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 伸ばされた指先を困惑の表情で見つめてしまった。
「シンタローはん」 
 触れる間際に名を呼ばれれば、怯えるように身体を震わし、自分に触れるはずだった彼の指が、目的を達する前に動きを止めた。
 指先ばかりを注視していたために、相手がどんな顔をしたのかはわからない。ただ、伝わる雰囲気から悲しみを感じとった。
 申し訳ないと思わず謝罪の言葉を吐きそうになったが、それを必死に飲み込んだ。そんな言葉など、自分達には何の意味をもたなかった。
 それならば、どんな言葉が必要なのかと問われれば、戸惑いしか生まれない。そんなことは、欠片もわからないのだ。
 ただ、相手に触れられたくなかった。触れた瞬間、自分の中の何かが壊れてしまいそうな気がしたからだ。
 おかしなことだと思う。彼と触れ合うことはこれが始めてではない。肌と肌を熱く深く重ねたことも何度もある。それなのに、今は許せなかった。
「すまん」
 愛しくて仕方がない相手に深い謝罪の気持ちを告げた。








 最悪。



 お前に触れられるのが怖い。
 自分が自分でなくなるほど、お前に溺れてしまいそうで。





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