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シュンっとドアが軽い音をたて開く。
 と、同時にドアが開く時間すら惜しむ勢いで人が飛び込んできた。

「高松ーーっ!!」
 恵まれた体格、黒く長い髪の非常に整った顔立ちの男性が怒鳴る。
 新生ガンマ団総帥の若きカリスマ、シンタローその人だ。

「どぉいうことだよ!コレは!!」
 彼が、ビシっと指した先には、ついで姿を現した
 コレと呼ばれた青の一族特有の金髪碧眼の容姿をもった男性がいる。
 シンタローに負けず劣らずの容姿だが、身長は僅かに高い。

 ガンマ団の不思議現象の源その一。こちらも長髪黒髪、タレ目が特徴の科学者だ。
 ちなみにその二はシンタローの従兄弟であるグンマだ。
「なんですか、総帥ともあろうものがそんなに慌てて。」
 示しがつきませんよ?と眼を向ける。
「・・・。そちらの方マジックさまの若い頃にそっくりですね?」

「『そっくりですね?』」
 とどこか人を食った物言いを意外にもうまくまねし、
「じゃねーよ!マジックだよ!マジック本人!!」
「ほぉ~、じゃあ成功ですね。さっそく経過をレポートに纏めなくては。
 ・・・おや?でも使う人間間違ってませんか?マジックさま。」

 今まで大人しく静観していたマジックは尋ねられ口をひらいた。
「ところで君は誰だ?なぜこのシンちゃんが成長したらこの姿かな~vと
 思う男性は総帥服を着ているのかな?」
「う~~ん、思っていた効果と違いますね。記憶はそのままに肉体だけ若返らせる
 薬だったのですけどね。記憶まで肉体年齢になっちゃってますね。」
 いやはや失敗などとつぶやく。
「高松っ!んなことどうでも良いからさっさと戻せ!色々と問題が起こる前に!」
「ああ、そのままほっといて大丈夫ですよ。試作品ですからね。
 効果は精々2日~1週間ってとこじゃないですか?」
 シンタローが怒鳴るより早く
「解毒薬を作るより、ほっといた方が早いですよ。きっと。
 そんなことより、マジックさまに今の状態を説明したらどうですか?
 その色々と起こる問題の前にね。」
 いけしゃあしゃあと言い放つ。
 あまりの高松の言いように、肩が落ちたシンタローが疲れたように呟く。
「お前が元凶じゃねーかよ・・・。」

 今はちょっと手が離せないんですよ、と高松に体よく追い出されたシンタローは、
 まさかこの状態のマジックを野放しにも出来ず、
 今日の仕事は切り上げると、頼れる副官と側近二人に連絡し自宅に戻った。

「いまの状況を説明しよう。」
 不気味なまでに静かなマジックに説明を始めた。
 俺は、あんたの息子のシンタロー。
 正確に言えば息子ではないのだが事態がややこしくなるのでそこは伏せる。
 現在27歳。怪しげな科学者の怪しい薬によってアンタは若返ってしまったのだ、と。

「そうか。じゃあ君は間違いなくシンちゃんなんだね?
 私は引退し、ガンマ団はシンちゃんが引き継いだ。」
 そうだと、首肯するシンタロー。

 息子の前では頭が腐ったとしか思えない行動をしていてもさすがは元総帥。
 いやこの頃は現総帥か。落ち着いて現状を受け止めている。
 と感心して若返ったマジックを眺めていたシンタローは油断していた。

「シンちゃーん!!」
 と鼻血をながしつつ、突然マジックが抱きついてきた。
「ぐぇっ」
「ああっ、小さいシンちゃんも勿論可愛いけど、大きいシンちゃんも可愛いっ!
 パパは嬉しいよ!!」
 さあ、シンちゃん!いざ行かん!と抱きついていたシンタローを離し、
 ひょいっと身長192センチの大男を俗に言うお姫様だっこをした。
 そのまま寝室へむかって歩き出す。

 慌てて抵抗を始めるシンタロー。
 膝裏と背中にまわったマジックの腕はまるで吸盤がついているが如く離れない。
 シンちゃんは照れ屋さんだなvvなどとハートマークを乱舞しているマジック。

「アンタ何考えてんだよっ!」
「何ってナニだよ?」
 とよくある下品なことを真顔でサクっと言い、歩を進める。
「俺が子供の時からアンタそんな目で見てたのかよ・・・」
 行き過ぎた親の愛情だとは思っていいたが、そこまでとは、と全身が総毛立つ。
 よく俺今まで無事だったな、とも。

 シンタローがトリップしている間に、いつの間にかドアの前だった。

 その後のシンタローの行方は、マジックのみぞ知る。

H16.4.16
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何処の家庭でもあるなんでもない夕食の風景。だがコタローにとってはそれが当たり前のことではなかった。
総帥に就任した今では不規則な生活になることが多い。
だから従兄弟達と協力してコタローが独りでご飯を摂る事が無い様に努めている。
今日はシンタローが早く仕事を収めることが出来たので、シンタローが夕食を作った。
「おねーちゃん、本当に料理上手だよねー」
コタローはカレーをほお張りながらそれを作った兄、ならぬ姉に言う。
「そうか?」
シンタローは別に普通かなと思いながら応じる。自分で料理を作るとその味が当たり前になってしまい、一般的に旨いか不味いかというのが分からなくなる。さらにはたぶん、あの父親と書いて変態と読むマジックは料理が上手だったのだろう、
その味と比べるとどうしても何かが物足りなく感じる。
「うん」
弟がおいしいと破顔しているのだ。きっとおいしいのだろう。マジックと比較して勝手にムッとしていたシンタローだったが、コタローの笑顔を見て気分が浮上する。
「コタローに喜んでもらえておねーちゃんは嬉しいぞ。……でも料理なんて殆どしたことなかったんだよなぁ。
 キッカケはパプワ島だっなー」
流れ着いた当初は理不尽な扱いに怒鳴ってばかりだったが今となっては、懐かしい。
まだ思い出にはしたくなかったが、徐々にそうなりつつある。
「パプワ君は厳しいからね」
カレーに視線を落とし、コタローも懐かしむように友を思い浮かべる。
彼らは元気だろうか?と頭の端にチラッとそんな考えが浮かんだが、そんな心配せずとも元気に決まっているだろう。
今日もパプワはチャッピーとおなじみの扇子を両手にシットロ節を踊り、リキッドに家事を命じ、
リキッドもすっかり板についた主夫ぶりを発揮しつつ、料理の感想を求め腕を上げる努力をしているのだろう。
コタローは今になって思う。
パプワ君のあの厳しさはきっと甘えだったんだ。
チャッピーと島の大勢の友達とずっと暮らしていたと話してくれた。
そしてシンタロー達と出会い、今はリキッドと暮らしている。彼らと会うまではパプワがあの島を守るべき存在だった。
友達はいても家族はいなかった。リキッドは友達というより家族なんだろう。だからこそ我侭も言える。
自ら甘えるまでも無く、過剰に甘やかしてくれる姉をチラっと見ると、文字通り蕩ける様な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
そんなに幸せそうな表情でじっと見られ、気恥ずかしくなって再び俯く。
遠い昔の記憶ではカッコいいお兄ちゃんだった。その強さは今も変わらぬ、いやそれ以上になったがお姉ちゃんになった。
お姉ちゃんといえども綺麗でカッコいい女性だ。コタローが出会う団員は男ばかり。
というか、ガンマ団内に女性がいるとは聞いたことが無い。だからますますどう対応したらいいのか分からなくて照れる。
ただ、どう言えば姉が喜んでくれるかはコタローは知っている。
「これかもずっと僕の傍にいてね?」
上目遣いに、少し伺うように小さな声で言う。
ピタッとシンタローの動きが止まる。
「…コタロー、もう一度言ってくれ」
黒い瞳が異様な輝きを放っていた。
「え?えっと、僕の傍にいてね?」
コタローの想像では優しい笑みを浮かべながらあったりまえだろ、と言うはずだった。
それが突然真顔になり問い詰められるように厳しい口調だ。必然的に少し戸惑いながらになってしまった。
『ぶっ。』
そんな擬音が聞えるような勢いでシンタローの鼻から赤いものが飛び出す。
整った鼻梁からは不釣合いなあれだ。
「お、おねーちゃん!」
食事を中断しテーブルの上に置いてあるティッシュを勢いよく数枚引っつかみ慌ててシンタローの元に向う。

「それ、治らないねぇ」
シンタローの不治の病。
いつ見てもその凄まじい血の勢いに慣れる事が出来ない。
よくあれだけ血を流して失血死しないものだと思うほど、尋常な量ではない。
一度コタローがシンタローを膝枕して、出血が止まるのを待ったことがあった。が、血の勢いは増すばかりで止まることが
無いという恐怖に近い体験をして以来、この時は不必要にシンタローに接触しない事にしていた。
だから最初座っているシンタローのティッシュをあてると後は彼女に任せる。ティッシュの箱も忘れずにそっと姉の傍に寄せる。
確実にあれ一箱は使い切るだろう。
シンタローの血が止まるまでは食事を再開する気にはなれない。だからそのままじっと見守る。
沈黙が落ちるがそれは重苦しいものではなく、近しいもの同士の、言葉がなくとも気持ちが穏やかでいられるものだった。
コタローは食卓に頬杖をつきながらシンタローの様子を見守りながら、これが家族の雰囲気なんだろうな、と思った。
そんなゆったりとした沈黙が続いていたが、やや上を向きながらシンタローが、
「これは治らなくてもいいんだぞ。大好きって証だからな。この好きって気持ちが胸に収まりきらなくなったら鼻血が出るんだ俺は。
だからコタローが好きでたまらないから毎日出血するんだ」
コタローには理解出来ないことをどこか誇らしげに言い始めた。
「でも僕は治して欲しいかも」
「………………………。」
朗らかに、ブラコンを発揮していたシンタローが急に黙り込む。コタローがしまったと思った時にはもう遅かった。
「……コタローはこんなおにい、じゃなかった、お姉ちゃん嫌いか?嫌いなのか?鼻血はダメか?
 鼻血なんて出すお姉ちゃん嫌いってもう口もきいてくれないのか?……年頃になった娘が親父を唾棄の如く嫌うあれか?
 もう俺もそうなのか……?」
先ほどまでの明るさは何処へやら、コタローの一言であっという間に海溝へと沈む。
「そ、そんなことないよっ、その……ただ」
ここで下手なことを言おうものなら腹でも切りそうな勢いだ。コタローは慎重に言葉を選ぶ。
「そのっ、おねーちゃんが毎回そんなに出血していたら心配だよ。その内失血しすぎて倒れちゃうんじゃないかって……
 おねーちゃんがもし倒れちゃったら僕悲しいし、それに今のままだと普通に甘えることも出来なくなっちゃうよ?」
単に手を繋ぐというその行為すら危険を伴うのだ。
この異常なまでのブラコンを発揮する姉をコタローは嫌ってはいない。寧ろそれだけ好き、とう言うことを毎日のように
嫌でも確認できて以前のような事には絶対にならないととても安心するが、それでも鼻血だけは治して欲しかった。
もっと普通に姉弟がするように手を繋いで散歩や抱擁もしてもらいたい。
『甘える』という何でもない、だがシンタローにしてみたら最重要事項にビンっと反応した。
「それは困るぞ!ひっじょーに困る!」
コタローに向き直り、真顔で歳の離れた弟に訴える。
「ね?困るでしょ?僕ももっと普通におねーちゃんに接したいし」
シンタローの真剣な表情に、これを機会に治してもらおうと更に押す。
「決めた。俺は決めた!」
並々ならぬ闘志を瞳に宿し、宣言した。
「鼻血を出さないぞっ!」
「ほんと、おねーちゃんっ?」
期待に満ちた目で姉を見つめる。
その純粋な瞳はシンタローにはまぶし過ぎだ。ぶぼっと鈍い音と共に再び例のアレが飛び出る。
その内おねーちゃんの事を殺してしまうんじゃないだろうか、一緒に住まない方が、とコタローはどくどくと血を流し続ける姉を介抱しながら幼い弟は葛藤を続けた。

H18.6.22
oas
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緑の間からモノトーンの服が見える。
いまこの島でその色合いを持つのはただ一人。
それを目に捉えたアラシヤマは反射的に声を掛ける。
「シンタローは~~ん!」
「あん?」
呼ばれたシンタローは立ち止まり、声のする方へと振り返る。
「………」
時が止まる。
いや、止まっているのはアラシヤマだけだ。
子供のように右手を上げ近寄ろうとした姿勢のまま綺麗に固まっていた。
「………。」
二人の間をそよそよと風が通り抜け、さわさわと木がなる。
はっと我に返ったアラシヤマは無言でマジマジと、穴が開くのではないのかと思うほど見つめる。
目線は下へ。また上へ。
どこからどう、控えめに見たって女だ。慎ましくも出るところが出て、引っ込むところが引っ込んでいた。
それでも醸し出す雰囲気や気配はそこまでは変らない。彼を知る人間だったらそう感じるだろう。
「……シンタローはんでっしゃろ?」
「いえ、人違いですよ。」
軽く片手を挙げ間髪いれず否定する。
そのまま爽やか過ぎる笑顔を浮かべ、じゃあと去ろうとする。
「わてが間違える事あらしまへん! 」
「ちっ」
舌打ち一つ。
先ほどの爽やかさは何処かへ消え去り以前と変らぬ、どこか邪険にしたような表情だ。
腕を組みふんぞり返って言う。
「何の用だよ?」
「それが久しぶりにおうた友達に言う言葉でっしゃろか?」
友達、しかも数年ぶりに会ったのならもっと感動して抱きついたりするだろうと
大の大人がだくだくと涙を流して訴える。
アラシヤマは何年経ってもアラシヤマだった。
「………。」
シンタローはそんなアラシヤマを呆れたように見やる。
どうやらまだあのときの言葉を信じているようだ。
アラシヤマは泣いてすっきりしたのか、コロっと話題を変えて訊ねる。
「ところで、どうしてそんな姿になってるんどすか?」
シンタローはこの件について、もう何度目か分からないほどの大きなため息をついた。



「…だから毎回通信が音声だけどしたんか…。 声も違うからおかしいとは思っていましたわ。」
「てゆーか、この島で最初に会った時に普通気づくって。いずれはバレると思ったがよく4年も持ったもんだ。」
そう言うと感慨深く頷く。
きっとアラシヤマ周辺の団員たちは命令していた通り緘口令を厳守していたのだろう。
いや、ただ単にアラシヤマが他の団員たちと仕事に関すること以外は話さなかっただけかもしれない。
とりあえずあちらに帰る事が出来たら、特別報酬でも出そうとシンタローは決める。
そういえば、と考える。アラシヤマの反応が予想とは違う。
大人しくシンタローをじーっと見ているだけだ。
男の時でも愛情か友情かどちらを求めていたのかよく分からない、『友達』に固執するあまり
変態的行為に出ることが多々あったから女になったら絶対、マジックの様に頭がイかれると思っていた。

「わて、その、女性とはいい思い出がありまへんのや…」
どこか遠い目をして呟く。
そんなアラシヤマにシンタローは即座に突っ込む。
「お前、友達もいないくせに何言ってんだよ!」
「何いうてますのん。友達はおらんても、恋人ぐらいいましたがな。」
シンタローの目を見て妙にキッパリと言い切る。
「……………」
じとーっと思いっきり疑いの眼差しを向けるシンタロー。
まともに人間と話す事が出来ないのにそんな事があるのだろうか?
「シンタローはん、信じておませんやろ。………わて顔は良いでっしゃろ?」
「うわー、自分で言ってるー」
棒読みでシンタロー。ついでにさむーい、と南の島で照りつける太陽の下むき出しの両腕を擦る。
しかし一方で納得はする。確かに顔はいい。…顔だけだが。
本人も性格に難ありなのは認めているのか、
「彼女らはきっと顔だけなんどすなぁ。
 …しまいには、『そんな人だとは思わなかった!』って必ず言われるんどす。」
と言う。相変わらずどこを見ているのか分からない。
その時の事を思い出しているのだろうか、いつも背負っている陰が更に暗い。
一方シンタローはうんうんと首を縦に振りその女たちに同意する。
シンタローの場合は出会ったときから、『そんな人』だとは思っていたが。
だいたい気持ちが高ぶると発火する人間なんて危なくて近寄れない。
普通の人間なら出会った瞬間サヨウナラだ。
「シンタローはんは、結局は付き合ってくれますやろ?やさしいどすなぁ。」
「まぁなー。俺は使えそうなものはキープしとけ…、いや、
 博愛がモットーだ。お前との付き合いも長いし。今更切って切れるモンじゃないだろ?
 ………それ以前にお前部下だろーが。」
付き合いが切れたらそれは後味が悪すぎる。
ガンマ団総帥の立場で、直属の部下であるアラシヤマと切れるということはこの世にいないことになる。
考えてみれば士官学校時代からの付き合いなのだ。
積極的に交流を持っていたわけではないが、一応付き合いが長い事には変わりない。

シンタローの言葉を聞いていたのか、いないのか。
何かいいことを思いついたようだ。パァっと珍しく表情が明るくなる。
「そうやわ! シンタローはんならそんのことあらしません! わての友達兼恋人になっておくれやすー!!」
そう叫ぶとそのまま抱きつこうとする。
「結局はどいつもこいつも同じかよ!」
言いつつ両手を広げて向かってくるアラシヤマ。抱きつかれる瞬間。鳩尾に右、左、右、と三連打。
やや前のめりになった所で、最後に膝蹴り。どごんっと綺麗に嵌る。
コレが一般人なら間違いなく意識を失っていただろうが、そこは普段はボケていても総帥直属のガンマ団員。
アラシヤマはぐぅっと息を漏らしたがそこまでのダメージは与えられていないようだ。
以前の威力ならばそのまま撃沈していただろうが、結局はそのまま腕の中。
「あ、シンタローはんの方が小さい…」
妙に感心したように呟く。ついでにシンタローの頭の上に自分の顎を乗せている。
「そらまぁ女だからな。」
と投げやりに答える。
どうやら向こうにいる間、散々からかわれた用だ。
「俺の頭の上に顎なんか乗せんな。俺が小さいみたいでむかつく!」
「『小さいみたい』じゃのうて、実際小さいどす。
 新鮮やわぁ。眼魔砲を撃たれないなんて、わて好かれてるんどすなぁ。」
根暗な割には妙に前向きな所がある。
調子に乗ってそのままきゅーっと力を入れる。
「違うわ、ボケ。」
容赦なくツッコミ。
ついでに右足を軽く上げ、そのままアラシヤマの左足の甲をぐりぐりと踏みつける。
まったく力が緩まない事が癇に障ったのか、更に体重をかけ念入りに踏みつつ怒鳴る。
「威力があがり過ぎちまったんだよっ! この島はこんなくだらねー事で傷つけたくねーんだ!
 だいたいお前頭に血ぃのぼって避けられそうもないし、直撃したら流石に死ぬだろ!!」
足を踏みつけても一向に緩まないので今度は腕を突っ張りアラシヤマから離れようとする。
が、こちらも歯が立たない。純粋な力勝負では全く話にならないようだ。
国一つ簡単に潰せるぐらいの力があっても力を解放する事が出来ないのなら意味がない。
「あの~、それ肉弾戦では意味無いとちがいますのん?」
満足したのか足が痛かったのか、シンタローを解放し少し真面目に訊ねる。
「るせー………殺意のあるヤツになら意味あるんだよ。
 とっさのことだったら力の抑えが余計できないからな。瞬殺。」
秘石も何を考えているんだか、とぼやく。
今は青の秘石と連絡を取れるが、向こうは全くシンタローを元に戻す気は無いようだ。
実力行使も出来ないのでタチが悪い。
「そうどすか…。よく今まで無事どしたなぁ。」
色々な意味で。と心の中で付け加える。
単純に戦闘の事だけを指していると解釈したのか、シンタローは
「俺を誰だと思ってるんだよ。」
と、呼び止められた時と同じようにやはりふんぞり返って答る。女になっても俺様は俺様だった。
女になった分、更に俺様パワーが上がったようにも思われる。
「はぁー、すんません。」
アラシヤマはなんとなく謝った。


『………』
お互い話すことも無くなり微妙な沈黙が訪れる。
「じゃあ、俺帰るから。」
じゃな。と背を向け歩き出す。
「シンタローはん!」
「まだ何か用かよ?」
怪訝そうに振り返る。
「……この島にわてだけ残ったのも何か意味があると思いますのや。」
「単純に忘れられただけじゃねーの?」
ボソッと呟く。
「だからこの島にいる間は、あんさんの背中はわてが守るどす!」
アラシヤマは炎を背負って叫ぶ。
一人勝手に燃え盛るアラシヤマにそっけなく水をかける。
「俺は誰かに守られなきゃいけないほど、弱くねーよ。」
「そんなこと言うてもシンタローはん今女の人でっしゃろ?」
「うっさい。言うな。不愉快だ。」
立て続けに言葉を吐く。
「でも」
と更に言い募ろうとするアラシヤマの言葉を制す。
「あー、分かったよ。勝手にしろ。ただ、俺の邪魔はすんなよ。」
「あんさんを守れれば十分どす。」




こうしてアラシヤマのストーキングが始まった。

H16.10.15
oms
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「んなモン手に持って迫るな!」
シンタローの怒号が響く。
勢いばんっと机に両手を叩きつけ立ち上がる。
シンタローは両者の間をひらひらと飛んでいたソレを奪い取り足元に叩きつける。
心底残念そうに、マジックは無残にも床に叩きつけられたソレを見遣る。
ついでにシンタローは念入りにぐ~りぐりとソレを踏みつけている。
「折角、パパが買って来たのに…」
と、ポツリと漏らす。
「あんたが買いに行ったのかよ!?」
シンタローは驚いて足を止める。
「そうだよ? 他に誰が買うんだい?」
マジックはごくごく当たり前の事のように答えていた。
いい年したオッサンが独りでソレを買いに行く姿を想像してシンタローは軽く眩暈を起こす。
「重力に負けちゃうよ! シンちゃんっ」
そんな様子をものともせずマジックは切実にシンタローに訴える。
すっかり小さくなってしまった息子、いや娘と目線を合わせる為に同じように
机に手を突き膝を曲げる。
それでもシンタローを見下ろすカタチになる。勿論シンタローは上目使いだ。
そういう些細なことでも気に障るようで、シンタローの表情はさらに険しくなる。
一つでも多く、『親父を超える事』が密かな、周りにはバレバレの、目標だったのに
体格の面ではそれは完全に打ち砕かれてしまった。

息子もとい娘の矜持など関係なく、マジックは相変わらず変態行為を繰り広げている。
もうすっかり大人になっていてから止まっていた息子の成長記に新たに娘の成長記が加わった。
身体的には成長しないのに、事あるごとにビデオを回す。
総帥室にも自宅の部屋にも隠しカメラを仕込んでいた。
それに気づいたシンタローは怒り狂って、眼魔砲を乱発し、
本部の最上部・自宅ともにいっそ見事と言う他が無いくらいに全壊してしまった。
マジックといえば必ず抱いている『シンちゃん人形』は娘になったバージョンが加わり
幸せそうに2体の人形をだいている。ただデフォルトされている人形なのであまり代わり映えはしない。
きっとマジックの心の問題なのだろう。そして、それは、今まであった人形が倍に増えた、という事だ。
秘石によって息子が娘になってしまっても、マジックの態度はあまり変らない。
元々脳がイってしまっていたので、変りようが無いだけかもしれない。

その変態行為で目下最もシンタローが困っている事がコレだ。
しつこいぐらい、ここ数日は毎日説得に来る。
「そんな事、俺の知ったこっちゃないっ!!」
「シンちゃんの為を思って――」
「思っていらん!だいたい、俺はつい最近、こんなのが付いたんだよ!
 重力に負けようが、勝とうが関係ねぇ!!」
「ある!あるよ!シンちゃんっ!」
パパが困るんだよ!と両の拳を握り締めて力説する。
「確かに、シンちゃんの胸は小さいかもしれないけど、」
「誰が小さいなんて言った!」
関係ないと言ったわりにはシンタローがすかさず突っ込む。
シンタローの好みは出るトコロは出で、引っ込んでいるところは引っ込んでいる、
女性らしさがほどよく強調されたラインだ。いざそのようになっても動きにくいので困るのだろうが、
スレンダーなのも微妙な気持ちになるのだろう。
いっその事女になったのならば、極めてみたいと思うこともあるのかも知れない。
「でも! せっかく綺麗な形しているんだから! それを崩そうだなんて神を冒涜する行為っ!」
「るっさい、んな恥ずかしい事でかい声で言うな!」
言いつつ、ブンっとマジックに拳を放つ。
マジックはシンタローそっくりの爽やか過ぎる笑いを浮かべながら難なく片手でそれを受け止める。
受け止められた手を振り払いつつ、また怒鳴る。
「だいたいあんた、神なんて信じてないだろうがっ!」
マジックが神のことを持ち出すこと自体が神にたいする冒涜だ。
笑って爽やかに人を殺せる人間がその言葉を持ち出してはいけない。
「だってパパが神だもん。」
「いい年こいて、『だもん』って言うなよ。」
マジックの自己中心的性格は今更なので、その辺りは何も触れていない。
シンタローもマジックの唯我独尊はこれでもかというほど受け継がれていた。
本人たちがそれを自覚しているかどうかは、分からない。
「だからね、それはパパを冒涜する行為なんだよ。」
「だったら尚更結構だ!いらん!俺はあんたを敬う気はカケラも持ってねー!!」
「シンちゃ~~ん」
今度は泣き落としだ。
マジックはダラダラと本気の涙を流す。
シンタローはその気色悪さに思わず、ズサっと2,3歩後ろに下がる。
それに、コレの次にくるのは力ずくだ。経験上必ずそうだ。
シンタローの本能が危険だと告げていた。
更にじりじりと後退する。真正面には存在感バリバリの机。
その向こうにマジック。
更にその奥に唯一の脱出口、扉がある。
机を迂回し、マジックの横を通らねばならない。
机との距離をとったシンタローはそのままマジックに気づかれぬよう注意を払いながら
今度は横へと少しずつ移動する。
マジックはまださめざめと泣いている。
あまり横へと移動するとマジックに逃げる前にばれてしまう。
距離をとらないとマジックが腕を伸ばせば直ぐに捉まってしまう。
しかし、この機会を逃したらシンタローの脱出の可能性は零になってしまう。
シンタローはギリギリ机を迂回できるだけの距離をとって賭けにでた。
そのまま、ぐっと足に力をいれ、一気にマジックの横をすり抜る。
が、マジックの眼がキランっと光った。
素早くかつ優雅に腕を伸ばし、シンタローを捕らえる。
シンタローの勢いと、マジックの引っ張る反動でそのまま腕の中に。
「捕まえたっ」
離さないよ~シンちゃんっと世にも嬉しそうな顔で、娘を抱きしめる。
マジックはいざ知らず、シンタローは至って本気だが、
傍から見ればどこのバカップルだよ、っと突っ込みを入れたくなるようなやり取りだ。
ぎゃーという色気も何も無いシンタローの叫び声がこだましつつ、
そして、バカップルたちは消えた。

H16.10.24
oks
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わざわざ自室に帰るのが面倒で、最近総帥に就任したばかりのシンタローは総帥室から扉続きの仮眠室で休んでいた。
壁にはまだ着慣れていないであろう赤いスーツがかかっている。
仮眠室といっても水廻りまで完備されており普通の部屋と何ら遜色はない。
人の気配を感じ、シンタローは目が醒めた。
いくらガンマ団内とはいえ、殺気混じりの気配を撒き散らす存在がいればたとえどんなに深く眠っていようとも
体が勝手に反応する。体を起こしかけ、その姿を目の端に確認したが相手故に反応が遅れた。
殺気の持ち主にはそのわずかな迷いの時間があれば十分だった。
ベッドまであと数歩だった距離は瞬時になくなり、シンタローは起き上がりかけていた体を突かれ、そのまま倒れる。
間髪つかず、馬乗りにされガッと物凄い力で両腕を押さえつけられる。
この時ほど女にさせられた事を悔しく思ったことは無い。男ならばこうまで簡単には押さえ込まれない。
腕が自由にならないならば足で反撃したいが、両足の間に体を割り込まれ上手く蹴り上げる事が出来ない。
ならばせめてもの反抗と、相手を睨みつける。
が、相手はその青がいっそう冴えたような感情の篭らぬ視線をよこすだけだった。
にらみ合いでは一向に埒が明かないので、仕方なく口を開く。
「で、何がしたいわけ? キンタロー」
「……こんな状況でよくそんな台詞がいえるな」
妙に感心したような声色だ。
「そらまー、俺男だし?体は女だけどさ」
「ふん、男が男に組み敷かれたら屈辱を感じると思うがな」
「そりゃそうだろ」
組み敷かれている当人はまるで人事のようにあっさりと同意した。
だがその余裕には理由があった。純粋な腕力では敵わないが、技が残っている。
恥を晒すようでイヤだったんだがと呟くと右手に意識を集中させる。
ぼうっと青白い光が宿る。それ以前より格段に大きくなっていた。
「ま、この体勢でも打てるからな」
同時に爆音が轟く。手の先、頭上のベッド枠と更にその向こうの壁が崩れさっていた。
総帥室との壁を破りその先にあったはずの重厚な机が跡形もなくなり壁にはぽっかりと大きな穴が開いていた。
夜空が覘いていた。他の施設より一段と高くそびえている為にここ以外に被害はでない。
「威力、スゲーだろ?これでもかなり加減してるんだ。……直ぐに誰かが来るぜ?」
シンタローは後で側近二人に怒鳴られるだろうと頭の端思いながら逃げるなら今のうち、と相も変らず
組み敷かれたまま余裕の口調だ。
「読み違えたな」
すっと目を細める。
適温に保たれていた室内は外からの風が吹き込み肌寒い。スウェットにシャツという薄着に寝起きならば尚のこと。
捕まれた腕は熱いが。
「え?」
「俺がこのまま引き下がるとでも?」
「……。お前が俺の手を離した瞬間、俺はお前に打ち込む」
「お前にそれが出来るのか?」
キンタローはそうできない事を知っているかのような口調だ。シンタローはぐっと言葉に詰まる。
「お前は俺には手出し出来ない」
今度はそう言い放ち、たたみ込んだ。
圧し掛かっている相手を睨み付けていたが、ふっと顔を背ける。
シンタローもまたその言葉を否定しない。自身もよく分かっているからだ。
だがキンタローは言葉でシンタローの動くを封じたが、いつまでたってもその姿勢のまま動こうとはしない。
シンタローは不審に思い正面に向きなおす。
その目はシンタローを見ているようで見ていない。瞳の奥には苦悩が窺えた。
かつてシンタローが、自分を見るたびに嫌でも見慣れたそれが。

先ほどの音で駆けつけてきたのだろう、扉をドンドンと叩き
「シンタロー様、どうなさいました?」
シンタローを確認する。
「なんでもない!ちょっと壁をぶち破っただけだ。他のやつ等にも伝えておけ!」
団員は「はい」と応じるとそのまま扉を開け中を確認するまでもなくおとなしく引き返していく
シンタローがガンマ団の建物の一部を破壊するのは良くあることだ。
大概その原因は息子から娘になって溺愛の度合いが更に増したマジックだ。
さすがにこの状態を見られたらただ事じゃないと騒ぎになるところだったのでマジックもたまには役に立つと
シンタローにとっては非常に不本意なことだが少しだけ感謝した。
だが本当は、青の一族はシンタローが認識している以上に、団員からは日常が非日常と囁かれており
またマジックが引退し、その弟であるサービス・ハーレムが各地を放浪している現在ではシンタローが№1だ。
頭が一番強いのだから護衛する意味はあまりない、と思われいているので団員は形式的に来たと言うのが事実である。
知る由は無いが、彼の感謝は全くの無駄であった。
シンタローはマジックの奇行を思い出し緩んだ意識を引き締め、キンタローに問いかける。
「これが、本当にお前のしたいことなのか?」
先ほどとは違い、挑戦的な態度が消えていた。そのシンタローの意図が分からず、聞き返す。
「何?」
「…お前が心からコレを望んでいるなら俺はもう抵抗しない」
キンタローが揺れる。
「……俺にもわからないんだ…俺自身のことなのに…」
キンタローはそのまま苦しげに言葉を吐き出す。
シンタローの掴んでいる手首をその心の混乱を表すかのように更に力を入れる。
痛みのため微かに眉を寄せるが、そのまま何も言わず見下ろす相手をじっと見つめる。
「お前の所為でも、誰の所為でもないのは分かっている。分かってはいるんだ。
 でもそれでは俺の24年間は?あってあたりまえだったその失われた時間はどうなるんだ?」
「キンタロー…」
「俺はどういたらいいんだ?」
ギリギリと痛いほどの力で押さえつけていた力がふっと抜けそのまますがりつくようにシンタローを見つめる。
シンタローもその答えは持たない。たが、目を逸らすことなく、その青を見つめ続ける。

どのぐらい時間がたっただろうか。
キンタローは急に力を抜きシンタローの上にそのままどさっと圧し掛かった。
不意のことでシンタローは思わずぐっとうめき声をもらしたが、キンタローは何も反応せずシンタローの頭の真横、
肩口に顔を押し付けており表情は伺うことが出来ない。
何の遠慮も無く体の上に乗っかられてはかなり苦しい。これ以上何をするわけでもなく、キンタローは動かない。
自由になる頭を横に動かすが、金色の髪が見えるだけでその表情までは伺えない。
このまま圧死させる気じゃないだろうかと、シンタローが苦しい息の中思い始めたら突然背中にぐっと腕が回り
そのまま体勢がくるっと反転した。
「あ?」
今度は先ほどとは真逆になる。が、シンタローが優位になったわけではない。
両腕ごと腕を回したままであり以前自由には動けない。様子を伺おうと顔を上げようとしたら
頭をぐっと押さえつけられた。それでもキンタローの片腕で両腕を封じされていて
体格差をいやと言うほど見せ付けられ腹が立つ。反抗しないと言っていた手前もある。
暴れればこの体勢ならば抜け出すことも出来るだろうがそれではキンタローから逃げるようでそれもまた気に食わない。
無駄な意地からシンタローは大人しくそのままの体勢でいた。
目線を横に向けても相手の金髪から覗く耳が見えるのみ。
シンタローにはこキンタローが何を考えているのかさっぱり分からなくてつらつらと考える。
――こいつは俺のことが憎くて殺しに来たんじゃないのか?
   なのに何なんだよ、この状況は。憎いのなら眼魔砲をぶっぱなすなり、殴るなりすりゃいいんだよ。
   そうしたら俺だって全力で相手をするのみ。全力とまではいかないか。いやでも全力を出さなければ
   侮っているようで失礼だ。こいつだって力は十分にある。俺だって殴られてもいいし、場合によっては――
そこでいったん思考を切り、もう一度キンタロー伺う。規則正しい呼吸が密着した体から伝わってくる。
「寝てるよ、この馬鹿……。なんなんだよ、一体」
ため息混じりに独りごちる。

壁からは相変わらず冷たい風が吹き込んできているが、寒いのか暖かいのかシンタローには分からなかった。



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