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その瞳が、



鎮圧したばかりの廃墟と化した街を男は歩いていた。
つい先日までこの国の華やかな文化の象徴であった第二の都市はガンマ団の容赦ない攻撃によって
今や見る影もなく、いまや瓦礫と砂埃が舞うだけである。
男は土煙に汚れた赤い服を気にするでもなく男は砲撃された建物の陰に逃げ延び潜んでいたゲリラの残党に目を向けていた。
ゲリラは満身創痍という言葉が浮かぶ姿だった。
しかしその目だけは殺気立って男を見据えていた。手にはマシンガンが握られている。
一方の男は何も持っていなかった。
しかし男はあわてることもなくただ悠然としていた。
「死ね!ガンマ団…!!」
意を決したゲリラは壁陰から飛び出しマシンガンの引き金を引いた。
しかし彼が引き金を引き終わる前に、彼は何か見えない力によって壁にたたきつけられ息絶えていたのだ。
男は骸をみやり、溜め息をついた。


何の感慨も浮かばなかった。


そのとき一人だけだと思っていた物陰で何かがうごめき、骸にすがりついた。

「…おとうさんっ!!!」

子供だった

ゲリラは父親だったらしい。ただそんなことよりも男の目を引いた
のはその子供の姿だった。

あの子と同じ黒。

薄汚れてしまった黒い髪が揺れる。
そして涙を溜めた黒い瞳が男の蒼い瞳とかち合った。その瞳は恐怖と嫌悪に塗り
つぶされていた。

「おまえは…」

「寄るなぁぁ!!化け物!!」



よ る な ば け も の



目の奥が熱くなり、押さえきれない力の濁流が冷酷な青い光となって溢れ出した
のを感じた。

残ったのは二つの肉塊。

いまだうずく目を押さえながら男は天を向いた。




ああ、いつかお前も同じような目で私を見るのか。
同じように化け物とののしる日が来るのだろうか。
いくら自分が隠し続けようとしても、いつかお前は知ってしまう。


私が人殺しの化け物だと。



そのとき私は正気でいられるだろうか。

どうか私を見捨てないで、シンタロー。


END







06/05/20




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