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「今日集まって貰ったのは他でもない。」
四兄弟の父が威厳のある口調で話始めた。
マジックのみ不在で、ルーザー、ハーレム、そしてサービスが、父を囲うように鎮座している。
「兄さんの事ですね。」
サービスがそう言うと、父はコクリと頭を下げた。
何故長兄であるマジックのみが不在なのか。
それは、今日行われる家族会議の議題だから、である。
別にハブっているわけではない。
ただ、これに関してはいくら尊敬する父の言葉だろうが、愛する弟達の言葉だろうが、マジックは聞く耳を持たないだろう。
「あいつは危険すぎる…!」










事の発端は三日前。
ルーザーの息子であるグンマとキンタローがシンタローの家に遊びに来た。
三人共今年10歳になったばかりの同い年で、性格はてんでんばらばらだが、そこが上手く行っているようで仲が良い。
それは、とてもいいことだ。
特にマジックの息子であるシンタローを二人が良く慕っているようで、酷く攻撃的だった、親のルーザーも手を焼いていたキンタローがとても紳士的になってくれたりとシンタローには何か特別な力があるようで。
それは、大いに助かっている。
その日も相変わらず楽しく遊び、良く笑っていたのだが、迎えの高松が来た時に、シンタローは酷く淋しそうな顔をした。
「じゃーねー!シンちゃん!」
「うん。」
それに気がついたキンタローが、シンタローの肩に、ポンと手を置き
「明日も来るからな。」
と言ってくれたので、その時は笑顔で二人を見送ったのだった。
家に入って来て、祖父と父と自分で夕飯。
「今日はシンちゃんの好きなカレーだよ!」
ピンクのフリフリエプロンを付けて料理をするマジックに、もう何も言わなくなった祖父。
シンタロー自身も、生まれた時からこうだったので、何の疑問も持たない。
だが。
いつもならカレーというだけで飛び上がって喜ぶこの孫が、全然嬉しそうじゃない。
寧ろ悲しそうな顔をしている。
「どうしたんだい?シンタロー。」
「おじいちゃん…。」
俯いて、自分の足に抱き着いてくる。
それを抱き上げると、シンタローは今にも泣きそうな顔をしていて。
「マジックの作るカレーは美味しいよ?カレー嫌だった?」
そう聞くと、プルプルと頭を振る。
そして、違うの、えっと、あの、と口をもごもごさせて何かを伝えようとしている。

「どーしたの?!シンちゃん!」
キッチンからカレーを持ってパパ登場。
心配そうにシンタローを見つめる。
シンタローは一度何か深く考え込んでから、哀願するようにマジックに向かう。そして
「パパ!僕も弟が欲しいよ!」
と言い切った。
祖父と父がびっくりしていると、シンタローは思いの限りをぶつける。
グンマとキンタローがうらやましいと。
そして、二人がバイバイと帰ってしまうのが本当に淋しいと。
「シンタローには私やマジックが居るじゃないか。」
そう祖父が言ってもシンタローは寂しそうに俯く。
「だって、おじいちゃんもパパもお仕事忙しいから、ボク、ボク…」
そう言うと大粒の涙を瞳いっぱいに溜めてから泣き始める。
祖父が慌てていると、マジックがシンタローの涙を指で拭き取る。
ああ、親子なんだなと、ここは父であるマジックに任せよう。そう思った瞬間。
「じゃあ、パパとシンちゃんで子供を作ろう!」

えっ!?

「そんなこと出来るの?パパ?」
「あったりまえじゃないか!パパのお注射をシンちゃんにすれば完璧だよν」

ちょっと…

「い、いたいの?」

ちょっと待って…

「ぜーんぜん!すっっごく気持ちいいよ!」

何を子供に吹き込んでいるんだ!!?

「マジック!」
「何です父さん。」
「お前、シンタローに何をするきなんだい?」
「やだなぁ」
くるっと振り返るマジック。
その顔の中止からは溢れ出した鼻血が滝のように流れ出ていた。
「ちょっと教育をするだけですよ。」
危険だ!とは思ったが、止めた所でコイツはやってのけるであろう。
だが早く止めないと、シンタローが危ない!
もとい、シンタローの貞操が危ない!
思い止まらせなければ。
「パ、パーパは反対だよ!シンタローが可哀相だ。」
「父さん。障害があるほど愛は燃えるんです。」
ああ、やっぱり!
祖父は目頭を押さえて俯くより他なかった。










「と、いうわけなんだ。」
マジックを除く三人はため息を漏らす。
前々からマジックの持つ息子異常溺愛は知っていたが、まさかそこまでとは!
予想はついていたけど!
まさか父の前で言っちゃうなんて!
「しかし兄さんが間違った事をするのでしょうか。」
出たよマジック崇拝者。
ハーレムは心の中で悪態をつく。
口に出せないのは怖いから。

「ルーザー、親子同士で肉体関係を持つのは良くない事なんだよ。」
そうやんわりと言われて、頷く事は頷くが、それは父の言う事が絶対だからであって理解しているわけではない。
とりあえず父は長兄を抜かす自分の子供達にシンタローの貞操をいかに守るか。そして、マジックをまともな人間にいかにしてするかの提案を聞く。
「シンタローが産まれる前はまだマトモだったのに。マジックはどうしてしまったんだろうな。」
どこか遠くを見つめる。
「父さん。」
1番解っていないであろうルーザーが元気よく挙手をしたので、父はルーザーを指した。
「素直に兄さんに悪い事だとお教えになればいいのでは?」
ルーザー、あのね、今までのパーパのお話聞いてた?
パーパね、もう既にマジックに言ったんだよ。
それでもね、あの子はシンタローと肉体関係をもとうとしてるの。

障害があるほど燃えるとか言ってるの。
父は溜息をついて、双子を見る。
「サービス、お前はどう思う?」
「私…ですか?」
「シンタローはお前によく懐いている。何かいい案はないかい?」
そう問い掛けると、サービスは考え込むように視線を前に集中させる。
そして、父に向かい一言。
「どうにもなりません。」
ああ、そうだね。
でも、それをどうにかしようって話し合いなんだよサービス。
わかるかな?
「次、ハーレム。」
「つーかさぁ、シンタローに言えばいいんじゃねーの?良くない事だって。マジック兄貴はアレでもシンタローはマトモだろ。」
「成る程!!流石ハーレム!私もそれは盲点だったよ!」
「ハーレム。兄さんに向かってアレとはなんだい。」
もー、勘弁してくれよ。今話しまとまりかけてたじゃねーか。
そう言いたいがやっぱり怖いので、思うだけ。
とりあえず、言葉のあやだと、マジック兄貴の事は尊敬していると嘘をつく。
嘘も方便とはよく言ったもの。
そう言えばルーザーは狂暴化しないことをハーレムはわかっていた。
「そうと決まれば早速マジックの元に行ってくるよ!」
すくっと立ち上がって父は喜び勇む。
胸のつかえが取れた父は何だか清々しくて、寧ろ神々しかった。
「俺も行くぜ。シンタローが心配だしな。」
よっこらとハーレムが立ち上がる。
心配している風だが、本心はルーザーと長く居たくないから。

あの兄貴と居るなんて息が詰まらぁ。
まったく、何で俺だけか、兄貴とサービスだけのペアにしてくれねぇんだよ。
マジック兄貴のせいだぜ?!
父の側に居れば安心と思っていたのもつかの間。
「私も行きます。」
ルーザーがそう言ってのけたのだ。
げ、とハーレムは思ったが、今更やっぱ行かないとも言えないので、渋々ルーザーの後ろに着いて歩く。
サービスも、シンタローが心配だと言う事で着いていくが、彼の本心は面白そうだから。
「父さん。ルーザー兄さん。」
「何だい?サービス。」
「どうした?」
いきなりサービスに話し掛けられたので、話し掛けられていないハーレムも含み三人は止まる。
「今日、今現在、グンマとキンタローはシンタローと一緒に?」
「いや。」
答えたのは父。
「さっきの出来事で慌ててお前達を呼んだんだ。だからグンマもキンタローも高松と帰ったよ。」
「じゃあ、今家に居るのはマジック兄さんとシンタローだけなんですね。」
「………。」
「………。」
「………。」
「では来年辺りにシンタローは母親ですね。」
沈黙の中、ルーザーがポツリ呟く事で父はしまったと言う顔をした。
「危険だ!シンタローがっ!!」
「父さん落ち着いて!」
「又青の一族が一人増えるだけです。喜ばしい事だ。」
「そうゆう問題じゃないんだよルーザー!!」
ぎゃぁぎゃぁと酷く煩く、三人は論を交わす。
そんな中ハーレムだけはシンタローは男なんだから妊娠しねぇだろ。と一人思っていた。
と、いうか、言ってやりたいのだが、どう考えても今、この時点でその言葉を、大切な言葉ではあるが言える状況じゃない。
つーか兄貴は科学者じゃねーのかよ。とんだヤブだなオイ。
こんな討論している間に早くしねぇとマジック兄貴の事だ。アイツ手は早いぜ。
ハーレムはぼぉっと三人のやり取りを客観的に見ているだけだった。
「シンタロー!今おじいちゃんが助けに行くぞ!」
「お供します!父さん!」
「やはりマジック兄さんが間違った事をするとは…。」
「ルーザー!ああもう…とにかく早く助けに行くんだ!行くぞ!お前達!!」
ああ、馬鹿ばっか。
ここには馬鹿しか居ねぇのか…。
ちょっぴり悲しくなったハーレムなのでした。











「シンちゃん。準備はいいかな?」



鼻血を垂らしながらマジックはふかふかのダブルベッドの上に裸体で座っていた。
その瞳は期待半分、不安半分。
どうしたらいいのか解らない気持ちと、これからマジックに注射をしてもらえば自分に弟ができるんだという喜びが入り交じっている。
「大丈夫だよシンちゃん。そんなに緊張しちゃって…パパと気持ちイイコトしてそしてオシマイなんだから。」
「うん…。」
これで弟ができたらきっと楽しくなる。
パパとおじいちゃんがお仕事で居なくても、グンマとキンタローが帰っちゃっても、きっと淋しくない。
独りじゃない。
淋しくて泣く事もないし、おっきいベッドでうずくまる事もなくなるんだ。
パパにお注射してもらえば…。
シンタローはゴクリと唾を飲んだ。
「始めるよ。」
「うん…。ねぇパパ…。」
「ん?何だい?シンちゃん。」
「あんまり痛くしないでね?」
かっ、かわいい!
マジックは出血多量で死ぬんじゃないかと、あの、高松もびっくりなほどの鼻血を天井高く噴射した。
「勿論だよ、シンちゃんνν」
「パパ、鼻血きたない。」
ぴた、と鼻血を根性で止め、マジックはシンタローの唇にキスを落とす。
ちゅ、ちゅ、と軽いキスを交わすと、シンタローもそれに応じてくれてマジックは嬉しくなった。
次第に軽いものからディープなものになってゆく。
シンタローが口で息を吸うのを見計らい、口内に舌を滑り込ませ絡ませる。
びっくりしたようにシンタローは目を見開いた。
そして、舌を縮こませるが、マジックの舌がシンタローの舌を絡めとる。
ちゅく、ちゅく、と、唾液の混じり合うおと。
段々気持ち良くなってきたのか、シンタローも積極的に舌を絡ませてきた。
「ン、ム…んんッッ…ん、ふ…ん」
マジックの上着をにぎりしめ、顔をほてらせる。
そろそろいいかな?
マジックが唇を離す。
「ぷは、は、あぁ、ん」
息を肩でしながら、震えるようにペタンと座り込む。
可愛い。可愛くて可愛くて仕方がない。
パパの為に頑張ってるシンちゃんすっっごく可愛い!!
シンタローにしてみれば弟の為なのだが、マジックの脳内は完全に自分の都合のいいように解釈されてしまっている。
マジックはシンタローの乳首を舌先で舐める。
「ひゃあぁあっ!な、なに!?」
すると途端になまめかしい声を上げるのだった。

「ここをね、舐めると、男の子が出来やすくなるんだよ。だからシンちゃん我慢できるよね?」
この嘘八百親父の言う事をシンタローは信じ込む。
この広い世界の中でシンタローは閉じ込められているも同然だから。
学校も行ってない、血縁者以外とは遊んでいない、そんなシンタローが信じる事が出来るのは、会った事があるのは、信じられるのは、結局父親なのだ。
舌先でシンタローの乳首を押したりすれば、ぷくりと固くなった乳首がマジックの舌先を押し返す。
その尖った乳首を吸い上げれば、シンタローはたまらず喘ぎ声を上げるのだ。
シンタローの中心は既に立ち上がり、先端から半透明の液体がにじむ。
マジックは毛のまだ生えていないそこに骨張った指を絡めた。
「や!なに!?パパ、何するの!?あ、あ、ヤ、そこダメッッ!!」
瞳を潤ませ、唾液は飲み込めないらしく垂れ流し。
「ダメ、じゃないでしょ?シンタロー。気持ちいい、でしょ?」
耳元で囁かれ、シンタローはブルリと体を震わせた。
肌が総毛立つ。
「ホラ、シンちゃん、どんな感じか言って。」
「ふ、う」
恥ずかしそうに頭をイヤイヤするが、マジックは言わせたいらしい。
必要にシンタローの性器を扱う。
「ホラ、パパが笑ってるうちに。言いなさい、シンタロー。」
有無を言わせぬ圧力をかけられ、固く閉じていた唇を開き始める。
「…い。」
「なぁに?シンちゃん聞こえないよ。」
「…ッッあ、きもち、いいっ!!」
「ハイ、よく出来ました。シンちゃんはお利口さんだね。」
そう言って優しく唇を髪に落とす。
「ンン…。」
恥ずかしそうに身をよじるシンタローにマジックは既に興奮していた。
無垢な心と体。
自分しか信じられないシンタロー。
そのシンタローを犯す自分。
まるで足跡のない新雪を土足で踏み荒らすような何とも言えない心地。
勿論人には普通は言えない恋愛対象として実の息子を見ている。
「シンちゃん、泣いちゃだめだよ。」
一言そう言って、マジックはシンタローの性器を口に加えた。
「ひ、やああああ!」
ビリビリと電気のようなものが頭のてっぺんから爪先まで駆け巡る。
ヤダ。
そんな所なめるなんて。
パパやめて、汚いから。
ヤダ。ヤダ。ヤダ。
やめて!
言いたいのに口が動かない。
ただただシンタローは喘ぐ事しかできなくて。

泣きたいけど、さっきパパが泣いちゃダメって。
男の子はきっと涙を見せちゃいけないんだ。
そう信じ込んで、シンタローはギュッと瞳を閉じた。
ちゅぷ、ちゅぷと聞こえる水音。
父に加えられている自分の中心。
熱くて熱くて堪らない。
この熱を開放したいのに、行き過ぎる快楽のせいで、そして、無知故に。
いけない。
いきかたが解らない。
「ふあ、あ、あ、パ、パパぁッッ!」
髪を引っ張って快楽に堪える。
ふるふると体を震わせて、涙を流すまいと必死に堪えながら。
ちゅぷ、という音がして、マジックはシンタローの性器から唇を離した。
テラテラと唾液とも精液ともつかぬ糸が名残惜しそうにマジックとシンタローの性器を繋ぐ。
「は、はひ、はぅ…」
やっと止めてくれたとシンタローは安堵した。
でも、まてよ。
お注射はいつなんだろう。そのために今までこんなことに耐えてきたのだ。
「パ、パパ…」
「なぁに?シンちゃん。」
極上の笑顔でシンタローを見る。
シンタローはドキドキした。
言っていいんだよな!?
な!?
だってパパと弟を作るためにボクこんなに恥ずかしい思いしたんだもん。
パパが約束忘れるわけないけど…。
ボク、もう、こんな恥ずかしいの耐えらんないよ!
「あ、あのね。」
もじもじと下を向いたままマジックに話し掛ける。
マジックはニコニコしながらシンタローの話を聞いていた。
「お注射まだ…?」
鼻血の海になりました。
シンちゃん!
無知っていうのは罪なんだね!
シンちゃんからお誘いをパパ受けちゃったよ!
そんなにパパと一つになりたいの?
このこったら!可愛いったらない!!
しかも!しかもしかも上目使いで!!
ヨーシ!パパ頑張っちゃうぞ!
シンちゃんの為にハッスルしちゃう!!
やけに自分に良い方にしかやっぱり考えないマジックでした。
「ごめんねシンちゃん。い、いいいい今入れてあげるから!ね!」
「うん。早くね。」
早く!
そんなに!
シンちゃんパパの事出血多量で殺そうとしてない?
ね、してない!?
「じゃ、シンちゃん、いくよ?」
「え?う、うん。」
マジックは自分の指をくわえ、濡らしてからシンタローの中に入れた。
「ヒッ!!い、痛ぁいっっ!!」
「ああ、ダメだよシンタロー!力抜かなきゃ痛いんだよっっ!」
顔は心配してるのに指はくるくると動かしたまま。

「いたいよぉ!パパのウソツキ!!キライ!!」
「そんなこと言わないでぇ…ちゃんと気持ち良くなるから、ね?」
「ううう~…」
マジックの腕を両手で掴む。
指を動かしてるだけなので支障はない。
「シンちゃん、深呼吸して。」
「うう…!ッッ!す、はぁ、すぅ、はあ」
キツキツのソコは深呼吸によって少しはましになってきたがマジックのを入れるには全然足りない。
なので、マジックはいったん指を抜いた。

「ひゃあああっ!!」
その衝撃でシンタローが声をあらげる。
「ごめんね、ごめんね、」
マジックは謝ってから、シンタローの足を上に持ち上げ蕾に舌を這わせた。
ぞくぞくっ!
鳥肌が立つ。
「や、やだ!」
ちゅる、ちゅる、
シンタローの蕾を舌先で解していく。
「や、や、ああ、あ、あぅ!」
掴まるものが何もなくて、シンタローはシーツをにぎりしめた。
唾液で充分ほぐしてから、再び指を入れると、始めより大分ほぐれてきたようで。
嘗めながら指を抜き差しする。
すると、シンタローの性器から液がぷくぷくとうごめいた。
「や、パ、パパぁ!ソコへんなの!や、きもちいいよぉ!」
蕾の中のぷくりとした部分を刺激してやると、シンタローは艶の含んだ熱い吐息を吐くのだった。
なので、マジックも頑張っちゃう!
イケイケ私!押せ押せ私!「シンちゃん、いくよ…」「ふぇ?あ、ああああ!」
喉が裂けるんじゃないかという絶叫にちかい声。
耳をつんざく程の大声量。マジックはゆっくりとだが確実にシンタローの中へ己を埋め込んだ。
「シンちゃん、ッッ、シンタロー…」
「アア、パ、パパ!!痛いよぉっ!」
額に汗が滲み出る。
でも、そんなことよりシンタローの中に入れた事のほうがマジックは嬉しくて。最奥に到達したとき、不謹慎ながらも微笑んだ。
私は今、シンタローの中に入っている。
そう考えるともっと欲情してしまう自分がいる。
シンタローの気持ち良い所を重点的に付くと、シンタローも、あられもない声を出した。
「ひゃ、あ、パパッッ!うごかさ…ない、でッッ!!」
「それは無理だよ。シンタロー。」
「ひっ、な、なんでぇ!?」
「愛しているから。止められないんだよ。」
そう言うと、マジックはスピードを早めた。
パンパンと、肉のぶつかり合う音と、飛び散る汗。
「あん、あ、ああっ!パ、パパァ!!」
「シンタローッッ…!」

自分の下半身ではないような感覚にシンタローは陥った。
気持ち良くて頭がぼぅっとなる。
やっぱりパパはウソツキじゃなかった。
キライなんていってごめんなさい。
心の中で謝る。
きゅうきゅう締まるシンタローの中はとても気持ちが良くて、マジックにしては珍しくそろそろ限界のようだった。
でも、シンタローを先にいかせてからじゃなきゃという変なプライドもあって。
マジックはシンタローの性器を上下に擦る。
「や!だめ!オシッコでちゃうよ!」
「大丈夫。シンちゃん。それはオシッコじゃないから、ね?出しちゃいなさい。」
カリッと尿道をひっかくと、我慢できなかったのか、多分生まれて初めての精子を吐き出した。
「あああああん!」
今まで我慢していたであろう涙をポロポロ目尻から零し、びくびく震えるシンタローを拝んでから、マジックも又シンタローの中に精子を吐き出したのであった。
「あ、あついよぉ…」
グズッと鼻をすすってシンタローは気を失った。
ずるり、とマジックは自分のを引き出す。
それと同時だった。
「マジック!シンタローに手を出すのは…」
「あ、父さん。何処に行ってたんですか?何処かに出かける時は一言言ってからでないと…」
「ああっ!シ、シンタロー!!」
遅かったか…
父はがくりとうなだれた。しかも泣いて。
…ああ、おじいちゃんがもうちょっと早く来ていれば!!
「兄さん。」
「なんだい?ルーザー?」
「父さんが、親子同士で肉体関係を持つのは良くないと言っていたのですが、本当なんですか?」
「一般論的にはそうなるね。でも、お互いが愛し合っていればそんなことはないと私は思うよ。」
やけに清々しく、そして堂々と捩曲がった自分の論理をルーザーに平然と言ってのける。
ルーザーの後ろにいたハーレムとサービスは

パンツ位穿けよ。

と思った。
流石双子。
普段は仲が悪いのに、こうゆう変な時は心がシンクロするらしい。
「シンタロー、大丈夫かい?!シンタロー!!」
祖父が揺すると、ううん、と声を上げ、目を擦るシンタロー。
ポケッとした、焦点の定まらない目で祖父を見上げる。
「おじいちゃん?」
「可哀相にシンタロー!!マジックに嘘をつかれてコンナコトされるなんて!」
「うそ?」
そこでシンタローは、ハッ!と覚醒した。
そして祖父の腕をぎゅっと掴む。


「じゃあ、シンタローの弟はできないの!?」
シンタローが必死に祖父を揺する。
ああ、可哀相に。
祖父は目頭を押さえた。
「シンタロー、弟というのは、マジックと、お前の母親との間にできた男の子を指すんだよ。ちなみにお前とマジック兄さんとの男の子は息子になるだけで弟にはならない。」
冷静にルーザーが言い放つ。
ハーレムは、寧ろ男同士で子供はできないということをシンタローに伝えろ。
本当にアンタまさか知らないのか?!
と、真剣に思った。
「じゃ、じゃあ、何でパパあんなこと…。」
ポロリと涙が溢れる。
痛かった、恥ずかしかった。
でも、弟ができるってパパが言ったから頑張ったのに。
ヒドイ。ヒドイヨ、パパ!!
「それはね、シンタロー。」
ひく、ひくと、泣きじゃくるシンタローの涙を指ですくって舐める。
少し塩っぱい味がマジックの咥内に広がった。
「私がシンちゃんを愛してるからだよ。」
はっ!と、シンタローがマジックを見た。
マジックは決まったと思う。
ルーザーは、兄の台詞に痺れていたし、ハーレムも、サービスも、きっとシンタローは情に流されるだろうと思っていた。
だが、父だけは先程の狼狽とは打って変わって、腕を組み、二人の成り行きを見守る。
「……な…………い。」
シンタローがぼそぼそと呟く。
「ん?なぁに?シンちゃん。パパに聞こえるように言ってごらん?」
既にデキ上がっていると信じて疑わないマジックはウキウキ気分でシンタローに催促する。
何てシンちゃんは言うのかな?
パパだーいすき?
それとも、
僕も前からパパにこうして貰いたいと思っていた?
まさか、
もう一回して?
あーんシンちゃんったら!H!!
ドキドキワクワクしながらシンタローの言葉を待つ。
「パパなんか大ッッ嫌い!!ウソツキパパなんて絶交だっっ!」
「シ、シンちゃんっっ!!」
ガーンと、鈍器で殴られたような衝撃が走る。
今まで良い方向にしか考えていなかったので、傷つきも半端じゃない。
例えるなら、天国から地獄まで真っ逆さまのジェットコースターに乗せられたよう。
「眼魔砲っっ!!」
ドカーン!
シンタローの撃った眼魔砲がマジックにクリティカルヒット!!
「おおっ!!」
外野から歓声があがる。
眼魔砲を撃つ事ができて、初めて一人前なのだ。


ちなみにキンタローは打てるがグンマはまだ打てない。
「パパのばかー!!」
黒焦げになったマジックにルーザー以外天誅が下ったと思い同情はしなかったのであった。











終わり。




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mns
恋人である前に親子で、でも、血は繋がらなくて。
しかも敵対する赤の一族の体の俺をあなたは愛してくれた。
でも、何だろう、この虚無感は。
ぐるぐるまわる螺旋の渦の中、ただ一人その空間で何もする事がなくただそこに存在しているのかすら解らないようなそんな感覚。
雪の日にただ一人部屋にいる感覚と似ている。
そんな気分になってしまっている。










「シンタロー…!」
「ッッとぉさ…!」
真っ暗な部屋の中、キンイロの髪だけが月明かりに照らされてキラキラ光る。
自分だけが持っていない色が今でもうらやましい。
色濃く充満する情事の臭いと、空気。
マジックの汗がダイヤモンドみたいにぱたぱたと自分の胸や腹に垂れる。
彼の全てのものは美しいのだけれど、彼にちっとも似ていない自分の全ては醜い。
それでも。
「綺麗だよ」
そう言って貴方が嘘をつくから。
騙されてる振りをしなければならない道化の自分。
「好きだよ、愛している。」
そう貴方が狂言を吐くから。
悲しみを押し殺して偽り続けるしかない自分。
彼の一番激しくも美しい部分に貫かれ、醜く汚い自分はよがって、まるで窓に写る満月のように美しい彼を抱きしめる。
絶頂時のその瞬間だけ、シンタローはマジックに愛されていると思える。
熱い体を抱きしめるマジック。
小さい頃から情事の後のキマリゴト。
「ねぇ、シンちゃん。パパの事好きって言ってよ。」
マジックが覆いかぶさる形で抱きしめあっているから、お互いがお互いの顔は見えない。
マジックがどんな顔をしているか、なんて解らない。
シンタローは無表情のまま。
「調子に乗ンな。」
と呟く。
これ以上惨めにさせないで欲しい。
アンタが抱いているのは俺じゃない知らない想像でできた奴。
小さい時みたいに、もう、アンタの言葉を素直には聞けない。
「なんでなんで!?シンちゃんのケチ!!」
ふーんだ!とか言ってるのに、ぎゅーっと抱きしめる。
お願いだから止めて欲しい。
そうやって俺の心を壊さないで。
痛くて痛くてたまらないんだ。
アンタは遊びなんだろう。マジックの方を向くと、マジックはふて腐れてるらしくシンタローと同じ方向を向いていて。
シンタローはマジックの金髪を見つめる。
肌と肌がくっつきあっているから温かい。
心もそうだったらいいのにと、切に、切に、願う。

それが出来ないのは重々承知の上で。
きっと近いうちに自分はこの男から離れるだろう。
いや、離れなくてはならないのだ。
彼なら一人でも大丈夫。
自分がいなくとも何でもできる。
シンタローは静かに瞼を閉じた。
「シンちゃん、寝ちゃったの?」
マジックの声が近くで聞こえる。
声を発するのも、マジックの顔を見るのも苦しくて嫌なので、シンタローは眠った振りをした。
ねーねーシンちゃん!とか、起きてよつまんなーい!とかマジックが一人言っていたが、一行に何もアクションを取らないシンタローに、マジックは目を細め、愛おしそうにシンタローの髪を撫でた。
サラサラと髪を弄び、シンタローの頬にキスを落として。
「おやすみシンタロー。愛しているよ。」
そう呟いて布団をかける。
マジックの寝息が聞こえてから、シンタローは声を殺して泣いた。










「シーンちゃんっ!今日はパパと一緒にドライブに行こうよ!ねっ!」
総帥室に有無を言わさず勢いよく入ってきて、ウインクをする。
マジックだから様になる行為だ。
「やだ。」
「えっ!シンちゃん結論早くない?たまにはいーじゃないか!ね?」
「なーにが、ね?だ!馬鹿親父!俺はアンタと違って忙しいの!」
マジックは一切見ないで書類をチェックし、秘書達にココにこれを持っていくように手配しろ、これにはサインできないから責任者にもう一度確認してこい等と指示を出す。
「たまにはいーじゃないか!パパと遊ぼうよ!」
「だーめ!」
べっ、と舌を出して書類にサインをしたり、読んだりしていると。
「あああああ!!」
マジックが急に巨大音声で叫んだのでシンタローを含め秘書達も動きが止まりマジックを見た。
「な、何だよ!どーしたんだ!?」
回りをキョロキョロ見るシンタロー。
「今の顔凄くカワイイ!ね、もう一回やってよ!今ハンディカム持ってくるから!」
はぁはぁと興奮しているのだろう。
床には鼻血の血飛沫が噴射されていた。
秘書達はげんなりとし、シンタローの安否を心より心配した。
変態親父で可哀相にと、秘書達の心はいつも一つ。
しかし、シンタローは、この父親の演技に騙されないぞと思うが、騙されたふりをしないと、もうマジックに振り向いて貰えなくなる、と思っていた。
偽りでもいい。彼の愛が欲しい。
渇望するほど。

「親父…キモイ。」
「ガーン!パパ、すっごいショック!」
「ガーンって口で言うな。ムカツク。」
そこまで言われてもマジックはシンタローにイチミリでも近づこうと必死になる。
そうまでして好きなのだ。
何をされても、何をしても愛おしいし、愛していける自信がある。
きっとこの世にシンタローがいなくなってしまったら、この世界になんてこれっぽっちも興味がなくなるだろう。
下手したら彼は自殺をしてしまうかもしれない。
シンタローの元へ行きたくて、シンタローの元へ近づきたくて。
でも、この世が自分とシンタローだけしか残らなかったら。
そう考えると、私はシンタローとアダムとイヴになれる気がするよ!
シンちゃん大好き!!
マジックの脳内の99%はシンタロー。
残りは生活する為の基本的なことだったり。
「一緒にドライブしてくんなきゃ、パパ本気で暴走するよ…。」
「はぁ?!ふざけた事言うな!!壊れた所テメーの金で直せよな!!」
「秘石眼使用にするから、全部立て直すようかもね。」
「おまっ!息子脅してんじゃねーよ!」
でも、やるといったらやるだろう。
それは側に居た秘書達も解っているようで。
真っ青になって少しカタカタと震えている。
シンタローがマジックと違う所は他人も大切にする所。
団員達に戦闘任務でもないのに怪我をさせるわけにはいかない。
しかも相手は世界最強と謳われた覇王・マジックなのである。
「わーったよ!」
仕方なくマジックの誘いを受ける。
情事をする時以外は余り会いたくない。
本当に自分を愛してくれているのかもしれないという淡い期待をしてしまうから。
父親と関係を持ってしまった当時はまだ良かった。
親子同士という関係に葛藤しているだけだったから。
でも、今は…。
愛していると知ってしまったから、もう遅い。
親子での恋愛ができるはずがないし、多分マジックが遊び相手として手っ取り早く遊べる相手が自分だったのだろう。
昔好きだった人に似ているらしいとハーレムに聞いた事がある。
だが、それのせいではないと核心めいた思いがある。
そうじゃない。そうではないのだ。
俺が恐れているのはそんな事じゃなく、マジックに愛されていない事。
アイツの“愛”の感情が、意味が、強さが、思いが、俺の持つ意味と温度と掛け離れているのではないかという不安。


いくら愛してると言われても、嘘だと思ってしまう。
「じゃ、シンちゃん一緒に行こうね!ね、ね、何処行く?あ、そうだ。今度オープンしたフランスのお店凄く美味しいんだって!ねーねーシンちゃん、そこ行こうよ!」
凄く楽しそうにシンタローの腕を掴み、ジェット機に乗せる。
ここでもマジックの好みのように振る舞わなければ。
いつものツンツンした、父親大嫌いの自分を演じなければ。
シンタローは嫌々なようにジェット機に乗り込む。
ふて腐れているようにして、マジックの顔は見ず、ずっと窓の外、下を見下ろす。
「シンちゃん、綺麗な夜景だね。」
ふ、と、時折見せる大人の顔。
思わずぱっ、とみやると、マジックも先程の自分と同じようにジェット機から外を眺めていた。
「シンちゃん、夜景好きなの?」
目が合った。
反らしたいけど反らしたくない。
なんだか反らしたら負けみたいな意味のないプライド。
「別に。」
「あ、でも、これから行くお店もすっごく夜景が綺麗なんだよ。」
「あっそ。」
「シンちゃん。」
「あんだよ。」
「怒ってる?」
「……。」
怒ってなんていない。
でも、怒ったふりをするほうがアンタは好きなんだろ?
だから。アンタの為に今俺は怒って居る俺を演じる。
「当たり前だろー?ったく!仕事に差し支えたらどーしてくれんだ!」
すると困ったように笑うので、どうしていいか解らず俺はまた、目を窓の外へ這わせた。









マジックのオススメの店に着いた。
高い建物の最上階、Vipルームの窓際に腰を降ろす。
客は自分達しか居なく、黒服が数名自分達専用のように居るだけだった。
聞けば貸し切りにしたとの事。
ふぅん、と、シンタローは素っ気なく返事をし、窓の外を見た。
「ね?綺麗だろう?」
「まーな。」
肘をついて、頬に手を置き、さして興味なさそうに努める。
「シンちゃん、機嫌直して?ね?あ、ホラホラ!シンちゃんワイン来たよワイン!」
黒服がワイングラスと、氷の入ったワインを持って来て、グラスをマジックとシンタローの前に置く。
マジックはシンタローのご機嫌取りに必死で。
だってシンタローと二人で居る時の時間はお互い楽しくありたい。
愛してるから。それは当然の事。
「ホラホラ、シンちゃん飲んで飲んで!ね?」
そう言われてシンタローは一気にワインを飲み干した。


喉にアルコールが流れ込むのを感じる。
「もっと!」
そう言って黒服からビンを奪いそのままラッパ。
ゴクゴクと喉が上下に動く。
「俺、焼酎飲みたい焼酎!冷で!!」
「シンちゃん、ココは焼酎ないよ。ワインかシャンパンで我慢して?ね?」
う~…と、シンタローは唸ってマジックを見た。
マジックはヤレヤレと言った様子で黒服にワインの追加を頼む。
「飲めとは言ったけどね、お前はアルコール余り強くはないんだから、ほどほどにしなくちゃダメだよ。」
「ふん!」
鼻息をして、また、そっぽを向いた。
カボチャのポタージュが出てくる頃には、シンタローは既にベロベロに酔っ払っていて。
マジックはアルコールが強くザルなのだがシンタローは弱い方なのだ。
マジックは心配そうにシンタローを見るが、シンタローは我関せずの勢いでポタージュを飲んでみたり、ワインやらシャンパンを飲んだりしていた。
「つーかさぁ、親父わぁ~俺の事遊びなんだろぉ~?」
メインのロブスターをくわえながらシンタローにいきなり言われ、マジックはむせた。
酔っ払った勢いで思いのはけをぶちまけようというシンタローの魂胆だ。
というか、酔っ払っているのでそこまで頭は回らないが。
「なに言ってるんだいシンタロー!遊びの訳ないだろう?」
この子はまた、訳の解らない事を…。
私が遊びで息子を抱く訳がない。
お前だからなのに。何で解ってくれないのか。
「ふぅん、そぉ。」
そう言ってシンタローは料理に手をつけ始める。
デザートまで綺麗に食べ終えたが、それ以降マジックがいくら話し掛けてもシンタローは何も返事をする事なく、ただ、黙々と料理を食べ続ける。
「これウメー!」
「じ、じゃあさ!パパが同じの作ってあげるヨ!」
「このモンブランタルトお代わりー!後5つ追加!!」
こんな感じである。
そして、店から出た途端、ふらりと倒れ、慌てて抱きしめるマジックの胸の中ですかすかと気持ちよさ気な寝息が聞こえ、マジックは安堵のため息をついた。










シンタローが目覚めると、そこは車の中。
マジックが左側で運転をしているのが解る。
一旦目を開けたのだが、眠気には勝てず、シンタローはまた、眠りの中に身をゆだねたのだった。




連れて来られたのは高級ホテル。
シンちゃん起きて、と、何度かマジックが声をかけたが、安眠を貪るかのようにシンタローは起きなかった。
マジックは浅いため息を一つして、シンタローをおぶさりホテルのロビーに入る。
車の中で電話をしておいたらしく、支配人がすぐに来て、Vipルームに案内された。
息子様を連れてゆきますよ、という支配人に、マジックはやんわりと断り、カードキーを受け取って部屋に入った。
薔薇の香の立ち込めたフランス形式の部屋のベッドにシンタローを寝かす。
「う…ん。とぉさん…。」
寝言で自分を呼ぶシンタローに、マジックは酷く欲情をし、赤くなった顔を誰に見られるわけでもないのに口元を手で押さえた。
「シンタロー…。」
愛しい愛しい息子。
そして、居なくてはならない最愛の恋人。
こんなに愛しているのに、何で思いが伝わらないのか。
遊び…本気でシンタローは私がそう思っていると考えているのか。
そんなはずないじゃないか。
どうすれば伝わるんだろうか。
私のお前に対する、張り裂けんばかりの愛情を。
言葉と体と態度しか、私の凡人な脳では解らない。
さらり、と、シンタローの髪をとく。
そして、額にキスを落とそうとした時。
ぱか、と、シンタローの目が開いた。
「て、テメー、今、寝込み襲おうとしたダロ。」
「シ、シンちゃん、おはよー!」
「まだ夜だバーカ!!」
まどろんだ顔で、とろんとした瞳でマジックを見る。
アルコールのせいで、声もいくらか枯れているようだ。
「父さん、抱っこして。スリスリ抱き抱きして。」

!!?

一瞬何が起きたか解らなくなった。
マジックは後ずさり、冷や汗を流す。
このこは言っている意味が分かっているのか、寧ろ、本当にシンタローなのか
一方のシンタローは、やっぱりな、と自笑した。
やはりマジックはこういった素直な自分は嫌いなんだ。
でも、本心ではいつも一緒に居たいと思うよ。
いつも貴方に触れていたいし、触れられていたい。
でも、演技するのはもう疲れた。
貴方に恋焦がれるのも、もう…。
「何でもナイ。俺、明日会議だから帰るわ。親父は休んでから帰れよ。」
ア然としているマジックに悲しそうに笑いかけ、ふらつく足を気力で立たせ部屋を出ようとする。
これでハッキリしたじゃないか。
アイツは俺にベタベタすんのは遊びだから。
こっちが本気を見せれば逃げてゆく。



言ってしまって後悔の気持ちはさらさらない。
本心を知りたかったのは嘘ではないし、疲れてしまったのも事実であることに変わりはないのだから。

「シンタロー、待って。」

なのに。なのに何でこいつは俺を引き止めるのだろうか。
やめて、やめて。
期待している自分が出てくるから。
引き止めないで。そっとしておいて。お願い。
「どうしたの?何時ものお前らしくない。」
そりゃそうだ。俺らしくないだろうよ。
何時もの俺は作ってる俺。アンタに好かれる為に必死になってアンタの好みにしているんだから。
「どうもしねぇよ。」
それだけ言うと、シンタローは又部屋から出ていこうとした。が。
きゅっ。
後ろから温かい温度が伝わる。
抱きしめられているとその時気付いた。
強いけれど優しく。優しいけれど逃れられないように。
「誘ってくれたの?」
「違う。」
そうじゃ、ない。そうだけれど、そうじゃない。
一番重要な要点はそこではないのだ。
「何で泣くの?」
「アンタが!アンタが…っ!」
「私が?」
「アンタが俺の事、本当は好きじゃないから。」
自分で言って苦しくなる。
思っているだけと、口にするのでは重さが違う。
「これが本当の俺なんだよ父さん…。アンタの考えてるシンタローは作りものなんだ。」
さぞやガッカリするだろう。
今まで自分好みに育て、遊びで付き合った最も信頼していた息子に裏切られた心境だろう。
でも、我慢できなかった。
狂ってしまうかと思った。
これ以上もうどうにもならないところにまで来てしまったんだ。
「シンタロー…。」
呼ばれても、顔は見れない。
ただ、マジックの唇から出る息遣いがシンタローの耳を掠め、回されている腕から、まだマジックが自分の側から離れない事を知る。
だが、次の瞬間、マジックの温もりが消えた。

ああ。

やはりな、と、シンタローは思う。
遊びで付き合った手っ取り早い奴。
いきなり本気ですと言われても引くしかないだろう。
わかりきっていた結果だったのに。
何でこんなに涙が溢れるんだろう。
「シンタロー、こっちを向きなさい。」
背後から聞こえる父の声に、シンタローは黙ってマジックの方へ体を向ける。
溢れる涙はどうしても止める事ができなくて。
ポロポロ零れる涙をそのままにしてマジックを見た。
.



ぺろり。
マジックの舌がシンタローの頬に流れる涙を舐めた。
「お前の事をどれほどまで私が愛しているかということをどう表現すればお前は解ってくれるの?」
悲しそうに眉を潜めて、シンタローの視線に立っている父。
ポロポロ涙を零し、信じられない顔でマジックを見る息子。
「うそばっ…かっ!」
「嘘じゃない。」
「じゃあさっき、なん、で…!」
何で誘ったら引いたの?
自分の好きなシンタローはそんなことしないからでしょ?
「さっきは嬉しくてね。お前は本当におかしな子だね。何で私に愛されてないなんて思ったの。私にはお前しか居ないのに。お前が私の全てなんだよ。シンタロー。」
「コ、コタローも、グンマも、キンタローも居るじゃねぇか。何で血の繋がらない俺がアンタの一番だなんて思えるよ!」
「それでも私の一番はお前なんだよ。シンタロー。」
愛しているよとキスをされた。
角度を変え、何度も何度も。
息継ぎの時に壊れたレコードみたいに愛していると囁かれて。
いいの?俺の思い過ごしだったって自惚れていいの?
「っふぁ、父さん…。」
「なんだい?シンタロー。」
「愛してる。」
初めて言われた愛の言葉に、マジックは顔が赤くなるのを感じた。
「私も愛しているよ。」
「ふ、親父、顔真っ赤だぜ?」
「シ、シンちゃん!からかわないの!」
「あははは!」
何だ。すっげー簡単な事じゃん。
愛してるって素直に言えばよかったんだ。
そうすれば早くこーんな珍しい親父の顔が見れたのに。

愛している。

たかが言葉。されど言葉。
言葉の魔法。










終わり
ms
士官学校時代から、シンタローの周りは男ばかりで。
それは変な意味ではなく、友達、クラスメート、教師、血縁者、どれをとっても女性とかかわりあいがない。
隔離された空間の中にシンタローは居た。
シンタローは顔は良い。
自分で自画自賛しちゃうだけはある。
漆黒の長い髪に、オニキスの瞳、すらっと延びた手足、そして体には無駄な贅肉は付いていないしなやかな体。
そんなシンタローだってお年頃、なのである。
同室のアラシヤマ、士官学校で右隣の部屋のミヤギとトットリ、そして左隣のコージがシンタロー達の部屋に集まってする話しといえば…。
そう、怖い話しなんかではなく猥談。
「トットリィ、おめ、まだドーテーなのかぁ?」
「なっ!ミヤギくぅん!そげな事大声で言わんでほしいだっちゃ!!」
恥ずかしいっちゃ!と、ミヤギの口元を押さえるが、ミヤギはただ単に質問しただけなのだからごまかせばいいのに。
そんな事したら“僕はドーテーです”と言ってるようなものなのだが、幸か不幸かその事に気付いていない。
「そーゆーミヤギはどうなんじゃ。」
この中では1番年上のコージが素朴な疑問を投げかける。
「あ、そっか。ミヤギくんもドーテーだっちゃね。」
口を押さえていたトットリがミヤギの代わりににこやかに答えた。
その言葉を言った瞬間、ミヤギの周りが絶対零度に。
ギギギと錆び付いた人形のようにミヤギを見ると鬼の形相とはまさにこの事、なミヤギがトットリを睨み付けている。
あわあわとしながらミヤギの口に当てていた手を離す。
「余計な事は言わなくていいべ、トットリィ~」
「ゴ、ゴメンだっちゃミヤギくぅん!」
この二人の小競り合いにももう慣れているその他3名は、気にせず話を続ける。
しかし、シンタローは、どうもこのテの話は苦手だった。
と、いうより、シンタローもドーテーなのだ。
深く言うと、処女ではない。
もっと言っちゃうと、シンタローは実の父であり、上司でもあるマジックと肉体関係を持っていた。
だからこのテの話になるといやがおうでも思い出さねばならなくなる。
父と自分の情事の事を。
「悪い事したかのぉ。」
「何時もの事なんだから気にする必要ねぇんじゃねぇか?」
心配するコージにそう話し掛けて、この話をここでおしまいにしようとする。
が。
「シンタローさんはどうなんだっちゃか?」

助け船を求めてトットリがシンタローに話を振った事により、話を反らす事不可能。
「あ?」
いきなり振られて目を丸くする。
「おー、気になるべ。どーなんだべか?シンタローさん。」
ミヤギも気になったらしくシンタローに向き直る。
トットリは話を反らす事が出来て胸を撫で下ろした。
「お、俺は最後話すヨ!コージ!オメーはどーなんだ!?」
「ん?わしか?」
シンタローは慌ててコージに話を振る。
振られたコージは特に気にした様子もなくあっけらかんと。
「ドーテーじゃ。わしゃ、学生の頃は野球一筋だったからのう。」
それを聞いて胸を撫で下ろす。
この分じゃ、ドーテーでも馬鹿にはされないだろう。
だってここにはドーテーしかいないのだから。
「なんや、じゃあ経験者はわてとシンタローはんだけなんどすな。」

居たんか!!

存在感というか、気配がないというか、そんなアラシヤマにその他四人の思いが重なる。
しかも、その発言により、シンタローは後戻りが出来なくなった。

アラシヤマめぇ~!余計な事言いやがってッッ!!

心の中でギリギリ歯を軋ませるが、表面では冷静な感じ。
「ま、まぁな!お前らだらしねーゾ!」
アハハーと笑ってみる。
「シンタローさんはともかくよぉ、オメいつしたんだべか?」
しかも、ミヤギにこう言われてしまってはもう逃げ場がない。
ともかくって、やっぱりもう経験者だと思われてたんだなと思うと嬉しいやら悲しいやら。
「こないだの実地の時どす。任務で何度か抱いた事がありますのや。シンタローはんかてそうどっしゃろ?」

任務!?任務でそんなことしてんのかヨ!!知らねーぞ俺は!!俺に回ってくる任務は全部健全だッッ!!

この間約一秒。

シンタローが何も言わないのをじーっと他が見ている。
心配の気持ち半分、どうだったか知りたい好奇の眼差しで。
視線が痛い。
「シンタローさん、初めての時どうだったっちゃか?」

ちきしょー!!

もう逃げられない。
喉がカラカラ渇く。
元々元来シンタローは嘘が苦手なのだ。
そこで気がつく。

親父のやってること言えばいいんじゃん!!
俺ってばアッタマいー!!

そう思えば善は急げ。もといベラベラ喋れる。
何たって子供の頃からの行為なのだ。
自分を女に置き換えて喋ればいい。

「初めての時ィ?モォ大分前過ぎてあんま覚えてねぇんだけどよォ。」
開口一番の台詞で、ドーテー組から「おぉー」と歓声が上がる。
出だしはいい感じ。
後は経験者のアラシヤマにばれない事を祈りつつ話を始める。
「最近でいっか?」
「最近!!」
「最近にしたんだっちゃか!?」
「流石シンタローさんだべな!!」
「ほぉ、あんさんいつの間に。」
皆身を乗り出してシンタローの話を聴き入る体制になる。
なんだかちょっと気分がいい。
「まーな。あん時は風呂でしたナ。」
「「「「風呂!!」」」」
四人の声がはもる。
そして、シンタローは父マジックが自分にした行為を思い出す。
確か無理矢理バスルームに入ってきて、嫌がる自分を押さえ付け、尚且つ浴槽の中でつっこまれた。
中にお湯が入って来て何とも言えない、快感と不快感がごっちゃになったような感覚。
とりあえず、男らしくない所は省いて話そうと、シンタローは気合いを入れる。
「まぁ、二人で風呂に入ってよぉ、シャワー出しっぱなしで後ろから。んで、ココ嘗めて貰ってから浴槽でもう一回。」
ココの所で自分の息子を指す。
ほぉ、と、感嘆の溜息を漏らされて、シンタローは昨晩の情事を必死に思い出す。
しかし、途中で何度か気絶してしまっている所があるので、余り深く突っ込まないで欲しいというのが正直な気持ち。
「そんで?その女子はどーだっただべか?」
「あぁん?そんなの、何度もイッてヨがってたぜ。」

恥ずかしい!

ばつが悪そうに下を向く。
そりゃそうだろう。
何たって、何度もいかされ、よがってたのは外ならぬ自分自身なのだから。
「名前はなんつーんじゃ?その、最近の子の。」
「あぁ、マ…えっと、何だったかな。忘れた。」

あ、危ねーっ!

冷や汗を隠しながらシンタローは軽い溜息を吐いた。
危うくマジックの名前を出す所だった。
しかし、皆は、流石シンタローさん、大人ーだの、いちいち名前なんて覚えないんだな、など良い方に解釈してくれて、本当馬鹿どもで助かったと改めて感謝をする。
「早ければいいってモンじゃねーよ、なぁ、アラシヤマ?」
アハハと渇いた笑いでアラシヤマに振ると、アラシヤマは何時も通りの暗い顔で「そおどすな」と呟いた。
その日はそれでお開きになり、その後一週間位たってから、シンタローはマジックに呼び出された。

「シンタロー。」
すんげぇ暗い面持ちでマジックがシンタローを待ち構えていた。
いつもは無駄にハイテンションで、薔薇をバックにしょってるようなあのマジックが、である。
少し引き気味になってどうしたのか尋ねると、目尻に涙をいっぱい貯めながらシンタローに抱き着いて来たのでぶん殴った。
「痛い!シンちゃん痛いよッッ!!」
「うるせー!変態親父!!」
頬に手を当てながら言うので、シンタローもムキになる。
「やっぱり…シンちゃんパパに飽きちゃったんだね…。」
ぽつり呟いて涙を流す。
「ハァ?何のこ「いいよ!しょうがないモン!!パパよりそのどこぞの馬の骨だか解らない阿婆擦れ女の方が好きなんでしょ!!」」
何の事だと聞く前に、自分の言葉に被せてマジックが叫ぶ。
しょうがないといいながらこの台詞。
全然しょうがないとは思っていない。
「だーかーらー」
「ごまかさなくていいよ!隊員達から聞いたよ!お前はもう童貞じゃないって!しかも名前も知らない女を取っ替え引っ替えらしいじゃないか!パパ、そんなに満足させてない!?」
「あ」
あの時の話を誰かが話したんだろうとシンタローはピーンときた。
しかも噂に尾鰭で取っ替え引っ替えときている。

どうしよう。

素直に話すのが一番なんだろうけど、

言えねぇ!!

まさかドーテーが恥ずかしく、マジックと自分の情事で、自分を女に置き換え、あまつさえマジックの立場でベラベラと自慢垂らしてたなんて知れたら!
恥ずかしいを通り越してただの馬鹿だ。
「あ、って言った!今あ、って言ったよ!!やっぱり心当たりがあるんだ!不潔!シンちゃんのやりちん!!」
「ダァーッ!!息子に欲情しとる奴に不潔と言われる覚えはないわい!!」
酷いシンちゃん!
ヨヨヨと胸元に入っていたレースのハンケチーフを歯で噛み悔しがる様は世界を手にいれようとしている世界一の殺し屋集団の総帥とは思えない。
「かくなる上は…」
ゆらりと陽炎のように立ち上がるマジック。
ふらふらしてはいるが激しいオーラが体中から滲み出ている。
「シンちゃんを殺して私も死ぬーっ!」
「何ーッ!?
つーかさっき、しょーがないって言ってたじゃねーか!!」
「さっきはさっき!今は今!!シンちゃんが他のクズ共に汚されるのを私は我慢…我慢できないんだよぉぉ!!」
「えーい!いい年した男が泣くな!!」


このヤバイ位息子狂いの男にシンタローは深い溜息をついた。
「誤解だよ、親父。俺はアンタ以外に抱かれてねーヨ。」
そう言って前髪をかきあげる。
そして、誠に不本意ながら、どうしてそうなったかのいきさつを話した。









「なぁーんだ!早く言ってくれればいいのにー!パパちょっと取り乱しちゃったじゃないか♪」
ちょっとじゃねーだろ、と心の中で突っ込んで、シンタローはげんなりとした面持ちでマジックを見た。
先程と同一人物とは思えない満面の笑みと、上機嫌な雰囲気。
鼻歌なんぞ歌いながらシンタローに又しても抱き着いてきたので今度は蹴り飛ばした。
「痛いよシンちゃん…お前の愛が痛い…。」
そして、すくっと立ち上がる。
「さて、冗談はさておき、私に心配かける悪い子にはお仕置きだ・よ・ね。」
ニーッコリ笑ってシンタローを押し倒す。
羽交い締めにされ、もう身動きが取れない。

あ゛ーーーッッ!!

なすすべもなく戴かれてしまい、この時シンタローはいつかこの家を出ていってやる!と決心したとかしないとか。
これから数年後、本当に出ていってしまうことになるのだが、それはまだマジックには思いもよらない。









終わり






最近、夜間残業することが多くなっている。
昼間仕事が終わらない訳じゃない。
ただ、一刻も早く父に追い付きたかった。
父ができたものを自分も出来なければいけない。
上に立つものとはそうゆうものなのだ。
出来なければ、人は自分をやはり、出来損ないなんだ。と言うだろう。
そうすれば団全部がバラバラになる。
それだけはシンタローは避けたいのだ。
祖父から父へ受け継がれたガンマ団を自分の代で終わりにはできない。
例え自分が、青の一族でなくとも。
「もーちっと頑張るかぁ。」
ガタリと革張りの総帥椅子から降りて、眠気覚ましの為コーヒーを入れる。
豆の独特の臭いと、温かい温度に少しだけ心が休まった。
「あちち」
少し熱かったらしく、シンタローは舌を出した。
「シンちゃん大丈夫!?舐めると治るよ!!」
プシュン!と機械音が鳴り、マジックが猛然ダッシュでシンタローを抱きしめた。
「わ!馬鹿!あぶねっ!!」
コーヒーが零れる!とカップをしっかり握る。
でも、マジックはお構い無しでシンタローにスリスリ、ベタベタ。
「テメェ、アブネーじゃねーかよッッ!!」
コーヒーが零れなくてホッとして、マジックに悪態をつく。
掌のコーヒーを総帥室の自分の机の上に置いて、どうにかこの危なっかしい父親にさっきの怒りをぶつけようか、なんて考える。
がぁッッ!!と、怒りの視線をマジックに向けたその時。

ちゅ。

怒って、ガツンと言ってやる!と意気込んで唇を開いたシンタローの口からは、声が発せられなかった。
何故ならマジックの唇がシンタローの唇を塞ぎ、尚且つ、舌を絡めたから。
「―――ッッ!」
先ほど火傷をした舌を必要に絡めとる。
怪我をして、唾つけときゃなおる、なんて、そんな程度じゃない。
明らかに意思を持って、シンタローの口内をまさぐる行為はまさに、シンタローの口内を犯していた。
「――ンゥッッ…ッア!」ぴちゃぴちゃと、水音が聴覚さえも犯し始める。
ドンドンとおもいっきりマジックの胸を叩くがびくともしない。

畜生ッッ!!

目尻に少しだけ涙をうかべて、それでも抵抗する。
「シンちゃん、パパの事、そんなに嫌い?」
絡ませた舌を外して、唇同士がくっつく程度で言葉を紡ぎ出す。
当たり前だと言いかけて止めた。
いつもなら、パパの事好き?って聞くはずなのに。
大体こーゆう逆パターンの時は何かあったと思う。

長年シンタローも父親の側に居るわけではない。
「嫌いじゃねーよ…。」
まさかそうシンタローが言うとは思っていなかったらしく、マジックは目をしばたかせた。
嬉しい、と、呟いて、又、舌を絡ませる。
「調子に乗るんじゃねぇ!」
ガツンと頭をゲンコツで叩いてやると、いたぁい!と膨れた面でシンタローをじとりと見た。

可愛くねぇんだヨ!

チッ!と舌打ちをし、心の中で悪態をつく。
マジックと目を合わせないよう、横を向いた途端、マジックの骨張った指がシンタローの頬を撫でる。
「だから調子に乗んじゃ…」
ねぇ!と言いかけて止まる。
酷く欲情的な瞳は綺麗な、綺麗過ぎるほどのスカイブルーで、ああ、又だと思う。
又なし崩しに抱かれるんだろうな。と予想できる。
「ね、シンちゃん、しよう。」
何があったのだろうか。
仕事中なのに。勤務中なのに。
でも、抱かれる事は嫌いではない。
唯一、マジックの全てが解る瞬間。
固く閉ざされた彼の心が自分にだけ開く時。
実はシンタローは、マジックに抱かれるのは好きなのだ。
いつも自分より圧倒的な高い位置にいる彼が、自分の体に欲情し、自分の事しか考えず、本気の愛の睦言を囁く。
その時だけ、シンタローは、自分がマジックと同じ位地にいられると思っていた。
でも。
「ダメに決まってんだろォ?ココ総帥室。俺仕事中。」
プライドの高いシンタローは、直ぐにYesを出さない。
さっさと書類に目を向ける。
頭になんて何も入らない。
マジックに全ての興味を持って行かれてしまったのに、素直になれないシンタローは、興味ないといった感じでパラパラと文字を見る仕種を取った。
勿論そんな事はマジックにはお見通し。
彼も又、長年シンタローの側に居るわけではないのだ。
「ね、シンちゃん。意地悪言わないで。こっちを向いて。可愛い私のシンタロー。」
優しくシンタローの顎を持ち上げ、優しい笑顔で彼をこちらに振り向かせる。
シンタローが世界で一番好きだし、一番愛しているし、抱きたいし、笑顔を見たいし、笑い合いたい。
それは紛れも無い真実で。
シンタローにYesと言わせる方法一番効果的な方法もマジックは知っている。
だから。
なし崩しにシンタロー総帥のディスクの上に組み敷いた。
ガツンと骨の当たる音。
バサバサと書類の落ちる音が聞こえる。
「いってぇ!」
およそ色気のない声をシンタローは発したのだった。

涙目で己を睨むシンタローに、マジックは笑顔を振り撒く。
シンタローを落とす心得その壱。絶対に怒らない。
その弐。無理矢理する。
シンタローはムードを重んじるから、怒りは禁物。
だからマジックは怒ったりはしない。
無理矢理するのはプライドの馬鹿高いシンタローの為。自分はそうゆうつもりじゃなかったのに親父が勝手に!と言える逃げ道をつくってやる為。
「愛してるよ。」
耳元で呟けば、ゾクリと鳥肌が立つ。
自分でも解る程ほてった顔と体。
こんなの俺じゃないなんて思いたくなる程、もう、マジック使用の体と心。
「しょーがねー奴。」
ぶっきらぼうに言えば、それすらも楽しそうに、
「そう、パパ、シンちゃんが居ないと駄目なんだ。しょうがない奴なんだよ。」
なんて言うから。
今度は拒否せず、マジックの薄い唇をすんなりと受け入れた。
それが合図かのように、シンタローの総帥服をゆっくりぬがす。
地肌に直接着ているそれは、ボタンが全て取り払われると、シンタローの健康的な肌が真っ赤な総帥服に栄えて、何とも悩ましい。
「お前の肌は私の指に吸い付くんだね。」
心臓に掌を置いて、ドクン、ドクンと、波打つ音を確かめる。
温かいシンタローの体温。
ペロと、ピンクの乳首を嘗めれば、シンタローはふるりと体を震わせた。
舌先でチロチロ嘗める。
「ぁ、ん、くぅん…。」
鼻にかかった甘ったるい声で鳴くシンタローに気を良くしたのか、そこを必要に攻め立てた。
シンタローはマジックの髪をぎゅっと持つ。
「シンちゃん、乳首がプックリしてきたよ?お前のはピンクでとっても可愛い。あ、勿論、お前がお前である全てが可愛いんだけどね。」
そう言って乳首をキュウッと握る。
「あァん…ッッ!」
喘ぐ事しかできなくて、マジックの髪をより一層力を込めて握る。
「ハハ、痛いよシンちゃん。」
痛いと言っている割には楽しそうに笑う。
ゆっくりと自分に絡められた指を優しく解くと、マジックの金髪の髪が数本パラパラと落ちた。
「あ…。」
申し訳なさそうな瞳でシンタローは、指から滑り落ちる金髪を見た。
昔からシンタローが自分の髪と瞳の色にコンプレックスを持っていた事をマジックは知っている。
だから気にしないで。そう言葉を紡ごうと思ったのに。
「ゴメン。」
潤んだ瞳で謝られた。
不謹慎ながらもマジックは思う。

これは…クる!!

. その謝りの言葉がマジックの過虐心に火を点けた。
「いけない指だね、髪が何本か抜けてしまった。」
わざとシンタローの心の弱い柔らかい部分に突き刺さる言葉を吐く。
ビクリとシンタローの肩が震えるのが解った。
こんな小動物ちっくなシンタローも可愛いな、なんて思い、罪悪感ですっかり大人しくなったシンタローの体を好き放題まさぐる。
そしてたどり着いた中心部分。
「あれ?」
元気がないようだ。
まぁ、それはそうだろう。
メンタル面に男は弱い。そうゆう種類なのだ。
「さっきの気にしてるの?」
そう聞くと、珍しくコクリと頭を前に倒す。
可愛くて仕方がない。
ニッコリ笑って額にキスを落とす。
「そんなに気にすることないのに。」
シンタローが黒髪黒目を気にしていることを知っていて、それで尚且つシンタローの傷つく言葉を吐いておきながらこの言い草。
素直になったことを少しだけ後悔する瞬間だった。
「お前の髪は美しいね、シンタロー。お前の全てが美しい。」
小さい時から何度も言われた言葉。

俺の髪なんてちっとも綺麗じゃない。皆みたいに光を反射しないし、キラキラ光らない。

シンタローは自分の髪と瞳がとても嫌いだった。
自分がジャンの分身のコピーだと知って、ああ、とすんなり納得したものだ。
「俺は綺麗じゃねーよ。」
「そんなことないよ。シンタローのものは全て美しい。」
優しく又笑いかけ、行為を再開される。
感じやすい敏感な体は浅ましくマジックの愛撫に反応した。
また、頭をもたげてくるシンタロー自身に、マジックはクスリと笑い、焦らすようにそこには触れない。
「ん、ぁ、な、で…」
「ん?なぁに?シンちゃん。」
何故触れてくれないのかと、潤んだ瞳で見るシンタローに、わざとらしく聞いて。
シンタローが破廉恥な言葉は言えないのを知っていて問い掛ける。
シンタローは黒い睫毛を下に向け、マジックの絶妙な愛撫をじっと見た。
そして。
「ちゃん、と…。」
「ちゃんと、何?」
「~~~ッッ!!」
勇気を出して言ったのに。
この親父はそれ以上を望む。
恥ずかしくて言えなくて。
ぐずった子供のように泣いてしまいたかった。
シンタローが少し唸ると、マジックは苦笑いをして、シンタローの髪を優しく撫でる。
「ごめんネシンちゃん。今のはパパ、ちょっと意地悪だったね。」

よしよしと頭を撫でてシンタローの顔を覗き込むと、シンタローは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
そんなシンタローも大好きで。
多分どんな顔をしても、どんな事をしても、マジックはシンタローを可愛いと、可愛くて仕方がないと思うだろう。
「ああっ!!」
いきなりマジックに中心部を触られた。
あられもない声が口から出てくる。
カァーッと、恥ずかしくなって両手で口を押さえた。
「いいのに。シンちゃんの可愛い声、パパ、すっっごく好きν」
「ば、ばかじゃね…の。」
ピクンピクンと体を震わせているシンタローの暴言なんて怖くもなんともない。
ゆるゆると中心部を上下にグラインドさせてやれば、先端部分から粘ついた液体がチロチロと出てくる。
それを確認した後、激しく擦ってやる。
「や、あぁああっっ!!」
「おっと!まだ駄目だよ、シンちゃん。」
キュッと根本を掴む。
まだイかせる気はないらしい。
「パパと一緒に気持ち良くなろう。」
入口部分にクニクニとマジックの熱いモノが縁を描くように突き付けられる。
ヒクリ、シンタローの体に力が入る。
これから与えられるであろう激しい快楽に、シンタローの心は波打った。
瞬間、ズブブッと中に入って来た。
感じる痛みと異物感。
何度体を重ねても、これだけは慣れない。
「ああああぁあ!!」
マジックの服を掴み、歯を食いしばって堪える。
「ンッッ…」
マジックの眉が苦しそうに歪んだ。
「全部入ったよ、シンタロー。」
ぴっちりと自分のがマジックのをくわえ込んで。
マジックは勝手知ったというようにシンタローのイイトコロばかりをつく。
「アッ!アッ!ひゃ、あ!あンッッ!ああぅっ!」
ギリギリまで抜いて最奥まで貫く。
ガグガクとシンタローは体を震わせた。
「お前の中は凄いよ。熱くて…溶けそうだ。」
「いう…なッッ!アァッ!!」
恥ずかしくて、思わず手で顔を覆う。
顔で覆っても、マジックのをリアルに感じてしまって、どうにもならない。
だが、マジックの瞳で見られたくなかった。
恥ずかしくて仕方がないのだ。
「駄目だよ、シンタロー。」
そっ、とシンタローの手を顔から外す。
「良く見て。私を。そして、私で感じてるお前を。」
「ふ、ぁ、や、ゃだぁッッ…。」
ふるふると頭を左右に振るが、マジックに掴まれた腕はどうにもならない。
顔は覆えない。


ぎゅっと目をつぶるシンタロー。
「シンタロー、ここが何処だか解っているのかな?」いきなり何をいい始めたのだろう。この親父は。
「鍵は…かけたっけねぇ?」
はっと目を見開くと、楽しそうに笑う父の顔。
サァッと、血の気が失せたのが自分でも解った。
「テメッ!ンァっ!」
ジュブジュブと激しく腰を動かされて、悪態をつく暇もなく快感に身をよじる。「いつ、誰が来るか、何て解らないよね?ここは総帥室だもんね。」
まるで欲しかった玩具を手に入れた子供のように無邪気に笑うマジック。
「や、やだ!も、ヤメ!とぉさ…ッッ!!」
マジックの襟元を掴み必死に抗議するシンタロー。
それでも動きは止めないし、速度も変わらない。
「こんな、総帥服をはだけさせて、父親に抱かれている総帥を見たら…部下達はどう思うかな?」
ねぇ、シンちゃん。
と、耳元で囁かれる。
「ふざ、けんな!こ、のアーパーおやじぃっ!!」
マジックの下から逃れようとするが、力の入らない今ではマジックはびくともしない。
そのくせ力を入れるものだから、余計マジックのを締め付ける事になり逆効果の悪循環。
その時、

トントン

扉の向こうからノックが聞こえた。
シンタローの顔が一気に青ざめる。
ビーッというインターホンが鳴った。
『シンタロー居るか?明日の会議の件について話したい事がある。』
声の主はキンタローであった。
非常にまずい。
今、この姿を誰にも見せられない。
ディスクの上に総帥服をはだけさせ、淫らに自分の父親と情事を交わしている姿なんて。
血縁者なら尚更だ。
息を潜めて居留守を使おうと決心した矢先。
「あぅっ!!んぐっ!」
マジックが動きを再開し始めた。
咄嗟に自分の口を手で覆う。
『シンタロー。居ないのか?』
「~~~ッッンッッ!!」

あンのクソ親父ィィ!!

潤んだ瞳でマジックを見れば我関せずといった風にニコニコ笑っている。

頼むキンタロー!今日の所は帰ってくれぇぇ!

心の中でそう祈る。
多分生まれてきて神にこれほどまでに祈ったのは二回目だろう。
一回目の小さい時に金髪碧眼にしてくれと祈った時以来だ。
「あんっ!!」
いきなり体位を横に変えられシンタローは思わず自分の声にびっくりした。
「そんなにいやらしい声を大きく出したらキンタローに聞かれちゃうよ?」

いいのかな?

意地悪く言葉を吐く。


慌てて又口を塞ぐ。
くぐもった声を響かせ、快感に堪える。
キンタローは諦めたのか、ブザーはそれから鳴らなかった。
良かったと安堵のため息を漏らすと、マジックの骨張った指がシンタローの中心に触れた。
「ひゃぁぁん!」
「シンちゃん。他の事考えちゃ駄目だよ。」

誰のせいだ誰の!!

声には出せないので心の中で悪態をつく。
片足を肩に乗せて、マジックは最奥に何度も何度も自身を入れる。
「あ、あ、や、もぉダメッッ!」
しかし、マジックは今度シンタローのイイトコロから少しズレた場所にポイントをずらした。
これではイクにイケない。
「も、ヤダ、イジワルばっか!!」
「イジワルっていうのもそそるけど、今日、イク時パパって言ってくれるならイカせてあげるν」

こーの変態親父ッッ!!

「言えるかバカ!」
「まだ余裕ありそうだねぇ?シンちゃん。この後30分位我慢する??」
その前に誰かしら又来るだろうけど。キンタローもお前に用があったみたいだしね。
そう付け加えられて、シンタローは唸った。
プライドが許さないが、こんな歯痒い思いをするのは嫌だ。
ゆっくりと、だが、確実にシンタローは頭を前に倒した。
「あっ!あっ!あっ!」
途端に激しくなるピストン運動にシンタローは息をするのさえ追い付かない。
卑猥な音に耳を犯され、マジックに体を犯される。
「シンちゃん、シンタローッッ!」
「も、ダメッッ、ダメ!アアアアッ」
ギュウウッと、マジックの背中を抱きしめる。
そして、耳元に唇を這わせ
「パパぁッッ!」
酷く艶っぽい声でマジックを呼んだ。
「―――ッッ!!」
余程嬉しかったのか、興奮したのか。
マジックにしては珍しくシンタローのすぐ後にシンタローの中で吐き出したのだった。












「シンちゃ~ん…機嫌直して?ね?」
ホーラ、スマイルスマイル!
と、無理矢理笑ってシンタローのご機嫌を取ろうと必死な元最強殺し屋集団総帥マジック。
「………。」
しかし、現在最強悪い人限定お仕置き集団総帥は、完璧シカト。
シカトは、構って構って、構ってくれないと淋しくて死んじゃう~なマジックには1番精神的にくる攻撃なのだ。
「さっきまでは素直で可愛かったのに~!勿論今のぶすくれてるシンちゃんも可愛いけどね☆」
「………。」
シンちゃ~ん…と泣きそうなマジック。

「せっかくスリリングな時間を一緒に経験した仲なのに!」
「なーにがスリリングだっ!スリリングすぎるわい!ぜーったいキンタローにばれた!つーか、ばれてたらアンタとは一ッッ生口きかねーからな!」
やっと喋ってくれたと喜んだのもつかの間のこの言い方。
「ばれてないよー!だってココ、防音完璧だもん。」
「あ。」
そうだった。
ここは防音は勿論、防弾も完璧。
なんせここは総帥室。
スパイに気付かれないよう、聞かれないよう、そういった設備は整っている。
ブザーをこちらから押さない限り、こちらの声は聞こえない。
「でもっ!」
シンタローは声を荒げる。「たまたまキンタローがドア開けなかったから見つからなかっただけで、鍵かけてなかったんだから見られてたかもしれねーだろ!」
すると、マジックはキョトンとした顔でシンタローを見た。
「鍵?かけてたよ?」
「は?だってさっき…!」
「鍵かけてたっけ?と聞いた事は聞いたけど、鍵かけてないとは言ってないよ。」
やられた!
シンタローは魚みたいに口をぱくぱくさせる。
マジックはハハハと笑って
「馬鹿だなぁ、シンちゃんν私がお前のそんな欲情的な姿を他人に見せると思うかい?有り得ないよ。」
そう言ってマジックはシンタローを後ろから抱きしめる。
「愛しているよ。シンタロー。」
そう呟いて。










「それにしても、最後の“パパ”は良かったよ。」
鼻血を吹き出しながら思い返すマジックに、シンタローはありったけの怒りと精神を掌に集中させ。
「眼魔砲!!」
マジックもろとも吹き飛ばした。
その時、書類も吹き飛ばしてしまい、シンタローはマジックに怒りをぶつけたのでした。









終わり








rrr
「シンタローさん…俺…もぅダメっす…!」
「諦めるな!!ヤンキー頑張れ!!」











今朝、リキッドが風邪を引いたらしい。
らしいというのは、この島に医者がいないから憶測でしかないから。
パプワとチャッピーにゃ移ると大変なので、タンノの家にご厄介させて戴く事になった。
「しゃーねぇ、沙婆斗の森行って薬貰ってきてやるよ。」
「スンマセン、シンタローさん…。」
ズズッと鼻水をすすって、布団を被る。
どうやら起き上がる事もままならないらしい。
シンタローさん、優しいなぁ。なんて思っていた矢先に、自分の貯金箱を叩き壊され有り金全部持って行かれた。

鬼姑ッッ!!

しかし、何も抵抗出来ず、その光景を見ている事しかできないのだった。









シンタローは金を握り閉め、沙婆斗の森まで歩いてゆく。
別段早足でもなんでもなく。
ストーカーにも無事会わず難無く沙婆斗の森に付き、中に入ると、胸キュンアニマルのテヅカ君とタケウチ君がお出迎えしてくれた。『いらっしゃいませ~何をお探しですか?』
「風邪薬探してんだけど。超協力で一発で直るやつ。」
すると、二人はひそひそと話し合い、後ろの棚にある琥珀色の液体を差し出した。
硝子の入れ物に入っているそれをシンタローに手渡す。
『これが超強力風邪薬、風邪なおーる君デス。一発で直る代わりに副作用が出てしまうんですがいいですか?』
「副作用?」
『ハイ。あ、でも、病気になるとか、命に関わるって事はないです。作ったはいいのですが余り売れないので、1280円でいいですよ。消費税もサービスしておきます。』
チーン!とレジの音が鳴る。
強欲な二人にしては随分気前がいいなと思いながらも、自分が飲むわけじゃないので関係ないと思い、そのままお金を払って店を出た。
『ありがとうございます。』
後ろから二人の声を聞き、片手を上げて帰路につく。
パプワの顔見てから帰ろうかとも思ったが、タンノがまたウザイかなとか思って、素直にパプワハウスへと足を運ぶ。
「シンタローはーん!」

うわ、見つけたくないものを見つけてしまった!!

ガサガサと木の影から現れた変態ストーカーアラシヤマ。
右手の平に存在感アリアリのデッサン人形のトージくんも忘れずに。
取り敢えず目線を合わせないよう、スタスタと早足で歩く。

俺は何も見なかった!!

「あぁ~ん、シンタローはんたら、照れ屋なんどすから~ν」
そして、トージくんに頬を擦り寄せる。
回りは友情パワー、アイラブユー。
ハートマークがアラシヤマを取り囲んでいる。
そして、我慢が出来なくなったらしく、おもむろに、かつ、大胆にシンタローに飛び掛かった。
「眼魔砲。」
アラシヤマの方を決して見ずに溜め無しでぶちかます。
ドォン!!と、音がして、アラシヤマにクリーンヒット!
「嗚呼、愛が痛い。」
「じゃかぁしいっ!!埋まってろ!!」
罵声を浴びせた後、乱れた前髪を片手で掻き分け、長い髪をなびかせ、スタスタと歩いて行ってしまう。
「嗚呼ッッ又ロンリー!!」
そう叫んだ後、埋まった首を少し下げると目の前にトージくんが。
以下、アラシヤマの妄想でお送り致します。

☆☆☆☆☆☆☆
『大丈夫?アラシヤマくん。』
「こ、この声はトージくん!!」
『今、友達の僕が助けてあげるよ。』
「嗚呼、トージくん!!やっぱり持つべきものは友達どすなぁ…。」
トージくんの友情、確かに受け取りましたえ。
嗚呼、久しぶりの友情パワーに、わて、わて、涙が滲んで前が見えまへん!!

その時だった。

ピュー、ぽて。

南風が吹いて、トージくんはぱたりと横倒しに。
ぴくりとも動かない。(注:トージくんはデッサン人形です。)
「嗚呼ッットージくん!トージくんッッ!!」
『ゴメンネ、アラシヤマくん。僕、もう駄目みたいだ。』
「そんな!頑張っておくれやす!トージくん!死なんどいて!!」
アラシヤマの悲痛な叫びが児玉したのであった。(再び注:トージくんはあくまでもデッサン人形です。)
☆☆☆☆☆☆☆

そんなことはどうでもいい俺様な姑、シンタローは、アラシヤマの叫び声も無視し、パプワハウスへと歩いてゆく。









「おう、貰ってきたゾ。」
パタンと開けると、リキッドがはいつくばって掃除をしていた。
「あ、シンタローさん、お帰りなさい…」
血の気のない顔と、元気のない声。
それでも頑張ってるリキッドの頭をくしゃくしゃ撫でてやった。
初めは殴られると思ってビビッて目を固く閉じていたリキッドだったが、シンタローが自分の頭を撫でていることがわかると、照れ臭そうに微笑む。
頭から伝わる熱い熱。

「ホラ、薬貰ってきてやったから、取り敢えず布団に入れ。」

「あ、ハイ。」

布団にモゾモゾと入り、取り敢えず目をつぶるリキッド。
シンタローは、水桶から水を少し救い、器に入れて火にかけた。
薬は水よりぬるま湯の方が早く利く。
昔、自分が熱を出した時、父親がそう言ったのを思い出した。
プクプクと気泡が上がったのを見計らって水を火から下ろし、又少し水を入れる。
少し飲んでみたが、きちんとぬるま湯になっていて、流石俺と、自画自賛するシンタロー。
「オラ、ヤンキー、少し起き上がれ。」
「ハイ。」
汗びっしょりになりながらのろのろと起き上がる。
呼吸は浅く、ほてってぼーっとした顔をこちらに向けた。
「タケウチくん所でもらってきた超強力風邪薬だ。」
「スンマセン、シンタローさん。」
コンコンと、咳をした後、シンタローから器と薬を受け取り喉に流し込む。
ぬるまったい水と、苦い薬が流れる感覚。
「今日は掃除、洗濯、料理はしなくていいから、横になってろ。」
「スンマセン、ありがとうございます。」
そう言うや否や、何かタガが外れたように、スースーという寝息が聞こえてきた。
シンタローは、少し顔を綻ばせ、リキッドの為にお粥を作り始めたのだった。












「シンタローさぁん。」
パチパチと燃える火の音と共に掠れ声のリキッドの声が聞こえる。
その声は甘えを含んでいて、いつもならそんな声は出さないのに。
やはり、風邪を引くと淋しくなるんだろうな、なんて思い、シンタローは取り敢えずリキッドの方を向いた。
「どうした。リキッド。」
「なんか体が変なんです…。」
潤んだ瞳でシンタローに訴える。
タケウチくんに貰った超強力風邪薬のおかげか、咳は出ていないようだ。
「汗かいて服が気持ち悪いんじゃねーの?特別サービスで体拭いてやるヨ。」
シンタローが立ち上がり服を取りに行き、リキッドに持っていく。
そして、水をタオルに浸した。
リキッドの布団をあげると、シンタローは見たくないものを見てしまった。
リキッドの中心部が明らかにテントをはっている。
「………。」
シンタローは見なかった事にして、又布団をリキッドの上にかけた。
が。
ガバチョ!とリキッドに押し倒される形となってしまった。
俺様ピンチ!!
「シンタローさん…俺…もぅダメっす…!」
「諦めるな!!ヤンキー頑張れ!!」
はぁはぁ、と、熱い吐息が耳にかかり、シンタローはゾクリと背中を震わせた。

静止の言葉も聞かず、シンタローのタンクトップの中に熱い指が這う。
「ひっ…」
プクリと膨らんだ乳首をリキッドはコロコロ転がした。
「ばっ…やめろ…ッッ!」
「助けて下さい、シンタローさん…ッッ。」
そう言うが早いか、タンクトップを持ち上げて乳首に舌を這わせる。
ペロリと舌先で舐めると、シンタローはヒクヒクと体をわななかせた。
「やぁ…だ、めッッ!」
「嘘ばっかり。シンタローさんのココ、もう立ち上がってますよ。」
「ああん!!」
服の上から中心部を握ると、なまめかしい声を出した。

もしかして、タケウチくんの言ってた副作用ってコレかぁ!?

ぼーっとする意識の中、ふと、そう思う。
いつものリキッドは良く言えば紳士的、悪く言えば奥手である。
そんなリキッドがシンタローに無理矢理紛いの事はしない。
かなり切羽詰まっていることが伺える。
余裕もないのか、顔も辛そうだ。
「シンタローさん…」
「…んぅ」
唇が寄ってきて、舌を絡ませる。
くちゅくちゅと咥内を犯されて、酸素を求めるが中々手に入らず涙が流れる。
シンタローがキスに夢中になっている隙に、リキッドはシンタローのズボンをパンツごと引き下ろした。
「ら、らめ!んぅ!!」
一瞬唇を離して講義の声を出すが、その唇を塞がれて、又咥内を犯される。
そして、リキッドは直にシンタローの中心部をやわやわと上下に擦った。
先端から透明の液体が溢れてくる。
尿道をぐりぐりいじくりまわすと、シンタローは切なそうな声を上げた。
「シンタローさん、スンマセン。」
「あ?あ、あ、ああぁあ!!」
唇を離されたかと思うと、もう片方の手でシンタローの蕾の中に指をつっこむ。一本、二本と増やしていき、バラバラと動かされる。
「いぁ、はぁ!!んん!!リキッ…ドぉ…!」
浅はかにゆらゆらと腰を揺らし、貪欲にリキッドの指を貪る。
「シンタローさん、スッゲー綺麗っすよ。フフ、イヤラシイ体っすね。」
バラバラ動かしていた指を今度は出し入れする。
「あ、ひぃんッッ…!そんな、だ、めぇ!」
布団をにぎりしめて快楽の涙を流す。
「ウソツキ。シンタローさんのココは、もっとって言ってますよ。」
「ひぅう…っ!!」
唇を噛み締めて快感から逃れようとするが、上手くいかない。
だが、リキッドの指が自分の蕾から抜き取られた。
「ンアッッ!!」

浅い息を繰り返し、ほてった体を落ち着かせようとした。
「あああああ!!」
ズズッ!!
濡れた音と共に蕾に圧迫感。

入れられている。
俺は今、この年下の男に犯されている。

その事実だけが脳内に描かれる。
声を押し殺す事も出来ず、快感に足を震わせ、事もあろうにリキッドの背中に腕を回した。
「すげ…気持ちいいっす、シンタローさん、ッッ!」
恍惚とした表情で見下ろされ、それで興奮したのかキュウッと中が閉まった。
「ゃ、あ、あ、そんな…ぅ…動かさ…なぃでぇ…ッッ…!!」
がくんがくんと揺さぶられ、最奥に突っ込まれた時、中に生暖かいものを感じた。

中に出された。

そう理解すると、シンタローは、ポロポロと涙を流す。
痛かったのか、恥ずかしかったからなのか、気持ちよかったからなのかは解らない。
「ふぐ、ふ、ぅぅ…」
そんなシンタローにリキッドは唇を合わせ、涙を舌で救い取る。
「どうしたんすか?シンタローさん。」
悪戯っぽい目でシンタローを見る。
薬の副作用のせいだろう。
シンタローの中で出したのに、リキッドはまだ立ち上がる。
中で大きくなっていくのが手に取るように解った。
「も、やだ…やめろッッ…」
力無く、ぐずぐすと涙を流しながらも気丈に振る舞う。
グイ、と、リキッドを押すが力が入らない。
「まだ、納まりそうにないんです。それに」
「ンアッッ!!やぅ!!」
シンタローの張り裂けんばかりの雄を握り締める。
途端にシンタローの口からイヤラシイ声が漏れた。
「シンタローさん、まだイッてないじゃないっすか。」

だから、イカせてあげますよ。

耳元で囁かれ、シンタローは羞恥のあまり目をつぶった。
又、動きを再開され、今度は口の中に指をつっこまれ、体を反転させられる。
「指、舐めて下さい。」
獣の体制で後ろから遠慮なく奥に前にと動かされる。
「ふぐっ!!んーんーっ!!」
口が閉じられない為、だらし無く唾液が流れるのを止められない。
「スゲッッ…ッハ、シンタローさんの中に俺のが入ってンのまる見えっすよ。」
「ンあ!みな…ぃで…」
訴えても、そう言われる事で感じている浅はかな自分。
膝も、まだガクガク笑っていて、リキッドの片手が腰を掴んでいなかったら落ちているだろう。
チュポン、と、シンタローの口から指を外す。
先ほどよりは酸素が吸える。
そう思った矢先、

両手でガッチリ腰を捕まれ激しいピストン運動をされた。
「あひぁ…ッッ…あ、あ、イッ…いっちゃ…ぁ!!」
虚ろな瞳に涙をいっぱい浮かべて、なすがまま、されるがままに快感を受け入れる。
リキッドがペロリと、耳たぶを嘗めた時、
ピシャァァ!!と、シンタローは精を吐き出した。
びくん、びくん、と体を震わせるシンタロー。
しかし、リキッドの動きはまだ止まらない。
シンタローがイッてから少しして、リキッドはシンタローの腹に己の精をぶちまけたのだった。









「シンタローさん、ヤラシーν蕾から俺の精が垂れ流しっすよ。」
「ンンッッ!!も、しぬ、しんじゃう」
何度も何度も中に出されたり体にかけられたりして、シンタローの体と、中ははドロドロだった。
それでもリキッドは止まらない。
流石20歳!若いだけある!
「次はシンタローさんの、舐めてみよっかなーν綺麗にしてあげますよν」
「やめ、もぅ、勘弁してくれよ…」
気持ち良すぎて足腰の立たないシンタローをいいことにリキッドはかなりヤリタイ放題。
この後、シンタローが気絶するまで事を行ったリキッドが、お姑パンチではなく、眼魔砲をぶっ放されたのは言うまでもない。





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