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イヤリング

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「シ~ンちゃんっ!」
 その声に、シンタローは振り返ると、そこには、若作り親父ことマジックの姿があった。
「よかった。探してたんだよ」
 手をぶんぶん振り回し、嬉しそうな顔で近づいてくるマジックに、
「なんだよ」
 常の状況から、警戒の態勢をとるシンタローだが、相手はなぜか、その場で立ち止まった。
 距離はまだ五メートルほどあるが、珍しいことである。いつもならば、そのまま抱きついてくるはずだ。
 訝しげに思うものの警戒したまま、睨み付けるシンタローに、マジックは、くすりと笑った。
「今日は、抱きつきは、まだお預けだよ♪」
「一生預けておけっ!」
 つい、習性で突っ込みをいれてしまったシンタローだが、マジックは気にする風も見せずに、ポケットに手を入れると、そこから何かを取り出した。
「今日は、これをあげようと思ってね」
 取り出されたそれは、ポンと宙に放りだされ、綺麗な放物線を描いて、シンタローの元にたどり着く。
「えっ?」
 無事、キャッチできたそれを手の平にのせれば、それは青色のビロードで囲われた小さな箱だった。よく指輪など、装飾品を納めている時に見るそれである。
「これ、なんだよ」
「開けてごらん」
 その言葉に、促されるように蓋を開けたシンタローは、その中に納められていたものを見ると、眉をひそめた。
「イヤリング?」
 そこに綺麗に並べて収まっていたのは、青い玉がついたイヤリングだった。その玉を囲む縁は銀だろうか、けれど、いたってシンプルな装飾のみのそれは、小指の爪ほどの大きさの青い玉を強調させるものであった。
「そう。それはね、私の妻の―――お前の母親から、もらったものだよ」
「母さんから?」
 意外なことを聞いたとばかりに、目を見張ってそれに視線を向けたシンタローに、マジックは、ゆっくりと傍に近づいて、開けたままの箱から、青い石を摘んで取り出した。目の前に掲げて見せる。
「ラピスラズリだそうだ。私の瞳の色と同じで、誕生石でもあるから相応しいとか言ってね。その昔、贈ってくれたものだ。そんなに高いものじゃないが、幸運と成功のお守りだ言ってくれたからね、大切にしていたものだよ」
「へぇー」
 この男から、母親のことを聞くのは、随分と久しぶりだった。なんとなく昔を思い出して、しんみりしていると、マジックは、手にしていたそれを、再び箱の中に収め、蓋を閉じると持っていたシンタローの手ごと押し付けた。
「そう言うわけだからね。シンちゃんにあげるよ、それ」
 そうして告げられた言葉に、シンタローは、慌てて押されたその手をマジックの方へと押し返した。
「なんでっ! そんな大事なもん、親父がもっていればいいだろう」
 これは、母さんが親父を思ってあげたものだ。
 自分が手にしていいものではない。
 だが、マジックは、笑みを浮かべたまま首を横へとふった。
「いいんだよ。私は、もうその加護は十分もらったからね。総帥職も退いた今の私には、その加護は必要ない。だから、お前にあげるんだよ。今度は、お前が守ってもらいなさい。―――――あれは、あんまり物を欲しがらない女性(ヒト)だったからね。お前は、もってないだろ? 母親の品なんて」
「父さん―――」
 シンタローは視線を落とし、その箱を見つめた。
 確かに、マジックの言う通り、母親の形見の品と言うものは、シンタローはもっていなかった。
 もちろん、母親が使っていた部屋や品は、そのままにしてあるが、生前その使っている中から、自分に贈られたものはなかった。自分が男だからだろうが、それでも、時折母親を思い出す時には、それを寂しく思う時がある。
 母親が贈った品。
 自分ではないにしても、母親の思いが詰まったそれがあるのは、嬉しくないはずがなかった。
「でも、どうしてイヤリングなんだろうね。指輪とかネックレスの方が、まだつけられたんだけど」
 首を傾げて、それを見るマジックに、シンタローも、異議なしとばかりに頷いた。
 ………確かに。
 イヤリングなど男ならば、そうそうつけることはないだろう。
「まあ、あれも、どこかずれたところがあったからねえ」
「そう…だったな」
 しみじみと懐かしむように遠い目をするマジックに、シンタローも、ぼんやりと視線を外に向けて頷いた。
 さすがにマジックの妻になる人らしく、息子のシンタローの目からも、凄い人だという思い出が強い。
 自分のことをいつも普通の人だと称していた彼女だが、夫であるマジックを平然とこき使い、息子が父親に溺愛されているのを見ては、拗ねたり、怒ったりで実家によく帰っていたりもしていたのだ。
 もちろん、その時には、シンタローもつれて行かれるから、慌ててマジックも向かえに行く。とはいえ、シンタローはダシに使われているだけだっただろう。子供の目から見ても、あの夫婦は仲の良いラブラブ夫婦だったのだ。
「まあいい。加護は石だけだしな。私は、さすがに手を加えられなかったが、お前は、好きな形に加工しなおしなさい」
 箱はまだ、シンタローの手の中。
 シンタローは、それを見つめ、握り締めた。
「………父さん」
「なんだ」
「――――ありがとう」
 照れくさげに、礼をつげると、マジックの身体が、ぷるぷると震えだした。
 なんだ? と身構えようとした瞬間、
「シンちゃーん!」
 堪え切れなかったように、マジックが両手を広げて、こちらに向かって飛び掛ってくる。
「えーいっ、そこでいい雰囲気ぶちこわすな。眼魔砲!!」
 よけるのは無理だと判断したシンタローは、反射的に、タメなし眼魔砲をマジックに向かってぶっ放した。

 チュドーン!!

「あっ………やべぇ」
 思わず、げっ!と顔を顰めるシンタロー。 それは、まれに見る大当たりであった。
 眼魔砲とともに、盛大に廊下の端にぶち当たったマジックは、ぶすぶすと煙を吐いている。じっと見つめていたが、ぴくりとも動かないそれに、シンタローは、そっと瞼を閉じ、もらったばかりのイヤリングの箱を握り締めた。
(ごめんなさい、母さん。あなたが守りたかったものは、俺が殺してしまいました)

 なーむー。

 一応とばかりに拝むと、シンタローは、何事もなかったかのように、黒焦げのマジックを置いて、仕事に出かけた。





「ふっ。お前……もうすぐ私もそこに、逝くよ」
 眼魔砲を直撃したマジックは、黒焦げのまま、遠い天国を見据え、微笑みを浮かべると、がっくりと息絶えた―――ように見えただけで、
「マジック様、ここで寝ると風邪引きますよ」
 忠義者のティラミスに見つけてもらうと、無事保護されたのだった。



 めでたしめでたし……………かぁ?










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A

 兄はん……
 兄はん……


 どこか遠くで幼い子供の声が聞こえる。自分を呼んでいるのだろうか。
 『お兄ちゃん』。昔、屈託のない声で呼んでくれた弟の声とは随分と違うが、それでもその声に導かれるようにして、波間を漂うようなまどろみとは別れを告げ、現実に引っ張られるままに、意識を浮上させていった。
「――はん……兄はん、起きなはれ。そんなとこで寝とったら邪魔どす」
 邪険に感じる声が、上の方から、降り注ぐように聞こえてくる。それは、先ほどまどろみの中で聞こえていた声に重なった。
「寝はるのは自由やけど、ここは人通り少ないゆうても一応往来の真ん中どすえ。誰かに踏み潰されんうちに早う起きはったらどないどすか」
 何度も聞こえてくる子供の声に、なぜか頭が酷く重たく感じながらシンタローがゆっくりと目を開けた。とたんに、差し込む無数の鋭い光の矢。
「んっ……あぁ? 外?」
 目を覚ましたシンタローの目に映ったのは、ちらほらと色づき始めた葉とその葉の合間から差し込む日の光だった。体に感じるのは、冷房ではない自然の風。さらりと乾いた風が、漆黒の前髪を撫でるように吹き抜けていった。
 瞳に映る目に優しい緑の風景。しかし、シンタローは信じられないといった驚愕の表情で、その光景を瞳に映した。
「え? ここどこ?」
 驚愕の次に現れたのは、狼狽だった。反射的に身を起こすために、頭を持ち上げようとしたが、ズキンと鈍い痛みが頭部を貫いた。気持ちが悪い。荒波にもまれ、身体を酷く揺さぶられ、悪い酔いした感じだ。とりあえず、無理に起き上がるのをやめ、寝転がったまま、シンタローは、自分のおかれている状況を知ろうと、頭の中をさぐった。
「俺は、さっきまで何してた……?」
 柔らかな日差しを顔に受けながら、必死で目覚める前のことを思い出す。
 シンタローには、こんな避暑地に来た覚えが欠片もなかった。というか、あるはずがない。自分はつい先ほどまで、ガンマ団本部内にいる総帥室にいたのだから。
(ああ、そうだ)
徐々に明確に思い出す。確か自分は執務中だった。けれど、連日ほぼ徹夜状態で仕事をしていたために、あまりにも眠気がひどくて、一休みという名目で、誰もいない執務室の机の上でうつ伏せになるようにして、目を閉じたのだ。
しかし、目を開けてみれば別天地。ここはどう見ても総帥の執務室ではなかった。
 一体どういう理由と原因で、自分はこんな場所へワープしてきたのだろうか。
 シンタローがいるのは、夏から秋に移ろうとし始めた森の中。状況がわからず混乱したまま、青天井を映すシンタローの視界に、幼さを多分に含んだ高い声とともに他のものがわりこんだ。
「やっと起きはったん?」
 頭上から覗き込むようにして、自分を見下ろすのは、小さな子供だった。顔半分を覆う長い前髪と白い肌をした京訛の少年。
(えっ! アラシヤマ?)
 その顔を見た瞬間、シンタローは、頭の痛みも忘れて、バネ仕掛けの人形のように起き上がった。
 ゴツンッ!
 鈍い音が頭の中に響く。同時に、眼前に火花が散り、くらくらと眩暈がする頭と痛みを訴える額を抱え込んだ。しかし、それは相手も同じだったようで、同じように地面を蹲る少年がチカチカする視界の端に映っていた。
「周り見て起き上がりなはれ!」
 十数秒の空白後、痛むのだろう何度も額をさすりつつ、子供がシンタローに向かって怒鳴った。
 真後ろから、自分を覗き込んでいた相手の額とそれを忘れて立ち上がろうとした自分の額が、ものの見事にぶち当たったのだ。
 確かに、先ほどのは自分が全面的に悪いとわかっているためシンタローも素直に侘びた。
「悪ぃ。急にお前が縮んでるからびっくりして」
 まさか、こんなところにアラシヤマがいるとは、思わなかったのだ。しかも、かなり小さくなっていたのだから、驚かずにはいられないだろう。
「何して、そんな身体になったんだよ。思い切り縮みやがって」
 そう言うシンタローに、しかし、返って来たのは、呆れたような冷ややかな視線だった。
「何言うてますの? 頭打って、おかしくなりはったんどすか? わては元々この大きさどすえ。大きく成長はしても人間が縮むわけあらへんやろ」
「え?」
 その言葉に、シンタローは、まじまじと目の前の少年を見つめた。
 長い前髪も、しゃべり方も、目つきも少年はアラシヤマとそっくりである。違うのは見た目の年齢で、シンタローの知っているアラシヤマは今年二十八になるが、こちらはまだ少年で、十歳にもならない小さな身体だった。確かに、現実的には辻褄があわないが、そこはそれ、てっきりマッドサイエンティストのドクター高松の怪しい実験か何かで幼児化したのだと思っていたのだ。
 しかし、どうやら違うらしかった。
(ま、普通に考えればそうだよな。いくらドクターといえども、人の身体を若返らせたりはできないか)
 シンタローの日常は、知らぬものの非日常をはるかに超えているが、通常は人が幼児化するなんてありえないのだ。そのことを考えれば人違い、他人の空似という結論が出る。そもそもアラシヤマが子供でもこんな美少年にはならないと納得し、シンタローは子供にもう一度謝った。
「ごめん、人違いだ」
「まぁ、そうでっしゃろな」
 こちらの発言は、どうやら頭を打ったせいの混乱ととられてしまったようである。さらりと応えると、アラシヤマによく似た少年は、シンタローにこれ以上取り合う気がないように、傍らに置いてあった、天秤を担いで立ち上がった。随分と時代錯誤な代物である。けれど、しっかりと水が入っているようで、ちゃぷん、と音立てるそれは、随分と重そうであった。
「ちょーっと待った!」
 シンタローはそのまま立ち去ってしまいそうな少年の肩を掴んで、足を止めさせた。嫌そうに振り向いた顔はやはりアラシヤマに似ていた。昔、心友だなんて叫びだす前、お互い士官学校の学生だった頃にシンタローが声をかけるといつもアラシヤマはこんな顔をしていたのだ。
「なにしますん」
 取り付くしまも無い、つっけんどんな態度。しかし、ここで引き下がるわけにはいかなかった。
「帰り道邪魔して悪い。けど、すまないが、帰る前にここがどこだか教えて欲しいんだよ」
 そんな初歩的な知識さえも、今のシンタローには欠乏していたのである。口を真一文字に結び、こちらを睨みつけてくれる少年に、手は離さないまま質問すると、すぐに答えが返ってきた。
「ここは鞍馬どす」
 味もそっけもない返事。
「くらま? ……ってどこ?」
 その顔に、胡散臭そうな表情が浮かぶ。確かに、普通はそれで大方検討がつくだろう。しかし、ここまで来た経路も状況もわからないシンタローには、行き成り耳慣れない地名だけを言われても、どこだが予想がつかなかった。少なくてもガンマ団本部の敷地内でないことだけはわかった。だが、分かったのはそれだけで、ここがどこの国であるかもわからないのだ。いや、大方予想はついているのだが―――。
 とりあえず、じっと少年の答えを待っていると、こちらが手を離さないこともあってか、ぶすっとした表情のまま答えてくれた。
「京都市左京区の鞍馬といえば、わかりますやろか」
「京都……鞍馬…?」
 幸いなことにその地名は聞いたことがあった。京都ということは、まず間違いなくここは日本である。『鞍馬』と言われても、どこであるかはピンと来ないが、いきなり未知の世界に飛ばされてしまったわけではないことがわかり、シンタローはほっと安堵した。
「ありがとう。助かった。えぇっと、君、名前は?」
「名乗る必要はあらしまへんやろ」
 やはり態度は頑ななまま。しかし、シンタローはにっこりと笑って言った。
「俺はシンタロー。お前は?」
 その言葉に、少年の鼻の頭に皺がよる。だが、先に名前を名乗られては、礼儀として名乗らないわけにはいかない。しぶしぶといった感じで少年も名乗った。
「……アラシヤマどす」
「え? なんだって?」
 聞き間違えかと思い訊ね返せば、今度はもう少し語調を強め、ゆっくりと名前を告げた。
「『アラシヤマ』が、わての名前どすえ」
 ……マジ?
 こんな偶然は、ありえるのだろうか。目の前の『アラシヤマ』をシンタローはじっと見つめた。
「そっか。すげぇな。さっき俺が君に似てるっていったやつも『アラシヤマ』って名前なんだ」
「そうどすか。ほな、わてはこれで」
 シンタローの言葉に、何の感慨も覚えなかったらしい、少年アラシヤマは、冷ややかに立ち去ろうとする。また、水を溜めた天秤を担ぐ。肩に担いだ天秤の棒が、小さな肩にキツク食い込んだ。
「あ、ちょっと待って!」
「まだ、何かありますの?」
 鬱陶しげに振り返るアラシヤマに、シンタローは笑みを浮かべながら、さり気なく天秤に手をかけた。
「起こしてくれたのと、教えてくれたお礼。それ、重いだろ? お兄ちゃんが運んであげるよ」
 少年の了承を取るよりも先に、シンタローは、小さなアラシヤマから天秤を取り上げると、勝手に自分の肩へ担ぎなおした。そして、アラシヤマの前を歩き出す。すたすたと淀みなく歩く姿は、天秤の重さなど感じられない。その後ろ姿を、アラシヤマは呆れたように見やった。
「―――わてより先行ってどないしますの。阿呆とちゃうか、あの兄はん」
 けったいな人である。道の中央で寝ているので、親切心出して起こしてみれば、随分ととんちんかんなことをしゃべっていた。もしかしたら、頭の方がいかれているのだろうかと疑ってみたが、発言のおかしささえ、目を瞑れば、言動はしっかりとしていた。何よりも、自分を見る目はまっすぐで―――邪険にするには躊躇うほど人懐っこいものである。だからだろう。冷たい態度をとってみたものの、最後まで抵抗できずに、水の入った天秤は、シンタローという青年の肩に乗せられてしまった。
「そっちやあらしまへん。わての家は、こっちどす」
 反対方向へと歩いていく青年の背中にそう呼びかけて、アラシヤマは後ろを見ずに歩き出した。

p-p
「え? だから、俺が婿養子になったって知っていたのか?」
「うん。まぁね」
「そうかー。私はグンちゃん達がお父様って呼んでくるのは、
 本能的に私とシンちゃんの仲を察知していたからと思っていたよ」
「やだなぁ父さま。もしもシンちゃんとの仲を察知しているんだったら
 父さまじゃなくてお義兄ちゃんだよ。」
「それもそうだねぇ」
「じゃぁハロウィンパーティで、ルーザーおじさんがいなかったのは...」
「あぁ。あんまりにもお前が帰ってくるのが遅いからな。
 心配して動向を探ろうとしたんだ。
 だが、単にシンタローが願いをかなえるに手間取っているだけだとしたら、
 俺たちが行ったらお前のプライドにかかわるだろう。
 それで何とかしてお前たちに近づこうとしたんだが...」
「?姿を消して屋敷にもぐりこめなかったのかい?」
「...アンタにはわからんだろうが、ソレ結構上級の魔法だぜ?」
「...そうなの?」
「お父様1発で使えたものね。」
「もとから悪徳でもつんでいたのか、それとも秘石の力か。
 どちらにしろ上級魔族でも上の部類に入るんだろうな」
「ありがとう!」
「話を元に戻すね。
 それで、仮装パーティーを開くってこの辺にすんでいるカラスさんから聞いたの。」
「みんな仮装するのなら大丈夫だろうと適当な名前を借りて入ったんだが...」
「ルーザーさんがね、僕たちの顔を見て早足にどこかに行ったの。
 嫌な予感がして、ついていったら受付でね。何か名簿を受け取ってたから、
 やばいって判断して慌てて逃げてきたんだよ。」
「悪魔が他にいるといったら、シンタロー関連しかないからな。」
「これでシンちゃんの監視が増えたらもっと困るしね。」
「なるほど...」
「でもまぁ、その時シンちゃんを連れて帰らなくてよかったのかもね。」
「そうだな」
「そうだねぇ」
「なんでだよ!」
「え? あれから私とシンちゃんの仲急接近?」
「黙ってろ!」
「シンちゃんから聞いたくせに」

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p-5

「...アンタ...馬鹿だろ」
マジックの説明を聞き終えたシンタローは、いくばくかあきれたような口調で言った。
「私は、シンちゃんのためならいくらでも馬鹿になれるよ」
この男はめげない。
「本当に馬鹿だな」
「君ほどじゃないさ」
「...俺のどこが馬鹿だってんだよ」
「分らないかい?」
「............」
言葉に詰まったのか、ふいと顔をそらしてしまう。
その顔に、もう涙は見えなかった。
「ねぇシンタロー。人間の地位や姿を失ってここに来た、私の行動は、全部無駄だったかな?
 それとも、多少なりとも救いはあるのかな?」
今度はシンタローからマジックの目を見つめて答える。
「俺は悪魔だから、他の奴らに救いどころか何にも与えられねーよ。」
「そうかな?
 キンちゃんたちが言うには、私はまだ2つの願いしか言っていないけど、
 上級悪魔になった以上魂は狩れないから、2つの願いをかなえたのはボランティアになるな。だって」
「その代わり、アンタなにを失った?
 ガンマカンパニー会長、最大株主の地位。裏の顔。
 それとおそらく、家族。ほか、人間として生きてたら手に入れられたもろもろの品。」
「君と一緒にいられるなら惜しくないよ」
「家族もか?」
「分ってくれるさ。」
シンタローの息をつくまもなく出された質問に、即座に切り返すマジック。
それにひるむことなく、シンタローは続けた。
「どうだかな。昨晩その姿になって、今...昼か。
 ここにいるってコトは、まだ兄弟連中には説明してないんだろ?」
「いいや。この姿になって即座に人間界に戻ったんだよ。
 寝ている兄弟たたき起こして、この羽を見せて。」
「なんて言われた?」
「サービスとルーザーはよく似合ってるって。
 ハーレムは、たまに遊びに来いってさ。」
「...会社はどうするんだよ。」
「あんな商売していたからね。
 一応私がいついなくなっても大丈夫なように準備くらいはしていたんだ。
 表の顔はルーザーが。裏の顔はハーレムとサービスが継ぐよ。
 ルーザーはああ見えて世渡りがうまいし、
 ハーレムとサービスはお互い足りないところを補える仲だ。
 だから、何の心配も要らない。君は何にも背負う必要はない。」
「でも一応もう一度報告くらいにはいけよ」
「君からしかるべき返事をもらったらすぐにでも行くさ。
 だから、 
 ───今まで何度も言ってきた台詞だけど、
 今度は君に答えてもらうよ。逃がさないからね」
睨むといっても良いほどの熱視線でシンタローを見つめ、、
逃げられないようにしっかり肩をつかんでおく。
自分を射抜くような視線に思わず顔をそらそうとすると、くいっとあごが持ち上げられた。
「言っただろう? 逃がさないって」
にっこりと微笑んだマジックの顔が、シンタローに近づく。
硬直したままのシンタローの唇を奪い、腰と背に手を回し、力強く抱きしめた。
「───ん」
よく知った感覚に、シンタローの体温が一気に上がる。
自分を抱きとめる腕が懐かしくて、体に感じる熱がうれしくて、
気がついたらシンタローも、マジックの背に手を回し、
しがみつくように自分の体をマジックに押し付けていた。
「...ふぁ...」
やっと開放され、胸の動悸はそのままで、ぽすっとマジックの胸に頭を押し付ける。
優しく頭をなでてくる手に、シンタローはまどろんだような声で告げた。
「なぁ...オヤジ。」
「ん?」
「俺さ...俺...あんたのコト好きだわ」
「......」
マジックの手が止まる。
「...さっきは...悪かったな」
「いいよ。私もごめんね。君を困らせてしまったみたいだ。
 ───今更だけどね」
今言った台詞の照れが、ようやく回ってきたのか、シンタローは少し顔を赤らめながら言った。
「あ~~~。あのさ、よかったら今夜」
「シンちゃん! とーさま!! いい加減にしないとお昼ご飯冷めちゃうよ!!」
バタンッ!!
甲高い声と、ドアを思いっきり開く騒音に、ソレまで言いかけてたコトはもちろん、
慌ててマジックを付き飛ばし、ドアに視線を走らせる。
「あ...あれ? 父さま? 何で床で寝っ転がってるの?」
「気にするな。そういう年頃なんだ。」
「ふーん? お昼どうする? お父様が作ってくれたんだけど...食べる?」
「食う。腹減った。」
さっきの甘いムードはどこへやら。
いきなり生活感あふるる空気になる。
「ところで何で「とうさま」なんだ?」
「え? だってシンちゃん父さまの息子になったんでしょ?
 だったら僕とキンちゃんだって父さまの息子じゃない?」
「......なるほど」
どこか釈然としないシンタローだったが、とりあえず食堂からただよってくるカレーの香りに誘われ、
さっさと寝巻きのまま部屋を出て行ったのだった。






『よかったら今夜』の続きは、『一緒にアンタのとこのイルミネーション見に行こうぜ』

「うわー!! すごいねー!!
 見て見て一番きれいだよ!!」
「あんまり騒ぐな。一応黙ってきているんだ」
「...どうしたオヤジ」
「いや、家族水入らずで過ごすってのも良いもんだなぁって思って」
「一気に大家族ですけどね。」
「おーいシンタロー! 火出せ火!」
「ここは禁煙だよハーレム」
「っつかライター使えオッサン」

ここはガンマカンパニー本社最上階。
そこにいるのは3人の見習い悪魔と新人の上級悪魔が一人。
ソレと人間が3人。
最上階の会長室で会社が誇るクリスマスツリーを臨んでのプチ宴会となっていた。
結局マジックの仕事はそれぞれ兄弟が受け継ぐコトになったが、
いくら下準備が元からあったとはいえ、緊急事態に変わりはない。
そこで、少しずつ少しずつ、マジックの仕事を他の3兄弟に移行していって、
来年からは完全に3人だけで業務が行えるようにしていくらしい。
「といっても今生の別れじゃないからね。」
「だな。たまには遊びにくるんだろ?」
「シンタローに嫌われたらとか」
「ルーザー!! 不吉なこといわないの!」
「そしたらシンタローは僕が引き取るよ」
「サービス!!?」
「え...///」
「シンタローもそこで照れるんじゃありません!!」
こうしてクリスマスの夜は更けてゆく。


【同時刻。魔界某所】
「訳を聞いて良いですか?青の秘石よ」
【何がだ?】
「人間を悪魔...しかも上級悪魔にしたコトです。
 願い事を3つかなえる代わりに魂を───
 というのは下級悪魔が始めた遊戯に過ぎません。
 ソレをあなたの力まで使って
 彼の者を仲間に引き込む義理や意味があったのですか?」
【義理はないが意味はある。
 あの男は使える。それだけだ】
「...それだけ、ですか?」
【暴走しないようにストッパーもあるしな】
「はぁ」
【人間界でつんだ交渉術や行動力。生まれついてのあの性格。
 それと、上級悪魔の力。
 これだけあれば天上界との戦争にも役立つだろう】
「戦争ですか?」
【うむ。そういえばこのコトについて赤の秘石が説明を求めていたな。
 ついでにこっちも最上天使が人間界に長らく滞在していた件について説明を求めたい。
 早速赤の秘石との専用通話回路を開かなくては。
 お前もその席にいるんだ。最上天使本人にも同席、説明してもらおう】
「かしこまりました」
表情は見えないが、やたらいそいそと嬉しそうに準備を進める創始者を見て、
最上級悪魔は自分も同じか。と笑みを浮かべた。

p-4
ゆさゆさ
「シンちゃん朝だよ。起きて」
寝ている自分を揺する手に、シンタローは睡魔から無理やり放された。
「ん~~~」
それでも、まだ半分ほど自分の意思で睡魔の虜となっている。
「シンちゃん! 掃除まだ残ってるんだろう?」
声と手の主は少しだけ手を大きく動かすが、
シンタローは掃除で疲労していたのと、隣の部屋が静かだったコトと、
なにより心配事に目処がついたため、昨晩久しぶりに熟睡できたのだ。
そしてその熟睡モードは今も続いている。
「まったく。他の二人はもうおきてるよ!」
少しだけ声を荒げるが、それでも起きる様子はない。
業を煮やした彼は方法を変えようと布団の上から手を放し、
代わりにシンタローの頬を包んで自分の唇でシンタローのソレを覆った。

───んちゅぅううううっ

シンタローの肺に収まっている酸素をすべて奪うような逆人工呼吸。
「っぶはぁっ!!」
流石にこれは効いたのか、シンタローは自分に覆いかぶさっている男を無理やり払いのけ、
ベッドに横になったまま大きく息を吸い込んだ。
「起きた?」
「...見りゃ...分るだろ...」
荒い息のまま、声の主をぎろりとにらみつけ、
そこでシンタローの動きが止まった。

「....................マ...ジ.....ック?」
「父さん。だろう?」
硬直するシンタローに、声の主...マジックは
シンタローがよく覚えている笑顔で、耳にタコが出来るほど聞かされた台詞を言った。
それが、他の第3者が生み出した幻でも、誰かが扮している偽者でもない証だった。
となると次の質問は決まっている。

「なんでこんな所に?」
体を起こしながら問うシンタローに、マジックはいたずらっぽい笑みを浮かべ、
「今日はクリスマスだろう?
 だからプレゼントだよ」
ほら。とマジックが差し出した彼の左手首には、一体いつの間につないだのか、
シンタローの左手首とを結ぶ赤いリボンがついていた。
しかし、マジックの答えはシンタローが求めている答えと、外れてはいないが的を得ているともいえない。
クリスマスプレゼントだとしたら、一体誰からの?
『クリスマスプレゼント』を無視するとしたら、一体どうやってここに来たのか、どうしてここにいるのか。

───おや...滑ったかな?
左手を見て俯いたまま硬直しているシンタローを見て、マジックはそう判断した。
「シンタロー? 大丈夫かい?」
こりゃいきなり暴れだすだろうか。ベッドの上で暴れたら埃が大変だ。
窓を開けようにもあけたら寒いぞと、変な方向の心配をする。
「~~~ッツ!」
無言のままシンタローが拳を振り上げる。
───あー...やっぱり怒ったか...無理もないけど。
   まぁシンタローの気持ちはよく分るし。混乱しているのもあるだろうし。
   ここは一つ大人しく拳の一振りくらい甘んじて受けるか。
大人の余裕を見せ、マジックは瞳を閉じた。

どすどすどすどすばきがすめきょっ

マジックの体が宙を舞う。
妙に耳に響く音を立てて。

「し...シンちゃんってば相変わらず容赦ないんだから...」
「うるせぇ!」
床に不時着し、ずりずりと這いながら再びベッドに。
「大体なんであんたがいるんだよ! プレゼントっつったってサンタなんかいるわけ...
 いたとしても! 悪魔(しかも大人)のところに来るか!
 訳のわかんねーコト言ってねーで、少しは、人の質問の、意味を、しっかり酌んで...」
シンタローの台詞は、途中で遮られた。
自らの頬を流れる涙に。
「~~~ッツ」
「シンタロー...」
マジックはそっとシンタローに手を伸ばし、パシッと払われた。
「触るな!
 どうやってここに来たのかしらねーけど、
 悪魔と人間が一緒になれるわけねーだろ!
 ずっとそう思ってて、せっかく、人がやっと落ち着いてきたってのに...。
 どうしてそっとしておいてくれないんだよ!」
───ずっと?
「あんたなんか嫌いだ! さっさと人間界に帰っちまえ!」
「シンタロー。私の話を聞い...」
「嫌だ! 」
シンタローに触れようとする手をことごとく払いのけ、
泣いたまま癇癪を起こしたように暴れ、マジックの手から逃れようとする。
「───シンタローッツ!」
「ッツ!!?」
突然大きな声で名前を呼ばれ、ビクっとシンタローの体が震えた。
マジックの手が動くのを見て、殴られると反射的に体を硬くする。
だが、その腕はシンタローに触れると、自分のほうに引き寄せ、力強くシンタローを抱きしめた。
「シンちゃんさっき悪魔と人間じゃ、って言ったね
 これを見ても同じコトがいえるかな?」

バサッ

シンタローの瞳に映ったのは、マジックの耳より上から生えた乳白色の角
そして背から生えた黒い羽。
伝承に出てくる邪龍のような漆黒の黒
頂点には白く光るまがまがしい角。
シンタローの羽よりもはるかに大きくたくましいソレは、紛れもなく悪魔の翼だった。
呆然とするシンタローに、マジックはあくまでやさしく告げる。
「とりあえず落ち着いて私の話を聞いてくれないか?
 暴れるのはその後で良いし、また殴ってもいいから。
 ね?」
少しだけ体を離し、まっすぐ正面からシンタローの目を見つめる。
シンタローが言葉もなく頷くのを見ると、満足したように微笑み
「とりあえず、ティッシュだね。
 ほら。せっかくの可愛い顔が台無しだよ。」
シンタローは無言でマジックが渡したティッシュ箱をマジックに向かって投げつけた。






「───さて、どこから話そうか。」
昼に近い時間。
シンタローの自室ベッドの上。
マジックはシンタローを正面から抱きしめ、
お互いの顔が見えないようにシンタローの顔を肩に埋めて話し始めた。

昨晩のコトだよ。
私はシンタローがいない寂しさから毎晩毎晩涙で枕を濡らして床についていたんだ。
けれど、昨日はクリスマスイブだったからね、兄弟そろって食事に行ったんだよ。
それでほろ酔い加減で部屋に戻ると、突然黒い煙が立ってね、
一体なんだと固まっていたら、その煙の中から、2人の悪魔が出てきたんだ。
私は、一目見て君の関係者だと気づいたよ。
2人のうち一人は髪の色も目の色も違うのに、なんとなく君に似ていると思ったんだ。
...もう一人は分らなかったけれど。
で、驚いている私に彼らはこういったんだよ。
『お前がマジックだな。
 俺はキンタロー。見ての通りの悪魔だ』
『僕はグンマ。悪魔なのはキンちゃんと同じ。』
『...悪魔?』
『あぁ。つい最近までお前が飼っていたのと同じだ。』
『キンちゃん! 飼っていたんじゃなくて、同居してたんだよ!』
『いや、私は同棲のつもりなんだけど』

バキ!


「シンちゃんまだ話の途中だよ!」
「うるせぇ! ドサクサ紛れに何言ってやがる!」


そ、それでだね、
『その同棲してたやつの話なんだが』
これを聞いて、私は悪魔がお礼参りに来たと思ったんだよ。
たとえ私が君をどんなに愛していて、ソレが故の行動だったとしても、
君の力を封印していたわけだし、立派に悪魔から怨まれるような事だったと思ってね。
覚悟を決める私に、もう一人の、グンマって悪魔はね明るい声でこういったんだよ、
『シンちゃんの代わりに僕たちが願い事3つ、叶えてあげる』

「...は? 俺の代わり?」
「うん。私も最初耳を疑ったんだけどね。」

『詳しい説明を求めて良いかな?』
『ソレが1つ目の願いか?』
『いや...違うけど。』
『なら早くしてくれ』
私の願いは決まっていたんだよ。この時点でね。
この2人がシンちゃんの関係者ってのはもう確定だったし、
だったら願いごとなんて決まっているじゃないか。
『じゃぁ一つ目。まず私はシンタローと一緒に暮らしたい。
 2つ目。私を悪魔に...上級悪魔にしてほしい』
『一つ目に付いて説明するよ。
 こぶが2つほどついているけどいい?』
グンちゃんはやけに明るい声で言ったね。自分たちを指差しながら。
『今までと変わらないさ』
それにこの2人とならうまくやっていけそうな気がしたしね。
『2つ目についての説明だ。
 俺たちはシンタローと同じ下級悪魔だ。
 流石に下級悪魔が上級悪魔を作り出すのは出来ない。
 だから、シンタローから聞いてるか知らないが、俺たちのはるか上司に当たる石に助けてもらう』
『でもさ、キンちゃん。秘石良いって言ってくれるかな』
『この尻拭いを言い出したヤツは誰だ?』
『あ、そうか』
二人の会話は、この時点ではよく分らなかったんだけれど、
とにかく魔界に行ってみようって話になったんだ。
『じゃ、魔界につれてくけど、とりあえず先に秘石のところに行こう!』
『え? 私としては少しでも早くシンタローに会いたいのだけれど...』
『だめだめ! こっちは少しでもシンちゃんを大きく驚かせたいの!』
...なるほど。

で、二人が作り出した扉──私には煙にしか見えなかったんだけれど──を通って、
魔界に行ったんだ。

『ここが魔界?』
ついたところはこのうちの前だったよ。
『そう。それでここが僕たちのうち。
 前におじさんが住んでいたところからすれば、狭いと思うけど
 僕たちしかいないからね。十分なんだよ』
なるほど。3人で暮らしているのか。
ということはシンタローがこっちにいる間二人っきりだったわけだ。
...悪いコトしたなぁ。

「あんまし悪くもないみたいだったぞ」
「え? なんで?」
「あの二人俺がいない間、色々仲良くなっていたからな。」
「あ、そうなんだ。」

それはともかく、
『で、秘石って言うのは...』
『うん。シンちゃんから何か聞いてる?』
『魔界の創始者というのと、下級悪魔は秘石に頼んで進化させてもらうってコトくらいだね』
『それだけ聞いていれば十分だ。』
『───?』
聞きなれない第三者の声に振り向くと、金髪長髪の人が立っててね、
『グンちゃん。この人は?』
『...アス。最上級悪魔だよ。』
『秘石に次ぐ、魔界のナンバー2だ』
『あぁ。そういえばシンちゃんそんなコトも言っていたなぁ。』
『人間界の、マジックだな。』
『いかにも。』
『話は聞いていた。最上級悪魔、それとここの3人と一緒に暮らす。で良いんだな』
『あぁ。』
そんな話をしていると、アスが青い宝石を私にかざしたんだ。
丸くて、真っ青で、見ていると引き込まれそうな...
少しの間浮遊感があって、気がついたらこんな体だったんだよ。
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