忍者ブログ
* admin *
[1087]  [1086]  [1085]  [1084]  [1083]  [1082]  [1081]  [1080]  [1079]  [1078]  [1077
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

sa

その甘やかに響く声に蕩け落ちる。
そのすべらかな指先に熱を奪われる。

触れて交わし合う度に体内に篭る筈の熱は全て奪われて、ただただ凍える冷たさだけが残る。

これは全て悪いことだから。
俺が悪いものだから。

だから、あの人の繊細な指は美しい身体は熱くなることがないのだ。
そして俺だけがどんどん熱を昂ぶらせて開放を求める。

なんて…。
なんて………。

こんなことを続けていい筈がない。
こんなことをしていていい筈がない。

あの人がこんなことをするのは俺が悪いから。
あの人が冷たいままなのは俺が熱くすることができないから。

きっと昔、あの人と熱を共にした人が居たというのに。
いくら外見が似ていても、違うものなのだと思い知らされる。

同じであればよかったのに。
同じであれば、あの人に熱を与えることができたのに。

実際には俺の熱はあの人に奪われるだけで。
あの人はずっと冷たく凍えたままなのだ。

あなたを温めたいのに。
あなたは望んでいないだろうけれど。
それでもあなたを温めたいんだ。

あなたの望みを叶えようとして、どんどん俺が冷たくなっていくのを感じる。
俺の望みを呑み込む度に、俺の熱があなたに伝わらないことを感じる。

もうやめよう。
そう言えたらどんなにいいか。
あなたの指や声に侵された自分に言えるはずもなく。
もうその指や声を失うことなど考えたくなくなるほどに、溺れて染められていく。

侵され、あなたと触れる肌の距離はこんなにも近い筈なのに、初めて会って見上げた時よりも遠く感じられて。
肌を重ねる度に苦しさは増していくけれども、離れられない。

苦痛は嫌悪ではないから。
こんな苦痛を誰にも悟られてはいけない、と抱え込む。

胃がぎりりと音を立てて軋む。
この音はあの人にも悟られないように。
そうして更に冷たさが増していく。

温もりを求めて触れ合う行為がどうしてここまで冷たい?
いつか温められたらいいのに。
PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved