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 ある日、キンタローが、グンマと共同開発をした装置の説明のため、シンタローの元を訪れようと総帥室に向かって歩いていると、丁度、総帥室のドアが開き、アラシヤマが眼魔砲に吹き飛ばされたところに遭遇した。
 「アイタタ・・・。シンタローはん、何もあんなに照れんでもええのに。まぁ、初々しくてかわいおすけど」
 後頭部をさすりながら、ブツブツ言って身を起こすアラシヤマに、
 「貴様、また、しょうこりもなくシンタローの気に障るようなことをしたのか?」
 と、キンタローが声を掛けると、
 「あぁ、キンタローか。言っときますが、今のシンタローはんは、非常――にッツ!危険どすえ?いくらあんさんがクラッときても、シンタローはんはわての恋人やさかい、手を出したら容赦しまへんからナ?ほな、わてはこれから任務がありますさかい、これで」
 そう言うと、アラシヤマは起き上がり、去って行った。
 (一体、何なんだ?)
 不審に思いながらもキンタローはドアをノックし、
 「シンタロー、入るぞ」
 と扉を会けると、そこには、少々目が潤み、顔が上気し、服装がいかにも慌てて取り繕ったような感じの新総帥が椅子に座っていた。
 「何だ?」
 とシンタローが言ったので、キンタローは装置の説明を始めたが、頭の中では別のことを考えていた。
 (なんだか、シンタローは、いつもより可愛い。いや、可愛いとはちょっと違うな。うーん、そうか!これは“艶っぽい”だ!!)
 キンタローは自分が的を得た表現を思いついたので、満足した。
 シンタローが、
 「立ったまま話すのも疲れるだろ?あっちに移動しよーゼ」
 とソファの方を指し、キンタローの横を通り過ぎようとしたが、キンタローは、
 「ちょっと待て、シンタロー」
 とシンタローの腕を取ると、自分の方に引き寄せた。
 「シンタロー以外のにおいがする。先程、この部屋から出てくるアラシヤマを見かけたから、これはアラシヤマの可能性が高い。となると、今日のシンタローが艶っぽいのは、アラシヤマのせいということになる!」
 キンタローは、原因の説明がついたのでさらに満足したが、黙ってそれを聞いていたシンタローは、いきなり、
 「眼魔砲ッツ!!」
 と、キンタローに向けて眼魔砲を打とうとした。しかし、キンタローがシンタローの手の上に自分の手を重ねると、眼魔砲のエネルギーが打ち消された。
 「シンタロー、何でも眼魔砲で片付けようとするのはよくないぞ」
 と言うと、少し呆然としていたシンタローは我に返ったようであり、すねたように、
 「最近、お前、前と違ってかわいくねェナ!」
 と言った。
 キンタローは、
 「かわいい方がいいというなら努力してもいいが、それは、無駄な努力というものではないか?」
 と、生真面目に返答すると、
 「イヤ、別にかわいくなる努力はしなくていい・・・。ただ、ちょっとあの頃が懐かしかっただけだ」
 と、シンタローはこめかみを押さえていった。
 「そうか」
 と、キンタローはあっさりと言い、
 「それでは、続きから説明をはじめるぞ」
 と言って、ソファに座り、説明を再開した。
 説明の後半、キンタローは、説明のために必要な資料の一部を研究室に忘れてきたことに気づき、シンタローに断って研究室まで取りに戻った。
 総帥室に帰ってくると、シンタローはソファで眠ってしまっていた。
 キンタローは、とりあえず自分が着ていた白衣をシンタローの上に掛けると、総帥室の書棚にあった本を持ってきてソファで読み始めた。
 時間が経ち、西日が窓から部屋に差し込むようになると、眩しかったのか、シンタローは目を覚ました。
 「あぁ、起きたのか?」
 キンタローが、本から目を上げ、シンタローに向かって声を掛けた。
 「えっ?今何時だ?俺、いつから寝てたんだっけ!?」
 「ほんの数時間だ。疲れていたんだろう。今日は特に予定がないと聞いていたから起こさなかった」
 シンタローは、
 「ありがとナ」
 と笑顔で言い、キンタローに白衣を返した。
 その笑顔を見て、キンタローは、(恋人でなくても、シンタローの中に俺の居場所はある。今はそれでいい)と思った。
 突然、シンタローは何やら思い出したらしく、
 「そういや、グンマから聞いたんだけど、お前、好きな子がいるんだって?どんな娘なんだ?教えろヨ」
 と、悪戯そうな笑顔で言った。
 キンタローは、当の本人にそう訊かれたので、少々複雑な気持ちで、
 「それはとりあえず秘密だ。今は恋愛がどうこうよりも、ただ、そいつの傍にいたい」
 とのみ、言った。








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