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ska
始まりの物語(キンタロー編)
アオザワシンたろー




「最初のレールは、俺が敷いてやるよ」

 適当な言葉が見つけられず、だた黙って睨むことしかできない男に、シンタローは笑ってそう告げた。
「高松の見舞いにも行った、勉強も始めた、ついでに髪も切ってさっぱりしたオマエサンは、どこへ行きたい?」
 かつて確かに同一の魂だと思っていた存在が、今では手の届かないところに居るような、そんな錯覚が男を襲う。
「なぁ、キンタロー?」
「俺の名はそれに決定なのか…」
 やっとのことで不満を口にすれば、総帥服に身を包んだ男…シンタローがことさら満足気な表情をした。
「いいじゃないか、俺とそっくりで」
 語呂が笑えるとか、なし崩しにつけられたあだ名じゃないかとか、そういうことはこの男にはどうでも良いことらしい。
 キンタローは否も応も言えず、かといってうつむくといった態度も取れず、やはりまだ、シンタローを睨み据えていた。
「俺の側に来いよ」
 口調はあくまでも軽い。
「来たいんだろ?ほら、手を伸ばせ」
 シンタローが、動こうとしない男の手を取ってそっと持ち上げる。
 キンタローはそれに触発されて、長い黒髪に触れた。
 少し引っ張るようにしても相手が怒った様子はない。
 彼はそのまま暫らくシンタローの髪をもてあそんだ。

「ここに来る前、アラシヤマに会った」
「アラシヤマ?なんだ、突然」
 シンタローは、急にもたらされた名の、ここに居ない男を思い浮かべた。
「さっき俺のところへやってきて、シンタローの隣は、渡さんと言った」
「…へーえ」
 シンタローは、しばし考え込むようにしてから、軽く笑った。
「なるほど。それで、オメーは俺を取られまいとしてここへ来たってわけね」
 子供のように髪を掴むキンタローの手を指差すと、彼は唖然として、それから叫んだ。
「何だと !? 」
「だって現に焚き付けられてんだろ?オメーがどっちに進みたいか迷ってることなんて、誰にだってわかってるんだぜ?」
 だから、最初のレールは敷いてやると、シンタローは言ったのだけれど。
「俺んとこに来たいんだろ?いいぜ?ただし、知力体力時の運、全部有るやつじゃねーとだめだけどな」
 言外に、側にいたいなら努力しろと言われ。
 キンタローは口を引き結び、手を離した。
「あんな男に俺が劣るものか」
「ハイ、その意気その意気」
「シンタロー!」
 そろそろ仕事に戻らないとと言って、シンタローはデスクにつく。キンタローはまるで追い払われるようにして部屋を後にした。
 閉じてしまった扉の向こうにいる男に触れた、己の手の平を見つめる。
 それから、彼はそれをぐっと握り締めた。

 ガンマ団の敷地の隅。
 男が一人、膝を抱えている。
「いくら総帥命令とはいえ、なんでわてが、会いたくも無い男に会い、贈りたくも無いエールを贈らなあきませんの。やっかいなライバルが増えてしまいますやないの~」
 涙するナンバー2の嘆きを知るモノは、誰もなかった。
 かの総帥を、除いては、誰も。




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シンちゃん、放っておけないでしょ、このテの図体のでかい子供をさ~。
南国最後に、キンちゃんをあっさり受け入れたシンタローさんならこれぐらいヤルかなって思って。
そしてアラシヤマをアゴで使う俺サマ(笑)


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