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居酒屋だった。
いかにも、昔ながらの飲み屋という感じの。
木の引き戸と色あせた昔は紺色だっただろう暖簾が年季を物語っている。
シンタローが足を止め、その店を見ながらキンタローに問いかける。
「あー、そういや、お前と外で飲んだこと無いよな?」
今更といえば今更な発言。
わざわざ外に出歩かなくとも、自宅にちょっとしたバーを完備している。
遠征に出る飛行艦も一応完備しているが、総帥が行くわけにも行かない。
お気に入りのボトルを何本か持ち込んでいる。
キンタローとは自宅か、遠征帰りで飲んでいる。
「ないな」
「どうよ?ちょっと寄っていかないか?」
シンタローはその飲み屋を顎で指す。
「いや、遠慮しておく」
キンタローはサックリと誘いを断る。
「なんでだよ?外だと家と雰囲気違って楽しいぞ?」
独りで呑んでもつまんねーから行こうぜ、と食い下がる。
「俺はお前と外では飲みたくないんだ」
「なんだぁ?俺、別に酒乱じゃないぜ?」
よくキンタローと酒を飲むが、舐める程度だ。前後不覚に成る程は呑んだ事は無い。
「別にお前が酒に呑まれるから外で飲みたく無いわけじゃないぞ」
「じゃあなんでだよ」
「いいのか?言っても」
キンタローは妙にもったいぶる。
「いいんだな。怒るなよ」
キンタローは念を押す。
そして周囲をうかがうように視線を巡らせる。それにつられシンタローも目を遣る。
世間では2件目に梯子するであろう時間だろうか。
周りにはほろ酔いかげんの2つ3つの集団がいるだけだ。
シンタローが不思議に思っているとキンタローが話し出した。
「俺は、お前の力のある目が酒が入ると緩む所や、張っていた気が和んで近寄りやすくなる所が」
「わかった。悪かった。俺が悪かったから、頼むからそれ以上言うな」
呑んでもいないのに既に酔いが回っているかのようなキンタローの戯言を押しとどめる。
「だから言ったじゃないか。まだあるぞ?聞くか?」
「言わんで宜しい。帰るぞ」
「ああ。酒は馴染んだ所で呑むのが一番だ」
そういうとキンタローはさっさと前へ行く。
騙されたような気がする、と思いつつシンタローはその背を追った。

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