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 一日の仕事を終えたシンタローが、廊下を歩いていると、
 「シンタローは――――ん!!」
 後ろの方から叫ぶ声が聞こえた。振り返りざま、
 「眼魔砲ッツ!!」
 と、眼魔砲を撃とうとすると、いつの間にか近くまで来ていたアラシヤマが、
 「あっ、今回眼魔砲は堪忍しておくれやす~!アイスがとけますさかいに」
 コンビニの白いビニール袋をヒラヒラさせてそう言った。アイスという単語に少々気が抜けたので、シンタローはとりあえず高密度のエネルギー体を消失させた。
 「何だヨ、ソレ?」
 「アイスクリームどす。シンタローはんと一緒に食べようと思うて、買うてきたんどすえ~!」
 「買うてきたって、オマエ。いきなりわけわかんねェし」
 「だって、シンタローはん、この前何遍もわてのこと“暑苦しい”言うてましたやん。よくよく考えてみたんどすけど、それはわてが“炎”を使うイメージからくるもんやと分かったんどすー!わては暑苦しい男やないいうことをシンタローはんに証明しよう思いまして、だから、冷たいアイスなんどすvvv」
 (見当違いなうえ、やっぱりコイツ、わけわかんねェ・・・)
 シンタローは、アラシヤマの行動自体を指してそう言ったわけであったが、アラシヤマが、
 「あんさん、一日中、冷房に当たってばっかりでしたやろ?体に悪うおます。ということで、今から外へ行きまへんか?それに、アイスは外で食べるもんどすえー!!」
 と言った言葉を聞いて少し心を動かされたので、アラシヤマの勘違いについて蒸し返すのはとりあえず、やめておいた。
 「まぁ、別にいいけど。今は夜だゾ?こんな時間から一体どこに行くんだよ」
 「まっ、わてにまかせておくれやす」
 そう言って嬉しそうに笑うアラシヤマに軽くムカつきつつ、シンタローはアラシヤマについて行った。


 「―――それにしても、あちィ」
 シンタローは、こめかみを伝い落ちた汗を拭った。夜になって朝よりは涼しいはずであるが、クーラーに慣れた体には、気温は非常に高く感じた。
 「まだなのかヨ?」
 「もう、すぐそこどすえ~」
 暗い林を抜けた先には月明かりに照らされた高いフェンスがあり、
 「この中どす」
 アラシヤマはフェンスをよじ登り始めた。2人が身軽に飛び降りた場所は、コンクリートの上であった。微かに塩素の臭いが鼻についた。
 「ここって、士官学校・・・」
 「の、プールどすvやっぱり水辺は涼しゅうおますナ!これで、わてが暑苦しゅうないことがあんさんにもわかりましたやろ??」
 アラシヤマは何やら非常に自信ありげである。
 「・・・やっぱオマエ、暑苦しーわ」
 「エッ?何でどすかッ!?こーいうこととちゃいますのんッツ??」
 アラシヤマは悩んでいたが、シンタローが、
 「もういいから、とっととアイス食っちまおーゼ!溶けたらもったいねーし」
 そう言うと、嬉しそうに袋からアイスを取り出し、
 「半分こ、どすえ~vvv」
 と、照れながら、アイスを割ってシンタローに渡した。
 シンタローはあまり納得はいかなかったものの、プールの飛び込み台に座ってアイスを食べながら、
 「それにしても、なんでガンマ団の幹部がコンビニでこんな安いアイス買ってんだヨ?俺、こんなの食ったのってガキの時以来だゼ?」
 隣の飛び込み台に座っているアラシヤマの方を向いて言うと、もう既にアイスを食べ終わっていたらしいアラシヤマが、
 「シンタローはん」
 真剣な顔をして近づいてきた。
 「何だよ?」
 一体何を言われるのかとシンタローは身構えたが、アラシヤマは、
 「―――あんさん、そんなエロい食べ方したらあきまへん!いや、わての前では勿論ええんどすが(むしろ推奨)、他の男の前では絶対アイスを食べんといておくれやす―――!!!」
 そう叫んだので、
 「眼魔砲」
 と、片手で眼魔砲を撃つと、アラシヤマは水飛沫を上げてプールに落ちた。制服のままプールに落ちたアラシヤマが、
 「なっ、何しはるんどすかッツ!?」
 抗議をしたものの、
 「さーて、アイスも食い終わったし、そろそろ帰っかナ!」
 シンタローは全く取り合わない。
 シンタローが座っていた飛び込み台から立ち上がろうとすると、不意に足を引っ張られ、水の中に落ちた。
 アラシヤマが抱きとめたので、顔までは水に浸からなかったが。
 「お返しどすえ~v水もしたたるええ男どすナ!シンタローはん♪」
 「テメェ、殺ス・・・!」
 と非常にムカついたシンタローがアラシヤマを睨み上げると、アラシヤマは全く話を聞いていないようで、シンタローの下唇を親指でなぞり、
 「つめとうおます。さっき、アイスを食べたからでっしゃろか?」
 と、考え込んでいた。
 「離せヨ!」
 シンタローは、アラシヤマの腕の中から抜け出そうとしたが、馬鹿力なのか何なのか、腕は中々外れない。イライラしたシンタローがアラシヤマの指を噛み、親指の根元に赤く歯形がついた。
 「あ痛!えらい凶暴な人魚どすなァ・・・」
 アラシヤマはちょっとの間自分の手を眺めていたが、
 「やっぱり、可愛いおます~vvv」
 そう言って、キスをした。
 「・・・あの、この先は?」
 シンタローに睨まれつつ、アラシヤマが恐る恐るお伺いを立てると、
 「考えりゃ、分かるダロ?」
 「やっぱり、駄目なんどすな・・・」
 アラシヤマはガッカリした様子であった。そして、シンタローを離した。
 (本当は、そんなに嫌というわけじゃなかったんだけど・・・。まっ、別にいいか!)
 シンタローがそう思いながら、先にプールサイドに上がると、
 「シ、シンタローはーん・・・」
 アラシヤマが水に入ったまま情けない調子でシンタローを小さく呼んだ。その様子がなんとなくおかしかったので、何だかそれほど腹も立たなかった。シンタローが、
 「オラ、とっとと帰っぞ!」
 と言うと、
 「了解どす~!」
 とアラシヤマは喜んでプールサイドに上がってきた。
 「ヒデェ格好だナ!」
 「あんさんも、たいして変わりまへんやん?」
 「―――ったく、誰のせいだヨ?」
 「ま、そのうち乾きますやろ」
 軽口をたたきながら、2人は再びフェンスを乗り越えた。
 誰もいないプールにはしばらく細かい細波が立っていたが、いつしか水面は穏やかになり、丸い月が映っていた。










わ、わたしはひょっとすると“甘い”の定義が間違っておりますでしょうか??(大汗)
ひよこ様ー!勝手に押し付けましてすみませんが、もしよろしければひよこ様に捧
げます・・・!(土下座)


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