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キミとボクのキョリとアノコ








「25歳と数ヶ月! おめでとうシンちゃん!!」
 そう言ってマジックは、シンタローが読んでいたニューズウィークを取り上げる。
「ちょ、返せよッ」
「25歳と数ヶ月! おめでとうシンちゃん! おめでとう私!」
 週刊誌をはるか後ろにぽいと投げ捨て、もう一度謳う。その飛びつかんばかりの浮かれように、毎度のことながら脱力して呆れた。
「あーそうだナ。だがな、5月に歳くってからこの数ヶ月間、なにも今日に限らずにその“25歳と数ヶ月”とやらだったぜ?」
「そう! 私もいつかいつかとずっと楽しみにしていたんだよ! そして! 今日だと思ったんだ! 理由はないけど! でも確信といってもいいね!」
 マジックは機敏にシンタローの手をとりその爪先にキスを落とす。
「なんだそりゃ。…やめぃ。昼間っから」
 握られた手をぺしりと振りほどくと、マジックは残念そうにして、それでも笑って再び手のひらをシンタローに差し出す。
「さあ起きて、こっちにおいで」
「チッ……あんだってんだよ…休日なんだからのんびりさせろよナー」
 渋々と手を引かれて立ちあがったシンタローを、マジックはうきうきと自分の私室へと誘った。
「…おい、変な事したらはったおす」
「あっはっは。しないよー。私は」
「そのとってつけたよーな一言はなんだ」
 嫌な予感がしないでもないが、マジックはベッドのほうには脇目もふらず、更に奥にあるクロークルームへと連れ込むと、白い布で覆われたモノを示した。
「ふっふふふふ…じゃーんッ!」
 マジックの頭の中ではドラムロールが流れたことだろう。反対にシンタローの頭の中ではシベリア凍土の冷たい風が吹き荒んでいる。
 早くひとりになりたい、そう思った。
 そんな切実に冷静なシンタローの前で意気揚々とマジックが白布を取り除けると、そこには。
「…鏡?」
「うん! 鏡だね!」
 2メートル近く縦に長い楕円を描き、周囲は精緻な細工が巡る、その古めかしい姿見は過去に見覚えがある。シンタローが幼少、グンマと遊びまわっていた時にみかけた記憶が。その時も同じように白布に包まれて使われていなかった。
「これが? 25歳と数ヶ月のプレゼントってかァ?」
「プレゼント!?」
 マジックはびっくりしてシンタローを見た。のにシンタローもぎくりと驚いた。強いていえばお化け屋敷に一緒に入った隣の奴の悲鳴にびびる感じだ。
「それはそれは! 贈り物! これにはぴったりだ! 私からシンちゃんへと! 私から私へと! とっておきの! 贈り物! なんッて素敵な言葉だろうね!」
「つーかなんだってこーいちいち反応が大袈裟かなー」
 そんなに興奮してこんな狭い所で長い手足を振り回していると、いつかどこかにぶつけて痛い目をみるだろう。いっそぶつけろと念じたくもなる。ただし俺にはぶつかるな。ぶつけろ。
「で、話が一向に見えてこねェんだが」
「あ、うん見えなくても大丈夫! シンちゃんは感じるままに行動してくれればそれで万事オッケーだから!」
「あーそうかよ」
 もう何のことやら、まともに聞く気にもなれない。
「それでは次元縦断魔法の鏡で過去の旅! 行ってらっしゃいシンちゃん!」
 どんッ!
「あ? って、は?!」
 意味不明の言葉に疑問符を投げかけたが、時既に遅く。
 突き倒された先には鏡があり、条件反射で衝撃に備えて思わず目を瞑ったシンタローの常識を覆してそれに融け込むように自分の身体がすり抜けていく。
 その感覚の気色悪さと、あとはひたすら暗闇を落下する感覚がつきまとう。
 気持ち悪くて、目を開けることができなかった。



















キミとボクのキョリとアノコ







 *****


 いままでのおはなし。

 忍者もいれば魔法使いもいる、ガンマ団率いるシンちゃんは、
 休日のんびりしていたらマジックパパの粋なはからいで
 どうやら昔にタイムスリップしちゃったようです。


 *****








 巨大な姿見に勢いよくたたきつけられるダメージを想定して目を瞑ったが、ぞろりとした感触と共に通り抜けた。頭から落ちて天地が逆転するのと同時にカーテンの向こうから声をかけられたようにくぐもった、楽しんでおいで、というマジックの声が聞こえた。…のを思い出す。
    !
「ちょっと待てぃ超常現象ッツ!!」
「うわっ」
「……………あ…?」
 怒りにまかせて腹筋の限りに起きあがると、目の前で少年が驚いていた。
 否、ただの少年というより。
 どくどくと自分の動悸が鼓膜に響く。
 思慮深げな碧い瞳と輝くような金色の髪、戸惑いがちに開かれた唇は、大丈夫ですかとシンタローを気遣う言葉をのせた。
「ごめんなさい、僕はあなたの身元を知らない。僕は、用心しなければならない」
 少年の言っていることが両腕の拘束を示しているのだと気づく。手首をタオルで縛められていた。不快ではあるが、今、大事なことはそこじゃない。
 シンタローが返事もできないでいると綺麗に整った形の爪がおずおずとのびて、やわらかく何度も何度もシンタローの唇をなぞった、その瞳。
「…名前を訊いても?」
「あ、っと……シンタロー」
 うわごとめいて呟くと、そう、と少年は頬を紅潮させて金の睫毛を伏せた。
「とても、とてもいい名前だ。シンタロー」
 これは。と仕草と熱っぽく掠れた口調に思い当たると、シンタローも自分の頬が熱いのにも気づく。
 自分の好みとぴったり合致していて、またその相手がこちらに好意を抱いている時、こんな場合、どうする。そんなの決まってる。
 ということは。
 感じるままに? 冗談だろ。…趣味悪ィぜ、親父。
 もはや誰何せずとも察しはつく。
 シンタローの葛藤を知らずに少年は毅然として口を開いた。
「僕は、僕の名はマジック。ガンマ団総帥の長男だ」
 やっぱりか、と思うのと同時に警鐘が鳴る。
 ヤバイと思っていてもマジックの顔が近づいてくるのを避けることができない。間近に潤んだ瞳を見て、それに屈するように、誘うように、シンタローも瞳を伏せた。
 マジック少年の唇を受け入れながら、これは、というかこれでも淫行になるんだろうか、という不条理なモラルハザードが一瞬だけ脳裏を掠めたがあっという間に流された。
 ただ重ねるだけの拙いキスの後、マジックはシンタローを見つめる。
「どうしよう。シンタロー。お願いだから正直に答えてほしい。シンタローは、…ガンマ団の敵だろうか」
 生真面目な言葉がくすぐったくて、シンタローはつい頬をゆるめた。
 このマジックが危惧する気持ちも勿論わかる。
 ここでやっと余裕ができたのか、シンタローがマジック以外のものに視線を転じると、今いるのはどうやらベッドの上らしい。ぐるりと見渡すと、件のアンティークな姿見が見えた。単純に、アレからアレへと通り抜けた、と考えるならばシンタローは密室トリックよろしく突然この部屋に出現したことになる。タネは非常識な魔法の鏡でした、などと説明したって信用を得られそうにもない。彼の身の上を考えれば自分の不審さはどこかのスパイか暗殺者と思われても致し方がないだろう。よくわかっているつもりだ。けど。でも。
 あーやべーやべー。喰っちまいてー畜生なんだよこれ反則じゃねェか!
「シンタロー。答えて」
 畳みかけるようにマジックから綺麗なキングス・イングリッシュでPleaseとお願いされて、シンタローの理性でできた防波堤はあっけなく決壊した。
 時に、自分の好みの相手がこちらに好意を抱いている、こんな場合。
「ああ悪ィ、馬鹿にしてんじゃなくて、…マジックがすげェ可愛いから、さ。つい」
 全身全霊ちからの限りたらしこむに決まってる。
 どうにでもなれと、シンタローはマジックに飛び切りの笑顔を向けた。























キミとボクのキョリとアノコ







 *****


 聖書のくだりはどうだったっけ。
 誘惑の蛇に唆されたイヴ。
 禁断である果実を口にして、
 アダムにもおなじ知恵の実でもある林檎を食べさせて?

 果たしてお互いに顕れたのは羞恥心と、


 目の前の相手への、激しい、恋情?


 *****








「なあ、これ解いてくれよ」
「…で、できません。無理です」
 シンタローが投げかける言葉に少年は過敏なほど几帳面に返してくる。
 なれの果てがあんな阿呆なオヤジになるとはとても思えない。
 一挙動作、言葉尻からなにからもう可愛くて可愛くてつい手が、…今は出せないのでつい口が出てしまう。
 シンタローは、どうにか先に進みたくて仕方がない。
「じゃ、キスして」
「…」
 かるいシンタローの口ぶりに、マジックは黙然と見返した。
 マジックにはこれから先、どうしたらいいのか判断がつかない。
 ここを出て、誰か大人を呼びにいかなくちゃ。
 きっと警邏の者を呼ぶのが正しい。
 そう、やらなくてはいけない義務はわかっているが、目の前のシンタローを見つめるともっと大切なことがある気がして、決心が鈍るのだ。
 ずっと、こうしてそばにいたい。触れていたい。
 結局義務よりも、唇に触れることを選んでしまう。
 シンタローの身体に乗りかかるようにしてキスをすると、タオルを十字にして捕えていた手が両者の胸板に挟まれて邪魔になる。けれどどうやったらうまくできるか迷った末、シンタローの両手を押しつぶしての無理矢理なキスになった。
「だからこれ、外してくれれば、」
「だ、駄目だってばっ!」
 苦笑するシンタローの語尾に重ねてマジックが否と悲鳴に似た声を上げると、シンタローは意味ありげに、その実、可愛いナァと心底思いつつ秋波を送る。
「ふーん…  俺の事、怖い?」
 マジックは口を結んだまま首を振って否定する。
「じゃ、嫌いか?」
 再度、首が大きく横に振られる。
「…シンタローは、こわくない」
 否定を繰り返した後マジックは口ごもって、でも、と続けた。
「でも?」
「……わからないんだ。こんなの、どうしたらいいの…」
 シンタローはそんなマジックに淫して笑う。
「別に、好きにしていいんだぜ?」
 好きに、とシンタローの言葉をぼんやりと反復してマジックは、はっと気づいたような挙動で真っ赤になった。
 そんな反応をされるとシンタローとしてはにやけてしまう。
「俺のこと、好きにしていーんだぜ? ほら」
 マジックの想像したように言い換えてみて、シンタローは縛められた自分の両手をホールドアップとばかりに上にしては、少年を危うい道へと誘う。
 両手を挙げると、休日だからと気負いなくくつろいで着ていたシャツの胸元に、キスの間中マジックに圧されて皺がついていた。
 それにさえマジックは罪悪感をもよおす。
 困った顔で指を伸ばしてその皺に触れる。くっきりとついた跡が自分の緊張を表しているようでとても情けない気持ちになる。
 ガンマ団だとか、総帥の息子だとか、長男だとか。
 ちゃんとした、しっかりした、頼りになる、英邁な、そういう言葉の数々を自任してきたはずなのに。
 今のこの状況だとどれもまったく役に立たない。
 こういう場合にはみんな、こういう風になっちゃうんだろうか。
   好きに。
 もう一度、今度は心の中で呟くと、マジックは吸い込まれるように唇を重ねた。
 角度を変えて何度も何度も唇を押しつけていると、濡れた舌がぺろりと唇を舐めあげてくる。それに吃驚してつい身を引こうとしたが、先にシンタローが自分の手首を輪のようにしてマジックの細いうなじに掛け、逃がさないとばかりに引き寄せてくる。
 シンタローの胸にすっぽりと収まって、密着すると心臓の音がふたつ、せわしく聞こえてくる。より早いのは確かに自分のほうだと確信した。
 おそるおそる、シンタローの唇を舐める。
 シンタローも舐め返してくる。
 やわらかくてあたたかい、濡れた舌と舌が掠めて触れる。
 そうされると細かい刺激がびりびりと、ぞくぞくと伝わってくるようで気持ちいい。
 マジックがシンタローに倣って舌を舐めると、シンタローはマジックのそれを絡めとって更に深いキスにしていく。
 そうやってふたりして、飽きるまでキスばかりしていた。
「シンタロー」 
 愛しい、思いの丈をこめて名を呼ぶと、シンタローもうっとりとした視線でマジックを見つめてくる。満たされていく、この幸福感。
 愛しい。
 シンタローを抱きしめて、もう何もなくてもいい。マジックがそう思っていると、シンタローは頬にキスをしてくる。
「…続きは?」
「続き?   あ。あ、あの…」
 マジック少年が満たされてもシンタローには、まだまだ足りない。
「そういやオマエ、やり方、わかってんの?」
「え?」
 致すためには大事な問題だが、シンタローとしては大して期待していない。
 教え込むのも一興だ。
「ヤッたこと、あんの?」
「……ない、けど。でも! わかる…と思う」
「ホントかぁ?」
「大丈夫だよ! 心配しないでシンタロー!」
「ハハ、  なら」
 任せたと薄く笑ってキスをされ、先を促されて、マジックは覚束ない指先でひとつひとつシンタローの胸元のボタンを外していく。長い黒髪映える白い肌を露わにしてみて、ごくりと喉をならした自分にマジックは気づかなかった。
 一番下のボタンまで外して、そっと両手で、胸に、肌に、直に触れる。
 手のひらに伝わる肌触りに一瞬で身体が熱くなる。シャツを押し広げると、シンタローが粟立つ感触に、うわ、とかそけく喘いだ。
 マジックはその喘ぎ声にくらくらしながらも無言でシンタロー広い胸板を晒しきると、馬乗りになっていた場所からずれてジーンズに手を掛ける。
 ジジ、ジ。
 音を立ててゆっくりジッパーを下ろし、シンタローの下着にその幼い手をかけ。
「…………く」
「く?」
 うつむいて突然ぴたりと凝固したマジックを、脱がされかけの間の抜けた格好でシンタローは見返した。
「黒いんだ………」
「は?」
 いやそんな驚かれるほど黒いモノは持っていないぞと訝しんでいると、小声でマジックが付け足す。
「あの、その、け、毛…が…」
 ハの字の眉でマジックが呟くと、シンタローは吹き出した。
「あったりまえだろー。髪だって黒いんだしヨ」
「っ…そう、そうか。そうなんだ…。ごめんなさい、僕、父さん以外、というかオトナのってあまり見たことなくて…、色が違うなんて知らなくて…っっ!」
(ぎゃーコイツ可愛いッツ!!)
 シンタローには目の前で恥ずかしがるマジックの反応がつくづく新鮮だ。
 抱きしめたいのに、両手の自由がないのが残念に思う。
「何、変か? 勃たねェ?」
「っ…そんなことない! …すごくドキドキする…」
 言って、マジックはシンタローにそろりと触れてくる。
 勃ちあがりかけていたシンタローのそれは子供の指先に反応していた。
「ァ  …。え、待っ」
 マジックは紅潮した頬寄せ、ちゅ。ちゅ、と何度もそれにくちづけをした。
(ぶっ    !!)
 マジックは手の中にある熱いものをゆっくりと根本から先端まで舐め上げてから、シンタローの反応を見ようと見上げると。
「シンタローッ!?」
 シンタローは鼻血で顔面を真っ赤に染めて倒れ伏していた。
 吃驚したマジックが慌てて手を伸ばす。
「シンタロー大丈夫? どうしたの?! シンタロー!」
 何か拭くもの、と、とにかく安静に、が頭を占めて、マジックはシンタローを戒めていたタオルを急ぎ無理矢理に振りほどいて流れた血糊を拭きとる。
「シンタロー、だいじょ…」
 うぶ? と訊き終わる前に腕を引かれて今までとは逆に押し倒された。
「悪ィ、限界   」
 圧し殺した声で言ったが最後。
 シンタローは強い力でジーンズを下ろし、脚から引き抜いた。
「シンタロ   ん、」 
 唇をふさがれると、シンタローの長い髪がマジックの顔を撫でた。
 先ほど、マジックからしていたキスとはまるで違う熱烈さで繰り返しくちづけてマジックを蕩かしながら、シンタローは自分とマジックの服を脱がせる。
「シン…」
 マジックが抵抗できずにただ熱い吐息をこぼすうちに、シンタローはマジック自身を一気に呑みこむ。
「ひっ」
 快感に悲鳴をあげるマジックに、ごめんと囁いてシンタローは腰を揺らす。
 蠕動の気持ちよさに眼もくらむ。
「あっ…熱い…シンタロー…シンタロー…!」
 のけぞって身体を震わせると、マジックはすぐに達ってしまった。
「あ…?」
 あっけない幕引きに、シンタローが間の抜けた声をあげた。
「……っ」
 力が抜けて、涙が出てくる。
 うれしいのか、かなしいのかも判らない。それでも泣いた。
 泣くなんて、どれくらい久し振りのことか。
「マジック」
 覆い被さるように抱かれて腕をどけられる。
「俺のこと、好きか?」
 にやけてシンタローは青い眼の泣き顔に尋ねる。
 それには首肯で返ってきた。
「んじゃ、こーいう時には好きだって言うんだよ。わかるか?」
「…うん…シンタロー、好き。好き。大好き…!」
「よし。上出来」
 シンタローが大満足で微笑むと、マジックも泣き笑いで笑顔をつくった。
 長いキスをして身を起こすと、マジックが言う。
「シンタロー、もう一回…」
「…できんの?」
「うん…シンタローも…気持ちよくしたいんだ…」
 ぎゅっと力強く押し倒してくるので、シンタローも笑ってされるがままでいた。

























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2004.9.24. BGM:5!! モンキー


も・こっちのほうがげんかい!

とうたつじかんはそれこそみこすりはんで!!



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