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 シンタローは遠征から帰ると真っ先に、相変わらず眠り続けているコタローの顔を見に来ていた。
 入室した医師から、相変わらず状態に変化はないと聞いて、安心したようなガッカリしたような気持ちで椅子から立ち上がると、ふと、壁に掛けられていた子供用カレンダーが目に留まった。
 (そろそろ月が替わるな)
 そう思い、手を伸ばしてカレンダーを捲ろうとすると、ふと、最後の日付の枠内がファンシーなカボチャの絵になっているのに気付いた。
 (今日はハロウィンか。そういや、俺とグンマも子どもの頃あちこちお菓子を貰いに行ったナ・・・)
 シンタローはカレンダーを新しい月に掛け替え、コタローの頭を撫でると部屋から出て行った。


 シンタローが総帥室の前に戻ってくると、ドアに几帳面な文字で書かれたメモが貼り付けられていた。
 「何だ?―――“シンタローはん、今夜一緒にハロウィンを祝いまへんか?Aより”??」
 (ったく、何考えてやがんだ。アイツ)
 彼はクシャクシャとメモを丸め、とりあえずポケットに突っ込んだ。
 総帥室で遠征中に溜まっていた仕事を片付けていると、気づかないうちに随分時間が経ってしまった様で、シンタローが顔を上げると窓の外は暗くなっていた。
 (今日は、ここまでにすっか!)
 持っていたペンを机の上に投げ出し、伸びをした。無意識にポケットに手をやると、さっきのメモが出てきた。
 (あ、そうそう。コレ、捨てねーと)
 ゴミ箱に捨てようとしたが、ふと気を変え再びポケットに戻した。


 アラシヤマが自室に居ると、コンコン、とドアをノックする音が聞こえたので、
 「シンタローはんッツ!やっぱり、来てくれはったんどすな!?嬉しおます~vvv」
 と言いながらドアを開けると、
 「何なんだヨ?あのメモは」
 不機嫌そうなシンタローが立っていた。
 「まぁ、立ち話もなんどすし、中に入っておくれやす」
 シンタローが部屋に入ると、室内は電気が消されており薄暗かった。アラシヤマが、
 「シンタローはん・・・」
 後ろからいつになく真面目な声で呼びかけられたので何事かと思い振り返ると、
 「わて、やっとハロウィンが何か分かったんどすえ~vvvこの前遠征に出た際に立ち寄った町にあった花屋で“西洋のお盆”って書いてあったんどすー!!」
 表情はよく分からなかったが、声の調子からすると嬉しそうであった。暗さに慣れつつあった目に急に眩しさを感じたのでシンタローは一瞬目を閉じたが、再び目を開けると、テーブルの上にアラシヤマが作ったらしい、小さなジャック・オ・ランタンが置かれており、何故かその横には割り箸の短い足がついた茄子や胡瓜で出来た馬がちょこんと飾られていた。そしてさらに、彼岸供養の干菓子らしいものも置かれていた。
 「ちょっと待っておくれやす。今から線香に火をつけますさかいにv」
 「・・・やっぱ、帰るわ」
 「なっ、何でどすかッツ!?こーいうこととちゃいますのんッツ??」
 シンタローの脳裏に一瞬、眼魔砲を撃とうかという考えがよぎったが、溜め息をつくと、
 「とりあえず、酒くらい用意しろ。それと、線香はヤメロ!」
 と言った。
 他愛もない話をポツポツとしながら2人は飲んでいたが、いつもなら酔わないはずのシンタローの顔が少し赤くなっており眠そうであった。
 「アラシヤマ。Trick or treat?」
 「?」
 「もういい、そこの干菓子寄こせッツ」
 アラシヤマが菓子を手渡すと、シンタローはバリバリと干菓子を噛み砕き、コップに入っていた酒をあおった。
 (わ、わて、もしかするとひょっとして、何やえらい間違うてしもうたんやろか!?えーっと、トリートもトリックも英語でっしゃろな。意味は、“取り扱う”は動詞やから違いますな。名詞やと“ご馳走”どすか?トリックは、“策略”でも“手品”でもなさそうどすし、ってことは、“悪戯”ー!?!?)
 アラシヤマは一体何を妄想したのか、いきなりボタボタと鼻血を垂らし、
 「し、シンタローはーんッツ!!やっぱりトリックで・・・!!!」
 と、力強く言ったが、いつのまにかシンタローは眠っていた。
 「起きておくれやす~!!!シンタローはーん・・・」
 呼びかけたり揺さぶったりしてみたが、シンタローは目を覚まさなかったので、アラシヤマはシンタローを抱き上げると、仕方なくベッドに運んだ。
 意気消沈して、彼はテーブルの上を片付けた後、
 (もしここで一緒に寝たら、・・・一週間は口きいてもらえまへんやろナ)
 迷った末、結局ソファに寝転ぶと、ろうそくの灯を消した。
 翌日、シンタローが目覚めると何故かアラシヤマのベッドに寝ており、リビングの方に行ってみると、アラシヤマはソファに座ってブツブツ言っていた。
 「あ、シンタローはん。おはようさんどす。ところで、昨日あんさんが言うてはった、トリック・オア・トリートの答えどすが・・・」
 「何ソレ?そんなの言った覚えねーヨ!」
 「たっ、確かに言いましたえ!?答えはもちろんトリックで!!わてに悪戯しておくれやすー!!!」
 「眼魔砲ッツ!!!」
 至近距離から眼魔砲を受けたアラシヤマは、バタリと倒れた。
 「―――もし何か言ったとしても、もう時効だ、時効ッツ!!あっ、風呂借りるからナ!」
 そう言うと、シンタローはバスルームへと消えていった。
 「ひ、ひどうおます~・・・」
 その場に置き去りにされたアラシヤマは力なくそう呟いたが、もちろんシンタローには聞こえるはずもなかった。











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