
「触ンな!!」
ストップのポーズでシンタローが止める。
しかも、かなり大声だ。
いぶかしげにマジックがシンタローを見ると、シンタローはかなり不機嫌な様子でマジックを睨みつける。
「手!洗え!!パプワとチャッピーに病気が移るかもしんねーだろーが!!」
マジックが己の手を見てから、シンタローをもう一度見ると、シンタローの指先はある一点を指している。
その指されている方へ視線を移すと、そこには水瓶が。
マジックがそれに気を取られている隙に、シンタローはパプワとチャッピーを抱き抱えた。
「ダメだぞ!二人共。アイツ何の病気持ってるかわかんねーんだから!」
「シンちゃん、ソレ、パパに対してものすごーく失礼じゃない?」
行き場のない手をそのままに、マジックは固まりながらもツッコム。
パプワは、んばっ!と言わんばかりに扇子をポンッと広げた。
「マジック!」
シンタローが二人を連れて家に入る前に、抱き抱えられていたパプワがシンタローの頭ごしに話しかける。「何だい?」
笑顔でパプワに答えると、
「変なオッサンに声かけちゃダメでしょ!」
まったく、と、ため息をついて家に入る。
「手を洗ったらボクの家に来い!」
「パプワ!!」
メッ!と、叱るシンタロー。
シンちゃん、パパの事どー思ってるの?
私の勘違いかもしれないけれど、私だけ外してないかい?
マジックはとりあえずシンタローの言う通り水瓶の水で手を洗う。
水を杓で掬い、パシャパシャと少し温い水で綺麗にし、ポケットに常時入っている白いレースのハンケチーフで手を拭いた。
そして、ノックをし、中に入る。
「マジック!そろそろ昼飯だ!食べて行くんだろ?」
昼飯!?
台所を見ると、シンタローが慣れた手つきで調理している。

タタタタン、タタタタンと軽快なリズム。
いいなぁ、パプワくん。毎日シンちゃんのご飯食べれて…。
私なんて、シンちゃんの手料理数える位しか食べた事ないよ。
「パプワ!何で!!」
くる、と振り向いてシンタローがパプワに講義するが、パプワはシンタローに有無を言わせぬ口調で言い切る。
「ケチケチするな!」
あー…そんな事、そんな風に言ったらシンちゃん絶対怒るよ。
「チッ!はーいはいはい!わかりましたよー!」
!!?
アレ?私の聞き間違いかな?
そうは思うがシンタローが怒るそぶりはない。
黙々と料理にとりかかっている。
何この熟年夫婦の空気!
認めない!私は断じて認めないよッッ!!
お前のフィアンセはこの私だろう!?
まさか浮気!?こんなちっちゃい子と?
でも、シンタローのショタコン好きを考えると、否定もできない。
そんな事を考えていると、料理が出来上がったようで。
ご飯にお味噌汁に焼き魚と漬物。
パプワにはたーんと大盛。そして、自分、チャッピー、マジックには普通盛り。
「ほーらチャッピー、ちゃんと手を合わせて。」
何これ!?
チャッピー君は息子か何かのポジショニング!?
マジックの脳内では、
パプワ→夫
シンタロー→妻
チャッピー→息子
となっていた。
み、認めたくなぁい!!
呆然とそのやりとりを見ていると、シンタローと目が合った。
しかし、直ぐに反らされる。
そして、シンタローはガツガツとご飯を食べ始めたのだった。
「シンタロー!おかわり。」
「わーうわう!」
「はーい、はいはい。」
完全に出そびれた感じのマジック。
シンタローはこの中に完全に溶け込んでいて。
マジックはパプワを心底羨ましいと思った。
シンタローのこんな顔が見れたのは久しぶりかもしれない。
コタローを私が閉じ込めてしまう前の顔。
「シンタロー!行ってくる!」
「わぅーん!わんわん!」
「はいはい。あんまり遅くなるんじゃねーぞ!」
解った!と、遠くからパプワの声が聞こえた。
口元を緩めて二人を見送った後、シンタローは気付いてしまう。
もしかしなくても、俺、マジックと二人きりじゃねぇか…。
一度気がつくともう止まらない。
取り敢えず洗い物済ませたら帰って貰おう。
シンタローが台所に立つと、先程迄大人しかったマジックが隣に立つ。
ふ、と、マジックを見ると、困ったような笑みをこぼしていた。


「私も手伝うよ。」
そう言って洗い物を始める。
いいよ、帰れヨ。とか、邪魔だから座ってろ。とか、シンタローの口から出なかったのは懐かしさのせい。
昔はこうやって父のようになりたくて料理を教えてもらったんだっけ。
シンタローはマジックが嫌いではない。
嫌いになれないからこそ苦しいのだ。
弟のコタローを幽閉したことは許せない事で。
そして、その理由をはぐらかすマジック自身も又シンタローは許す事が出来ないのだ。
「シンタロー。」
真顔で自分を見つめるから。
咄嗟にそちらを見てしまう。
「あんだよ。」
目を直ぐに伏せてぶっきらぼうに答えると、マジックは濡れた手のままシンタローの肩を掴む。
ビクリ、と、反射的に体が強張った。
「お前はパプワ君とどうゆう関係なんだい?」

は?

意味の解らない質問に思わず脱力する。
「お前の恋人はパパだよね!?パプワ君とは肉体関係は持ってないよね!?」
「ハ?恋人?パプワとにくた…あ、あったりまえじゃぁぁあ!!なーにトチ狂った質問しやがるんだテメーという奴は!!」
真っ赤になって全否定すると、マジックはホッと胸を撫で下ろす。
とんでもねぇ親父だな!ったく!
マジックに対して無視を決め込み、シンタローはガチャガチャと食器を洗う。
「もー寝る準備するからさっさと帰れ!」
せっかく人がセンチに浸ってたのに、この馬鹿親父のせいでぜーんぶ台なし!
シッシ!と動物を追いやるように片手ですると、マジックが抱き着いてきた。
そして、シンタローの唇にキスをする。
「ンーッ!!ン、ンンッッ!!」
いきなりの事で抵抗のでかないまま床に捩伏せられる。
「よかった☆パパ以外とはドッキングしなかったんだね!」
「テメッ!!」
腕で唇をゴシゴシ拭く、
「シンちゃん、だーいすき!」
そして、今度は舌を入れてくる。
余りに久しぶりな性的快感に、シンタローは思わず身震いした。
今、コイツは俺に欲情している。
そう思うだけで、シンタローの下半身はズクリと疼く。
でも、まだ片手で掴んでいる理性はあって。
許してはいけない、コタローの事も、心も、体も、と、ぐるぐる螺旋のように頭の中で回っていて。
「や、やめ…ンムッッ、ヤメロ…ッッ」
否定の言葉を吐く自分の声色のあまりの弱々しさにゾッとした。

俺の心とか、意思って、そんなに弱いものなのか?
こんなキス一つで許してしまう程?
そんな事はない。あってはならない事だ。
「やめろよ!!」
グイ、と、マジックを渾身の力で押し返す。
「どうしたの?シンちゃん。」
「どーしたもこーしたもあるかっ!俺は!俺はッッ!!」
ほてらされた体が熱い。
中心がじゅくじゅくしてるのがわかる。
パプワが帰ってくるまでにこの熱を押さえなければ。

嫌われてしまうかもしれない。

そう想像すると死ぬ程怖かった。
俺はパプワに会えて本当に良かったと思ってる。
ガラじゃねーけど、友達になれて本当に嬉しい。
アイツは俺を裏切らないし、俺だってアイツを裏切らない。
初めて会えた心を許せる友に、こんな醜態はさらせない。
「やっぱり、ね。」
マジックの顔付きが冷たいものへと変わっていった。











「ヤ、やめろ!ふざけんな!」
秘石眼の力でシンタローはもう一度床に捩伏せられた。
重力が重くのしかかってくるような感覚に、シンタローは顔を歪める。
マジックは自分の上着を脱ぎ捨てて、シンタローの腕を縛り、ズボンを無理矢理脱がし、足をM字に開かせる。
そして、熱の納まりかけたソコに舌を這わせたのだった。
「ン!ヤ、やめろ…って!!」
久しぶりなのにいきなりそんな所を舐められて、シンタローは頭をイヤイヤと振った。
離して欲しいのに、マジックは舌でねっとりと舐め上げる。
先端をチロチロ舐め、裏をつつ…と舌先で舐める度、シンタローはビクビクと感じなければならなかった。
「ふざけんな…ッッ!この、変態ッッ!!」
今自分に自由がきくのは口だけなので。
思いっきり罵声を浴びせる。
すると、ふ、と秘石眼の力が無くなる。
やめてくれたとホッとしたのだが、シンタローはマジックの顔を見て顔を引き攣らせた。
マジックの目がとても冷たくて。
蔑むようにシンタローを見ている。
「私にそんな口の聞き方をするなんてね…。悪いコはどうなるか、身を持って知りなさい。」
すると、マジックは、まだ慣らしていないソコに、指を思いきり突っ込んだ。
「ひぅぅあ!!いっ!!いたァッッ!!」
濡れていないので滑り難いソコ。
無理矢理なので、ギチギチと指を締め付けるのがシンタローにもわかった。
気持ち良くなんて全然ない、痛みだけの行為。

痛さのあまり涙が出る。
「おやおや、シンタロー。お前の性器はだらしないね。」
すっかり萎えてしまったソコを、ピン!と、指で弾く。
「ッッ!!」
涙で視界がぼやける中、シンタローはマジックを見た。
彼の表情は相変わらず固いもので。
恐怖すら覚える。
助けて欲しくて、止めて欲しくて。
「パ…プワ…ッッ!!」
思わず今出掛けている親友の名前を呼んだ。
すると、マジックの目が一瞬見開き、その骨ばった大きな手で、シンタローの口を塞いだ。
苦しくて華で息をする。
「私とシている時に他の男の名前をお前は呼ぶんだね。」
何を言っているのだろうか。
何故怒っているのか。
シンタローには解らなかった。
ただ、父の抱く腕が、手順が、優しさが、全て異なる。
それが怖くて、悲しかった。
マジックが、指の動きを早める。
勝手知ったシンタローの体の1番良い所を指でグチグチと掻き回せば、シンタローの中心は熱をおび、ビクビクと天を仰ぐ。
「いやらしいコだ。」
指からはシンタローの愛液が垂れ流される。
だが、まだ十分ではないソコにマジックは己の高ぶりを捩込む。
「ひゃあぁああぁあ!!」
大きくのけ反り、声を張り裂ける。
喉仏がコクリと上下に動いた。
マジックが数回揺さぶると、シンタローは快感に堪えられなくなり、甲高い声を出して精を吐き出した。
久しぶりの行為に体が痙攣し、ビクビク震える。
マジックはそれを見て、不覚にも欲情してしまった。
が、しかし、顔には一切出さず、無表情のまま、激しく付き動かした。
「や、もぉ…やめ、てぇ…」
弱々しくマジックに縋り付く。
しかしマジックは動きを緩める事などしない。してなんか、やらない。
汗で髪が額や頬に張り付き、長い黒髪を見出してマジックに助けを求めても、マジックは知らない顔。
「淫乱。そうやってパプワ君も誘惑したのかい?いやらしく腰を振って、発情期の雌猫のように!」
そう言って最奥をガンガン付かれる。
そして、混入したまま、シンタローを後ろに向かせ、腰をガッチリ掴み、動きを再開させる。
「あ、あ、あんっ、あ、パ、パプワとっ…そんなことしてなっ…ンンッッ!!」
「どうだか。お前は男を煽るのは一人前だからね。」
振ってくる言葉は冷たいもので。
俺に欲情する馬鹿はテメー位のもんだと思う。

「ほん、と!ホントだってばぁ!あ、あぅ、」
「さぁ。口ではなんとでも言えるよシンタロー。お前は酷く淫乱だからね。男の癖にさっきもホラ。」
ピン!と、又性器を弾く。「ああ…ん!」
「ココ、じゃなくて、今私が出し入れしている所だけでイった。本当にだらしの無い子だ。」
「ホントにしてなッッ…んん!」
信じて、と、涙で霞んだ瞳でマジックを見る。
すると、マジックの動きが少し緩んだ。
「じゃあ、何で私を拒んだ。何故彼の名前を呼んだ?」
ピンポイントから少しズレた所をつかれながら、シンタローはままならぬ呼吸をしながらたどたどしく答える。
コタローを幽閉したマジックと体を繋げたくなかった事。
親友のパプワにこんな姿を見られたら嫌われてしまうかもしれない事。
「………。」
「………。」
「………パパの勘違い?」
「………そう。」
「………パプワ君とはそうゆう関係じゃないの?」
「………当たり前だろ。それにアイツにゃ、クリ子ちゃんっていうフィアンセもいるんだヨ。何度も言わせんナ。」
「……………………。」
「……………………。」
「…………。」
「…………。」
「……。」
「…。」
「シ、シシシシシンちゃん!ごめんなさいっっ!」
理解出来たのか、長い沈黙の後、凄く必死にシンタローに謝るマジック。
そりゃそうだろう。
ただでさえ嫌われてる(と思っている)シンタローに、勝手にお門違いに腹を立てて、好き放題ヤリまくってしまったのだから。
そんなマジックに、シンタローはかなりご立腹なようで。
「早く抜けヨ!!」
潤んだ瞳を腕でゴシゴシ擦る。
直ぐに抜くかと思ったが、流石マジックというところか。
抜きゃしない。
しまいにゃ、
「ね、パパね、まだイってないんだよ、だからね、シンちゃん、後ちょっと我慢して?」
「ハァ!?ふざけンンン~~ッッ!!」
抗議の声はマジックの唇に吸い込まれてしまったのだった。
そして、律動開始。
ガクガクと体を揺らされ、横向きにされて方足を持ち上げられ、目茶苦茶動かれる。
「やだやだ!!や、や、やぁああ!あん、あ、あ、」
「シンちゃん、スゴーイ!キュウキュウ締め付けられるよ!」
「ば!いき、できなっ!死ぬ!死ぬってば!」
なのに、マジックはラストスパートと言わんばかりに動きを早める。
「パパ、お前と腹上死が夢。走り続けろ!ラララ天国列車!!」
「テメーだけ乗りやがれ!!」
「あ、パパ、なんかイキそう。」
「逝ってろ!!ん、あ!」
いきなり前を擦られて、シンタローはなまめかしい声を上げた。
ちゅく、ちゅく、と先端から溢れる愛液。
舌先で乳首をコリコリと嘗めまわし、ちゅ、と音を立てて強く吸うと、シンタローは体を海老剃りにして、自分の腹の上に精を吐き出した。
マジックは二、三度腰を動かすと、荒い息をしているシンタローの口に無理矢理自信を捩込ませ、精を吐き出した。
当然シンタローが飲むなんて事が出来るはずもなく、全て唇から流れ落ち、シンタローはむせた。
「ゲホ、ゲホ、テ、テメー!!」
殴ろうとしたが、アレアレおかしい。
力が入らない。
寧ろ…座れないし、立てない。
「シンちゃん、もしかして足腰立たなくなっちゃった?!かわいー!かわいー!」
身動きの取れないシンタローをいいことに、マジックはシンタローに凄いスリスリしまくった。
今まで出来なかった鬱憤をはらすべく、スリスリスリスリ。
「テメ!ンな事してる場合じゃねーだろーが!パプワとチャッピーが帰ってくるんだぞ!もし、この事がバレたら…俺は生きて行けない!生きて行けないッッ!!」
バレたらって…。
シンタローの体はお互いの体液でベトベトだし、部屋はイカ臭い臭いで充満している。
「親父…1分以内でどうにかしろ。そうじゃねぇと、俺は金輪際体をアンタと繋げないし、イヤ、寧ろ別れる。」
どんよりと目を光らせるシンタローに本気だと理解したマジックは、一目散に綺麗に仕上げ、来た時よりも美しく!のキャッチコピーを本気でやってのけたのだった。
綺麗になった部屋で、マジックは雑巾をにぎりしめ、腕で汗を拭いた。
基本的に家事が好きなので、何だか清々しい顔をしている。
そんな時、見計らったかのようにパプワとチャッピーが帰って来て、
「きれーきれー!」
「わうーわうー!」
と、扇子片手にぴょいこらびょん!と踊っている。
シンタローとマジックが内心ホッとしていると、踊っていたパプワが何かに気がついたように、シンタローを指差した。
「シンタロー!凄い虫刺されだぞー!」
「は?むしさ…」

ま・さ・か!!

タンクトップを持ち上げると、マジックが付けたキスマークが。
「親父ィ…ちょっくら表出て久しぶりに親子の会話しようや…」
「シシシシシンちゃん!その手!眼魔砲撃つ気でしょ?殺意あるでしょ!?」


「ウッセー!さっさとこの島から出ていけ!眼魔砲ッッ!!」
ドゥッ!と撃つと、マジックはお星様になりましたとさ。
そんなシンタローを見て、パプワとチャッピーは扇子を両手に翳す。
「んばっ!」
今日も一日パプワ島は平和なのでした。









終わり






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