2003/12/12 マジックパパお誕生日おめでとう小説
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コンコンッ
『シンタロー。ちょっと良いか?』
「あん? どした? ――――いや。先に入ってくれ。」
音も立てずにドアが開く。
もうすぐ夕方という時間帯、今夜のイベントのため、シンタローが必死で書類と格闘しているのは知っているはず。
片腕であり、秘書のような役割も担っているのだから。
「大した用事じゃない。
ただ――――」
コンコン
『おとーさま? ちょっといい?』
「うん? グンちゃん? どうしたんだい?
まぁとにかく中に入って……」
廊下には息子の姿。
にこにこと嬉しそうな笑みだが、何だか、子供がイタズラをするときのそれに似ている。
グンマは小瓶を取り出し、
「あのね。コレ、高松が作ったメイドさん薬なの」
「……どんなんだい?」
流石に薬品名だけでは分からなかったのか詳しく聞いてみる。
「あのね、コレを飲んだ人は、自分が好きな人に尽くそうって気になるの。」
「へぇ?」
「だから……シンちゃんに飲ませれば……なんでもお願いし放題!!」
「本当に?」
う゛いサインをぐぐっと突き出す息子に、こちらもわくわくした表情で聞く。
「すでにトットリさんで実験済みだよ!
もちろん今日のパーティで、シンちゃんが使うグラスに塗っておいたから……」
「おとー様!」
にっこり笑顔のグンマ。
「マジック伯父貴」
いつもどーりの顔のキンタロー
「兄さん」
うっすらとほほえみを浮かべたサービス
「……お義兄さん」
何故かこっそり頬を赤らめてどさくさ紛れにとんでもないことを言うジャン。
「……………………親父」
仏頂面のシンタロー。」
『おたんじょーうび!!
おめでとぉおおおお!!!』
パンパンパンッッ
火薬音が響く。
色とりどりの細いテープと紙吹雪が飛び出す。
十人十色の祝福を受け、マジックはにっこりと微笑み「ありがとう」と言った。
「ささ。火消して消して!!」
「や。大きなケーキだねぇ。」
「シンちゃんが昨日一生懸命作ってたんだよ!!」
「バッカ黙ってろグンマッ!!」
「もぉシンちゃんったら……
素直じゃないなぁ。
あ。ちなみにボクとキンちゃんは部屋の飾り付けね。」
「ありがとうみんな。嬉しいよv」
息子に負けないほどのにこやかな笑みで、マジックは心の底から礼を言った。
「うん! おいしい!
シンちゃんケーキ作り上手くなったね!!」
「本当だ! 自分で材料とかまで選んでたもんね!」
「おかげで業務にだいぶ支障が出たが……そのくらいの価値はあるな。」
「最高の調味料は愛情かぁ……分かるなぁ……v
なぁサービスv」
「ジャンがこの前作ったチーズケーキとは比べ物にもならないな。」
「……………………(涙)」
口々に褒めちぎる身内達。
対してシンタローはそっぽを向いて
「ふ……ふんっ!
このくらいのケーキオレにかかればどうってことねーんだよ!」
「照れるな」
「照れてねぇ!!」
決して顔をこちらに向けないところを見ると、どうやらキンタローの言うとおりのようである。
「プレゼントたーいむ!!」
グンマが叫ぶと同時に、全員がさっと綺麗にラッピングされた包みを取り出した。
「じゃぁまずはオレから。」
恥ずかしいことは早い内に終わりにしたいのか、
ずいッとマジックに純白の包装紙に真っ赤なリボンを巻いた包みを渡す。
「開けてもいいかい?」
期待に満ち満ちた瞳でシンタローを見つめる父親。
「……ダメだっつっても開けるんだろ」
その言葉には返事を返さず、にっこりと笑ってテープに指をかける。
中に入っていたのはフワフワの白いマフラーだった。
ソレを大事そうに手に取り、
「あぁ……シンちゃんの愛が暖かいよ……v
触り心地も良いし……シンちゃんみたいんぶっ」
後頭部から手を振り下ろし、ケーキの上に顔面ダイビング。
「くだらねーこと言ってねぇで次のヤツの受け取れ……!」
「照れるな。」
「照れてねぇ!!」
キンタローのつっこみは、当を得ていたのか得ていなかったのか……今度は判断しづらかった。
キンタローからはスポーツドリンク3ヶ月分
「……お前コレ親父に与えてどうしろってんだよ……」
「仕事が休みの時に、一気にいってもらおうと思ってな。」
「うーん。私は出来るだけ多くシンちゃんを愛したいんだけど……
まぁそっちが大変なら……」
「アンタも真に受けるな!!」
サービスとジャンからは首輪と、それに付けるロープ。
「お……叔父さん?」
「提案したのはジャンだからな」
「テメェジャン何考えてやがるっっ!!!」
「ぼ……ぼーりょくはんたぃいいいっっ!!ギャース!!」
「じゃぁ次は……グンマの番だな。」
コンコンっ
息を切らして促すシンタロー。グンマが動く前に、ドアをノックする音が響いた。
「マジック様? 申し訳ございませんが、お届け物でございます」
「? 私に?」
立ち上がって、ドアを開ける……。
「うわ……ッ!」
廊下に立っていたティラミスが持っていたのは、大量のバラの花束だった。
感情の起伏が少ないティラミスにしては珍しく、ほほえみを浮かべて、
「ハーレム様からお届け物です。
住所は書いてありませんでしたが。
メッセージも預かっております」
「どれどれ。」
花とカードを受け取り、読み上げる。
「『たんじょーびおめでとさん。
コレでアンタもとうとう五十路だな。』」
「素直じゃねーな。」
すかさず冷やかすシンタロー。
「シンタロー。お前が言うな。」
即座に突っ込むキンタロー。
「ぐっ!」
じ~~んと感動しているマジックの背後で、そんなやりとりがかわされていた。
「じゃぁ今度こそグンマだな。」
促すシンタローに、グンマはにっこりとイタズラめいた笑いを浮かべ、
「あ。ボクは既に渡してあるの。」
「あぁ。事前にね。ありがとうグンちゃん。」
と話を合わす。
「は? 渡したって一体何をだよ」
眉をひそめてシンタローが問うが、グンマは「まぁまぁ」としか言わなかった。
宴もたけなわ。
お酒に弱いグンマも沢山飲んで顔を真っ赤に染め、キンタローに言い寄ったり、
サービスにせっせとワインをつぐジャンが何だか哀れで笑えたり、
どさくさ紛れにシンタローに抱きつこうとしたマジックが顔面パンチを食らったり(※マジック主役です)
色々あったりしたが、グンマがすやすやとキンタローにもたれて眠ってしまい、自然、そろそろお開きにしようかという話になった。
「じゃぁ後片づけを……」
立ち上がろうとしたマジックを制し、
「親父はもう寝ろよ。片づけはオレとキンタローとジャンでやっておく」
なぜか床に不時着しているケーキの一部分を見て、流石に他の団員に片づけさせるのは気が引けたのか、
シンタローはそう言った。
「寝ちゃったグンマは良いとして……何でオレがしっかりカウントに入ってるんだ?」
「あん? 叔父さんにやらせるわけにはいかねーだろ。
それともアンタ1人で片づけるか?」
「……ごめんなさい」
「いや。シンタロー。お前はマジック伯父貴の所に行ってやれ。」
いきなり言いだしたキンタローに、シンタローは怪訝な顔をしながら「何でだよ」と聞き返す。
「……お前が一番よく知っているだろう。
マジック伯父気を喜ばす方法なんてのは。」
――――あのなぁ!!
そう反論する前に、
「じゃぁ早速最高のプレゼントは頂いていくね~~v」と引っ張られていったのだった。
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ずるずると最初は廊下を引っ張っていったのだが、
そのうちシンちゃんも大人しく私に引かれるままに歩き出した。
自室のドアを開け、シンちゃんを促す。
部屋の中に入りしっかりと鍵を閉め、後ろから抱きすくめると、
シンちゃんの体は一瞬固くなったが、直ぐに力が抜けた。
……グンちゃんが言っていた薬が効いているのかな?
だとしたら……
まずシンちゃんには何をやってもらおうかな~~v
そうだ!
せっかくもらったのだから……
「ねぇねぇシンちゃん。」
「あんだよ」
「さっきもらった首輪試してみたいんだけど~~。
ね?」
「ねって……アンタ……オレが付けるのか?」
「……ダメ?」
おや……いつもなら首輪とか言った時点で眼魔砲食らうんだけど……
ジッと見ていると、シンちゃんは少し顔を赤らめて、手を差し出してきた。
「貸せ。自分で付ける。」
コレは……本当に効いているのかッ!!?
「い……いや。いやいや。
私が付けるよ。おいで。」
「ん……」
「ほら。できた」
「ああ。」
シンちゃんは短くそう答え、顔を上げる。
黒い髪に真っ赤な首輪がよく映え……真っ赤な。
「うああああぁぁあっ!!
親父ぃいいいいっ!!」
効果音;ぶしゅーっ。
DEAD END
―――― 一瞬。そんな文字がちらついたが。
ココで死ぬわけに行かない!
せっかくあれもこれも出来そうな状況なんだ!!
死んでたまるかぁあああ!!
「ふ……心配させちゃったようだね。」
「あぁ。有りとあらゆる意味で心配したぞ」
真面目な顔になって心配してくれるけど……矢っ張り首輪がまぶしい……。
生還もしたことだし、ココは強請りに強請ってみようか。
「ねえシンちゃん。」
「あん?」
「キスしてv」
「な……ッ!」
シンちゃん絶句。
一歩後ろにたたらを踏むが……
先に手首を掴んでグイッと引き寄せる。
「別に構わないだろう?
いつもやっていることじゃないかv」
自然と笑みがこぼれる。
シンちゃんは所在なさげにちらちらとこちらを見たり、全く関係ない方向を見たりと、視線が落ち着かなかったが、
やがて決心したように……
「わかった。じゃぁ目を閉じて……」
「やだ。」
「……っ!」
「ね。いいだろう?」
頬に手を当て、こーゆー時専用の声(どんなだ)で囁くと、シンちゃんは顔を赤らめながら私の頬を両手で包んできた。
シンちゃんの顔が近づいてくる。
目を閉じて、少し緊張しているのか、頬に触れている手が僅かに強張っているような気がする。
段々と近づいてきて……
シンちゃんの柔らかい唇が触れた。
………………はぅ…………幸せ……v(←色々かみしめているらしい)
すかさず腰に手を回し、しっかりちゃっかり抱きしめる。
「んっ……」
ぺろりと舐めると、直ぐに唇が離れてしまった。
「シンちゃん……」
咎めるように囁くと、ふいッと顔を逸らしてしまった。
しかしまぁ……本当に薬は効いているみたいだし……
コレは……行けるか!!?
言ってみるか!!!???
よし!!
「シンちゃん!」
「な、なんだ?」
「コレを着るんだっ!!」
バッと懐から(どうやってか)とりだしたのは!
こんな時のためにととっておいた
ネコミミメイド服!!(ピンク)
ぶちぃっっ!!
……ぶち?
「がんまほぉおおおおおお!!!!!!」
ちゅっどおぉおおおおんっっ!!!!
そんなぁあああ!!
お薬もうきれちゃったのかぁああああ!!!???
お空へと飛んでいきながら、私はそんなことを考えいていた。
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そーれから。
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「じゃぁシンちゃんお薬聞いていなかったのぉ!!?」
「ったく。アノオヤジ人がちょっと優しくしてやろうと思えばすぐ図に乗りやがって!!!」
シンタローの総帥室に呼ばれるなり、いきなりはたかれたグンマ。
ぶぅぶぅ言いながら訳を問うと、「高松と組んで訳のわかんねぇ薬作ってんじゃねぇ!」とのことだった。
「お前と高松がそんなことを話していてな。
慌てて高松の所から資料を借りて、解毒剤を作ったんだ。」
「キンちゃん何でそんなこと……」
ぷぅとふくれっ面で睨まれても、あまり怖くはない。
本人としては必死ですごんでいるつもりなのだろうが。
「昨日一日開けるだけでも大変だったからな。
無理させて今日の業務に響かせるわけには行かなかったんだ。」
「それでもさぁ!せっかくのお誕生日だったんだよ!!?」
少しはお父様の願い事きかせてあげたっていいじゃない!と反論するが、
「オレ1人が犠牲になってどうする!」
「マジック伯父貴が何をお強請りしたのかは知らないが、
本人が正気の時にこそ言うべきだろう」
「もぅ!! せっかく高松に作ってもらったのにぃ!!」
「へへ~ん残念だったな。」
グンマとは正反対に安心した口調で言うシンタロー。
「そうだな……」
そんな2人を見ながら、キンタローは提案した。
「年が明けたら多少自由になる時間が出来るだろう。
その時に使えばいい」
ぱっと表情が明るくなるグンマと、
なにぃ! という顔つきで睨み付けてくるシンタロー。
「ちょっと待てキンタロー!オレにだって事情という物が……」
「とりあえずキスはしてやったんだ。
その以上やってやったって問題はないだろう」
「ありまくりだぁああ!!」
「じゃぁなんでキスはしてやったんだ?」
「う゛っ」
「そーだよ! シンちゃんだっておとーさまのコト好きなんだから!!
いい加減素直になってあげなよ!!」
「何でそこまで話が飛ぶんだよ!!」
「じゃぁシンちゃんおとーさまもてあそんでるの!!?
げどー!! ひきょーもの! みすたーきらー(マダムキラーと言いたいらしい)!!」
「あほか!」
ぎゃぁぎゃぁと口げんかが始まった横で、キンタローは今年のクリスマス前後の予定をチェックしていた。
「まったく。
年末はコレだからめんどくさい」
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あとがき。
2日間で書いたので、何かそれらしくへろへろですね。
フルスピードで書いたので、ボツ原稿はナシです。
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