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smk

マジック×シンタロー風味のキンタロー+シンタロー バレンタインデー小説

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バレンタインデー1週間前。

「はぁ? チョコレートだぁ!?
 オヤジに? 俺が!!?」
「ああ。」

素っ頓狂な声を上げたのは、我らがガンマ団現総帥シンタロー。
執務室の机にて対しているのは片腕兼秘書役のキンタロー。
『バレンタインデーに愛を込めて……』とロゴの入った冊子をシンタローに渡し、言ったところだった。

「何か言われる前にマジック伯父貴に何か送れ」と。

「何でそんなコトしなきゃいけねーんだよ。
 別に俺とオヤジにはカンケーねーだろ?」
「1無量大数歩譲って、お前と伯父貴には関係ないとしても、
 お前達2人と仕事量には関係がある。」
「あ?」
眉をひそめるシンタローを無視して手帳を取り出し、なにやらスケジュールをチェックするキンタロー。
「今のところ若干の遅れがあるんだ。
 遅れと言ってもちょっと……2日ほど頑張れば何とか取り戻せる。」
「はぁ……」
「しかし、バレンタインデー前後にマジック伯父貴が騒ぎ出すとどうなる?」
「えーと?」
「お前逃げるだろ。」
「逃げ……ッ?」
「もしくは暴れるか。」
「ほほぉう」
「そうなると完璧に取り戻せなくなる。」
「ほぉ」
「ということで、ここはプレゼントを選ぶ時間の分だけ無駄にしても、お前達を暴れさせるわけには行かない。」
毅然とした態度で言ってくるが、いかんせん内容が情け無い。

「何か適当にプレゼントすれば向こうは納得するさ。
 そんなに気を背負う物じゃないだろう」
「あのなぁ……」
「決まったら呼んでくれ。
 それとも――――



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
――――くっそぉ……
内心歯がみしながらシンタローは呻いた。
口が自由に使えるのなら歯ぎしりの1つもしていただろう。
が、それが出来ない理由があって……
――――あのクソ親父……自分の思い通りにならねーとすぐこれだ……!
口に巻かれたリボンを噛みちぎる勢いでシンタローは体中に力を入れた。
それが無駄だと分かっていたけれど。

「シンちゃん。
 今年のプレゼントは最高だねぇ……」
目の前の扉が開き、父親が入ってくる。
シンタロー達が今いる場所はマジックの自室。
シンタローグッズで囲まれた中、リボンでぐるぐる巻きにされた本物が一人。

ギロリとマジックを睨め付けるが、彼は意に介さない様子で受け流す。
ベッドの上に放られ、身動きできない体を楽しそうに眺めつつ、ゆっくりと近づいてくる。
牽制のつもりなのか、う~~と唸るシンタローにむかって微笑みさえ浮かべ。

「そんな目で睨まないでくれるかな。
 パパ傷ついちゃうよ」
――――そんなタマか!
シンタローの視線がますます険しくなるのに肩をすくめ、
マジックはもう幅広のリボンを取り出した。
それで迷うことなくシンタローの目を覆い隠す。
「最近のリボンは、こんな太いのも市販で売られてるんだねぇ……」
楽しそうに呟きながら、マジックは息子の体から更に自由を奪っていった……

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

「――――何て展開になるかも知れないぞ」
キンタローが言うのを、シンタローは机に頭を突っ伏して聞いて……いなかった。
「どうした?」
不思議そうに尋ねてくる双子(もどき)。
「どうしたもこうしたもあるかぁあ!!」
がばぁ!!と身を上げる。
その勢いで、机の上にあった書類が何枚か落ちたが、それを気にしている場合ではない。
「何でそーゆー話になるんだよ!!」
激高するシンタローに、キンタローは涼しい顔で、
「『バレンタインデー→プレゼント→リボン→縛りプレイ』だろ?
 それとも何か――――」
ここで一呼吸置いてから、キンタローはじっとシンタローの目を真っ正面から見据え……
「お前はマジック伯父貴が何にもしないと思っているのか?」
「――――う!」
マジック信用なし。

「プレゼントはこのカタログから選べば問題ない。
 1時間もあれば決まるな?
 適当に選んでくれれば後でこっちから注文しておこう」
シンタローが言葉に詰まったのを好機と見て取ったのか、どんどんと話を進めていくキンタロー。
「決めるのは良いんだが……」
「何もお前は「バレンタインデー用」のつもりじゃなくても良いんだ。
 日本式バレンタインデーだと思うから悪いんだ。
 『ちょっとお世話になっている人にお礼のつもりで……』でも問題はない。
 後は向こうが勝手に解釈してくれる」
「それが腹立つんだろうが……」

こっちが『いつもお世話になっているあなたへ』のつもりでも、
向こうが『俺……父さんのことが…………』などと解釈されたら泣くに泣けない。

が、勘違いと縛りプレイ。どちらかがまともかと言ったら……
扉から出ていくキンタローを見届けた後、シンタローはカタログをめくりだした。



「プレゼントってもなぁ……」
パラパラとカタログをめくり、めぼしい物を探す。
キンタローの言うとおり、本当に『適当』で良いのなら、パッと目に入った物でも良いのだ。
それでもそれをしない辺り、自分の気持ちと良心が現れる。

お菓子の詰め合わせ、花束、おそろいのカップやグラス。
色々あるが、どれも「コレ!」という要素に欠けている。
「う゛ーう゛ーう゛ー……」
カタログを受け取ってからとっくに1時間は過ぎている。

2時間後。
とっくに諦めたシンタローは、書類に目を通していた。

バレンタインデー前日。
再び総帥室にキンタローがやってきた。
「そういえばあのカタログどうしたんだ?」
「ああ。結局こうした。」
そう言ってシンタローは、真っ赤な包みを取り出した。

「……なんだコレは」
「チョコ。」
「……結局自分で作ったのか?」
「あぁ。グンマに材料買いに行ってもらってな。」

どうやら『何を送ろうかカタログ見て迷ってるなら、自分で作った方が手っ取り早い』と結論を出したようだ。
「明日暇見つけて渡しに行くさ。」
「そうか。」
言うシンタローの顔は、何処かすっきりしていた。
心の重荷が1つ消えたからだろう。


次の日。
つまりはバレンタインデー当日。


「じゃ、渡しに行ってくる」
ちゃっと手を挙げ、総帥室のドアノブに手をかける。
「頑張れ。」
処理された書類を確認しながら横目でキンタローは送り出した。



2/15日
時間には意外に厳しいガンマ団総帥が朝寝坊したのは、
既に全員の予想通りだった。
「……世話になってる礼だって言ったのに…………」
「あの男に通じる訳ないだろう」
「テメェ……言い出しっぺ」
「おかげで例年より遅れが少ない。良いことだ。」
「ほぉおおおぅう」
ギロリと睨み付けてみるが、キンタローはどこ吹く風で今日の予定を読み上げ始めた。






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