忍者ブログ
* admin *
[234]  [235]  [236]  [237]  [238]  [239]  [240]  [241]  [242]  [243]  [244
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

gda
-Obstinate☆Love-



「くそ・・・っ!!あっ!まただ・・・あぁ~・・・・・・・・・止めだ止め!!」
耳障りなエラーを知らせる機械音に、シンタローは目の前の液晶のモニターを睨みつけると、持っていた書類と資料を机の上に投げ出し、その上にドカリと両足を投げ出した。
イライラと髪を掻きあげながら、頭の後ろで手を組み合わせて、壁にかけてある時計を見れば針は零時を指している。
どうにも仕事が進まない、出来たと思えばくだらない凡ミスをティラミスに指摘され・・・それが済んだと思えば、くだらない連中が騒ぎを起こす。
そして、今もシステムのエラー音が響く始末・・・。
やらなきゃいけないことは、山ずみなのに、一向に進まない。今日終わる予定の半分も終わってない。
どうにも気が散漫で・・・集中できない。
そんな自分が腹立たしくてしょうがないのに、そんなイライラを増幅させるかのような、親父の行動。
「なんだって言うんだ・・・」
腹から沸きたつような苛立ちに、投げ出した片方を上に振り上げると机に向かって、垂直に振り落とした。
にぶい音が静まり返った室内に響く。それと同時に正面のドアが開くと見知った人物が、やや呆れた表情で入ってきた。
「いい加減、物に当たるな。貴様のおかげでここ最近、備品代が跳ね上がってる。いくつ買い換えれば気が済むんだ」
しようがないやつだと、肩をすくめて溜息なんぞつく姿の雰囲気や仕草は・・・まさに瓜二つ。

嫌でも親父が思い出されて、それを忘却するかのようにシンタローは左右に顔を振った。
「うっせ・・・。ほっとけ」
ふんっと一つ鼻をならすと、頭の後ろで組んでいた手を離し、右肘を机の上に置いて頬杖をついくと、キンタローから顔を背けた。
その様子に苦笑すると、持っていた書類でシンタローの頭を軽く小突く。
「ここ2週間・・・随分、イライラしてるみたいじゃないか?」
そんなことねぇよ。とぶすっと言い放ち、頭の上に置かれた書類をキンタローからひったくると、ジロリと一瞥して再び頬杖をついた。
「原因は・・・あの子がマジック伯父貴のお付きになったからか?」
乱暴に書類をひったくられて、やれやれとため息をつくと、キンタローは手持ちぶさになった手をそのまま、自身の白衣のポケットに差し入れた。
「っ・・・・・・、くだらねぇ。そんな事が原因だと思ってるなら、お前の頭も大したことねぇな」
いきなり核心をつかれて、シンタローは言葉を詰まらせる。
どうにか内心の動揺を押し殺し、頬杖はそのままに無理矢理、不適に笑みを浮かべて言葉を続けるキンタローを睨みつけるも。
そんな喧嘩口調のシンタローに慣れっこなのか、それが核心を得ての強がりと思ったのか、別段気にすることもないようだ。

「そんなに気に入らないのか?確かに、伯父貴は気に入っているようだがな・・・。どこへ行くのも連れまわしてる。その証拠に通常、秘書は2人つけるのを彼1人だけっていうぐらいだからな」
相当な、お気に入りだな・・・。とキンタローは言葉を付け足すと、シンタローの机の書類に埋もれて、端が見え隠れする団員名簿に目を光らせた。
「ただ、ティラミスたちが急がしいからの臨時にすぎねぇよ。別にお付なら、行動をともにしてもおかしな事じゃない」
シンタローはキンタローが持ってきた書類に視線を向けたまま、不機嫌さを隠そうともせずに、口をひらいた。、
そんなシンタローを見やり、「そうだな」と多少口元を緩めながらシンタローに気づかれないように、名簿の端を掴むと上の書類たちが崩れないように、慎重に引っ張った。

書類に埋もれた不自然な写真入りの名簿を片手に持つと、キンタローは興味深気にそれを見つめながら・・・。
頬杖をついた指の爪をカシカシと噛み、イライラを紛らわそうそしている目の前の男をチラリと見やって、思わず苦笑を禁じえなかった。

その名簿には、話の話題にあがっている。新しく元総帥のお付になった団員がしっかりと写っていて
・・・こんな名簿まで取り寄せて、随分と気にしてるじゃないか。それも分厚い名簿の中から、わざわざこの青年が載っている一枚だけとは・・・・・・
素直に気になるといえばいいものを、全く素直じゃないな。
ま、こいつらしい・・・・・・か。

このシンタローの険悪な状態は、団の環境に良くない。
いつものマジックに対するイライラならば、ただのじゃれあいの延長線だと流せる。が、今回は一味違うようだ。
ただでせさえ多忙な中、総帥がこんな調子では周りに伝染する。
それに、マジックがお付をつけてから、シンタローの様子がおかしくなったのは周知の事。
総帥が公私混同では、下の者に示しがつかない。
彼はこの団を統べる総帥なのだから、自覚してもらわねば・・・。
いや・・・自覚はあるのだろうが、自分でもどうしようもない。っといったトコロか・・・。
これでは、周りもシンタローが気がかりで仕事にならない。
早く機嫌を直してもらわないことには、業務にも差し障りがある。
だからといって、何をどう出来るものでもないいが、このまま見過ごす事も出来ない。
あまりのシンタローの荒れように、キンタローは打開策をみつけるべく記憶をたぐりよせた。

シンタローの機嫌が悪くなり始めたのは、2週間前。ちょうど遠征から帰って来た日の翌日だ。
戻ってきた日に、伯父が嬉しそうにシンタローにまとわりついていたのが、記憶に新しい。となるとその夜にひと悶着あったか。
確か・・・新しくマジック付きになった彼が来たのも・・・・・・2週間前。喧嘩してからすぐか。
となると、彼が配属された原因はシンタローの線が濃い。
そして、シンタローがここまで荒れ始めたのが、1週間前。時期を同じくして伯父は、新しいお付の彼と2人で本の宣伝を兼ねた講演にでている。
そして、未だ戻って来ない。

となると・・・機嫌の悪さの全貌が見えてきた。

元総帥がどういう意図で、こういう行動にでたのかは分かりかねるが・・・原因は目の前の男にあるに違いない。
そして、この状態は伯父の思惑通りと・・・いった所だろうか?

仕方が無い、ここは人肌脱ぐか。
いつから自分はこんなに人が良くなったのか。
自分の人の良さに疑問を持ちつつも、このままにしては、団の為にならない。
困ったもんだ。とため息を一つくと口を開いた。否・・・口ぶりとは裏腹に、目を微かに輝かせながら口を開く。
楽しんでいるとしか思えない。

「そういや、最近・・・マジック・・・伯父の姿を見ないが、どこへ行ったんだ?」
白々しいとは思いつつ、名簿に目を通しながらシンタローに尋ねると、その名前にピクっと微かに身体が反応を示すだけで答えがない。
「あ~・・・確か、本の出版記念の宣伝とサイン会を兼ねての、出張だったか。いつから行ってるんだ?坊やも連れていってるのだろう」
「・・・・・・・・・1週間前からだ・・・」
ボソッとそれだけ応えると・・・動揺を押しとどめようと、ますます眉間に皺をよせているのが分かる。
「二人でか・・・ほぉ・・・二人でね・・・一週間なら、あの方のことだ・・・・・・・・・」
キンタローが全てをいい終わる前に、シンタローがすごい勢いでそれを遮った。

「ありえねぇ!?」
やや声を荒げるシンタローを気にするでもなく淡々と言葉を続ける。
「何がだ?オレは何も言ってないぞ。 なんだ2人ナニかしているんじゃないかと、不安なのか?そうだな・・・2人で一週間か、手は出してるな・・・今頃、ヤってるに―――」
「ねぇよ!!」
シンタローが遮るように言葉をつなげても、それを「何故だと」逆に理由を問われると、確固たる理由は出るわけでもなく。
「ばっ・・・あいつは、・・・・・・」
『いつも俺にべったりの親父が、他に手なんかだすかよ。』とは自分の口からいう事など、うぬぼれている様で言えるはずも無く、うやむやに言葉を濁した。
が、そんなシンタローにキンタローから追い討ちをかけるように、「あいつは?」っと鸚鵡返しに尋ねられると、口をつぐんでしまう。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・いつも自分にべったりだから、団員に手をつけるなんてお手軽なことはしない。・・・か」
どこか小ばかにしたような口ぶりが、癇に障る。が、キンタローの言葉はその通りで、言葉が無い。
「・・・・・・・・・・・・・・・ッ」
(そりゃ、一般的にはもてるだろうよ。あくまで一般的にな。確かに顔は・・・悪くない。一般的にな!! スタイルだって悪くねぇ・・・金だってあるし、知名度だって良くも悪くもある・・・。どんなに頭がイカレテたって、猫かぶって笑ってりゃあ騙されるさ!!なんせナイスミドルNO,1なんてふざけたタイトル持ってるぐらいだ・・・普通ならコロっといくだろうよ。それでも、あの親父が・・・いい歳して息子の等身大ぬいぐるみを持ち歩く奴が・・・鼻血ばかり垂らしてヘラヘラしてるやつを誰が相手にするっていうんだッ。)
バカバカしいっと笑い飛ばせばいい。普段ならできたことだ、関係ないと一笑できた。が、今は笑い飛ばすことができない・・・・・・
まるで、小骨が喉に刺さっているように、気になって暗く影を落とす理由があるからだ。

(あんなこと、いつものことじゃねぇかよ・・・・・・・・・それを――――)

ムキになっている自分がバカバカしくて、振り回され続けている自分に嫌気ださす。それに、したり顔で話す目の前の男にも。
八つ当たりだと重々わかっているが・・・どうにも抑制がきかない。
シンタローは苛立ちをぶつけるかのように、キンタローに向かって声をあらげた。
「あんな奴、関係ねぇよッ!! だいたい、さっきから何が言いたい」
伏せていた目を上げると、きついまなざしでキンタローを睨みあげる。
「まあ、そう睨むな。こんなもんなまで引っ張り出して相当気にしてるようだから、お前の気持ちを代弁してやってるだけだ」
シンタローの目の前に、手に持っていた名簿をちらつかせる。と、カっとしたように顔を真っ赤にしたシンタローが、キンタローの手元からそれを奪い取った。
そのまま、ぐしゃぐしゃに丸めるとゴミ箱に突っ込む。
「気になんてなってない。あいつが、どうしようが俺には一切関係のないこだ」
気持ちを落ち着けるように、一つ深く呼吸するとキンタローが持ってきた書類に乱暴にサインを済ませて、それをキンタローに突きつけた。
「用件がそれなら、お前と話すことは何にも無い。悪いが俺も暇じゃない、これを持ってとっとと戻れ」
「全く、素直じゃないやつだな。少しは・・・あの坊やの素直さを見習った方がいいんじゃないか」
ふっと苦笑すると、これ以上の八つ当たりは勘弁しろとばかりに、受け取った書類の束を脇に抱えてシンタローに背を向けるとドアに向かう。
キンタローは背中を向けていて、見ることが出来なかったが、その言葉に過剰なほど反応し、苦虫を潰した様なシンタローの顔があった。

「見習ったほうがいい・・・か・・・。全く行動だけじゃなくて、似たようなこといいやがる」
ドアが閉まる音と同時ぐらいに、小さく呟くようにシンタローの口から零れた。


******************


常日頃の睡眠不足と慢性的な疲労からくる重い体を引きづりながら、自室に戻ってきた頃には午前1時をゆうに過ぎていた。
終わらないから、自然と帰りは遅くなる。遅くはなるが、そんなに集中力が持つはずもなく・・・効率が悪い。
ましてや、別のことに気をとられてるから、集中しようにもなかなか思うようにいかず・・・。胸のムカムカも溜まる一報だ。

『全く、素直じゃないやつだな。少しは素直さを見習った方がいいんじゃないか』

上着も脱がずにソファーにぐったりと身体を預けながら、瞳をつぶると・・・眼の奥からズンっと重い感覚とともにキンタローの言葉が頭に浮かぶ。
「素直って・・・なんだよ。関係ねぇよ・・・・・・あんなやつ」
根が生えたように、頭から離れないその言葉。・・・確かにキンタローの言うとおり、1週間前から重苦しいものが離れない。
今となっては喧嘩の原因など忘れてしまうほどに・・・それほどに、くだらない内容だった。
俺にとって日常茶飯事な他愛無いのないことで・・・ただ、その時に親父の少し自嘲的に笑った顔が、印象的だった。

そして、目を閉じると・・・2週間前、遠征から帰ってきたその日のことが巡ってくる。
2週間前の夜遅くに・・・今頃の時間に帰ってきた。
俺は疲れていた。久々にゆっくりと自室のベットで眠りたいと思うほどに疲れていた。
それなのに、あのバカ親父ときたら、こっちの事など考えずに、ちゃんと食事はとっていたかとか、風呂に入れとか・・・俺にべったりで全く気の休まる瞬間がない。
それでも、心配してくれてるんだろう・・・っと100歩譲って「俺も大人になったなぁ」などと思うぐらいはできたが、それにしてもしつこく・・・一緒に風呂に入ろうとしたりして
おまけに、いいマッサージがあるからと、口実を作って圧し掛かってきたものだから、頭にきて、
『そんなに、やりたきゃその辺の奴らとやってろ!!』
と声を荒げた俺の言葉に、マジックはやや目を見開くと、急に真顔になって『パパがやりたいだけの男だと、思ってるのかい』とかなんとか言ってたっけ。
今思うと、親父のあの意外そうな顔からして・・・俺のことを本当に心配してくれたのかもな。
なんて想いがよぎらないでもないが・・・。
あの時の俺にはそんな余裕は微塵もなくて、その言葉に『事実じゃねぇか・・・溜まってんなら適当に処理しろよ』っと言い放つと、寂しそうに顔をゆがめて・・・
『じゃあ、パパが団員の子に手を出しても・・・シンちゃんはいいって言うんだね』とやや低いトーンで返ってきた。あの時の寂しげに笑った顔は記憶に濃く残っている。
一瞬、なんと言葉を返していいか分からず目を泳がせたが、その頃には親父のやりとりよりも、どうにかして1分でも早く横になりたいという思いが強く・・・
その後は売り言葉に買い言葉、『勝手にしろよ。まぁ、親父みたいなのを相手にしてくれる奴がいたらの話だけどな』っと鼻で笑って、親父を部屋から追い出した。
しばらく、扉の前に親父の気配がしたが、俺はいつの間にか引きずられるように眠りに落ちていた。

問題は次の日からで・・・さっそく親父が、当てつけるように新しい自分のお側付をつれてきやがった。

そいつは、今年仕官学校を卒業したとかいう奴で・・・背は170センチも無いぐらいの小柄で、黒髪とクルっとしたやや大きな黒い瞳が印象的だった。
・・・なぜか初めて会う気がしなくて・・・どこかで会ったことがあるんじゃないかという思いに間違いはなく・・・。
それも、当然といえば当然。
俺の幼い頃の面影を残しているからだ。丁度・・・親父に対して反発が強まる前の、士官学校に入学したての頃に近い。
もちろんそっくりっという訳ではないが、パーツパーツが似ているような感じがする。俺がそう思うのだから、親父もそう感じてるはず。
まさにあてつけには、ピッタリの相手。
どうせそれを見た、俺の反応をみて楽しもうって腹だろう。
図としては、こうだ。
きっと二人の様子に、俺がキレて親父のところに乗り込む。→丸め込んで、親父はうまい事、コトに及ぶ。→作戦成功☆
そんな親父の浅はかな考えなんて、手にとるように分かる。
誰がそんな手に乗るかよっ!!どうせ俺が折れなければ、思い通りに事が運ばず焦れた親父が、俺のところに乗り込んでくるはずだ。
そうなるに決まってる。
そんな確信があった・・・ただ計算外だったのはそいつの性格。これが普通のやつなら何の感情も沸かないが・・・。
俺と似たような顔をして、
『マジック様』・『マジック様』っとうっとりした顔で親父にくっついては、媚を売るときているから、全くもって手に負えない。
どうやら強烈な!!心底、親父のファンらしい・・・似た顔にそんな事をされた日には、まるで俺がそれをしているような気になって、気持ちが乱されて仕方が無い。
親父は親父で・・・大変お気に入りらしく、ニヤけた顔で笑いかけながら「可愛い、可愛い」を連発して、到底部下に対する態度の度を越した行動を繰り返していた。
そんなことが1週間続いても、そんなお遊び・・・すぐに飽きるだろうっとタカをくくっていたから、親父のニヤケ面を小ばかにしたように眺めていたし、そいつの言動も大して気にならなかった。
たとえ、それを、毎日、毎日、狙ったように俺の目の前でやりやがってもだ。
が、
1週間前・・・ちょうと公演旅行の前日・・・

あの晩―――――――――――

俺が自室で、寝そべっても全く問題無しっというぐらい、ゆったりとした大きさのソファーに寛いで、酒をチビリチビリ口に運びながら書類に目を通していると、突然ノックも無しにドアが開き親父が入って来た。
「シ~ンちゃん。 パパに言うことな~い?」
親父が部屋に入って来たのは、喧嘩した以来だったから、とうとう痺れを切らしたのかと、内心の笑みを隠して冷たく親父を見やった。
そんな俺に親父は、ソファーの肘掛に背をもたれかからせ、足を伸ばしている俺の脚を床に下ろすと、空いたスペースに座り、俺の顔を覗き込む。
「なにか用?」
俺が冷たくいうと、「ふ~ん。反省の色無しなんだ」っと小ばかにしたように俺を見て、「パパ明日から、公演や握手会で1週間ぐらい空けちゃうんだけどなぁ」っと言葉を続けた。
「だから? 悪いけどすっごい、邪魔」
親父の顔を一瞥してすぐに書類に顔を戻しながら、床についた足を元の位置に戻そうと、座っている親父の腿の辺りを足で押し出そうとして、突然足首の辺りを掴まれた。
「謝るなら、今ってこと。意地っ張りなシンちゃんに、チャンスをあげる」
そう言って、掴んだ足を親父の方向へ引っ張られて、肘掛から背が滑り落ち・・・頭がかろうじて肘掛に乗った状態になった。
突然の親父の行動にぎょっとしている俺に、「本当、パパってシンちゃんには甘ちゃんだよね~。そう思わない?」
ソファーの背に手を置いて、唇が触れるほど顔を近づけると、「ごめん。って言ったら、許してあげる。 そうしたら・・・ね」
そうしたら、あの似た顔の奴とは、公演旅行にはいかない。と言いたいのだろう、そんな事を思いながらあまりにも近すぎる距離に、思わずゴクリと唾を飲むと唇を噛み締めた。

確かに、似た顔で素直に・・・バカがつくほど素直に、親父のことが『大好き~』っという隠しもしない態度を見て、腹が立たないかと言ったら嘘になる。

面白くなくて、心がザワザワする・・・お側付から移動させてくれたら、どんなにいいかと・・・
思わなかったっと言ったら嘘になる。が、俺は別に悪いことを言ったとは思っていない。もしろ、そう思われる親父の言動に責任がある。
そう思うと謝る気も起きないし、まるでまんまと作戦にひっかかったようで、納得いかない。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう、親父の蒼い瞳が意地悪く光ると同時に、身体を起こした。

「全く、素直じゃない。うちの子みたいに素直なっだたら可愛いのにね~。男の子にも可愛げは必要だよ。シンちゃんも見習って欲しいもんだね」
誰に呟くわけでも無く、それでも独り言にしては大きな声でそう溢して、チラリと俺の顔を見ると立ち上がった。
どうみても、俺に投げられたその言葉にチクリと胸痛んだ。
知らずに眉を顰めて、無言で立ち上がった親父の背を見つめると、ドアの方向へ歩を進めながら、親父が言葉を続ける。
「シンちゃんがいつまでも、そういう態度にでるなら、パパにも考えがあるよ。 幸いに明日から二人っきりで旅行だしね~」
「何がだよ」
そのいかにも楽しみでしょうがない。っと浮かれた声に、わざとやってると頭の隅ではわかっていても、ソファーの背に手をついてやや身体を起こしながら、思わずイライラとした言葉が口をついだ。
そんな俺の声に、おやっと歩を止めて、顔だけを俺のほうへ向けると、ワザとらしく片眉をあげる。
「ん?独り言だよ。 シンちゃんはパパのこと気にならないんだろう」
「・・・・・・手、出すのかよ?」
ピリピリと神経を逆撫でされるような、親父のゆっくりとした口調に、自分でも驚くほど低い、搾り出すような声がでた。声が震えているようで、掴んだソファーの生地に爪を立てる。
「おかしな事をいう子だね~、やりたきゃ適当にやれって言ったのはシンちゃんじゃないか。忘れたの? 幸い、据え膳状態だもの・・・。シンちゃんが謝らないなら、パパも行動を改めるつもりはないよ」
「あてつけかよ!!」
ほら、謝るなら今のうちだよ。っとニヤニヤと口元を緩める親父が腹立たしい。「恥ずかしくないのかよ」っと言葉を投げつければ、
「なんとでも」
と顔を戻して、ヒラヒラと手だけを振りながら、扉に向かって歩きだした。
そんな親父の背に、なんと言葉を続けていいか分からず、無言で唇を噛み締めて睨みつけていると、扉に向かって歩いていたはずの親父が急に踵を返して、ソファーで固まっている俺の所まで戻り、着ていた上着を脱いだ。
「なんだよ」
ぶすっと不機嫌を隠そうとしない俺の声が気にならないのか、そのまま、来ていた薄い桃色のジャケットを、俺の膝にかける。
「いくら、空調が設定されているからと言っても、薄着では風邪をひくよ」
それだけ言うと、俺に背を向けて再び歩き出した。
膝にかけられたジャケットを眺めていると、無償に腹立たしくて、それを膝の上からひったくるようにして掴むと、掴んだを手を振り上げた。
「勝手なことするな」
そのまま振り上げた手を振り下ろして投げたが、それは目的物に届くはずも無く・・・俺の足元からややいったところに、パサリと音も無く落ちた。

しばらくすると、扉が閉まった音がして・・・俺は、残されたジャケットを、ただ眺めていた。


――――――――・・・・・・。


「俺が何したって言うんだよ・・・寄ってたかって素直じゃない。とか言いやがって」
俺だって、昔は超素直なガキだっつーの。キンタローのせいで、思い出さなくてもいい事、思い出しちまった。

シンタローは軽く頭を左右に振ると、着ていたジャケットをソファーに放り出して、持ってきたビールのプルタブを開けて一気に煽った。
冷たい炭酸が喉を通る感覚に、少し気が落ち着いてきた。
それでも、今まで極力考えないようにしていた事が思い出されると、どうしても・・・次に浮かぶ事は、
・・・・・・今頃何をしてるのかということ。

「関係ねぇ~よ」
どうせ、帰ってきたら一番に俺の所に来るに決まってる。・・・決まってる。
そう小さく呟いて缶の残りを飲み干して、グシャリと握りつぶすと、新しい缶に手をつけた。
冷えたビールに口をつけながら、ソファーの背に片手を伸ばすと、自分のジャケットとは違う質感の生地が指先を掠める。
なんだ?っジャケットは肘掛に投げた筈と、指先の方向に顔を向けると、そこにはいつかの親父の薄い桃色のジャケットが置いてあった。
・・・なんとなくそれを胸元へ手繰り寄せる。

片手に持ったビールの缶の水滴がしっとりと指を濡らし、指を伝ってソファーに染みを作った。
手繰り寄せたスーツからは、親父の残り香がシンタローの鼻腔をくすぐり・・・1週間ぶりのその香りにジーンと鼻の奥が痛くなる。
それと同時に、胸の鼓動が急に跳ね上がり、カーっと体温が上昇しはじめた。

「・・・―――――ッ!!」

一気にビールを喉に流し込む。液体が喉を通らなくなると、缶を強く押し付けるような形でテーブルに投げ捨てた。
「っ・・・マジかよ・・・」
急な身体の変化についていけずに、平静を保とうと紛らわすように親父のスーツを両手で掴んだが、それは逆効果だった。
「オヤジくせぇ・・・」
微かに残る匂いに誘われるようにして、顔を埋めてしまうと匂いが強くなって、胸の鼓動がうるさいほどにがなりたてる。
そして・・・下半身からは這い上がるような速度で、よく知った淫らな衝動が重く圧し掛かってきて。
身体の異変にそろそろと、片手でズボン越しに自身に触れば・・・それはすっかり硬くなって自己主張していて・・・。
「くそっ、どうしたって言うんだよ!! これじゃ・・・まるで・・・――――」
・・・親父に欲情してるみたいじゃないか。
いくら舌を打って、悪態をついても鼻についてしまった匂いが消えることも、熱が治まることもなくて・・・、まるでその匂いに包まれているような錯覚さえ覚える。
そう、そこに親父がいるような錯覚に――――
ジャケットに顔を埋めたまま目ぶたを閉じれば、憎たらしい持ち主の顔が浮かび上がって・・・。

『シンタロー・・・・・・』

低い絶対的な命令口調の声が、頭に駆け巡る。
耳もとで囁かれているような、頭の中の声にビクリと手の内にある自身が質量を増して、窮屈だっと訴えてくる。
「ちくしょう~っ!! なんだって・・・こんなこと・・・ぁ・・・・・・ッ」
すきっ腹にアルコールを流し込んだからだ、それに最近忙しかったら・・・溜まってるだけだ!!
そうに決まってる。
いくら否定しても、一度ついてしまった欲望の火は消えそうにない。
悪態をつくシンタローの言葉でさえ、微かに震えて悩ましい。
最後に処理したのって・・・っと思い出そうとすると、あの時の親父の言葉が思い出される。
「本気なのかよ・・・親父っ」
本気で手を出すつもりなのか!?っそう思うと、押さえることのできない衝動が突き抜ける。それと供に、決して認めたくないと思っていた、胸の中のドス黒い正体を思い知らされて・・・
・・・---嫉妬。
俺はあいつに嫉妬してる。認めたくない言葉に頭がガンガンと痛み、どうにかなってしまいそうだ。

こんな事で思い知らされたくないのに、淫らな欲望の炎は消えることなく・・・。
逸る胸の高鳴りにせかさせるように、シンタローの指がもどかしい手つきながら、勝手にベルトを緩めて、チャックを乱暴に下ろした。
「・・・あっ・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・」
手を滑り込ませると、シンタローのモノはすっかりと出来上がっていて、ドクドクと脈をうちジットリと湿り気さえ帯びていた。
足を包みこんでいるズボンと下着が、ひどくうざったい。
ズボンを下着ごと脱ぎ捨てると、外気に触れてひやりとした感覚とともに、ゾクリと肌が粟立つ。

『シンちゃんのかわいい坊やが泣き出しているよ』

いつもされるような親父の指の動きを真似して、右手で親指と一指し指で輪を作って、シンタローは擦りあげる。
自分自身を・・・・・・。

「はぁ・・・・・・あ・・・・・・あ、はぁ・・・・・・ん」
部屋には自分しかいないと思うと、自然と素直な声をあげてしまう。
酷い罪悪感があるのに、手はそれを裏切って走り出す。
「ちっ・・・くしょ・・・ぁ、 はっ・・・んんっ」
ソファーにまともに座っていることができず、横向きにソファーに倒れこむと親父のジャケットが頭部の下敷きになった。
呼吸をする度に嫌でも、親父の匂いが存在を知らしめる。
こんな時でさえ、本当むかつく奴だ・・・
それなのに親父の匂いが鼻腔を掠めると、そこに親父がいるような錯覚さえ覚えて・・・シンタローの身体はますます追い詰められていく。

『ふふ・・・、ちゃんと握って擦ってほしい?』

おまけに、いるはずもない親父の声が頭の中を響きわたる。
自分の手なのに、親父の愛撫を真似ると自分じゃないような気がしてくる・・・。
足りない・・・もっとちゃんと触って欲しい。親指と一指し指の愛撫では、擦る面積が少なくて物足りない。不自然に腰が動いてしまう。
「もっと・・・っ、んぁ・・・・・・あ・・・・・・あ、はぁ・・・ん」
右手の指全体で握りこんでゆっくりと抜きあげると、すぐに粘着質な音と切なげな吐息が、室内中を満たす。
「あっ・・・、・・・おや・・・じぃ」

『シンちゃんのすごい・・・滴ってる。・・・パパの手ヌルヌルだよ』

「る・・・っせ!! ぁ・・・あぁ・・・はぁ・・・ぁ・・・・・・んぁ!!」
亀頭からの先走りの液体が、竿をつたって指を濡らす。その滑りを利用して手の全体で亀頭をもこねくり回すと、鋭い快感が背筋を走りぬけた。
空いた左手が無意識にシャツの上から乳首のあたりを彷徨い・・・一指し指の腹で押すと、それは押し返すほどに硬く立ち上がっている。

『シンちゃん、ココ好きだよね。弄るとすぐに濡れてくるもんね』

「は、あぁ・・・・・・ふ、んぅ・・・・・・」
指の腹で何度かこねくり回すと、いつもされるように爪で弾く。繊維が敏感な皮膚と擦れると、ビクリと身体が震えてしまうのに・・・もっと乱暴に弄くり回されたい。とさえ思ってしまう。
いつものように、乱暴なくらいに爪を立てられて、指と指で擦るようにクリクリと乳首を捏ねくりまわされたい。

その欲望をシンタローは、我慢することができなかった。

「っはぁ・・・・・・親父・・・ぃ」
シャツのボタンを外さずに裾から入れると、直に乳首に手を伸ばして、知らずに親父の名を呼んでいた。
親指と中指で、乳首を摘むと強いぐらいに、力をこめて捻る。鋭い痛みとともに、その刺激に自身のペニスからの液が、手を濡らしソファーに更なる染みを作った。
「ぁっ・・・んっ、ああ」
コリコリと乳首を指の腹で擦り合わせて、人差し指で先端を弾きあげると、快感がシンタローの身体を駆け抜けて、欲望は吐き出そうと一気に階段を駆け上がるのに・・・
もどかしくてじれったい。
だめだ・・・違う。どんなに親父を思い浮かべても、物足りない。もっと、
もっとして欲しい。いつものように、意地の悪いその手と唇で・・・。乳首を吸われて痛いほどに歯を立てられたい。
ペニスを扱う手を、乳首を弄ぶ指を親父に置き換えて、シンタローは自慰に耽った。

『ほら、イキたいんだろう。いいんだよ、イって』

「・・・あん・・・はぁん、・・・あ、・・・あぁっ・・・親父っ」
激しくそれを上下に抜きあげて、乳首に爪をたてると目の前が白くなって、シンタローは声を抑えることもできずに、マジックの名を呼んで、精液をソファーに撒き散らした。

「はぁ・・・はぁ・・・・・・はっ・・・・・・」
髪の毛が額にかかって汗で張り付いているのを、払うのも面倒で、シンタローは絶頂の余韻に浸りながら、そのままの姿勢で荒く呼吸を繰り返す。
静かな部屋にはシンタローの荒い呼吸が響き、マジックの残り香はシンタローの精液の匂いに変わっていた。

瞳をあけると、潰れたビールの缶が転がっている、テーブルが目にうつる。
テーブルの角には白濁とした点々が広がり・・・ぼんやりとそれを目で追うと床やソファー、握り締めていたマジックのジャケットにも精液が飛び散っていた。
それを見とめて、一気に波が引くように、シンタローの熱が冷めた。
「何やってんだろ、俺・・・・・・」
だからといって、指を動かすのさえ億劫な、脱力感はぬぐえない。シンタローは、で自身を握り締めたままの格好で、力無く呟いた。
欲望の熱の後に押し寄せてきたのは、後悔という名の羞恥心。
いくらんなでも、恥ずかしすぎるだろ、こんなの。・・・何やってんだか・・・・・・。
こんな所で、それもマジックのジャケットの残り香で、自慰するなんて。信じられない。
もっと信じられないのは、吐き出したというのに足りないと思っていることだ・・・。シンタローの身体の一部からは、疼きが起こりそうで・・・。
これ以上、考えるとよくない方向に進んでしまいそうな自分に、否定するように首をふるとため息をついて、起き上がると力なくソファーに身をもたらせた。
すっかり汗をかいて、ぬるくなったビールに手を伸ばすとブルタブを押し上げて、紛らわすようにゴクゴクと喉を鳴らして胃におさめる。
ぬるくなったビールはけっして美味しいものではなかったが、飲まずにはいられない。こんなこと・・・信じられるはずがなかった・・・。
「こんな・・・欲求不満みたいじゃね~かよ」
そう呟いた瞬間、パタンという扉が閉まる音が、部屋に響いた。

はっとして、着崩れた衣服を整えもせずに、ましてやズボンを履くことも忘れて、シンタローが音がした方を向くと、そこにはココにいる筈のない男が立っていた。
それは勿論・・・・・・。
「お・・・お、親父!!?」
無遠慮に部屋に入り込むことのできる男。そして、シンタローの腕の中にあるジャケットの持ち主。
マジックは無言で、ソファーにいるシンタローと回りの状況を見回しながら、シンタローの近くまでくるとその格好を見とめて、ようやく口を開いた。
「なにをしてたのかな。シンちゃん」
ビクッとシンタローの肩が揺れる。
ナニをしていたかなど、一目瞭然なのに、シンタローの横のソファーに片手を置くと片眉だけを軽く上げて、無表情のままシンタローを見つめると、シンタローはこれ以上ないくらいに赤くなり、咄嗟に腕のなかのジャケットを膝元にかけたが、刺さるような視線に居たたまれず俯くのが精一杯だ。
それでも、床に転々と残る白濁とした液体と、室内に残る独特の匂いは隠しようもなく、益々顔を赤くして、顔を横に逸らした。

着崩れた上半身に、ジャケットを羽織っただけの下半身・・・自分の格好がひどくみっともなくて、情けない。
消えてしまいと切に願わずには、いられなかった。

そんな、指が白くなるほどにジャケットを握り締めるシンタローと、視線を合わせるようにマジックは屈むとジャケットを掴む手の甲に自分の手を重ね合わせて
「パパのジャケットに残る、この染みは何かな?」
「・・・・・・っ」
マジックの言葉に、唇を噛むシンタローを尻目にシンタローからジャケットを剥ぎ取ると、そのままワザとらしくジャケットに顔に寄せて・・・
「シンちゃんの匂いがするね・・・」
そういって意地悪く口元をゆがめて、シンタローを見やった。

「寂しくて一人でしちゃったんだ」
クスクスと喉を震わせて笑いながら、用済みとばかりにジャケットを床に投げ捨てると、手の甲に重ねていた手をシンタロー自身で濡れそぼった腿に滑らせてた。
久々のマジックの手の感触に、シンタローは小さく声を漏らして、ビクリと身体を更に硬直させる。
「・・・・・・ぁっ」
腿に置いた人差し指で、腿から中心に向かってゆっくりとなぞりあげると、露になっているシンタロー自身がピクリと微かに反応を示す。
「弄ったのはココだけ?」
根元から先端に向かって、濡れた幹に指を這わせたると、シンタローが恥ずかしさを紛らわすように声をあげて、自身を滑るマジックの手を掴んだ。
「なんで、いるんだよ・・・帰ってくるなんて聞いてないっ」
「そろそろシンちゃんが寂しがる頃かな。っと思って私だけ帰ってきたんだよ。反省してるかと思ったら、まさか・・・パパの指を浮かべてシテたなんて・・・ね」
いけない子だっと言葉を続けるマジックのその言葉に、シンタローは弾けたようにマジックを見つめて、言葉を詰まらせた。

「・・・・・・・・・おや・・・じ・・・」
やっぱり、聞かれてたのか。
何をしていたかというのは一目瞭然。
だが、親父の名を呼びながら達したのがバレるとなると、話は別だ。
驚愕に開かれるシンタローの瞳を見つめながら、驚きで自分の腕を掴む力が緩んだ隙に、マジックは指を先端まで走らせた。
「あっ・・・ふぅ・・・・・・!!」
一度達したばかりで、赤く敏感になっている部分を、指先でグリグリと押されると、自然と腰が引けてしまう。咄嗟に両手でマジックの手首を再び、掴み押さえこんだ。
それでも、久しぶりの親父の指先に身体の内からはいいようのない、感覚が湧き上がってくるのが・・・こんな状況だというのによく分かる。
恨めしい自分自身に、悔やんでも悔やみきれない。

「あいつは・・・どうしたんだ」
両手の手で押さえているというのに、悪戯に動く男の指先にギリギリと歯を食いしばりながら、シンタローは口を開いた。
「そんなに、あの子の事・・・気になる?」
「・・・・・・・・・・・・別にっ」
ココまで来ても、フンっと鼻を鳴らして顔を背ける我が子の姿に、口元を綻ばせると、震えるシンタローの耳元に唇を寄せて「嘘つき」と囁いた。
「・・・・・・・・・っ!!」
耳まで真っ赤に染めるシンタローに笑みを浮かべると、羞恥心で赤く染まる耳たぶを舌で弄る。
「放っておかれたから寂しくなって、嫉妬して一人で処理したくせに・・・聞こえてたよ。『親父っ』っていいながらココから沢山白いの出したよね」
「いっっ!!」
一指し指の爪を、先端に食い込ませると、痛みにシンタローが呻いた。それでも、痛みに萎縮するどころか、新たな液体がマジックの指を濡らす。
「いけない坊やだ。またこんなにして・・・・・・。さっきイッたばかりだろう?」
「っ・・・・・・かよ・・・・・・・・・」
身体を小刻みに震わせながら、聞こえるか聞こえないかと言うほどに、小さくシンタローが呟くと、そんな息子に「何?」っとマジックは小首を傾げて、口元に顔を移動させて次の言葉を待った。

「悪いかよ!!いい歳して嫉妬して悪いかよっ。どうせ素直じゃねぇよ!!」
今までの鬱憤を晴らすかのように、シンタローは大声を上げてマジックの身体を押しやると立ち上がった。
至近距離でのまさかのシンタローの声にマジックは眉を潜めて眼を見開くが、すぐに平静を装うと、立ち上がったまま俯くシンタローの足元に方膝を着いて、両手を握り締めた。

「・・・嫉妬してる」
マジックの不可解な言葉に、疑問を持ちつつも、まさかの自分の行動に居た堪れず、握られた手をふり解こうとシンタローは躍起になって抗った。
もう一分一秒たりとも、居たくない。笑いたければ笑うがいい。そんな心境のシンタローにマジックが言葉を続けると、ピタリとシンタローの動きが止まる。
「私は、シンちゃんの周りのもの、全てに嫉妬してるよ」
「シンちゃんが、握り締めた空き缶や、私のジャケット・・・シンちゃんが触れるもの、見るもの全てに嫉妬してる」
なんと言っていいから分からず、俯く息子の姿に優しく笑みを深めながら、シンタローの片手の甲に軽く啄ばむように唇を落とした。


(・・・少し、否・・・だいぶ嫉妬してくれたみたいだね。思いかけず目の保養になったしね。しばらくは・・・自慰をネタに自由させてもらおうかな。ね、シンちゃん・・・)甲に口付けながら、そう決めると、マジックは笑みを深めて、握って指に力をこめた。


@おわり@


----------------------------------------

ご来読ありがとうございました。
前HP携帯サイトでの20000打、チッチさまリクエストでございます。
マジックの浮気疑惑に、やきもきしちゃうシンちゃんということでした。
う、浮気疑惑?・・・こう読み返すと、浮気疑惑ではないのかも(汗)
メルマガにて連載しておりまして、メルマガでは前と先にちょこっとついておりましたが、あまりの長さにこちらでは
カットさせて頂きました。Hさま、色々とご鞭撻ありがとうございました。さすが、師匠~。
おんぶに抱っこでは!っと奮起しまして、自力で修正しました(笑)
・・・すっきりした☆と思ってます。いえ、思いたい。
けっこう、文面も弄りましただので、これはこれで、別ものとして楽しめると思います。
でも、こっそり師匠になおしてもらったものもUPします。いやーさすがです!!
そちらでは、もう少し進んだ内容までで終わる予定です(笑)

それにしても、調子にのってシンちゃんに、なんてことをさせてしまったのでしょうか・・・。
でも、楽しかったですー。パパの台詞が気に入ってます♪
毎回、濡場になると引かれないかなぁーっと心配になります。(今更ですね・・・)

チッチさま、素敵なリクをありがとうございました。
    *2005/08/01-UP*


PR
dfs
迷探偵シンちゃん



それは、いつもの日常の朝にやってきた。

事件勃発の朝。

-AM7時-自室にて

「あぁ~。もう朝か、あっという間だなぁ」
いつもの通り、ベッドの上で身体を伸ばすと、起き上がり、床に足をつけた。が、
なんか、いつもと目線が違う?

風景の違いに首を傾げながらも、足を踏み出すと、大きくつまづいた。
「うぉっ!なな、なんだっ!!」
なんで詰まづいたか分からない。
フローリングに顔からぶつかり、赤くなった鼻をさすりながら、足元をみれば…。
あれ?パジャマこんなでかかったか?
裾が大岡越前なみに長くなっていた為、足を取られたらしい。
ん…?
裾の問題じゃない。袖だってぶかぶかで…。手をみれば、
骨ばった、ごつごつとした男の手から、ぷにぷにとした紅葉のような手で…。
ぺたぺたと顔を触れば…。

………。

…………ιι

鏡のある洗面所まで、でかいゆるゆるのズボンのウエスト引揚げ、なんとか引きずって歩いていたがラチがあかない。その場でパジャマの下を脱ぎ捨てたが、下着のボクサーパンツまでウエストがブカブカで下がってくる。面倒だとそれも脱ぐと、パジャマの上が膝まできて、大事な部分は優に隠してくれている。
そのまま格好で洗面所へ向かった。
いつもなら、すぐにいける洗面所も、今日はやけに道のりが長く感じる。軽く息を見出しながら、洗面所の鏡をみれば…

顔映らないじゃん!

いままで当たり前だと思っていたことが、普通にできない。目線は蛇口で、頑張っても髪の毛が鏡に映るかどうかという程度だ。
持ち前の運動神経をもってしても、それまでもが子供の体力になっているらしく、ぴょんぴょんっとジャンプしても、顔までは移らない。
近くを見回し、手頃の台を見つけて、踏台がわりにして鏡を覗きこめば、
小学生ぐらいか?10歳ぐらいの子供が鏡に映し出されているではないが…。

長い髪も、短くなり襟足がすっきりとしている。
「オレ?…か?ってオレしか映ってないし…」
突っ込みをいれたところで、むなしいだけ…この顔、写真でみたことある。
親父があの時の素直なオレを!!っと嫌味かお前!!というような、写真の数々を部屋に飾っていたのを思い出した。
確か、こんな顔のやつが親父の隣りで、満面の笑みを浮かべたり、大泣きしている写真があったような…。

でもと…チラリと鏡をみれば…吊りあがったきつい眼差しも、幼さが加わって和らいでいる。が形のいい漆黒の瞳に、ぷっくりとした唇…愛らしい顔立ちだな~。
「やっぱオレって、昔から可愛かったんだなぁ~」などどいう余裕も出てきた。
なんせ、最近ネコになったばっかりだしな。さすがになれてくるぜ。
さて、どうしたもんかな。
踏み台から、ぴょんっと飛び降りると、腕を組んだ。

原因は分かってる。
今回も親父に間違いない!! 問題はそれをどうするかだ…。
この前と同じく、親父の知らないうちに解決しようとしても、見つかるに決まってる。ましてや子供の自分になにが出来るのか。
子供…。―――そうだ子供だ!!

…子供なら子供の特権てやつを精一杯使うしかない。

虎穴にいらずんば虎児を得ず!! ここは乗り込むしかねぇだろ!!
見かけは、ちょっと…かなり!!生意気そうだが、可愛らしいちみっ子が一丁前に腕を組むと、ニヤリと唇の端をあげて笑みを浮かべた。

―AM7時30分―行動開始

まずは…このパジャパから着替えないとな…。っと子シンタローが思案していると。(以下シンタロー)ノックも無しにドアが開く音がする。

きたっ!!

本当はこっちから乗り込むつもりだったが、大方…うまくいったか様子を見に着たというところだろう。

戦闘開始だ。

深く息を吸い込むと、ゆっくりと息を吐く。そうして気持ちを落ち着かせると、表情も小生意気な子供の顔から、愛くるしい従順そうな表情へと一変させた。
シンタローの予想通り、迷わずに寝室にむかってくる足音が聞こえてくる。
そして、
「パパっっ!!!!」
とマジックの姿が見えるやいなやシンタローが、マジックに向かって飛びついた。
「し、シンちゃん!?………」
まさか飛びつくとは思ってなかったのか、マジックの腕が小さな身体の背中に手を回さずに固まっている。
「起きたら、パパがいなかったから…ボク…ボク…っ」
マジックのピンクのスーツのジャケットに顔を擦りつけると、グスグスとえづいた。
(どうだ・・・!!俺の演技も捨てたもんじゃねぇな)
精一杯、ジャケットに額をグリグリを押し付けながら、眼を見開いて瞳を充血させる。
そして、目の前がうっすらと涙でぼやけてきた所で顔をあげて、上目遣いにマジックを見つめると、マジックが柄にもなくうろたえているのが分かる。
(おもしれ~~!!)
本当なら、床を叩くほど笑い転げたい!!が、そうしたらバレてしまう。
口がひくひくと、引きつってしまいそうなのを歯を食い縛って耐えると、自然によってしまった眉間に皺を悩ましげな眼差しに変えて、顔でマジックを見つめる。
「シンちゃん…子供になっちゃったの? 今、いくつか分かるかな?」
シンタローの目線まで腰をおとすと、シンタローの涙で(充血して)潤んだ瞳を心配そうに、見つめる。
少しうつむいて、指を折って数えると控えめに「10歳?」とだけ応えた瞬間、自分の身体をぎゅっと抱きしめると同時に、小さくマジックが「おかしいな…」っと呟くのをシンタローは聞き逃さなかった。
(やっぱり!!)
たぶん、親父がドクターに頼んだのは身体だけが子供になる薬だ。いくらなんでも、記憶も子供の俺に手出しはしないはず。
親父と初めて関係を持ったのが、中学の後半だから…外見だけでなく中身も子供の俺には、手出しはできないに決まってる。
シンタローを抱きしめたまま、どこか考え込んでいるようなマジックに、シンタローが恐る恐る話しかけた。
「パパ?…どうしたの?」
「ううん、なんでもないんだよ。…それより、シンちゃんなんでズボンはいてないのかな?パンツもあんなところに脱ぎ散らかして…」
(ギクっ…!!やばい…どう誤魔化すか…)
自然とマジックの袖をギュっと掴むと、考えをめぐらせた。
「…分かんない。 トイレにいこうとして、脱いじゃった」と言い終えると、添えるように小首を傾げてマジックを見つめる。
都合が悪いときには、コレに限る!!

子供の特権だよな~。それに子供って訳わからんような行動するしなvvと心の中で思ってるとは思えない、愛くるしい表情で…。
「そっか~v分かんないよね~」
などと、マジックもつられるように、シンタローと同じ方向に首をかしげて、笑みを浮かべた。そして、改めてシンタローの頭からつま先までを目で追った。
ぶかぶかのパジャマ一枚を着込んでいる姿は、子供とはいえ…そこはかとない色香が漂っている。パジャマの上着から伸びる白いスラットした華奢な足。
どこもかしこも柔らかそうで、軽く歯を立ててしまいそうなほど魅惑的だった。
チラリズムは男の浪漫!!と、マジックが思ったが分からないか、シンタローの子供姿を懐かしむように凝視するマジックに「パパ……・・・」と子供特有の高い声で呼び止められる。
「…鼻血……でてる」
多少怯えを含んだ瞳とシンタローの声に、マジックは我に返ると、鼻血など気にならないのかシンタローを抱き上げると歩きだした。
「さ、ここじゃ不便だろう。パパの部屋にシンちゃんのお洋服用意してあるからね」


―AM8時15分―敵地進入(マジックの部屋)

けっこう、簡単だったな・・・。
きっとこの部屋のどこかに、大人に戻す薬があるはずだ。ぐるりと部屋の中を見回して、
…しっかし……あのアーパー親父は…ιι
用意された洋服を目の前にして、シンタローは一つため息を漏らした。
その洋服とは…赤い総帥服の子供バージョンで、ただ違うのはズボンが半ズボンだということだろうか。上のジャケットは2パターンあり、袖がるものとノースリーブで…。
子供に戻して何する気なんだか、こんな服まで用意して…バレバレじゃねぇか。 まっ、親父が犯人だとこれで決まったようなもんだ。
後はこの部屋のどこかにある薬を、俺の中身が大人のシンタローだとバレる前に見つければ…――――。
「シンちゃん。着替え終わった?」
ドアのノックとともに入ってきたマジックに対して、小さく舌を打つとクルリと振り向いて笑顔を振りまいた。
「ううん…迷っちゃって…。なんで、この服なの?いつもは普通のシャツだよね?」
「だって、前にシンちゃん。パパみたいな赤い服が着たいって駄々こねてたでしょ」
そう言われれば、ぐうの音も出ない。「そうっだったかな?」と笑顔で乗り切り、露出度の少ない袖まであるジャケットを手にとった。
マジックのあからさまな視線を感じながら、袖を通し全て着終わったところで、後ろからはしゃぐ声がする。
「シンちゃん、かわいい!!はやく、前向いて!!ほらほら」
しぶしぶ振り向けば、マジックには恥らってるように見えるらしく「照れなくていいよ!!似合ってる~」などと嬉しくもない励ましの言葉とカメラのフラッシュが飛んでくる。
「ほら、スマイル、スマイル!!」
バカ親父!!殺す!!絶対殺す!!っと心の中では思っていても口に出してはいけない…。なんせ昔の俺は親父大好きな素直なガキだったらしいからな。
口に出せなくても、親父にやり返す方法はいくらでもある。なんとかして、親父を部屋の外へ出さなくていけない。

さて、どうしたもんか…―――。

マジックへひきつったような、笑みを浮かべながら、次の作戦を考えた。

―AM9時―同じく、敵地マジックの部屋

丈が膝ほどある黒のブーツを履き、赤の半ズボンに、同じく赤のジャケット、シャツは白・・・子供にしてはやや開襟すぎやしませんか?との突っ込みをいれたい・・・。
あつらえた様にぴったりのサイズにも・・・。
が、ここは黙認するに限る。
そして姿見を見て、やっぱ俺って最高!!と親父の「シンちゃん最高!!」っという言葉に酔いしれそうな自分を叱咤すると、任務に戻る。

シャッター音と、次に控えられている洋服の数々に終わることのなさそうな写真撮影に頭を抱え・・・ふぅ~っとため息をつくと、それを疲れたと察したマジックがシンタローに声をかけた。
「うん、お腹空いちゃった…」
マジックの言葉に便乗すると、お腹のあたりを押さえて瞳を伏せた。
「ごめんね!!もうこんな時間…すぐにご飯にするからね。何が食べたい?」
いそいそと赤い布地にマジックっとプリントされたエプロンを身に着けると、キッチンへと向かう。そんなマジックの後姿にオムライスとプリンをリクエストすると、マジックは困ったような顔をして振り返った。
「う~ん…プリンはちょっと…すぐには出来ないよ」出来合いのものじゃ嫌だろう?と困ったように眉を寄せて訊ねるマジックに、「嫌だ!!プッ●ンプリンとかじゃなくて、パパの手作りが食べたい!!出来るまでは何にも口にしないし、パパとも会いたくない」っとどこかのちみっ子のような口ぶりに手足を振り回して駄々をこねる。とマジックは了解っと肩をすくめて、キッチンへと姿を消した。
よしっ!!プリンの生地が固まるまで、少なくとも2時間以上はかかる。それまでに、探検と称して調べまくってやる。

どこに用意していたのか、虫眼鏡のようなものを片手に持つと、気分は名探偵。
作戦開始!!とばかりにまずは書斎へと足を踏み入れた。


―AM10時10分―マジックの書斎

とはいえ、疑わしい文献は出てこない。何か手がかりがあればっと思ったが、あるのは小難しい本から、自身の著書ばかり・・・。不便ながら小さい体を使って、はしごに上り隅々まで探したが、何も手がかりは得られなかった。仕方がない、次の部屋にいくかと、はしごを降りようと片足をかけたところで、遠くで自分を呼ぶ声がするではないか…。
夢中になって気付かなかったが、そんなに時間がたってるのか!?キョロキョロと周りを見回して時計を探す。
と再び、名前を呼ぶ声がする。
「は~い!!今、行く~」
おざなりに返事をして、仕方なく虫眼鏡をポケットにしまうと、はしごからひょいっと飛び降りる。そして、余計な詮索をされて怪しまれないようにそそくさと、マジックの声がするキッチンへと向かった。
キッチンにはエプソン姿のマジックが、出来たばかりのオムライスがのっていると思しき皿を片手に持っていた。
「先に、これだけでも食べてなさい。お腹すいちゃったでしょ?」
「パパ~っ」
そいう言って振り向いたマジックの懐に向かって、体当たり・・・じゃない。抱きついた。
片手に皿を持つという不安定さと、不意打ちにマジックの身体が微かにだがバランスを崩しているのを見計らって、強くエプソンにしがみつく。
「こら、こら。シンちゃん危ないよ。お皿落っことしてしまうよ」

落とせよ。てめぇっ!!っとばかりにグイグイ体を押し付けても、所詮はチミっ子。マジックの身体は最初はふらついたにしても、すぐにビクともしない。

それどころか自分の身体を片手で抱きかかえた。

「チっ・・・」

抱きかかえられながら、思わずギラリっと睨みつけた、瞬間…マジックと視線がぶつかり、すぐに笑みを浮かべると可愛らしく首を傾けた。

…落として時間を稼ごうと思ったのに…作戦失敗か。っと心中は穏やかではないが…。


―AM10時10分―ダイニングテーブルに連れてこられる

「ほら、あんまりおいたしちゃダメだよ」

そのまま、片手で抱き上げたまま、テーブルに座らせるが、何分背が小さくなってるため、普通なら差支えがないが…

「パパ…テーブルが高いみたい」

大人用のイスに座ると目線がテーブルをやや超えるぐらいで、前に置かれたオムライスの皿とお見合いするような形だ。これじゃ、満足に食べることは難しい。

「おや…困ったね。子供用の置くイスはないし…クッションじゃ、不安定だよね」
顎に手をやってしばらく考えこむと、いい案でも浮かんだのかポンっと手を打った。
…なんだか、すっげー嫌な予感がする。親父が口を開く前に、イスから飛びおりた。
「いいや…お腹そんな空いてないし、プリンが出来たら呼んでね」
クルリとイスに背を向けると、キッチンから離れるべく足を踏み出したが…気付けばイスに逆戻りしていた。
「ふぇ…?」
違っているのは、今度はオムライスの皿が見下ろせるって事と…座ってるクッションがいやに人肌というか…背もたれもいやにがっしりと硬く暖かいのは気のせい…―――じゃない!!
こ、これって…膝に座ってるって!!!
いきなりの展開と、まさかの格好に思わず、「ふざけんなっ」っと罵倒する言葉が飛び出そうになったとき、親父の嬉しそうな声が後ろから聞こえてきた。
「ほら、これなら丁度いいだろう」という言葉とともに、両手がしっかりと前で組まれていて、抜け出せそうにない。

バカ親父…。

いかん、いかん。俺は素直な可愛い俺を演じなければいけないんだ。
はぁ~…。
一つこっそりとため息をつくと、仕方がないとばかりに渋々スプーンを手にとり、オムライスを眺めて眩暈を起こしそうになった。
美味しそうだからじゃない…否、旨そうはうまそうだが…本当、俺の趣味を分かってる。卵は半熟だし、食欲をそそる匂いにゴクリと喉がなる…
が、オムライスの上のハート型とその真ん中の日の丸の旗…その下に「パパ大好き」というケチャップで書かれたかものを除けばだ。
しばらく、その文字とハートを見つめていると、またもや浮ついた声で、「パパが食べさせてあげようか?」とスプーンに手が添えられて、大丈夫だからと首をふるとスプーンの裏で文字を消してから、一口に運んだ。
「うまい…」
思わず、ポツリと呟いた。が、「うまい?」というやや疑問の声にハッと我に返った。
やばい、やばい…。えっ…と、素直な可愛い俺なんだから「うまい」はダメだよな。

「とっても美味しいよ、パパ」
エヘっと後ろをむくと、「パパも食べる?」っとスプーンに一口のせてマジックに向かって差し出した。
「ダメだよ、そんな悪い口のきき方したら」
メっと軽く睨むと、すぐに顔をにやけさせてシンタローが差し出したオムライスを食べた。
「ごめんね、パパ」
申し訳なさそうに、瞳を潤ませればこっちのもの。
いや~楽じゃねぇ?これ。
使えるな、うん。
この調子で薬頂戴っていったらくれねぇかな?
いや、ダメだよな。そんなことしたらバレちまう。今は10歳の(本当に10歳かは分からないが…)子供なんだから、記憶があるってことがバレちまうからな。
なんとかして、親父をこの部屋から長時間離れてもらわねぇと。
今後の作戦を立てながら、黙々とオムライスを食べ続けた。そして、食べ終わる頃「そろそろ出来たかな?」っと俺をいったんイスから下ろしてキッチンへ向かうと、親父はプリンをもって帰ってきた。
また、膝の上で食べされちゃ~かなわねぇ。なんとかして、逃れるべく咄嗟に親父にねだった。
「ね~、ソファーで食べてもいい?いいでしょ~?」
親父のズボンを摘んで引っ張ると、上目遣いに思いっきり甘えた声を出して駄々をこねる。
う…気持ち悪い!!辛抱だ、辛抱だ、俺!!
自分で言っておきながら、自らの声色に込上げてきそうな吐き気を抑えながら、おねだりすると「お行儀が悪いよ」とごねていたマジックも、承諾してくれた。
ソファーに座りながら、プリン…プリンアラモード(さすがだ。ただのプリンだったら、あれこれ文句をいうつもりだが、文句のつけようもない、見事なデザートだ)にパクついていると、内線がなる。
「おや、無粋だねぇ…ちょっと待っててね」
そういって、うっとりと俺を見ていた親父が、短く舌を打ってコードレス電話の内線をとると、リビングから自室に行ってしまった。
マジックが自室に入ったのを確認して、急いでソファーの前のテーブルに皿をおき、会話を盗み聞きすべく後を追うとドアにピッタリと顔をつけ、耳をそばだてた。
「そうか…分かった。すぐにいく」
誰と話していたかは分からなかったが、親父は短くそういうと、電話を切ったらしかった。
それを確認して、急いで元いたソファーまで走ると、何食わぬ顔でスプーンを握る俺に、申し訳なさそうな顔した親父が戻ってきた。
「ごめんね、パパちょっといかなきゃいけないから、ここでお留守番してられるかな?」
シンタローの隣に腰をおろすと、背中に手を通して肩を抱くように手をおいた。
こんなに好都合な事は無い。二つ返事でOKすると、マジックがチラチラとこっちを見ている。
なんだ?バレたか…ここは寂しいそぶりをするべきだったのか?ギクリとスプーンを握る手にも力が入り、じんわりと手が汗ばんでいるのが分かる。そんなシンタローにマジックが声をかけた。
「シンちゃん…」
「…………なに?」
ゴクリとプリンを飲み次の言葉を待った。つるんとした食感のハズなのに、喉のあたりでつかえるような、硬い固形物のようだ。
「いつものやつを言ってくれないかな?」
「え……」っと言葉を詰まらせるシンタローに、ほらほらいつもの「パパ大好き」ってやつ。っとシンタローの柔らかい頬を突っついた。
いつもそんな事言ってたかぁ?そんな記憶はさすがに、これっぽちもない!!だが、親父がいうのならばそうなのだろう。早く早くと急かす様な、マジックの視線に覚悟を決めると、
「パパ…だ~い好き!!」
マジックにもたれかかると、上目遣いにマジックを見上げる。「シンちゃんっ!!パパも愛してるよ~」っと頬にスリスリと顔をよせ、名残惜しそうにぎゅうっと抱きしめるとため息をついて離れた。
「じゃあ、たぶん一時間ぐらいで戻ってこれると思うから」
はぁ~っと更にため息をつくと、「いい子してるんだよ」と言い残し出て行った。
プリンを食べ終えて、マジックの去ったのを確認すると、ドアに内鍵をかけて作戦再開!!とばかりに腕をまくった。


―AM11時45分―作戦再開、マジックのプライベートルーム

再度、書斎をぐるりと見回して、キッチンの戸棚などあらゆるところを調べてみた。もしかしてと思い、バスルームも覗いたが、薬らしき粉末もネコの時のような液体もでてこない。
残すはこの、プライベートルームと寝室のみ―――。
絶対あるはずだっ!!あの親父が薬を用意していないハズはない!!…もしかしたら、持ち歩いているのでは?という不安もよぎるが、その時はその時だ。出来る限りのことをしなければ納得できない。
へたれそうな自分を叱咤すると、引出しに手をかけた。すると
「ん?何だこれ?」
小さい茶封筒が、引出しの奥に転がっている。その中には、5粒ほどの錠剤とメモ書きが入っていた。
「もしかして!!」やった!!と小躍りしてしまいそうだ…手が緊張で震えている。ドキドキと胸の鼓動を抑えるとその走り書きを読んだ。
『解毒剤は3錠をそのまま噛み砕いて飲み込むか、水かぬるま湯で飲ませて下さい。10分程度でもとの大きさに戻ります…高松。』
元の…大きさって!!しばらく考えこんで、確認をもつと、これだ―――!!グッと拳を握りその場でガッツポーズした。逸る気持ちを抑えながら、その錠剤をまずは一つ口に放り込んで歯をたてた。
ガリっと噛み砕くと、口の中に甘い知ったような味が広がった。なんだ…?不思議に思いながらもう一つ口に含むと、甘いのと酸味の効いた味がする。
「これって…ラムネ?」
疑いたくは無いが、どうみてもラムネの味がする、更に一つ口の中に含みながら茶封筒の中を調べてみると、奥に紙が四つ折になっている。
訝しげにその紙を開くとその紙の真ん中には、デカデカと手書きで…
「は、ハズレ~っ!!」ふざけやがって、どういうつもりだと、紙をぐしゃぐしゃと丸めると、後ろに放りなげた。すると、
「残念だったね~」っと笑いを押し殺した声がするではないか。
ハッとして振り向けば、マジックが紙を拾い上げて丸まった紙をのばしていた。
「お、親…、パパ…っ」

引きつった笑みを浮かべて親父を見上げると、傍までよってきてシンタローの身体を抱き上げた。そして、同じ目線にすると、「もう、お芝居はいいんだよ。イヤ~うっかり騙されるところだったよ」と笑みを浮かべているが、今後のことを考えるとその笑みが空恐ろしい。
「可笑しいと思ったんだよ。パパはね、身体だけを元に戻す薬を頼んだのに、お前ときたら記憶までもが戻ってるじゃないか?ドクターが失敗したのかと思ったけど、どうにも昔のシンちゃんとも違う行動が節々にあったから、ドクターに確認をとってもらってたんだよ」
「………なんでこんなこと…」
こうなったら大人しくするしかない…、そして隙をみて逃げ出してやる。っと強く心に念じるが、それは叶うことはない。
「なんでだろう?子供のシンちゃんが見たかったからかな」
しれっとしたマジックの口調に、シンタローは呆れた声をやっとの思いで、搾り出すことしかできなかった。そんなシンタローに、急に顔を引き締めて、マジックは寂しげに呟いた。
「子供の時はよかったよ、お前は私の手の中にいて…でも、今はどんどん立派になって、私のことなんか必要ないぐらいだもんね」
ちょっと、昔にもどってみたかっただけだよ…。またどこかへ行ってしまうんではないかと、不安になる時もある。蒼い瞳を伏目がちに閉じて、そう言葉を続けると、言葉がでなくて…
「親父……」
と呟くことしか出来なかった。

「私にはそんな感情は皆無なものだと、そう思ってた?」
その言葉に、ためらいがちに頷くと「そうだろうね」とマジックが一人ごちた。
なんと声をかけていいか、分からなくてチラリとマジックの顔を盗み見ると・・・。
「なんてねvvだって、退屈だったんだもん」
手の平を返したような、マジックの態度に唖然…絶句という方がいいかもしれない。
「さ~て、パパを騙して薬を盗もうとした、悪い子にはなんだと思う?」
さっきの、雰囲気はどこえやら、ニヤリといやらしく口元を緩めて歩を進めるその方向は…………―――。
「ショタコン野郎!!こういうの、幼児虐待っていうんだぞ」
ばたばたと手足を動かして、マジックの髪の毛を引っ張ってみても、効果なし。その足は寝室へと止まることなく進んでいる。
「パパのことをショタコンなんて、いう子にはお仕置きだよね」
そのまま、シンタローの罵声を聞きながら、寝室に着くとベットに腰をおろし、その膝の上にシンタローを腹ばいにさせる。膝の上にちょうどお腹がくるような格好だ。
まさか…この格好って…ιιι全身の毛穴という毛穴から汗が噴出さんばかりの緊張で、心臓が波を打っている。
「ふざけんな!!くそ親父!! 離せ、離しやがれ」
マジックの膝の上で、ジタバタと身体を動かしても、「素直なシンちゃんもいいけど…。やっぱりそうこなくっちゃ、シンちゃんじゃないよね」とよけいにマジックを歓ばせるだけで終わった。
それでも、ばたばたと諦めの悪いシンタローに、マジックの振り上げた手がシンタローのお尻に向かって振り落とされ、パンっと乾いた音が室内に響くのと同時に、
「いっ…てぇ!!、痛い、痛いってば、ふざけろ!!いくつだと思ってんだ」
とシンタローの悲鳴にも似た、悲痛な声が漏れる。
いい歳して…外見は置いてといて、実際は大の大人がお尻ぺんぺんというのは、屈辱という言葉以外ない。そんなシンタローに対してもマジックは
「え、10歳なんでしょ?子供を叱っているだけだよ」と全く取り付く暇もない。
どれくらい続いたか、うっすらと涙が滲み、抵抗が止んだ頃…やっとそれは終わりをつげた。
「痛いだろう?でもシンちゃんがいけないんだよ」っと何度も刷り込むように耳もとで囁くと、ズボンを脱がせる。
ズボンの上からだったにもかかわらず、桜色の柔肌はマジックによって痛々しく赤みをおびていた。それを優しく撫で上げて、一つ唇を落とすと、そのままベットに仰向けに寝かせて、
「あの頃は、まだパパとこういう関係になってなかったもんね。昔のシンちゃんがどんなだったか教えてね」

そう言って、子供に戻った時から味わいたいと思っていた、真っ白な2本のほっそりとした足に手を伸ばした。
「…っ、な、なに!?」
あとを引く痛みのせいで、ぼんやりとなすがままになっていたシンタローは、足元からくる味わったことのない感覚に、ひりつく尻を押さえながら身体を起こして、身をこわばらせた。
いつのまにか、ブーツは脱がされ床へと転がっていた。
そして、気付けばマジックが、シンタローの左足の踵を両手で捧げ持ち、親指を口に含んでいたからだ。
マジックはシンタローの指を口に含んでおいてから、舌の先端で、親指と人差し指の間の部分を何度もゆっくりと舐め回す。
「ひゃっ、やだぁ!! ぁぁっ」
まさか、そんなところを口に含まれるとは思わなくて、必死に支えた腕に力をこめると、足を引っ込めようとするが、マジックは踵をつかみ逆にグット引っ張ると、ぴちゃぴちゃと音をたてながら人差し指と中指の間に舌を走らせる。
「あ――っ、やめろ!!」

指を舐められているだけというのに、ゾクゾクとしたものが全身を貫いていく。

顔を仰け反らせて、天井を見上げると目を強く閉じて、なんとか自分の足をマジックの口から離そう力をこめるが、両の手でしっかりと固定されて、薬指と小指の間の部分をも舐め回された。
「思ったとおり、柔らかくて…噛り付いてしまいたいほどだよ」
そう言って、左足の指を口から離すと足の甲に唇を落として、吸い上げた。白い柔肌はすぐにマジックの所有の証とでもいうような赤い痕を残す。
そして、左足をシーツの上にゆっくりとおろすと、右足を包み込むように持ち上げる。
「さあ、今度は右足だよ」
左足のときと同様に、それよりも激しく音を立てながらむしゃぶりつく。
逆に今度は小指のほうから、飴玉でもしゃぶるように口の中で転がし、ときおり歯をたてながら、指の間の股の部分に舌を這わせる。
「あぁぁっー!やめろ、やめろっ!」
顔を左右に打ち振るって、イヤイヤしながら逃げようとして、シンタローは身体を後方へ傾けた。次の瞬間、シーツの上に膝をたてた状態で、再び仰向けに倒れた。
両足の間の付け根の男性のシンボルが小さいが、ピョコンと天井にむかって立ち上がっているのが見えた。
その眺めに、マジックは身体が高揚していくのを感じる。心の端で、子供だという事実が歯止めをかけていたが、やや舌ったらずで普段のシンタローの声とは違う高音というのも、自分を煽るのは十分だった。
それに、中身が大人だというと、昔は感じることのなかった愛情ではない、欲情を意識せざるおえない。
マジックはしっかりと、右足の踵を掴むと、指の間を走らせる舌に力をこめた。
「やだ、それやだぁ!」
執拗な愛撫を嫌がるように、身体をねじって逃げようとすればするほど、マジックの征服欲が煽られる。それに、身を捩る度に赤いジャケットと白いシャツの間から、チラリチラリと立ちあがったものも垣間見えて…。
その赤と白と色合いに、チラリと見える角度がなんともなまめかしく、マジックの劣情を誘う。
「もう、やだぁ…」
敏感な子供の身体には、マジックの愛撫は酷だったのか感じすぎて、ひっくひっくとえづき、喉を震わせてマジックに哀願するシンタローの顔はぐっしょりと涙で濡れている。
「足の指が感じるなんて、思わなかった?」
身体を起こして、肩を震わせているシンタローのこめかみの辺りに、ちゅっと唇を落とすと、「それだけじゃないんだよ」と笑みを浮かべて、シンタローの右足を掴むとぺロリと足の裏を舐め上げる。
「ん、ふっくぅ…っ」
くすぐったいのか、ピクリとシンタローの身体が吊り上げられた魚のように背をしならせる。それでもかまわずに、吸い上げたりチロチロと舐めあげて、反応のいいところを探し出す。
ひとしきり舐め回すと、舌を踵の部分に走らせてアキレス腱から、ふくろはぎと膝の裏を経由して太もものあたりまで、ゆっくりと舌の全体を使って舐めると、シンタローは全身をくねらせて、マジックを楽しませた。
そして、そのまま足の付け根に向かって、ツツーっと舌先端を走らせると、「あぁ―――っん!」と甘えたような声をシンタローが漏らす。
そしてこちらも、右足を舐めつくすと、左足に移る。
なおも舐めあげると、嬌声を通り越したような、荒い息づかいを繰り返して喘いだ。
「小さくても、ちゃんと濡れるんだね、シンちゃんの」
腿に向けていた視線を少しそらすと、やや布を押し上げて立ち上がっている部分の先端からぷっくりと蜜を滴らせている。
「この、時はもう精通あったの?」
そう言って、指でピンっとはじくと、面白いように腰がはねた。執拗に、質問を繰り返し片手でおさまるシンタローのモノを掴んで、ゆるゆると揉みしだくと、途切れ途切れに否定する。
「そう…この時はまだだったんだね~。でも濡れてるよ…シンちゃんたら、可愛い顔してこの時から淫乱だったんだね」
マジックがわざと追い詰めるような言葉を使うと、シンタローは両手で顔を覆って、イヤイヤというように肩を揺らした。
「どうせなら、試してみようか」
シンタローの足首を掴むと手前に引き寄せて、大きく開く。目線がちょうと閉じられた蕾の前になるようにすると、顔を近づけて舌の先端を突き出す。
やすやすと挿れない抵抗感はあるが、舌を2センチほと蕾に埋め込んだ。
「さすがに、まだまだ青いって感じかな」
「やだ、やだー!!」
なおも、顔を振ってシンタローは羞恥心に耐えている。自分の身体であっても、感覚もなにもかもが、まるで他人の身体のようで、素直な身体に心がついていかない。
「さっきから、ヤダヤダばかりだね」
ふ~。っと困った子だとばかりに、マジックがため息をつくと、自然とその息が蕾にふりかかり、シンタローは嬌声をあげて小さい身体全体で仰け反る。
「身体はこんなにも素直なのに…ね」
「あ、あっ!やだぁ、やっ―――-!!!!」
面白がるように、何度も息とふきかけては、嬌声と身体を跳ね上がらせる。すると、徐々にだが硬かった蕾がピクピクと収縮を繰り返す。それを見計らって、舌を奥まで突きたてて粘膜をなぞるように舐めまわすと、手の中にあったものが、ピンと硬くなり先から微量だがサラっとした液状のものが飛び出して、マジックの頬を濡らす。
「これも顔射というのかな?」
おやおやと顔をあげて、全身を弛緩させ快感の余韻に振るえるシンタローを見つめると、見せ付けるように頬に手をやって精液を拭き取った。
「ちがっ…はぁ…こんなの…」
荒く全身で息をつくと、マジックの頬にうっすらと残る白い液体を目に止めて、顔をそらした。
「何が違うの?薄いけど、シンちゃんの味がするみたいだけど…」
クスクスと喉で笑うと、手についたものを舌で舐めとって笑みを浮かべる。
「さ~、次はどこを可愛がってあげようか?」そういって、ジャケケットに手を伸ばすと、ボタンを外して、白い解禁のシャツごと脱がすと床へ放りなげた。
途中、シンタローが手足をばたつかせたり、マジックの袖を掴んだが、子供の抵抗など無いに久しい、ベットの上には子供の身体のシンタローが全裸で仰向けてになっている。
好色そうな笑みを浮かべて、シンタローに腕を伸ばすと、抱きしめた。

「う~ん、パパの腕の中にすっぽり入っちゃうねvv」
ベットの上で胡坐をかいて、シンタローを抱き上げるとすりすりとシンタローの柔らかい頬に頬をよせた。が、なんだが肌が固くなっているような…。
気のせいかっと首を傾げて、背中に回した手に力をいれたが…やっぱり先ほどよりも骨ばっている気が…。
まぁ…いいっかvv
と軽くながすと、抱きしめたままシンタローをベットに押し倒した。
するすると、可愛いウィンナーをもう一度いじっちゃおうかなvと手をシンタローの下肢へ伸ばしたところで、手首をがっしり掴まれた。
さすがに、異変に気付いたのか顔をシンタローへ向けようとして、鼓膜に声変わりがすんだ男の声が響く。

「よぉ~。 パパ…」
唇の端をややあげて、冷ややかかに見つめる漆黒の瞳がマジックをとらえた。
まじまじとシンタローの姿をみれば…
さきほどの愛らしいものではなく、キリリと切れ上がった眼に変化し、ぽてっとした柔らかみのある唇は、情が深さそうなやや厚みのある唇となっている。
そしてなにより、短かった髪が肩を越すほどの長さに変わっていた。

「し、しっ…シンちゃん!!」
幼かったシンタローが、すっかり骨格もがっちりとした男へと変貌しているではないか!!
これにはさすがのマジックも驚きを隠せない。

なぜなら、ドクターからは薬を飲まなければ戻ることはない。と聞いていたからだ、そして。
先ほどシンタローが飲んだのは間違いに決まっている。本物は自分の内側のポケットに入っている。

念の為それを確かめて、もう一度手首を握っている手から、視線を移してシンタローをまじまじと観察した。
まだ、完全というわけではない…やや幼さが残るその顔立ちは士官学校を卒業したあたりという所だろうか、
「どうやら…一定時間を過ぎると自動で戻るみてえだな」
じょじょに、元の大きさに戻る自身の骨格を確認しながら、余裕たっぷり…なおかつ、地を這うような声がする。

(あんなに素直で、可愛かったシンちゃんが~~~っっっっ!!!!!!)
言葉にならない声を、飲み込みながら、後ずらろうとしても、がっちりと手首を掴まれてままならない。

お、怒ってる。怒ってるね。完全に怒ってるね~!!!

シンタローの顔は見たい、が、怖い。でも、シンちゃんの顔をみたい!!

いくら見ていたって飽きないんだから!!それに普段ならこんな至近距離で、シンタローから腕を掴まれるシチュエーションなんて、早々無い。
こんなに喜ばしいことは無いのに、今はその顔を見るのが恐ろしい。が、でもなんとかなるかもvv

といつものように、なし崩しでこのまま押せば…大丈夫!!いけいけドンドンだ。
と、どこからその自信が沸いてくるのか…マジックはチロリと上目づかいにシンタローの顔を見て、即座に顔を伏せた。

前言撤回!!!!!!

怒りを通り越したのか、冷ややかな侮蔑を含んだ瞳でじっとりと自分を睨みつけるシンタローと目があった。
そして、その顔の横には、そんな大きなの至近距離でくらったら、さすがのパパもあの世行きだよ…
と思うような特大の眼魔砲が…控えていて。


「―――ッッッッ!!!!!!!? ……」

後には爆音だけが残ったとか。


**********


「たっく、ろくなことしねぇんだから」
瓦礫の下敷きになっている父親の、その瓦礫の上に腰をかけて足をくむと組んだ足に肘をつき、頬杖をついた。
一つため息をつくと、どこか思い当たる節があるのか、しばらく考えた後、

「どこにもいかねぇよ…」

とだけ小さく呟いた。
それがマジックの耳に届いたかどうかは分からないが…。


今回はネコのリベンジになったのか!?
少しは成長したのか?
何故途中で戻ったか!?謎はお蔵入りのまま、今日もいく迷探偵シンタロー!!
頑張れ新総帥!!君の未来は明るいぞ!!

@おわり@
あれ…ιιι終わってない??

ということで、ご来読ありがとうございましたm(__)m
アヤさま、10000番キリリク。シンちゃん幼児化!!パパに悪戯されちゃいました。
こんなんでよかったのか!? 
はぁ、はぁっと息もあがります。
なんせ、初のショタ。いえ、2回目ですが前回はエロはなかったので…。
ショタは難しいですね…なんせ筋肉フェチなので、子供のムチっぽっちゃっとした、柔らかさを出すのは
想像が非凡なので、いつも以上にゴロゴロのたうってました。
甥っ子をジーっと観察したりと…怪しい伯母さんです。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
ありがとうございました。

幸央__〆(=・ェ・。=)




ga
font-size  L  M  D  S
ニャンコでゴメン
また、俺さまピンチです。

朝起きたら頭の上に耳が生えていた。普通の耳じゃない。
ちゃんと耳はある…。耳の上…頭のてっぺんと耳の間にそれがある。
それだけでなく、下半身に違和感があるなと思うと尻尾も、もれなく生えている。

寝ぼけてるのかと寝直した。が、起きてもやはり。
あいかわらず、生えている…ι

「この耳と尻尾ってまるで…」

そう、何故かシンタローの頭には、まるで猫のような耳と尻尾が生えている。
ベットの上で、恐る恐る手を上にもっていけば、やわらかい三角の耳がついている。
「いて…っ!!」
試しに引っ張ってみたが、痛みが走る。本当に生えたみたいだ…。恐ろしくも現実である。

「ってぇー…と、取れない…ッ!!」
手で黒い尻尾も引っ張ったが、外れることはなかった。
一体自分に何が起こってしまったのか、シンタローが混乱するばかりである。が、二度寝したおかげで出社時間が過ぎている。遅刻である。

猫に恨まれるようなことなどしていないはずだ。たとえ恨まれていたとしても、耳と尻尾が生えるものなのか?
変な薬を飲んだ覚えもない。
「…薬………!!」
薬を飲んだ覚えはないが、そんな馬鹿げた薬を作れるようなやつには覚えがある!!

「ドクター…か…?」
いや、ドクターにそんなことする理由は……ある!!親父だ!!
親父がドクターに作らせて、それを何らかの形でシンタローが飲み、猫のようになった。
それをドクターに詰め寄れば、実験成功とばかりに親父が飛んでくるハズだ。

「ドクターはダメだ、ダメだッ!!!」
ベットの上で、ぶるぶると顔を左右にふると寒気に身体を振るわせた。
もし、親父にこの姿が見つかったらと思うと…想像が容易い。
ドクターに劣らずに、頭が切れて作れそうなやつは…。
「あ!! いるじゃん」

シンタローの脳裏に頭が切れて、作れそうな人物が浮かんだ。それに親父の頼みを聞くような奴じゃない。やつならなんとかしてくれるかもしれない。

思いたては行動あるのみ、
ティラミスとチョコレートロマンスには、遅れる。もしくは場合によっては休みと告げる。

目立つ赤い総帥服は避けて、もしもの時の為に用意した一般用の隊員用の軍服に袖を通す。セットで帽子がついてるので、耳を隠すことが出来る。

「よし、これなら…バレねぇだろ。 早くしねぇとな」
そう早くしなければいけない理由がある。ティラミスからシンタローが休みだと聞きつければ、間違いなく飛んでくる男がいる。

ましてや、今回のコレがその男の仕業だとするならば、自分から問い詰めに行くのも危険すぎる。飛んで火にいる…ってやつだ。
鏡の前で入念なチェックをして、耳も尻尾も出ないことを確認するとその人物へと急いだ。

やけに威圧感のあるオーラーをまとった平隊員は、多少の人目を浴びつつ正体がばれることなく、とある研究施設にたどりついた。

「おい、入るぞ」
軽くノックをすると返事を聞かずにドアを開ける。後ろ手にドアを閉めると、キョロキョロと室内に目を配らせる。

「シンタローか…どうした?その格好…総帥クビになったのか?」
「クビになるわけねぇだろ。相変わらず、つまんねぇこと言ってんなよ、キンタロー」
そう、シンタローが向かった先は、キンタローの研究部屋。
キンタローならば、どうにかしてくれるかもしれないと思い、訪れたというわけだ。
「で、どうした? 今日は体調が悪いんじゃなかったのか?二人が血相かいてたぞ」
「ティラミスが血相かくかよ。 お前に頼みがあるんだよ」
「…頼み?お前が、このオレに?」
「実は…………」
そういって帽子を脱ぐと、さしものキンタローもぎょっとして、その部分に釘付けになる。
「…………面白い趣味だな」
「…っっつ!! これが趣味にみえるか!!」
バンっと机を手で叩くと、置いてあったビーカーやフラスコが倒れる。そしてシンタローの怒りを表すかのように、ネコ耳もピンと立ち上がっている。
「冗談だ。 そう怒ると本当に、毛を逆立てたネコみたいだぞ」

「うるせぇ…ネコみたいじゃなくて、ネコなんだよ!!」
「まぁまぁ、いいから座れ。 最初からどうしてこうなったのか、分かる限りでいいから話せ」
一時は、驚きを示したキンタローも、すぐに冷静を取り戻すといつものように淡々と話だした。
そんなキンタローの様子に、シンタローは小さく舌うちをすると、渋々キンタローの向かい合わせになるようにイスに腰をおろし、朝からの顛末を語りだした。

「実に興味深いな」
用意したコーヒーを口に運びながら、話しを聴き終えて関心したように、キンタローが呟くと、
「興味深いで、片付けるな」
机に頬杖をついて、ぶすっとガラスに移る自身の姿を眺めていたシンタローがつっこむ。

「で、それをオレに治せっていうのか?」

「そうだ。お前なら、なんかわかんだろ」

「ま、オレに分からないことはない。このオレにかかれば…いいか、このオレに…」

「ごたくはいいから、早くしろ」

「せっかちな奴だな。 まあ、いいだろう」

そう言ってキンタローは席をたつと、戸棚からなにか箱のようなものを取り出してきた。
「なんだそれ?」

「メスだ。これでお前の耳を切るんだよ」

「は…!?」
訳が分からず、これか?とネコ耳をひっぱった。

「そうだ…。調べて分かるようなものだとも、思えないからな。てっとり早くその耳を切れば済む話だ。それに切り取った耳を調べて原因を突き止めてやろう」
淡々と告げながら、机を回り近づいてくるキンタローに、シンタローはゾゾっと身が凍るような思いがした。

「動物虐待だ!! ちょっと引っ張っただけでも、すッげー痛かったんだぞ」
机を回り近づいてくるキンタローを避けるように、キンタローが間合いを詰めるだけシンタローも机を回り、キンタローとの距離を広げる。
「動物じゃないだろ。それに、お前なら多少のことしても死なんだろう」
そういう問題!!?
白衣を身にまとい、メスを弄びながら、笑みを浮かべて近づいてくるキンタローは、顔が整っているだけに迫力がある。
迫りくる身の危険、動物の感なのか、ガタガタと騒々しい音を立て、棚にある物を床に落としながらドアへと向かった。
「いい!!遠慮する!!…自力でなんとかするからッ!!」
ドアに手をかけそれだけいうと、乱暴にドアを閉めると慌しくキンタローの部屋から飛び出した。

だめだ!!あいつは変態だ!!やっぱり変態だぁぁぁ!!
しっかり帽子で耳を隠しながら、研究施設を駆け抜けながら、
「仕方がない!! 次はあいつのところだっ」
行きたくはないが、一応科学者の端くれだ、もしかしたら…万が一、千に一の確立だが行くしかない。

次にシンタローが向かったのは、
「おい、バカ!!」
乱暴にドアをあけると、PCに向かっている、バカ…もとい紙一重バカ…もとい!グンマの肩を掴んだ。

「シンちゃんじゃない。 こんなところまで来るなんて、珍しいね~」
あくまでマイペース、シンタローが総帥服でないことも気にならないのか、久しぶり~。などと挨拶を投げかける始末…。
やっぱ…バカだ。
こんな能天気なお子様ランチに一体何ができようが…。
「あ、あ~…。なんだ……。なんでもない」
ぽりぽりと頭を掻くと、グンマに背をむけた。
「何?何か用事があるんでしょ?」
イスから立ち上がると、背向けるシンタローの腕を両手で掴んで、引き止めた。
「なんでもね~…。気にすんな」
「気にすんなって…気になるよ~。何か心配事?そうなんでしょ?ね、ね~」
黙りこくるシンタローに、しつこく言い募ると掴んだ腕で、大きくシンタローを揺さぶった。
「何でもね~…っあ!!」
「あっ!!!???」
大きく揺さぶられ、苛立ちからネコ耳も立ち上がり、その反動で帽子が床へと転がった。
「……………」
「……………」
お互い無言で見つめあるが、すぐにグンマの視線はシンタローのネコ耳へと注がれる。
今度はシンタローが黙りこくるグンマに耐え切れずに、口を開こうとしたが、
「かわいいぃぃ!!!!」
グンマの歓声がシンタローの鼓膜を大きく揺さぶった。まさに耳を劈くような声に、頭の中で声が鳴り響く、そしてネコ耳といえば…驚きにペタンと伏せてしまっている。
だが、
「かわいい?」
予想にしないグンマの答えにシンタローは、聞き返したが、もっと予想しない答えが返ってくることとなった。
「シンちゃん、かわいい~!!かわいい!! その耳どうしたの?作ったの?よくできてるね~!! ね、触っていいでしょ」
そう言って、シンタローを引っ張り無理矢理同じぐらいの身長にすると、シンタローのネコ耳を興味深そうに、触ったり撫でたりしてはしゃいでいる。
「すごい!!まるで本物みたいな手触りだよ~。すごい!!どうやったの?」
キラキラと瞳を輝かせながら自分を見るグンマに、自分じゃなくてグンマに耳ができていたなら、悩むことなんて無いんだろうな。などと感じて、
、ある種の尊敬のようなものが沸いていた。
「ここに来たのって、まさかその耳が原因?」
「……………」
無言でいるシンタローを肯定をとって、一度深く頷くとポンっとシンタローの肩に手をおいた。
「ボクに任せて!!ボクが治してあげる」
「え………お前が?」
グンマのまさかの発言に、間の抜けたような声がこぼれた。
「大丈夫!!昔、高松が似たようなことしてたから、薬があるはずだよ」
胸を張って、どうどうと応えるグンマの後ろに、後光がさしているような気さえしてくる。
「探して、もっていくから、シンちゃんは部屋で休んでてよ。もしその姿がバレでもしたら、大変ができちゃうよ」
落ちた帽子を、シンタローの頭にかぶせて、ドアの前まで押し出した。
「いいのか?」
信じられずにシンタローが、グンマをみるとグンマは力強く頷き、シンタローを部屋の外へ押し出す。

グンマはシンタローを部屋の外へ追い出すと、よしっと気合をいれて薬品の置いてある戸棚へと向かった。
「さて、どこにやったんだっけ?確か……」
すぐに薬を見つけるとことができた。それを袋につめると、あることを思い出した。
「あっ!!いけね、ボクこの後会議だったんだ!! キンちゃんも一緒に会議だし…誰かに頼まないと…」
やっぱりグンマはグンマなわけで…。それでも、なんとかしないといけないという事は分かるらしく、腕を組んで唸っていたが、
誰か信頼できる人物が思い浮かんだのか、ポンっと手を打った。
「適任がいるじゃないvv さ、頼みにいこう!!」

そそくさと、袋を抱えるとその人物のいる部屋へと向かっていった。

一方、シンタローといえは…。
「グンマもたまには!!役にたつもんだぜ」
帽子をとり、征服の襟元を緩めてソファーに倒れこんだ。
やっぱ、バカと天才は紙一重って本当だったんだな。などと事件解決!!とばかりに、煎れたてのコーヒーに口をつけながらゆったりと目を閉じた。
が、その安らぎはすぐに壊されることとなる。

「シンちゃん!!大丈夫かい?パパがきたからもう大丈夫だよ」
ドアが開いたかとおもうと、騒々しい足音とともに、よく知った声がするではないか。

「……………っ!!!??? あちっ!!」
ソファーから身を起こすと、慌てて起きたためにカップのコーヒーがズボンにこぼれた。
思わず出た声を手で塞ぐと、退路を探す。といっても、広いといっても所詮は部屋だ。
入り口から入ってきたマジックとかち合わずに、この部屋から出る手段はない。
キョロキョロと見回しても、逃げ道などあるはずもなく、マジックの自分を呼ぶ声がだんだんと近づいてくる。
くそっと舌をうつと、部屋の奥まった場所にある寝室に逃げ込んだ。
そしてベットに横になると、布団を頭からすっぽりと被る。

ドクンドクンと、逸る心臓の音が耳に大きく響く。そして、頭に浮かぶのはグンマのことだ。
『あのばか!!やっっっぱ、ばか!! くそバカグンマ!!』
親父に頼みやがった。よりにもよって、なんで親父なんだ!!
ばか野郎~!!・・・などと毛布の中で、悪態をついてもマジックの声はだんだんと近づいてくる。
「シンちゃん~? いないのかな~?」
『いない、いないぞ。とっとと薬だけ置いて帰れっ』
と胸の中で愚痴っても、マジックが帰るはずがない。そして、
「み~っけたvv シンちゃんパパだよ~」
寝室に足を踏み入れて、マジックが近づいてくる。シンタローはぎゅうっと毛布を握る指に力をこめた。

「シンちゃん?寝てるのかな」
ベットの縁に腰をかけると、そっと布団のふくらみの上に手をおく。
その感触にシンタローの身体がビクリと反応を返した。そんなシンタローの仕草に、にやーっと満面の笑みを浮かべると、しらじらしくも
「毛布から顔が出ないほど、具合が悪いのかい?」
とシンタローの頭あると思われる部分を布団の上から撫で付ける。
そんなマジックに焦れたようにシンタローは口をひらいた。が、
「具合が悪いんだよ。だから薬だけ…」
薬だけ置いて帰れといおうとして、マジックの言葉に遮られた。
「本当に?」
知っていることを隠しながらも、確信を感じされるものの言い方に、たじろくがココはどうにかしてマジックを欺かなくてはいけない。
布団の端をしかと掴むと、意を決した。
「本当だ・・・」
これ以上聞くんじゃねぇぞ!!と言葉に棘をしこんでも、
「じゃあ、顔色がどうなってるか見せてくれないかな?」
と返してくる。それに対してシンタローが、
「嫌だ」
と応えれば
「なぜ?パパはシンちゃんに熱がないかどうか、額に手をおいて確かめたいだけだよ」
と相手も負けてはいないが、シンタローも譲るわけにはいかない。更に
「熱はない。だから、ほっといてくれ。あっちにいけ!!」
と言葉を返す。二人の押し問答も、マジックの次の行動で均衡が崩れることとなる。
「せめて、可愛い顔だけみせてね」
「あ“……っ」
後頭部の布団を掴むと、無理矢理引っ張った。引きずられうような形で、シンタローは布団を握ったまま顔だけが毛布から出てしまった。
それにより、うつ伏せの体勢をとっていたため、顔よりも頭のぴこんと主張するネコ耳がマジックとご対面することとなった。
「シンちゃん…これどうしたの?」
恐る恐るといった感じで、マジックがシンタローの黒いネコ耳を撫でるつけると、くすぐったいのか耳がパタパタとマジックの指を押し返す。
「これは…その、その…新しいセンサーだ。うん、そう!!これつけるとよく、聞こえるんだ!!」
「そう…よく聞こえるためにね~」
もう一度、優しくネコ耳…シンタロー的に言えば、最新式のセンサーだそうだが。それを撫でつけると、やはりくすぐったいのか今度は耳とシンタローが反応をしめした。
「じゃあ…もっとよく見せてくれてもいいよね」
布団の中のシンタローの両脇に手を差込むと、自分の方向へと引き上げた。そして自分の顔の前にネコ耳がくるようにして、後ろにまわした手に力をこめた。
「あっ…ぅ…ん」
ハムっと耳の先端を甘噛みされ、シンタローの口から甘い吐息がこぼれた。

「そんなとこ…噛むなよっ……あっ…?」

シンタローの耳に軽く歯をたてては、引っ張ったりとマジックがじゃれつくと、シンタローがくすぐったさに身を竦めた。

そして、神経をそっちにやっている瞬間を見逃さずに、マジックは手に隠し持っていた鈴のついた真っ赤なリボンの首輪を素早くシンタローの首につけた。

シンタローが首への違和感に気付いた時にはもう遅く、チリンっと鈴の音色が寝室に響いた。

「な、なんだよ、コレ!!」
マジックの身体を押し返すと、両手の指を首輪と首の中にいれて引っ張った。が、
生地はただの布なのにいっこうに緩まない。イライラと力いっぱい引っ張っていると、笑いを噛み殺すような声がふってきた。

「そうして嫌がっている姿は…本当にニャンコちゃんみたいだね。 最初はみんなそうやって、首輪を嫌がるんだよ」

「誰がネコだってっっ!!誰だって嫌に決まってる」
まだ諦めがつかないのか、首輪を外そうと躍起になりながらも、マジックの言葉にシンタローは厳しく睨みつけた。
怒りに耳が立ち上がり、切れ上がった漆黒の瞳がキラキラと強気に濡れて、マジックの顔を映し出している。

そんなシンタローの姿にマジックは溜飲を下げると、無理矢理腕の中に抱きしめた。
「離せよっ!!」
暴れるたびに、首の鈴がチリンチリンと音を奏でた。
そんなシンタローの背中に置いた手の右手だけを、そのまま下にズボンの中に滑り込ませると、お目当てのものを掴む。
すると、その刺激にシンタローの身体が硬直する。
「うっ!! ぁっ……っっ」
そろそろと、ズボンの中から黒いしなやかな尻尾を取り出すと、ズボンの中では窮屈だったのか伸びでもするように、意思をもって尻尾が揺れている。
そんな尻尾の先を弄びながら、マジックはシンタローのネコ耳を軽く噛むと問いかけた。

「尻尾がある。やっぱりニャンコちゃんだね。ネコ耳型のセンサーと尻尾では、誰が見てもネコに見えるけど…?これ、尻尾じゃないのかな」
敏感なネコ耳を口に含まれながら話されると、時おり歯があたり…震え上がりそうな快感に肩をが震えてしまう。
それでもどうにかして耐えようと、マジックの白いスーツの肩口をぎゅっと掴むと、顔を埋めて歯を食いしばった。
「ねぇ…コレはなんなの?」
「あっ…噛む、な・・・それは……」
「それは?」
シンタローの答えを急かすように、尻尾の根元を掴むとツーッっと先に向かって指を走らせた。
「んっぁ!!」
ビクリと背を仰け反らせて、足元から駆け上がっていくような快感に震えあがった。
「尻尾も感じちゃう?どこもかしこも感じちゃって…。淫乱なニャンコちゃんだね、シンちゃんは」

執拗に尻尾をまるでペニスでも扱うかのように、上下に抜き差しを繰り返すと我慢できないのか、モジモジとシンタローの下半身が揺れ始めた。
「なんで? あ、あっんっ」
意志とは反して素直すぎる体に、思考がついてきけない。それでも、ソコを擦りあげられると正常に考えることが出来ないほど、快感に頭の中が朦朧としてくる。
快感に身をゆだねようとしている、シンタローの喉から顎先をネコにするかのように、尻尾を扱っていない指の腹で撫で上げると、シンタローの濡れた睫毛が気持ちがよさそうに揺れた。

「どうやら、完全にまわったようだね」

何度も指先の往復を繰り返しながら、抵抗の止んだシンタローの姿にマジックは笑みを浮かべた。

「っは……っ、なにを、っ…した?」
なんとか聞き取れたマジックの言葉に、息をつくのもやっとな程に切ないと息を漏らすと、顔を傾けて情欲に潤んだ瞳をマジックへむけた。

「知りたい?」
手の中にある尻尾を弄びながら、ずるずるとマジックにもたれかかるようにして倒れると、胡坐をかいているようなマジックの膝に膝枕をされるような形でシンタローはマジックにしがみついた。
そんな、切ない呼吸を繰り返す、シンタローの髪を優しく撫でながら、
「その鈴だよ。ネコにまたたびってね。こんなに聞くとはおもわなかったけど」
特殊な成分を鈴の中に含ませてあるからっと言葉を続けると、首の鈴を指で弾いた。
小気味のいい鈴の音が響く。

「腰をあげて…。もっと気持ちいいことしてあげる。 薬もほしいだろう」
その言葉に、快感に閉じかけられていた瞳がなんとか半分ほど開かれると、やっぱり!!という確信を秘めた眼でマジックを見つめる。

「素直に、パパのところに来たらすぐに薬あげたのに…残念。そんな可愛い姿をグンちゃん達に見せたと思うと虐めたくなっちゃった」

『そんなの、嘘だろ。最初からこうするつもりだったくせに…』と疑惑を目線で訴えると、マジックは軽く肩を竦めて「どうかな」っと答えた。

「ま、今日はいつもと変わったことしようか。たまには動物的に体をあわせるのもいい」
そういって、シンタローの双丘のあたりにズボンの上から手を置くと、嘗め回すように撫で上げた。

「んん、……っ」
ただ撫でられているだけどいうのに、反射的にシンタローの腰が浮け上がる。それを、両手で固定すると素早く下着ごとズボンを足から引き抜いた。
そして脱がせたものを床へと放り投げる。

「さあ…どうやって可愛がろうか」
下半身をむき出しにされ、上半身は軍服を着ているとなんとも、奇妙な格好のシンタローを見やり…手に持った薬の瓶を揺らしながら、これからのことを考えてかマジックの瞳に怪しい光が灯っていた。


* * * * *


『自分で広げなさい…ほら、しっかり広げないと、薬が零れてしまうよ。ずっとネコのままではいたくないだろう?』

そう言って、クッションの上に肩をつかせて両手で自分の秘部を広げるように促すと、シーツと軍服が擦れるような音をたたせながらゆっくりと、手を後ろにまわす。
『ひゃっ…、あぁ!!』
自分で広げさせられた中に、冷たい液体が徐々に入り込んでくる感覚に背を仰け反らせた。乱れた髪がぴったりと首筋に絡みつき、扇情的な姿を現している。
『中で出されるの好きだろう…』
心底、楽しそうに笑う声が頭の中でこだまする。涙で真っ赤にはらした眼をぎゅっとつむると、枕に額を擦りつけた。
『そうだ、この尻尾で慣らしてあげようか』
そういうと、ローションでたっぷり濡らしたピクピクと揺れるシンタローの尻尾を掴むと、秘処に運びゆっくりと差込んでいった…。
『あぁん!! とう…さんっ!!l』
尻尾と粘膜を当時に擦られて、自由のきかない体を精一杯仰け反らせ―――・・・。


「やだぁっっ!!」
割り開いていた手を離すと、力の入らない腕で起き上がった。はずだったが、目の前には白い天井と明るい日の明かりがあたりを照らしている。
「あれ…? おれ…あ!! 耳っ!!尻尾はっ!?」
マジックの身体を押し返したと思ったのは、自分の布団で…。
思い出したように、急いで耳に手をあてると、昨日まであった柔らかい弾力のある耳は姿を消していた。同じく、そろそろ下半身に手を伸ばせば…。
「よかった~っっっ!! あれは夢だったんだ」
ほっと息をついて、布団をかけなおしたところで声をかけられた。
「何が夢だったの?」
「えっ…だからおれがネコになっちゃう夢だよ。耳と尻尾があって…って………」
一人で寝てるはずなのに、隣から声がするのはおかしいだろうと、隣に顔をむければ・・・
「夢でもネコになってたの?」
身体を横向きにして、肘をたてその上に頭をのせたマジックと目があった。
「なんで親父が………!!」
自分が夢だと思ったことが、現実に起こったことだと思い出したくもない…徐々に浮き上がってくる記憶に蓋をするように、布団を被った。
「昨日のニャンコなシンちゃん…とっても可愛かったよ。たまには、おもちゃでいいから頭につけてくれないかな?」

そんなシンタローに追い討ちをかけるマジックの言葉と、ぽんぽんと自分の布団の上に置く手の重みを感じながら、もうニャンコなんかゴメンだ!!っと胸の中で叫んだ。


@End@

ご来読ありがとうございました。
6000の神楽さまリク。ネコ耳シンちゃん。コスプレ?オプション尻尾付です。
楽しかったです。マジシンならなんでも楽しいんですが…これは特に楽しかったです。ついシンちゃんと打ちこもうとして、シンにゃんとなってしまいます。
。。。未だに治らず、ちょっと困りものですι

キンちゃんやグンマがでてきました。いつも二人の世界なので楽しかったです。
ただ、もっと出したい~っと歯止めが聞かなそうだったので二人で止めておきました。
尻尾ももっと最大活用したかったですね~。バ●ブかわりにもっと挿ちゃうような、表現したかったです。
終わってから、あぁ~ちょっとぬるかったかぁって思ってしまうんですよねι反省。
コスプレシリーズも次回でひとまず休憩。
次回は、シンちゃん子供になる!?(コスプレっていうのかな?)

ありがとうございました。


bgf
■パラダイス銀河■



突き抜けるような青い空。

眩しい太陽。

白い雲に透き通るような青い海。

煌く砂浜。








心地よい日差しを浴びながら、シンタローは砂浜に横になると、両手を頭上にかざしてぐーっと伸びをした。
気持ちよさそうに目を閉じると、波の音と気のせせらぎに耳を澄ます。
風がそよぐ度に、シンタローの艶やかな黒髪が、風になびいていた。
時間に追われることもなく、目まぐるしく変わるカレンダーに捕らわれずに、ゆっくり休みたい。
できるなら…南の島でゆっくりとできるリゾートがいい。っと思ったこともあった。が、
望まない、偶然によってそれが現実のものとなり、日常的に繰り返されて、うんざりした時もあった。
いつになったら出られるのだろうと、苛立つこともあった。
今はなんだかんだと、この生活を楽しみつつある自分がいる。
ただ、一つの問題を除けばだ…。

その原因は…。


「シ~ンちゃ~んvvパパだよ~vvv」
派手な水しぶきと爆音とともに、ど派手な戦艦が現れた。
…また、きやがった。

せっかくの、安らぎの時間を邪魔する奴。
そう原因は自分の父親でありガンマ団総帥、マジックだった。

近頃は週に一回のペースでくるから、マジックがくると一週間がたったのかと思うほど。
おまけに…本当に秘石を奪いに来てるのかとは思えない。
むしろ口実をつけて、自分にちょかいを出しに来ているのでは?とさえ思うほどだ。

「なんだ、もう一週間経っちまったのか」
面倒くさそうに、起き上がると砂をはらって立ち上がった。
「パパはカレンダー代わりかい? 確かに間違ってはないが…ιι」
戦艦から降りると、シンタローの前に立ちはだかる。
「どけよ。邪魔だ」
「今日こそは!! パパと、海辺でランチでも食べようじゃないか」
ね、ね。っといつのまにエプロンをつけたのか、いそいそとセッティングを始める。
「おい。…いいか、昼ってことはパプワとチャッピーの飯を用意しなきゃいけないんだよ」
「そうかい…じゃあ、これを持っていきなさい。そうすれば作る手間が省けるじゃないかvで、空いた時間にパパと海水浴でもしようvv」
「………」
ごくりと唾を飲み込んだ。親父の料理がうまそうだからじゃない(実際美味いけど…)。前半部分の魅力的な提案にだ。

「分かった。じゃあ…有難く……」
「いいんだね!!パパと海水浴vvvお揃いの水着、着ようね」
よこせよ。っと手を差し出したシンタローの手を両手で握ると、嬉しさを隠さずに、ぶんぶんと力強く上下に振る。

「違う!!その料理だけもらうってことだ。 バカ親父!!」
手を振り払って、傍らに置いてあった料理の入ったランチボックスを奪うと、クルリと背を向けた。

「パパは待ってるからね~」
その背中に向かってしつこく声をかけてくるマジックに、無視を決め込み。その場を去った。



「シンタローは食べないのか?」
豪華なランチボックスを堪能しながら、シンタローが一口も食べていないことに、パプワが気付いた。
「ん…。俺はいいから、お前らだけで食べな」
親父の料理は危険すぎる。
何が入れられているか分かったものじゃない。と考えを巡らせて疑っている間に、それは見る影もなくなった。

「…っ!? ………平気か?」
恐る恐る、尋ねれば…。
「何がだ?なかなか美味かったぞ。な、チャッピー」
「わう!」
「そ、そうか…」
何も入ってなかったのか…。いや…こいつらのことだから効かなかったのかも…。
なんにせよ、一食分手間が省けて助かった。たまには、役にたつこともあるもんだ。
夜もやってもらうか。…なんてな。
「さ~て、次は洗濯でもとりこむか」
昼食を片付けて、よし。っと気合をいれると照りつくような日差しの待つ、外に出た。
日差しと風のおかけで洗濯物の乾きも早く、物干しにかけられた洗濯物が気持ちよさそうになびいている。
それをさっと見やると、まずは手前の自分のシャツからと手をかけようとして…
「今日は風が強いから、選択物の乾きもはやいな……って!! やべッ」
強風に煽られて、自身のシャツが空を舞う。
「俺のシャツ…。 くそッ!! 生物にみつかったら面倒なことになる」

あいつらのことだから…。

『これ、シンタローさんのシャツよぉ。頂いちゃいましょうvv』とイトウ。
『イトウくん、ずるいわよ~。私、そのシャツをシンタローさんだと思って、スリスリするんだからvv』とタンノ。

ってな展開になるに決まってる!!
まずい!!まずいそ!! 想像するだけで、気色悪い。

「待て~!! 俺のシャツ!!」
空を舞うシャツを追って、シンタローは森へと駆け出していった。


「チっ…」
すぐに見つかると思ったが、なかなかシャツがみつからない。思わず舌を打った。

シャツなどほっておけ。と思うかもしれないが…。自分で洗ったものだ、それが袖も通さずになくなるのは、嫌だ!! そんなの俺が許さない!!
せっかく、手間かけたのに…時間の無駄じゃねぇか。
ブツブツいいながら、ヤシの木の上などにもを探しているうちに、広々とした真っ青な海が見えてきた。
「随分、来ちまったな。諦める…、か?」
ふと視線を海によこせば、そこにはガンマ団の戦艦がドトーンと浮いている。
やべ~…。
うるさいのに、会う前にここは引きかえそう。そう思い、シンタローは回れ右をして、戦艦に背を向けた。
そういえば、さっき…『待ってるからね』っと言っていたような記憶が…っとマジックのことを気にかけた時だ。
「シ~ンちゃん、遅かったね~。 パパ待ちくたびれちゃったよ。もう、焦らし上手なんだからv」
コツンと後頭部を指で小突かれた。
どこから沸いてきたのか、気配を感じさせないところはさすがといったところだが…待っていたとしたら…とんだバカだ。
「お、親父!! 帰ったんだじゃ…」
いきなり背後に立たれて、跳ね上がった心拍数をなだめるように、胸に手をやりながらマジックを指差した。
「パパ待ってるって言ったでしょ。今か今かと待ってたんだよ」
するりと、自分の腕に手を滑り込ませて、腕を組もうとするのをシンタローは払い落とした。
後ろに何歩か下がり距離をつくりながら、疑問を口にすれば、
「シンちゃんと一緒の時間を味わいたかったからね」
臆面もなく言い放つマジックに、思わずシンタローの顔が恥ずかしさで赤く染まる。
「ば、ばっかじぇね~の」
ぷいっと顔を背ける仕草が幼なくて、可愛くもあり…マジックはふっと吹き出しそうになるのを堪えた。
「で、何のようだよ」
顔を背けて、視線だけをマジックに向けると、冷たく言い放つと、
「何のってシンちゃんと、いちゃいちゃする為じゃない」
っと全く答える訳もなく、小首をかしげてわざとらしくしなをつくる。
「消えろ…」
自分の言葉に、眼魔砲の構えをする息子の様子に、彼が動くよりも先に動いた。
「まだ、外でしたことなかったでしよ。青空の下、いいこと…しよ」
シンタローの間合いに詰め寄ると、腰を抱き寄せた。
「ふざけろっ…。とっとと、帰れ!!」
グイグイと腰を押し付けられ、シンタローはマジックの肩に手をやり突っ張らせると、精一杯身体を反らす。
「帰れって…それは、あんまりだと思わないかい?さすがのパパも傷ついちゃうなぁ」
「全っ然!!…傷ついているように…見えねぇってιιι」
「え、向こうにいけば、木立が隠してくれるよ」
人の話聞けってばよ!! この親父は…!!!!
相変わらずのマジックに、シンタローはひたすら脱帽するばかり…。
こういうの何って言ったっけ?ぬかに釘…馬の耳に念仏って感じ?
なんて言葉遊びしてる場合じゃない。 
マジックが自分の腕を掴み、今にも茂みに連れこうもしてるではないか。
「ば、ばかっ」
マジックが引っ張る方向と逆の方向に、身体を倒しながら足を地面にへばりつかせて、踏ん張った。
駄々っ子のような格好だが、この際そんな事は気にしていられない。
「だめかい?」
「ダメに決まってんだろ。離せっ!!」
どうにかして、自分の手首を握るマジックの手を外そうと試みても、手錠のようにがっちりと手首に指が食い込み、ピクリとも動かない。
「なんで?」
「っ、なんでって……、当たり前だろ!!」
その言葉に、背を向けてシンタローの腕を引っ張っていたマジックが、振り返りシンタローに向き直った。
今までのような、おちゃらけた雰囲気ではなく、総帥をしている時のようなマジックの顔にシンタローは思わず身を強張らせる。
蛇に睨まれた蛙の様に、動きたくとも身体がそれを拒否しているようだ。
「当たり前?こんな常識が通じない島で、何が当たり前というんだい。当たり前なことなど、この島じゃ何一つ無いんだよ。 シンタロー」
そして、唇が重なるのではないかと、身構えるほど顔を近づけられて、囁かれた。
だめだ…。この瞳に捕らわれたら…。ダメだとわかっているのに、マジックから眼が離せない。
だめだ!!
「いい加減にしろっ!!」
必死にマジックから視線をそらせた。
ただそれだけのことなのに、頭がガンガンと打ちつけるように痛い…。真夏だというのに、冷たい汗が背中を伝うのがよく分かった。
熱帯特有のむわっとした、じっとりと肌に絡みつくような暑さに、脳までいかれそうだ。

こんな所…こいつの前から、いっこくも早く離れなければ…!!

そうなる前に…その原因でもあるマジックの腕を振り払うと、踵を返してスタスタと歩き始めた。
「ッ………!!」
マジックはシンタローに追いつくと、抗うシンタローの腕を無理矢理掴み、木陰へと誘った。
「ここなら、大丈夫。見つからないよ」
そう言って、近くの木にシンタローの身体を押し付ける。木と木の間からの木漏れの日差しが、二人の姿を照らし出した。
「や…だって…」
押し戻そうにも、マジックはシンタローの足元に膝をつき、がっちりとシンタローの腰を掴んで離さない。
「本当は、見せびらかしたいぐらいだけど…」
ズボンに手をかけると、下着はそのままに引き落とした。
「動物たちには目の毒だからね」
下着の上から、挨拶がわりにシンタローのモノのいたるところにキスを降らすと、そのポイントをついた愛撫に、ビクリとシンタローの身体が小さく震える。
「ああっ」
ぴちゃぴちゃと水音を立たせ下着の上からしゃぶりつき、手をシャツの下に滑り込ませると小さな突起を親指と一指し指で摘みあげた。
それに反応して、シンタローのモノはますます硬さを増す。
「もうこんなにして……」
「ん…だめだって………っ」
身体を後ろに引こうにも、幹が邪魔をしてままならず、その些細な動きが余計にマジックを奮いたたせる。
「うそつき。ここ、はちきれそうだよ、カチカチで」
「違うっ……見るなっ」
目線を下におろせば、マジックの唾液と自らのもので下着がじっとりと濡れそぼっている、視界の卑猥さに眩暈がする。
とても、正視などできなくて空を仰いだが、キラキラとした木漏れ日が余計に恥ずかしくて目を細めた。
「ここは素直なのに、上の口は素直じゃないねぇ~」
ねっとりと、下着の上から硬さを増したモノを舐めあげた。
「そろそろ、直に舐められたいでしょ」
シンタローの答えを聞かずに、目線を上目遣いにシンタローを捉えながら、焦らすように下着を引き下ろした。
「濡れた下着は…おろしづらいね」
くすっと笑うと、そのままシンタローのモノを口元まで運ぶ。
「パパ、お昼食べてないから、シンちゃんのバナナ味わいたいな」
「勝手にしろ…」

また、流されてる。それは分かっているが、頭が霧がかったように、麻痺して…抗うことなんかできない。
この南国の無人島がそうさせるんだ。外でするなんて考えられないが、この熱帯の雰囲気が狂わせる…。全ては…この南の島が。
シンタローは諦めたように、マジックの頭に手をおいた。
それを、了解の合図ととって、マジックはゆっくりとシンタローを銜え込んだ。
「ん…ふ…っ」
「…ここ好きだったよね」
「あっ」
鈴口から、皮膚の薄い一番敏感な場所を舌で突っつかれ、シンタローは思わずうめいた。
「厭らしい身体だね」
シンタローの滑らかな背中のラインから、引き締まった局部にいやらしく指を滑らせる。
肌の感触を楽しみながら、マジックはうっとりと熱に浮かされたように囁いた。
シンタローの耳に届くようにワザと囁くと音を立てて、視覚と聴覚からシンタローを追い立てる。
「美味しいバナナだよ…。本当に食べちゃいたいぐらい」
そう言って少し強めに歯を立てた。敏感な箇所に歯を立てられてシンタローは身じろいだ。
「あぅ…ッ・・・」
「でも…ここも美味しそう…挿れたいな」
双丘の狭間のあさましく息づき始めた箇所に指を這わせ、ココっと合図するようにノックする。
「ん………っ」
シンタローの幹から流れ出るもので、テラテラといやらしく映し出す狭い場所へと、シンタローの返事を待たずに、指を差し込む。
「あっはぁ…、だめ…。だ、め…」
体内へと入る異物感にシンタローは、身体を微かに強張らせた。頭を仰け反らせると、片手で顔を覆い、もう一方のマジックの頭に置いた手が、髪を掴んだ。
「シンタロー…」
「あ、あぁ……っ」
くぷりと音を立てて、指を突き入られる度に、シンタローは小さく身じろぎ返す。
「あーっ、もう、………っ」
ぐちゅぐちゅと指を動かされ、シンタローの腰が物欲しげに揺れはじめる。
「もう我慢できない? シンちゃんもパパのバナナ味わいたい?」
指を乱暴に動かしながら、ダラダラとは涙を流しているシンタローの先端に吸い付き、吸い上げた。
「ぁっくぅ、…ぐだぐた…いうな…、と、っとと入れろっ」
「腰ゆれてるよ」
「ふっ…ぅあ……っ」
「パパのバナナが食べたいって、言って」
「や、だ……あぁっん」

突き入れた指を動かしなら、なおもいやらしく舌を這わせる。
「くっ、そ……っっ」
シンタローは額に汗を浮かべ、手の隙間から抜けるような青空をみた。

俺だけじゃない…親父だって、この無人島にやられてる…。
確たる保障はないが、自分が感じてるようにマジックも感じてるはずだと思った。
それを確認しようと、片足を動かすとマジックのモノを布越しに足で押し当てた。
「………っ!!?」
「親父だって…、早く挿れたい、んだろ…?」
目線を下げ、挑発的に微笑むとマジックのモノに当てた足をいやらしく撫で付ける。
まさかのシンタローの反撃に、さすがのマジックもこれには驚いた。
「いけない子だ…パパを誘惑するなんて…」
「…ァッ…ん」
シンタローのむき出しの腿を掴むと、自分の肩にのせあげる。
そうすとると、シンタローの膝がマジックの肩にかかり自然と足が広がり、今まで隠されていた部分が露になった。
そうして、内側の皮膚の薄い柔らかい部分に口付ける。

思いがけない仕草にシンタローの身体がビクリと強張ると、マジックはうっすらと笑みを浮かべながら、足の付け根のあたりを執拗に吸い付いては、赤く印のついた箇所を舌で縁を描いたり。

というような愛撫を繰り返し、蜜をしたたらせ熟したモノには触れようとしない。
「あぁ…ぅ…っ、親父っ」
「何? パパに何をして欲しいの?」
耐え切れずにシンタローの身体が小刻みに震え、マジックの名を呼ぶのを、わざととぼけてかわしている。
なんともしても、シンタローの口から言わそうというのだ。
「んっ、ふ…あぁ……ん」
意地悪く中にいれた指で、乱暴にポイントの部分に爪をたてられると、片足で身体を支えていた足は耐えられるはずもなく、その刺激にシンタローの膝がカクリと折れた。

「おっと。 もう…立ってられない?」 
倒れそうになる所をシンタローの腰を掴み支えると、片足は肩にかけたままで立ち上がった。
そして、シンタローの身体を木の幹に押し付けると、自身の赤い軍服の前を開け、ズボンをくつろがせた。
「あっ…」
シンタローの視界に、鍛え上げられた腹筋と茂みにの中の、立ち上がりかけた逞しい肉棒が、木漏れ日に照らし出されているのが入ってくる。
瞬間、なんとも言いがたいゾクリとしたものが背中をかけあがり、ゴクリと唾を飲む。
初めてみるわけでもないのに、直にみることがあまりなかったせいか、この場所がそうさせるのか…そこから眼が離せない。
やけに唇が乾いて、何度も舌で唇を舐め上げる。
「欲しいんでしょ? すごく物欲し気な顔してる」
耳元で囁きながら足を抱えなおすと、マジックはそろそろとシンタローのモノに、自らのものを押し当てた。
そして、ゆっくりと蜜を滴らせた根元から先端の行き来を繰り返す。
「あん…はぁ…ぁ…ん」
「すごい…もう完熟って感じだね…ヌルヌルしてる」
先走りで濡れた、ぬらついたものを擦り合わせるようにして腰を使うと、にゅちゃにゅちゃと滑った音が辺りに響きわたった。
その音さえも、シンタローを追い立てて、マジックを押し返すように、腰をゆるゆると重ねてくる。
「あっ…くぅ…はぁ…、いい…」
「そんなに気持ちいい? でも、こっちに欲しいでしょ」
互いのもので、ぬらついた粘液を利用して、シンタローの奥まった蕾に押し当てた。
「あ、…欲しい…、いい…、はや、くッ」
「何が欲しいの?」
収縮を繰り返し、中へと引きこもうとする動きに反して、身体を離すと再びシンタローの肉棒に己のを重ね合わせる。
「と、さ…ん、の。 ぁっ、バナナ…たべ、…させ…ッて」
マジックの身体を逃がさないように、抱えられた足に力がはいる。
「たっぷり、食べるといいよ」
そういうと、シンタローの腰を両手で掴み、下から一気に突き上げた。
「んっ、…あああぁぁぁ…っ!!」
下から何度もえぐるように動く度に、木がギシギシと音を立てて揺れる。
「いいよ…。極上のフルーツのように、どこもかしこも甘いね」
いつのまにか、首までたくし上げたれたシャツとマジックのはだけた胸元が重なる。じっとりと汗ばんで熱い肌にシンタローの肌が粟立った。
「こんなに、木が揺れてたら誰かきちゃうかもね」
微笑を浮かべ、口調とは裏腹に奥へ奥へと突き立てた。
「ぁっん、いい…いくッ……いき…ぁぁっ」
快感の波にさらわれて、シンタローは無意識にマジックの固い鍛えられた腹筋に、自身のものの先端をこすり付ける。
「ぅあっ! あぁぁ、い…いい、ダメ…だ…ぁっ!も、俺…っ」
背中を木の幹に押し付けられ、素肌が擦れる痛みを感じるよりも、マジックに与えられる快感が激しくて、背中に手を回すと軍服のジャケットを掻き抱いた。
「イクッ…あ、ああっ」
見計らったように、ひときわ強く突き入れられて、シンタローは全身を硬直させて解き放つと、濃い粘液がシンタローとマジックの肌を汚した。
ガクリと力なく、幹に寄りかかるシンタローを抱きしめながら、マジックもシンタローの中へ注ぎ込んだ。
 

「愛してるよ、シンタロー…」
言葉にできない感情を、確執を、隠すかのように何度もキスを交わした。
そして、荒く息をつきながら見上げた空は、変わらずに…。



突き抜けるような青い空。

眩しい太陽。

そして一面には青い海と煌く砂浜。



波音と南の風に耳をかたむけながら、マジックに身体をゆだねた。



@End@

font-size  L  M  D  S
@Omake@

「今日のシンちゃんはよかったなぁ~」
軍艦の奥にある、総帥室で一人鼻歌まじりに悦に入る総帥が一人。そしてその男の手には白いタンクトップのシャツが…。
「あんなにうまくいくとはね~…さすが私」
うっとりと息子のシャツに握りしめ頬ずりをしながら、思い返した。

…シンタローはマジックに背を向けてランチボックス片手歩き出していたが、実はマジックもその後を歩き出していた。
だが、なぜか手には釣竿を釣り糸とフック。
シンタローが用意しているのを確認すると、素早くシンタローのシャツにそのフックをかける。そして後はシンタローが現れるのを待つばかり。

その後は、手はず通り…シンタローがシャツに手をかける前にシャツを釣竿でつればいいだけの話。
作戦は実にうまくいった。
釣ったシャツを小脇に抱え、一目散に逃げ…。そしてシンタローがくるのを今か今かと待っていたというわけだ。
どうにもやる気満々だったとしか思えないこの行動…。
そして、ちゃっかりシャツは返さずに持って帰るあたり…実に親族ストーカーという名がふさわしい。

マジックがシャツに鼻血を垂らさんばかりに陶酔している頃、シンタローといえば、タンノとイトウが持ってハズと二人…二匹に詰め寄っていたとか…。

@終了@

ありがとうございました。久々のおまけです。いや~これはキリリクの中では最短ですね。約一週間で終了。やればできるじゃん!!と思いました。
今回は青空でしたが、最初は青空でなく満天の星空の下で行うはずでした。なので、タイトルがパラダイス銀河なんです。
星空は木の茂みではなく、海辺でした。それもいいかなぁっと思いましたが、文字通り青空でいこうと、急遽青空で決行!!
全く違う内容になりました。夜は大人向けというかしっとり…という感じです。夜の海を見ながら…やっちゃうんですね!
結局、やることはやるんですが…。青空にしてよかったと思ってます~。素敵なリクをありがとうございました。
南国独特の開放感を少しでも感じていただけたら、幸いでございます。



fds
font-size  L  M  D  S
■男情浪漫着■
突然ですが、オレ様ピンチ!!

「早く、早く、早くしないと、パパが着せちゃうよ~」
「うるせぇ~。着るからだまってろっっ」
なんで、こうなったのか…。白いレースの布着れを握り締め、パンツ一枚の姿でシンタローは佇んでいた。
そもそも、ごつい野郎の裸エプロンなんて見て何が嬉しいっていうんだ。
「早く、しないと時間制限30分から伸ばしちゃうよ~」
「着るって言ってんだろっっ。黙って見てろ」
「そう言って、もう5分経ってるよ」
「っ………」
図星を指摘され、シンタローは顔を余計に赤く染めて俯いた。
「じゃあ、10のカウントダウン終わるまでに、着なかったらお仕置き決定!!」
「おいっ……っっっくそ!!」
そういうと、追い詰められて渋々とその白いレースのエプロンを身につけはじめた。
「…3…2…1…終了っ」
「終わったっ」
マジックの言葉とほぼ同時に、シンタローが着終わった。が、
「お仕置き決定~vv」
「ふざけんなっ!!着ただろ」
納得がいかないと、噴気するシンタローの後ろに回りこむと、紐をきちんとリボン結びに結びなおした。
「結び方が雑だったからね~。ここまでしてから、着るっていうんだよ。だから…お仕置きvv」
「………おいっ」
これからの身の危険を感じて、青ざめるシンタローを尻目にマジックは鼻歌まじりの満面の笑みを浮べて言い放った。
「どりあえず、シンちゃんのおいしいコーヒーが飲みたいな」

なんでこうなったのか、事の始まりはマジックの思いつきから始まっていた。

「シ~ンちゃんvパパお願いがあるんだけど」
「何だよ?」
自室でゆっくりしている所へ、突然マジックが入ってきた。
「聞いてくれるかな?」
「だから何だよっ」
イライラと持っていた雑誌をシンタローは乱暴に投げ置いた。
「コレ着て欲しいんだけど」
背後に持っていた袋をシンタローへと差し出した。それを掴み、中をのぞくとそこには…。
「……てめえ、これを俺に着ろっていうのか、あぁ?」
「うんvvvシンちゃんならきっと似合うと思うなぁ」
中には白のレースのエプロン…新婚さんエプロンといえば分かりやすいだろうか、ヒラヒラとしたエプロンが入っていた。
シンタローは袋からそれを出さずに、ぐしゃぐしゃと丸めるとゴミ箱に投げ捨てた。
「あああぁ!!!!それ、高いんだよ!!特別にシルクで作らせたんだからっっっ」
「ばーか。くたばれ、くそ親父」
床に膝をついて、嘆くマジックを尻目に、フンっと鼻で笑うとソファに座りなおした。
「でもね…まだあるんだな~。これがvvv」
そう言うと、どこに隠し持ってきたのか、大量の新婚さんエプロンを取出してきた。
「着てくれるまで、パパぜぇ~ったい!!諦めないからね」
「そんなの、俺に着させて、どうしようってんだ、テメエっっっ」
シンタローはグッと拳を握ると、額に幾重にもタコ筋をつくり、眉をよせながら地の這うような声を出した。
「そりゃ~。ね~vvv裸エプロンでしょ!!男のロマンだよ~。そして……ぐっ」
シンタローは我慢の限界だとばかりに、眼魔砲をぶっ放してマジックの言葉を遮ると、部屋の外へ摘みだしてドアを固く閉ざした。
ドアの外には、息子にやられて少々痛々しい元総帥の姿が…。
「パパは絶対、諦めないんだからね。 フフ…フフ…フフフ」
鼻血を垂らしながら、ほくそ笑んでいた。

そんな出来事があって、しばらく経ったある日。シンタローをピンチへと招くことが起こる。

当のシンタローはすっかり、日常の出来事と忘れていたが、マジックはそうはいかない。
着々と計画を練っている。
いつものように、仕事が終わり。金曜日ということもあって、休日前に足取りも軽く帰ってきた。
そのまま軍服を脱ぎ捨てると、汗を流すべくバスルームへと向かい、さっぱりして戻ってきたところで、シンタローは異変に気付いた。
下着を身に着けて、バスローブを身にまとおうとしても、それがない。いくら探しても、一枚もバスローブが出てこない。
バスローブの代わりとばかりに置いてあるのは、いつぞや見た白いエプロン。新婚さん仕様だ。
おかしいなと首をかしげながら、じゃあTシャツでもと探しても、それもない。
やはりあるのは、新婚さんエプロン。フリフリのレースである。
「…まさか……な」
嫌な予感がする。
シャワーを浴びたばかりなのに、嫌な汗が体中からじんわりと出てくるようだ。
全てのタンス、クローゼットをあけてもあるのは、エプロン・エプロン・エプロンばかり…。
何の冗談か、色もピンクから青・黄色様々ある。
クローゼットの軍服までもが姿を消している。
意地でも俺にあれを着せようってのかよ。

頭がおかしくなりそうだ。呆然とその場に立ち竦んでいたシンタローだが、ハッとして動きだした。
脱いだものを着る趣味はないが、このままパンツ一枚でいるよりはましとばかりに、先ほど脱ぎ捨てた軍服の元へと歩を早めた。
が、…。それを手にしようとして、寸前で奪われる。
「おしいっvこれで、着るものはエプロンだけになっちゃったね」
苦々しく顔を上げれば、そこには自分の軍服を手元に抱いたマジックがニヤニヤとした笑みを浮べて立っているではないか。
「テメエ、俺の服をどこにやった!!」
マジックの胸倉に掴みかかると詰め寄ったが、マジックはそれを余裕の笑みで返し…。
「シンちゃんがエプソン姿を披露してくれたら、返してあげる」
などと言葉を続けた。
「ふざけんなっ!!だれがあんなもの着るもんかっっ。あんなの着るぐらいならパンツ一枚で過ごした方がましだっ」
「ふ~ん。じゃあ、その姿でお仕事するの?それにその姿を晒すってことは…パパに触って下さい。弄ってって言ってるようなものだよね~」
シンタローのその言葉を聞いて、意味深な笑みを口元に刻みながら、指先をあらわになっている乳首へと滑らせ、まだ立ち上がっていない突起物を爪先で軽く引っ掻いた。
「ア、ァ、っ…やめ」
慌ててシンタローが身を離そうとするのを、許さずに掴まれた腕を逆に掴むと引き寄せ抱き寄せた。
そして片足をシンタローの膝へと割り込ませると、膝で下着ごしに刺激する。もちろん空いた手で乳首を弄ぶことも忘れない。
「もう…シンちゃんの乳首、立ち上がってきたよ。いやらしいね」
それでも、直接的な刺激は与えず、わざとじれったいような愛撫をマジックは繰り返した。
「パパの一生のお願い。一回でいいからシンちゃんの裸エプロンみたいなぁ~」
「ふざ…け、ろ…よっ…」

「パパの一生のお願いって言ってもだめなんだね。じゃあ、このままパパと濃い一夜を過ごすか、コレを着るか…二つに一つだよ。どうする?」
「……ッ両方、却下っていうのは…」
マジックに片腕を捕らわれ、シンタローの足の間にはマジックの片足が…がっちりとシンタローの股間を捕らえている。
その足をそろそろと動かしながら、マジックはゆっくりとシンタローを追いつめる。
「あると思うかい?」
シンタローの肌を楽しむかのように、空いた手で胸元の突起を弄んでいた手が舐めるようにゆっくりと這っていくと、皮膚の薄い臍のあたりでビクリとシンタローの身体が強張った。
「ふふ…パパはどっちでもいんだよ~。ただ、着るものがないと…困るのは誰だろうねぇ」
耳元で暗示をかけるように、殊更ゆっくりと囁くと、掴んでいた手を離してシンタローの腰へと回す。
「んッ、ぁ…あッ…はな…」
特に強い刺激は与えられずに、肌の上を滑るいやらしい手の動きだけで、ビクビクっと細かい反応を繰り返した。
「そうだね~。1時間…いや、30分だけでいいんだけどなぁ。そしたら、洋服返してあげる」
「………っ、ぁぁ」
「それに、パパは優しいからね~。特別にパンツは身に着けてもいいよ。 悪い話だとは思わないけどな~」

どう?っとシンタローの臍のあたりを、指先で円を描きながら囁かくと、この生殺しのような愛撫よりかは、着た方がましとばかりに、シンタローが頷いた。


……そして、冒頭へと戻る。


「はぁ~…」
足元がスースーする。
なんで、こうなったのか…。シンタローはキッチンに立ちながら、時計を見ては何度目かになるため息をついた。
5分も経ってない…。
自分の姿を考えないようにはしていても、動くたびに布がヒラヒラと素肌に触れて、否応無しに自分の格好を認識させる。
だからといって動かないようにしても、後ろで結んだ布が風に揺れて意識してしまう。
おまけに、後ろからはマジックの張り付くような、ねっとりとした視線。

こんな格好するなら、まだ素っ裸でいるほうがマシかもしれない。ゴツイ身体に似合うはずが無い!!
想像するだけで吐き気がこみ上げてくるようだ。

「変な目でみんなよ…。テレビでもみてろ」
我慢できずに振り向けば、キッチンの後ろのカウンターにひじをついて座り、満面の笑みでマジックがシンタローの姿を見つめている。
「あ、コーヒーに蜂蜜いれてくれるかな?ミルクもね」
「…………」
何を言っても無駄だとばかりに無言で前をむくと、冷蔵庫から蜂蜜のボトルと牛乳を取出した。
牛乳を小鍋に移して、ガスをつける。すると。
座っていたマジックが、シンタローの傍へ寄ってきた。
「牛乳のがいいんだろ…?」
マジックの手がガスを止める。疑問に思う前にシンタローの腰はマジックの両手に抱き寄せられていた。
「…ちょ…おい親父っ…」
マジックの行動にシンタローの心臓が跳ねる。
背後から抱かれ、うなじに口付けられてシンタローはうろたえた。
「…だめだ」

「な、にが…」
一応口は開いたが、マジックの話す場所が場所なだけに、ますますうろたえてしまう。
吐息が首筋にかかるたびに、ぞくぞくする。
先ほど中途半端に煽られて放ておかれた熱が、尾てい骨のあたりから再び疼きを起こしている。
やばい。知った下半身の感覚に、シンタローはぎゅっとシンクに置いた手に力をこめた。
「シンちゃんの後ろ姿みてたら…変な気分になっちゃった」
「何いって…好きでこんなっ…ふっぁぁっ」
首筋をゆっくりと舐めあげられて、左手が腿をなぞり、思わず嬌声が漏れた。
「シンちゃんのエプロン姿があまりにも、可愛いから」
「どこが、可愛いいっていうんだ。気持ち悪いだけだろ」

「…確かに…可愛いじゃない。可愛くはないね」
うん。っと頷くマジックの様子に、一気に高ぶった熱が急激に冷めていくのが分かる。
「……っ!?…可愛…く、ない…?」
「ああ、可愛くはないね。間違ったよ」
自分で痛いほど分かっていても、マジックにいわれると辛い。別に可愛いと言われたいわけじゃない。…が。
勝手に無理矢理、脅して着せたくせに。好きできたんじゃない!!
羞恥心と緊張していたものが、プツリと音を立てて切れた。

「なんだよ!!勝手に着せやがってっ!?最初から分かってただろっ!!」
シンクを拳で殴ると、シンタローはマジックから離れようと暴れだす。
マジックはうっすらと目元を赤くしながら、暴れだすシンタローを押さえつけると、首筋から肩にかけてキスを繰り返す。
「違うよ。可愛いんじゃない。シンちゃんは綺麗なんだ」
ちゅ、ちゅっとワザと音を立てながら、背中にキスを降らしながら囁くとシンタローの動きがぴたりと止んだ。
「この滑らかな首筋から背骨へのライン。むしゃぶりつきたくなる背骨に、引き締まったお尻。そこから伸びるすらっとした長い脚。どこもかしこも綺麗だよ」
「そんなはずない……」
「似合ってるよ」
きっぱりと言い切ると、マジックが腰を押し付けてくる。
「パパの…もうこんなだよ」
すでに固くなったものを、下着ごしに双方の狭間に触れられて、シンタローの身体が再び熱くなる。
「なに言って…あぁ、んんっ」
腿を這っていた手が、前へとまわり下着の中へと手がすべりこんだ。
「シンちゃんも、その気なんだね。もう先っちょが、先走りの液で濡れてるよ」
「やん…あぅっ」
先端を指でぐりっと刺激されて、仰け反った。

そのままシンタローの身体をシンクの上へと押し倒した。

シンクの上に上半身をうつぶせに倒され、シンタローはマジックが何をするか見ることができない。
神経をそばだてていると、張り詰めた肌の上に…何か冷たい、ねっとりとしたものが肩口に落とされた。
「っ!?つめ…っ…何?」
次に首筋・背中となにかが垂らされて滴を作っているようだ。
その感触に、滴が出来る度にびくり、びくりとシンタローの身体が震えている。
「何かわかるかい?」
それを人差し指と中指に少量を垂らすと、シンタローの口の中へと差込んだ。
口腔へと差込まれた指を、舌を使って音を立てながら舐めとる。ねっとした、濃厚な甘い味…。鼻につく甘ったるい香り。
思い当たるものは一つしかない。
さきほど冷蔵庫から取りだしてきたものだ。
「…蜂蜜?」
「正解」
そういうと、特に念入りに神経の集中する背中では、滴をおおく垂らすと下着へと指を伸ばした。
「あぅっ…ん」
下着がおろされると、布がシンタローの先端をかすめ、それだけでも鼻にかかったような甘い声をもらした。
そして、背中から双方の尻の上にも蜂蜜を落とす。
滴をつくり終えると、マジックは満足気に笑い少し残った蜂蜜のボトルを傍らへ置いた。

「どうすると思う?」
訝しげに身体を起こそうとするシンタローの身体を、両肩をシンクに押し付けるような形で押し戻す。
そして、チュッと一番最初に滴を落とした肩口に唇を落とした。

マジックは蜂蜜の道筋をたどるように、ねっとしりとした、濃厚な蜂蜜をわざと時間をかけて綺麗に舐めとっていった。
「くすぐった…い…」
最初はクスクスと笑っていたシンタローも、マジックの舌が移動するたびに荒い吐息へと変化していった。
ただ舐め取るだけなら、どうにか我慢はできる。ただ舐め取るだけならば…。
まるで溶けかけたアイスクリームを舐め取るような、舐め方をしたかと思えば、急に舌で肌を弾かれる。
そして、唇が離れたあとで冷たい息を吹きかけられた。
その時間をかけた巧妙な舌技に、シンタローの身体も溶けだしてしまいそうだ。
「あ…ッ、や…やめ…」
直接的な刺激は何一つされていない。それにも関わらず、シンタローの前は立ち上がりエプロンの薄い生地を押しあげている。
じりじりと、身体の奥底から火とつけられるような愛撫に、耐え切れずシンタローが先に根を上げた。
「ン、も…だめ…耐えられない」
もぞもぞといやらしく、腰をふってねだるシンタローにマジックは薄く笑うだけだ。
どうやら、全部舐め取る気にいるらしい男の様子にシンタローは気が遠くなるような思いだ。
こんなのまるで拷問だ…。自身の熱をごまかすように、手の甲を噛んでやり過ごそうとしたがそれは叶わなかった。
「シンちゃんの、声がききたい。だめだよ、そんなことして…お行儀が悪い」
シンタローの手を口から外す。
「縛られたくなければ、齧っちゃだめだよ」
「でも………」
恨めしそうに、情欲に濡れる瞳をマジックに向けると、目を伏目がちにシンクへ落とした。

「でも…我慢できない?ってトコロかな」
「…分かってるだろ」
上目遣いに見上げてくるシンタローに、マジックは愛しいそうに目蓋にキスを降らした。
「どうしてこんなに可愛いんだろ。今日は特に甘ったれだね…ここも」
そういうと、布を押し上げて主張するシンタローを軽くなぞる。
「仕方が無い…。シンちゃんのおねだりに免じて、仕上げといこうか」

シンタロの身体をシンクに押し戻すと、片足をシンクの上へと乗せた。そうすると奥まった部分の陰唇が露になった。
そこへ傍らに置いてあった、蜂蜜のボトルを手にとると、尻の狭間と陰唇へと蜂蜜を垂らしていった。
「でも、我慢のきかない子にはペナルティーだよ」
入り口が尖っている、蜂蜜のボトルを陰唇へし当てると、ゆっくりと差込んだ。
「…はっ、んっあ…何…?…!!? やだっっ」
ねっとりした液体が、ドロドロと奥へと注ぎ込まれてくる。そのなんとも表現しがたい感覚にシンタローは身体を起こそうとしたが、余計にボトルを奥へと招き入れる結果となった。
「ぁん、やだっ…そんな、っいれ、な…。っっ…入っ くる」

「大丈夫、無害だからね。たっぷりと味わうといいよ」
ボトルの残りを全て、シンタローの中へと食べさせると、それを引き抜いた。
「おいしかった?…って聞くまでもなかったね」
指で陰唇をなぞるとピクピクと収縮を繰り返して、物足りないとマジックに訴えている。

「あ、あ…はぁ…っっ!!」
注ぎこまれて飲み込めなかったものが、トロリと腿をつたう。その感触にシンタローの背がしなった。
「もったいない…ちゃんと閉じてなさい…」
軽くシンタローの尻を叩くと、シンタローがその手を掴む。身体を起こすと、その手を自らの口元へ運び、マジックの指先に歯を立てた。
「も、も・・・だめ。欲し……ね」
「っつ………」
ゾクリとした、快感がマジックの背を駆け抜けた。
表情には一切ださないが、希にみる予想外のシンタローの姿に、一気に下半身が重くなるのを感じる。

本当に今日は予想外のことがよく起きる。
それもこれも、このエプロンのせいかな?
新婚エプロンとは言うけれど…シンちゃんの場合は初々しい奥さんというより、淫乱な小悪魔奥さんだね。

よく振り回されるというけど…私の方こそシンちゃんに振り回されてる気がするよ。
惚れた弱みってやつかな。
だから、本当に手放せない。このままどこか人目のつかないトコロへ、閉じ込められたらいいのにね。

「本当に今日は、甘ったれ屋さんだね~。ここ、シンちゃんの蜜と蜂蜜でトロトロだよ」
シンタローから流れ出た先走り液が、竿を伝い陰唇で蜂蜜と交じり合っている。
指で軽く入り口を弄ぶと、シンタローの手をシンクへと置いた。
「はっ、やく…父さんので…かき混ぜて」
自ら足をマジックの腰へと絡ませる。マジックはそのシンタローの片足を、肩へとかけると自身の昂ぶったものを押し当てた。
「悪い子だ。いつから、そんなにやらしい体になっちゃったのかな?」
いいながら、ゆるゆると陰唇から竿へと自身の肉棒で擦り上げる。触れる度に、クチュクチュと湿った音がキッチンに響く。
「親父のせいだろ… 責任とれよな」
そう言って、悪戯っぽく瞳を揺らすとマジックの唇を塞いだ。
歯列を割って、舌を滑り込ませると口腔を貪る。
お返しとばかりに、マジックの猛った肉棒がシンタローの中を割りは入っていくと、反動にシンタローの唇が離れ。
変わりにあられもない嬌声がキッチンに響きわたった。
「――あッ、うん…ひぁんッッ」
壁をめくりながら、奥へと入り込んでくる男のものに、粘膜を絡ませながらせりあがってくる快楽に身体を溶けていく。
「やァ、あッ、ああ…ッいィ…」
マジックの動きに酔わされて、身体に力が入らす手では支えきれずに、ガクリと腕が崩れて、肘でももちこたえた。
その様子に、シンタローの身体を反転させてうつ伏せにすると、後ろから円を描くように挿入を繰り返す。
そして手を前にまわすと、エプロンの上から左右の乳首を摘んで、親指と人差し指で擦りあげた。
「あああぁぁぁっ――ん」
最奥を逞しいもので、擦りあげられ乳首への強い刺激に、シンタローの身体がガクガクと揺れる。
「イックぅぅぅぅ」
背を反らして、シンタローは絶頂へと向かった。
シンタローの放ったものが、キッチンに飛び散り、用意したカップへも白い迸りが散っている。
ぐったりと息あらく、半ば意識をやってしまいそうなシンタローのうなじに軽く口づける。
「ふふ…ミルクはいらないみたいだね。カップの中にもシンちゃんのミルクが入ってるよ」
クスリと笑みを受けべると、シンタローの腰を抱えなおす。
「まだまだ、足りないだろう? シンタローには私のミルクをお腹いっぱい食べさせてあげるからね」

時計はとっくに30分を過ぎていた。が…そんなことはこの二人にはもう関係のないことで。
この後のシンタローの服が無事戻るまでの、出来事は二人の秘密ということで。
その話はまた別の機会に…。


@End@

2000番キリリクのチキン☆キッチンさまリク。男の夢、裸エプロンです。
コスプレシリーズ第2弾です。
もう、パパン変態!!あんた変態だよ!!と思わずにはいられません。
って変態にしてるのは私ですねι
シンちゃんにエプロンをどうやって着せるか!?というのがすごく楽しかったです。
途中の蜂蜜プレイも(笑)

ありがとうございました。

幸央

BACK NEXT
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved