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kjf
夜汽車に乗るのは初めてだった。
最終も間近、駅の構内に居る人はまばらだった。舗装された道をコツコツを歩く音が、冷えた空気にきんと響く。一両編成の列車はかなり使い古されているようで、定員が乗ったら危ないんじゃないかというくらいだった。すれ違う人も少なく、キンタローは寒さを列車の外に置いて急いで中に滑り込んだ。案の定列車の中は暖かく、むしろ暖房が効きすぎて暑いくらいだった。一番近くの席に座り、とりあえず、と荷物を近くに置く。大荷物を抱え、やっぱり二人で来れば良かったか、と少しの後悔を覚える。
しばらくして発車のベルが鳴り響き、列車は重くゆっくりと動き出す。

降り始めた雪を横目に、キンタローは荷物の整理をしていた。旅先で土産に迷う人の姿を見て不思議に思っていた頃もあったが、こうなるともう、そうはいかなくなる。手にしたものを順番に眺め、受け取るであろう人の顔を思い浮かべる。グンマ。高松。マジック叔父貴。次々に出て来るその一番奥に、小さな袋に入った花があった。物と物の隙間に上手く入り込ませていたそれは、状態も綺麗な物だった。手に取り、眺める。人に聞けばそれは、クリスマスローズという花だと言う。木から離れても長持ちすると聞き、キンタローは迷わずそれを選んだ。

迷いのない白さは、きっとシンタローの黒髪に映えることだろう。


キンタロー一人旅
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