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冬の灯










「ああ雪だねぇ」

そんな言葉に、キンタローはふっと後ろを振り返った。
そこには穏やかな笑みを浮かべたマジックの姿。
視線は、キンタローの向こうにと向けられている。
気配に気がつかなかった。
それは、彼が消していたせいなのか自分が外の風景に集中していたのかわからなかったが、おそらくその両方なのだろう。
いつも二人の息子にべったり、なマジックがひとりなのは珍しいかもしれない。



「気づかなかったな。どれくらいから降り始めたの?」
「……いや俺も、降ってから気づいたんで」


そっか。


キンタローの言葉に小さく返したかと思うと、マジックはすでに開いている窓から顔を出す。
遥か上も下も高く遠く。
雪が、どこに消えていくのか良く分からない。



「積もってるのはさすがに見えないか」
「ええ……」
「ずっと雪見てたの?」



キンタローの隣。
静かに佇むマジックは、楽しそうに外を見やっている。


夜の闇の中、落ちてくる雪はただただ白く。
ほわりと浮かぶような淡い明かりにも見えた。
冷たい空気が気持ちいい。
硬質で、清涼なこの空間がとても心地が良かった。



「……これが、雪なのかとおもってな」
「初めてだよね。どう?雪の感想は」
「空中の塵等を核にして雪はできる。決して綺麗なものではないはずだ」
「ま、そうだよねぇ」



キンタローの淡々とした言葉に、マジックは苦笑するでもなく肯定した。
理屈はすべて知っている。
けれどそれは知識で知っているだけで、キンタローの感情ではない。



「けどどうしてだろう」
「ん?」
「綺麗だと、思うのは」



そういうキンタローの視線は、すでに雪に向けられていた。
マジックもそれに習って空を仰ぐ。
あとからあとから落ちてくる雪。
途切れる事のないそれをみていると、まるで自分が吸い込まれそうな感覚に陥ってしまう。


全てを覆い尽くす白。



それはどんなものの上にも、等しく降り積もって。




「だって、綺麗だからね」
「………ああ」
「理屈よりもね、目で見て感じることのほうが正しいときもあるんだよ」



はぁっと、吐いた息が白くなって闇に溶け込む。
もう一度大きく空気を吸い込んで、マジックはキンタローに向き直った。




「私も綺麗だと思うよ、雪」




そう微笑むマジックに、キンタローも僅かに表情を緩めた。
いつもよりぎこちないと感じるそれに、マジックはそっと手を伸ばす。




「冷たいね。そろそろ入ったほうがいいかな」
「……もう少し、」
みていたい。


キンタローのその言葉に、マジックは少しだけ眉を寄せたがそれでも云とうなづいた。



雪の降る音。
確かかつての部下がそんなことを言っていただろうか。
マジックにはあまり分からなかったが、今居る空間が雪に支配されている事だけはわかった。
静かに降り積もる。
唯一の音源である時計の秒針も、ともすれば聞き逃しそうになるくらいに雪に引き込まれて。


ふっと、時計を見やるともうその時刻になろうとしていた。
カチリと音がなるのに改めてキンタローに向き直った。



「あけましておめでとう、キンちゃん」
「……あけまして、おめでとう」



マジックの言葉に、キンタロー反射的に返した。
それにマジックは満足そうに笑う。



「やっぱり一年の初めの挨拶は大切だよね」
「あまり変わらないと、思うが……」
「気分の問題だよ。ねぇキンちゃん」



窓を閉めながら、マジックが笑う。
暗い部屋の中。
それでも雪明りにマジックの表情は見て取れた。

穏やかな人。
片割れである彼とはまた違う、位置にいる。

父も。
多分好きだったのだろうと。

あの短い時間で。



「シンちゃんも、この雪見てるかな」



そういうマジックに、キンタローは頷いた。
そんな、冬の日。










-------------------------------------------------------------


元日記SS。
パプワでマジックさんとキンちゃんです。
実家に帰る年始に関する小説でした。
告知していかなかったので、知っている方全然いなそうな一品。

まとめきれてないのはいつものこととして。(え)
この二人のコンビが割合好きだったりします。
ルーザー語るのは外せませんし!(語ってないし)
シンちゃんがらみでもね!
キンちゃんと話してると総帥がふっつーにお父さんするこの不思議。(え)

06/04/05(06/01/03)

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「髪の色が違っても、秘石眼でなくともお前は私の息子だ」





ありがとう。



あの時俺は本当に嬉しかったんだ。

だけどそのことは未だに言えずにいる。

あれからずいぶん経ってしまったから、今更言うこともできないってこともあるけど、この先、落とすことも、拭うことも出来ないであろうと思われる染みが心にしみ込んでしまっているから。

マジックが俺の本当の親でないどころか、俺には産みの親すらいない。それはやっぱり悲しかった。存在意義を失くしてしまったような気すらした。それだけじゃない、キンタローやグンマの人生を自分が大きく変えてしまった。それが悔しい。キンタローなんて24年間、怒りと悲しみしか知らなかった。もしかしたら、その感情の名前すら知らなかったのかもしれない。グンマも入れ替えられたことがなければ、親父の愛を一心に受ける筈だったのに。俺ばかりがいい思いをしてしまっている。

 あの島から帰ってきてから、ずっと心に引っかかっていたことだった。その引っかかりにいち早く気づいたのは従兄弟のグンマだった。いや、実際は親戚でもない。

「シンちゃん、どーしたの?最近元気ないよ?」

「そうか?」

上手く笑えない。そのことを忘れる為と、ガンマ団総帥成り立てで仕事ばかりで疲れていたこともあるのだろう。

「そうだよ。いつもぼーっとしちゃってさ。何かあったの?」

そんなにぼーっとしていただろうか?自覚はない。でもこいつが言うならそうなのであろう。

「何もねぇ・・けど・・」

「けど、何?」

言ってしまおうか。こいつに言ったらすっきりするだろう。だけど、言えるわけがない。考えているとグンマが顔を覗き込んでくる。

「シンちゃん?」

言葉がでない。

「シンちゃん、あの島であったこと気にしてるの?」

ズキ。心臓が痛い。心が痛い。心臓はやはり心でもあることを知らされる。

「ごめん・・」

「それは僕のプラモを壊したこと?それともシンちゃんが今、ここに存在こと?」

「どっちもだ」

グンマは微笑った。

「プラモのことは謝ってほしいけど、その次に言ったことは謝る必要ないよ」

「でも・・!!」

「でももかかしもないよ。シンちゃんが謝ることなんてないじゃない。」

「親父を取っちまってる」

少し間が空き、

「そうでもないよ」

グンマは笑った。遠くを見ながら。

「おとーさまは僕のこともコタローちゃんのことも大切にしてくれているよ」

その後に「シンちゃん程じゃあないけどね。」と言って。笑った。

何故?何故、そんなに笑えるんだ。悲しくないわけがないのに。

「グンマ・・・」

「まぁ、シンちゃんはシンちゃんで、色々大変じゃない」

「何が?」

「毎日のおとーさまの好き好き攻撃とか、夜の相手とか」

「グンマ!!」

顔が下から赤くなっていくのがわかる。

「そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない。本当のことなんだからさ」

「本当って・・・お前ねぇー」

「じゃあ違うの?」

グンマが意地悪そうにニヤニヤと笑っている。

「何かお前だけは敵に回したくないな」

「何で?でも、僕がシンちゃんの敵に回ることは絶対にないから大丈夫だよ」

「何でだよ」

「だって僕、シンちゃんのこと好きだもん」

グンマはニコニコと笑って言った。

「シンちゃんは?シンちゃんは僕のこと好き?」

一瞬、シンタローは驚いたような顔を見せたが、直ぐに優しく笑って言った。

「あぁ。お前は大切な従兄弟だ」

「ちぇ、やっぱりシンちゃんは好きとは言ってくれないんだ~おとーさまにも言ってあげないの?」

「言えるか!おめぇらが言いすぎなんだよ、ったくそーゆうとこはお前、マジックにそっくりだぜ」

「えー素直なだけだよ。シンちゃんこそ素直になってあげなよ」

「俺はいつも素直に嫌がってる」

「も~、素直じゃないんだからー。そう言えばさっきの話キンちゃんに言ったの?」

「いや、お前が初めてだ」

「言うの?」

「どうかな・・・あいつに散々嫌われてたからな」

「きっと、僕と同じこと言うと思うよ。だってキンちゃんもシンちゃんのこと大好きだもん」

「俺がどうしたって」

カツカツと規則的な音が聞こえてくる方を向いてみると、そこには白衣を纏ったキンタローがいた。

「あっ、キンちゃん。ねぇねぇキンちゃんもシンちゃんのこと好きだよね?」

「当然だ」

「ねっ?」

だから言ったでしょ?みたいな顔をグンマがしている。

「何でそんなことを聞く」

「シンちゃんがね~キンちゃんに嫌われてるんじゃないかって心配してるんだよ」

「お、おいグンマ!」

「嫌う?」

キンタローが少し考えているような顔をする。

「あの時のことを気にしてるならすまなかった」

キンタローが頭を下げる。

「なっ、何でお前が謝るんだ、頭上げろ。謝るのは俺の方だ」

キンタローが頭をあげる。

「24年間・・・お前に気づいてやれなくてごめん」

キンタローが驚いている。だけど少し微笑った。

「何を言っている、俺はお前を一度殺してるんだ。お互い様だろう・・それに俺たちは従兄弟だろ」

「だって、シンちゃん。キンちゃんは怒ってないし、お腹すいたって!」

「確かに減ったな」

時計を見ると既に12時を廻っている。

「じゃあこれから3人で飯でも食うか!」

「うん!」

グンマが明るく答える。

「ああ」

キンタローも頷く。

グンマがキンタローの腕をとって歩き出す。2人の背中を見ながら、俺は小さな声で言った。

「ありがとう」

2人には聞こえないような小さな小さな声で。

「シンちゃん何やってるのーおいてくよー」

「おう!」

2人の元へ駆け寄る。

「シンちゃん、キンちゃん、僕たちはこれからもずっと一緒だよ!」

「当たり前だ」

「ああ。一緒だ」

3人で肩をならべて歩き出す。

今日の昼食の話をしながら。



              End



従兄弟’zのお話であります。これは学校でふと浮かんで授業中にひそひそと書いたものです。でも最初はマジシンを書く気だったのですがいつの間にかこの3人になってました。しかも打ち込んでる最中にキルラブの話を思い出したため微妙に最初に考えたやつと変わっています。これを書いてて気づいたことは、グンマがいると話を進めやすいってことです。きっとこれからグンマの出番が増える予感です。(2006.2.18)

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 (俺はどうしてこんな所に隠れてしまったのだろうか……)

 今、ハーレムはシンタローの部屋のクローゼットの中にいる。

なぜ、こんな所に隠れてしまったのかと言うと今から10分ほど前、金目のものを探してシンタローの自室に入り、漁っている途中でこの部屋の主であるシンタローが帰って来たことに気づいた俺は、普通に出て行けばいいものの、この時は何を思ったのかクローゼットの中に隠れてしまったのだ。更に今、出るに出られない状況に置かれていた。様子を窺おうとクローゼットの隙間から外を覗くとシンタローは疲れているのか真っ赤なブレザーを脱ぎソファーの上に置き、シャツとパンツ姿でこちらに歩いてきるのが見えた。

(やべぇな、開けられたら見つかっちまう)

ところが、シンタローはクローゼットを開けず、クローゼットの前に置いてあるベッドに横になった。

(あぶねぇ、あぶねぇ)

ホッとしたのも束の間、ハーレムはあることに気づいてしまった。それは、シンタローのアレが立ち上がっているのが目に入ってしまったのだ。

(マジかよ……あれか?シンタローの奴、疲れマラってやつか?)

その時、シンタローが起き上がり周りをキョロキョロと見渡し、誰も居ないことを確認すると手をトランクスの中に滑り込ませた。

(やべぇって……俺としては嬉しいけど……)

見てはいけないと思いながらもつい凝視してしまう。こんなシンタローを見ることは滅多にない。いや、一生かけてもないかもしれない。あの俺様で、頑固なシンタローが自分自身の手で、自分のそれを扱いている。シンタローの息づかいが板越に響いて妙にリアルで官能的に聞こえてくる。ここで出て行って襲ってしまおうかとも考えたが、もう少しこのいつもと違うシンタローを見ていたいと思った。

 しかし、そんな考えはシンタローの発した一言で覆された。

「ハ……レム」

思い切りよくハーレムはクローゼットの扉を開け、目を丸くし驚きのあまり言葉を失っているシンタローのもとへ行き押し倒してキスを奪う。

「なんでお前が…んっ…いるんだよ」

シンタローが問いかけるがやめてやらない。あんなに可愛いことを言われてやめられるほど出来た人間ではない。深く動物的なキスを続けながらシンタローのシャツのボタンに手を掛ける。全部のボタンを外し、開放してやる口唇。

「おい、なんでお前があんな所から出てくんだよ!もしかしなくても……見てたのか!?」

高揚し紅く染まった頬。濡れた口唇。

 潤んだ瞳。それは羞恥に耐えられなく泣きそうな眼。

 そんな顔を見せられればもっと見たくなってしまう。シンタローの羞恥に歪む顔が見たい。これはサドだろうか?だがきっと男なら好きな奴の泣き顔を見たいと一度は思うに違いない。だからこそはっきり言う。

「見てたよ」

「何で!?何で……」

涙を浮かべるシンタローのまぶたにキスを送る。

「なぁ、今すぐヤリしたいんだけど」

ハーレムが不敵に笑う。この自信にあふれた顔が好き。ハーレムの声が鼓膜に響く。

「や…だよ」

精一杯の抵抗。だが相手は全て知っている。俺の心の中までも。

「お前に俺は拒めない。」

そう言ってつい先ほどまで扱っていたソレをスッと撫でた。

「うわぁ…」

慌ててハーレムの手を止めようとする。だけどそんなのはお構いなしにハーレムの自分よりも少し大きな手が優しく愛撫する。

「やめろって…」

「やめない」

シンタローのソレは握られたまま、いままで何度したのかわからないキスをする。

今までキスだけだった。この男が。今考えてみるとこの男の優しさだったのだろうか。それとも、マジックへの恐れだろうか。

「誰のこと考えてやってたんだ?」

ハーレムが口元を緩め、こちらを真っ直ぐ見る。

「誰でもいいだろ」

こいつは分かっているのに聞いてくる。どうしても俺の口から言わせたいらしい。だから言ってやらない。

 それがこいつを喜ばせるだけだと知りながらも。 
      
         続く→ 
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今、シンタローはガンマ団にある資料室で次にお仕置きをする国について調べていた。一段落ついたところに資料室のドアが開く音がした。シンタローが振り返って見るとそこにはつい最近、両思いになったハーレムが立っていた。

「何か用かよ。」

シンタローは緊張していたがそのことをハーレムにバレないように必死だった。両思いだとは言え緊張する。いや、こんな仲になる前なら緊張などはしなかっただろう。両思いになったからこそ、緊張してしまうのだ。

「ん``~今ヒマか?」

「暇といえば暇だけど?」

「散歩にでも行かないかなぁ~と思って。」

「散歩かーあんたが行きたいって言うなら行ってやってもいいけど~」

シンタローは精一杯、自分らしい言葉をハーレムに向けた。だが内心は言葉では表せないくらい嬉しくて仕方がなかった。口元が緩みそうになるのを抑えながらハーレムの後をついて行った。

「しかし、急にどうしたんだ?あんたから誘ってくるなんて珍しいじゃん。」

シンタローが不思議そうな顔で見てくる。

「ちょっとな。まぁいいからついてこいや。」

「どこ行く気だよ」

「秘密。見てからのお楽しみってやつだ。」

そう言ってハーレムはどこに行くのかを教えてくれない。

「乗れ」

「散歩って・・・車使うのかよ」

「まぁな。俺が運転してやるからありがたく思え」

「なんかコェーな。マジでどうした?」

「んだよ、行かねーのか」

ハーレムがムッとしている。実際、俺は誘われて嬉しいから、断るわけがない。

「悪かったよ、行くって」

普段自分から謝ることのないシンタローにとって、すぐに謝ったのは奇跡に近い。

車に乗って、走っている間はグンマのどうしようもない発明のことや、マジックの無駄なファンイベントなどの愚痴を言ったりと、楽しい時間が過ぎていった。しばらく車で走って(と、言っても20分くらい?)途中、林のようなところで止まった。

「ここか?」

こんな所に何かがあるとは思えないが一応聞いてみる。

「ここから少し歩くが、まぁ、いい運動になるだろ」

そう言って、ハーレムはスタスタと林の中へ入っていく。

「ちょ、待てよ、ったく」

仕方ないのでシンタローはハーレムのあとをついていく。

「お~い、まだ着かないのかぁ?つうか、どこに連れて行きたいわけ?」

ここは林の中だ。道が舗装されているわけがない。そんな獣道のような所をひたすら歩かされていた。

「もうちょっとだから我慢しろ」

何故かハーレムは笑いをこらえている。

「何笑ってんだよ」

「いやぁ?別に?」

「別に?っじゃねぇ!なんだよ、一人で笑ってんじゃねぇ!」

元々、俺様な性格のシンタローがわけの分からないことで笑われて黙ってるはずがない。

「う~ん、どおすっかなぁ~」

ハーレムはすごく楽しそうだ。まるでライオンの子供が狩りの練習に与えられたウサギとじゃれている時のような顔をしていた。

「んだよ、さっさと言えって」

ハーレムは少し考えてから実にハーレムらしいことを言った。

「キスしてくれたらいいぜ?」

「なっ、バカか!もういい!」

シンタローは恥ずかしさを隠すために怒るしかなかった。いつもそうだ。本当はキスくらいしてやってもいいと思っている。むしろこっちが頼みたいくらいだ。だけど、そういうことを言ったりしたりするのは恥ずかしい。だから怒る。その繰り返し。これはもう自分では治すことは不可能だろう。

 赤くなって怒っているシンタローを見て、ハーレムは楽しんでいる。そのことに、シンタローは気づいているのだろうか。くくっ・・と、またハーレムが笑って、両手を挙げて『降参』のポーズでシンタローに謝った。

「わかったから、怒るなって。ちょっと思い出したんだよ」

「何をだよ?」

「おめぇーが小さい時に一度だけ、兄貴に頼まれてお前をお守りしたことがあるんだよ」

「お守りだと?」

「覚えてないか?まだ3つくらいだったもんな」

お守り・・・そんなこと・・

「あっ」

あったかもしれない。親父とお袋が2人でなんか偉いやつのパーティに出るとかなんかで留守番させられた記憶がある。

「思い出したか?」

「あぁ、薄っすらと。だからなんだって言うんだ」

「あの時お前、俺の後くっついて来て離れなかったんだぜ」

「はぁ!?俺が?冗談だろ?」

「うそついてどうするよ。そんで今おまえが後ろついて歩いているのを見て思い出したわけ」

認めたくはないが、どうやら本当のことらしい。

「あっそう。俺の記憶にはないな。あんたのことで覚えてるっていったら、4歳の誕生日にプレゼントの変わりに強烈な右ストレートと、変なリーゼントのパンチを貰ったことぐらいだよ」

シンタローは嫌み混じりで昔のことを語った。

「あれは、お前を男にしてやったんだろうが」

「4歳児にカツアゲなんてさせてんじゃねぇーよ」 

「・・・・・・」

流石のハーレムも返す言葉がみつからないらしい。こういう時、何だか嬉しくなるのが人間だ。シンタローは勝ち誇った顔をハーレムに向けた。そんなことを話しているうちに、先に光が見えてきた。走って抜けると、光が目をさして痛い。二人とも手を目の上に翳している。そして、目の前に広がっているのは大量の向日葵。

「ひ・・まわり?」

そう。あたり一面自分たちとたいして変わらない背の向日葵がサンサンと日を浴びて自分たちを迎えてくれている。

「これが見せたかったのか?」

照れくさいのかハーレムはナナメ上を見ながら、ほほを人差し指でかいている。

「なんていうか・・・向日葵って元気でそうじゃん?」

この男からこんな言葉が出てくるとは予想外だ。いや、花を見せてくれた時点で卒倒ものだ。

「ね、熱でもあんのか?」

そうだとしか思えない。だって、この男が花だぜ?酒と馬が好きなこの男が。

「熱なんかねぇよ!あーやっぱやめときゃよかった」

ハーレムの顔は真っ赤だ。

「ばーか、照れんなってーサンキュウなっ!」

シンタローは最上級の笑顔を見せた。

それを見てハーレムも小さく笑う。心の中に安堵の色が広がる。

「お前はいつもそーやって馬鹿みてぇーに笑ってろ」

そう言ってシンタローの頭を撫でる。

「なぁ・・・」

「ん?」

ぐっと、シンタローはハーレムの襟を引き寄せる。

「?!」

沈黙

シンタローはハーレムにキスをした。

「な、なんだ?」

「御礼・・・みたいなもん」

シンタローは相当恥ずかしいらしく下を向いてしまった。

ハーレムがまたシンタローの頭を撫でて、顔を上げさせて優しくキスをする。

「どういたしまして」

ハーレムはシンタローの手を取ってもと車のあるほうへ歩いていく。このとき、いつもなら離せとわめくシンタローが静かについてきたのがハーレムは妙に嬉しかった。







act.2 向日葵

やっと書きました~待っていた人も、待っていない人も最後まで読んでいただきありがとうございます!果たして最後まで読んでる人はいるのだろうか・・・・なんかまだまだ続くみたいですよ、この話。そろそろこの2人も次に行きそうですな~そういうわけなので次もよろしくお願いします!!

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早く言え!



 某日―PM10:14、シンタローは所用で叔父であるハーレムの部屋を訪ねた。

「俺だ、入るぞ。」

ドアをノックし、返事を待たずに入って行くと、派手なわりにきれいに整頓された部屋。というかこの部屋にはベッドと、テレビくらいしか主だった家具はない。この何もない部屋に一番存在感のあるバカでかいベッドにハーレムは転がっていた。

「おい、おっさん。」

ベッドまで行き、シンタローは寝ているハーレムの顔を覗き込んだ。

「ん``ー」

シンタローが見たものは叔父の綺麗な寝顔だった。シンタローは思わず、

「きっれェー・・」

不意に声に出してしまったことにシンタロー自身が驚いたが、考えてみればハーレムはビボーの叔父様と双子なのだから当たり前といえばそうであろう。

「でも、似てねぇ兄弟だよなぁ。」

性格もおじさんと比べたら天と地ほど違うしなぁ。顔も獅子舞だし。髪の色もおじさんは色素の薄い金色だけど、ハーレムはもっと濃い太陽みたいな金色の髪だ。そんなことを考えながらベッドの端に座りシンタローはハーレムの髪を撫でた。その髪は意外にも指通りが良くてとても心地よかった。その時、触られてさすがに気づいたのかハーレムが目を覚ました。

「んー?何だぁー?シンタローか?」

まだ、半分寝ているらしかった。シンタローは寝ているハーレムの髪を撫でていたことをハーレムに悟られたくなかったので、早く部屋を出て行くことに決めた。

「何か用か?」

ハーレムが起き上がって尋ねる。

「いや、大した用じゃないんだ。あんたがぶっとばしてお釈迦にした軍艦の始末書とその他もろもろの書類を渡しに来ただけだ。」

今までのことを悟られないよう嫌みを交えながら言い捨てて、部屋をでようと立ち上がろうとした時、ハーレムはシンタローの腕を掴んだ。

「まぁ待てや。お前、仕事の方はもう終わったんだろ?」

「あぁ、今日のところは一応な。」

「なら、ちょっとだべっていけや。」

「はぁ?」

次の瞬間、ハーレムの腕が伸び、シンタローの頭を引き寄せたかと思うとそのままハーレムの唇が重なった。シンタローは自分に何が起きているのか中々理解できなかった。

「ん``っー???」

どうして自分がこんな状態になってしまったのか、シンタローは必死に脳をフル活動させて考えたが、答えは出てこない。その間にもキスはどんどん深くなっていく。抵抗しようにも両手を捕らえられているので、どうにもならない。そしてやっと長いキスから解放された。

「なっ、てめぇ何しやがる!!」

シンタローは酸素を取り込もうと肩で息をしながら、ハーレムに食ってかかった。

「何って、キスだろ?」

へらへらと笑いながらハーレムは答える。

「そーじゃなくって、何でそんなことするのかって聞いてるんだよ!」

シンタローがハーレムを怒鳴りつける。

「だぁー、一々うるせぇやつだなぁ。じゃあ俺も質問していいか?なぁーんでシンちゃんはわざわざ俺の部屋に来たわけ?」

「だからぁ、さっきも言っただろ、書類届けに来たんだよ。」

シンタローの体に緊張が走った。やばい。

「そんなの他のやつにやらせればいいだろ?お前は総帥なんだから。なのに総帥自ら来たってことは・・・俺に会いたかったからだろ?」

すべて知っているかの様にハーレムは微笑って見せる。やばい。きっとこいつはすべてわかっている。俺の気持ちも全部。

「そんなこと・・」

シンタローは本心を言い当てられて、真っ赤になった。

「そんなこと・・あるだろ?」

ハーレムはシンタローの表情を楽しんでいるかのように聞いてきた。もう相手に気づかれているのならいっその事自分が思っていること全部言ってしまおうとシンタローは決心した。

「あぁ、そうだよ。」

言ってしまった。もう後には引けない。絶対に笑われる・・。そう思った。だけど違った。ハーレムは笑ったりはせず、シンタローを抱きしめた。

「やぁっと言ったか、おせぇんだよ。そういうことはもっと早く言えよな。」

???一体何を言っているんだ?早く言え?それじゃあまるで、俺が告白するのを待ってたみてぇじゃんか。何がどうなっているのかがシンタローにはさっぱり理解ができなかった。ただわかっているのは、ここがハーレムの腕の中っていうことだけだった。抱きしめられてとても心地よかったが、真意を聞くべくシンタローはハーレムに尋ねた。

「それどう言うことだよ?」

「お前、結構鈍いのな。」

「は?鈍い?」

シンタローはぽかんと口を開けている。(ここまで言われて気づかないのも不思議だ。byハーレム)

「ん``ー・・ん。」

また唇が重なる。それはとても優しいくちづけ。愛が広がって流れ込んでくる。自分が大切に思われていることが伝わって、伝えたい。自分も目の前にいるやつのことが大切だということを。唇が離れても、優しい空気が二人を包み込む。

「わかったか?」

「あぁ。」

シンタローは素直に頷く。

「なぁ、いつから知ってたんだ?知ってたんだろう、全部。」

「知ってた。でも教えてやんねぇ。」

ハーレムははぐらかすような言い方をした。

「教えろよ。」

「ずっと前からだよ、しかしまぁ長かったなー」

ハーレムが天井を見上げながら話す。

「でもまさか、お前が俺を綺麗って言ってくれるとはなぁー。叔父さん嬉しかったぜぇ。」

「なっ、何で知って・・まさか、起きてたのか?!」

「当然だろ。俺一応、特戦部隊の隊長だし~」

「嘘だろ?」

「ホント。」

ハーレムはにっこりと笑った。

「さっ、最悪だぁー」

「んなこと言うなって、これから楽しくなるんだからよぉ!」

そうだ。俺たちはこれからなんだ。こいつと一緒だと色々と大変そうだけど、細かいことはどうでもいいか。シンタローはそんな気持ちになった。

「あぁ。そうだな。」







はじまり-完

 とりあえず第一章が終了ってとこです。ここまで読んでいただきありがとうございます。なんかよくわからない話ですみません(泣)ハレシン初めての作品でございます。といいますか・・小説、初めてです。なのでおかしい所が沢山ありますが許してください。(逃げ)この話はきっと続きます。はい。良い作品になりますよう頑張りますので、これからもこんな私を宜しくお願いします。

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