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 「あんさん、わての前では絶対泣きまへんな。ほな、つらい時は何処で泣いてはるんどすか?」
 情事の後、微かな夜明かりの中でアラシヤマは身支度を整えながら、ふと思い出したようにシンタローにそう聞いた。
 ベッドの中からシンタローは、
 「―――オマエだって、同じダロ?」
 と少し掠れた声で言った。
 「・・・アホなこときいてしもうたわ。かんにんどす」
 声が離れたところから聞こえてきたので、シンタローが寝返りを打ってそちらの方を向くと、ドアを開けて出て行くアラシヤマの背中が見えた。


 シンタローはベッドでまどろんでいたが、誰かの指が優しく髪を梳くのを感じていた。気持ちがよかったから、特に咎めずそのまま相手がしたい様にさせておいたが、ふと、指が止まり、首の辺りで彼の長い髪の毛を一つに束ねたので、目を閉じたままうっとうしげに手を払いのけ、
 「オマエ、何で戻ってきたんだ?帰れヨ!」
 そう言って、シーツに潜りこもうとすると、
 「・・・シンちゃん、大人になっちゃったんだねぇ」
 予想していたものとは違う声が上から降ってきた。
 「えっ?なっ、親父ィ!?」
 思わずシンタローが身を起こすと、
 「パパは複雑な気持ちだヨ・・・」
 ベッドサイドに腰掛けてシンタローを眺めているマジックがいた。
 「―――テメェ、なんでこんなとこにいんだよ!?鍵はッツ?」
 シンタローは、こんな時に絶対に会いたくない人物がすぐ傍にいたので、呆然とした後パニック状態に陥ったが、マジックは平然としていた。
 「何でって、ただ、パパは久しぶりにかわいいシンちゃんの寝顔を見ようと思って」
 「出て行けッツ!眼魔」
 「シンちゃん、今は夜中で周りに迷惑ダヨ?どうどう、落ち着いて」
 眼魔砲を撃つ寸前、マジックに抱きしめられたシンタローは暴れていたが、しばらくすると諦めたのか大人しくなった。
 「ほんの少しだけど、硝煙のにおいがするね」
 「いいから、さっさと離せヨ!」
 再び、シンタローはマジックの腕の中から抜け出そうと身を捩らせた。
 しばらくの間、マジックは何も言わずシンタローを抱きしめていたが、身を離し、
 「シンタロー。もし、奴がお前を裏切ったら、パパがいつでも奴を殺してあげるよ?」
 と静かに言った。
 「親父・・・」
 シンタローは少々不安気な面持ちで、冷たい表情のマジックを見つめた。マジックは取り繕っても無駄だと思ったのか、自分の表情が見えないように再びシンタローを抱き寄せ、ゆっくりと頭を撫でた。
 「大丈夫。私は、シンちゃんが望まないことは基本的にはしないからね」
 「・・・“基本的には”って、何だよソレ?」
 「うーんと、まぁ、そこは色々ということで!」
 ハハハと誤魔化すようにマジックは笑うと、座っていたベッドサイドから立ち上がり、
 「おやすみ、シンちゃん」
 そう言って、シンタローの額にキスをした。
 「あぁ。おやすみ、父さん」
 マジックが中々立ち去ろうとしないのでシンタローが訝しげにマジックを見ると、
 「えっ?シンちゃんからキスはしてくれないのかい?」
 とさも意外そうにそう聞かれた。
 「何考えてんだ!?するわけねぇダロ!!」
 「昔はしてくれたのになぁ・・・」
 シンタローが残念そうなマジックに向かって枕を投げつけると、マジックは片手で枕をキャッチし、「枕は大切にネ」と、シンタローに枕を軽く投げ返した。去り際、マジックは、
 「あっ、シンちゃん。あんまり奴をつけあがらせちゃだめだヨ!あれを見た瞬間、パパは思わず奴を始末しちゃおうかと思ったヨ」
 と言った。
 「?」
 「もしかして、気づいてなかったのかい?うなじのキスマーク」
 「あんの野郎ッツ・・・!!」
 マジックが出て行った後、シンタローは、持っていた枕を思いっきり床に叩きつけた。









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