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「眼魔砲」
 ぽつりと呟いた瞬間。一秒前までアラシヤマがいた場所は、素敵なクレーターが存在していた。
「シ…シンタローはん……」
「なんで、素直に死んでくれねぇの?」
 突如として放たれた死の宣告に等しいその熱の塊を、間一髪で避けることができたものの、その幸運を味わうことなく、恐る恐る声をかければ、極上の笑顔が向けられてしまった。しかし、かけられた言葉は、かなり辛らつ……というよりは痛々しいものである。
 恋人――信じられないかもしれないが、二人は所謂そういう関係である――である、アラシヤマでもめったに見たことのない、神々しいまでの綺麗な笑顔がそこにあるのだが、目はまったく笑っていなかった。
 それはまるで、鋭い棘を無数に含んでいるかのようで、あるいは絶対零度まで冷やされた氷がそこにあるかのような、恐ろしいまでに危険な光を宿していた。
「えーと、なんでわてが、死ななあきまへんのやろか」
「『なんで?』。それをてめぇが聞くわけ? 自分が昨日なにやったか覚えてないんだ」
 こちらが、相手に声をかけるたびに、どんどん笑みが深くなる。それに比例するように、彼の周りを取り囲む空気に凄みが増していた。
「あの……それはミヤギはん達とのやりとりでっか?」
 なんとなく、思い当たることがある。それは、昨日のことだが、うっかり……一応、わざとではなく、偶然会ったミヤギやトットリに、自分とシンタローがいかに仲がいいかを話してしまったのだ。
 あちらが、ベストフレンドぶりを見せ付けるので、つい……そう、つい口を滑らせただけである。
 他意はない。自分達が恋人同士であることまでは言ってない。しかし、原因がそれ以外ないようである。
(ミヤギはん達、誰になんて言うたんどすか!)
 自分が発した言葉がどんな変化をもたらしたかはわからないが、滑らした話題が、どういう経路を伝ってか、シンタローの耳に入ったようである。
「てめぇの所業を思い出したか」
「へえ」
 シンタローからの威圧感が高まった。だらだらと体中からあぶら汗が流れる。今のアラシヤマは、ガマの油状態だ。
 しかし、自分の発言が元とはいえ、結局のところ、シンタローの今の状態は、つまりは、簡単に言えば、アレなのだ。別に、怒っているわけではなく、たったひとつの感情によっての行動である。
「アラシヤマ、何か言うことは?」


「――――――――テレ屋なシンタローはんも可愛いどすえ」


 その一言で、命運は決まった。
 にっこりと、それはそれは華やかな笑みを浮かべられる。そして、その口が開いた瞬間、アラシヤマの存在は消えていた。


「MAX眼魔砲ッ~~~!」





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