勢いよく開いた扉の先には、さも当然のように総帥椅子に腰掛けて、秘書から回されてくる書類にペンを走らせている自分の姿があった。
「・・・お前、何してんの」
「あっシンタローはん、お早うさんどす~って、ひやぁあああ!」
その声でその顔でその言葉遣いはヤメロ。しかも変な声で叫ぶんじゃねぇ。
と、口にする前に酷く恐ろしい顔した自分が目の前まで走り寄って来るものだから、ただただ恐怖で固まってしまった。
そんな俺を、俺の姿をしたその男は慌てて総帥室の中に引っ張り込む。首だけ出して廊下に誰も居ないのを確かめるようにキョロキョロと見回すと、大きな音をさせて扉を閉じた。
「シンタローはん、なんやわてに恨みでもありますのん・・・!? あぁっ恥ずかしい、その格好でこの部屋まで来たんどすかー!? 最短コース通って来ましたやろな? 誰か途中すれ違うたりしまへんどしたっ!? はぁー信じられへんッツ」
とにかく何か着てやぁと、寝て起きたそのまんまのスパッツ一枚でいる自分を嘆かわしげに見て、勝手知ったる奥の部屋へと、男が人の服を漁りに一瞬その姿を消した隙に俺は深く溜息を吐いた。
「信じられねぇのはお前だよ・・・」
朝目覚めると、自分の部屋ではない場所にいた。
何となく見覚えはあるような、そしてどこかで嗅いだ匂い。香なんぞ知らないから、
(線香臭ぇ・・・)
すぐにピンと来た。だが一応ここはどこだと、気を張り詰めて辺りを見回す。そしてやはり脳裏を過ぎったその男の部屋であると、確定する品々(木製人形やら、ファンシーなフォトフレームに収まった自分の隠し撮り写真など)が目に止まってしまい、背筋に悪寒が走った。
なぜ自分はここに────と、部屋の主の姿を探しかけたところで身体の異変に気付く。
まず頭が軽い。さっと上に手をやり髪を梳けば、首筋の辺りでなくなる手ごたえ。そして鬱陶しく長い前髪。
声も微妙に違うように感じた。
「おいっアラシヤマッ」
いない。というか、これは・・・
慌ててベッドから降り、シャワールームに駆け込んで鏡を覗くと、そこには信じられないものが映っていた。
「理由? わてにもわかりまへんよ。朝起きたらシンタローはんの部屋におって、顔洗うて鏡見たらシンタローはんが居てはるから、綺麗~に髪梳かして総帥服着せて出勤したんどすえ」
なんで俺の部屋だとすぐわかったのかなんて、大体返事は想像出来たのであえて聞かない。それよりも、まるで俺は着せ替え人形かといった言い方に、ゾワリと神経を逆撫でされた。
「オマエ、勝手に人の身体に触りまくったりしてねぇだろうなぁ?」
ピキピキとこめかみに筋が立つ。最悪の事態を想像して、返される言葉に備えていたが、
「触ったかて、感触は今は自分の肌やない。中にシンタローはんがおってこそ、触りたなるいうもんどす」
まぁ、鏡の中の姿には堪能さしてもらいましたけどな。と言って、とろんと顔を緩ませる。俺様の顔で変な顔すんじゃねぇ! と殴ろうとしたところで、それが自分の顔だと思うと殴るに殴れなかった。
「てか、何でそんなに落ち着いてんだよ。平然と仕事までしてやがって、元に戻ろうとかどうしようとか考えねーのかよっ」
「なってもたモンはしゃぁないし・・・とりあえず溜まってる仕事片すには便利な姿やし。あんたはんサボってばかりおるから、毎回押せ押せでわてが徹夜する羽目になるんどすえ? 今のうちに全部片付けさしてもらいますから」
折角やから、シンタローはんは寝ててエエどすえ~わてのお肌の為になどと嬉々として言われ、イライラは最高潮に達した。
「信じらんねぇ、寝られっかよ! 気色悪ぃんだヨてめーの身体なんて・・・おめーは気分いいかもしんねーけど俺は最悪だッツ」
バン! と徐に総帥デスクを叩き───って、何でフツーに俺が立っててコイツが座っているんだよとはたと気付き、アラシヤマの身体にその椅子に座らせるのも癪だが今の俺の姿をしたコイツにも座らせてるのは腹立たしい、ではどうすればって、ともかくいつも着用している自分の赤い服の胸倉を掴んでアラシヤマを引っ張り上げた。
瞳に映る姿は自分の姿。だが、中身はアラシヤマだ。
そして、自分はアラシヤマの姿をしていたって、頭ン中は自分。感情も自分。
自分の身体に傷はつけたくなかった。だが、
「うっわ、気色悪ぅ」
彼の口からその言葉と、あからさまに至近距離から顔を背けられたその行為とが、考える間もなく自分の顔を目掛け拳を突き出させていた。
わかっている。
彼が口にしたその言葉の意味は、俺(シンタロー)との至近距離が気持ち悪いのではなく、自分(アラシヤマ)の顔が至近距離に来たから気持ち悪かったのだと。
わかってはいるが、ムカついたのも事実。アラシヤマが俺から顔を背けるなど、しかも台詞が「気色悪い」ときたもんだ。いつもは胸倉掴んだだけでうっとりしやがるくせに。
それはそれで背筋がゾワゾワするので眼魔砲の刑なのは変わりないのだが、それでもまだ許せる。
昏倒した自分の身体を、総帥室奥に備え付けのベッドへと運んで、その傍らに腰掛けて目覚めを見守る頭の中では、アラシヤマに対する鬱憤で一杯だ。なのに殴りたい身体は今は自分の身体だという口惜しさ。
寝ている自分の姿など、幽体離脱でもあるまいし気味が悪くて見てなどいられないから、背中を向けて気配だけを窺っていた。
(気はやっぱアラシヤマだな・・・)
目を背けていればいつも通りの自分達だった。目の前に鏡もないから、自分はシンタローだと思える。髪も子どもの頃に戻ったと思えば前髪以外は違和感はない。
けれど、何か非常に窮屈だった。
その理由になかなか思い当たらず、少々の息苦しさにぐっと背を伸ばすと、
ビシッ─────
(・・・・!?)
確かな音をさせて、伸び上げた両腕のシャツの脇下が切れた。
(・・・ちょっと待てよオイ)
着ていたシャツは俺(シンタロー)のもの。別にどんな運動をしたって切れることなどなかった。
(まさか)
焦って、先程意識を失った男を寝かす前に脱がせた総帥服に袖を通す。
(・・・・嘘、だろォ)
明らかにサイズが合わない。それも、ぶかぶかだというのならわかる。身長もアラシヤマの方が低い。なら、服だって俺のものが着れて当然だ。
と、思っていたが実際。
がばりとベッドに乗り上げ、寝ている自分の身体に触れて確かめる。両肩のラインを確かめ、二の腕から胸囲、腰の太さなどを、アラシヤマの身体と触り比べて愕然とした。
腰は自分(シンタロー)の方が太かった。が、肩幅は・・・
「・・冗談・・・・っ」
なで肩に騙された。そしていつも猫背だから気付かなかったが、背もシャンと伸ばしてみればそんなに高さも変わらないのではないのか?
ちょっと待てちょっと待てと、叫び出してしまいそうな口元を手のひらで抑え、その手のひらの大きさにもドキリとした。
(冗談じゃねェ)
確か姿見があった筈。と、クローゼットの扉を開け、縦長のそれを発見してじっと中を覗き込んだ。
(信じらんねェ・・・)
今までちゃんと、アラシヤマの姿を見たことはなかった。目には入れても直視したことがない。恐らく。
士官学校時代は、もっと向き合ってた筈だ。一体いつから俺は、コイツから目を背けるようになってしまったのか。
鏡に映るその姿は、まるで初めて会った男のようだった。
「シンタローはんっ! 折角昨日わてが全部片したのに、また仰山書類溜めはって~・・・ヤル気おへんの!?」
「はいはい、うっせぇなー」
あの後意識を取り戻したアラシヤマは、すっかり自分が寝込んでしまったものだと思い込み、慌てて総帥デスクへと飛んで行った。
「この姿でいられるンも、いつまでかわかりまへんしな。こないな機会、逃す手はありまへん」
と言っていた通りに翌日には、何事もなかったかのように中身は元の入れ物に戻った。
「はぁ~神様は残酷や。わてが総帥やったら、ナンバーツー基い心友のこと、大事に大事にしますのになぁ。こない書類溜め込むこと、しまへんのになぁ」
などと嘆いて、持ち込んだ卓袱台の前に正座して、俺から回された書類を片付けていく。
「おめー、まだこの椅子狙ってんのかよ? そういうことは俺様に一度でも勝ってから言うんだな」
ホレ、と、その男の前に新しい書類の山を築き上げると、
「・・・・・・・」
「・・・ンだよ、その目は」
「へぇ、何でもわてに頼んでおくれやす。シンタローはんには、一生敵いまへんから」
にっこりと嬉しそうに笑って、書類に視線を戻したその下げられた顎を思いっきり蹴り上げた。
「痛ぁーーーー!! いきなり何しはりますのん!? わて何かしたー!?」
「るっせ。眼魔砲でなかっただけありがたいと思え」
くるりと踵を返してデスクに戻るその背に、まったくシャイなお方やなぁなどとうっとり唱える声が届いたが、技を発動させる為に振り返るにはあからさまに顔が火照り過ぎていた。
アラシヤマは気付いていたのだろう。毎日許す限りの時間飽きもせずに、人のことを眺めているのだから。
(あー、ちくしょう)
まったく舐められたモンだ。今度コテンパンに伸してやる。
奴の口にする“本気”は、これから二度と信じないことにした。
なっ、なんと!皆様!!渡様から素敵「俺アイツ」小説をいただいてしまいました・・・!アラとシン
ちゃんの人格交換ネタを、渡様に書いていただけるとは、まさに私は果報者ですvvv
渡様~!ほんまに素敵萌え小説をありがとうございましたー!!(涙)
ではでは、皆様も、渡様の素敵小説をご堪能くださいませvvv
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アラシヤマは、シンタローを殺そうとして失敗した夜以来、夜毎PAPUWAハウスに不法侵入していた。
「何で、此処に来てしまうんやろか・・・」
その行動をとらずにはいられない自分自身が分からないまま戸惑っていたが、漠然と、つきつめて考えてみるのは怖いような心持がした。
(シンタローは、超ブラコンで、俺様で、可愛気ゼロで、しかも男どすえ?)
自戒のためそう思いつつも、シンタローの寝顔を眺めていると、そんなことはどうでもいいような気もしてくるのが不思議であった。
ここの住人たちが生半可なことでは起きないことは承知していたので、アラシヤマがすっかり気を抜いて過ごしていると、不意に真ん中に寝ていた小さな人影が目をこすりながら起きた。
「やっぱり、おまえか」
「なっ、何どすのんッ?起きてはったんどすか!?バッチリ気配は消しとったはずやのになんでッツ!?」
「気がつかいでか。ただ、僕はお前に害意が感じられなかったから放っておいただけだ」
「―――あんた、たいしたちみっ子どすなぁ・・・」
子供は、トコトコとアラシヤマの対面に来ると少し間を置いて座り、
「それよりも、おまえ、ホモなのか?」
と聞いた。
アラシヤマは、非常に動揺した。
「なっ、何てこと言わはりますのんッツ!?わてはホモやおまへんえ~!!」
「じゃあ、何で毎晩わざわざ男の寝顔を見に来ているんダ?」
「そっ、それは・・・」
アラシヤマが答えに窮して冷や汗を掻きながらシドロモドロの状態になっていると、待っているうちに子供は再び眠くなったのか、布団に戻って寝てしまった。
その後、スースーと安らかな寝息が聞こえてきた。
「ぱっ、パプワはんッツ!最後に一つだけ教えておくれやす!!どーして、シンタローはあんさんや犬と一緒に寝たり、色々いうことをきいたりしとるんどすかッツ?」
「んー?僕らは、友達だからナ!」
眠そうにそう言うと、子供は再び眠りについた。
(友達・・・。成る程、友達やったら、ご飯をつくってもろうたり、一緒に寝たりできるんか。もしかして、お揃いのマフラーをしたり、手を繋いで歩いても全然不自然やないんやろか!?)
アラシヤマは、それまで友達という言葉にはごく一般的なイメージを抱いていた。しかし、実際に友達がいた経験が今まで無かったので、自分が知らなかっただけでそういった“友達”関係もあるのだろうと彼は思った。そう考えると、何かが腑に落ちたような気がした。
(わては、シンタローと“友達”になりたいんや)
自分から“シンタローと友達になりたい”と思ってしまったことについては、プライド上少し釈然としないところが無いでもなかったが、“友達”という単語はアラシヤマにとって安心感を与えた。
PAPUWAハウスの外に出ると、空が白み始めるのが見えた。
アラシヤマは、シンタローから
「今日から俺が友達だ!」
と言われた時、非常に嬉しかった。
(なんてったって、あんさんから言い出したことやからナ!)
少し先を歩くシンタローの束ねた長い黒髪が白いタンクトップの上で揺れるのを見ながら、
「嘘でも何でも、とにかくその言葉をもろうたからには、もう一生離しまへんで・・・!!」
シンタローには聞こえないくらいの小声で、そう呟いた。
「テメー、おせーゾ!トロトロしてっと置いてくからナ!!」
いつの間にか立ち止まってしまっていたアラシヤマを振り返ったシンタローが、そう言うのを聞きながら、
「待っておくれやすぅ~vvvシンタローはーんッツ!!」
アラシヤマは、慌てて駆け出した。
マーカーは、パプワ島でアラシヤマと相対した際、アラシヤマに違和感を感じた。
守りたいと願うものがあり、それを阻もうとする者は例え師匠である自分にさえも刃を向けた。マーカーは、アラシヤマを殺すより他、道はないと思った。
結局、そのようにはならなかったが。
マーカーは、勝ち目の無い無謀な勝負を挑んでくるアラシヤマを大馬鹿者だと思った。さらに、恥をさらしてまで“生きる”とのたまうアラシヤマに対して苛立った。
(安っぽい思い込みなど、一体何になる!?)
アラシヤマが姿を消すのを見つつ、あえて追いはしなかったが、そう思った。
再びアラシヤマと対峙した時、彼は再度勝ち目のない勝負を挑んできた。ボロボロになって、通常ならもう戦えない状態になっても、伊達衆の面々には何故か諦めた様子はみられなかった。
マーカーは、正しく状況判断が出来ず悪足掻きをする姿を見苦しいと思い、嫌悪感を抱いていたので彼らに失望した。
(―――このまま殺してやるのが、親切というものか)
半ば諦めたような気持ちになり炎を手に纏った時、アラシヤマが仲間達に何か話しているのが見えた。そして、
「極炎舞!!!」
炎は凄まじい勢いで広がり、あっという間に辺りは火の海となった。アラシヤマを糧に、いよいよ勢いを増した炎は、無差別に攻撃を始めた。
(―――それほどまでの覚悟なのか、アラシヤマ・・・!)
アラシヤマに請われて教えはしたものの、まさか彼が誰かのためにその技を使うようになるとは思いもよらなかった。
マーカーは、完全にアラシヤマが自分の手元から離れたと感じた。
「うわっ!?」
「ロッド!!」
炎がロッドを狙って一瞬で燃やし尽くそうとしたが、思わずマーカーはそれを防いだ。自分でも思いもよらない行動であったので呆然とした一瞬の隙に、炎が顔を掠めた。
炎の向こうにアラシヤマが崩れ落ちる姿が見えた。炎は地面を焦がし、緑の木々を焼き尽くす。生き物の焼ける臭いが鼻に衝いた。見慣れているとはいえ、凄惨な光景だと思った。
マーカーが火を消し終わると、辺りに立っている者はほとんどいなかった。Gは、どうするのか、と問いたげな表情でマーカーを見る。
マーカーは、無言で未だ煙が燻っている方向に歩いていった。
(何とか、生きてはいるようだ)
地面に倒れていた伊達衆の面々を一瞥し、そう判断した。
(・・・もう、二度と会うことも無いだろう)
彼は、倒れているアラシヤマを見て何故かそう思い、踵を返しGやロッドのもとに戻った。
シンタローが新総帥となり、ガンマ団が新生ガンマ団になってからかなり経ったある日、マーカーの予感を裏切り、アラシヤマが突然ひょっこりと訪ねて来た。
「師匠、お元気どしたか?」
「何の用だ」
「あっ、コレ、お土産どす~」
「いらんッツ!私は甘いものは嫌いだ!!」
「相変わらず、コミュニケーションの苦手なお方どすなぁ・・・」
土産を0.3秒で断られたアラシヤマは、ブツブツ言いながら紙袋に四角い包みを戻した。
そして、頬に傷跡の残るマーカーを見て、
「師匠、本当に有難うございました・・・!」
そう言って、頭を深く下げた。
マーカーは、何のことだとは聞かなかった。その代わり、
「・・・あの不器用な方は、お前には高嶺の花ではないのか?」
と言った。
その言葉を聞いたアラシヤマは顔を上げ、
「なななななっ、何でお師匠はんがッツ、シンタローはんのことを知ってはるんどすかぁ!?!?」
と、パニック状態に陥っていた。その様子が面白かったので、マーカーは少し溜飲を下げた。
「おまえの手に負える相手ではなかろう?そもそも、おまえが少しでも好かれているわけがない!」
「―――お師匠はん、もうちょっと他にも言いようがありますやろ?何もキッパリ断言しはらんでも・・・」
どうやら、思い当たる節が多々あったようで、アラシヤマはガックリと落ち込んでいた。しかし、頭を上げたアラシヤマは、
「でも、わては、いくら見込みが無いようでも、シンタローはんだけは絶対に諦められへんのどす」
静かに笑ってそう言った。
「まっ、わては信念の男どすから。―――それに、師匠の最初で最後の弟子どすしな!」
「・・・そんなことを言った覚えは、」
「無いとは言わせまへんで~!しっかりとわてのメモリーに記憶されていますさかいv」
(やっぱり、あの時火を消さないでおくべきだったか・・・。いや、今からでも遅くは、)
「なんやえらい殺気を感じますけど、ほな、わてはそろそろ失礼しますわ」
そう言うと、アラシヤマは帰っていった。
「特戦に、戻るか」
マーカーは、椅子から立ち上がり、
(誰か、食うかもしれんな)
アラシヤマが置き去りにしていった紙袋を手に取った。
「師匠、わてに稽古をつけておくれやす!」
ある日、いきなりアラシヤマが休暇中のマーカーの元を訪ねて来た。アラシヤマが士官学校に入学して以来、彼とは数年間会ってはいなかったので、マーカーは怪訝に思ったが表情には顕わさなかった。
ちらり、と、アラシヤマの方を見遣ったマーカーは、(それにしても・・・)と思い、
「蛇炎流!」
少々手加減はしたものの、まぎれもなく必殺技をアラシヤマに向けた。アラシヤマは何とか避けたものの、髪や服の一部が焼け焦げた様である。
「久々に会った愛弟子に、いきなり何しはりますのんッツ!?びっくりしますやん!!」
「―――その髪型は一体何だ?」
「えっ、コレどすか?格好ええでっしゃろ♪流行の最先端どすえ~!!」
「見るも不愉快だ。とっとと、直してこいッツ!!話はそれからだ」
マーカーが一喝すると、アラシヤマは、
「まったく、年寄りはセンスがおまへんナ!気に入ってましたのにコレ・・・」
などと小声で面白くなさそうにブツブツ言いながら引き返していった。勿論、マーカーの耳にはしっかり聞こえていたので、彼は久々に会った弟子を、どういびってやろうかと思案した。
「お久しぶりどす」
夜になると、何処かで髪型を何とか以前のように戻してきたアラシヤマが、再びマーカーのもとを訪れた。以前のようにといっても、ずいぶんと背が伸び、顔つきや声も大人の域に移行していたので少年時代とは与える印象はかなり違ったが。見慣れないながらも、そのうちすぐに慣れるのだろうとマーカーは思った。
一方、アラシヤマから見てマーカーは、全く変わっていないように見えたらしい。どうやら内心安心したようである。
やはり久々に会うというので、珍しく気を使ったのか、
「あっコレ、お土産のおたべどすえ~」
と言いながらアラシヤマが鞄の中から四角い包みを取り出すのを見ながら、
「一体、何の用だ?」
マーカーはとりつくしまも無い調子でそう聞いた。アラシヤマは手を止め、
「技を、教えてほしいんどす。とにかく、わては今のままやったらあかんのどす・・・!」
何を思い返しているのか、目をギラギラさせ、鞄を睨みつけたまま悔しそうにそう言った。
「・・・私は、必要なことはお前に全て伝授したつもりだ」
マーカーが静かにそう応じると、アラシヤマは暗い目でマーカーを見た。
「お師匠はん。まだ教えてもろうてない技があるはずどす」
「帰れ」
「・・・極炎舞、わてに教えて下さい」
アラシヤマは、頭を下げたままその場を動かなかった。
アラシヤマは、クワズイモやビンロウ樹、ソテツなどの熱帯植物の陰から登場する機会を窺っていた。
寒い時期にガンマ団から刺客としてパプワ島まで来たわけであるが、とにかくこの島は暑い。それでも彼は律儀に派手なコスチュームを身に纏っていた。
(なんやアレは・・・)
アラシヤマはその光景を見て、自分の目を疑った。
シンタローが、ギャーギャーと騒ぎながら足の生えた鯛や巨大カタツムリから逃げ回ったり、料理を作ったり、犬を洗ったりしている。まるで無邪気な子どものように表情が豊かであり、3ヶ月前までシンタローがガンマ団に居た時の、冷たい投遣りな様子とはかけ離れていた。
「一体、何やの?」
声に出してそう呟いた。呆れたような気持ちが大きかったが、何だか、見ていると胸が騒いだ。
冷たい雨が顔に当たり、アラシヤマが気がつくと、辺りには誰も居なくなっていた。彼は、とりあえずその場に身を起こした。
「この島に秘石眼の子供がいるやなんて、全く予想外どしたわ」
(それにしても、さすが秘石眼の威力は凄まじいもんやな。もし、あのガキと秘石をうまく利用したら・・・)
「―――わてにも、世界を手に入れる勝算は十分にあるやないか」
彼は、ニヤリと笑った。
(ほな、早速明日からアイツラを見張ってガキの観察と秘石を奪うチャンスを見つけなあきまへんな!・・・となると、シンタローは邪魔になる。今のわての立場はガンマ団の刺客やし、真面目に最後の任務を完了させまひょか)
アラシヤマは、着ていた鎧を地面に投げ捨てた。
「これで、ちょっとは身軽になったわ」
そして、雨の中を歩き出した。
アラシヤマは毎日、シンタロー達を物陰から見張っていた。子供を観察するはずが、気がつくといつも、子供よりもシンタローの方を目で追っていた。
シンタローはどうやら子供にこき使われているようであったが、何だかんだいいながら洗濯や料理など結構楽しそうにこなしており、アラシヤマは驚いた。ある日、シンタローは外で料理をしながら子供や犬と何か話していたが、不意に優しい笑顔になった。
アラシヤマは、目を瞠った。
(なんて顔で、笑うんやろか)
再び、胸がザワザワと騒いだ。
アラシヤマは秘石を手に入れ損ねた後、アダンの樹上で考え込んでいた。
(そろそろ、シンタローを殺らなあきまへんな。昼間は色々と邪魔が入るし、夜やったらどうやろか?テヅカくんはコウモリやけど、夜は家に帰るから好都合どす)
考えが纏まったのか、アラシヤマは木から飛び降りた。
PAPUWAハウスの前に着いた頃、すっかり辺りは暗く、月が中天に昇っていた。
(どうにも、気の抜ける家やナ・・・)
そう思いつつ、鍵のかかっていないドアをそっと開けて中に入ると、2人と一匹が川の字になって眠っていた。川の字というよりは縦にした三の字と言った方が正確かもしれない。
見るからに幸せそうな光景で、アラシヤマは自分が非常に場違いな気がした。
(何をグズグズしとるんや、わて!とっととシンタローを殺ってここから出て行かんと・・・)
アラシヤマは、携帯していたナイフを取り出した。刃が、窓から入る月の光を弾いて鈍く光っている。
寝ているシンタローの横に屈むと、(これが、最後のお別れや)そう思いながら、眠っているシンタローの顔を眺めた。
強い印象的な目が伏せられていると、年齢よりも幼い顔立ちに見えた。あどけないといってもいいかもしれない。
アラシヤマが、何故か躊躇っていると、身じろぎしたシンタローが
「・・・さみィ」
と眠ったまま呟き、不意にアラシヤマのマントを掴み、引き寄せた。
(なっ、何しはるんやー!!)
引っ張られ、自然、シンタローの上に覆い被さる形となったが、シンタローは暖かくなればそれでよかったのか、安心したように眠ってしまった。
アラシヤマは非常に困った。他人とこれほど身近な距離まで接近する事は、普段の彼にとって皆無であったので、どうしたらよいのか検討もつかず固まっていた。途方に暮れたので、とりあえずそのままの状態でいた。
(あったこうおます・・・)
ボーっと現実逃避気味にそんな事を考えていると、不意にあることに気がついた。
(シンタローは、裸やないか・・・!)
ますます、どうしたらよいのか分からなくなった。とりあえず、シンタローを起こさないようにそっと退こうとすると、腰に手が当たった。
(思ったよりも、細い・・・ってわて、何考えとりますんや!?)
「うーん・・・」
くすぐったかったのか、向こう側に寝返りを打ったシンタローが握っていたマントを手から放したので、アラシヤマは慌ててシンタローの上から退いた。
もう一度マントを掴まれては困る気がしたので、掛け布団を掛けておいた。シンタローを殺そうという気はすっかり失せており、なんだか呆然としたままPAPUWAハウスを出た。
一日の仕事を終えたシンタローが、廊下を歩いていると、
「シンタローは――――ん!!」
後ろの方から叫ぶ声が聞こえた。振り返りざま、
「眼魔砲ッツ!!」
と、眼魔砲を撃とうとすると、いつの間にか近くまで来ていたアラシヤマが、
「あっ、今回眼魔砲は堪忍しておくれやす~!アイスがとけますさかいに」
コンビニの白いビニール袋をヒラヒラさせてそう言った。アイスという単語に少々気が抜けたので、シンタローはとりあえず高密度のエネルギー体を消失させた。
「何だヨ、ソレ?」
「アイスクリームどす。シンタローはんと一緒に食べようと思うて、買うてきたんどすえ~!」
「買うてきたって、オマエ。いきなりわけわかんねェし」
「だって、シンタローはん、この前何遍もわてのこと“暑苦しい”言うてましたやん。よくよく考えてみたんどすけど、それはわてが“炎”を使うイメージからくるもんやと分かったんどすー!わては暑苦しい男やないいうことをシンタローはんに証明しよう思いまして、だから、冷たいアイスなんどすvvv」
(見当違いなうえ、やっぱりコイツ、わけわかんねェ・・・)
シンタローは、アラシヤマの行動自体を指してそう言ったわけであったが、アラシヤマが、
「あんさん、一日中、冷房に当たってばっかりでしたやろ?体に悪うおます。ということで、今から外へ行きまへんか?それに、アイスは外で食べるもんどすえー!!」
と言った言葉を聞いて少し心を動かされたので、アラシヤマの勘違いについて蒸し返すのはとりあえず、やめておいた。
「まぁ、別にいいけど。今は夜だゾ?こんな時間から一体どこに行くんだよ」
「まっ、わてにまかせておくれやす」
そう言って嬉しそうに笑うアラシヤマに軽くムカつきつつ、シンタローはアラシヤマについて行った。
「―――それにしても、あちィ」
シンタローは、こめかみを伝い落ちた汗を拭った。夜になって朝よりは涼しいはずであるが、クーラーに慣れた体には、気温は非常に高く感じた。
「まだなのかヨ?」
「もう、すぐそこどすえ~」
暗い林を抜けた先には月明かりに照らされた高いフェンスがあり、
「この中どす」
アラシヤマはフェンスをよじ登り始めた。2人が身軽に飛び降りた場所は、コンクリートの上であった。微かに塩素の臭いが鼻についた。
「ここって、士官学校・・・」
「の、プールどすvやっぱり水辺は涼しゅうおますナ!これで、わてが暑苦しゅうないことがあんさんにもわかりましたやろ??」
アラシヤマは何やら非常に自信ありげである。
「・・・やっぱオマエ、暑苦しーわ」
「エッ?何でどすかッ!?こーいうこととちゃいますのんッツ??」
アラシヤマは悩んでいたが、シンタローが、
「もういいから、とっととアイス食っちまおーゼ!溶けたらもったいねーし」
そう言うと、嬉しそうに袋からアイスを取り出し、
「半分こ、どすえ~vvv」
と、照れながら、アイスを割ってシンタローに渡した。
シンタローはあまり納得はいかなかったものの、プールの飛び込み台に座ってアイスを食べながら、
「それにしても、なんでガンマ団の幹部がコンビニでこんな安いアイス買ってんだヨ?俺、こんなの食ったのってガキの時以来だゼ?」
隣の飛び込み台に座っているアラシヤマの方を向いて言うと、もう既にアイスを食べ終わっていたらしいアラシヤマが、
「シンタローはん」
真剣な顔をして近づいてきた。
「何だよ?」
一体何を言われるのかとシンタローは身構えたが、アラシヤマは、
「―――あんさん、そんなエロい食べ方したらあきまへん!いや、わての前では勿論ええんどすが(むしろ推奨)、他の男の前では絶対アイスを食べんといておくれやす―――!!!」
そう叫んだので、
「眼魔砲」
と、片手で眼魔砲を撃つと、アラシヤマは水飛沫を上げてプールに落ちた。制服のままプールに落ちたアラシヤマが、
「なっ、何しはるんどすかッツ!?」
抗議をしたものの、
「さーて、アイスも食い終わったし、そろそろ帰っかナ!」
シンタローは全く取り合わない。
シンタローが座っていた飛び込み台から立ち上がろうとすると、不意に足を引っ張られ、水の中に落ちた。
アラシヤマが抱きとめたので、顔までは水に浸からなかったが。
「お返しどすえ~v水もしたたるええ男どすナ!シンタローはん♪」
「テメェ、殺ス・・・!」
と非常にムカついたシンタローがアラシヤマを睨み上げると、アラシヤマは全く話を聞いていないようで、シンタローの下唇を親指でなぞり、
「つめとうおます。さっき、アイスを食べたからでっしゃろか?」
と、考え込んでいた。
「離せヨ!」
シンタローは、アラシヤマの腕の中から抜け出そうとしたが、馬鹿力なのか何なのか、腕は中々外れない。イライラしたシンタローがアラシヤマの指を噛み、親指の根元に赤く歯形がついた。
「あ痛!えらい凶暴な人魚どすなァ・・・」
アラシヤマはちょっとの間自分の手を眺めていたが、
「やっぱり、可愛いおます~vvv」
そう言って、キスをした。
「・・・あの、この先は?」
シンタローに睨まれつつ、アラシヤマが恐る恐るお伺いを立てると、
「考えりゃ、分かるダロ?」
「やっぱり、駄目なんどすな・・・」
アラシヤマはガッカリした様子であった。そして、シンタローを離した。
(本当は、そんなに嫌というわけじゃなかったんだけど・・・。まっ、別にいいか!)
シンタローがそう思いながら、先にプールサイドに上がると、
「シ、シンタローはーん・・・」
アラシヤマが水に入ったまま情けない調子でシンタローを小さく呼んだ。その様子がなんとなくおかしかったので、何だかそれほど腹も立たなかった。シンタローが、
「オラ、とっとと帰っぞ!」
と言うと、
「了解どす~!」
とアラシヤマは喜んでプールサイドに上がってきた。
「ヒデェ格好だナ!」
「あんさんも、たいして変わりまへんやん?」
「―――ったく、誰のせいだヨ?」
「ま、そのうち乾きますやろ」
軽口をたたきながら、2人は再びフェンスを乗り越えた。
誰もいないプールにはしばらく細かい細波が立っていたが、いつしか水面は穏やかになり、丸い月が映っていた。
わ、わたしはひょっとすると“甘い”の定義が間違っておりますでしょうか??(大汗)
ひよこ様ー!勝手に押し付けましてすみませんが、もしよろしければひよこ様に捧
げます・・・!(土下座)
「ハァ・・・」
アラシヤマの持ってきた報告書を読み終わると、思わず口から溜め息が出た。
「し、シンタローはんッツ!!何か書類に不備や不明な点がありました!?いや、絶対にコレ、完璧なはずなんどすが・・・」
「別に、オマエの報告書に不備があったわけじゃねぇ」
そう俺が面倒げに言うと、アラシヤマはあからさまに安堵した顔をしたが、すぐに心配そうに
「ほな、どないされたんどすか?」
と聞いてきた。一瞬、どうしようかと思ったが、特に隠すことじゃねーしな。
「明日、オヤジが一緒にパーティーに出ろって言ってきやがった」
「明日、と言いいますと、各国のお歴々が来るやつどすな」
「ああ。それはまぁいいとして、何でそこで俺が社交ダンスを踊らなきゃなんねーんだヨ!」
「あんさん、ダンス苦手なんどすかぁ?」
さも意外そうに言ったので(馬鹿にしてんのか!?この野郎・・・!!)と思い、睨みつけると、
「ほな、今からわてと練習してみます?」
と、とんでもねーことを言い出しやがった。(男と踊るなんて嫌だし、そもそもコイツにダンスなんて踊れんのか・・・?)とアラシヤマの顔を見上げていると、
「そないに、不審そうな目で見はらんでも・・・」
アラシヤマは情けなそうな表情を浮かべたが、気を取り直したように、
「どうか、わてとワルツを。総帥」
と、かしこまって手を差し伸べてきた。
とりあえず、俺が男性パートでアラシヤマが女性パートで数曲踊ってみたが、俺はアラシヤマの足を何度も踏みまくった。別にわざとじゃねぇけど、コイツが、「もっとこう、相手に恋をするように!」とかわけのわかんねぇことを言って体を寄せてきたり、「シンタローはん!ここどす!ここで傾斜をつけず、後ろ足の引き寄せとタイミングを計りながら、相手をボディで回転させるんどすえー!!」とか踊っている最中に色々言いやがるもんだから、頭ではなんとなく理解できても、どうしてもタイミングがズレちまう。
「あー、もう、止めだ、ヤメッツ!!」
俺がドサッとソファに座り込むと、立ったまましばらく考え込んでいたアラシヤマは、
「最後に一曲、踊ってみてもかまいまへんか?今度はあんさんが女性パートで踊ってみてください。その方が分かりやすいかもしれまへん」
と言った。近づいてきたアラシヤマが、
「シンタローはん」
俺の片手をとった。そのままなんとなく立ち上がったが、いきなり腰に手を回され、互いの息がかかるほどの至近距離まで引き寄せられた。思わずアラシヤマを睨みつけると、
「本来、社交ダンスとはこーいうもんどすえ?ほな、始めましょか」
と、嬉しそうな顔をして、ぬけぬけとそう言ったのでムカついた。
最初は密着しすぎな気がしてかなり嫌だったが、アラシヤマは特に変なことをするわけでもゴチャゴチャ言うわけでもなく黙って踊っていたので、俺もただ踊ることに専念できた。女性側の立ち位置や、男性側のリードの仕方がさっきよりも百倍分かりやすかったので、嬉しかった。一通りの流れを踊り終えた後、まぁ、一応礼を言っとくかと思い、
「オマエのおかげで少しは分かったぜ。一応、ありがとナ」
そう言ってアラシヤマの肩に添えていた手を離し、ヤツから離れようとしたが、何故か腰を抱いた腕も絡ませた片手も離しやがらない。
「シンタローはん。ほんまやったら、もと居たソファまでエスコートするのが本筋やけど・・・。そこまで待てまへんわ。これも、あんさんがおぼこすぎるからどすえ?」
わけのわかんねぇことを言って一歩前に踏み出してきたので、仕方なく俺が後ずさると、背に壁が当たった。
「離せよ」
後ろはもちろん、前にも横にも避けられず、前に立つアラシヤマが視界を占領している状況下でヤツを睨みつけると、
「レッスン料、いただきます」
唐突に、キスされた。
・・・別にコイツのキスが上手いというわけじゃなく、酸素不足のせいか俺の膝の力が抜けるとアラシヤマはキスするのをやめたが、ますます俺を強く抱き寄せ、
「わて、これでも妬いているんどす」
と、耳元で囁いた。
「何にだよ?」
そう俺が聞き返すと、はぐらかすように笑い、
「―――そうどすなぁ、例えば、あんさんが無理矢理な結婚をさせられそうになったら、『異議あり!』って叫んで、あんさんを攫って逃げてあげますさかい」
そう、冗談のように言った。
「スッゲー、迷惑!それに、攫われんのは普通、花嫁の方じゃねーの?」
アラシヤマを見ずにそう言うと、
「いや、わては、シンタローはんがわてのために花嫁衣裳を着てくれるんやったら全然それでもかまへんのやけど・・・!」
とかボソボソと答えやがったので、空いた手で
「眼魔砲」
とアラシヤマに向かって超至近距離から眼魔砲を撃っておいた。部屋の隅で伸びていたが、・・・コイツのことだし、ま、これぐらいじゃ死にゃしねーだろ?
アラシヤマを中に放置したまま、総帥室を出て、
「う―――ん!」
と思いっきり伸びをすると、さっきよりもいくらか気分が軽くなっているような気がした。
―――でもまぁ、とりあえず、俺にワルツは向いてねぇ。
ロックさまー!素敵サイト2周年おめでとうございますvvvv
そして、素敵萌えアラシンフリー絵もUPさせていただきましてありがとうございまし
た・・・!(土下座)もう、素敵絵を観たときから、とんでもなく萌えで、思わずイメー
ジ文を書きたくなっちゃいまして、このようなSSを・・・(泣土下座)。
ご、ご迷惑かとおもいますが、ロックさまに捧げさせていただきたく思います☆
いつもほんまに色々とありがとうございますです・・・!(涙)