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CAPRICCIO


「シンちゃん。遊んで」


そんな不用意な一言で僕は僕を傷つけてしまった。(眼魔砲的な意味で)






******






「いきなり眼魔砲は酷いじゃない!シンちゃんのばかっ!パパ服焦がしちゃったでしょ!」


服焦がしただけで済んだなんて良かったじゃねぇか、と横でとばっちりでアフロヘアーになってしまったハーレムは心中呟いた。
胸元から出したタバコは掴むだけでボロボロと崩れ、だったらどうして服は破けないんだ、読者サービスの足りない奴め、と動揺のせいか更にわけの分からないことをハーレムは思う。
更に心中呟き続けるが、本筋とは全く関係が無い為に省くとしよう。


「俺は、今、大事な、総帥の、お仕事中だっ!てめぇだって前やってたんだろうが、分かれよ馬鹿っ!」


見た目にも苛々としているシンタローは、怒りに震え、怒鳴りながらも手を動かしている。
新生ガンマ団。正義のヒーローとなったシンタローは今兎に角忙しい。
世間の目に「ガンマ団=殺し屋組織」と根強く残っているのだから当然と言えば当然であり、クリーンアップをはかったりと兎に角忙しいのである。

通常であれば、シンタローが全ての書類に目を通す必要は全くと言って良い程ない。
ただ、シンタローが今の実情全てを知りたいと言いだしたことで書類は全てシンタローの元へと回るようになっていた(それでも本当に全てではないが)
見る書類は多岐に渡る。世界各国から寄せられた要請から始まり、敵国の盗聴記録に通信記録、果てはガンマ団の水道代金ですらシンタローの目を通すようになっている。(水道代に関して言えば、節約するのが趣味に等しい彼としては最重要項目なのかもしれないが)

シンタローはマジックが前やっていた、と言っては居るが、実際マジックはそこまでは見ない。
寧ろそういった物は全て秘書課に回していたし、出来る限りシンタローの為に時間を空けておいたのである。

無論、書類に目を通さないからと言って内部反乱を起こしたことも、敵国との問題が起きたこともなかったが……(寧ろ敵国との問題は起こりまくっていたと言っても良い)


「し、シンちゃん……!!」


震える声に、シンタローが顔を上げる、そこに写るマジックの表情は歪だった。


「馬鹿っ!て!馬鹿っ!って……!!!」


怒るか?と誰もが身構える。シンタローと違い彼は基本的に手加減をしないのだ。大惨事は必死である。


「~~~っ!!!ちっちゃい「っ」がかっわぃいいい!!」


お笑いコケを実践してしまったことは、言うまでもない。


「おいおいおい、兄貴ぃ~」


ハーレムは呆れてものも言えないのか、次の句を告げることは出来ない。
そんなハーレムをはじめ、皆の心のツッコミに気付かないのか気付くつもりがないのか、マジックは携帯を取り出し鼻息も荒くシンタローに迫った。


「ねっ!シンちゃん!もう一回言って!もう一回、もう一回でいいからさぁ~」


年甲斐もなくはしゃぐ50代、と言うのは一旦冷静になってから眺めると相当痛々しいものがあるものの、幸せそうな表情に物が言えずシンタローはじぃ、と眺めた。


「……うぜぇ……」


小さく呟いた声は、本当に小さく低く聞き取りにくいものであるが、威圧感は重く鋭い。目の前で聞いていたマジックも途端、平静を取り戻す程だ。


「兄貴、部屋の隅で泣いてるぞ、シンタロー……」


総帥室の部屋の隅に置かれた観葉植物のその隣、デッドスペースにきっちりと納まる2m弱の男は正直不気味であるが、害はない。


「いいんだよ、ほっとく」
「……何かを求める目でこっち見てっぞ、シンタロー」


チラ、チラ、と視線を寄越してくるその瞳は何か強い想いが込められているようで、たまたまその前を通過したチョコレートロマンスの髪型が虹色も目に痛々しい輝くアフロへと変貌を遂げる。
シンタロー、ハーレムは小さい動作でそれを避け事無きを得たが、そろそろ執務に差支えが出てもおかしくはない。

シンタローは怒りを静めるような深く重い溜息を付き、革張りの椅子からその身を起こした。
重い足取りを自覚しても尚、歩みを進めるのは正直億劫であると同時に、ひどくプライド……と、言うか癪に障る。

そんなシンタローを知ってか知らずか、マジックは純粋にシンタローが歩み寄る様を嬉しそうに眺めている。
その笑みは普段の余裕の相好なぞ崩した蕩けそうな程の笑顔だ。

見ているだけで、胸焼けがする。とはハーレムの言葉であるが、しかしその思いは満場一致であろう。


「おい、クソ親父」


目に見えて不機嫌なシンタローは見下ろしたままでそう呟く。この低い声は果たして届いているのだろうか。


「なぁに?シンちゃん」


今にも小躍りしそうな様子の前総帥は手にしたシンちゃん人形を愛しげに撫でる。吐き気がするといわんばかりの表情で、シンタローはその前にしゃがみこんだ。


「どうしたら大人しくこの部屋から出てくっつーんだ」


堪えるように搾り出されたその声は、聞く人によってはそれだけで息の根が止まりそうな程、空恐ろしい。


「ふふ、そうだねぇ……シンちゃんが私にキスでもしてくれたら帰ろうかな」


口の端に現れた笑みは覇道を進むマジックがよく浮かべていた笑みで、そこにはサディスト特有の捻くれた思いが込められているようだった。
こんな微笑を浮かべている時のマジックは、何かしら問題を起こすことをここに居る全員が分かっていた。
しかもそれは何時もの我侭の延長のようなものではなく、もっと別格の面倒臭いものだ。


「本当に、それやったら帰んだろうな」

「あぁ、勿論だよ。私が今まで君に嘘を吐いたことがあったかい?」

「そりゃ、沢山な」


シンタローの返し言葉に付け足すようにハーレムは思う、「(嘘じゃないときなんて、あったかよ)」そう思う心は情感を伴い、ハーレムは知らず息を吐く。


「……そう、かもね。でも今日は本当だよ?シンタロー」


サディスティックな微笑みは何時しかマゾヒズムな笑みへと代わり、自虐的なその無粋な視線にシンタローは眉を潜めた。
こんな風に笑う父親を見る時、シンタローはいつも思う。思い通りにしてやるよ、と。
それは優しさからくるような暖かい物ではなくて、自虐的に笑う彼にシンタローのサディズムな心が反応するのだ。


「………おい、マジック―――――………な」


瞬きと同時に、シンタローは動いた。ピンクのスカーフのついた妙に手触りの良い襟元を掴むと勢いよく自分の方へと引張り、喉を絞めるように押えると、その唇に自分の唇を密着させた。
ギュ、と肉の縮むような嫌な音が唇と唇の間に響いたとき、シンタローとマジックの距離は離れていた。
歪んでいた唇の端は更に歪みを強くし、マジックはシンタローに視線を送った。


「さっきの言葉、ほんとう?」

「あぁ、あんたが邪魔さえしなけりゃ本当になるさ」


それだけ言うとシンタローはマジックの前から立ち上がり、机へと戻る。口の端に残るのは、妙に赤々しい点。


「そ。じゃあ、私は大人しく帰ろうかなぁ………あぁ、ハーレム、シンタローの、邪魔を、しては、駄目………だよ?」


呟く声は不機嫌なシンタローが出す声よりも低く冷たい。ハーレムはただ頷き、あんたじゃねーんだから、と言う言葉は飲み込んだ。
思い空気の中、軽い音が部屋を包み、マジックは総帥室を出て行った。

残されたティラミス、チョコレートロマンスは表面上冷静を装い、シンタローの机に書類を置くと秘書課の部屋へと退室していく。


シンタローは唇の端を親指で拭い、書類に拇印を押す。
血で打った拇印は何れ黒く変色し、相手国を驚かせるだろうが、まぁいいとシンタローは次の書類に取り掛かる。

最後に残ったハーレムは、一番上に置かれた血印付き書類を見てこう呟いた。


「この、変態親子」
「うるせーよ」





終 / 07.12.04


やりたかったこと=みんなの前でシンちゃんからチュー
やりたかったこと=ドSのドMなマジック。マジックのMはマゾのM。
少しでも俺様と言うか、女々しくないシンタローになっていたらいいなぁ……逆にパパは今後は乙女路線でいきたいなぁ。

つーかガンマ団は表向きは普通の企業だと勝手に思い込んでました。笑
なんとなく表は美少年系アイドル養成所で、裏は殺し屋ガンマ団とか。
でもそれだったら士官学校なんて作らんわなー。入学制全員殺し屋だって知ってるしな。笑


マジシン好きに15のお題[01:ケンカ]


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