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→キンシンお題11「ひとこと」の続きかもしれない。



ガンマ団本部の各施設をざっと見て回った。
実際に見た方が良いと思ったからだ。
それが一段落つき、俺の部屋で休憩しながら今後の事に付いて話し合う。
まだコイツには何をしたいか、という事を見つけてもらうつもりだった。
「父さんは偉大な研究者だったと高松が言っていた」
向って座っている相手はこちらに来てからはよくスーツを着ている。
ひょっとしたらグンマの影響なのかもしれない。
特戦部隊の隊服では近寄りがたい雰囲気を醸し出していたが、この格好はそれが和らいでいる。
長かった髪も何故かバッサリ切った。外見はそこら辺にいそうな堅気の人間にしか見えない。
「そうらしいな」
そう相槌を打つ。
高松は頭のネジを二、三本道端に落としてきたようなヤツだか、ウデと頭脳には問題は無い。
ガンマ団の顧問医師兼科学者だけあって能力面だけを見ればとても秀でている。
その高松が、『偉大だった』と言うのだ。
俺も会った事はないがその言葉に嘘はないのだろう。
「ただおまえの後を付いてあるくのも能がない。まずは俺も父さんがどんなことをやっていたのか。
 それを高松の元で学んでみたい。」
「遣りたい事をするといい。その為の環境は俺が必ず用意しよう。
施設を見ていて他にも興味を持った事があれば教えてくれ。
お前が自由に見学出来るように手配しておく。勿論俺も時間が許す限り行動を共にする」
お前が嫌じゃなかったらな、と一言付け加える。
俺に出来る事といったらコレくらいしかない。
それにコイツを一人で野放しにするのは不安だ。頭は良いがどこかずれているのだ。
やはり従兄弟なのか、グンマとよく似ている。
まぁコイツの場合は仕方が無い事といえば仕方が無いのだが。
だからできる限り、コイツがこちらの生活に馴染むまでは共に居ようと心に決めていた。
グンマに頼んでもいいのだが、よほどの事が無い限りは任せたくはない。
天然に任せたらきっとろくでもない事になるのが目に見える。
「宜しく頼む」
律儀に礼を言う。
「他にも何か俺に出来る事はあるか?」
「ふん。親切だな?」
「まぁ、そらな……。一応従兄弟ってことになるしな」
「そうか」
そういうと視線を下に暫く考え込む。そしてふっと顔をあげた。
「……お前が欲しい」
「はぁ?」
何を言っているんだ、コイツは。
そう言えば島にいるとき俺の命が、と言っていた。きっとそれの事だろう。
「ああ、そういうことか。悪りぃけどよ。俺、お前に命くれてやる気はないんだわ。
 俺はあの島に行って、俺の道を見つけた。これは譲る事は出来ない」
「いや、そうではない」
軽く頭を振って否定する。
そうじゃない?
ふっとパプワ島から離れる時の出来事が頭をよぎる。せっかく脳の奥底に忘れ去っていたのに。
物凄く嫌な予感がする。聞いてはならない、と。こういう嫌な予感ほどよく当たるのだ。
「皆まで言うな」
言葉を発する前にさえぎる。
「何故だ?」
「いや、その、何となく……」
「何故だ?」
繰り返してなどいらないのに、もう一度繰り返す。
そう言えばそうだった。コイツは自分が納得するまで引き下がらない大人気ない所がある。
それは研究者には向いている素質の一つなのかもしれない。
じーっとこちらを見つめる。俺がちゃんと言うまでは引き下がらないぞ、とその目が語っていた。
「キンタロー」
仕方無しに、言い聞かせるように名前を呼ぶ。
そういうとコイツはニヤっと笑った。
笑った方が凶悪に見えるのは何故だろうか?
「やっと俺の名を言ったな」
「え?」
「何だ、無意識だったのか?お前はあの島を離れてから一度も俺の名を呼んだことが無い」
「…そうだったか?」
「ああ」
事も無く頷く。
ひょっとしたら俺が名を呼ばない事を気にしていたのだろうか?
特に意図していたわけではないが、やはりコイツへの俺の引け目がそうさせていたのかもしれない。
俺はコイツの全てを奪った事になるのだから。
「なぁ……お前はその名前で満足なのか?」
「初めて俺を気にかけてくれた奴が付けた名だしな。不満が全く無いわけではないが、概ね満足している」
「そうか」
「先ほどの続きだが。手の空いた時は手合わせを頼む」
「手合わせ?」
「ああ。いつまでもお前に勝てないのは面白くない」
「いいぜ。そんなことならお安い御用だ」
俺にとっても丁度いい。同じくらいの力の持ち主がいないのだ。
マジックは当てにならない。ハーレムはすぐフラフラと思うままに行動し、めったに本部には帰ってこない。
グンマはそういうことには向いていない。そうすると残りはキンタローしかいない。
体を動かさないと鈍ってしまう。力がモノ言う世界だからあるに越した事は無い。
しかしコイツも意地が悪い。そういう意味なら最初からそういえば言いのだ。
いくら名前を呼ばせたかったと言えど、冗談が過ぎる。
只でさえ一族にはヘンな奴が多いのだ。まともそうに見えるコイツまでヘンなのに毒されたら先が思いやられる。
「それと。最初に言ったのは名前を呼ばせる為に言った冗談じゃないぞ。考えておいてくれ」
コイツはこともなげにさらっと言う。そして俺に視線を投げる。
目は口ほどにモノを言う。
それをまさに体現していた。
そうか。毒されたんじゃなくてこいつも元からヘンだったのか。
さて。どうかわそうか。
難題が目の前に転がっていた。

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