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寧ろ大歓迎!
泣き付くマジック少年に、シンタローは、ソローっと手を延ばし髪に触れた。
絹糸みたいなサラサラの細い髪が指の間をすりぬける。
抵抗しないと悟と、シンタローは、ギュッ!と抱きしめてみた。

カワイイ!!コイツ、カワイイよ!!

鼻血を垂らしながらマジック少年を抱きしめる。
何時もと立場が逆転だ。
「シンちゃん。パパのこと嫌いになった?」
潤んだ瞳で上眼使いに見つめられる。

きゅーーん!

シンタローの心臓がきゅんきゅん悲鳴をあげる。
きゅんきゅんメーター只今MAX!
「ば!嫌いになんかなるかよ!寧ろ一生そのままでもいい位だぜ!」
「シンちゃん…それはそれで、パパ、複雑な気分だよ…。」
落ち込んだように、しゅんとするマジックを見て、やはり可愛くてぐりぐりしてしまう。
眠っているコタローと同じ位カワイイ顔。
いや、可愛いよりも、綺麗といった表現の方が正しいだろう。
どこと無く、高価で貴重品のような少年。
「で。また高松か?」
マジックをお膝にチョコンと乗せながら、聞く。
「うん…。」
「ったくあの野郎ろくなことしねーナ!!…っと、別に親父の顔が嫌とか言ってるんじゃねーぞ?むしろ、今の方が大歓迎だ!!」
やっぱり複雑なマジックなのでした。

でも、これってラッキーかも…。

常に前向きマジックは、今ある状況は、非常にシンタロー受けがいいことを理解した。
今だったら、一緒にお風呂に入ったり、耳たぶ舐めたり、あまつさえ夜明に熱いコーヒーをペアのストローで飲んだ後、溶けるような事をしても怒られないんじゃないか。
マジックの心に電流が走ったような衝撃が走る。
「シンちゃん。」
見上げると、鼻血を垂らしながら緩みきった表情でマジックを見る。
「ん?」
「パパ、お風呂入りたいんだけど、小さくなっちゃったから怖くってさ…シンちゃん一緒に入ってくれたら心強いな、なんて。」
「別に構わねーぜ。そーだよな、ちみたんになっちまったんだからな。」
ぐりぐり頭を撫でて。
しかし、はっとしたように思い止まる。
「その前に飯食っちまえヨ。」
一瞬自分のヨコシマな考えがばれたかと思ったマジックだったが、ばれてない事がわかり、ホッと胸を撫で下ろす。
シンタローは、椅子に座り、膝にマジックを乗っけて、スプーンですくうとマジックの口元に持ってきた。
マジックが戸惑っていると、
「ホレ、あーん。」


サービス満点…!パパ心臓発作で死んじゃうかも!!

でも、やっぱり口を開いてシンタローに食べさせて貰う。
綺麗に食べ終わった後、食器を持っていこうとするシンタロー。
行ってほしくなくて、後ろから抱きしめる。
身長の都合上、足元にしがみつく形になったのだが。
「シンちゃん、行かないで~!」
ギュッ!と抱きしめれば、シンタローは、やれやれと言う感じで食器をテーブルに置き直した。
ヤッタ!
マジックは、ウキウキした顔をして、シンタローを引っ張り風呂場まで連れてゆく。
「シンちゃんとお風呂、久しぶりだなー」
「そうだナ。」
脱衣所で服を脱ぐ二人。
しかし、このあとマジックに思いも寄らない事が起こった。
と、いうか、考えていなかったのだ。
シンタローと風呂に入る→シンタローは、裸になる→それが見たかった→自分はちみたんだが脳は大人→

…勃っちゃう!!

イケナイ!!このままじゃ、爽やかな感じの夜明の熱いコーヒー計画が!!

策略家マジックは焦った。しかし。
「親父、先入ってるゾ。」
マジックが眼にしたのは、一糸纏わぬ姿の愛しい息子。
マジックの欲望が理性に勝った瞬間だった。

ま、いっか☆気怠い雰囲気の中も悪くないもんね☆

やっぱりポジティブなのでした。

風呂場に入るとシンタローは、シャワーを頭からかけていた。
真っ黒な髪から水滴が滴るそれは、正に妖艶で。
フトモモに流れるお湯を下からそっと撫で上げたい気分にかられた。

シンちゃん!そんな無防備で!!パパ、もんもんしちゃうよ!!

「親父、体洗ってやるからこっち来い。」
そんなマジックの気持ちも知らないで、ちょいちょいとシンタローはマジックを呼んだ。
「ハーイ☆」
鼻血をぶっ放すのを何とか堪えて、マジックはシンタローの元へと移動する。
そして、チョコンと椅子に座ると、シンタローが頭から顔に掛からないようにお湯をかけてくれた。
シャーという音と共に、温かいお湯が地肌に触れる。「頭洗っちまおうナ。」
シャンプーのコックを押して、掌につけた後、初めは軽く洗い、二度目は地肌をマッサージするように洗う。
凄く気持ちが良くて、マジックは思わずうっとりした。
「シンちゃんマッサージ師になれるヨ。」
「親父は何でも誉め過ぎなんだヨ。」
でも、褒められて悪い気はしないシンタローは、気分が良い。

鼻歌混じりでシャンプーを洗い流し、リンスをしてやる。
そのあと自分も頭を洗った。
「ホレ、次は体洗うぞ。」
垢すりにボディソープを付けて、マジックの体を快調に洗う。
泡がフワフワ舞って、シンタローはそれが綺麗だな何て思う。
「親父、前向け。」
そう、ちょっと命令口調で言うのも何だか気分がいい。
さぞ喜ぶかと思いきや、マジックは上気しただけではない赤い顔をして、顔を左右に振った。
「前は自分で…」
「水くせー事言うなヨ。出血大サービスだぜ?」
「でも…。」
中々渋って前を向こうとしない。
いつもなら、シンちゃん前も洗って、背中流しっこしよう、パパにお前の体を洗わせてなどなど。しつこい位なのに。
でも、今のシンタローは、完全に自分が上の立場だと思い込んでいたので、渋るマジックの言い分を聴こうとしない。
むしろ、マジックの嫌がる事をするのが昔から好きだという考えの持ち主なので、嫌がられると益々前を洗いたがった。
「ホラ、いい子だから。」
グイ、と、前を向かせて、シンタローは一瞬時が止まったように動かなくなった。
そして、次におもいっきり赤面する羽目になる。
何故なら、マジックのまだ毛も生えていない雄が、天井に向かって生えていた、つまり、立っていたから。
「――ッッ!!」
バッ!!と、咄嗟に口元を押さえるシンタロー。
驚きと、恥ずかしさの余り声も出ない。
マジックは、下を向いてフルフルと震えていた。
又泣かせてしまうと、シンタローは我に反りマジックの目線に合わせるべく、しゃがみこむ。
「――ぃ」
「え?」
蚊の泣くような声で何かを呟いているマジックに、その声を聴こうと耳を傾ける。

「酷いよッッ酷い酷い酷いよシンちゃんッッ!!ハパ体は今こーんなにちみたんだけど、脳みそは成人男性のままなのッッ大人なのッッ!!そーんな私にそんな!そんなサービス満点の事されたらこーなっちゃうでしょ!!」
ガバッ!と顔を上げ、一気に捲くり上げ、涙ながらに訴える。
シンタローが何も言い返さない、と、いうか、余りの剣幕に言い返せないでいると、マジックは目に涙をいっぱい溜めて

「シンちゃん、責任取って。」

と、事もあろうにそう言い放った。










「ン、くぅ…っ」
今シンタローはマジックのをくわえて上下に動かしている真っ只中。
体はやはり汚れを知らない少年にまでなっていたらしく、シンタローの愛撫にいつもより感じている。
色白の体がほんのりピンク色に染まっているのが何よりの証拠。
まぁ、シンタローも又しかりなのだが。
ぴちゃぴちゃと聞こえる水音がやけにいやらしい。
「ココいいの?」
「ああ…」
何時もと立場が逆転である。
シンタローはやはり優越感に浸っていた。
何時もはマジックに良いようにされて、頭が真っ白になり、何が何だか解らないうちに高みへ連れていかれる。
実際マジックも余裕なんてないのだが、シンタローから見れば余裕しゃくしゃく。
だが、今は違う。
シンタローの頭を握りしめ、快感に体を震わせているのだ。
強く吸ってやれば、なやましい声を上げて体を強張らせる。
口の中で段々大きくなっていくマジックのモノに、シンタローも体が熱くなってきているのを感じた。
「シンちゃん、も、いいよ。」
「あ…。」
マジックがシンタローの口から己のモノを引きずり出すと、シンタローは切なそうな声を上げた。
ちゅ、と、いう音と共に、名残おしそうに銀色の糸を引く。
虚ろな目でマジックを見つめると、勝手知ったようにシンタローを四つん這いにさせる。
しばらくシンタローも、ぼぅっとしていたが、ハッ!と気がついたかのようにグリッと後ろを向く。
「ちょっ!!待てよ親父!!ま、まさか…!」
「?何?シンちゃん。ホラ、よそ見しないで。ね?」
「ャ、ヤダ!」
「此処まで来てそれはないでしょ。」

今のパパのは、そんなに大きくないし、慣らさなくても大丈夫だよね?

質問してるくせに、有無を言わせない圧力感。
シンタローの背中にキスを一つ落とし、一気に貫いた。
「や、やだぁぁあぁ!!!」


ズッ!と、こすりつけるような音。
じゅぷじゅぷとどちらとも言えない体液の音。
シンタローは涙を飲んだ。

違う。こんなはずじゃなかった。確かに今の親父の姿形は俺のストライクゾーンだし、ぶっちゃけ好きだ。だけど、こんな事をしたいとは思わない。何時もの親父とじゃなきゃ…。

嫌だとどんなに叫んでもマジックには届かない。
後ろを向いているせいか、抵抗も上手く出来ない。
「ャ…ダァ…ッッ」
「ッッはぁ…やっぱり…コレじゃ足りない?…シンちゃんは欲張りだなぁ…」
気持ち良いのか、マジックの額には汗が滲み出ていて、少し顔が歪んでいる。
そして、自分の指を二本、シンタローの中に一緒に入れた。
「…―――ッッあ!」
瞳を見開いて、ガクガクする足と腰。
嫌だと思うのに体がゆうことを聞かない。
シンタローが出来る事は、この、可愛い少年マジックが気の済むのをただ、ひたすら待ち続ける事だけだった。
「と…さんン…ャだ…何時ものとぉさんじゃ…なきゃヤダぁ!」
快感に奮えながらも、マジックに聞いてもらえなくても、シンタローは必死で訴える。
シンタローの溢れた涙が、頬をつたってポトリと落ちた。
その時。
青い光がマジックから放たれる。
眼魔砲の光と似てはいるが明らかに異質なもの。
そして、中に入っているモノの圧迫感。
シンタローは苦しそうにマジックの方を向いた。
すると、どうだろう。
徐々にではあるがマジックが段々と成長をしていく。
そして、光が納まる頃には、元のマジックに戻っていた。
「シンちゃん…。」
声も何時ものマジックで、低い。
何時も聞いている声なのに、何年も聞いていないような気がする。
何時ものナイスミドルスマイルをするマジック。
が。
「親父、痛い。抜け。」
感動の再会は出来なかった。
まぁ、こんなことやってる最中だしね。
シンタローはぶっきらぼうにそう言い放つ。
かなり複雑な心境のようだ。
何故なら、もう、あの、ど真ん中ストライクの可愛い少年には会えないのである。
情事をするのに少年マジックは嫌だっただけで、普通に居るならもうちょっと位、美少年を堪能したかった。
悔やまれる。
シンタローは、中々抜こうとしないマジックに舌打ちをし、自分から抜こうとした。
が。
ガッシリと両手で腰を捕まれ、少年マジックならともかく、この、大人のマジックには力では敵わない。


まさか…

何とも言えぬ嫌な予感がシンタローの胸を過ぎった。
「シンちゃん…逃がさないよ…。」

「ああっ!ヤッパリ!!」
肉食動物のようにどんより光る目で見つめられ、獲物であるシンタローは、なすすべなく食べられてしまいました。
風呂場には、シンタローの悲痛な声と、なまめかしい声が響き渡ったとか。











「いやー、良かった良かった。終わり良ければ全て良し!ダネ☆」
ベッドの上でかなり満足気にニコニコ笑いながらそう言うマジック。
そんなマジックとは裏腹に、精も魂も尽き果てたシンタローは、俯せになって、けだるい腰を押さえていた。

チクショー!!

涙目で睨むが、この、幸せいっぱい夢いっぱいのマジックが、ほんのちょこーっと可愛く見えて、シンタローは睨むだけに留めておく。
すると。
ボフン!という白い煙りがマジックを包み込んだ。
「何だァ!?」
上半身を起こしてマジックを見ようと目を懲らす。
すると、中から人影が。
シンタローが安堵のため息を漏らすが、なんかおかしい。
まさか、まさか。
「ゲホ、ゲホ、し、シンちゃぁん…!」
中から出てきたのはあの、少年マジック。
「何で!?元に戻ったんじゃねぇのかヨ!?」
慌ててベッドの近くにある軍用の回線で高松に電話をする。
3回目の呼び出し音で高松が出た。
「オイ、ドクター!!親父が元に戻った!戻ったつーか、子供になってる!!」
『あぁ、そのことでしたら、今解析中です。取り敢えず、実験の結果、薬は青の一族にしか聞かないということしか解っておりません。マジック様を元に戻す薬はもう少し時間がかかりますね。』

つかえねーー!!

シンタローは、結果が解り次第随時教えるように言い、高松との電話を切った。
「シンちゃん…。」
潤んだ瞳で見上げられて、やっぱりシンタローは鼻血を垂らした。

可愛い…。

「パパが戻るにはシンちゃんとエッチしないと駄目なんだよ、きっと。」

可愛くない。

「恐ろしい事を平気な顔で言うナ。」
シンタローは真顔で吐き捨てるが、ふ、と、思い留まる。
高松が薬を完成させるまで、マジックはこのまま愛らしい少年のままなのではないか。
後はもう絶対エッチさせなければいいのだ。
いける!とシンタローは踏んだ。
「元に戻らねぇなら、親父の夢を叶えてやってもイイ。」
「え?」


「ホラホラ親父!セーラー服セーラー服!!」
ピラピラと短いプリーツを持ち上げ回る。
マジックの夢。それは異常に溺愛しているシンタローにコスプレをさせる事。
マジックは先程から余っていたCDROMを片っ端から持ってきてシンタローを鼻血を出しながら撮っている。
他にもバニー、メイド、学ラン、軍服などなどの衣装が、マジックの部屋に並ばれている。
「シンちゃーん!こっち向いて手を振って!!」
「はーいはいはい!」
ちょっとやる気がなさ気な感じだが、マジックの要望には素直に答える。
だって、もう少しだけでもいいから小さいマジックと居たいから。
美少年が好きって事もあるが、自分の知らないマジックを見たいという欲望もある。
「シンちゃんかーわいー!」
「はーいはい、そりゃどーも。」
「ね、次はメイド服着てよー!それでね、それでね、パパに“御主人様”って言って~!!」
ビラリとメイド服を渡す。
一体何処からこの短時間で持ってきたのかと疑問にも思うが、言われた通りメイド服を着る。
そして、
「ゴシュジンサマ」
かなりカタコトだが、マジックは満足したように鼻血を思う存分噴射した。
「パパ、一生このままでもイイ気がしてきたよ…。」

ヨシ!

シンタローは心の中でガッツポーズを取る。
結局マジックは惚れた弱みでシンタローには勝てないのだ。










それから一週間経過して、マジックが小さくなってしまったのは周知の事実となり、高松の他にもキンタローや、グンマもマジックを元に戻す為躍起になっていた。
「シンちゃん、もーすこししたらおとーさまを元に戻す薬が完成しそーだよぉ。」
ニコニコとグンマが総帥室に朗報と言わんばかりにやってきた。
「え…。」
「良かったネ!!シンちゃん!!」
その話を聞いた時、シンタローは少しながらショックを受けた。
もう少しでということは、もう少しであの小さいマジックと離れなければならない。
確かに自分は大きなマジックになると解っているから今のマジックと何の不安もなく平気で遊べる。
でも、小さいマジックと遊べなくなるのがシンタローにはまだ心の準備が整っていなかった。
「嬉しくないの?シンちゃん。」
ぱ、と、見上げると、グンマが少し微笑んでこちらを見ている。
「別にそーゆー訳じゃねーよ。悪かったナ、自分達の開発もあるのにこっち先やってもらって。」
「ううん。僕、シンちゃん大好きだから!だからね…」
グンマはおっきな瞳を俯かせる。
男にしては長い睫毛が瞳を隠すように下がった。
「シンちゃんが、おとーさまを元に戻したくないんだったら、薬の事はおとーさまにはまだ言わないよ。」
エヘヘとはにかむグンマを見て、少し心を打たれる。
グンマは昔からそうだった。
自分の事を恨んでるだの嫌いだの泣き叫びまくるくせに、最後は笑顔でシンタローの事を思いやり全てを許す。

もう、自分だけの父親じゃねーんだ…。

昔はそれで良かったのかもしれない。
マジックは自分とコタローだけの父親だったから、自分の父親に対してシンタローが我が儘を言うのは許される事。
でも、今は違う。
マジックの子供は本当はグンマの方で、自分とは血の繋がりさえない。
そして、弟の忘れ形見、キンタロー。
実の息子二人に、弟の息子一人、そして、番人の影である自分の四人の父親的存在なのだ。
「グンマ。」
「なぁに?シンちゃん。」
「薬、出来上がり次第親父に使って元に戻してやってくれ。」
「…いいの?」
「ああ。」
グンマの言葉に少し間が空いたが、シンタローは間髪入れず肯定した。
「解った。じゃあ、高松とキンちゃんに言っておくから。」
バイバイと手を振って、ドアの開く機械音と共に総帥室から出て行った。
シンタローは椅子に深く座り込み浅いため息を吐いた。










薬が完成したとの知らせが入ったのは、グンマと会話をしてすぐだった。
軍用の電話に出ると相手は高松で、今からマジックと一緒にこちらに向かうそうだ。

ああ、そうか。

シンタローはピンときた。
薬は既にあの時点で完成しており、グンマは自分に了承を得る為に来たのではないか。
心配かけさせたなと、反省する半面、心配してくれたんだなと嬉しくも思う。
少し唇の端を上げて笑うと、プシュンと扉を開く音がして、はっとそちらへ目を向かせる。
「シンちゃ~んν」
「うっわ!!」
ちびっこマジックがここぞとばかりに抱き着いてくる。
自分の可愛さを自覚してるところが彼の暴走に拍車をかけている。
「マジック様からお話は伺いましたよ、シンタロー総帥。セックスしたら元に戻ったそうですね。」
「テメッ!伏せ字を使え!!伏せ字を!!」
「ツッコム所、そこなんですか。」
冷静な高松に、シンタローの眉間にシワが寄った。


「早く本題に入れ。」
ツッコミ所を間違えたせいで、本来ならぶっ飛ばしもののマジックもこの際我慢して、シンタローは話しを進めた。
「ああ。はいはい。」
ゴソゴソと白衣のポケットから小さな小鬢を見せる。
中には透明に、少し黄色い色が混ざっている。
「アナタとマジック様が事を致したから戻ったということは解明できていませんが、私の作ったバイオを解明し、花の花粉が原因とわかりました。なので、毒をもって毒を制す要領で花粉ベースで作りました。」
ちゃぽん、と、中の液体が揺れる。
そして、高松は、小鬢の蓋を外し、中の液体をマジックにかけた。
すると、かけた所から煙りが上気する。
これは、マジックが一時的に元に戻った時と似ている。
やはり、青い発光体が辺りを包み、その後はもちろん…。
「戻った~ν」
そこにいたのは大きいいつものサイズのマジック。
そう。いつものサイズの。
「服は…」
「え?」
ぱ、と下を見るマジック。
少年誌の法則で股間だけはさらけ出す事を免れたが、後は…。
まるでケン●ロウのように服は破け去られていて、正直ヤバイ。
「どーしよーシンちゃん!!パパこのまま廊下出られないよ!!」
「羞恥心あったんですね。」
ビビーッ!!
目からメンチビームを出したマジックのお陰で、高松はアフロになった。
余り動じていない所を見ると、某秘書を思い出す。
「チッ!!」
そんな高松アフロを見事シカトし、シンタローは総帥服の上を脱いでマジックの目の前に翳す。
中は何も着ておらず、地肌が眩しい。
「シンちゃん…ッッ!!」
感動したらしく、涙と鼻血をぶわッと吹出し、あいらぶゅー!!と突進してくるマジックにシンタローは心置きなく眼魔砲を放った。ちゅーどーん!!と爆発音が鳴り響いたが、やっぱりパパは生きていた。
「じゃ、私は失礼しますよ。マジック様、シンタロー総帥。」
巻き添え喰うのはごめんこうむるとばかりに、高松はさっさと総帥室を後に行ってしまった。
ポツンと取り残された形のシンタローとマジック。
二人きりにされてしまい、何を話せばいいのか解らない。
ちみマジックにはあんなに心を開けたのに、大きいマジックにはそれができない。
中身は同じなのに。
シンタローが何かを話しかけようとして、そわそわしていると、
「シンちゃん、有難う。」
マジックから話し掛けてくれた。

「礼ならあいつ等に言ってやれヨ。」
ついぶっきらぼうになってしまう。
マジックから話し掛けて貰ってホッとしてるのに。
大きい何時ものマジックにはこんな言い方しかできない。
嫌になる。
「パパが小さくなってもお前は私を愛してくれた。だから」

有難う。

そう言って自分を抱きしめる。
凄く心地良いのに、自分はまだ嫌な態度。
それでもマジックは無条件で自分を全力で愛してくれていて。

この腕だ。

懐かしい感じと愛しい感じがごちゃまぜになって、仕方ないって顔して抵抗を止める。
「今だけだかンナ。」
「うん。」
そう言って静かに瞳を閉じた。











おわり







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「ねぇねぇキンちゃん。さっき、コタローちゃん位の男の子が居たんだけど。」
キョロキョロと辺りを見渡すグンマ。
手には自分の大好きなお菓子をにぎりしめている。
「男の子?ここは化学室だぞ?いいか、化学室とはな、グンマ…」
その隣には、グンマと同じ金髪碧眼の従兄弟キンタロー。
白衣の下から除かせるスーツもビシッ!と決まっている。

話が長くなりそうな事を悟ったグンマは、難しい話も嫌いなので、話を中断させよう。
この、華奢ではあるが、青の一族であるグンマも、こうゆう時は俺様性質、もとい、我が儘を発揮する。
「もぉ~!!そんな事はわかってるよぉ~!そうじゃなくって、本当に男の子が居たんだよぉ~!」
ぷぅっと頬を膨らませ、腕を腰に翳し、怒った顔をするが、キンタローは無反応。
それにますます怒ってみたものの、自分にはどうすることもできないと諦めて、グンマは軽いため息を吐いた。










「た、高松め!」
少し高いトーンの声。
10代前半、少年特有の華奢な体。
金髪碧眼で、クラッシックな白いブラウスに、サスペンダー付きの黒いタンパンを身に纏う美少年が、ドクターに悪態をつきながら、一目を避けながら自室へと向かっている。
ちなみにココは一族の自室が揃っているフロア。
美少年は、一目散に自室へ向かう。
たどり着いた先は、真っ赤なゴージャスドア。
ポケットからカードを取り出しロックを解除した後、二段重ねの網膜のロックも解除する。
“警備を解除しました”というアナウンスと同時に、プシュンという機械音が鳴り、ドアが開いた。
美少年は、トタトタと部屋に入り、又鍵をかけた。

「どうしよう…。」

部屋に着いた途端、美少年は、うなだれるようにベッドに倒れ込んだ。
そして、おもむろに自分の掌を眺める。
小さい艶の良い手がそこにあって。
美少年は、はぁ~、と、重い溜息をついた。
そして、シーツに顔を埋める。
グズグズと、鼻を啜る音がして、シーツに涙をこすりつける。

「こんな姿、シンちゃんに見せられないよ…。」

美少年の正体は、マジックだった。
マジックは、先程自分の身に起きた不幸を思い出す。あれは、高松が植物の細胞を活性化させ、より長く花が咲き誇れるという薬を作ったという報告を受けた時に至る。


自室に、もう殆ど使われていない、軍用の電話回線。
今、この電話回線を使いマジックに電話をかけてくる人間は3人。
そのうちの2人は、マジックが総帥時代からの秘書であり、自伝書を書いたにあたって、ファンクラブを切り盛りしてくれているティラミスと、チョコレートロマンス。
そして最後の1人は、末っ子の悪友、実子の育ての親、マッドサイエンティスト、ドクター高松である。
『マジック様!長年研究していた花の寿命を延ばす研究の事なんですが、ついに完成致しました!!これでノーベル賞もいただきですよ…ふ、ふふ』
そんな研究していたんだ。と、マジックは他人事のように思った。
シンタロー以外余り興味のないマジックは、どーでもいいらしく、高松の話は右から左。
しばらく、余程嬉しかったのか長い高松の話をうんうんと聞いてやっていると。
『そういえば、シンタロー総帥が指令室に花が欲しいって言ってたと、以前グンマ様と、キンタロー様が言っておりました。』
ピクン!
マジックの耳が“シンタロー”に反応を示す。

シンちゃんてばそーなんだ。言ってくれれば、パパいっぱいいっぱいいーっぱい、そりゃもう毎日お花をお前の元に持って行くのに。シンちゃんの好きなお花パパ知ってるし、それともパパの好きなお花でもいいしね。

『もしもし、もしもぉし、マジック様?』
『高松、今から暇だし行ってみるよ。』
『え?あ、ハイ解りました。』
チン!と、電話を切る。
その長い間咲くバイオフラワーを貰ってシンタローの部屋や、指令室に持っていこう。
シンタローの顔を24時間見つめていたいマジックは、少しでもシンタローの側に居たくてウズウズしている。
そこにでてきた朗報に思わず飛び付く。
ルンタッタと、足取りも軽く、軽やかに、鼻歌なんぞ歌いながら、マジックは自室を出た。











「マジック様、さぁさぁこちらですよ!」
高松の研究室へ着くと、鼻息も荒く高松がいきなり現れて、マジックはちょっと引いた。
彼の研究熱心さは学生の頃からで、すぐ下の次男、ルーザーも、彼の事を褒めていた事を思い出す。
中へ入ると、むせ返るばかりの甘ったるい匂いと、美しい華々。

一つの品種だけでなく、花ならどんな品種でも使えるんです。

後ろから高松がそう説明する。
マジックは、とりあえずシンタローに似合いそうな花を選んだ。


やっぱり、シンちゃんって言ったら赤だよネ。黒い花なんてないしネ。白もいいなぁ捨て難い。汚れを知らない無垢な感じで…。
赤だとすると、薔薇かスイートピーかチューリップだなぁ。花言葉が永遠の愛って所がイイよね。…やっぱり薔薇かな。白でベビーブレス付けて…無難だけど。

「ドクター、このバイオフラワーを貰えるかい?」
クルリと振り向いてそう尋ねると、高松は、ただ今、と言って、花切りハサミを取り出した。
「蕾も入れますか?」
「そうだね、その方が見栄えがいい。」
パチン、パチンと、花を切っている高松。
花を切る事は彼に任せて、マジックはせっかくだからということで室内をぐるりと、回ってみた。
そこに気になる物を発見!
綺麗なビー玉のような色をした液体が、バイオフラワーの中心部分に置いてある。
恐らくそれが研究の結果の完成品なのだろう。
マジックがそれに手を出した時、高松がマジックを呼ぶ声がした。
ひょいと見ると、今、正にマジックが自分の作った完成品を触ろうとしている所で。
「マジック様危ない!!」
咄嗟に叫んだが、マジックはその瞬間驚いて、液体をもろに被ってしまった。
ガッチャーン!!と透明の器の割れる音と共に、白い煙りがもくもくと舞い上がる。
「げほ、げほっ!高松ッッ!!何なんだこれは!」
中から甲高い少年特有の声。
白い煙りが納まり、高松が目にしたのは、愛くるしい美少年。
「…マジック様…?」
高松は呆然とその光景を見た後、歓喜に震えた。
「すっっ素晴らしい!!この薬品は、被れば人間を若返らせる事が可能なのか!これこそノーベル賞は戴きですね!!」
ぱああ!と、未来が開けた顔をして、さっさと作業に取り掛かる。
マジックが元に戻る薬はあるのかと聞くが、まったくもって耳に入らない様子。
タボダボのスーツを引きずりながら、マジックは取り敢えず服を探そうとした。
「マジック様、私の机の一番下の引き出しにグンマ様の昔来ていた服がありますのでどうぞ。」
さっきまで人の話を聞いていなかったくせに、そんなどうでもよい事は気が回るらしい。
「どうも。」
ふて腐れたように返事だけをして、グンマのお古の服を着た。

そして、現在に至る。

高松は、今、キンタローや、グンマと一緒の研究室ではない。
高松の口から二人にばれて、シンタローの耳に入る事はないだろう。

だがしかし。
シンタローにばれるのも時間の問題である。
「あああ…。」
マジックは、本日二度目の溜息をついた。
彼の心境は、かなり複雑である。
シンタローに会いたい事は会いたい。
でも、受け入れてくれなかったら?
シンタローに拒絶されるのが何よりマジックは、怖かった。
「シンちゃぁん…」
子供に戻ったせいか、涙腺が緩い。
ぐしぐしとマジックは、シーツで涙を拭った。









「ホントなんだよぉ、シンちゃん!コタローちゃんと同じ位の男の子が居たんだってばぁ!」
総帥室に用があったグンマとキンタロー。
グンマは先程見た男の子の話をする。
「座敷童じゃないのか?」「そーか、座敷童か。そんなん出たら、ウチは安泰だナ。」
「んもう!シンちゃんもキンちゃんも僕の話信じないんだからぁ!」
ぷくーっとふくれてみせるが、誰一人としてグンマの話を真剣に聞かない。
「…でも、ホントーに座敷童だったらどうしよぉ~!怖くて眠れないよぉ~…。」
グンマがべそをかきはじめた。
そして、チラチラと、シンタローとキンタローを交互に見る。
どうやら一人で寝られないので、誰かと一緒に寝ようと考えたらしい。
「ねー、シンちゃ…」
「嫌だ。」
間髪入れずシンタローが即答する。
また涙目になるグンマ。
「キンちゃん。」
「何だ!」
「今日、一緒に寝ようよぉ~」
「別にかま…」
「オイ!キンタロー!!あんまりグンマを甘やかすなヨ!モォ、コイツだって俺達と同じ28なんだぞ。グンマの為にも良くない!」
キンタローが肯定しようとした所、またもや間髪入れずシンタローが止めた。
グンマはグシグシと泣いて、
「シンちゃんだって、昔は怖がって一緒に寝たじゃない…」
と、悔し紛れに小声で言った。
「昔は昔!今は今!!つーか、そんなガキの時の話、今もちだすなヨ!」
ゴチン!
ゲンコツでグンマの頭を叩く。
「びぇえぇん!!シンちゃんがぶったぁ~!!」
昔と変わらないやり取り。
キンタローはヤレヤレと、この、二人の従兄弟に溜息をついたのだった。
「ふんだ!シンちゃんのおこりんぼ!お化けなんか僕の所じゃなくて、シンちゃんの所に出るからね!!」
負け惜しみとも取れるグンマの言い分に、シンタローは、フン!と、鼻息を吐く。
「バーカ!もし出たら捕まえて見世物にしてやらぁ!!」
イーダ!と、シンタローは口に手を突っ込んで歯を見せる。


それを見たグンマは、悔しくて何かを言い返したいが、何を言い返したら良いか頭の中で整理がつかなくて、結局おっきな瞳に涙を溜めて、傍若無人のシンタローの扱いに黙って耐えるしかなかった。
「時にシンタロー。今日は帰ってこれるのか?」
そんな空気の中、所構わず我が道を行くキンタローは、話をいきなり反らした。
彼はこの二人のやり取りがただじゃれているだけだということが解っている。
その為、さっさと自分の用件を済まそうと考えた。
「ああ。今日は特に用事がねぇからナ。あそこの書類に目を通したら終わりだ。」
親指で、自分のディスクに乗っている書類を指す。
量はそこそこあるが、シンタローの仕事のできを見ればすぐに終わる量だ。
「おとーさま、きっと、すっっごく喜ぶよぉ!」
さっきまで泣いていたくせに、もう笑顔でシンタローに話し掛けるグンマ。
なんだかんだ言って、グンマはシンタローが大好きなのだ。
今日は寝る前にシンタローが見れると思ったら、嬉しくなったのだろう。
馬鹿は開き容量が少ないからさっきの事は忘れてんだなとか、シンタローはグンマに対してかなり失礼な事を心の中で思った。











「シンちゃん、今日は早く帰ってきちゃうのかなー。」
一方のマジックは、ベッドから既に立ち上がり、自室をウロウロしていた。
涙は既に止まっていて、顎に手を当てて考えている。
先程から何度も鏡を見たが、幼い時の自分の顔しか写らない。
ウロウロしながら、紅茶を注いで飲んでみる。
落ち着こうとしているのだが、落ち着かない。
「ふー…紅茶は、ローズヒップティーに限る。ダイエットにも最適☆」
………しーん。
明るく振る舞おうとすればするほど、奈落に落ちていく感じがした。
「とりあえず、半ズボンは良くないヨネ、お腹冷えるし…コタローの服あったかな…。」
ガサガサと、クローゼットの奥の方を捜す。
きらびやか、豪華絢爛のスーツの奥のほうに、小さな服発見!
グイッ!と、両手で引っ張りあげる。
出てきたのはコタローの服ではなく、シンタローの小さい時の服。
しかも、自分の趣味でタンパンしか穿かせていなかった為、長いズボンはない。
ガックリうなだれるマジック。
こうなれば、もう、頼みの綱は高松しか居ない。
マジックは高松に電話をかけてみた。


トゥルルル、トゥルルル…。
出ない。
「何をやっているんだ高松!!」
焦りのせいか、語尾がやけにキツイ。

早くしなきゃ、シンちゃんが帰ってきちゃうよ!むしろ、帰ってきたシンちゃんに会えないじゃないか!これは死活問題だよ!!

何度目かの呼び鈴で、マジックは諦め、受話器を乱暴に置いた。
すっかり冷めてしまった紅茶と、カップを片付けて豪華な椅子に座る。
そして、机の上につっぷすのだった。











「ふぃー!終わったァ!!」
椅子に座ったまま伸びをし、シンタローはトントンと、肩を叩く。
やっぱり自分にはディスクワークには向かないナとしみじみ思う。
こんな事より前線で、体を動かした方がイイと、いつも思う。
だが、総帥という立場に着いたのだから、我が儘も言っていられない。
ガタンと立ち上がり、少し早めにキリ上がった為、グンマとキンタローを迎えに研究室へと向かおうと、足を延ばした時、
「シンちゃん、終わったぁ?」
グッドタイミングでグンマとキンタローが入ってきた。
「おぉ。今終わった所だ。」
「そっかぁ、良かった!」
ニコニコとシンタローに笑いかける。
キンタローも少しだけ表情を緩ませた。

「今日の夕ご飯何だろうね~?」

三人で肩を並べて歩いていく。
すれ違う人々は恐れ、時には崇拝し、三人に敬礼、又はお辞儀をした。
一族の人間が三人も居れば、かなり爽快だろう。
「俺は何でも構わない。伯父貴の作る料理は何でも旨いからな。」
「アハハ、そぉだね~。」
一族専用のフロアへと続く為に作ったエレベーターに乗り、三人は食堂へと足を運ばせた。
シンタローも口には出さないが、マジックの作る手料理は大好きで。
今日の夕食も楽しみにしていた。

あー、このドア開けたらゼーッタイ親父が居て、ウザイんだろーナ。

プシュン、と機会音がし、食堂に入るが、マジックの気配はない。
むしろ、料理の形跡もない。
楽しみにしていたのに、それが裏切られて、三人は少々うなだれた。
「あンの馬鹿親父!暇人の癖に、なーんにもやってねーのかよ!!」
少しムッとしながら、シンタローはキッチンへと入って行った。
「シンちゃ~ん…。」
「シンタロー…。」
お腹が空いたよ、と、言わんばかりに二人に見つめられて、シンタローは上着を脱ぎ、冷蔵庫を開ける。
「わーったわーった!今作るからそれまで少し待ってろ!」

「ワーイ!僕、シンちゃんの作るご飯もだ~い好きだよぉ~!」
「ウム。俺も好きだ。」
そう。料理が趣味なだけあって、シンタローはかなり料理が上手い。
もう、プロ顔負けなのである。
「腹減ってるし、パエリアでいっか。」
そう言って、パエリア用のプレートを出し、火を点ける。
プレートがあったまるまでニンニクをみじん切りにしておく。
そして、ツマミではないが、野菜を切って、オリーブオイル、醤油、胡椒、大根おろしでドレッシングを作り、上からノリをハサミで切ってまぶし、サラダを作った。
「出来上がるまでコレ食ってろ。」
マジックの分は、少し取っておいて、残りを従兄弟に渡す。
「ワーイ!いただきまーす!」
「いただこう。」
フォークを持って万歳するグンマと、手を合わせるキンタロー。
小皿にサラダを乗っけて二人で仲良く食べていた。
そんな二人をほほえましく思いながら、シンタローは、パエリアを作り始めた。
熱くなったプレートの上にオリーブオイルを入れ、その後、焦がさないようにニンニクを炒める。
香ばしい匂いが食欲をそそる。
そして、生米を入れて、お湯で溶かしたブイヨンを入れて、先ほど冷蔵庫にあった海老やイカ等の海鮮類とパプリカを綺麗に並べた。

「ねぇ、キンちゃん、シンちゃん、おとーさまが居なくて、結構焦ってるね。」
あくまでシンタローに聞こえないようにポソポソしゃべる。
「そうだな。時間短縮めいた事を言いながら、何故時間のかかるパエリアを選んだのかが一番ひっかかるしな。」
だよねぇ、と、従兄弟二人は二人で、シンタローをほほえましく思ったのだった。









30分後。
ようやくパエリアが完成し、従兄弟三人仲良く食す。
二人ともシンタローの料理を褒め、シンタローも満更でもなさそうに笑う。
「シンちゃん、後片付けは僕達がやるから、シンちゃんはおとーさまにご飯持って行ってあげて。」
片付けようと思った所、グンマにそう言われて、シンタローは止まった。
余計な心配しなくてもいいのにとも思ったが、この優しい従兄弟達は心から自分を大切にしてくれていると知っていたので、少々の悪態はついたが、素直に夕飯を持っていく事にした。
お盆に食事を乗せ、マジックの部屋に行く。
トントンとノックするが、中からは何も音がしない。
不審に思いながらもインターホンをビーッ!と鳴らすが出る気配がない。



「チッ!」
シンタローは舌打ちをして、自室に戻った。
目的はマジックの部屋の鍵である。

飯だけでも置いといてやらねーとナ。

そう思い、スタスタと隣の自室へ入って行った。

中にいたマジックは、ドキドキしていた。
まさかこんなに早くシンタローが戻ってくるとは思わなかったし、何よりシンタローにばれてしまうということが恐ろしかった。

どこかに隠れよう。

そう思った矢先、プシュンという機械音と共に、シンタローが黒い髪をなびかせ入って来た。
「親父ィー!具合でも悪いのか?」
心配されると、こんな状況でも、胸がきゅんきゅんする。
そして、とてもいい匂い。
そういえば昼から何も食べていなかった事を思い出す。

ぐうぅうう

マジックの腹の音が鳴ってしまった。
「親父ー…ッッ!?」

呆気なく見つかった。
シンタローは、愕然とした顔で自分を見ている。

拒絶された。

そう思うと思ったより悲しくなってきて、涙が出そうになる。
つん、とした鼻を押さえて、涙だけは流すまいと耐え忍ぶ。
「ざ、座敷童…!」
ペタンと尻餅をつく。
それでもお盆をテーブルに置いたらって所が流石といえる。
マジックは、ヒョッコリと物影から出て来てみた。
マジックを月明かりが照らし、金色の髪がキラキラ光る。
「わぁ…。」
シンタローは、感嘆の声を上げた。
自分の大好きな金髪碧眼。そして、整った顔に、すらっと延びた生足。
どこをどう見積もっても美少年という単語しか出てこない。
その少年は、眼を赤く腫らして自分を見ている。

ぶーーっっ!!

シンタローは鼻血を噴射した。
「シンちゃん、大丈夫!?」
ボーイソプラノで慌てたように駆け寄る少年。
良く見ると、この顔どっかで見た事ある。
「ああぁあ!!アンタまさか親父!?」

そーだ!この顔、親父の長男用アルバムで見た顔だ!

指を指して叫ぶと、少年は少し困った顔をしてコクリと頷き肯定の意を示した。
かっカワイイじゃねーか!

シンタローは駆け寄って来た少年マジックに触ってみた。
すると、眼にいっぱい涙を貯めて、マジックはシンタローに抱き着く。
「わーん!シンちゃんどーしよー!!パパちみたんになっちゃったよー!!」
シンタローの胸にぐりぐりと顔を押し付け、タガが外れたように泣き出した。
いつもなら眼魔胞なのだが、今は美少年なので許す。

.
m*
「うざーっ!近寄るな!アーパー親父ィ!!」
「ヒドッ!シンちゃん酷いよッッ!!」

プンスカと、腹を立てて歩くシンタローの後ろでいい歳こいたオッサンが涙と鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっている。
そんな、訳の解らない生命体のような父親に無視を決め込み、シンタローは、ズンズン廊下を歩いて行ってしまった。
「ぶっ!」
余程腹が立っていたのだろう。
下を見ながら歩いていたせいで、誰かにぶつかってしまった。
悪いと思い顔を上げると、そこには自分が崇拝して止まないアノ人。
「おじさんっっ!」
わああ!と、満面の笑みで、崇拝する、叔父のサービスを見上げる。
ナイスミドルで、しかも男にしておくには勿体ない位美し過ぎる美貌のおじ様。
柔らかな物腰でクスリと笑い、シンタローの黒い髪を撫でる。
「総帥になってもお前はお転婆だな。」
「ちぇーっ!それより叔父さん、いつ帰って来たの?」
子供扱いをされて少しふて腐れたが、大好きな叔父が居る方が嬉しくて、そんな事はどうでもよくなる。
叔父さん、叔父さん、と、サービスの腕を掴んで
「とっても楽しそうね、シンちゃん。」
「おわ!ビビッた!!」
かなり後方で地面に泣きながら突っ伏していたマジックがいつの間にか自分の真後ろに。
しかも、奴は気配を感じさせないように近づく。
「ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?」
「すっげーデジャヴなんだが。」
耳元で囁かれて、少しビクリと震える。
マジックの息が耳に掛かり、シンタローはおもいっきり顔をしかめた。
「シンちゃん、パパちょっと傷ついたんだけど…。」
「一生傷ついてろ。」
そう言い放ち、シンタローはサービスの腕を掴んだ。
アアッ!シンちゃん!何でパパにはそんな事してくれないのにーッッ!!等と涙ながらに訴えるマジックを尻目に、さっさとサービスを連れて歩いて行ってしまう。
しかも、腕を組んだまま。
「早く叔父さん、行こう!コイツの側に居たら美貌の叔父様が汚れる!」
「あ、シンタロー。」
ぐいぐい引っ張って、サービスを自分の部屋の方向へと急がせる。
サービスは仕方ないなと言うように、素直にシンタローの後を着いて行った。










所変わってシンタローの自室。
サービスを自分のテーブルに着かせて、自分はかいがいしく紅茶の用意をする。
「叔父さん、今、ローズヒップティーと、オレンジペコしかないんだけど、どっちがいい?」
シンタローの部屋には専用のキッチンがある。
これは、料理が好きなシンタローが何時でも好きな時に腕をふるえる為である。
「シンタローはオレンジペコが好きだったね。俺もそれを貰おうかな。」
女王様のようにシンタローを見ると、シンタローはビシッ!と敬礼をして、直ぐさま紅茶作りに取り掛かった。
終始ニコニコしながら紅茶を入れる。
サービスが自分の好きな紅茶の種類を覚えていてくれたことが本当に嬉しくて。
満面の笑みでサービスに紅茶を渡す。
「ハイ、叔父さん!」
「ありがとう。」
サービスは出されたカップをこれでもかというくらい優雅に持ち、紅茶の匂いを嗜んだ後、ゆっくりカップに口を付けた。
コク、と喉が上下する。
それを見届けた後、シンタローも一口紅茶を飲んだ。「おいしい?」
「ああ。」
バックに薔薇が見える。
余りの眩しさに、シンタローは手を前にかざした。

カッコイイ!カッコイイよ!この人とあのアーパー親父が兄弟とか、ホント間違ってる!

シンタローは、サービスの頭の後ろにご来光が見えたとか、見えなかったとか。
「なんかお菓子持ってくる…。」
余りの眩しさに、ヨロヨロと立ち上がりながら目を押さえる。
「あ、叔父さん、クッキーでい…」
「シンタロー、俺の事好きかい?」
最後の一言に被せるように聞かれ、シンタローは一瞬止まった。
好きに決まってる。
サービスよりカッコイイ男をシンタローは知らない。と、思う。多分。
「え?何で?好きダヨ。決まってんじゃん。」
変な事を聞くなと、シンタローは笑った。
でも、サービスは真顔のまま、シンタローを見据える。
「マジックよりも?」
「?当たり前じゃん。」
様子が可笑しいなと思いつつも、シンタローは何時も通りのテンションでそう答える。
サービスは、もう一度シンタローの入れた紅茶を飲んでから、肘をテーブルに着け、指を組み、顔を乗っけた。
そのポーズはマジックがよくやるポーズで、やっぱり兄弟なんだなと思わせる少ない癖の一つ。
「質問を変えよう。」
ス、と、人差し指をシンタローの鼻に着くんじゃないかという位、近くで指す。
シンタローは訳が解らず、まだ、のほほんとしている。
「マジックと俺、どっちを愛している?」
シンタローの体がビクリと揺れた。

どっちを愛しているかなんて、そんな事は決まっている。
サービスの言う“好き”の意味はそうゆう事だったんだと、今更ながらに気がついた。
「……。」
恥ずかしさと気まずさが混ざり、シンタローが答えられないでいると、サービスがおもむろに立ち上がり、グイッ、とシンタローの顎を掴み、こちらに向かせる。
じっ、と青い瞳で見つめられ、バツが悪いのに、反らす事ができない。
この目はシンタローがよく知っている目によく似ていて。
「答えられないのは…どちらでもいいって事かな?」
サービスの白くて長い指がシンタローの顎から喉を撫でた。
「ッッ…!」
息を殺したような声がして、困惑した顔で、シンタローはサービスを見る。
見るには見たが、サービスは無表情で何も読めない。
どうしよう、と、悩んでいると、サービスの麗しい唇がシンタローに急・接・近!

おおお叔父さんッッ!!

あわあわと慌てふためくシンタロー。
「駄目ッッ!!」
グイ、と、サービスを突っぱねたのであった。
しかし、シンタロー自身、自分が何故、彼を突っぱねたのかは解らない。
頭より体が先に動いてしまったのだ。
でも、脳裏に一瞬過ぎった男が一人。
マジックである。
ハッキリ言ってシンタローはマジックに惚れている。
端から見ると、そうは見えないが、それは本心。
普段は恥ずかしさのせいで上手く本心を表していないだけ。
何となく気まずい気がして下を向く。
「コラ!!サービス!!」
バッターン!!と、物凄い音がして、シンタローの自室が開いた。
そこに現れたのは金髪碧眼のナイスミドル優勝者、マジック。
シンタローは無意識のうちに安堵の溜息をもらした。
「今、お前、私の可愛いシンタローにキスをしようとしただろう!!」
シンタローを抱き寄せて、私のものだと主張する。

ああ、親父!言ってる事はちょーっとムカつくけど、今はアンタがいて良かった!!

そんな失礼な事を思っていると、サービスは優雅に髪をファサッ、と掻き分ける。
「兄さん。僕はシンタローにキスをしようとなんてしてないよ。ただ、ジャンに似てると思って瞳を覗いただけさ。」

なーんだ。

シンタローが納得しかかっていると、
「そんな見え見えの嘘が私に通じると思ったか、サービス!!」
より一層力を込めてシンタローを抱きしめる。
凄く苦しいが、苦しいと言えない変なプライドがシンタローにはあった。

「でも、親父。叔父さん違うって言ってるし。」
マジックの胸の辺りからシンタローが声を出す。
苦しさを悟られないように。
ハッキリ言って、何でどーでもいい事で我慢するのか理解に苦しむ。
「シンちゃん!もー!この子ったらッッ!!今のサービス見てよ!!絶対シンちゃんを強姦する気だったんだよッッ!!」
「話しを飛躍させすぎだっつーの!!」
ゴホン!と、マジックが咳をする。
「さ、シンちゃん。今日からどっか泊まりに行こうか。」
何処か、キラキラした目でシンタローを見る。
シンタローは冷や汗をかいていた。
「ごまかしたな、兄さん。」
「と、言うか、兄さんだってシンタローが自分の事をどう思ってるか知りたくないのかい?」
とりあえず律儀にツッコミはしてからサービスがマジックに話を振る。
そう提案されて、マジックは少し考えたように睫毛を伏せた。
サービスとて、一族の人間であり、マジックと兄弟だ。
この兄が一番興味のあること位心得ている。
そして、何に対して不安を持っているのかも。
マジックはシンタローに対してだけ自身がない。
だからウザイ程シンタローを構い、愛の言葉を呟き、束縛する。
それは自身のなさの現れ。
シンタローが生まれるまで、サービスはそんな兄を見た事がなかったし、マジック自身、力も権力も持ち合わした身だった為、欲しければ力ずくだった。
でも、シンタローにそれは通用しない。
初めて味わう渇望感なのだろう。
「そうだね。…ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?どっちと寝たい?」
チュドーン!!
サービスとシンタローがダブル眼魔砲をぶちかました。
「何をするんだ!シンちゃんなら許すけど、サービス!お前に撃たれたくない!!」
「兄さん、話が飛びすぎなのでは?」
「叔父さん!疑問に思っただけで眼魔砲を撃ったの?むしろ、つっこむ所そこなの?ああ!!ツッコミ所満載でよく解らん!!」
頭を抱えているシンタローと、鼻血を垂れ流すマジックと、そんなマジックを見下すサービスとがそこに確かに存在した。
「仕方ないだろう。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理だ!」
力説するマジック。
同性愛者が自然の摂理とか使わないで欲しいが、そのツッコミは今は止めておこう。
マジックは自分で自分を抱きしめていた。
何処からともなくキラキラと光り輝いて、彼は妖精なんじゃないかと思わせる。
勿論、思わせるだけなのだが。
「親父キモい。マイナス10点。」
「え!?もう査定始まってるの!?」
おもいっきり、これでもかっていう位、シンタローはしかめっつらをして、又一人頭を抱えて悩み始めた。

ソリャ、愛してんのは親父だヨ。

ちらっと見ると、マジックがウインクをしやがった。ザワッ!と鳥肌が立つ。
ハリキリムカツク。

でも、サービス叔父さんに嫌われたくないし。

今度はサービスに目をやると、グラビアアイドルも真っ青な位、セクシーかつ、色っぽいポーズを取られた。

叔父さんが俺を誘惑するーッッ!!

ブーッッ!!と鼻血が直線に出た。
どうしよう、どうしよう、と悩んではみたものの、答えなんかは見つかるはずもなく。
一人、ガシガシと頭をかく。
「シンちゃん、もういいよ。悩んでくれただけで私は嬉しい。」
は、と、見上げると、マジックが笑顔でそう言った。

何だよ、何なんだよ。その諦めた言い方。俺が選ばないって解ってるんだよって顔。違うよ父さん。俺はやっぱりアンタのこと好きだし愛してるんだよ。

「やっぱり…ゴメン、叔父さん。俺、父さんの方が…」
好き。
その一言は言えなかったが、二人には十分通じただろう。
マジックが驚いた顔をしている事からもその事が伺える。
「いいんだ、シンタロー。お前の部屋に俺の好きなアールグレーが無くて、兄さんの好きなローズヒップティーのストックがあった時から解ってた。」
サービスは、特に傷ついた風でもなくそう言い、シンタローの頭を撫でた。
「ごゆっくり、兄さん、シンタロー。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理…なんでしょう?」
サービスはにこやかにシンタローの部屋を出た。
バタン!と、扉が閉まってから、気がついたかのようにシンタローの叫び声が児玉する。

久しぶりにジャンに会いたくなったな。

サービスは胸ポケットからケータイを出して登録されてあるジャンのケータイへと電話をかけたのだった。









「ストーップ!!親父、ストーップ!!待てまてマテ!」
いやー!と、否定を全面に出して抵抗するシンタローだったが、自分よりガタイもよく、しかも秘石眼を持つマジックに勝てるはずもなく、あっさり確保された。

「シンちゃん。パパ言ったよね?シンちゃんに言ったよね?どっちと寝たい?って、パパ聞いたよね?シンちゃんはパパを選んでくれたんだよね?ってことは、イコールパパと寝たいっていうことだよね?」
はあはあと息荒くシンタローを確保し、抱きしめて、ねちっこく聞いてくる。
シンタローの後ろ髪を持ち上げて、うなじにキスをした。
「わーったわーった!寝てやるヨ!だから、ホラ、ベッドいこーぜ、ベッド。」
ホラ、ホラ、と、急かすようにマジックをベッドまで引っ張る。

へっへっへー。寝るっつーのは、二人で横になる事だけでも寝るっつーしナ。横になった瞬間転がって逃げれば約束は破ってねぇ事になる!!

グッ!と、心の中でシンタローはガッツポーズをして、自分の完璧な作戦に酔いしれた。

「ハッハッハッ!シンちゃん積極的だなー。まさかとは思うけど、寝るっていうのは、一緒に横になってオシマイじゃないよ?セッ●スするって事だよ?お前も子供じゃないんだから、それくらい勿論解ってるよね?」
ギックーン!!
図星を指されて、シンタローは肩を震わせた。
腐っても自分の父親。
28年間一緒に居たのは伊達じゃない。
「ハハ、も、もちろん!」
渇いた笑いをする。
心の中でシンタローは、チキショー!!と、叫んだ。ノロノロと、さっきの勢いとは裏腹にベッドへ行く勢いが弱まる。
それに勿論気付いていたマジックは、ひょいっ、とシンタローをお姫様抱っこし、スタスタとベッドまで連れて行き、スプリングの聞いた広いベッドに落とした。
「ブッ!」
お尻から落ちる形になったシンタローは、ギシギシというスプリングに身を任せる形になる。
まだ揺れが納まらないうちに、マジックがシンタローの体を押さえ付けた。
「そうだよね。あれだけ悩んで私を選んでくれたんだもんね。」
そう言って、耳元に唇を近づける。
温かい感じが耳からじわりと伝わった。
「ありがとう。シンタロー。嬉しかったよ。」
ズルイ。と、シンタローは思った。
そんなこと言われたら逃げられなくなるじゃないか。
マジックとこのまま情事をしてもいいやって気持ちになるじゃないか。
いや、もう既にそんな気持ちになってしまっている。
シンタローは静かに瞳を閉じて、マジックの背中に両手を回した。
それをOKの合図と理解したのだろう。
マジックも静かに了解のサインのキスをシンタローの唇に落とした。


チュク、チュク、と、舌をまさぐりあい、飲み込めなかった唾液がシンタローの唇の端から伝う。
「ン、ン、ぅ」
鼻にかかった声でマジックに答える。
マジックは、シンタローの頭を固定しながら何度も何度も角度を変えてシンタローの唇を味わう。
「ぷはっ!」
やっと息が吸えて、シンタローは、ホッとした。
「あ、あんだよっ…!ン、ふぅっ!!」
ニコニコしながら自分を見るマジックに、シンタローは悪態をつく。
それでもマジックはニコニコして。
「シンちゃんかわいー!」
なんて言ってやがる。
この、余裕ぶっこいてるマジックをギャフンと言わせたくて、シンタローは、マジックの局部を触った。
そこは既に立ち上がっているようで。
ズボンの上からでも熱く、固かった。
「親父だって、もう、こんなじゃねーか。」
「もう、シンちゃんたら。せっかちなんだから。」
困ったように笑うマジックに、シンタローはフフンと笑って見せた。
何だかちょっと勝った気がして嬉しい。
「そうゆう勝ち誇った顔も、全部大好きだよ。」
プチプチと、ボタンを外し、ズボンを脱がせる。
衣一式纏わぬ姿にされ、シンタローは上気した頬を一層赤くした。
「俺ばっかズリィ。親父も…」
脱いで。と、続けて、マジックの服を脱がせて行く。脱がせたマジックは、とても50代とは思えない程、がっしりと程よく筋肉が着いていて、思わず見惚れる。
あれだけ前線で戦ってきたのに、傷一つないその体は、彼がどれくらい強いのかという証明のようだ。
「シンちゃん、今日は積極的だね。」
ぺろりとシンタローの胸の突起物を舐める。
「ひゃぁあぁん!」
油断していたシンタローは、いきなりの愛撫に思いきり声を出してしまった。
「シンちゃん、もっとお前の可愛い声を私に聞かせて。」
乳首をくにくにといじりながら、シンタローの中心部をもいじり倒す。
堪らず声を上げるシンタローに、マジックは喜びにうちひしがれた。
自分の指で、舌で、愛するシンタローが感じてくれている。
それだけでマジックは心地良い。
パクリとシンタローの局部をくわえると、シンタローから抗議の声を浴びせられた。
「ば、ばか!んなトコ汚ねぇって!!」
身をよじり、マジックの唇から逃れようとしたが、ガッチリ腰を押さえ付けられ逃げられない。
「シンちゃんに汚い所なんてあるわけないデショ。」


ジュプジュプと、マジックの唾液と、シンタローの精子が混じり合い、淫らな音が奏でられる。
「ん…っ…あ…はぁっ!」
熱い吐息がシンタローの唇から否応なしに出て、熱くほてらせた体を震わせた。
「アン!いっいっちゃ…あぅ?」
イきそうになったシンタローだったが、マジックにいきなり根元を押さえ付けられた。
イきたいのにイけない。
もどかしくて。恥ずかしい事だと、淫らな事だと知りつつも、腰をゆらゆら揺らす。
「なんでぇ…と…さんン!ぃ、イきたい…よぉ…。」
終いには生理的な涙がぽろぽろ零れて、頬にいく筋もの跡を残した。
「待って、シンちゃん。イく時は一緒に、ネ?」
「そんなAV男優みたいなの、ヤだよぉ…!」
「…シンちゃん…以外と余裕だネ。」
マジックは、根元を押さえ付けたまま、シンタローの片足を抱え、入口付近に自分の猛った雄をグニュグニュと、円を描くようになすりつける。
そして、先端から奥まで一気に貫いた。
「ッヒああぁあ!!」
喉が壊れるんじゃないかという位の叫び声。
目を見開き涙を流す。
「シンちゃん大丈夫?」
シンタローを気遣う言葉を投げかけるくせに、腰の動きは納まらない。
シンタローは、イヤイヤをするように頭を振った。
結合部分から、白い液体が流れ出す。
余談だが、マジックの我慢汁が凄い訳ではない!
先端から奥まで激しいピストン運動のせいなのだ!
「や、も…っ…とぉさん…!…し…死んじゃう…よぉ…!」
グズグズと、鼻を啜り、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったシンタローは、マジックの胸に顔を埋める。
「…ッ!シンちゃん、凄く可愛いよ…。もっと声聞かせて…?顔も見せてごらん。…私の愛しい息子…。」
「…ゃ!」
グイと、シンタローを引き離すと、掴むもののなくなったシンタローは、マジックに両手を広げる。
何だか可哀相になってきて、やっぱり抱きしめてあげる。
シンタローには甘いなと、自分で自分を笑いながら。
でも、そんな自分もマジックは、気に入っていた。
ラストスパートに入り、シンタローの足を上に上げる為、シンタローの根元から指を外す。
シンタローの足はガクガク奮え、シーツをにぎりしめ快感だけを必死に追っていた。
「…と…さん…も…だ、ダメッッ!!」
ビュルビュルと、シンタローの雄から白い液体が飛び散り、シンタローの腹、胸、顔に至るまでを汚す。

マジックも数回腰を打ち付けた後、シンタローの中に精子をぶちまけた。











「サイッテー!!」
「だぁって!シンちゃんがパパを選んでくれたから嬉しかったんだもーん。」
「もーんじゃねーよ!可愛くねーんだよ!!」
腰が砕けて立てなくなったシンタローは、不本意ながらもマジックと隣に寝ている。
怒り顔のシンタローとは裏腹に、マジックは幸せ顔。
チッ!

舌打ちはせど、寝返りさえ打てないこの腰を怨む。が、そんな体にしたのはこの目の前にいるマジックだと気付き、腰を怨む必要はないと思った。
「パパねー。本当に自信がなかったんだ。お前がサービスを選ぶんじゃないかって思ってた。」

そんなわけねーだろ。俺の1番は、昔から父さんだけだ。肉体関係を持った今でも変わらない。
でも、このアーパー親父は、すーぐ調子に乗るから絶ッッ対そんな事言ってやんねーけどな。

「眠くなってきた。」
「ちょっと頑張り過ぎちゃったもんね…お休みシンタロー。」
優しい声と共に、シンタローは、目をつぶった。
お腹を規則正しくポンポンと叩いてくれるのが気持ち良くて、より一層眠気が舞い降りる。
「選んでくれて、ありがとう。」
薄れゆく意識の中、マジックがもう一度同じ言葉を呟いた。

バーカ。何度だって選ぶよ。やっぱり俺はアンタが好きだ。

心の中でマジックが聞いたら鼻血の海になりそうな言葉を呟き意識を離す。
しばらくすると、本当に寝入ってしまったらしく、規則正しい寝息が聞こえてくる。









しばらくして。
「シンちゃん寝ちゃった?」
しかし、熟睡しているらしく返事は来ない。
マジックはイソイソと自分のポケットの上着から、超小型カメラを掴む。
そして、シンタローの寝顔を録り始めた。
「エッチしてる時のシンちゃんも可愛いけど、寝てるシンちゃんも可愛いなぁ…。」
いつベストショットが撮れるかわからないので、何時も持ち歩いてるかいがあったと、アップで録り始める。

さっきの情事もバッチリデッキに納めたし…。
ふふ、シンタロー愛してるよ。宇宙の果てまでフォーリンラブ☆

マジックがキモい呪文を唱えた辺りから、シンタローの安らかな寝息は消えて、シンタローのうめき声がきこえたのだった。









おわり

m*
あの、楽園のような島から帰って4年の月日が流れた。
あれだけ父、マジックと本音でぶつかったのも、自分の意思を貫き通したのもあの日が初めてで。
自分がマジックの本当の息子ではないと知り、ショックもそれなりに受けたし絶望もした。
シンタローは新総帥になり、真っ赤な軍服を身に纏い、激務をこなしている。
だが、ふと思う。
あの楽園パプワ島と、そこに居る小さな友達の事。
そして、無性に帰りたくなる。
なにもかも捨て去って、あの島へ戻りたくなる。
自分の選んだ道が間違いだとは思わない。思わないが、この感情は、どうすることもできないのだ。

自室の窓から月を眺める。
疲れきった体なのに、頭は無性に冴えていて。
「パプワ…」
一言呟きを漏らす。
ちゃんと飯は喰っているのか、きちんと寝ているのか、そして、自分が今見ている月をあの、楽園で見ているのか。
会いたい。
今会いに行ったら、アイツはどんな顔をするのだろう。
きっと、いつ会いに行っても、あいつは変わらず俺を俺として受け入れてくれるだろう。
これは自信ではなく確信。
ガタリとシンタローはおもむろに立ち上がり、硝子ごしの月へ歩み寄る。
手を伸ばせば掴めそうなのに、手は硝子に邪魔をされて、ひんやりとしたつるつるの感触だけが指先を支配した。
「シンちゃん!」
おもむろに後ろから自分を呼ぶ声がする。
振り向けば、父、マジックが悲痛な面持ちでシンタローを見据えていた。
「親父、いつの間に居たんだよ。」
泣きそうな笑い顔をして、父にそう話し掛ける。
マジックはツカツカと早足で歩いて、シンタローを抱きしめた。
「なんだよ。」
問い掛けても何も答えず、マジックはシンタローを抱きしめた。
痛い位に。

「どこにも行かないで。」
少し間が開いてから、訴えるような声。
「シンちゃんが又何処かに行ってしまいそうで、私は怖い。」
抱きしめられている為、顔を見る事は出来なかったが、声でわかる。
いつもは冷静で、余裕と威厳がたっぷりあって、動じない父親が震える声で訴えているのだ。
シンタローはどうしていいか解らず、気の利く台詞の一つや二つ何故出てこないのかと悔やんだ。
そう。
シンタローが此処から何故出ていけないか。
勿論それは、ガンマ団の新総帥となり、責任ある立場だからという事もある。
しかし、それは建前のようなもので、本当の理由は父親。

この父親を置いて自分だけ何処かに行く事はできない。
実の父でなく、今では肉体ですら青の一族とは真逆の赤の一族のものである。
そんな自分を息子だと言い、自分が築き上げたガンマ団の総帥というポストすら明け渡してくれた。
そんな父を置いて行けるだろうか。
「もう、何処にも行かねーから。安心しろ。」
親父、と付け足して背中を撫でてやる。
こうゆう時のマジックは、でかい子供。
「でも、パパは不安で不安でしょうがないんだ。朝起きたら又お前が居なくなっているんじゃないか、昼、抜け出して出ていくんじゃないか、夜、私が眠った後書き置きがあるんじゃないか…何時も不安でしょうがない。」
抱きしめていた力を緩め、代わりにシンタローの肩を両手で掴む。
痛くはないが、暖かい感触が、軍服から染み渡る。
「親父…俺、正直帰るかどうか迷った。正直な気持ちを言えば、今も迷ってる。でも、俺は親父達を選んだんだ。家族を選んだんだ。」
迷っている。そう聞かされた時、マジックの端正な顔が歪んだ。
何時もは馬鹿みたいにポジティブシンキングなのに、シンタローの事になると自信がないのかネガティブになる。
パパはここだよ、お前の居るべき場所は此処なんだよとシンタローに伝えないと不安なんだ。
そっと唇をシンタローに落とす。
シンタローは素直にそれを受け入れてくれたが、不安は取れない。
「シンタロー…お前が又居なくなったりしたら、私は狂ってしまうかもしれない。」
「随分怖い脅しだな。」
困ったようにマジックに笑いかける。
だが、マジックは思い詰めたように真剣で。
「心配しなくても何処にも行けねーよ。あの島は…パプワ島はもう無いし、パプワ達が何処に行ったかも解らない。」
そして又月を見る。
月明かりは眩し過ぎず二人を平等に照らしていて。
シンタローの心を独り占めしているのであろう赤の一族の少年が憎く思う半面羨ましかった。
「じゃあ、もし、パプワ島が見つかったらお前は私を置いて行ってしまうのかい?」
「さあな。そればっかりはなってみねーと解かんねーな。」
そう言ってマジックの今だ広い胸に顔を埋める。
すり、と擦り寄れば、マジックが優しい手つきでシンタローの黒髪を撫でてくれる。
鼻孔をくすぐるお互いの匂いにしばし酔いしれて。
撫でる手つきが止まり、どうしたのだろうとシンタローは自分の頭上にあるであろうマジックの顔を見る。

「シンタロー、今だけは…今だけでいい。ずっとなんて贅沢は言わない。パプワ島が見つかるまで、お前がパプワ島に行ってしまうまで、パパに独り占めさせて。」
切ない顔でそう言われ、シンタローは背の高い父親の頭を撫でた。
まるで小さい子供をあやすかのように。
「親父、勘違いすんなヨ。もし、パプワ島に俺が行ってしまっても、必ず俺は此処に戻ってくる。だから。」
そんな悲しそうな顔をしないで。
そう続けたかった言葉は口から出ては来なかった。
あまりにも酷い状況の人に面きって“酷いですね。”と言えないように、今のマジックも相当悲しそうな顔をしていたから。
「だから、何?シンちゃん?」
「チッ!何でもねーよ。」
ばつが悪そうに下を向く。
「シンちゃん。パパ、少しだけ元気になったよ、ありがとう。」
ちゅ、と、シンタローの額に唇を落とせば、シンタローは少しくすぐったそうな顔をした。
そして、瞼、頬、唇の順にキスを降らせてゆく。
舌をシンタローの咥内に侵入させれば、シンタローは黙って唇を少し開いた。
「ん、んむ、」
上手く舌を絡ませる事が出来ないシンタローは苦しそう。
でも、そんなシンタローもそそるな、なんて不謹慎にもほどがあるのだが、マジックはそう考えていた。
苦しさを訴えるシンタローを、そっと、まるで硝子細工を置くかのように、優しくベッドへと倒す。
ギシリ、とスプリングの聞いたベッドが重みを示す音を出した。
マジックがシンタローの中心部分を触れば、ソコは既に立ち上がっていて。
ボタンを外して直に触れる。
「ゃ!だ!やめ…!」
とりあえず講義の声を出すが、先ほどの寂しそうなマジックの顔が脳裏をちらつく。
チラ、とマジックを見ると、やはり寂しそうで。
シンタローは口を閉ざした。
「シンちゃん、シンちゃん、」
まるで壊れた人形のようにシンタローの名前を繰り返し、繰り返、呼ぶ。
「も、ダメぇ!!」
一際高い声で、まるで叫び声にも似た声を喉から搾り出す。
びゅる、びゅる、と、シンタローの白い精子がマジックの指を濡らした。
ハァハァと、肩で息をするシンタロー。
マジックをみやると、自分の出した精液をぺろりと嘗めていた。
カァッと顔が熱くなるのを感じる。
「我慢…出来なかったの?シンちゃん。」
にこりと笑ってシンタローを見る。

マジックも限界に近かったが、彼はそんなそぶりは絶対見せない。
それは、少しでもシンタローに良く思われたいから。
少しでもカッコヨクありたいから。
マジックの深層心理の働きでは、いつまでも勝てない親でありたいという願いが含まれている。
勿論、それは気付いているわけではないのだが。
「ああ!と…ぉさぁんっ…!!」
「――…っ!」
シンタローの余りのなまめかしさと、久しぶりの“父”と呼ばれる喜びにマジックは自分でも驚く位欲情した。
思いきり精液が飛び出し、シンタローは自らの顔と腹を汚した。
それと同時にキュゥウッ!と締まり、収縮するソコに釣られ、マジックも又、シンタローの中に自分の精液を注入したのである。

ふ、と、シンタローのしがみついていた腕が解かれた。
必死に意識を繋いでいた緊張と快感が無くなり意識を失ったのであろう。
目尻には泣いていたと肯定させる涙の跡がうっすらと線を帯びている。
マジックはその涙の跡を舌で掬う。
「ゴメンネ、シンちゃん。」
そう言ってマジックはシンタローを抱きしめた。
もう何処にも行かないように、行かせないように強く、強く抱きしめる。
耳元でシンタローの安らかな寝息だけがマジックの心を心地良くさせた。










「あーーーっ!!」
シンタローの自室で巨大な声が響き渡る。
「どうしたの、シンちゃん。」
もぞもぞと、枯れた声で目を擦りながら上半身を起こすマジック。
そこでマジックの見たものは、わなわなと怒りのオーラを出して震えている、愛息子のシンタロー。
「この、クソ親父!!コレどーすんだよっっ!!」
ズビシ!と、指された場所には、赤い跡。
「これじゃ、総帥服着れねーじゃねーか!!」
確かにあんな胸の開いている服なんて着たら、自分は昨日情事をかましましたと言って歩いている事に外ならない。
「どーすんだヨ!!」
問い詰めるがどこ吹く風で、マジックはシンタローを見つめる。
「いーじゃない。シンちゃんは、パパのだって皆に解って。シンちゃんも、昨日の夜、パパの所に最後は来てくれるって言ってくれたじゃない。」
「それとこれとは話しが違がうだろ!」
アーパー親父ぃぃぃ!!!
ドゴーン!!
朝から親子喧嘩で眼魔砲をぶっ放し、部屋を壊し人様に迷惑をかけ、スタートする。
感傷に浸る暇なんてない位に。

でも、シンタローは解っていた。
マジックが自分から離れさせない為に、こうやって刺激を与えたり、怒らせたり、甘えたりする事。

「チッ!んな事しなくたって何処にも行かねーよ、バーカ。」
「え?何?シンちゃん。」
「何でもねーよ!ってかコレどーすんだよ!!」

パプワ島に居た時も、パプワと暮らした日々も、シンタローの中でとっても充実していた。
それと同じくらい、この家族の中で自分も充実しているんだと思う。
この、もうデカイ子供に振り回されるのは釈だが、今、俺は幸せなんだと思える。

「シンちゃーん!もう一回昨晩の続きしよーよー!ね?」
「ふざけんな!埋もれろ!」









終わり





ms





なみだに弱い




トゥルルル

「はい。高松ですが、どうかなさいましたか?」

「たかまつぅ…」

「!?…シンタロー様?」

「パパがね、たいへんなの。シンタローとおふろ入ってたらね、血を流して倒れちゃったの。」

「総帥が!?わかりました。今すぐ参りますからそこにいてくださいね。」

「うん。」


















「………なんとか一命は取り留めました。」

「……そうか。」

「サービスおじさん、パパはだいじょうぶ?」

「もう大丈夫だよ。シンタロー。でもよく高松に連絡したね。」

「まえにぼくがお熱したときパパがそうしてたんだよ。」

「……シンタロー。これからは一人で風呂に入りなさい。」

「えぇ~?どうして?」

「お前ももう6歳だ。これくらいになったのなら一人でお風呂にはいるものなのさ。」

「うん!わかった。明日からそうするね。」

「いいこだ。じゃあお前はもう寝なさい。パパはおじさんが看てるから。」

「うん。おやすみなさい、おじさん、高松。」

「おやすみ。」

「おやすみなさい。」


パタン。





















「……兄さんが倒れた原因はやはり?」

「ええ、先ほどは突発な血管破裂による出血多量なんていいましたけど。」

「……要するに鼻血か。」

「……恐ろしいことです。私も気を付けなければ…」




サービスはそのとき、もし兄と友人が鼻血なんかで死んだらもうガンマ団には一生帰ってくるものか。と思いました。







2004/



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