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託される者



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 なぜこんな事になったのか。
 けれど今更、後には引けなくて、声を高らかに宣言する。
「アンタとタイマンはるっすよ!!」


 何でこんな事になったんだっけ……。
 いつの間にか、向かい合わせに立っていて。
 いつの間にか、舞台まで準備万端で。
 いつの間にか、ちみっこたちはチケットまで売りさばく始末。
 俺はといえば、ただ、不条理に対する怒りが腹の中に溜まっていった。
 もうすでに、最初のきっかけなんて忘れてしまった。
 けど、いつまで経ってもガキ扱いで、いつまでも下っ端扱い。
 俺のことなんかどうでもいいみたいな感じで、そんなのって、ないだろ?
 悔しくて、腹立たしくて。
 いつまでもそんな風に考えちまう自分も嫌で。
 分かっているから、余計に苛立って。
 隊長や、特戦の連中や、あなたもっ……。
 認めて欲しいだなんてのは、それこそガキみてぇだけど。
 俺はもう、嫌なんだ。
 だから今度ばかりは、誰であろうと譲れねぇ。
 シンタローさん、いいや、シンタロー。あんたが相手だろうと。
 どんなに倒されて、息が上がって、体が痛くても……。
 負けたくなんかねぇッ。
「俺だってっ……!」
 ここで負けたら、俺は一生、認められない気がして、ただ、ぶつかるようにして向かった。
 勝てる見込みなんて、殆どないのかもしれないけど、どうしても――――。
 半ば意地になってそう叫ぶと……。
 ……何でか、目の前の人は笑ってた。
 弱い俺を笑うとか、そういうんじゃなくて。
 穏やかに、満足げに。
 何で、今笑ったんだろう。
 入ってくる拳にも、蹴りにも、力は込められているのに。
 俺を倒そうなんて気は、ないような……。
 受け止めながら、不審に思う。
 この人は……何をしようとしているんだろう?
 何で、今笑ったんですか?
「……どうして……」
 言いかけて、突然の足元が安定しない感覚に、よろけた。
 リングの端々がボロボロと崩れていく。
 あの河童! 適当な工事しやがって……!
 やっぱり皿は割っておこうと思いながら、走り出す。
 だけど意外に受けたダメージが大きくて。
 ああ、間に合わないかもしれない。
 そう思った瞬間に、何かを言う間もなく、頭を掴まれて、思いっきりぶん投げられた。
 俺はトシさんに受け止められて。
 でも、
 あんたは……?
 ベキッ、とやけに大きな音がして、彼の足元が歪んだ。
 梯子が切れて、どっかの馬鹿河童のせいで、下は鍋に油がたぎっていて、ゆっくりとスローがかった映像のようなその中。
 体が悲鳴をあげているのも無視して、受け止められた手から抜け出して、
 その手を取っていた。
 ギシリと、骨が軋む音と、鈍い痛みが体に走る。
 肩が痛い。
 腕が痛い。
 手が痛い。
 全身が痛い。
 それでも、
 それでも諦めたくなんかない。
「放せっつてんだ!!」
「嫌っ、……す!」
 誰に言われたって、あんたに言われたって。
 ここで放したら、今度は助けられないんだ……!
 また、あんたが一人で落ちていくところなんて、俺に見せないで。
 まるで、いなくなる「いつか」がやけに現実味を帯びたようで、怖くなる。
 分かっていたつもり、ってのは、あくまでつもりでしかなかったのだと、思い知らされる。
 こんなにもはっきりと。強く。
 だからこの人は……、俺に……。
 それなら、せめて、彼が安心して託せるように。
 俺が、笑ってそれを受け入られるように。
 えらく不器用な優しさを持ったこの人の為に――――。
 今は笑って返そう。

 だから、

 もう、

 俺は、

 あなたの言うことなんか聞きません。


 この手はぜってぇ、放したりなんかしない。







END





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種取り揃えております(マジックとグンマ)

「士官学校の制服シンちゃん、総帥服シンちゃん、南国シンちゃん。
他にも小さい頃のシンちゃんとか…」
「おとーさまったら~。そんなもの作ってるからアンケートの改善点1位に
『前総帥のバカなところ』が選ばれるんだよ」



連戦連敗(マジシン?)

負けっぱなしは性に合わない。だけど勝てない人がいる。
「シンちゃん今日も可愛いね~」
「ッ!! 人の尻を触るな!」
こんなのが覇王だなんて何かの冗談じゃないのか。



常備品(マジシン)

「コンd」
「死ね死ね死ねええぇぇぇっっっ!!!」



ネタ切れ(マジシン)

「四十八手はやりつくしたし…」
「普通にしろよ普通に」



直筆サイン入り(シンタロー。マジシン)

たまたま時間が空いて暇だったので、ネットを流れていたら
マジックの書いた本の予約販売が行われているサイトにぶち当たった。
抽選で直筆サイン入りの本がもらえるらしい。
くだらないと思ってページを閉じたが、言葉に出来ない苛立ちがつのり
ついさっきマジック本人でウサ晴らししてきた。
焦げた親父を見てスッキリ……するはずだったのにそうでもない。
なんで俺ばっかり振り回されてて、なんでこんなにもあいつのことを気にしてるのか。
突き詰めて考えるほど余計にこんがらがってイライラして、結局どうにもならなくなった。


傾ぐ(マジック→シンタロー)

シンタロー、お前は彼とは違うよね?
お前だけは私を棄てていくはずがないものね?
最後には私のところへ帰ってきてくれるはずでしょう?
なのにお前は赤を選ぶの?
お前だけは私を裏切らないと思っていたのにな。

舐める(マジシン)

「あの獅子舞親父めええ! 年下だからってナメやがって!」
「ええええ!? シンちゃんを舐めていいのはパパだけでしょッ!?」
「お前の舐めるとハーレムのナメるは違う! こじれるから黙ってろ!」



忙しいんだ、後にしろ!(マジック、ハーレム、サービス)

「まったくお前たちときたら……何度言えばわかるんだ。あれほど仲良くしなさいと…」
マジックの背後で電話が鳴った。それでも続くお説教に恐々とハーレムが言った。
「…兄貴、電話……」
舌打ちをしながら受話器を手に取るマジックに、双子はこっそりと肩の力を抜いた。
かれこれ30分は叱られている。
「まったくこんな時に…私だ。内乱? そんなもの放っておけ。今は弟の情操教育が優先だ」
「いや…別に俺たちは……なあ? サービス」
「うん……」
振り返ったマジックの両目が爛々と光っていたので、
双子は項垂れて大人しくすることに決めた。
「とにかく、今は家庭の問題で忙しい。説教が終わるまでなんとかしろ。わかったな」
無理な注文をつけて電話を切る長兄。
こうなったらマジックの気が済むまで叱られるしか道は残されていない。
ハーレムとサービスはあと1時間は続くであろうマジックの説教を思ってため息をついた。



嫌な光景(ハーレム、マジック、シンタロー)

「あっ! 兄貴ずりーぞ! ひとりで何食ってんだよ!」
「……『ただいま』くらい言いなさい」
「そんなことより俺にもそれよこせ!」
「…これが最後のひとつなんだよ。ほら、はんぶんこにしてあげるから」
言って大きいほうを弟に与えるマジック。満面の笑顔でそれを受け取るハーレム。
二人の年齢を足せばちょうど百歳。
「…アンタらいくつだ……」
そして複雑な胸中の息子がひとり。彼もまた同じようにほかほかの肉まんを頬張った。



鎖骨(マジシン)

昂ぶった身体にきつく吸い付かれ、赤くて小さな跡を残された。
喘ぎながら「それ以上つけたらっ……殺す…!」と涙目で訴えたら
「殺して良いよ」とさらに跡をつけられた。
嗚呼、殺す暇も惜しいよ。もっともっとアンタを頂戴。



愛情の押し売り(マジックとシンタロー)

「シンちゃんったらほんとにほんとに可愛い~!」
ふくふくとやわらかい頬にキスを落としながら抱きしめると、
息子は手をつっぱらせてこう言った。
「もう、パパ! 僕は可愛いんじゃなくて格好良いの! わかった?」
頬を膨らませて主張する姿はやはり恰好良いというよりは可愛かった。


ホームシック(シンタローとマジック)

「俺も……一緒に帰っていい………かな…」
マジックは驚いたようにシンタローを振り返った。
腕の中で眠る子供を抱きなおし、彼は諭すように言った。
「何言ってるのシンちゃん。当たり前でしょ」
「…でも、俺は…アンタの子供じゃないし……人間でもないし…それなのに」
コタローを片手で抱きかかえ、うなだれるシンタローの頭を引き寄せる。
バカだねぇ、と呟いて。
いつもなら激昂する言葉にすら反応せず、シンタローはされるがままになっていた。
「言ったじゃない。お前も私の息子だよ」
だから一緒におうちに帰ろう。キンタローやコタローも、皆で。
お前の帰る処はひとつしかないのだから。
揃って踏み出した一歩は家族になるための始まりの一歩。


どこで道を間違ったんだ・・・(マジック)

父が死んだあの時のような気がするし、
彼に出会ったあの瞬間だとも思う。
もしかしたらあの子が私の元に来てくれた5月の終わりなのかもしれない。
でも実際は、この両眼に力を宿して生まれた日だと知っている。



焼きたてホカホカ(グンマ、キンタロー、マジック)

通路にシンタローの眼魔砲を真っ向から受けたマジックが転がっていた。
ホコホコと煙が燻っているところを見るに、さほど時間は経っていないらしい。
「焼きたてというか焦げたてだよね」
「そうだな」
持っていたボールペンで黒焦げの半死体をつつく二人。
「グンちゃん、キンちゃん、見てないで助けて…」


ふざけんな、バカヤロー(マジシン?)

「お前も私のことが嫌い?」
そんな顔で言われたら嫌いとも好きとも言えなくなるじゃないか。



義理でも何でも、三親等以内の関係(マジック→シンタロー)

「お前が何者であっても、私の息子であることに変わりはないよ」

薫風(マジック)

木陰で眠るハーレムを抱き上げると、春風のようなふわりとしたにおいが鼻先をくすぐる。
すやすやと眠る弟を連れてお日様の下を歩く春の日のことだった。

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月に明かす(マジック→シンタロー)

「殺したいほど愛しているよ」
眠った我が子を腕に抱き、月に明かした心の底に巣食う激情。



不老不死(シンタローとマジック)

赤の番人の体を得た息子は何も知らずにテレビを見ている最中だ。
遠い昔から生きており、年を取ることなく若い姿を保ったままで生き続けるジャン。
彼の体を使用しているシンタローも同じ道を辿ることになるのだろうか。
もしもそうなら―――
「何だよ、なんか用か」
「何でもないよ」
「だったら見てくんなよな。落ちつかねぇだろ」
もしも永遠を孤独に生きなければならないのなら、私の手でお前を。



人間だもの(マジック)

私だって傷つくこともあるし、誰かに傍にいて欲しいと思うことだってあるんだよ。
強いままではいられない。私もやはり人間だ。





ゴキゲンナナメ(ルーザーとハーレム)

ルーザーの研究室に長兄からことづかったものを届けたら、
研究員たちのいる前で頭を撫でられた。
子ども扱いされているようで(実際されたのだと思うが)腹が立った。
「何を不貞腐れてるの?」
お前が原因だよと言う度胸もなく、黙り込んでいたら
「泣き顔も好いけれど、不貞腐れてる顔も可愛いね」とまた頭を撫でられた。
怒りを通り越して複雑な気持ちになった。



そんなに驚くことないのに(キンハレ?)

髪を切ったら三人の叔父(伯父)たちに物凄く驚かれた。
マジックは眼に見えて驚くということはなかったものの、
ハーレムは面白いほどにうろたえていた。
声こそ聞こえなかったが、彼の口は「ルーザー」という名前をなぞっていた。
あれ以来ハーレムは俺をあまり構ってくれなくなった。ちょっと寂しい。



もらい泣き(シンタロー、グンマ、ハーレム、サービス)

「うわあああん!!!」
「ふえぇぇ…」
「ああ、グンマまで泣き出したぞ」
「もらい泣きだな」
「いや。この場合はつられ泣きというほうが正しいだろう。この泣き声を聞いてみろ。
『シンちゃんが泣いてるし、僕も一応泣いておこうかな』みたいな遠慮がある」
「なるほどな。この中途半端な泣き声はそういうことだったのか」
「…観察してる暇もないんだけど」
「…またミルクの用意か?」
双子はお腹をすかせて泣いている甥をあやしながら、兄と友人の帰りを待ちわびていた。



月に明かす(マジック→シンタロー)

「殺したいほど愛しているよ」
眠った我が子を腕に抱き、月に明かした心の底に巣食う激情。



不老不死(シンタローとマジック)

赤の番人の体を得た息子は何も知らずにテレビを見ている最中だ。
遠い昔から生きており、年を取ることなく若い姿を保ったままで生き続けるジャン。
彼の体を使用しているシンタローも同じ道を辿ることになるのだろうか。
もしもそうなら―――
「何だよ、なんか用か」
「何でもないよ」
「だったら見てくんなよな。落ちつかねぇだろ」
もしも永遠を孤独に生きなければならないのなら、私の手でお前を。



人間だもの(マジック)

私だって傷つくこともあるし、誰かに傍にいて欲しいと思うことだってあるんだよ。
強いままではいられない。私もやはり人間だ。



未払い金(リキッド→ハーレム)

「給料よこせー!」



詐欺だー!(ハーレムとマジック)

人を殺めることしかしてこなかった両腕に、生まれて間もない命を抱いた。
黒髪の赤子はへにゃへにゃとやわらかくて、どこまでも頼りない物体。
「…ちゃんとでかくなるのかよ」
「お前だって生まれた時はこんなものだったよ。
双子だったからこの子よりもっと小さかったんだ」
そう言われるとそうだなあ、と思った。サービスも自分も未熟児で生まれてきたと聞いていた。
目が覚めたのかぐずりはじめた子供を見よう見まねであやしてみる。
「こんなに小さい奴がちゃんと大人になるんだもんなあ……詐欺だ」
獅子に抱かれ、子供は再び眠りの都に落ちていった。



始末書の達人(ハーレムとマジック)

「いつもと同じこと書きゃいいんだろ?」
「いつも同じ内容を書いていることを反省しなさい」



目を閉じて(マジシン)

唇に触れる柔らかい感触に意識が覚醒する。
記憶にある香りが鼻先をくすぐり、次の瞬間には離れていった。
ゆっくりと目を開ければ青い瞳と視線がかち合う。
「おはよう、シンちゃん」
もっと普通の起こし方にしろよ。
寝込みを襲われたことに腹が立って、もう一度目を閉じる。
「起きないの? もう一回しちゃうよ?」
それを待ってることを知ってるくせに。

雪明かり(マジック→ジャン)

月の明かりを反射して淡く輝く白雪の中。
その光すら飲み込んでしまいそうな闇色の髪に心を惹かれた。

無意味な会話(マジシン)

「お前を一番愛してる」
「この黒髪も」
「黒い瞳も」
「全部愛してる」
嘘つき。俺を通して違う人を見ているくせに。

幸せを運ぶ黒猫(マジック→シンタロー)

シンちゃんて猫みたい。気まぐれですぐ怒って、でも寂しくなると傍によってくる。
お前だけが私を幸せにしてくれる、何物にも代えがたい宝物。

コトコト煮込む(マジシン)

愛しい彼のために時間をかけて煮込んだカレー。
帰りは深夜が当たり前。
「パパ、寂しくて死にそう」
「そんなにやわじゃねぇだろ」
どんなに忙しくても、疲れていても。必ず私の元へ帰ってきてくれる。
明日もこうして帰ってきてね。



灰になる(シンタロー→マジック)

俺も一緒にいきたいよ、
なんて言ったら怒るかな。
それとも一緒に連れて行ってくれるかな。
お願いだから、もう二度と俺を置いていくだなんて言わないで。



あなたを殺して私も死ぬ(マジック→シンタロー)

誰にも殺されてはいけないよ。私以外の誰にも。
お前は私のものなのだから。その髪から爪、命までも。



真夜中の庭(マジック→シンタロー)

桜舞い散る日本庭園に静かに立たずむひとつの影。
色の濃い金髪が月光に照らされ淡く輝いていた。
「早く帰っておいで」
小脇に抱えたシンタロー人形を目先まで抱き上げ、こつんと額をぶつけて。
そっと目を閉じ、今はいない人を想う。
お前がいないと私の世界は未完成なままだよ。取り残されて、干からびてしまう。
一時とて忘れはしない大切な人。必ず見つけてみせるから。

孤高の戦士(シンタローとマジック)

「アンタはいっつも独りで前を走ってる」
「俺たちはアンタの足跡を辿るだけで精一杯なんだ」
「そんなに強いのに、どうして―――」
強いからって、独りに耐えられるわけじゃない。いつになったらわかってくれるのかな。
きっと私は誰よりも儚くて、脆い人間だよ。

後始末(マジシン)

「ギャー! 触んなクソ親父!!」
「後始末をしてあげてるだけじゃない。大人しくしなさい」
「ひゃっ……後始末どころかヤる気満々だろッ! 眼魔―――」
「どうしてお前はそんなに凶暴なんだろうね?
パパはお前を乱暴な子に育てた覚えはないよ」
「てめぇっっ取りあえずそのいやらしい手をどっかにやれ! 話はそれからだ!」



危険を察知(マジック、シンタロー、キンタロー)

「今日はシンちゃんとメイドさんプレイ…ふふふ…」
握り締められたメイドさんグッズ(マジックのハンドメイド)を目の前に
いろいろと体液を垂れ流す変態親父。一方その頃の息子は。
「キンタロー。何だか今すぐ遠征に行きたくなった。」
「は? いきなり何だ」
「半年くらい帰ってきたくない。どこか遠い国に行きたい。スゲェ嫌な予感がする」



首輪(マジシン)

「シンちゃん似合う似合う~」
「外せ!!!!!」
「だめだよ。今日は父の日でしょう? パパの為にシンちゃんが色々ご奉仕してくれる日」
「違う!!!!!!!!」



背負うものの重さ(シンタロー)

欲しい資料を探して親父の本棚を漁っていたら、はらりと一枚の写真が落ちた。
見覚えのある四人の子供が写っている。一番右で笑っているのがマジックだろう。
ガキの頃はこんなに賢そうで無邪気で、穢れを知らない正に俺好みの少年なのに
何をどうすればあんな変態冷血親父に育つのか不思議でならない。
写真を裏返して日付を見てみれば、祖父が亡くなる1ヶ月前だった。
こんなに小さな子供が総帥という責務をその小さな背に負うという事。
三十近い自分でさえ、周りの人間に助けてもらいながらも
責任の重さに四苦八苦しているのに
マジックは十代の時からそれを果たしてきている。三人の弟を抱えて。
―――……今度から、ちょっとだけマジックに優しくしてやろうと思った。



悲しき性(マジシン)

「シンちゃんを見るとところ構わず押し倒したくなるよ」
「去勢しろ。」



天秤にかける(マジック)

世界が欲しい。漠然とした野望が巣食う。
でもあの子はそれを望まない。
得られるものはどちらかひとつ。
何かを得るために何かを失わなければならない。
どちらを選べばいい? タイムリミットはもうすぐそこに。



コーヒー党(マジックとシンタロー)

「シンちゃんにパパが超おいしい紅茶を淹れてあげるよ!」
「俺コーヒー党だからいらない。」
「……………………………」



責任者、出て来い!(シンタローとキンタロー)

「なんだこの部屋は。誰が破壊したんだ? 責任者出て来い!」
「お前だ」
「……………………」
「詳しく言おうか。つい先程までマジックと大喧嘩をして暴れていた、シンタロー。お前だ」
「えっと……修理費は、親父のポケットマネーから出させるから………」



嗚呼(シンタロー→マジック)

青。蒼。藍。
俺が欲した色。
俺にはない色。
この瞬間にでも、アンタが望めば。
俺を塵に還すことだってできる。
それこそ蟻を潰すように、一瞬で。
嗚呼、アンタはどうしてその色を俺に与えてくれなかった?



理不尽大爆発(マジシン)

「ねぇシンちゃーん。たまにはパパと遊ぼうよ~」
「ヤだよ」
「酷いよシンちゃん! お仕事ばっかり構っちゃってさッ!
パパストレス解消にそのへんの国に当り散らしてこようっと。
秘石がないから力のコントロールが難しいんだよね」
「ご近所迷惑なことはやめんかッ!」
「じゃあパパとにゃんにゃんしよう?」
「遊ぶんじゃなかったんかいおのれはッッ!」



泣き腫らす(シンタロー→マジック。マジシン)

「お前のすべてを私にちょうだい。」
体はとうの昔にアンタにやった。
心はすでにアンタのものだよ。
俺にはもう何も残っちゃいないんだ。
それなのに、これ以上何を欲しがるの?


専属料理人、兼~(シンタローとマジック)

「ストレス発散器具」
「………アレ? 目がかすんでシンちゃんの顔がよく見えないや…」
「老眼だろ」
「……………」

親の顔が見てみたい(グンマとシンタロー)

「シンちゃんはどーしてそんなに暴力的で素直じゃなくて意地っ張りなの!?
親の顔が見てみたいよ!」
「お前の父親だよ。」


sms
口説き文句(マジシン)

「お前のすべてが好きだよ」
顔も体も声も髪の毛の先まで、全部愛してる。

こういう言葉をもらえるのは、凄く幸せなことなんだろう。



年齢差を超えた付き合い(マジシン)

「お前なんて嫌いだ! このクソ親父!」
知ってるよ。
でも好きなくせに。



破壊神降臨(シンタロー、マジック、キンタロー)

「死ねッ! 眼魔砲!」
「はっはっは! まだまだシンちゃんに殺られたりしないぞ! 眼魔砲!」
どかーん
「また親子喧嘩か」
テロリストよりもタチの悪い伯父と従兄弟に今日もため息。



掃いて捨てるほど(マジシン)

青い両眼を見据えて、「なんでそれほど俺に執着するんだ」って言った。
すると相手はすうと目を細め、
「別にお前じゃなくてもいいんだよ。私を慕う人間は腐るほどいるからね」
それを聞いて胸の辺りがずうんと重くなった。
自分で聞いておいてなんだけど、これが悲しいってことなんだと思う。
「でも、誰と寝たって最終的に行き着くのはお前だよ」
嬉しいのか悲しいのかわからなくなる答えをありがとう。
畜生、どうして俺はアンタなんかが好きなんだよ。
こんなに苦しいのにちっともわかっちゃくれなくて、
俺の感情なんて二の次にするこんな奴に。
どうして俺はアンタなんかに惚れちゃったんだろう。



このスケベ(マジシン)

「んぅっ…さ、さわんな……ぁっ」
「セクハラはパパの生き甲斐だよ」
「こ、このスケベ!」

登場が派手すぎます(マジックとシンタロー)

「シンちゃんパパだよ~!」
「帰れ!!」



意地を張る(シンタローとマジック)

俺一人で大丈夫、なんて意地を張っていても
そんなこと見抜かれているわけで
「おいで、シンタロー」
その声で呼ばれたら、俺はアンタに縋るしかないじゃないか



嫌よ嫌よも好きの内(マジシン)

「お前なんて嫌いだ! 大ッ嫌いだ!」
「嘘つきなシンちゃん。ホントはパパのことが好きで好きでたまらないくせに」
「アァ? なに勝手に妄想してんだよ! 俺はお前なんて大嫌いだ!」
妄想は個人の自由だよ、というのは置いておく。
「―――そう。」
雰囲気をガラリと変えて、ひとこと告げると
シンタローが「う、」とひるんだ。
「なら、いいよ。私もお前のことを嫌いになる。今からお前なんて嫌いになるよ」
たちまち表情が曇って、流麗な眉も情けなく下がって
後悔してます、と全身が言わんばかり。
シンちゃん。君は本当にバカだ。
パパがお前を嫌いになるなんて有り得ない。
あの島でお前を殺そうとしていた時でさえ、私はお前を愛していたのだから。



ご機嫌いかが?(マジックとシンタロー)

「ご機嫌いかがかな? マイスウィートハニー」
「お前の出現で一気に急降下だ」



こたつと猫とみかん(マジック)

「ここにシンちゃんがいれば言うことなしなんだけどなぁ」



抱きしめたいのはあなただけ(マジシン)

「シンちゃん、大好き」


領収書は忘れずに(ハーレムとシンタロー)

『夕飯の材料を買ってきて』
マジックからの呼び出し内容はそんなもの。
嫌だと叫びたかったけれど、上官命令は絶対だから逆らえない。
「おい、ちょろちょろすんじゃねーよ。迷子になったら捨てて帰るぞ!」
片手にメモ
右手に黒髪の甥っ子
「ハーレムぅ、あれ買ってよぉ~」
「ったく、しゃーねーな。持って来い」
お使いも楽じゃない。



春(マジックとハーレム)

「1歳のお誕生日おめでとうシンちゃんッ! さっそくお餅を背負ってもらうよ~」
「なんで餅…? しかもでけぇな。」
「日本では1歳の誕生日を迎えると一升餅を背負って歩かせるんだよ。
大きくなったもんだね~って、みんなでお祝いするのさ!」
「ふーん。幼児虐待かと思ったぜ。」
「それからお金と筆、そろばん…と、お米を並べるんだって。
選ぶものによってその子は将来どんな人に育つか占うらしいよ。
シンタローはどれを選ぶだろうねぇ(わくわく)」
「そりゃいいけどよ、兄貴。シンタローが餅につぶされて泣いてるぜ。」
「ああっ! ゴメンねシンちゃん! よしよし。
何歩歩けたのかな? 距離からして7歩くらい? がんばったねぇ!」
「…つきあってらんねぇな。がんばれよ、シンタロー。」

背(シンタロー→マジック)

まだまだアンタには追いつけない、背中しか見えない
だけど絶対に並んで歩けるようになってみせるから
首洗って待ってろよ、クソ親父



片方だけ(シンタロー→コタロー)

ふたつもあるのなら、ひとつは俺に頂戴。
いらないいらないと泣くくらいなら、俺に頂戴。
あの人と同じ色のその瞳。
片目だけでいいからその秘石眼を俺にも分けて頂戴。



変。(シンタロー→マジック)

「アンタを一文字で表すとしたら、これほどぴったりの漢字はないな。」



ぬいぐるみ(コタロー)

「ずっと一緒だったんだ。」



追跡(マジック→シンタロー)

「逃げられると思ったら大間違いだよ。」



記念日(マジックとシンタロー)

「今日はシンちゃんとパパの出会いの日~!」
「ああ…誕生日以外にもこんな日があるなんて…」
自慢のコレクション(シンタローとマジック)

「捨てろッ! 全部廃棄処分だ!!」
「わぁぁぁ! 愛しのシンタロープレミアムエディションは捨てないでぇぇ!」
「お前本気でどっか行け!」



電話(マジック→シンタロー)

「たまには電話くらいしてよ。パパ心配。」



阿吽(あうん)(マジシン?)

「親父。」
「な~に? シンちゃんのお願いならパパなんでも聞いてあげるよッ!」
呼ぶと奴はそれは嬉しそうに振り返る。
体全体が溶けちまいそうな勢いだ。

「父さん。」
「何? シンタロー。」
呼ぶだけで。
それだけのことなのに、すぐに素行が崩れる。

「………パパ?」
「ちょっと待ってね(鼻血)」
レースのついた真っ白なハンカチを取り出して鼻を押さえるその姿。
情けない。



沈黙者(マジック)

「守ってくれる人はいない。だから僕が弟達を守らなきゃ。」
唯一僕らを守ってくれた人はもうこの世界にはいない。
本当は誰かに守ってほしいけど、僕はライオンの子だから弟達を守らなくちゃいけない。
だから弱音を吐くわけにはいかないんだ。強くならなきゃ、生き残れないから。

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