注意
このお話はパラレルなうえに貴族に関する知識もかなり適当です。
しかもマジックが好きな方はやめたほうがいいかもしれません。
それでもかまわないとおっしゃる方のみ下にスクロールしてくださいませ。
ガンマ侯爵家当主マジック。その息子シンタロー、コタロー。
次男故ルーザーの息子のキンタロー、グンマ。後見人の高松。
下の双子、一人はフランスで犬(仏語でシャン。惜しい!)とともに退廃的で優雅な生活。もう一人は世界不思議発見。ウソ。植民地の現地総括者として部下とともに大暴れ。
そんな生活にもある日陰りが訪れたのだった。
陽が翳るとき
「しかしあの伯父貴が倒れるとはな。」
寝室に近い一室の扉を開け、中に入って来たのはガンマ侯爵家の当主子息のシンタローと近々亡き父の家督を継ごうという従兄弟のキンタローであった。
「なんだかんだいってもう年だからな…まぁ風邪こじらせただけだしもう心配ねぇよ。」
しかし言葉とは裏腹にそういうシンタローの整った顔には明らかな不安と疲労が浮かんでいた。
「だいぶ疲れているようだな。」
軽やかな動作でシンタローの傍により、顔をよくみようと自らの顔を近づける。
確かに疲れていた。それなりになんでもこなしてきたつもりだったが、急な父の代行に重ねて毎日のようにやってくる顔も知らぬ親類縁者を名乗るもの達。隙あらば侯爵家の財産をこの若造からかすめ取ろうとしているだろう。父の容態も相まってここしばらくシンタローは安らげることがなかった。
「少し休め。お前まで倒れたらどうするつもりだ。」
「ああ…お前が来てくれて助かったよ。」
キンタローは珍しく弱気なシンタローに内心驚きながらも自らが淹れた紅茶を飲んだ。
「遅くなって済まなかった。すぐに駆けつけたかったのだが家督相続の準備やらで手間取ってな。」
「いや。そっちこそ忙しい時に悪いな。」
「かまわん。非常事態なんだ。」
「…お前はすごいよな。もう父親の後継ごうってんだからよ。当主ってのがあんなに大変だとは思わなかったぜ。」
「伯父貴の場合は特別だ。多方面でしかも強引に事を進めるからな、うちの公爵家に比べれば規模も大きいし敵も多い。お前に問題があるわけではない。…それより叔父貴達はまだこれないのか。」
そういうと年若い次期公爵は手元の紅茶をもう一口飲んだ。上質の茶葉の香りが周りを包み込み消えていく。
「サービス叔父さんは明日にはこれるみたいだ。ハーレムは一応連絡は入れたけど返事がねぇ。あいつのことだから返事もほっぽりだしてもうそこまできてるかもな。」
「あの叔父貴らしいな。」
シンタローはやっと笑みを浮かべ熱い紅茶のティーカップに口をつけた。
「あ~安心したら急に眠くなってきたぜ。…しばらくろくに寝てなかったしな。」
「もう夜も遅いからな。今日はもう休め。」
「…本当にお前がいてくれて助かった……お前だって忙しいのに……ごめんな…」
ああ
俺も本当に忙しかったよ。
俺の黙阿弥だとばれないように細心の注意を払って叔父貴たちを足止めして、親類たちに伯父貴が倒れたことを触れまわさせて、伯父貴つきの医者も俺の息のかかったヤツに代えさせた。
明日の朝には決着がついているさ。
キンタローは愉悦の笑みを浮かべると紅茶に混ぜた睡眠薬で深い眠りについたシンタローの髪を掻き上げてそっと口づけた。
第2章 逆襲 に続く?
2004/
BACK
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注意
この先にあるお話はマジ×ちみシンなうえに、シンちゃんがかわいそうなことになっています。
そういったものに嫌悪感がある方はそのままブラウザバックをお願いします。
内容を理解してそれでも読むというかたはそのまま下にスクロールなさってください。
あらしのよるに
小学校に入ってからちょっとおかしいなって思ってたの。だって普通の子は父さんとキスはあんまりしないんだって。してもほっぺとかおでことか。口は父さんと母さんがするものなんだって。
あと、お風呂もおトイレも父さんと一緒にはしないんだって。
でも父さんにきいたら「そんなことはないよ。みんなホントはしてるんだよ」っていってた。
パパのほうが正しいにきまってるよね。
その日は風がびゅうびゅう吹いてて怖いから早く寝たんだ。サービスおじさんがもう一人で寝れるからって僕にベッドをプレゼントしてくれたから、寝るのは嬉しくてたまらないんだ。父さんは鼻血と涙を流して一緒がいいっていったけど父さんが仕事で居ない時に一人で大きな父さんのベッドにいると涙がでてくるって話したら父さんはしぶしぶ了解してくれたんだ。
僕は眠っていたんだけど、なにかのいきものの気配とベッドのきしむ音がして、目を覚ましたんだ。
そしたら、そしたら僕の上に大きな黒い影があって、僕の肩をガッチリつかんで被いかぶさっていたんだ。僕はびっくりして体が動かなくて、そのうちに黒い怪物は僕のパジャマをビリビリにして僕の喉元にかぶりついてきたんだ。
僕は怖くて怖くて泣きそうになりながら心の中で(助けて父さん!!助けて!)って叫んだんだ。必死に体をよじって首を振って助けがくるのを待ったんだ。
でも暫くしても父さんは助けにきてくれなかったんだ。
だって
そ の 怪 物 の 正 体 が 父 さ ん だ っ た か ら !!
もう何がなんだかわからないまま口を塞がれて、体中嘗め回されて、あっという間に僕は貧り尽くされた。
恐怖で声もでない僕にいままでしらなかった(知りたくなかった)マジックという男の雄性が無遠慮にたたきつけられて、それ以降はあんまり覚えてない。
ただ怖くて、大きくごつごつした手のひらが肌に触れてくる度に気持ち悪くて涙がでた。強烈な圧迫感と痛みが体中をものすごい勢いで駆け回って僕の意識は遠のいていったんだ。
意識がなくなっていくなかでこれはきっと夢なんだって思った。
目が醒めたら僕はちゃんとパジャマを着ていて、大好きな優しいパパが「シンちゃんおはよう」っていってドアを開けてはいってくるって。
信じてたんだよ。
翌朝目を覚ましたらやっぱり僕はちゃんとパジャマを着ていて、ドアをノックする音が聞こえたよ。
大好きな優しいパパが笑ってる。
「シンちゃんおはよう。昨日はごめんね。」
「今夜は優しくするから。」
2004/
BACK
「知っての通りだが、裏切り者のシンタローによって秘石が盗まれた。
この中から刺客として秘石とシンタローの奪還をしてもらう。」
なんて茶番な
決算前夜のその前夜
「勿論シンタローは裏切り者だ。よってその生死は問わない。」
緊急に総帥命令で呼び出されたのは自分と親友と数人の同期生たち。
勿論言葉通りに秘石と一緒に彼の溺愛する息子の死体を差し出そうものならその場で消されるのは明らかだ。
名乗り出る者がいない沈黙のなかトットリは密かにため息をついた。
とんだ貧乏クジだ。
仮にもNo.1の実力をもつシンタローにこの中の誰も敵うはずないのだ。
この傲慢で冷酷な支配者ははなからそんなことは期待していない。
周りを見ればわかる。皆仕官学校や部隊でシンタローに関わったことのある者たちばかりだ。
この中の人間はたぶん本気でシンタローを殺せはしない、しかし同時にシンタローもこちらを殺せない。
シンタローはそういう男だ。ここにいる者達にできるのはかつての仲間としてシンタローに刃を向けることだけだ。
それは同時に任務失敗を意味する。敗北者を団は許さない。
自分たちはシンタローを追いつめるメッセージ。
シンタローが団に帰らなければかつてシンタローと背中を合わせに戦った仲間達は哀れな敗北者となって消される。
捨て身のメッセンジャーの一番手など誰もなりたくはないだろう。
一番生きて帰れる確率が低い。いや、そもそも確率は最初から0なのかも知れない。
この膠着は長引く、トットリはそう思って二度目のため息をつこうとした。
「オラがいきます。」
すぐ真横から聞こえた声はトットリの思考を止めるのに十分だった。
ミヤギの部屋はトットリと同じだ。望めばひとり部屋も可能だったがあえてそれはしなかった。
「………いくだらぁか。」
「おぉ。明日の朝には出発だべ。」
ミヤギはこちらを振り返らずにいそいそと己の武器や物資の準備をしながら明るい声で答えた。
手を休めずに独り言にしては大きく、不自然に明るい声が響く。
「…すっかしシンタローも馬鹿だべな~。ガンマ団に逆らうなんて。」
「オラの真の実力をみたらビビってすぐさま団に帰ることになるべ。」
「おめぇ以外には明かしてねぇこの生き字引の筆の威力に驚く顔が目に浮かぶな。」
「…………ミヤギくん。」
絞り出せたのはそれだけ。
「あっという間に秘石とシンタローを連れ戻して大手柄だべ!
トットリ、オラのほうが大出世したらオメェはオラが面倒みてやるから心配すっな。」
「ん~この仙台銘菓萩の月ももっていくべきだか?いや柿の種も捨てがたいべ。」
「…ミヤギくん。」
「ん?なんだべトットリ。」
「…………行かないでくれっちゃ。」
いったら帰ってこれないのだ。
死ぬかもしれないのだ。
「……………わかっとるべ、トットリ。」
「でも誰かが必ず行かなきゃならねぇべ。もしかしたら本気で命を狙ってるヤツもいるかもしんねえ。そんなやつらにシンタローを任せらんねぇ。」
「オラが絶対シンタローを連れ戻す。」
ミヤギの声はしっかりとしていた。
いつもそうだ。
ミヤギくんは前向いてばかり。後ろにいる自分になど構ってはくれない。
こんなに近くにいるのに。
こんなに想っているのに。
「…でも、もし…」
「ん?」
「……もし、ミヤギくんがピンチになったら、今度は僕がいくっちゃ。僕ら二人がそろえば無敵だっちゃよ。」
だったら自分は。
自分は絶対に後ろを離れない。
いつだってミヤギくんを支えられるように。安心して前を向けるように。
「おう!そんときは頼むべ!」
やっと振り返ってくれたミヤギくんの笑顔はまぶしくて、僕は思わずミヤギくんを抱きしめた。
「必ず帰ってくるっちゃよ。」
「………おう。」
「僕たちはベストフレンズだっちゃ。」
2004/
BACK
何でも知りたいお年頃
休日にくつろいでいる俺様と紳士
できたてのクッキーをかじりながら、一人は読書、一人は自作クッキーの品評中。
流れる時は緩やかに。
「…シンタロー。『あつかうく』とはどういう意味だ?」
「は?!あつかうく?」
「そうだ『扱く』だ。」
「そりゃ『しごく』って読むんだよ。」
「シンタロー。」
「今度はなんだ。」
「『男女男る』というのはどういうことなんだ?」
「…だんじょだ…?…あ─…」
「……キンタロー。」
「なんだ。」
「……お前は何を読んでいる。」
「マジック伯父貴から教養を深めなさいといわれて貰った『パパとkiss in the ガンマ』だ。続編もあるぞ。」
「今すぐ燃やせ───────!!」
2004/
BACK
草木も眠る丑三つ時、世界最強の殺し屋集団を一代にして制裁集団に変えたカリスマ総帥の寝所に忍び寄る黒い影…
「んっふっふ~今夜は絶好の夜這い日和だねぇ。」
ときめき☆midnight
夜に日和はどうかと思うのもそっちのけでこれから始まるであろう息子とのめくるめく時間におピンク妄想を繰り広げるスーツもピンクなマジック元総帥。
音も立てずにスキップでようやく目的の寝室に入った。視線の先にはキングサイズのベッドとシーツの膨らみ。
(こういうシチュエーションもそそるねぇ…)
寝顔をじっくり見ようといそいそとベッドに近づき、シーツに埋もれた髪を手にとる。
「…フフフ。パパの大好きなこの黒い……」
あれ?
「黒…くなくて…これは…金髪?」
そんなはずは!と、頭までかかったシーツをはぎ取るとそこにいたのは
(キッ、キンタロ─────!!)
そう、そこにはシンタローではなく従兄弟のキンタローがすぴすぴと眠っていたのだった。
(…どういうことだ?シンちゃんはいったいどこに?)
落ちついてよく見るとキンタローの横、マジックのいる方とは反対側に艶やかな黒髪を散らした愛しのシンタローがキンタローに寄り添うように寝ていた。
しかもシーツからのぞく肌は何も身につけてない。
「……もしかして、私はとんでもない現場に遭遇してる?」
ワナワナと震える体を抑え、目を凝らしてよくみればキンタローもシーツからみえる上半身に何も身につけていない。
これって…
これって……!!
「おのれキンタロォォォォ!!!私の可愛いシンタローに何をしたぁぁぁぁぁぁ!!」
マジックのあまりの怒りに秘石眼が煌めき、部屋が激しく揺れた。
「……ん…なんだ?…何が起きた?」
その衝撃で目を覚ましたキンタローをマジックが恐ろしい目付きで睨みつける。
「きぃ~ん~たぁ~ろぉ~そうか…お前が私の最大の敵だったのか……」
なんだかどこかで聞いたことがあるような言ったことがあるような台詞に眉をひそめながらも、どうしてそんなに怒っているのかとか、そもそもなんでマジック伯父貴がここにいるのかとか、とにかくいろいろなことが一気に押し寄せてキンタローは困惑した。が、なんとか言葉を絞り出す。
「…何をそんなに怒っているんだ?」
「この後に及んでまだとぼける気か…いい度胸だな。」
両眼にに凶々しい青い光を秘めながらドス黒いオーラを纏ってマジックが近づいてくる。流石にマズイと思ったところで隣りで眠るシンタローがようやく起き出した。
「…なんだ…うっせぇな……………親父…?」
「シンタロー…どいていなさい。お前とは後でゆっくりと話をしようじゃないか。」
そう言うマジックの顔は笑っているが目が完全に据わっている。なんだなんだなんなんだ!マジックの尋常でない様子に一気に目が醒める。とにかく止めなければ血みどろの争いになりかねない。シンタローはベッドから飛び起きて上半身を起こしただけのキンタローとマジックの間に立ちはだかる
「……………」
「………なんだよ。一体どうしたってんだよ。」
「………シンちゃん…パンツはいてるの?」
「はぁ?!」
確かにシンタローはいつものバジャマ代わりの黒いボクサーパンツを穿いている。
ベッドから這いでてきたキンタローもよくみれば下はパジャマを着ている。
「……………ひょっとして…パパの勘違い?」
「なにがだよ!!!」
「いっやぁ~パパったらお前とキンタローが一つのベッドに枕が二つで寝てるもんだからパパの知らないうちに破廉恥な行為に及んだのかと思っちゃった☆」
「はぁぁぁぁぁ?」
「しかしどうしてキンちゃんがここにいるんだい?そんなだからパパ誤解しちゃったよ。」
そんなマジックの疑問に今まで黙って二人のやりとりを見ていたキンタローが口を開いた。
「怖ろしい夢をみたんだ。」
「俺が研究棟の仮眠室で寝ていると高松が寝顔を見にやってきて鼻血を大放出するんだ。そして余りに大量の鼻血はそのまま仮眠室を埋め尽くし、しまいには研究棟すべてが鼻血によって浸水し、沢山の死傷者を出す大惨事になる。そんな夢をみた。俺はその夢が余りにも現実に起こりそうだったので怖くなって本邸のシンタローの部屋で寝ることにした。」
「屋敷にあるキンタローの部屋はすでに3日前に鼻血まみれになって今使えねぇだろ?だからだよ。」
「なぁんだそうだったのか☆ハッハッハ。まぁこんな誤解もたまにはあるよね~」
「ね~」なんてかわいらしく首をかしげても、この乾いた雰囲気はどうにもならない。
「………今度はこっちが質問なんだけどよォ。なんであんたが俺の部屋にいるわけ?」
「それは勿論シンちゃんの可愛い寝顔を見て、ついでに襲っちゃおうかな~なんて…」
「ほぉぉ~……」
「あれ?シンちゃんもキンちゃんもどうしたんだい?そんな怖い顔して─────」
「「Wガンマ砲───────────!!」」
夜空に新たな星が生まれたのを確認するとシンタローは無惨に穴のあいた自室を見回した。
「ったく、しょうがねぇなあ~この部屋も駄目になっちまったじゃねえか。」
「グンマの処にいくか?」
「…そうすっか。」
そうして夜は更けてゆく。
しかしこの時マジックは不覚にも気がつかなかった。
いくらなんでも野郎二人が肌を寄せ合うかとか、
「この俺が、いいかこの俺ともあろうものがマジック伯父貴にバレるような場所で犯るとでも思うのか?」と呟いていたことに。
2004/
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