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「シンちゃーん、ぼくー」
オマエはどこの子供だと思わず怒鳴りたくなるような間抜けな声が総帥室の扉の向こうから聞こえた。
大人しくデスクワークに励んでいたシンタローは、ふぅと大きなため息を漏らすと手元のパネルでロック解除を押す。
「おまえなら施設ん中どこでも入れるだろーが。ここだって。いちいち俺に開けさせんなよ」
ペンを放り出し、応接用の椅子にどっかりと腰を下ろす。グンマも当然のようにシンタローの向かいに座った。
「まぁまぁいいじゃない。はい、これ」
すっとノートを差し出した。シンタローは訝しがりながらも受け取る。
シンタローは何か恨み言でも綴っているのかと思ったのだがそれは新品特有の手触りだった。
念のためぱらぱらと捲って確認してみたがどのページも真っ白だ。
ノートから目をあげ、片手に軽く持ち上げ「で、何だ?」
「いやだなぁ、シンちゃんもう忘れちゃったの?」
最近忙しすぎてもうボケ始めちゃったんじゃないのぉ~と青い目に何の邪気もなく、さり気無くひどい事を言いながら説明し始めた。
「こないだキンちゃんと一緒に言ったじゃない。僕らはお互いのことを知らな過ぎるでしょ?
だから親交を深めるために交換日記をしようよって僕が提案したら皆乗り気になってくれたじゃない」
「……こうかんにっき?」
なんだそれは、小学生か俺らは、とシンタローは頭を抱えた。いつ自分がそんな約束を交わしたのだろうか?
「皆でお酒飲んだときだよ」
長い付き合いだ、シンタローの考えていることなど分かるのだろうグンマが記憶を引っ張り出す欠片投げた。
「…………。」
酒、とシンタローは考え込む。
最近はすっかりご無沙汰だった為かちょっとたしなむ程度に舐めただけなのだが翌日ひどい目にあったあの時か。
「俺、お前の考えそうな事なら分かるし、お前だって俺の考えること分かるだろ?」
嫌なのだが分かるものは仕方がない、そんな表情を浮かべながらシンタローは続けた。
「現にさっきだって俺がいつのことだったかと考え始めたらお前が助言しただろ?
なのに今更?男三人でか?しかもこの歳になって?」
恋に恋する年頃の乙女じゃあるまいし、と吐き捨てた。
「シンちゃん、あの時はそんなこと言わなかったじゃない」
グンマはぷーとほっぺたを膨らまして拗ね始めた。
「そりゃ、酔ってたからだろうが!久しぶりに体内にアルコール入れたから肝臓が弱ってたんだよっ。
頭の判断機能も麻痺ってたんだよ!酒の席での約束なんか本気にするなっ!」
「でも、『いいぜ』って言ったじゃないのっ。それってちょこっとはいいかもって思ってくれてないと
いくら酔っていてもOKはしてくれないんじゃないの?シンちゃんは自分の嫌なことはハッキリ言うじゃない。
それに僕たちはキンちゃんの事殆ど知らないんだし!」
「あいつは俺の中にいたんだ」
苦虫を噛んだような渋い顔で反論を始めたシンタローをグンマがそこが違う、と指を左右にふり遮った。
「だから、キンちゃんは僕らのことを一方的に知っているだけでしょ?しかも単に情報として。
キンちゃんが実際に体験したわけじゃないし、それは映画を見ているようなものなんだよ。
ううん、違う。映画は見せることを前提に作っているけどキンちゃんは違うんだよ?第三者、客観的にキンちゃんが思うのと、実際にキンちゃんが手にモノを取って感じたこととは別のことでしょ?
僕は、キンちゃんが『今』をどう思っているのか知りたいし、今まで体験できなかったどんな小さいことも
一緒に感じたいんだよ。シンちゃんだって同じ気持ちでしょ?」

確かにグンマの言う通りなのだろう。
キンタローはその精神が生まれたときからシンタローの中に閉じ込められていたのだから。
いつ、どの用にキンタローが自分という存在を意識し始めたのだろうか。
人は他者が存在して初めて『自分』という自我が生まれるものではないのだろうか。
そしてそのキンタローのあり方がいつ『異常』だと思うようになり、
24年間をどのように感じ、どのように過してきたのだろうか。
シンタローはキンタローの存在を知ったのは『殺す』と言って戦いを挑んできたその時だ。
それ以前の事は全く知らない。異常な状況にいたのに何故今、普通に一族やガンマ団と接することが出来るのだろうか。
シンタローはそう常々疑問に思っていた。だから交換日記などと言うものにも肯定してしまったのだろう。
そしてグンマは純粋にキンタローの心配をしている。
きっとそれは常に己を案じてくれる人物がいたからなのだろうかと思い、
「まるで高松みたいだな……」
シンタローはキンタローの親の様なグンマの口ぶりに諦めたようにポツリと漏らした。
グンマはそれをシンタローなりの了承として受け取り、満足そうに微笑みながら
「僕がおとうさんでシンちゃんがおかあさんだね」
「ばーか。同じ歳ぐらいの息子なんていらねぇよ。それを言うなら俺が兄貴でオマエはキンタローの歳の離れた弟だろ?」
にやりと意地の悪そうな笑みを浮かべグンマをからかう。
「なんで僕が弟になるの?!しかも『歳の離れた』って何!?僕、キンちゃんよりオトナだよ!」
「いいのかなぁ、そんな事いって?あいつ、頭よさそうだぜ?そんな風にいつまでもボケボケでいるとあっという間に抜かれちまうぜ?」
「あ、そーゆーシンちゃんはいいの?」
「いいの。俺は頭脳労働派じゃないからな。拳で語るから。あいつより強いしねー」
まだ、だけど。とは心の中だけに付け加える。

シンタローのその茶化した様子にグンマはシンタローも何だかんだ言っても結局はキンタローの事を
心配しているんだと嬉しく思う。
「僕ら、キンちゃんのいいおにいちゃんでいようね?そしてコタローちゃんが目を覚ましたら
3人でコタローちゃんの自慢のおにいちゃんになれるといいよね~。
おにいちゃんが3人もいたらコタローちゃん、今度こそ絶対に寂しい思いをさせないで済むから」
家族が増えるっていいよね、とグンマは童顔が更に幼くなるような笑みを浮かべる。
「ああ。そうだな」
シンタローはコタローが目を覚ました時を思い浮かべグンマに負けず劣らずの笑顔を浮かべる。
グンマは天邪鬼なシンタローを知っているだけに『コタロー』の事になると思ったことが直ぐ顔に出る
ブラコンな従兄弟にちょっと呆れたように呟く。
「もう、シンちゃんはコタローちゃんの事になると本当に素直だね」
「ほっとけ。俺は世界一の『コタコン』になるって前に誓ったんだ!
ぐっと握りこぶしをつくりなんか文句でもあんのかよ、と目に書いてグンマを睨みつける。
「ううんー、頑張ってね、シンちゃん……」
コタローちゃん、目を覚ましたらシンちゃんに構い倒されて大変そう、とグンマはコタローの将来に同情した。

「でも交換日記って何を書けばいいんだよ?」
「その日あったこととそれに対してどう思ったかを簡単に書けばいいんじゃないの?
毎日一緒にいるわけじゃないから。ただしキンちゃんにもちゃんと分かるようにね。
僕はシンちゃんが何をしているか大雑把でも分かるけどキンちゃんは分からないと思うよ」
「でもさ、アイツも分かるんじゃないか?今までずっと見てたんだし」
「……じゃあ、何があってそれに対してどう思ったことが大切だよね。キンちゃんが何をどう思っているのか
を第一にしたいし。そっちの方をちゃんと書けば良いんじゃない?僕らがお手本にならなきゃね。
う~ん、……僕だったら今の実験がうまく言って嬉しいとか、高松が今日も出血多量になりすぎて心配したとか、
そんな感じになるけど。
あとはシンちゃんが今日もムリをして何だか顔色が悪いから心配、とかたまには弱音言ってくれもいいんじゃないかなぁとか」
グンマはそう言いながらちろっと上目遣いでシンタローの様子を伺うと
「後半のはいらん」
シンタローは思いっきり機嫌の悪そうな表情で切り捨てた。
「だいたいしょっぱなからそんな、なんつーかディープそうなの盛り込んだら絶対誤解するだろ。
前半の軽めの小学生のようなヤツでよくね?……でもそうすっと直接伝えればいいだろって気がするんだよなぁ、俺」
「う~ん。そうだよねぇ。でも僕、交換日記とか僕らが幼い頃にした事を同じようにしたいんだよねぇ」
「………そうだな。まずは俺らが子供の頃にした事、一つ一つしていくか」
「うん!皆で一つのことをするっていう事が楽しいからねっ!あとはキンちゃんがもっとこうしたいとか
ああしたいとか言ってくれたら、僕らはそれを全力でしようねっ!」
グンマは子供の純粋な気持ちがそのまま丸々残って大人になった、そんな笑顔を浮かべながら言う。
「そーだな」
二人で、キンタローの兄になるのもいいかもな、とシンタローは頷いた。

2007.8.14
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sa3
「うん…」
小さな声でそれだけ呟く。
シンタローはふと、思う。
この修行の最中、サービスに本音らしき言葉を言われたのは初めてだった。
修行は辛く厳しくて、サービスは優しくもあったが、厳しい部分の方が格段に多くて。
それを期待してもらっているのかもしれないと思いながらやってきた。
そうでも思わなければやってこれなかったし、ましてや大好きな叔父だったからこそ頑張れた部分も多い。
そんなサービスに恋心を持っていたのは随分前からではあるが、今回こういった状態になってしまって、初めてサービスの本音が聞けた気がする。
何時もの抑揚のない声に熱が篭る瞬間。
好きと言ってくれた言葉と謝罪の言葉だけは本音なのだと、確信に近い何かがシンタローの内で、まるでテレパシーのように感じる。
そして、サービスに反抗した自分も初めてだった。
叔父と甥の関係ではあるが、師弟として今、修行をしている。
そのせいか、自分の本音を長らくサービスに言っていなかったような気がする。
「シンタロー。体を洗いに行こう。」
サービスがシンタローを抱きしめたまま、場所をずらし、敷いてあったコートを取る。
そして、それをシンタローに軽く着せる。
「あ、でも、サービス叔父さん…暗いし、もし何か出てきたら…」
「そうしたら俺がお前を守るよ。」
そう言われ微笑まれたので、シンタローは恥ずかしくなって下を向いた。
サービスが立ち上がり、シンタローを立たせようとしたら、
ズキ、
腰に重い重りを乗せたような鈍痛が走る。
「いッッ!!」
そのままシンタローはヘナヘナとしゃがみ込んでしまう。
今更ながら俺はサービス叔父さんと口で言えない行為をしてしまったんだと思い、心臓が口から出る程高鳴った。
する、と、サービスの白い腕がシンタローの目の前に。
どうやら背中に乗せてくれるようだ。
断ろうと口を開いたが、
「そうさせたのは俺だからな。」
そう言われてしまったので、恥ずかしくはあったが、サービスの首に腕を回した。
「重いだろ?やっぱ降りた方が…」
「いや。それより、こうしていると思い出すな。お前は小さい時、俺が帰るというと、こうして何時も俺の背中に乗ってね。帰っちゃ嫌だと良く泣いた。」
昔を思い出すかのように夜空に浮かぶ月を見上げる。
勿論シンタローもそれは覚えていて、ばつが悪そうに、ちぇ、と呟いてそっぽを向くのだった。

サービスの背に乗り、ふ、と笑う。
サービスではないが、シンタローも昔を思い出した。
昔からサービスが大好きで、彼が帰ってくるという報せが来ると、小さい時…いや、大きくなってからも、その日が待ち遠しくて、ベッドに入ってから中々眠れなかった。
明日はサービス叔父さんに会える、と、胸を高鳴らせて、明日の事を考える。
それが楽しくて仕方ない。
会ったら何から話そうか。
何処へ行こうか。
そればかり考えて眠りにつく。
夢の中でサービスに会う事もあったし、もし会えなくても、楽しい夢をその日は見る。
「どうした?」
笑い声が出てしまったらしく、サービスが声をかける。
前を向いているので顔は見えないが、暖かい雰囲気は壊れていない。
「ううん。何でもない。」
そう言ってサービスを強く抱きしめる。
サービスは一言、そうか。と呟いた。
顔は見えないが、多分サービスも笑っているのだろう。
シンタローはこの雰囲気がいいな、と思う。
自分が求めていた恋愛とはこうだった。
手順は逆になってしまったが、こうやってサービスに甘える事が出来てラッキーと思ってしまうのだから、自分は何て単純なんだろうと思う。
でも、単純で良かったのかもしれない。
もし、単純でなかったら、今のこの暖かい雰囲気を純粋に喜べなかっただろう。
サービスの長い絹糸のような髪に顔を埋めると、どこと無く甘い香りがした。
もう、この叔父は、何処まで王子様なんだとシンタローは思う。
「叔父さんは全部が完璧だから、本当に俺なんかでいいか心配。」
「…完璧?俺が?」
「あ…え?」
思っていた事が口から滑ってしまっていたらしい。
シンタローは口を押さえる。
「俺が完璧のわけがない。俺に言わせれば、シンタロー、お前の方が完璧だよ。俺が完璧なら、劣情に負けてお前を無理矢理抱きはしなかった。」
すまないな、と又謝られて、シンタローはどうしていいか解らず何も言えなかった。
「俺の方が不安だよ。お前が本当に俺を選んでくれたのか。だけど」
サービスは一旦区切ってから、シンタローの方を見た。
片目の青い瞳がシンタローを見つめる。
「俺こそお前に相応しいと、そう思いたい。」

心臓が破れるかと思った。

シンタローは顔を真っ赤にほてらせて、その顔をサービスの背中に埋める。
もうすぐ川にたどり着く。
その時このほてりを冷やそうと考えるシンタローだった。


さぁさぁと、水の流れる音がした。
川が見える。
綺麗な川だ。
月が水面に鏡のように写っていて、それが又美しいと、そう感じさせられる。
飲み水として何時も使っている川だから、きっと何も知らない魚達は呑気に水中をゆったり泳いでいるのだろう。
「シンタロー。」
川に着くと、サービスがシンタローを背中から下ろす。
そして、手を引いて川岸迄連れてくる。
足元にはひやりとした石の感触と、水でじめっとした感覚があった。
冷たい水を体に馴染ませる為、サービスはシンタローの足から段々上に迄水をかける。
若い肌は水を弾き、玉になって下へ流れた。
「大丈夫か?」
「うん。平気。」
サービスの気配りが嬉しい。
水に慣れた体を川の中へ誘う為に、サービスも服を脱いだ。
白い肌が闇と銀色の世界に栄えた。
「ゆっくりおいで。」
シンタローの手を握り、サービスが始めに川に入る。
シンタローもおぼつかない足どりではあったが、サービスの腕に支えられ、ゆっくりと川の中へ身を任せた。
深い所…とは言っても腰のあたりしか水深はないのだが、そこまで来て、サービスはシンタローの体に付いた体液を手の平で洗い流す。
「血が…痛かっただろう。」
それは、シンタローの蕾のあたり。
始めて男を受け入れたソコは、やはり耐え切れなくて切れていた。
しかし、シンタローにしてみれば、ソコの痛みより、腰に重くのしかかる鈍痛と、お腹にある不快感の方が強くて。
だから、気にして欲しくなくて頭を左右に振った。
「それより叔父さん…俺、座りたい。」
腰が一番重傷なのだ。
するとサービスは少し浅瀬の方へシンタローを連れて行き、自分の上にシンタローを座らせた。
肌と肌が触れ合い温かい。
「ちょ、おじさ…一人で座れるから!」
「いーや。こんな状態にしたのは俺だからな。」
焦り、恥ずかしく、サービスに断りを入れようとしたが、サービスの方が上手らしい。
願いはあっさり却下される。
川の水の冷たさの中で、唯一温かいお互いの体温に、シンタローはドギマギする。
嫌でも先程の行為を思い出してしまう。
パシャパシャと、サービスはシンタローの褐色の肌に水をかける。
「綺麗にしよう。」
優しく笑う叔父にシンタローは少しだけ体が浅ましく感じている事に気付いた。勿論それは下にいるサービスも気付いているのだが、先程の事を考え、サービスは理性を推し進めたのであった。

先程と同じ過ちを繰り返してはならないし、ましてやシンタローの体は疲れきっている。
そんなシンタローにそんな事してはいけない。
それにしても、と、サービスは思う。
あれだけ抱いたのに、コレとは、若いだけあって元気がいい。
半ば感心に近いものがあった。
一方のシンタローはというと、サービスの指が自分に触れる度に、ビクリと過剰に反応する自分を恨めしく思う。
中心部分が熱く、解放したい欲求に刈られるが、自分の口から“したい”だなんて口が裂けても言えない。
とりあえず、この熱を押さえこませようと必死に目論んでいた。
そんなこんなで、サービスとシンタローの初めての体の触れ合いは悪いだけでなく、良くもあった。
終わり良ければ全て良しと、昔の人は言ったが、本当にそうだと実感できる。









それから数ヶ月が過ぎた。









「眼魔砲も会得した。体も既に調った。修業はこれで終わりにする。」
早朝サービスにそう言われ、シンタローは微妙な顔をした。
既に迎のチャーターの手配はしてあるらしい。
今日でサービスと二人きりの生活は終わる。
明日からはふかふかのベッドと、温かい風呂、そして、父の作る料理の生活に戻る。
でも…

叔父さんは居ない。

そう思うと悲しい気持ちでいっぱいになる。
いくらこういう関係になったとはいえ、サービスの性格上、うちに留まる事はしないだろう。
良くて前より少しだけ多く会いに来てくれる位だろう。
「叔父さん…」
悲し気な瞳でサービスを見ると、サービスはシンタローの頭に手を置いた。
「そんな顔をするな、シンタロー。一生会えなくなる訳じゃない。」
困ったように笑って、両手でシンタローの頬を包み込む。
バババ、と、チャーター機のプロペラの音が聞こえた。
もう、タイムリミット。
サービスのキラキラ光る髪が砂塵と共に舞い上がる。
そして。シンタローの唇へ一つキスを落とすのだった。
それは一瞬だったのだが、シンタローにとっては五感全てが止まったように感じた世界だった。
唇が離れると、又チャーター機の音が煩い位聞こえる。
「軍迄送っていこう。」
そう言って笑うサービスは恋人の笑顔で。
シンタローも嬉しくなって笑顔になる。
砂塵を舞い上がらせながらチャーター機が二人の側に着陸した。

チャーター機の窓から下を見下ろす。
肌が剥き出しになった色気のない岩山、食料を取りに行っていた小さな森、水飲み場の小川。
どこを見ても叔父との思い出の詰まった場所。
この風景とももうすぐお別れだ。
場所としてはかなり大変な場所であったし、修行も死ぬ程大変だった。
だが、二人で初めての経験をした場所でもある。
やはり心では“寂しい”と、どうしても思ってしまう。
操縦士が居るので、惚気た事はできないが、見えない角度からシンタローはサービスの指に自分の手を触れた。
気持ちが伝わるかのように、サービスの指が意思を持ってシンタローの指を絡め取る。
ホッ、として、シンタローはサービスの方を向き、少し淋し気な笑顔を送ると、サービスも笑顔を返す。
「帰ったらマジックを驚かせてやれ。」
指は恋人のように。口は師匠のように動かすサービスに、シンタローは苦笑いをしつつも、元気に肯定するのであった。
又下を見ると、もう、修行場は大分小さくなってしまっていた。

ああ、もうあんなに。

硝子ごしに指をつけ、下を見ようとする。
後ろからサービスもシンタローと同じ窓から下を眺めた。
「又、来ればいい。お前が来たいと言うのなら、俺は何時でもお前を連れて来てあげるよ。」
そう言うサービスの横顔を、ぽ、と、顔を赤くして見つめるシンタローだったが、すぐに視線を窓の下に戻した。
修行場はもう雲に覆われてしまって確認はできない。
後少しすれば基地に帰る事になる。
一族の技である眼魔砲を秘石眼がなくても取得できた。
まだまだ一族について負い目はあるが、青の一族として多少認められたかと思うし、自信も少なからずついた。
「叔父さん。」
「ん?何だい?」
「叔父さんは、基地に帰ったら直ぐ帰っちゃうの?」
「…いや。」
微笑みながら、シンタローの質問を否定して、シンタローの頭を数回撫でた。
「一日位は休んで、それからだな。」
「たった…?」
悲しそうな瞳でサービスを見る。
確かにサービスはシンタローが好きだが、彼に“惚れた弱み”は、ない。
根っからの女王様気質である。
「又直ぐに帰ってくるよ。」
そう言って頭を又撫でてやるのだった。
後少しでガンマ団に着く。
そうしたらマジックにこの子を渡さなければならない。
サービスとてそれは辛いものがある。
もっと二人で居たいのだ。
だが、そんな願いは叶うはずもなく、もう基地だ。


着陸地点に風を舞い上がらせて、チャーター機が止まる。
降りて直ぐに目に入ったのは赤い総帥服の父親。
腕に抱いているのはシンタローをディホルメして作ったぬいぐるみだ。
「シーンちゃーん!おかえりー!」
凄い笑顔で手を振りながらミラクルダッシュしてくる。
「げ。」
顔を引き攣らせ、ささっ、とサービスの後ろに隠れるが、腕を捕まれ引き寄せられた。
「ご苦労だったな。サービス。」
そう実弟に言う様は、シンタローに話す言葉使いとは違う。
マジックが優しく話すのはシンタローだけ。
「…教えがいもあったからね。なぁ、シンタロー。」
そして、意味深に笑ってやると、それの意味を理解したシンタローの顔が火が着いたように一瞬で赤くなる。
勿論シンタローのそんな異変にマジックが気付かないはずもなく。
「ど、どうしたの…シンちゃん…」
ヒクリと唇の端を引き攣らせシンタローに答えをせびる。
しかし、シンタローは、離せの一点張り。
しつこくぎゅうぎゅう抱きしめ、そろそろ息も苦しくなってきた。
「ねー、ねー、ねぇってば!」
「だー!もー!」
そんな親子の会話に嫉妬を少し覚えるサービス。
だが、顔は冷静なままで。
「シンタロー。兄さんもああ言ってる事だし。私と何をしたか言ってあげればいいじゃないか。」
綺麗な顔で笑うサービス。
何時もならその笑顔の前に反抗さえせず、直ぐさまサービスの言う通りにするシンタローなのだが、今回は事が事だけに躊躇する。
そして、サービスに顔を赤くしながら
「言えないよ…そんな事…」
その顔はまさに!
大人の階段登ったシンデレラ。
幸福はサービスがきっと運んでくれると信じてる!?
「シ、シンちゃんが大人の顔をしてる…」
大ショックを受けるマジックを余所に、二人は既に主従関係っぽさを残す恋人オーラを発していた。
何とも言えない敗北感を味わったマジックは、その場に突っ伏しハンカチを噛んだ。











終わり



sa2
「ッは――ッ!ご、…ごめ、なさ…おじさ…」
肩で息をし、恍惚の表情を浮かべ、目には涙を溜め、己の粗相を詫びる。
サービスの腕につけてしまった己の精。
「随分溜まってたんだな。」
サービスは無表情でシンタローを見る。
怒ってしまったのだろうか?
自分が汚いものをサービスに付けてしまったから。
ビクビクしていると、サービスはシンタローの出した白濁の液を赤い舌先で舐めた。
そして、シンタローの顔を指で持ち上げ、顔にかかったのまで舐める。
「おじさ…汚いから…」
どうしたら良いのか解らず、シンタローは目の焦点を何度も動かす。
「どうして汚いんだい?シンタロー。お前が汚い事は絶対にない。」
寧ろ汚いのは私だ。
お前が私に逆らえない事を解っていて、こんな事をした。
無理強いと変わらない。
私は卑怯だ。
解っていてもお前の体に欲情してしまう。
許して欲しい。汚い私を。
「どうだった?シンタロー。気持ち良かったかい?」
シンタローの視線に自分の視線も合わせる。
シンタローは恥ずかしそうにサービスを見た。
そして、コクリ、と頷く。「そうか…でも、お前だけ気持ち良くなるのは不公平だと思わないか?」
え、と、シンタローはサービスを驚きの表情で見る。
やはり怒ってしまったのか。
しかし、それは間違いだと気付かされる。
サービスがシンタローのズボンをパンツごと下ろす。
そして、自分のコートを脱ぎ、地面に敷いた。
「シンタロー、この上に座ってご覧。痛いだろう?」
「で、でも、そんな事したらサービス叔父さんのコートが…」
戸惑うシンタローを無理矢理抱き上げ、コートの上に乗せる。
そして、後ろを向かせ、手足を付けさせた。
四つん這いである。
「ヒッ!!」
サービスの指が、シンタローの蕾を触る。
シンタローは怯えた声を出した。
「ココ、使った事はあるかい?」
シンタローは髪を揺らしながらぶんぶんと頭を左右に振る。
怖いのか、サービスのコートを強く握りしめていた。心なしか、フルフルと体が震えている。
「じゃあ、ゆっくり慣らそう。」
舐めなさい、とシンタローの口にサービスは指を二本入れる。
「ちゃんと舐めないと、後で痛い思いをする事になるぞ。」
そう言って、指でシンタローの咥内をなぶる。
しかしシンタローは全てが初めて。
どうやって舐めるかさえ解らないのだ。


「口に含んでるだけじゃ駄目だ。キャンディを舐めるみたいに、ホラ、舐めてご覧。」
二本の指を咥内に入れられているので、シンタローの咥内はいっぱいいっぱいだ。
でも。サービスが舐めろと言っているのだから舐めなければ。
シンタローは懸命にサービスの細い指先を舌でねっとりと舐める。
「そうだ。中々上手いじゃないか。」
サービスに褒められて嬉しくなって、シンタローの舌は大胆になってゆく。
咥内にも性感体は存在していて。
「ん、ふぅ、」
徐々に立ち上がってくるシンタローのソコ。
それをサービスが気付かないはずもない。
動かさなかった指をサービスは出し入れし始めた。
じゅぷ、じゅぷ、と、空気の音が出始める。
余程興奮しているのだろうか、シンタローのソコからは先程達したばかりなのに白濁の液がテラテラと滴り落ち、サービスの黒いコートに染みを付けていた。
「そろそろいいか。」
サービスは一言そう呟き、シンタローの咥内から己の指を出す。
ちゅぽん、という音がして、咥内からサービスの指が出たかと思うと、シンタローは物足りなさそうにサービスの指を見た。
サービスの指と、シンタローの舌には名残惜しそうな銀の糸が繋がっていて。
それを断ち切るのは惜しいと思ったが、サービスは濡れた指をシンタローの蕾に持って行き、片手で尻を開き、つぷりと指先を中に入れたのだった。
「ヒッ!」
シンタローが悲鳴を上げる。
そのまま入れるのは戸惑われ、サービスは溜息をついた。
その音に敏感に気付いたシンタローは、ビクビクとサービスの顔色を伺う。
もしかして、呆れられてしまったのだろうか。
悲鳴なんて出すなんて。
処女の女じゃあるまいし、なんて思われてしまったかもしれない。
「あ、あの、サービス叔父さん…ごめんなさい…」
叱られた子供のように謝れば、サービスはフ、と笑ってくれた。
心の中で安堵する。
「謝る事はないさ。俺が急ぎ過ぎた。」
お前の恥態に押さえが効かなくなってしまったんだ。
そう付け加えられて、シンタローは頬が熱くなるのを感じた。
「少しずつ慣らしていけばいい。」
そう言ってシンタローの背中にキスを一つ落とす。
そして、その唇をシンタローの蕾迄持って行き、赤い舌先を蕾の中に入れる。
「や!な、なに!?」
慌てたようにサービスを苦しい態勢で見ると、己の蕾に顔を埋めている。
シンタローは驚愕の表情を浮かべた。
「やめ!叔父さん!サービス叔父さんやめて!!」
美貌の叔父に、そんな事させられない。
そんな汚い所舐めさせる訳にいかない。
シンタローは無意識に腰を引こうとするが、ぐい、と、サービスに引き戻されてしまう。
蕾にヌルリとした生暖かい感触が捩込まれる。
「ひぅ!」
ビクビクッと、鳥肌が立つ。
何とも言えない感覚と、感触。
「や、やめ、汚いから…ッッ…」
涙を瞳いっぱいに溜めながら、シンタローは必死にサービスに聞き入れてもらおうとする。
が、サービスの舌の動きは止まらない。
寧ろ、シンタローが痛がっていないと解って、先程よりも激しい位だ。
「ひゃ、あ、サービスおじさ…」
ビクビクと体を震わせ、コートをきつく握る。
ちゅる、ちゅる、とサービスの舌が出たり入ったりする感覚に、今のシンタローが出来る事は快感にうちひしがれる事だけ。
ちゅ、と、音がして、舌の感触と、音が止む。
「シンタロー。大丈夫か?痛くはないかい?」
恥ずかしさと快感に、顔をほてらせたシンタローに聞く。
「サービス叔父さん…も、俺やだよ。…恥ずかしいし、変なトコ舐めるし…」
いつもの元気は何処へやら。
蚊の鳴くようなか細い声でサービスを咎める。
「痛くは、ないみたいだな。」
サービスは一言そう言うと、細い指先をシンタローの中に入れた。
「んああああッッ!」
初めて入れた時のような悲痛な叫びではない。
明らかに艶を含んだ喘ぎ声。
気持ち良いのか、と踏んで、サービスはヌポヌポと、出し入れをし始めた。
その度にシンタローはなまめかしい、切なそうな声を上げる。
「あ、あ、おじ、サービスおじさ、あ、ッッ…」
コートに顔を埋めて、腰を高く掲げ、掻きむしられるような快感に身を任せる。くるくると中を掻き交ぜられて、シンタローは自分がどうにかなってしまいそうな感覚に襲われた。
「随分解れてきたかな。」
サービスの冷静な声が響く。
熱で浮かされて居るのは自分だけなのでは、と、頭の隅でシンタローは思った。
しかし、その思いも次の瞬間違うと確信した。
ひたり、とサービスの熱いモノが蕾に当たる。
ああ、自分だけじゃなく、サービスも興奮しているのだと解りシンタローは熱い吐息を吐いた。
「シンタロー、いくぞ。」
グ、と、推し進められるサービスの熱い雄。
「ちょ!ま、待って!待っておじさ、あ!あああッッ!!」


確かに準備は調っていた。
だが、初めて男を受け入れるのに、シンタローは恐怖を拭いさってはいなかった。
なのに無遠慮に捩込まれるサービスのソレ。
シンタローの制止の声が虚しく響く。
「ああああ!!」
喉が潰れる程の声を上げてシンタローは除けぞった。
後ろでは、サービスの激しい腰使いの音が聞こえ、サービスはシンタローの想像とは裏腹に荒々しい抱き方をする。
熱い。熱くて痛い。
ビリビリする痛みと、瞳から流れ落ちる涙。
「シンタロー、は、あ」
「おじさ!いた、痛いッッ!サービスおじさ!あ、あ!!」
噛み締めていた唇から血が滲み、鉄の味が味覚を支配する。
萎えてしまったモノをサービスは握り、上下に動かす。
そして、シンタローの良い所を探そうとする。
痛みを早く無くし、快楽に変えてやろうと、サービスの優しさから。
ぷくりとした奥を付く。
「あ、あん!!」
シンタローの声色が変わった。
それを見逃さなかったサービスは、何度も何度も奥を貫く。
「ひゃ、あ!あ!や、な、なんか変!」
甘い痺れが又シンタローを支配した。
ビリビリやってくるエクスタシーと、靄がかかる頭と視界。
「後ろだけで…イケるな?」
後ろから耳元で囁かれ、耳たぶを加えられた。
それがとても気持ち良くて、シンタローの理性なんてものは遥か彼方に吹っ飛んでしまう。
「ホラ、シンタロー。イケるだろう?」
いやに優しく囁かれて、シンタローは飲み込めなかった唾液を唇の端から垂らし、コクコクと、頷く。
もっと、もっと。
激しく抱いて欲しい。
気持ち良くておかしくなってる俺。
後で笑われてもいい。
だから。
顔を後ろのサービスに向ける。
シンタローの唇の中にある赤い舌がチロチロと、サービスを誘うかのようにうごめいた。
サービスも顔には出さないが限界が近いようで。
シンタローのいやらしさに彼も又酔っていた。
「おじさ、サービスおじさ、キモチ、いい」
舌っ足らずの子供のように、しかし、何処か大人のように無意識にサービスを誘う。
誘われれば、サービスのあまのじゃく、もとい女王様精神が湧き出てくる。
ピタ、と、上下に動かしていた手をピタリと、止める。
シンタローが怪訝に思い、上目使いでサービスを見上げた。
「ひゃ!あん!」
次の瞬間、サービスはシンタローの根本を思い切り握り締める。
これじゃ、イケないじゃねーか。


限界まで焦らされたシンタローは、浅ましいと思いながらもイキたいと渇望した。
それでも、サービスの細い指が邪魔してイケない。
イケるか、なんて聞いてきたくせに、これじゃ無理。
出すに出せない。
「な、で…?」
苦しくなってサービスを見れど、サービスは平然としている。
そして、シンタローの背中にキスを一つ落とすと、サービスの熱いモノが、中で一瞬大きく膨らみ、更に熱い液体がシンタローの中に注ぎ込まれた。
「く…ッッ!」
「ひゃ、あああッッ!」
ドクドクと注ぎ込まれるソレ。
シンタローの中の粘膜が、ヒクヒクと、無意識に動いているのが解る。
ズ、と、抜かれ、シンタローは切なそうな溜息を漏らした。
抜いた後も、物欲しげにヒクヒク動く穴にも、もう既に理性なんて切れてしまっているシンタローは恥ずかしいとさえ、思わなくなってしまっていた。
「シンタロー、お前のココの穴、物足りないみたいだな。本当は経験者なんだろう?」
クスリと笑われ、ヒクつく蕾に指を宛がう。
「ひ!」
「誰と寝たんだい?シンタロー。俺に教えてご覧。そんないやらしい体に誰がした?」
「してな…おれ、おれ、サービスおじさんが初めて…ホント…本当だよ…」
まさか疑われているのだろうか。
俺が誰かと寝たって。
そんなの有り得ないのに…。
シンタローは少し悲しくなって濡れた睫毛を数回瞬いた。
どうやったら信じて貰えるんだろう。
俺が叔父さん以外に抱かれた事がないって。
どうやって…。
「じゃあ、俺を信じさせてみろ。」
そう言って綺麗に笑う。
サービスは初めからシンタローが自分以外とシていないと知っていた。
知識もないし、テクニックもない。
又、士官学校に行っていたサービスには解る。
学校がどうゆう所かを。
そんな浮いた事が出来る所ではない。
朝から晩迄殺しの訓練。
就寝時間にもなればクタクタで倒れるように眠りにつく。
クラスメイトと話すのなんて、知識の勉強の休憩時間位。
青の一族という事で、周りは余り近寄っても来ない。
まあ、シンタローの性格なら、それは当て嵌まらないかもしれないが、一般の人間から比べれば、やはり近寄り硬いのはあるだろう。
「ど、どうすれば…いいの?」
怖ず怖ずと、小さい声でシンタローはサービスに聞いた。
「そうだな。…俺のを口で綺麗にしてもらおうか。」
そう言って自身をシンタローの口元に持っていくのだった。

できない、とシンタローは思う。
麗しの叔父の肉体の中で唯一グロテスクなソレ。
しかも、先程迄己の蕾に入っていたのだ。
潔癖症の気があるシンタローには途方もない無茶難題だと言っていい。
手で触るならまだしも口の中に入れるなんて、そんなビデオの世界みたいな事できない。
口を一向に開こうとしないシンタローに痺れをきかせたサービスは、シンタローの頭を右手でグイ、と掴む。
「!?」
驚いているシンタローの口に己を宛がい、シンタローの固く閉じられた口を無理矢理こじ開ける。
シンタローの口内にはサービスのモノが入り、苦い、何とも言えない味がした。
「噛むんじゃないよ、シンタロー。」
チラ、と、サービスの方を見ると、金色の絹糸のような長い髪が、銀色の月に照らし出され、何とも幻想的な写真。もとい、一枚の絵のように見える。
しかし、今、自分の口内に入っている遺物感までは拭い去る事はできなかった。
舌で必死に逃げようとするが、サービスの片手にガッチリ捕まえられてしまっているので、頭さえ引く事ができない。
「んーー!ンムーー!!」
苦しくて、声を出す。
叔父さんのを…自分の中に入っていたモノを口で加えてしまった!
ど、どうしよう!
口の中が気持ち悪い。
ウンウン唸っても、サービスは決して抜こうとはしない。
寧ろ愉しんでいる。
「ホラ、俺だけしか知らないという証拠を見せてご覧?ちゃんと俺を納得させられるなら信じてあげよう。それに。」
ツプ、と、シンタローの蕾に指を入れる。
すると、ソコは物足りないと言うかのように、パクパクと口を開いてサービスの指を誘い込む。
そんなシンタローを見てサービスは言葉を続けた。

ココにご褒美をあげてもいい。

そう艶やかな声で言われて、シンタローはゾクリと身震いした。
欲しいとは、思う。でも、欲しくない、とも思う。
体は既に限界寸前で、早くイキたいと言っているのだが、心は、自分の好きという純粋な気持ちを弄ばれているような気がしてこのままじゃいけない気がするのだ。
俺は叔父さんと肉体関係が持ちたかった訳じゃない。いや、最終的にそうなるのは構わないが、俺はサービス叔父さんと、ちゃんと好きとか嫌いとか、きちんとしてからが良かったのに。
なし崩しで来てしまった今に、シンタローは疑問を持ち始めてしまったのだ。

ジャンの変わりではない、という事は信じる。いや、どちらかといったら信じたい。
シンタローは、それすら自信がない。
一度疑問に思うと、総てが疑問になる。
もしかしたら、この長い特訓の間に溜まった性欲を、ジャンの面影のある自分で満たそうとしているのか。と、そこまで考えてしまうネガティブな自分。
相手なんて、誰でも良かったのかもしれない。
自分じゃなくても。
サービスは綺麗だが、綺麗過ぎて近寄り難い雰囲気がある。
シンタローは、そんな所も好きだった。
クールな叔父の劣情を垣間見れて、さっきまでは嬉しかった。優越感に浸れた。
でも、いきなりこんな。こんなモノを加えろだなんて。
しかも自分が経験者だなんて。
信じて貰えない。
信用していないのか、と思うと、より一層淋しくて惨めな気持ちになる。
瞳を伏せて、黒い睫毛がサービスの視界に入る。
「シンタロー?」
そんなシンタローの異変に気付いたサービスは、シンタローに声をかける。
少しやり過ぎたかもしれないとサービスは思った。
本気で嫌がっているシンタローの口内から、己自身を抜き取ると、シンタローはゴホゴホ、と苦しそうな咳をした。
「サービス叔父さん…」
問い詰めるような瞳。
それを難無く受け流す。
「なんだい?」
「叔父さん、本当はただ、こうゆう行為がしたかっただけなの?相手は本当に俺で合ってる?俺、こんな…こんなのって…」
それは本気の拒絶の言葉。
口の端からサービスの白濁の液体が流れてきて、シンタローは片手でグイ、と拭いた。
はらはらとシンタローの真っ黒な眼から涙がとめどなく溢れる。
ふわ、と温かいものが体に触れた。
一瞬何が起きたか解らなかったが、サービスが、自分を抱きしめている事に気付く。
「シンタロー…すまない。不安にさせたね。俺が先走り過ぎたようだ。」
温かい体温がシンタローを支配する。
どっ、と安心感が湧き出てきた。
「だけれど、これだけは覚えておきなさい。俺は相手を間違ってなどいない。俺の相手はシンタロー。お前だけだ。」
そう言って、赤い舌先で、シンタローの頬を伝う涙をそっと掬い取るのだった。
子供をあやすように、よしよしと、頭を撫でてやれば、安心した顔をするので、サービスはずっと撫でてやる。
「意地悪を言ってすまなかったね。」
それがさっきの、経験者なんじゃないかという問いの事を言っているんだと解る。

sa1
シンタローは、青の一族の直系であり、一番強い力を持つ兄、マジックの息子であるが、一族の象徴ともいえる秘石眼を持たず、黒眼黒髪の平凡な少年だった。彼は平凡であるが故に並々ならぬ努力をしてきた。
マジックの息子の肩書に、いつも重苦しい重圧に、人の好奇の目に堪えて、その肩書を嫌ってはいたが、イヤ、本心は嫌っている訳ではないのだろう。
きっと比べられるのが嫌なのだ。
生まれながらの覇王と、平凡な自分を。
シンタローは昔からサービスが好きだった。
猫っ可愛がりするおちゃらけた父親より、クールな叔父が。
何だかサービスだけは自分を一人の人間として、男として扱ってくれる。そんな感じがしたのだ。
そんな叔父と修業を始めて1年が過ぎた。
今までも華奢だった訳ではないが、筋肉も付き、一族の奥義眼魔砲をも会得する為修業を続けている。
顔も、少年らしさの残るあどけなさは消え、替わりに凜とした青年の顔付きに変わる。
そうする事で嫌でも思い出してしまう、自分が殺した親友を。
子供の時から似ている、と思っていた。
だが、成長するにつれ、似ているとか言うレベルではなくなってきている。
うり二つなのだ。
親友の生まれ変わりなどと、非化学的な事すら思ってしまう。
「シンタロー。そろそろ暗くなってきた。今日はこの辺で止めておこう。」
「ハイ。叔父さん。」
サービスの言葉に素直に従うシンタローに、サービスは少し笑った。
自給自足の生活なので、食料の調達もしなければならない。
いつものようにシンタローが行こうとすると、サービスがシンタローの肩に手をかけた。
不思議に思いシンタローはサービスを見る。
「どうしたの?叔父さん?」
「今日は俺も一緒に行こう。」
その発言にシンタローは目を丸くした。
食料の調達はかなり危険が伴い、体力も消耗する。
サービスなのだから危険、の部分は大丈夫だとしても、シンタローとしては大好きな叔父に疲れさせる事はさせたくない。
ただでさえ修業をしてもらっているんだから。
「い、いーよいーよ!俺一人で大丈夫だから!」

「シンタロー、俺と一緒に居るのはそんなに嫌か?」
悪いと思って言ってるのに、お門違いな事を言われてシンタローは慌てて反論する。
「違うよ!俺、叔父さんの事大好きだもん!叔父さんに苦労かけたくないっていうか…」
シンタローは頭をかき、何と言えばいいのか考える。

「気にする事はない。俺がお前と一緒に行きたいだけなんだから。」
そう、綺麗な笑顔で笑われれば、シンタローは頬を赤らめて黙るしかない。
シンタローとて、この美貌の叔父と一緒に居たいのだ。
沈黙を肯定と理解したサービスは、シンタローの背中をポン、と押し出発を促す。
シンタローは、嬉しさと申し訳なさが混ざった感情の中、サービスと歩き始めた。
食料を取る場所は決まっている。
この辺りの荒野では町も民家もない。
ないのだ。ガンマ団が破壊したあの日から。
沢山の兵器を使用し、全てを壊し尽くした場所ではあるが、草花はそれでも懸命に生まれてくる。
余り被害のなかった場所、今居る山を下り、谷を越えた次の山なのだが、走って往復で4時間以上はかかる。
それも修行の一貫と理解しシンタローはいつも行っていた。
いつものように走り出そうとすると、サービスに肩を引き止められる。
「待て。」
不思議に思いサービスを見る。
「今日は歩いて行こう。知識の面で話したい事もある。」
「でも叔父さん、走らないと夜迄に着かないんじゃ…。」
「ああ。だから俺も一緒に行くんだ。」
サービスはそう言ってシンタローの隣を歩いた。
サービスの話は、体術について、兵器について、そして、戦術についての話で。
体術がいくら出来ても兵器には敵わない。いくらいい兵器を持っていたとしても戦術がなければただの鉄クズ。戦術が得意でも、実行出来る体術がなければ意味がない。つまり、この三つができて初めて一人前になれるのだ。と言うような内容の話をされた。
シンタローは何度も頷き、サービスの言葉を聴き入る。
「お前のそうゆう所がジャンには似ていないな。」
「ジャン?」
儚気に笑うサービス。
聞いた事のない名前にシンタローは思わず聞き返した。
ミステリアスなこの叔父の過去がもしかしたら聞けるかもしれないという期待。
シンタローは少しでも、この叔父の事が知りたかった。
「ああ。この間話した俺の親友の名だ。お前によく似ていたよ。双子かとみまごう位にね。」
そう言ってシンタローの髪を撫でるサービスは、とても穏やかな顔をしていて。
その瞳が恋をしている目だと瞬時に解ってしまって、シンタローの心はツキリ、と痛んだ。
そして思う。もしかして、自分を可愛がってくれているのは、その親友に似ているからという理由なんじゃないか、と。

そんな不安を心に残しながらシンタローはサービスと歩く。
それに、そんな事を聞けないし、聞きたくなかった。
だってもし、そうだ、と叔父の口が動いてしまったら、シンタローのこの淡い初恋は一瞬にして終わるし、明日から叔父をいつものように見る事ができないから。
臆病者なのかもしれないが、恋をすれば誰でもそうなるだろう。
「この辺りか。」
サービスの声でシンタローは我に返った。
見渡せばいつも自分が食料を取りに来る場所で。
「俺も昔、ジャンと取りに来た事があるんだ。」
また、ジャンの事。
確かにこの場所はサービスがシンタローに教えた場所。
サービスが知っているのになんら不思議はない。
でも、親友と来ていたのか、と、思う。
冷静に考えれば当たり前で。
ここで戦闘が行われ、二人を残して壊滅状態だったと聞く。
だとしたら食料を求め二人でここまで来たとしてもそれは至極当然の事だ。
「そ、そうなんだ。」
声が上擦らないように、シンタローはボソボソと話す。
そして、自分はポーカーフェイスなんて器用なマネが出来ないから、いそいそと食料を摘む為、肩にかけてきた籠を置いた。
サービスを見ないように。
動物を捕まえる為の罠の場所に歩いて行こうとした瞬間、後ろからサービスに抱きすくめられた。
時が、止まる。
ザワ、と、風が辺りの木々と二人を撫でてゆく。
背中から伝わるサービスの体温と、胸から伝わる心臓の鼓動。
ドクン、ドクン、と、波うっている。
辺りは既に暗くなってはいたが、今宵は満月で、シンタローは自分の顔が赤いのがサービスにバレないかと心配だった。
耳にかかるサービスの吐息。
どうしたのだろう。
そう思ってサービスの方へ向き直そうとしたが、それは叶わず、シンタローはサービスに押し倒される形になった。
せめて顔だけでも見ようと振り返ると、いきなり唇を塞がれる。
「―――ッッ!?」
苦しい体制の中、サービスの綺麗な唇の感触だけがシンタローを支配する。
苦しくて、息をつごうと唇を少し開けると、そこからサービスの舌が侵入してきた。
まさかサービス叔父さんは、ジャンと俺を間違えてるんじゃ…
そう思った瞬間、シンタローはサービスに体当たりをした。
少しよろめいた拍子にシンタローは間合いを計る。
そして、赤く上気した顔が見えないよう影に隠れてから言い放つ。
「俺は叔父さんの親友じゃない。」

唇を腕でゴシゴシふいた。
嫌だった。誰かの代わりにされる事が。
まして好きな人の思い人なら尚更で。
逃げようとするが逃げられない。
サービスとシンタローの力は歴然としている。
叔父に限って無理矢理とかそうゆう事はないだろうが、それでも怖い。
本気になっても叶わない相手だから。
「知っているよ。」
夜空のシン、とした空気の中、サービスが呟いた。
まるで消えそうだったが、しっかりとしていて耳に残る何とも不思議な声色だった。
「彼は死んだ。俺が殺した。死んだ者は生き返らない。」
ザク、ザク、と一歩一歩踏み締めるようにサービスはシンタローへと近づく。
「だけどシンタロー。お前の事をジャンと重ねた事は誓ってない。」
その言葉をサービスが吐いた時、シンタローの頬にサービスの白魚のような指が振れ、もうこんな近く迄来ていたのかとその時解った。
サービスの指は冷たくて、サービスをシンタローは見上げる。
何時もの綺麗な顔だった。
サービスの青い瞳を見る。
吸い込まれそうな青だった。
端正な顔立ちと、それにそぐ海のような青い瞳。
この人の前では嘘をつけない、ついてはいけない気持ちになる。
「叔父さん、本当に?」
「ああ。髪も、瞳も、全て違うよ。それに…」
「それに?」
「アイツは親友ではあった。だが、お前を目の前にした時のような劣情はよもおさなかったよ。」
俺はそうゆう意味でお前が好きなんだよ。
耳元で囁かれて、シンタローは全身に甘い痺れが走るのを感じた。
「奮えないで。」
そう言われ抱きしめられたと同時に自分は奮えていたのだと知る。
温かい体温に包まれ、微かな安らぎさえ覚えた。
そして、頭をあやすように撫でられ、唇が触れ合う。
ちゅ、ちゅ、と啄まれ、歯をなぞられた。
顔が熱い。
でもそれ以上に心臓が痛い程高鳴っていた。
「おじさ…」
はぁ、と、熱い吐息を吐きながら、シンタローがサービスを呼ぶ。
サービスは人差し指をシンタローの唇に当てた。
「サービスだよ、シンタロー。いいかい?」
コクコクと、シンタローは頭を上下に振る。
ぼぉっとした頭の中でシンタローは嬉しさを噛み締めていた。
叔父さんも、俺の事好きでいてくれたんだ。
そう思うと、こんなに自分は幸せでいいのかとさえ思う。
「シンタロー。」
散々熟された若い体を、ツツ、と、指でなぞる。
「一人でシてご覧。」

「え…?」
一瞬何を言われているのか解らなかった。
シンタローは、目を大きく開く。
「シンタロー。俺の言っている意味が解らないのか?」
ふぅ、と綺麗な唇からシンタローの耳に息がかかる。
ビク、と、シンタローは震えた。
そんな事を言われても、どうしていいのかわからない。
でも、長い修業生活で身についてしまっている主従関係。
サービスには逆らえない。逆らってはいけない。
そう叩き込まれている。
「やり方が解らない訳じゃないだろう?一人でシた事がないなんて言わせないよ。」
もう体は大人なんだから。と、付け足される。
サービスの指がシンタローの腕を絡めとる。
そして、促すように、ズボンの渕へとシンタローの手を置いた。
「見ててやるから上手にしなさい。お前が俺を好きだと証明して御覧?」
美貌の叔父が月明かりに照らされて、いつもより妖艶に見えた。
シンタローはヒク、と、喉を上下に動かしてから、意を決したように日焼けして小麦色になった指をボタンとジッパーにかける。
カチャカチャと、震えている指が上手く動かない。
「焦らなくていい。ゆっくりでいいんだ。」
そうサービスが言うが、サービスの声が音として耳には入って来るものの、その言葉の意味を理解できる程シンタローは冷静ではなかった。
ようやくボタンを外す事ができて、ジィ…と、金属音が響く。
そこからシンタローは止まってしまった。
半分パニックになっている頭は、何故こんな事をしなければいけないかという疑問よりも、俺は何時もどうやっていたのか思い出せないという方が強かった。
助けを求めるようにサービスを見ると、綺麗に伸びた白い指でサービスがシンタロー自身を取り出す。
半分勃ち上がっているソレをサービスは上下にグラインドさせた。
そして、快楽に顔を歪ませるシンタローの唇に又キスを落とす。
「ふ、うン…」
シンタローが切なそうな声を上げ始め、自身からテラテラと、半透明の液体が垂れ、サービスの指を濡らした。
「ん、あ?」
サービスの指が離れて、シンタローは疑問の声を上げる。
止めないで欲しいと、思ってしまった自分を恥じた。
「ホラ、シンタロー。続きは自分で出来るだろう?」
そう言われ、己の手を自身に宛がわれる。
恥ずかしくて正直嫌だったが、サービスの言う事は聞かなければならない。
それに、この体のほてりは既に言い訳のできない所迄きていた。


恐る恐るではあるが、シンタローは確実に自慰を始めた。
くち、くち、と、粘膜の擦れる音が聞こえ、それを出しているのも、音を作っているのも他ならぬ自分であると思うと羞恥心が掻き立てられる。
うっすらと、薄いサービスの唇が三日月のように笑っている。
「ン、は、はぅ…」
吐息が漏れる。
「気持ちいいのか?シンタロー。」
クスリ、と音を立てて笑われれば、シンタローは恥ずかしさの余り下を向く。
でも、下を向けば己の直立したモノを直視しなければならなくなる。
だから目線を斜めに反らした。
俺は今、サービス叔父さんに一人で慰めてる所を見られてる。
見られてるんだ。
そうは思うが、既に熟されてしまった熱い体に理性は効かない。
いや、反対に段々興奮してきている。
見られているという快感。
家族も、親戚も、学校も、全てにおいてシンタローはストイックだった。
性に目覚め始めた今という青春時代は特にストイックに生きていかざる得ない状況に置かれていて。
何故なら寮は二人部屋、もしくは三人部屋が主で、一人部屋なんて言うものはない。
だから自慰なんてできないし、厳しい士官学校生活ではそういった類いの雑誌及びビデオなんてものもない。
何時も何処でも軍と規律なのだから。
久しぶりの快感と、サービスに見られているという背徳感から、既にシンタローはイキそうだった。
「ンあ!サービスおじさ…ッ!おれ、も…もぉ…」
目に生理的な涙を溜めてサービスを見る。
「もう、何?」
解っているくせにサービスは意地悪な質問をする。
このストイックな甥に卑猥な言葉を言って欲しい。
体だけじゃなく、心も犯してしまいたい。
サービスのサディスト心がふつふつと沸き上がる。
「―――ッ」
シンタローは恥ずかしいのか、言えなかった。
その為、手が止まる。
「シンタロー、どうしたんだい?休んでいい、と俺は言った覚えがないが。」
そして、ツツ…と長い指を下から上に持って行き、シンタローの先端を人差し指で円を描くようにクルクルと弄ぶ。
「アアン!お、サービスおじさ…ッ!や、やめて!!」
左手でサービスを静止させようとするが、今度は強く尿通を押さえられ、シンタローは切なそうな声を上げる。
「も、ダメ!ダメェ!!」
シンタローが息を詰めたかと思うと、ビュルビュルと、シンタロー自身から白濁の液が飛び散り、シンタローの顔と、サービスの腕を濡らした。










sa
<「シンちゃん、誕生日おめでとう。」
「!!」
今日も仕事疲れたぞ、と、シンタローがベッドに入ろうとしたその瞬間。
こんもりしていた布団から、にょ、と顔を出すナイスミドル。
しかも、何故かバスローブ姿で。
シンタローはいきなりの事でびっくりし、目が点になった。
「な、ななな!!」
混乱と怒りが同時に湧いて出る。
「んもう!私がシンちゃんの誕生日を忘れるわけないじゃない。」
そーじゃねーだろ。
俺が言いたいのは、何でアンタが俺のベッドに居るかってことだろーが!
そう言いたくてもさっきのショックで口が金縛り状態で動かない。
「ほら、シンちゃん!誕生日プレゼント!勿論プレゼントはわ・た・しνだよ!」
そして、バスローブの端から胸のボタンをチラリとシンタローに見せる。
「いらねーよ!!」
やっと金縛りが溶けた。と、いうか、ツッコミが日常的な事だったので、すんなり口から出たというのが正しい。
「またまたー!遠慮しなくてもいいんだよνパパはシンちゃんのなんだからν」
「遠慮なんかしてねーから。いい病院紹介しよーか?親父ィ…」
もうハートを振り撒くマジックに何を言っても聞かない。
そんな事わかりきっているのに言わずにはいられない。
「はっはっは!恥ずかしがらなくてもいいのに!」
シンタローは馬鹿を見る目でマジックを見て溜息をついた。
そして、風呂に入るべくバスルームに向かおうとしたその時。
がし、とマジックに腕を掴まれた。
「お風呂入っちゃ駄目だよ!シンちゃんの匂いが取れちゃう!!」
「キモ!!」
シンタローは思い切り露骨に顔を歪めた。
なのにマジックは気にしないでシンタローを引き寄せると、シンタローの首筋をベロリと嘗める。
慌てて体を離し、舐められた箇所を手で押さえた。
「~~~ッッ!アンタなぁ!!ってうわっ!」
どさ、とベッドに引きずり込まれ抱きしめられる。
マジックの満面の笑顔にシンタローは血の気が下がるのを感じた。
「シンちゃん。今日は隅々迄愛してあげるからね…。」
鼻血をボタボタ垂らしながら言うマジックにシンタローは、
誰か助けてくれぇぇぇ!
と、心の中で絶叫したのだった。
夜は今始まったばかり。





「し~んちゃ~んッッ!!」
いきなり後ろから抱きしめてくるのは兄グンマ。
金色のロングヘアーが揺れている。
男のくせにトレードマークとなりつつあるピンクのリボンをつけて、笑顔でシンタローに抱き着いた。
「あぁ!?なんだよ、なんか用かぁ?」
うざったそうに振り向くシンタローとは逆にグンマは満面の笑みを浮かべている。
「ねー、シンちゃん!買い物付き合ってよ~」
「やーだね!俺はお前と違って忙しいの!」
前を向いて言うのでグンマはプクッと頬を膨らませる。
そして、耳元に、ふぅ、と息を吹き掛けた。
ビク、とシンタローは耳を押さえ、グンマの側から離れた。
グンマは相変わらずニコニコ笑っている。
なんだよ。
じとっとグンマを見るが相変わらず何考えてるか解らない笑顔を一切崩さない。「ね、シンちゃん行こうよ!たまには息抜きも必要でしょ?」
そうやって困ったように笑うから。
シンタローは頷いてしまう。
グンマは良かった、と笑う。
殴られるか蹴られるか。もしかすると眼魔砲を撃たれるかも、って思っていた。と、グンマは笑いながらシンタローに言う。
シンタローもつられて笑う。
ほんの数秒前の出来事を忘れてしまうのだからシンタローも大物だ。
それともグンマが忘れさせているのだろうか。
「オイ。どこ行くんだ。こっちは…」
そう。こっちは。
「うん。僕の部屋。」
プシュン!と、ドアが開き、ピンクレースの乙女ちっくな見慣れた部屋が目に飛び込む。
そして、グンマの部屋の中心にあるガラスがハートの形になっている机の上には“HAPPY BIRTHDAY”と書かれた二段重ねのデコレーションケーキが。
なんだコレと、シンタローは思ってからグンマの部屋にある日めくりカレンダーに目をやると、グンマの字で“恋人の誕生日”と書いてあり、シンタローは赤面した。
「えへへ。今日はシンちゃんが産まれて28年目だよぉ~!」
産まれてくれてありがとう。HAPPY BIRTHDAYシンちゃんν
そう耳元で呟いてシンタローの唇にキスを落とすのだった。








「あ、は、ぁう…ッッ!」
23:58。
シンタローはサービスの上で腰を振っていた。
騎乗位は不慣れだが、サービスを動かすわけにもいかない。
多分そう思ってしまうのはジャンの分身のコピーだからか。
昔からシンタローはサービスが好きだった。
何時も一緒にいる父親より、何時も一緒に遊ぶ従兄弟と思っていた人より。
たまに来るこの美しい物腰の叔父にとてつもなく引かれていて。
だから、叔父と情事を交わす時はシンタローが上になるのが当たり前で。
いつまでたっても慣れない情事にシンタローは必死だった。
「ッッ、あ、」
「シンタロー。もう少し奥まで。」
「ひ、は、ハイ…ッッおじさ…」
目をきつく閉じて、眉を寄せて。
サービスが喜ぶのなら。喜ばせる事ができるのなら。
ぐ、と、より深く入れようとするのだが中々上手くいかない。
なんだか自暴自棄になって、自分の下手さ加減に涙が出る。
するとサービスがシンタローに入れたまま座る。
シンタローの視界には繋がっている部分がモロに見えて、恥ずかしくなり、思わず目を反らした。
しかし、サービスはそれに留まらずシンタローを横に寝かせる。
つまり、言う所の正上位。
「や、おじさ!俺、俺が動くから!」
下手だったから怒ってしまったのだろうか。
心配ではあったが、何時もと違う体位に興奮もしていて。
どうしよう、とサービスを見上げると、サービスは綺麗な顔で笑っていた。
「今日は俺がしてあげよう。いつもしてもらってばかりだからな。」
そう言い、シンタローの足を思い切り開かせ、普段届かない奥の方まで自信を貫く。
「ひゃ、あ!ああ!」
ずぷ、ずぷと、振られて、激しく腰を打ち付けられる。
「シンタロー…」
耳たぶを舐められ、それが気持ち良かったらしく、
「イ、イッちゃ!あ、あああん!!」
びゅく、びゅく、と、シンタローは自分の精子を腹の上に出し、サービスの体を抱きしめる。
「シンタロー。」
「ん、ん、な、なに?」
「誕生日おめでとう。」
そう言いシンタローの中に己の精子をぶちまくたのだった。





「シンタロー。今日は誕生日だそうだな。誕生日とはその人物がこの世に産まれた日の事だ。」
「………。」
「俺の誕生日はいつ、なんだろうな。お前と同じ今日なのか、それとも、お前が死んだあの日なのか。」
「………。」
「俺には誕生日がないのかも知れない。」
何も言えない。
キンタローの24年間を奪ったのは、紛れも無く俺で。
アイツの人生を狂わせたのも俺。
悪いとも思うが、過ぎた年月を戻す事はどうやったって不可能でしかなく。
やはり俺の口からは声は出なかった。
「シンタロー。聞いているのか?」
「ああ。」
目を合わす事もできない。
反らす自分が酷く惨めで。
幼い頃皆に祝って貰えたのは自分じゃなくて、本当はキンタローだったのに。
「シンタロー。お前が俺の誕生日を決めて欲しい。お前は俺の…」
顔を持ち上げられて目がかちあった。
キンタローの真剣な眼差しに堪えられなくて、どうしても目が泳ぐ。
「すまない。お前を責めたい訳じゃないんだ。俺は…駄目だな。気の利いた台詞の一つも出て来ない。」
そう言って耳まで真っ赤にしてシンタローから目線を反らす。
日頃無表情のキンタローらしからぬ行動。
「シンタロー、お前に、いいか、お前に決めて欲しいんだ。俺の全てを貰い、俺に全てを与えたお前に。」
「キンタロー…」
赤くなっているのは恥ずかしいからだと理解した。
だから、シンタローは本当に自然にキンタローを抱きしめ、頭をあやすように撫でてやった。
まだお前に教えてやってない事もすげー多い。
でも、お前にとっても、もちろん俺にとっても、お互いが全て、なんだよナ。
「キンタロー。お前の誕生日は今日だ。俺と同じ。文句は言わせねー。」
お互いの体温が服を伝って流れ込む。
ほんわかした温かい空気が二人を包み込む。
耳元でキンタローがクス、と笑ったのが聞こえた。

「誕生日おめでとう。シンタロー。」
「誕生日おめでとう。キンタロー。」








「誕生日おめでとうございます。シンタロー総帥。」
赤い服を着た医者らしからぬ風貌。
颯爽と現れて、何かよく解らない大きな包みをくれた。
リボンの下にバースデイカードが挟まっている事から、それが自分へのプレゼントだと解る。
「はい。これプレゼントです。」
「………。」
じと、とシンタローに見られ、高松は何ですか?と言うようにいつものように挑戦的に唇の端を上げる。
「ドクターってサ、俺と付き合ってるんだよナ?」
「ええ。どうしたんですか?急に。毎晩とまではいきませんが、マジック様や、サービス、ハーレムの目を盗んで可愛がってますでしょう?」
「だーーっ!!そーゆー事は言わなくていいの!!そうじゃなくって!!」
真っ赤になって叫ぶシンタローに、高松は心の中で可愛いな、と思う。
昔とちっとも変わらない。
性的な話しになると、いつもこうだった。
「そうじゃない、と言いますと?」
「ドクターってサ、グンマとかキンタローには鼻血出すのに、何で俺には出さねーの?」
これは驚いた。
多分シンタロー様本人は気付いていらっしゃらないだろうが。
この言い方はまるで

嫉妬。

「やっぱ、俺が金髪、碧眼じゃないから?」
ああ、何故ご自分の可愛らしさに気付かないのでしょうね。
貴方のその淋しそうな顔は、とても欲情的なのに。
「どう、なんでしょうね。」
てっきり否定してくれると思っていたシンタローは、何かが壊れる音を聞いた。
そして、次の瞬間思考回路はぶっとぶ。
「ク、ククク!じゃあ鼻血出させてやろーじゃねーかー!!」
「シンタロー総帥??」
たじろく高松。
高松の妄想では、ここでシンタローが泣くかと思っていた。
いつもシンタローは高松の想像道理には動かない。
それが高松にとって新鮮でもあるのだ。
「でりゃ!!」
掛け声と共にバッ!と総帥服の上着を脱ぎ去る。
綺麗に焼けた小麦色の肌と、ピンクの乳首。
ぶわぁぁあぁ!!
高松の鼻血が噴水のように。もっと具体的にいうのなら小便小僧のように。勢い良く吹き出した。
それを見たシンタローは満足顔。
フフン、俺だって、その気になれば出来るんだよ!!
「シンタロー総帥…今日は積極的ですね…」
「は?」
「久しぶりに健康診断といきましょうか…」
しまった!と思っても後の祭。
シンタローの叫び声が部屋に児玉するのであった。






昔から顔だけは知っていた。
獅子舞の忠実な部下というのが俺の第一印象だった。
ストイックな雰囲気を身に纏い、切れ長の瞳にサラサラの髪。
そして、俺と同じ黒い髪の黒い瞳。
同じ色なのに、どうしてこうも違った形をしているのだろうと、幼い俺は思っていた。
そして、南国の島でアラシヤマの師匠だと知る。
「シンタロー様、何を考えているんですか?」
いつまでたっても俺に対して敬語で。
もう、肉体関係も持っているのに、昔と態度を変えない。
そのよそよそしさに不安にもなったのだが、今はこれがマーカーの素なのだと思う事にしている。
「別に。つーか、今日俺誕生日なんだけど。」
知ってるか?なんて愚問。
「存じ上げています。」
「プレゼント位あンだろ~?」
「ええ。」
マーカーはそう言って愛おしそうに笑う。
この笑顔は俺だけのもので。
マーカーにこんな顔をさせられるのも、ストイックなマーカーを劣情に駆らせる事ができるのも俺だけ。
「シンタロー総帥…」
「ン…」
マーカーがキスをくれるので、シンタローはそれを受け入れた。
「ふ、ん…?ンン!」
だが、何時ものキスと違う。
何時もは軽いキスなのに。
濃厚なキスと、初めて味わうマーカーの舌に、シンタローは戸惑う。
キスだけでイかされそう。
そんな不安にも似た気持ちが頭をもたげる。
ちゅ、くちゅ、と唾液の交わる音がシンタローの聴覚をも犯した。
「あ、はぁ、」
やっと唇を離された。
シンタローの中心は既に立ち上がり始めていて。
「シンタロー総帥…いやらしいですね。」
クスクス笑われながら言われ、シンタローはカッ!と赤くなる。
「酷くそそられますよ…」
そう言ってシンタローの中心をまさぐる。
「ふ、うん!!ッッ!」
「今日は死ぬ程良くして差し上げます。」
マーカーはそう言うと、シンタローの蕾に指を入れ、慣れた手つきで掻き交ぜる。
シンタローの蕾が柔らかくなった所で一気に貫いた。
「ひゃ、あ!あ!」
こんな抱かれ方は初めてで、目の前がチカチカする。喉がコクリと上下に動いた。
「今日はシンタロー総帥のお誕生日ですから。沢山気持ち良くなって下さいね。」
そう言って優しくシンタローの頭を撫でるのだった。
この後シンタローはマーカーの真の恐ろしさを知る事となる。






「シンタロー総帥ν」
「あんだよ。」
垂れ目のイタリア人ロッドがかけてくる。
コイツと関わるとろくな事にならないとシンタローは既に悟っていた。
変質者を見るようにジトリとロッドを見ると、パチン☆とウインクをされ、シンタローに何とも言い難い怒りが込み上げる。
眼魔砲を打つ準備をすると、ロッドが慌てて制止させる。
「もー!怖い子猫ちゃんだなー!ネ、プレゼント持って来たから機嫌直して!今日シンタロー総帥の誕生日でしょ?」
やたら大きな箱に、シンタローは眉間に眉を潜める。
「パンツとか変な服じゃねーだろーな!」
「まっさかー!ちゃーんとシンタロー総帥に必要なものだよ。」
アハハ☆と笑うので、ロッドを信じ、ドピンクの包装紙を開ける。
そして思う。

何で俺、ロッドを信じちゃったんだろ…。
ああッッ!俺の馬鹿!俺の馬鹿馬鹿ッッ!!

そう。中に入っていたのはイタリアジョークでは済まない、いわゆる“大人の玩具”ってやつで。
シンタローが呆然としていると、ロッドが後ろから顔を出す。
「ね?言った通りでしょ☆総帥絶対使うと思ってさー!」
この超笑顔のロッドにシンタローはキレた。
「眼魔砲。」
ちゅどーん!と至近距離からロッドに向けて眼魔砲をぶち込む。
そして、真っ黒になったロッドに貰った玩具を投げ付けた。
「ヒデー!シンタロー総帥!俺のあげたプレゼントをッッ!!」
「いるか!そんなモン!!」
怒鳴ったにも関わらず、ロッドはハハーン、と指を顎に引っ掛け笑う。
「な、なんだよ!」
余りの出来事にシンタローは身を引いた。
すると、ロッドは元気良くシンタローに顎に当てていない方の手でシンタローを指す。
「そーだよなー!コレ、俺のより小さいしなー!やっぱ、シンタロー総帥は大きいのじゃないとお気に召さない、か。でもコレ結構性能イイんだぜ?」
「………言うに事かいてそれか。」
苛々メーターがMAXを越え、シンタローの腕がぶるぶる震える。
「何なら今からする?」
「……ふ、ふざけんなぁああぁあ!!」
拳でロッドを殴る。
バキッ!と音がして、ロッドは数メートル飛んだ。
シンタローはプリプリ怒ってしまった、と・さ!!





「はーいはい!ご飯ですよー!」
シンタローの手にはデコレーションケーキのワンホール。
南国らしく、中身はマンゴーやら、パッションフルーツやら、色々なものが入っていて。
シンタローの腕の見せ所の見た目も、何処の一流シェフが作ったのかとみまごう物。
勿論味だって天下一品の保証済み。
「ワーイ!ごーちそう!ごーちそう!」
「わーうわう!わーうわう!」
日の丸扇子を両手に持ってパプワとチャッピーがルンタッタとシンタローの回りを回る。
シンタローはクス、と笑い、テーブルの真ん中にデコレーションケーキを置いた。
「む?」
真ん中にあるチョコのプレートにパプワは気付いたようで、それを指差す。
「シンタロー。」
「ん?どーした?パプワ。」
「コレ、なんて書いてあるんだ?」
そこに書いてあるのは“HAPPY BIRTHDAY”の文字。
「ああ。今日は俺の誕生日だからナ!」
誕生日位ゴーカにしても罰は当たんねーだろ。
「フーン。成人過ぎた癖にこんな事して楽しいのか?」
「ほっといて!!
ホラ、馬鹿言ってないで食え。」
ツッコミを忘れずしてから、ケーキを切り別ける。
勿論1番大きいのはパプワの分。
そして、オマケにチョコのプレートもパプワにやる。
戴きますをしようとしたら、パプワがツンツンと、シンタローのタンクトップを引っ張った。
「シンタロー。今日はお前の誕生日だから1番大きいケーキは譲ってやる。」
そう言ってシンタローの1番小さいケーキと交換した。
ぽわ、と心が暖かくなるのをシンタローは感じる。
そして、パプワの頭をグリグリ撫でた。
「じゃあ、この大きいケーキは俺が貰うナ。ありがとうパプワ。」
皆でいただきますをして、ケーキを食べる。
早食いのパプワはあっという間に平らげたので。
シンタローは又クス、と笑う。
「ホラ、パプワ。あーん。」
フォークにケーキを乗せてパプワの口に持っていく。
「子供扱いするナ。」
「プッ!…恋人扱いしてるんだヨ。」
そう言うと、パプワは目をつぶって口を大人しく開ける。
初恋はフルーティな味がした。





「シンタローはぁんνあんさんが今日誕生日だと聞いて、心友のわてが精一杯頑張ったプレゼント使っておくれやすぅ!」
「は?くだらねーモンだったら殺す。」
ウザイ奴が来たと言わんばかりにギロ、と睨み付けるがアラシヤマはめげない。
寧ろ気付いてない。
「わての愛を受け取っておくれやす~ν」
そう言って差し出したのはマフラー。
5月に!マフラー!!しかも手編み!!彼氏が誕生日に貰って1番重いと感じる手編みのマフラー!!よりにもよって!!
ラブオーラを出され、モジモジとし、頬を赤く染めるその様はただのアレで。
「シンタローはんの為に夜なべして作ったんどす!トージ君にも見てもら…」
「眼魔砲。」
燃えた。
可燃物なのでよく燃える。
アラシヤマの思いと共に消え去れ。灰になれ。
「嗚呼ッ!!わてのバーニングラブが!!」
「解ったから速やかに死ね。」
この馬鹿の為に貴重な時間を費やしたと言わんばかりにさっさと行くべき方向へシンタローはスタスタと歩いて行った。
「ク、ククク…。」
しかし、背中に黒いオーラが出ている、とシンタローは気配で解る。
しかもそれを出しているのがアラシヤマだと言う事も。
「こんな事でへこたれるわてじゃないどす!アッもしかして愛情の裏返し!?いややわぁ、もう、シンタローはんたら照れ屋なんどすから~」
「倒れろ。」
「マフラーの色が気に入らなかったんどすな?それならそうと言ってくれれば良おおしたのに!」
「人の話を聞け。」
「赤、青、黄色、どれでも好きな色を選びなはれ!」
そう言ってファンシーバックからババッ!とマフラーをシンタローに向かって投げる。
シンタローはミラクルダッシュをして逃げた。
「嗚呼ッ又一人ぼっち!!待っておくれやす~!!」
それでもめげずに着いてくるアラシヤマに、シンタローも勘忍袋の尾が切れて眼魔砲をぶっ放したのだった。










「おめでとうも言わせてくれまへんの…?」





「シンタローさん。」
今目の前に居るのは金と黒を混ぜた男が一人。
嗚呼俺はどうして。
いつか別れなければいけない人を愛してしまったのか。
「誕生日おめでとうございます。」
そうやって幸せそうに、本当に優しく笑うから。
心がきゅう、と苦しそうな音を立てる。
リキッドに抱かれて、乱されて、頭が真っ白になって。
そして、精一杯甘やかして、優しくされて、愛されていると実感させられて。
青い空と海の中、この南国の孤島で体も心も裸にされる。
「愛してます。シンタローさん。」

そんな事言わなくても解ってる。

「大好きです。他の誰よりも。」

そんなの俺だって…俺の方こそ。

小麦色に焼けた肌と肌が一つに溶け合う。
「ひ、ああ!」
苦しそうな声を上げてリキッドを受け入れる。
本来そこに入るべきではないソレを精一杯くわえ込んで。
「シンタローさん、大好きです。」
激しく腰を揺さぶられて、中に何度も出される。
愛する人を確認するかのように。
何度も、何度も。
「リキッ…も、や、やめて」
爪を立てられ背中に広がる爪の跡。
うっすらと血が滲む。
お互い離れたくないのにその事はどちら共言わない。
「ア、あ、も、ダメッ!!ン、――――ッッ!!」
びゅくり、と、何度目かの体液を吐き出す。
肩で息をしながら潤んだ瞳で見上げる。
今日だったら聞けるかもしれない。
言ってはいけない閉ざされた言葉。
「お前、さ。」
「ハイ?」
「何でそんなに嬉しそうなの?」
一瞬キョトン、とした顔をしたリキッドだが、すぐに解ったようで、又、ふわ、と微笑む。

「貴方と今一緒に居られる事が幸せなんです。」

ああ、そうか。
未来も過去も必要ない。
今が、この瞬間が大切なのだ。
その、最高のプレゼントを貰って、シンタローは幸せそうに瞳を閉じた。






「オイ、シンタロー。もうちょい足閉じろ。」
「これが限界だっつーの!」
ハーレムとシンタローは今風呂場に居る。
自室に着いているシャワールームのような小さいものではなく、大浴場のような広々とした家族全員が入れる方の風呂場だ。
まぁ、自室の風呂場じゃ狭くて、一人入るのがやっと。
背もガタイもイイ大の男二人が一緒に入れる程のスペースはない。
なので仕方なしに二人は…正確に言えばハーレムが嫌がるシンタローを引きずって風呂場に連れてこられたのだった。
「そんなに間が開いてたら零れるだろーが!もったいねぇ!」
「じゃー普通に飲まんか!こーの飲んだくれ!!」
ハーレムの左手には一升の酒。
恐らくは日本酒だろう。
それをシンタローのフトモモに並々とついでいる。
敏感な部分は既に立ち上がっており、酒を零さぬよう、きゅ、と締めているのが又なやましい。
恥ずかしさか、体制が苦しいのか、シンタローはブルブル震えている。
そんなシンタローを見て、ハーレムは舌なめずりをした。
旨そうな酒とシンタロー。
赤い舌を出して遠慮なく性器をしゃぶる。
「ひ!」
ブワッと鳥肌が立った。
酒で冷え、少し頭を下げていたソコが、ハーレムの赤い舌で硬くそそり立つ。
「ひゃ、あ!あ、あう!」
そして、酒が終わると、又注ぐ。
その繰り返し、繰り返し。
ちゃぷ、ちゃぷという自身をしゃぶり尽くされている水音がどうしても聴覚から脳に入り込んで興奮してしまう。
「今日はお前の誕生日だからな。我慢はさせねーよ。先に一回イッとけや。」
「ふ、ぐ!お、おじさ…ぁ、ああああッッ!!」
強くハーレムが吸うと、シンタローは呆気なく果ててしまった。
ビュク、ビュク、と、ハーレムの口内で吐き出されたシンタローの精子を飲み干し、裏筋を舌先で嘗めとる。
そして、シンタローを四つん這いにして既にヒクついている蕾に猛った己をねじこんだ。
「あ!あああッッ!!」
「―――ッッ…キツ」
ビリビリと電流がシンタローを頭の先から爪先までを襲う。
ハーレムにガッチリ腰をホールドされ、好き勝手に動かされる。
それをあがらう事も出来ず、シンタローはハーレムが差し出す快楽の渦へと手を伸ばすのだった。






「シンタローの誕生日を機会にマジック様、そして、サービス、ハーレムに話しておきたい事があります。」
改まった言葉使い。
ジャンの回りにはあの、嵐の四兄弟。(一名除く)
なのに、苺のワイシャツに便所サンダルの面持ちで、ジャンが正座をしていた。
その隣にはシンタローが凄い仏頂面でそっぽを向いている。
「どうしたんだい?改まって。」
「ジャン、その恰好素晴らしいよ。僕にはマネできないね。」
「ケッ!」
三人は多種多様な言葉を投げかける。
ジャンは、とびきりのスマイルでこう言い放った。
「シンタローと結婚する事にしました!」

ちゅどーん!!

ハーレムがいきなりジャンに眼魔砲を撃ったが、バリアを張られ奴は無傷。
それが又むかつく。

「本当かい?いやー、パパは賛成だよ!」
(夫婦というより二人とも私の愛人にしてしまえばいいんだしね。)

「そうかい。シンタローをヨロシク頼むよ。」
(同じ顔同士の情事もおもしろそうだし。)
笑顔で言うマジックとサービスに、ジャンは「ありがとう、ありがとう!」と、何故か握手を求める。
スキンシップのようだ。
「なーに呑気に、しかも承諾してんだ!馬鹿じゃねーの!?」
ハーレムがいくら言おうと、この兄と弟は聞く耳すら持たない。
苛々がつのり、シンタローの腕をグイ、と引き寄せる。
「お前はいいのかよ?一度コイツに殺されたんだぞ!?」
シンタローは虚ろな目でハーレムを見た。
いや、見てない。
ハーレムの方を見ていた。
ハーレムを通り越して、遠くの壁紙を見ているようだが焦点は定まっていない。
そして。
「なんか、もう、どーでもいい。」
「何でそんないきなり投げやりなんだ!まだ若けーんだからこれからもっとイイ人が現れるかもしんねーだろーが!」
「まあまあ義叔父さん。」
「だーれがテメーの義叔父さんだッッ!サービス!お前もコイツの義叔父になっちまうんだぞ!?」
「いや、サービスはサービスだよ。」
「だ、そうだ。」
ハーレムは、自分って、結構常識人なんだな、と、誰も味方のいない一族と一人の中でそう思ったのだった。






「ハイ、お兄ちゃん!」
渡されたのは肩叩き券。
「あ、ありがとうコタロー!」
満面の笑みでプレゼントを貰うが、シンタローの頭の中は、何故このチョイスなのだろう、と考える。
いや、別に肩叩き券が嫌な訳じゃない。
コタローから貰えるものなら何でも嬉しいのだから。
例え牛乳ビンの蓋だろーが、使い道の良く解らない小さい小物入れだろーが、何だって嬉しい。
だけど、何故肩叩き券?
俺って、肩凝ってるよーに見えるのかな?
「ね、いつでも使ってね、お兄ちゃん!」
満面の笑みで笑われて、シンタローは鼻血を垂らす。
鼻血を垂らしながら、コタローの機嫌を損ねないようにやんわりと聞いてみた。「すっごくお兄ちゃん嬉しいぞー!ありがとう、コタロー!…でも、何で肩叩き券なんだ?」
すると、コタローはやっぱりさっきの天使のような笑顔で答える。
「だってお兄ちゃんもう歳でしょ?そろそろかな?って思って。だって、浦飯幽助が13の時、お母さんの温子さんは29だったんだよ?お兄ちゃん、どっちかって言ったらお父さん寄りの年齢だって気付いたんだ!」
「コタロー、お兄ちゃんの心臓硝子だから。すぐ砕けちゃうから。寧ろ今の子幽遊白書知らないから。」
涙と鼻血を出しながらシンタローはコタローから顔を反らす。
ちょっとやり過ぎたかな?と、コタローは思う。
コタローとしては、涙ぐむ兄を見たかっただけだったのだ。
だから謝罪を込めてシンタローの広くて大きい背中に抱き着いた。
頬が体温で温かい。

「ごめんね、本当はこっちが本命のプレゼント。」
眉を困ったようにハの字にして笑い、ひらべったい包み紙を渡す。
鼻血をボタボタ垂らしながらシンタローは、その包み紙を貰い中を開けてみた。
そこには。
色とりどりのコタロー。
何処を見ても何処を開けても、コタローのオンパレード。
「気に入ってくれた?」
そう微笑まれ、シンタローも釣られて微笑み、
「うん!とっても。」
彼にとっては最高のプレゼントを胸に抱き、シンタローは鼻血を出し続けるのであった。










終わり






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