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 もう結構前のことになる、リキッドに付き合ってくれと言われたのは。
 あまりに唐突だったので最初は冗談かとも思ったが、考えてみれば彼がそんな冗談を言えるはずがない。けれど本気だとしたらそれはそれで、どんな返事をすれば良いのか分からなかった。
 だからそのときは適当に誤魔化してしまったのだけれど。
 それ以来、リキッドはあのときと同じような言葉を一度も口にしていない。やはり冗談だったのか、それとももう諦めたのか。
 多分、どちらも違う。
 催促して得る答えに意味がないことを分かっていて、何も言わずにただ大人しく返事を待っているのだろう。何事もなかったような顔をして、今まで通りに暮らしながら。


 正直、シンタローは困っていた。


 気にしないことにしようと思っても気になってしまう。平然としているリキッドが本当はいつも自分の返事を待っているのだと思うと、それだけで自分の方が落ち着いていられなくなってしまう。
 絶対に表には出さないけれど。
 最近はいつの間にかリキッドのことばかり考えている。その事実が腹立たしい。


 付き合ってくれと言われたあの日と同じように、パプワとチャッピーが出掛けてしまって家にリキッドと二人きりになった。そしてやはりあの日と同じように、リキッドは一人で皿を洗っている。
 床に座ってその様子を眺めていたシンタローは、意を決したようにその背に声を掛けた。
「なあ」
 短い呼び掛けにリキッドは皿を洗う手を止め、律儀に流していた水も止めてから振り向いて返事をする。
「何すか、シンタローさん」
 呼び掛けに応える嬉しそうな顔はいつも通り。シンタローは一瞬躊躇ったような間を置いてから、それでも出来る限り何でもない事のように話を切り出した。
「オマエこないだ、付き合ってくれって言ったよな?」
 途端、リキッドは更に笑みを深める。
「覚えててくれたんですか?嬉しいッす!」
「……俺がそんなに物忘れ酷いように見えんのか?」
「あッ、すみません!そういう意味じゃ……!」
 声を低くすれば慌てて弁解する。シンタローは呆れたように溜息を吐いた。
 今のリキッドの慌て方に呆れたわけではない。
 あんな風に言われて忘れるはずがないだろう、と思ったからだ。
 ストレートな言葉は嫌でも印象に残ってしまうし、実際リキッドはシンタローに忘れさせないためにそういう告白の仕方をしたのだろう。それも多分、計算ではなく天然で。
 こういうタイプが一番厄介だ、と思ってしまう。
「まあいいや。それで一つ訊きたいんだけどよ、オマエは俺と付き合って何がしたいワケ?」
 それでも余計なことを考えるのは止めて、本題の問いを口にした。本来リキッドの言葉に答えを返す立場なのは自分の方だけれど、その前に確かめておきたいことがある。それによって自分の答えも変わってくるのだから。
「え、何って……」
「だって俺達ってその辺の恋人同士なんかよりよっぽど一緒にいる時間長いんだぜ。これ以上どうしたいんだ?」
 不思議そうな顔をするリキッドに更に言葉を続ける。
 付き合ってくれと言うリキッドが一体何を求めているのか、それがシンタローには分からなかった。
 もし彼の求めているものが自分にはどうすることも出来ないようなものだったとしたら、付き合ってみたとしても良いことなんて何もないだろうと思う。自分は今のところ彼に何も求めてはいないけれど、実際に付き合ってみた後で期待外れだったというような反応をされるのだけは困る。
「でも一緒に住んでても夫婦っていうよりは嫁と姑ッすよね……」
 問いに答えず、リキッドはやや情けない表情でそう呟いた。会話が成立していないこととあまりに唐突な単語の入った言葉に苛立って、シンタローはリキッドに手の平を向ける。
「夫婦みたいだなんて一言も言ってねぇよ」
「すんません、調子に乗り過ぎました」
 このままでは眼魔砲が飛んでくると判断して、リキッドは即座に土下座した。
 シンタローは溜息を吐いて手を下ろす。
「で、どうしたいのか言ってみろよ」
 同じ問いを繰り返すと、誤魔化せないことを悟ったらしいリキッドは少しだけ困ったように笑った。
「そッすねー……デートとかしてみたいッす」
「デート?」
「俺としてはランドとか行くのが理想的ッすね!」
「オマエはこの島の番人だろーが」
 聞き返しても嬉しそうに続けるリキッドに、シンタローは呆れたように苦笑を浮かべる。パプワ島の番人である彼が、この島から出られるはずがないのだ。
「ええ、だからただの夢なんすけど――」
 当然、そんなことはリキッド本人も分かっている。落ち込むわけでも反発するわけでもなく笑ったまま、漸く本当の答えが返される。
「本当は、シンタローさんが恋人になってくれたらそれだけで充分だと思ってます」
 贅沢な望みがあるわけではなく、今まで通り一緒にいられて、そして少しだけ特別な存在になれたら良い。
 その言葉にシンタローは黙って立ち上がり、リキッドの隣で徐に蛇口を捻って残りの皿を洗い始めた。
「し、シンタローさん?そんなの俺がやりま……」
「これが終わったら俺達も散歩に行こーぜ」
 突然のことに困惑しながらも慌てて止めようとするリキッドに対し、シンタローは振り向くこともなくそう告げる。真意が分からず、リキッドは不思議そうな顔をした。
「シンタローさん……?」
「付き合ってやるよ。出掛けんのはパプワ島内限定だけどな」
 相変わらず目を合わせることもなく、まるで日常会話の中の一言のようにあっさりと告げられた言葉。けれどそれは、確かにずっと待っていたシンタローからの返事だ。
 リキッドは一瞬思考が停止したかのように固まったが、すぐに我に返って勢い良くシンタローの顔を覗き込む。
「ほッ、ほんとですか!?」
「こんなことで嘘なんか吐くか!だからオメーもさっさと皿洗え!」
「はッ、はい!今すぐにッ!」
 リキッドが慌てて皿を洗い始めた後も、シンタローはリキッドの方を見ようとはしなかった。自分の言葉に動揺してしまっている、今の表情を絶対に見られたくないと思う。
 けれど、告げた答えに後悔はない。
 そして彼ならば、これからも自分に後悔をさせることはないだろうと信じている。

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 昼食を終えてすぐに、天気が良いからと、パプワとチャッピーは散歩に出掛けてしまった。
 今、この家にいるのはシンタローさんと俺だけ。
 台所に向かって皿を洗いながらも、後ろが気になって気になって仕方がない。呑気に寝転がって本を読んでるシンタローさんは、多分俺のことなんか少しも気にしてないんだろうけど。
 でも、俺は決めてたことがある。
 今度シンタローさんと二人きりになったら、絶対に言おうと思ってたことがある。
 今がそのときだ!
 最後の一枚の皿を必要以上に力を入れて洗って、水を一滴も残さないように丹念に拭き取って。濡れた両手もきっちり拭いて、大袈裟なぐらいに一つ深呼吸。両手をぎゅっと握り締めて、足にも力を入れて、振り返る。
「シンタローさん!」
 大声で名前を呼ぶと、シンタローさんが本から顔を上げてくれる。でもその表情は不機嫌そうで。声が大き過ぎたのかもしれない。っていうか、読書の邪魔をしてしまったのがまず間違いだったんだろう。
 でも今更引き下がれねえ!
「んだよ、うっせーなぁ」
 やっぱり物凄く機嫌が悪い。思わず怯んでしまった。
 怖気付いてる場合じゃないのに。
 頑張れ、リキッド!
 自分で自分にエールを送ってみる。
 そして、もう一度深呼吸。シンタローさんは不審そうな顔でこっちを見てるけど気にしない。俺の目的は唯一つ。
 シンタローさんにこの想いを伝えることだけだ!
「シンタローさん、俺と付き合ってください!」
 目を閉じて、叫ぶように告白。
 そして、沈黙。
 やっぱりいきなり過ぎただろうか。でもどうしても伝えたかった、今が滅多にないチャンスだったんだ。パプワやチャッピーがいるときにこんなこと言い出すわけにはいかねぇし……。
 返事がない。
 恐る恐る、目を開ける。
 視線の先、シンタローさんが呆れたように、溜息。
「バカ言ってねぇで晩飯の献立でも考えてろ」
 やっと返ってきた言葉はそれだけ。
 思いっきり不発?
 っていうか、俺、振られた……?
 シンタローさんは既に本へと視線を戻してしまっている。俺のことなんか眼中にないって感じだ。
 想像以上にあっさり終わってしまった。こんなことならもう少し何も言わないでおいて、勝手に希望を抱いたまま過ごしていた方がまだ幸せだったかもしれない。それはそれで空しくはあるんだけど。
 呆然とその場に立ち尽くす俺は、シンタローさんがもう一度顔を上げてくれたことにも気付かなかった。溜息を吐いて、立ち上がったことにも。
「おい、リキッド」
 名前を呼ばれて漸く我に返る。シンタローさんが思い掛けないほど近くに立っていて驚いた。
「し、シンタローさん……?」
 いきなりあんなこと言ったから気を悪くしたのかな。ああもう付き合ってなんて図々しいこと言わないんで、せめて俺のこと嫌いにならないで……ッ!
「晩飯の材料集めに行くぞ」
 あ、そういえば晩飯の献立考えろって言われたんだった。
「はい、晩飯の献立ッすね――って、え?」
 でも今、違うこと言われた……?
「何か良い食材見つけてそっから献立考えれば良いだろ。行くぞ」
 行くぞ、って。
 ――シンタローさんと、一緒に?
「ぐずぐずしてんじゃねえッ!」
「え……!?」
 怒鳴られて、同時に手を掴まれて。驚き過ぎて返事をすることも出来なかった。
 引っ張られるように歩きながら、そっと、その手を握り返してみる。怒られるかなと思ったけど、シンタローさんは何も言わない。一度も振り向いてくれないから、どんな顔をしているのかも分からないけれど。
 繋いだ手が暖かい。
 恋人同士みたいだ、と思った。
 言ったら今度こそ怒られそうだから、思うだけにしておいたけれど。
 さっきの告白は、不発じゃなかったのかもしれない。
 いずれにしても、俺はやっぱりこの人のことが好きだと再確認してしまったから、今後も諦めることは出来そうにない。
 いつかシンタローさんもはっきりとした答えを俺にくれるんだろうか。
 それが、俺にとって嬉しい返事であることを。
 図々しいとは分かっているけれど、それでも期待しちゃってます。

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 生きながら火に焙れる苦痛を知った。
 激痛苦痛というものは口からほとばしる咆哮をなかなか抑えれぬものであるが、不思議と意識は瞭然としていて、アラシヤマは目の前にいるであろう師の顔を思い浮かべた。上を向いた目尻に細面の、面立ち通りに厳格だった彼は、きっと苦痛に喘ぐ自分を愚かに、あるいは滑稽に思うだろうと考えて、アラシヤマは声を上げぬよう、それこそ残りの意識を費やしてでも努めた。
 愚かなどと思わせない。滑稽ならば尚更だ。
 その師を巻き込もうとして我が身を焼いているのだが、そうそう彼も自分と同じように苦しんでいてくれているとは思えない。自分が何をしでかすかわかっていた彼を死なせることは用意ではないし、それに周りには仲間がいる。巻き込んでしまうとわかっていて、師を死なせることが厳しいことだとわかっていて、それで本気を出せるアラシヤマではなかった。せめて一時的にでも戦闘を行うことのできぬ状態にできれば良いと思う。それだけでも功績だ。あの人が決着をつけるに、決して邪魔は入らせない。そうすればあの人はあの人なりに道を切り開く。確信してそう思う。アラシヤマは寸分の疑いもなくそう思うのだ。
 焼かれ、焼かれ、隣に後ろに仲間の苦痛の声があがる。申し訳ないと思った。
 何人も何十人も何百人も人間という敵を焼き続けて、己の能力はそういったことに効率が良かったから、それこそ虐殺し、殺めて、蛋白の燃える匂いすら長じて慣れてしまってからは、苦痛の声を無感動に「煩い」と流すだけだった。いちいち罪悪を持っていたらやっていられないのは事実であった。同時にそうした自分の行為を「倫理の敵」と認識していなければ、いずれ破綻する。要するにその境界線のせめぎ合いを中立に保つことこそが、上手くやれるポイントなのだろうとアラシヤマは考えていた。実際上手くやっていた。
 意識は眠りを誘うように緩慢に落ちていく。一声叫んで苦痛をあらわにしたのならば、一瞬にして意識を手放す事ができたのやもしれぬ。アラシヤマは拒んで、拒んで、ああやっと、そんな思いに駆られた。仲間の苦痛の声は聞こえない。発火点ではないから火は消えているだろうと、あるいは消えているといいとアラシヤマは思う。申し訳ないと思う。苦痛の声を聞かぬことへの安堵と、同時に生きていて欲しいとの願いが、不安が、それこそせめぎ合い境界線を侵食しあって、中立もなにもあったものではなかった。同時に師は、師は、どうなったのだろう。せめて意識不明くらいの負傷はしているといいと思いながら、突然泣きたくなるくらいに、やはり生きていて欲しいと感情が溢れた。とんだ矛盾で欲張りだと思った。
 自分が燃えているのか燃え尽きているのか既に出来ないでいる。意識があるならば生きてはいるのだろうが、如何せん感覚はひどく麻痺して、これはすでに燃え尽きて死後の云々という、そうしたものを体験しているのではないかとアラシヤマは、あるいはアラシヤマだったものは思うのだ。そんなくだらないことを考えるまでに意識は朦朧としていた。世界は曖昧模糊としていた。受動的に記憶から刺激される思考を続けるだけだったアラシヤマが、麻痺した世界を眺めながら、ひどく切実にと願うようにして、やっとひとつの意識を確立した。
 ひたすらに願うことは難しい。
 それは純粋な願いから願望へと転じ、望みへと転じ、夢へと転じ、それが叶った未来を夢想すること。想像すること。それが叶った時点で己はどうするか。あるいは目標を。それらを思考することなしに願うことは、そうそうないのだろう。ただひたすらに、ひたすらに狂おしいまでに一途な願いを想い続けることは、考えなしと夢想家と罵られることさえあって、ましてそうした願いの形すら少ない。
 世界が欲しい。
 それは思いはすれど、結局自分のすぐ上にいる人を抜くことが第一であった。
 友人が欲しい。
 憩いを望んだ。甘美な夢だった。そこには人間同士という要素は含まれず、ただ幻想のようなものを求めた。
 いずれも願いの先には打算があり、利益があり、本末転倒すら生じていた。アラシヤマはいつでもそうした願いを忘れずにこれまで生きてきたのだし、何かを求める自分を気に入ってもいた。孤高という師の生き方に憧れながらも、結局他人との馴れ合いを避けられぬ彼の姿を見て、気持ちはいよいよ増すばかりであった。求めることを隠さず、矛盾を生ずることなく生きる方が、よっぽど美しいものではないかと、幼い頃肥大した意識は長じてようやく開花した。
 馴れ合いを許さぬ師は「孤高」と自らの生き方を定めてはいたが、それは必要最低限鬱陶しいものを嫌う師の予防線だったのではないかと思う。師はある人に憧れていたしある人たちを好いていた。自分にも情を向けてくれていたのだと思う。師は鬱陶しいものを忌み嫌うが故に、曖昧にしておかず「孤高」という言葉を用いて必要最低限の人を求めた。自身がそれを明確な意識として捉えているかはともかく、ならばアラシヤマは、自分はひたすらに求めようと思った。必要最低限を見定められぬゆえに、甘美な幻想を求める範囲は広がった。
 それは本末転倒の、健全な願いだった。ただ、意識が切れる前のほんの一瞬、アラシヤマはたった一人の顔を思い浮かべた。
 あの人を。あの人を。あの人を。
 それはひたすらな願いだった。届かぬと知っていながら、そのひたすらな気持ちを伝えたかった。
 アラシヤマは、小さく唇を動かした。

 「この、馬鹿野郎!」
 ぱんと頬を張り飛ばされる感触にアラシヤマは瞼を上げた。飛び込んだのは白い天井で、細い蛍光灯が数本ずつ置きに煌々と部屋を照らしている。突然瞳に飛び込む光に、アラシヤマは思わず目を細める。思考を忘れたまま、細めた目の横に動くものを捉えて、ゆっくりと首を傾けた。
 刹那に
 「し――――」
 胸の内で飽和した感情が口から弾けそうになったと同時に、乾いた喉は突然飛び出そうとする声を受け付けず、アラシヤマの感情は不発に終わった。寝起きにも関わらずありありと見開かれた瞳は、たった一点を捉えている。
 シンタローはん、と唇だけが先走った。
 ぱんと平手打ちが飛んできた。
 「馬鹿野郎」
 いかにも憎憎しいといった口調で、シンタローは再度吐き捨てた。ベッドに横たわるアラシヤマを見下ろして、アラシヤマ本人はわけがわからず、痛みを感じ取ることのできない頬に左手をやった。右腕は点滴に繋がれている。
 「シン、タロー、はん?」
 乾いた口内から搾り出すようにして、アラシヤマは必死に名前を呼ぶ。
 馬鹿、としか返ってはこなかった。
 「ねえ」
 「うるさい」
 「どうしたんですのん?」
 シンタローはぎゅっと眉間を詰めて、何かを堪えるような表情をしていた。アラシヤマには彼がこんな顔をする理由がわからない。何か辛いことでもあったのだろうか。
 お前が、とシンタローは言った。
 「お前が、目ぇ覚ましたって聞いて」
 「ああ、おおきに」
 今度は額を叩かれた。べっ、と小気味良い音がしたが、意識が朦朧ろしている所為なのか興奮ゆえなのか、相変わらず痛みはない。
 「どうしたんですのん、シンタローはん?」
 「ばか」
 「は?」
 「馬鹿っつってんだよこの大馬鹿野郎!」
 腕が大きく振り上げられてアラシヤマは反射的に目をつむった。しかしそれがアラシヤマに下ろされることはなく、シンタローは今にも泣きそうな顔をして、ゆっくりとそれを胴の脇へと収めた。
 シンタローはん、とアラシヤマは呟く。もしかしたら抱き締めたかったのかもしれない。
 「無茶してんじゃねえよ」
 「へえ」
 「死ぬとこだったんだぞ、てめえ」
 「へえ」
 「心配なんかしてやんねえぞ、わかってんだろ?無意味なんだよ。見返りなんかねえんだよ。だからやめろよ、そういうこと。お前はただの馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。いっちょ前にして、そんなの、誰も心配なんかしねえんだよ」
 吐き出すように、泣き零すように、シンタローは瞭然とした口調で捲くし立てた。痛みを堪えるような表情で己に向かい暴言を吐く。アラシヤマはベッドに横たわったまま、シンタローを見つめた。思わず顔の筋肉が弛緩する。
 「なんだよその顔」
 「すんません」
 「気持ち悪ぃぞ」
 いつもの暴言なのでアラシヤマはわずかに苦笑して流した。
 シンタローは「ああもう!」と乱暴に言って、珍しく下ろした髪を掻き揚げた。服装は軍服ではなく、あの島にいたときと同じラフなもので、顔がわずかに浮腫んでいたことから寝起きなのだろうとわかった。もしかしたら自分が目を覚ましたことを聞いて、飛んできたのかもしれない。窓の外はわずかに朝焼けが白んでいる。時計を見れば午前四時を回っていた。こんな早くに、人によっては丁度深い眠りに落ちている頃だというのに、しばらく寝ていてもすぐ朝は来るから、何ら差し障り無いというのに―――それでも駆けつけてくれたのだと思うと、嬉しくて、嬉しくて、思わず抱きしめたい衝動に駆られたが、身体は腕を動かすにしても鉛のように重くて、残念ながら叶いそうに無かった。
 そんなことを考えていると、シンタローはじっとアラシヤマを見つめてきた。また暴言を吐かれるのかと、アラシヤマは全くと言っていいほど素直でない愛しい人を見返す。シンタローはしばらく無言であった。アラシヤマは言葉を待った。シンタローは徐に腕を伸ばして、迷い箸の動作のように逡巡しつつも宙を掻き混ぜて、やっと意を決したように、アラシヤマの頬に手を添えた。
 「シンタローはん?」
 数分の間だけで幾度も叩かれた頬を、今はその掌によって優しく触れられている。感触は硬く長い炊事で乾燥してもいたが、妙に弾力があった。アラシヤマはそれこそ本能のように重い腕を上げた。自分の頬に添えられた手に、更に自分の手を重ねる。アラシヤマは込み上げる愛しさを必死に伝えようとした。これ以上ない、飽和した感情だった。
 「俺より先に死ぬなよ」
 搾り出すようにシンタローは言う。
 「お前は俺にこき使われて、こき使われて、それ以外なんの役にも立たないくせに。だから勝手に死ぬなよ。無茶すんじゃねえよ。敵わねえって思ったら、逃げろよ。逃げて逃げて逃げて―――ああ、相手が特戦部隊じゃ、それこそ無理かもしれねえけど、だからって」
 だからって。
 頬に遣られた指が、ぐっと立てられた。
 「自爆なんか、すんなよ。それ以外なかったのかよ。なかったからやったのはわかってるよ。ただの八つ当たりだよ。でも、でも、アラシヤマ」
 アラシヤマの飽和した感情に負けぬくらい、シンタローもあらゆる感情を込めた。
 「この馬鹿――――」
 シンタローはアラシヤマをきつく抱いた。点滴の針が今にも抜けそうになるくらい、乱暴に上半身を抱き上げた。窓の外はいよいよ陽光が差していて、白い部屋がてらてらと光った。アラシヤマは燃え立つ自分を想起する。その中でアラシヤマはひとりの顔を思い浮かべた。たまらなく愛しい感情が飽和して、それは打算も利益も存在しない、もしかしたら本末転倒はあったやもしれぬが、少なくともひどく純粋な思いであった。
 アラシヤマは重い腕で抱き返して小さく呟いた。
 「…ただいま」
 その純粋な想いを向ける相手は今自分の腕の中にあった。否、自分が彼の腕の中にいた。たまには抱かれるのも悪くはないと思いながら、アラシヤマは、炎の中意識が尽きる最後の言葉を想起した。最後に思った顔。アラシヤマはこのままでは間違いなく不帰路を辿ると思った。だからせめて一言、苦痛の声の代わりに、たとえあの人に届かぬとわかっていながらも―――焼け乾いた喉から流血するのを感じながら、アラシヤマはたった一言。
 さよならと言った。
 最後までなんて自分は我侭なのだろうと思った。自己満足に想い、不帰路を辿るならばとけじめをつけたくて、それでも結局のうのうと生きた。そして「ただいま」と撤回するのだ。
 自己満足という純粋さを、ひたすらに愛しい人に向けた。










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長い黒髪が視界に揺れる。
見事な金髪碧眼揃いの一族の中にあって、若き新総帥は唯一の黒髪の持ち主だ。

固い意志の宿る瞳に、迷いのない背中、胸を張って立つ姿。

一族の誰とも違うその色は、却って彼が歴代の総帥の中でも特別な存在であるかのように思わせる。
力強い一挙一動の度に翻るそれこそが、彼が掲げ皆を導く旗印のようだった。

 

そんな風に彼自身を象徴するものだからだろうか。
本人の性格を映すかのごとく、腰まで届く黒髪はとにかく頑迷なまでに真っ直ぐで、耳に掛けても背中に払っても、簡単に滑り落ちてくる。
デスクワークともなれば、下を向くたび目にも書類にも被さって、何度も煩そうに掻き上げる姿を眼にすることもしばしばだ。

「邪魔なら結わいておいたらどうだ」

いつもその有様を見る度にキンタローは言うのだが、

「いーんだよ」

彼は彼で、意地になったように、それしか言わない。
強情なのも考え物だと、内心呆れるキンタローだった。

 

 

それは遠征から帰還した時のことだった。

「だッ」

総帥室に響いた小さな声に補佐官が振り返ると、総帥は黒のコートを脱ぎかけた、中途半端な体勢で固まっていた。
髪がコートのファスナーに噛んだらしい。
忌々しそうに舌打ちして、彼は片手で絡まった髪を押さえ、片手でデスクの上を探った。
手に取ったのはハサミだった。
髪のその部分だけ切るつもりらしい。
制止する言葉より先に手が伸びた。
動きを遮るように、ハサミを持つ腕を掴む。

「何すんだよ」
「ちょっと待て、動くな」

釘を刺してから、問題の場所を覗き込む。
ひともちになった髪と金具にじっと目を凝らし、何とかなりそうな状態だと見当を付け、キンタローはひとまず従兄弟の手からハサミを取り上げた。
無理に引っ張らないように注意しながら、もつれた髪を少しずつ摘んで解いていく。
そう苦労もなく、すぐにファスナーは外れた。

「お、サンキュー」

ほっとした様子の従兄弟には答えず、キンタローは備え付けの洗面所からタオルと、ブラシなどの洗面台周りの細々とした物を入れてある篭を掴んで引き返した。
引っ掛けた髪の、傷んでこんがらがった部分を濡れたタオルで挟み、ブラシで丁寧に梳かす。
何度か繰り返すと、元通りとはいかなかったが、幾分ましになった。
ついでにブラシを全体に流して、全部の髪を集める。

「キンタロー?」

シンタローが怪訝な声を上げる。
後ろ髪を押さえられているので、首は振り返れない。
何とか髪を取り返そうと手が伸びるのを、軽くいなしてキンタローは手を動かす。

「動くなと言ってる」

言いながら、キンタローはふと篭に伸ばしかけた手を止めた。
ごちゃごちゃと乱雑に入った中に、ひとつ、見覚えのある白い結び紐。
それには触れず、素っ気ない黒い髪ゴムを手に取った。
ブラシで梳いた髪を、ざっと三つに等分してもう一度梳く。

「??おい?」
「すぐ済む」

手早く、首の後ろで一本の三つ編みにした。
解いたときに跡が残らない程度に緩くやんわりと編み込んで、邪魔にならない長さまで編んだら残りは垂らす。

「済んだぞ。どうだ?」

問われて、やっと解放されたシンタローが一本の束になった髪を摘んだ。

「まぁ、ラクだけど…」

ざっくりと編んであるだけだが、その割に解れてこない。
呆れたような感心したような顔で、彼は己の髪をしげしげと眺めた。

「お前、こんなのドコで覚えたの」

従兄弟の結いようもない短い髪に目をやりながら問う。
彼の金髪が長かったのなんて随分昔の一時期だけのことで、その頃にこんな風に結っていたという記憶はなかった。

「やり方さえ知っていれば、このくらい別に練習しなくても出来るだろう?」

やり方はグンマがやってるのを見て覚えた、と答える。

「器用なヤツ…」

憮然とした響きに、そういえばとキンタローも気付く。
彼がこういう風な結び方をしていたことはなかった。
ハーレムでも夏は高く結っていたのに、彼は括るだけのスタイルを変えたことがない。
ポリシーと言うワケでもなく、単にその程度しか出来なかったらしい。
成る程、だから括れないなら、下ろしておくしかなかったということだ。
家事や料理にはあれほど細やかに動くのに、思わぬところで不器用な指だ。

「今度から邪魔なときは言え。邪魔なのを気にしてるより、こうした方が早いし楽だろう?」
「まーナ…」

そう言いつつ、慣れない感覚が気になるのか、しきりに落ち着かなげに左右に首を傾ける。
改めてじっくり眺めると、ラフに纏めた髪は私服なら良いだろうが、重々しい総帥服には妙にミ
スマッチだった。
髪を結ったのは単に合理性の問題であって、別に似合う似合わないの問題ではないのだが、妙に笑えてしまう。

「まぁ、やっぱりその服には解いていた方が似合うな」

髪を引っ張らないように気をつけながら、髪ゴムを外した。
芯の強い張りのある髪は、かるく指を通しただけで、ぱらりと広がる。
真っ直ぐに真っ直ぐに、見事に従兄弟の気性を写したような髪をキンタローは存外に気に入っていた。
何とはなしに手離しがたくて、編んだ形が解けた後も指で掻くように梳く同じ動作を繰り返す。
子供か子猫が無心に玩具で遊んでいるような仕草に、シンタローも呆れつつさせたいようにさせている。
指の間をするりと摺り抜ける感触が小気味よく、海辺の砂が掴んだ手の中でさらさらと崩れていくのにも似たくすぐったさが心地良く、キンタローは目を細め、掴まえた一房に衝動的に唇で触れた。
指先よりも柔らかい皮膚に、ぴんと張った髪のひんやり滑る感触がした。
シャンプーの控えめな香りが鼻腔を擽る。
掴まえた筈のそれは、髪自体の重さで容易くするりとすり抜けて落ちた。
名残惜しい気持ちを感じながら、顔を上げると、従兄弟が固まったまま呆けていた。

「なんだ?」

問うと、ぎぎぎ…と首を動かす。
ふたりの視線が合った。
首を傾げたキンタローと視線を合わせたまま、シンタローの強張った指が手探りで己の髪を掴まえた。
そのまま、ぐっと鷲掴みに握りしめる。
不必要なほど力のこもった拳に握りつぶされて、折角梳かしつけた髪がまた乱れた。
本人がしているとはいえ、乱暴な扱いにキンタローは顔を顰める。
当の本人はそんなことにはお構いなしに、そのままの姿勢でぎこちなく止まっていた。

「…それこそ…どこで覚えてきやがったんだよ」
「何をだ?」

不可解そうに眉を寄せた従兄弟の大真面目な顔に。
深い深い溜息の後、シンタローはずるずるとその場に伏せた。

「んでもねェよ」

 

そうして、デスクに沈むように突っ伏したまま、疲れたように

――人前じゃなくて良かった。

しみじみと遠い目で呟いた。




 

 

 




 

後書き。

三つ編み。実は髪型としては結構好きです。2本のお下げとかより、1本でざっくりとが良い。髪を触らせるのって、かなり近い距離感だと想います。寝癖やらネクタイやらお互い…いや、むしろ従兄弟で直しあってれば良いと思う、ドリーム。

 

 

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――永久(とわ)に響きますように。





妙な場所で立ったまま動かない従兄弟を見つけて声を掛けた。

「グンマ?」
「しー」

呼ぶと、廊下の真ん中にぼうっと突っ立っていた従兄弟が、ぱっと振り返って唇の前に人差し指を立てた。
そうして、突き当たりになる、ほんの僅かに開いた戸の前で、そっと中の様子をうかがっている。

「?誰かいるのか?」

そうも先客に遠慮しないでも、中に入ればいいだろうにと思いながら、従兄弟の隣に並ぶとやっとそこでキンタローにも聞こえた。

微かに途切れながら聞こえる、ゆったりした旋律。時折、声の代わりに鼻歌が混じる。

「唄?」

首を傾げる。
唄は唄だが、それが、何故、わざわざ従兄弟の足を止めさせるのだろうか。

「誰が」

呟きかけて、その声に聞き覚えのあることに気付いて目を見張った。
問い掛けるように従兄弟に目をやると、彼は静かに目を細めて硝子戸になっている扉の向こうを見詰めていた。

「懐かしいなぁ」

微笑む口元が、不思議とどこか哀愁を帯びている。

「キンちゃん、憶えてる?僕とシンちゃんが小さい頃、よくお父様が良く歌ってくれたの。シンちゃんも、よくコタローちゃんに歌ってあげてた」

そう言われて、切れ切れのメロディーに耳を澄ます。
記憶と呼べるほどはっきりしたものはなかったが、その旋律は確かに、どこか懐かしく感じられた。

低く穏やかな声音で愛おしげに紡がれた唄を、いつか包まれ微睡みながら聴いたことがあるような気がする。
そうやって与えられた記憶をなぞるように、愛しくいとけないものを抱き締めて、優しくこの上なく柔らかく響いた声も。

目を凝らして、硝子戸の向こうにその姿を探す。
心地よい日差しと、温室を埋める豊富な緑の葉陰の向こうに、赤い色が見え隠れしていた。
どっしりした幹に背中を預けて、そこに流れ落ちる長い黒髪が降り注ぐ光を浴びて、他のどの色彩よりも鮮烈だった。
光を透かした明るい翡翠色が重なり合う合間からは、硝子越しの青空が見えた。

「誰に、向けてるのかな」

傍らの従兄弟が、ぽつりと寂しげに呟く。

緩やかに囁く、耳に心地よい低音。
これほど大切に紡がれる旋律はない。
溢れるほどの愛しさを詰め込んだ音はない。
それなのに、何故か酷く切なくなるのも。

気まぐれな唄は始まった時のように、唐突に途切れた。
微かに見えている後ろ姿は、一向にこれっぽっちも動き出さない。
緑に半ば以上埋もれた紅い服は、それでも周囲の色彩から浮き上がって、遠目にもよく目立った。
けれど、何とはなく容易には近づきかねて、二人して離れたまま様子を伺う。
しばらくそうしていたが、やはり動く気配はない。

ちらりとキンタローを見上げたグンマが、無言で手を振って挨拶に代え、そっとその場を立ち去っていった。
こんな時ばかりは迂闊に近づくのが躊躇われるのだろう。

見送って、もう一度、彼の姿を見る。
そして、キンタローは目の前で半開きになっている硝子戸を押した。
音もなく滑るように開くそれを潜り抜ける。
途端に取り巻く空気が変わった。

僅かに息苦しさを感じる高い湿度と、ぼうっとした温か過ぎる温度。
少し拍子抜けした。どちらもあの島のそれほどではない。
あそこは、もっと灼けつくように暑かった、もっとじっとりと湿度もあった筈だ。

あの辺りを取り巻く密度の濃い大気、あの青の濃い空の確かな存在感。何もかも圧倒的に色鮮やかで。

そこで気がつき、ひとつ苦笑した。

――結局、自分だって考えている。あの楽園を。


 

生い茂る植物の間を延びる小径を辿って、動かない後ろ姿に歩み寄る。

「シンタロー」

呼び掛けても、応える声は返らない。
回り込むように顔を覗き込むと瞼は閉ざされていて、彼は静かに眠っていた。
張り出した根と幹に、具合良く身体を預けて微睡んでいる。

呼吸の感じからして、眠りはそう深くなかった。もう一度、起こすつもりで呼べば起きるだろう。
逆に、その気がなければ、自分の存在が彼の意識下に触れることはない。

思案するように寝顔を見下ろし、キンタローは従兄弟の傍らに座り込んだ。
片割れの真似をするように、幹に背を凭れてみる。
しばらく居心地の良い位置を探して身じろぎ、落ち着いた所で全身の力を抜いた。

隣を見遣れば、少しやつれた従兄弟の横顔がすぐ間近にある。
引き継いだばかりの総帥の仕事は、相次ぐ遠征の合間を縫って慣れない駆け引きやデスクワークに忙殺されていた。
疲れているのだ。眠くもなるだろう。

指を伸ばして、目の下にそっと触れる。
うっすらと薄くはあるが隈があった。少し顔色も冴えない。
それでも、良い夢を見ているのか、表情はいつになく穏やかだった。
落ち着いた呼吸を繰り返す薄く開いた唇は、微かに微笑んでいるようにも見える。

夢の中でも、唄の続きを奏でているのだろうか。
その向けられる先が、自分たちの方ではなく、遙か遠くを向いていると思えば、少しばかり悔しく妬ましくはあるけれど。

それと同じばかり、少しだけ悼む心があった。
キンタローの記憶にある限り、彼があの島であの少年に歌ってやる機会はついぞ無かった。

今、夢の中でだけでも届いているだろうか。

一度だけなぞるように頬に触れ、頭の片隅で先程に聞いたばかりの、うろ覚えの旋律をたぐり寄せる。
流石に全ては覚え切れておらず、覚えている箇所だけをおぼろげに辿った。

ふと目を上げれば明るい日差しが眩しかった。午後の陽気の、眠気をもたらす暖かさ。
周囲には柔らかな緑が溢れていて、それを揺らす風がないのが惜しかった。
時折、存在を確認するように傍らを覗き込む。
見守る寝顔は未だ目覚める気配もなく安らかだ。

それだけのことに、満ち足りたようにキンタローは微笑んだ。
素朴で他愛のない唄の断片を、囁きよりも小さく繰り返す。
与えられる優しい想い出は今さら手に入れようがなくとも、今の自分は少なくとも誰かにそれを与えることが出来る。それもまた、幸せなことに違いなかった。

思いを注ぐその唄。
愛しい者を抱き締めるその唄を唄う時、愛しいと深く溢れ出る想いに、どれほど満たされることだろう。受け取る者だけでなく、与える者こそが。想うことの幸福ゆえに。

願わくば、それが受け取るべき相手の元まで届けばいい。
彼の想いも、海の彼方、夢の向こう側へ。

届かない筈はない。
どれほど遠かろうと、彼の声が届かないはずはないし、あの少年に聞こえないはずがなかった。

そうして自分は此処で、彼に届くまで、幾らでも奏でているから。

 

 

 

これからも共に進む長い道のり。
彼が導く未来に、どうか。

永久に、この唄が世界で響きますように。





 

 

 




 

後書き。

これじゃぁ、キンシンじゃなくて聖域なんじゃないだろうか。書き上げてから気付いた……。

最初、シンちゃんとグンちゃんに子守歌を歌ってくれたのはママの設定でしたが、本誌で衝撃の事実が明かされたもので慌てて設定変更……。あああ、パパとママのめっちゃラブロマンスを期待してたのにー!ルー様の超不器用で稚拙な恋とか夢見てたのにー!

 

 

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