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 ガンマ団の兵士なら誰でも、年に1回は「里帰り」のための休暇がもらえる。
 どうやら、長期にわたって戦い、疲れた兵士の士気を上げるためらしい。
 アラシヤマは京都に1人で帰省してはみたが、特に待っていてくれる家族も帰る家もあるわけではないので、宿に荷物を置いた後一人でぶらぶらと京都の町を歩いてみた。
 丁度、その休暇の時期と京都の祭りの時期が重なっており、どこもかしこも祭りのお囃子が聞こえ、浴衣や法被を着た楽しそうな人々が道をたくさん歩いている。
 京の町は活気に溢れていた。
 アラシヤマは、最初は自分も楽しい気分であったが、歩いているうちにだんだんと気分が沈んできた。
 (あれ?一体なんですのん??去年までは楽しかったのに。わては、1人には慣れとるはずやし、京都はわての故郷ですやん。言葉かて、わてと同じ言葉を話す人ばかりですし。食べ物かて、京都は最高どす!!ここが一番落ち着くわてのふるさとのはずですのに・・・)
 なんとはなしに、ふと、人の流れを見ていると、一組の家族連れが目に留まった。
 浴衣を着た4歳ほどの元気そうな男の子が若い父親に肩車されており、父親の傍らには浴衣を着た若い母親が歩いている。

 「お母はん!リンゴ飴買おて??ええやろ?」
 「お父はん、ええですやろか?」
 「ええよ。買おたりなさい」
 「しょうがないどすなぁ。ほな、1個だけですえ?」

 たった、それだけのやりとりであったが、アラシヤマの目にはひどく幸せそうな光景に映った。
 その後、どうにも祭りを楽しむ気にはなれず、アラシヤマは1人、宿に戻った。
 休暇が終わったのでガンマ団に帰省し、帰省したことを新総帥に報告に行き、シンタローの顔を見た途端アラシヤマはホッとして力が抜けた。
 「なんや、シンタローはんの傍が一番落ち着きますわ」
 「なんだよ、それ」
 「いえ、こっちの話どす。ところで、シンタローはん、来年の休暇の際はわてと一緒に京都に行きまへんか?わてが色々案内しますえ?京都は料理も美味しゅうおますし」
 「なんで、お前と2人で行かなくちゃなんねぇんだヨ。でも、京都か・・・。ちょっと行ってみてぇナ」
 「そうでっしゃろ!あっ、祭りの季節でしたら、ぜひ、浴衣を着てくれまへんか?(シンタローはんの浴衣姿、可愛ゆうてたまらんですやろなぁ・・・)わてにとって、新ふるさとと、旧ふるさとが揃えば怖いもんなしどす!!」
 「なんだかよく分からねぇが、・・・お帰りアラシヤマ」
 「ただいま、シンタローはん」

 ―――――あなたが、わたしの、新しい“ふるさと”なんです―――――




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