迂闊なことに、変だと気付いた時には敵意にぐるりと囲まれていた。
暗い森の中の、わずかに開けた空間。
周囲に生い茂った草木に潜む敵の姿は、目に見えないけれど、見えないだけに如実だった。
(少なくとも15、・・20はいるか)
臨戦態勢をとって周囲を探ると、1つ、覚えのある気配に気付く。
たちまち接近してきたそれは、すぐに実体となって、頭上の枝から音もなく降り立った。
「わての獲物どすえ」
「・・連絡の1つもよこさない部下を、いつまでも待ってられるか」
「だからってなにも、総帥が直々に来ることあらしまへん」
「キンタローは反対側を捜索してる」
がつんと肩をぶつけて、目配せを。
背を任せる相手として、少なくとも力量的には不足がない。
お互い、自分の前方180度の端から端まで目を曝しながら、タイミングを計る。
気を抜いているつもりはないが、それでも口元が弛んでしまうのは、圧倒的な余裕のせいだ。
「運が悪いな」
「相手が、ですやろ?」
「当然。あ、あんま炎、広げんじゃねーぞ」
「任せておくんなはれ」
敵中に身を踊らせる瞬間、どちらともなく肩の上で、拳をぶつけた。
暗い森の中の、わずかに開けた空間。
周囲に生い茂った草木に潜む敵の姿は、目に見えないけれど、見えないだけに如実だった。
(少なくとも15、・・20はいるか)
臨戦態勢をとって周囲を探ると、1つ、覚えのある気配に気付く。
たちまち接近してきたそれは、すぐに実体となって、頭上の枝から音もなく降り立った。
「わての獲物どすえ」
「・・連絡の1つもよこさない部下を、いつまでも待ってられるか」
「だからってなにも、総帥が直々に来ることあらしまへん」
「キンタローは反対側を捜索してる」
がつんと肩をぶつけて、目配せを。
背を任せる相手として、少なくとも力量的には不足がない。
お互い、自分の前方180度の端から端まで目を曝しながら、タイミングを計る。
気を抜いているつもりはないが、それでも口元が弛んでしまうのは、圧倒的な余裕のせいだ。
「運が悪いな」
「相手が、ですやろ?」
「当然。あ、あんま炎、広げんじゃねーぞ」
「任せておくんなはれ」
敵中に身を踊らせる瞬間、どちらともなく肩の上で、拳をぶつけた。
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