「シンちゃん、パパの愛は重い?」
抱きしめながら、マジックが言った。
Contradiction.
何を今更言っているのだろう。
『重い』と言えば、マジックは俺を手放してくれるのだろうか。
そんなこと考えるまでもなく、答えはノーだ。
くっと笑いが漏れた。
「シンちゃん?」
俯いていた顔を、片手で顎を捉えられ上げられる。
覗き込む青い目を見据える。
昔、何度も怖いと思った青い目。
その目から逸らすことなく告げた。
「どんな答えをしても、手放す気なんてないくせに」
「そうだね。
例えシンちゃんが、パパの愛は重いって言ったところで手放せないよ」
ごめんね、と言いながら、マジックは困ったように笑った。
そんな顔で笑わないでほしい。
だから、この男は嫌いなんだ。
いつもいつも矛盾している。
離す気などないくせに、離してほしいかと訊いてくる。
正直に離して欲しいと告げても、それは一度も叶えられたことはない。
いつも『ごめんね』と言いながら、抱きしめキスをして有耶無耶に帰すのだ。
離す気などないなら、最初から聞かなければいい。
期待をさせないで欲しかった。
何度それで傷ついたか、マジックは知っているのだろうか…。
今はもう期待を抱くことなどないけれど、
その代わりにマジックが見せる笑顔を見るのが苦痛になった。
傷ついているのはマジックじゃなくて俺なのに、マジックのほうが傷ついた顔をする。
そしてそんなマジックの顔を見て、俺が傷つくんだ…。
マジックの笑顔から視線を逸らせば、
顎を掴んでいたマジックの手に力が入り、また向き合うようにさせられた。
青いマジックの目には、怯えた俺が映っていた。
そんな自分の姿など見ていたくないから、目を閉じる。
そして、降ってくる優しいキス。
またキスで有耶無耶にされると解っていても、目を開けることはできなかった。
目を開けることが、怖いのかもしれない。
マジックの目に怯えるのでもなく嫌悪するでもない俺が映っていれば、どうしたらいい?
マジックだけが俺を好きなのではなく、
考えたくないだけで、自分もマジックのことが好きだったら?
俺はマジックのキスのせいにして、考えることを放棄しているだけだったら?
そんなことは、あってはならないのに…。
そう思うのに、目が開けられない。
キスで有耶無耶にすると批難しながら、
マジックへの感情を考えることを放棄したいために、俺が有耶無耶にされたいだけなのかもしれない。
――それならば、矛盾しているのはマジックではなく俺だ。
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「覚えてるか?」
シンタローが、笑って訊いた。
Absolute wish.
「勿論、覚えてるよ。
パパが忘れるワケないじゃない。
シンちゃんの誕生日を」
無理をして、いつものように笑う。
そうでもしないと、顔がひきつりそうだ。
自分のこと以上に嬉しいシンタローの誕生日が、
今日ほど来なければいいと思ったことはない。
「そうか?」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、笑うシンタロー。
その笑い方は、あの時と同じ。
慰めるように、労わるように――そして、誤魔化すように。
「何が欲しいんだい?」
訊きたくないのに、訊かずにはいられない。
ドクンドクンと心臓が煩い。
「その前に、絶対だよな?」
「何が?」
「絶対に俺が望むモノをくれるって約束」
真剣な目が、射抜くように見上げてくる。
これは、覚悟を決めなければいけないのかもしれない。
欲しいモノ、ではなく、望むモノ。
その言い方の違いだけで、ワケもなく焦燥感に駆られる。
「パパが、シンちゃんに嘘吐いた時あった?」
「どうだか?」
ケッと、シンタローが鼻で笑う。
嘘は、嫌と言うほど吐いてきた。
恥ずかしいなどと思ったことは一度もないが、
それでもキレイなシンタローには隠していたいと思う仕事をしている。
それを、出来うる限り見せないようにしてきた。
そこに、嘘は生じている。
嘘だと決定的にバレないように、誤魔化してはいたが。
だって、この子が穢れる。
こんなキレイな子が、私と同じになってしまう。
…いや、そうじゃないな。
私は、怖かったんだ。
この子が、どんな目で私を見るかと考えることが。
そんな私に気づいたシンタローは、
仕事に関しては一切気づかないふりでいてくれた。
変らぬ態度で、変らぬ表情で。
だから、いつから気づいていたかなんて知らない。
怖くて、追及できないまま。
「まー、いいよ。
約束さえ守ってくれたら」
「何を望むの?」
何が欲しい、とはもう訊けなかった。
「本当に、約束は守るのか?
守らなかったら――、家を出る」
どうやって、とは訊かなかった。
訊けなかった。
サービスのところにでも行くのだろうけれど、そんなことは許さない。
けれどそれを止めるために、この子の自由を奪うことをそれ以上に私は許せない。
私にできることは、ひとつ。
「シンちゃんを失うくらいなら、パパはなんだってするよ」
「守れよ」
短く確認するように、シンタローが言った。
私は、ただ頷いた。
「――サインをくれ」
差し出された予想もしなかった紙に、目の前が暗闇に染まる。
「…どうして?」
震える声で訊いた。
シンタローは顔を逸らし、俯いたままに答える。
「…理由なんて、どうだっていい。
サインさえ、くれればいいんだ」
「何それ?
本気で言ってるの?
それが何だか、知ってて言ってるの?」
ここまできても、それを確認する。
目の前の紙が、信じられないから。
信じたくもないから。
「約束だ」
俯いたままのシンタローの肩を掴み、無理矢理顔を上げさせる。
そこに、泣き出すのを必死に止めようとする顔があった。
「そんな顔するくらいなら、止めなさい」
「約束だ」
絶対に、引かないシンタロー。
視線を逸らすのを止め、必死に見上げてくる。
「それが、何だか知ってる?」
「入団志願届け」
「…うちの団が、何をしてるのか知ってる?」
「…暗殺」
ギュッと耐えるように唇を噛み締めたが、それでもシンタローは視線を逸らさなかった。
「人を殺すんだよ?」
ビクリとシンタローの肩が震えた。
このまま、諦めてくれればいいのに。
「それは、罪のない人かもしれないよ?」
「…それでも、決めたんだ」
それは、悲痛な声だった。
「…約束だろ?」
ふっと、シンタローが笑った。
悲痛な表情は、もうない。
「どうして、って訊いてもいい?」
「…理由なんてねぇよ」
そんなはずは、ないだろう。
心優しい子だった。
猫が死んだと、鳴き続ける子だった。
理由がない限り、団になど入ろうとは思わない。
「…嘘吐きだね」
「アンタに、似たんだよ」
何も、返せなかった。
ただ、そう、とだけ応えて、シンタローの手の内にあった紙を取った。
「後悔しない?」
「……」
シンタローは答えなかった。
後悔するかもしれない、ということだろう。
それでも、今はこの道しかないと決めている。
だから、何を言っても無駄なのだ。
ポケットに差してあった万年筆を取り、サインした。
それをじっと、シンタローは見上げていた。
「こんなモノ、お前に渡したくないよ」
「でも、俺は貰う」
暫く無言で見詰め合って、紙を返した。
それを、ギュッとシンタローが握り締める。
「じゃあな」
用は済んだ、とでも言いたげに、さっさと踵を返される。
その背中はまだ小さいのに、もう子どもではなかった。
「ハッピーバースディ、シンタロー」
投げかけた言葉に、シンタローは足を止めかけたがそのまま扉に向かう。
けれど扉に手をかけたまま、立ち止まる。
そして、振り返った。
「もう、嘘は吐かなくていい」
それだけ言うと、扉は静かに閉まってシンタローは出て行った。
言われた意味を理解するまで、数秒。
理解した瞬間、崩れ落ちそうになる。
私のためか?
何をどうしたら、そういう考えに至ったのか解らないが、
それでもその答えが間違っているとは思えない。
キレイな穢れなき子ども。
そんなシンタローを、私が汚い世界に引きずり落とすのか?
それを望んだことがない、と言えば嘘になる。
けれど、決してそれだけを望んでいたワケではない。
それなのに軋む胸の中、
喜びがまったくないとは言えない自分が、酷く情けなかった。
シンタローの誕生日なのに、
私は何もプレゼントすることが出来ず、
代わりに、どうしようもないほどに哀しくも優しいシンタローの想いを貰った。
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06.05.27
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「シンちゃーん」
大きな声で名を呼んで、
振り返る大好きな笑顔が見たかった。
それなのに、
見せてくれたのは、嫌そうに眉間に皺を寄せた顔。
Can I your wish?
「…何だよ」
子どもには難しそうな分厚い本を
ソファに深く腰掛けて読んでいたシンタローは、
心底嫌そうに顔を上げた。
最近、私に対する扱いがよくないのは何故か。
12歳にして反抗期なんだろうか。
けれど、そんなことを気にしちゃいられない。
「今日は、ホワイトディだよ。
何が欲しい?
何でもいいから言ってね」
その言葉に、
ただでさえ寄っていた眉間の皺が深くなり、
まるで相手をしていられない、とでも言うように、視線は本へと戻される。
それでも、会話を続けてくれる。
こんなところが愛おしいのだ。
「アホか。
ホワイトディっつーのは、チョコのお返しだろうが。
俺は、お前になんぞやってねぇだろ」
「何言ってるの。
チョコは貰わなかったけど、
シンちゃんずっとパパと一緒にいてくれたじゃない。
だから、お返しするんだよ。
で、何が欲しい?」
「…一緒にいてくれた、じゃねぇだろ。
会議もほったらかして、お前が俺に付きまとったんじゃねぇか」
「えー、そうだった?
パパすっかり忘れちゃったよ」
都合の悪いことは、忘れる。
覚えているのは、シンタローの表情。
怒っても、可愛い。
笑ってくれれば、愛おしい。
気持ちが溢れてしまう。
それなのに、シンタローはそっけない。
「とうとう、耄碌したか」
「その時は、シンちゃんが面倒見てね。
お礼に、今から何でも欲しいものをプレゼントするから」
「バレンタインのお返しじゃなかったのかよ」
「何でもいいんだよ。
パパは、シンちゃんに喜んでもらいたいだけだから。
だから何でも言ってよ」
ふざけた会話の中に本音を混ぜ込めば、
それを悟ったシンタローが本を読むのを止めた。
パタンと小さな音を立て、
閉じられた本を見つめながら表情をなくして何事か考える。
何にしようか、という可愛らしい悩み顔ではなく、
何か考えあぐねているような、そんな子どもらしくない真剣さ。
危機感を覚えてしまう、その表情。
「…シンちゃん?」
呼ぶ声は戸惑ったものとなってしまったが、
それに反応したシンタローは顔を上げ、じっと私を見つめてきた。
「…何でもいいんだな」
念を押すように、真剣な目と声で問われる。
「勿論だよ」
そう応えながら、
不可能なことを言われると怯えた。
「じゃあ、バースディプレゼントは俺の望むことを叶えろよ」
告げられたそれは、不可解なもの。
物心つくまでは、
喜んでくれるだろうモノを想像してプレゼントし、
物心がついてからは、
望むモノを訊いてプレゼントしてきた。
今更だろう?
それにシンタローが望むなら、
何をしてでも叶えようとするのが、自他共に認める私だ。
それなのに、何故念を押すように今それを望む?
「いつも望みを叶えてきたよ?」
ドクンドクン、と心臓が嫌な音を伝える。
背中は、冷やりとした汗が伝う。
こんな経験、したことがない。
これは、一種の恐怖だ。
そんな私の心境を知ってか知らずか、
シンタローはふっと笑った。
「でっかいモノ望んでるんだよ。
だから、嫌って言えねぇように保険かけてんだよ」
バーカ、とまた笑うシンタロー。
その笑顔にほっとしつつも、嫌な感触は拭えないまま。
だって、シンタローはこんな顔で笑わない。
慰めるように、労わるように――そして、誤魔化すように。
それでも、まだ何も気づきたくない私は、
ただ何事もなかったように笑って返すだけ。
「解ったよ。
シンちゃんは、何を望んでるんだろうね?
パパ、怖くなっちゃった」
笑いながら本音を混ぜても、
先ほどのようにシンタローは何も反応しなかった。
ただ、あの不安にさせる笑顔で、
楽しみにしてろよ、と言って笑った。
誕生日など来なければいい、と、
思ってしまうほどに、私の心は掻き乱された。
シンタローは、何を望むと言うのだろう。
それを、私は叶えるのだろうか。
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06.03.13
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「シンちゃん、賭けをしない?」
得意げに、グンマが笑った。
Christmas present. ~Side.S
「…しねぇよ」
「お父様のシンちゃんへの想いが解るかもしれないのに?」
聞き捨てならない言葉。
「何だよ、それ」
「僕、ちょっとした薬を発明したの。
シンちゃんが、素直になる薬」
にっこりと笑うグンマ。
「…馬鹿か、お前。
俺は飲まねぇぞ、そんなモノ」
そんな怪しげな薬など、誰が飲むかってんだ。
まして、宣言されて飲む馬鹿などいない。
「それは、お父様次第だよ」
クスクスと楽しそうに、グンマが笑う。
「何?」
「コレ、お父様へのクリスマスプレゼントなの。
効果も一日しか持たないように調整してるから、
クリスマス過ぎたら、ただの甘味料と変らないんだよ」
自慢げに、グンマが言う。
「しょーもないモノ作りやがって」
「そうかな?絶対、喜ぶと思うよ。
お父様もシンちゃんも」
不思議そうに首を傾げられても、俺は絶対に嬉しいとは思わない。
そのくらい気づけ。
「あのクソ親父は喜びそうだが、俺は喜ばない」
「そうかな?」
「俺に何の得もないだろーが」
「だから、賭けをしようって言ってるの。
コレをお父様に上げる時、ちゃんと薬の説明をするよ。
シンちゃんが素直になってくれる薬だって。
お父様は、どうするだろうね?」
そう聞いてくるグンマは、珍しく真面目な顔。
その表情に少しだけ呑まれそうになりながらも、答える。
「飲ますだろうな」
それは、絶対に。
マジックなら、嬉々として飲ますだろう。
「そう?
僕は飲まさないと思うよ」
変らず、真面目な顔のグンマ。
「…変な匂いとか味がするから、か?」
居心地が悪くて誤魔化すように笑っても、グンマは表情を変えない。
「コレは、無味無臭だよ。
お父様にもそれは伝えておくね。
でもシンちゃんが飲む時に解るように、味をシンちゃんの苦手な極甘にしておくよ。
極甘のモノが出されたら、お父様が薬を飲ませようとした時だよ」
「…お前、何がしたいんだ?」
「別に、何も。
いーじゃない。
シンちゃんはお父様は飲むに賭けて、僕は飲まないに賭ける」
今までの雰囲気が嘘のように、いつものふやけた笑みに変った。
戸惑いながらもあの雰囲気に戻るのが嫌で、いつもの調子に自分も戻す。
「…何を賭けるんだよ」
「シンちゃんが勝ったら、それをネタにお父様から離れればいい」
雰囲気が、また戻る。
「…グンマ?」
「言ったでしょ?
シンちゃんも嬉しい薬だって」
はにかんで笑うグンマ。
でも、次の瞬間には真面目な顔に戻った。
「でも僕が勝ったら、素直になってよ。
一日だけでいいから。
薬の力なんかじゃなくて、素直になってよ。」
そうして、迎えたクリスマス当日。
朝食は、マジックが作った。
カフェオレとトーストとサラダ。
無駄な甘さは、感じられなかった。
おかしい。
マジックなら、考えるまでもなく薬を使うと思ったのに。
流石に、朝っぱらから阿呆なことはしないのか?
と思うものの、昼食にもお茶にも夕食にすら何もおかしなモノはでなかった。
「メリークリスマス」
ソファでくつろいでいる時に、そう言って渡されたのはマフラー。
肌触りのいいそれを受け取りながら、マジックを見上げ言った。
「俺は何もやらねぇぞ」
マジックが、苦笑する。
「いいよ。別に」
それは、グンマからあの薬を貰ったからだろうか。
と思ったけれど、違ったようだ。
「今日一日中、お前の傍にいられたから」
嬉しそうに告げられた言葉に、一日を振り返る。
そう言えば、今日はずっと一緒にいた。
早く下らない賭けを終わらすために、マジックに隙を見せていた。
それなのに、マジックは薬を使わなかった。
有り得ない。
じっとマジックを見上げ、訊いた。
「グンマから、何貰った?」
「内緒」
驚くことなく、さらりと返される。
「何だよ、それ。
どうせ下らない発明品とかなんじゃねぇの」
何気なさを装い探りをいれるが、マジックはまったく動じない。
「さあ、どうだろう?
お前は、何を貰ったの?」
そう訊かれて、ふと気づく。
何も貰ってない。
毎年下らないありがた迷惑なモノを押し付けてくるくせに、今年は何も貰ってない。
「今年は貰ってねぇな。
プレゼントって歳じゃねぇし、アイツもやっと気づいたのかもな」
答えながらも、はぐらされたことにやっと気づいた。
「って、俺のことはいいんだよ。
アンタ何貰ったんだ?」
「もー、シンちゃんしつこいよ。
いいじゃない、内緒」
どうやっても答えないつもりのマジック。
この調子だと、絶対に教えるつもりはないんだろうな。
諦めの溜息が漏れる。
「もういい。俺は寝る」
ソファから立ち上がれば、その手を掴まれる。
そして、引かれる。
「っ何すんだよ」
言葉を吐き捨てれば笑うマジックがいて、触れるだけのキスをされた。
さらに抗議のことばを、と思うのに、マジックの目が優しく笑うから阻まれてしまう。
「私はね、そのままのお前が好きなんだよ」
…何だ、解っていたのか。
ただ、そう思った。
グンマが何をマジックにやったか、それを俺が知っていることを。
「あっそ」
それだけ答えて、マジックに軽くキスをした。
マジックにされたものと同じで、触れるだけのキス。
「メリークリスマス。おやすみ」
驚いて目を瞠ったマジックに、にやりと笑って踵を返す。
賭けのリミットまでまだ猶予は残されていたけれど、負けが目に見えてたから素直になった。
でもまだ猶予があったから一日素直にならなくていいはずで、一瞬だけ素直になった。
そのままでいい、とマジックは言ったけれど、たまにはいいのかもしれない。
本当に、たまにはだけど。
「お父様、少し早いけどクリスマスプレゼント」
にっこり笑って渡されたのは、赤い液体が入った小瓶。
丁寧にリボンまでかけられていた。
Christmas present. ~Side.M
「ありがとう。
でも、これは何だい?」
「魔法の薬だよ」
そう言われても、よく解らない。
「魔法の?」
「そう。
それ飲むと、シンちゃんが素直になるの」
その言葉に興味を持って、まじまじと小瓶をみつめた。
ちょっと、嬉しいかもしれない。
いや、ちょっとどころではなく、嬉しい。
シンタローが素直に?
素直なシンタローなど、子どもの時以来会っていない。
今の素直ではないシンタローも可愛いけれど、あの頃も可愛かった。
零れんばかりの笑顔で笑って、パパと私を呼んでいた。
あぁ、思い出しただけでも幸せになれる。
それが、今のシンタローに言われたら?
そこまで考えて、苦笑した。
「…ありがとう。
でも、使えないよ」
泣くかな、と思いながら告げれば、意外なことにグンマは嬉しそうに笑った。
「だと思ってた。
お父様は、シンちゃんが好きなんだよね。
意地っ張りだけど、あのままのシンちゃんが好きなんだよね」
「グンちゃん?」
よく解らなくて名前を呼べば、恥ずかしそうにグンマが笑う。
「これちょっとした意地悪なの」
「意地悪?」
「ほら。
お父様の誕生日の時、お祝いできなかったでしょ。
今年はキンちゃんも一緒に、家族みんなでお祝いできると思ってたのに…。
お父様は部屋から出ないし、シンちゃんなんて忘れてたっぽいし。
だから、シンちゃんに意地悪も兼ねたお父様へのプレゼントなの」
ぷーっと頬を膨らましながら、子どものように言われた。
その幼さに、思わず笑みが漏れる。
「そっか。ありがとう。
でもあの日、私はシンちゃんにプレゼントを貰ったよ。
それがグンちゃんやキンちゃんの気持ちを、
無視してしまうカタチになってしまったみたいだね。
ごめんね」
本当はプレゼントを貰っていないけれど、そう言った。
カタチあるモノは何も貰っていないけれど、言葉はくれたから。
私の存在を認めてくれたから。
それが、何よりも救いで嬉しかった。
あれ以上のプレゼントなど、私は知らない。
グンちゃんたちには申し訳なかったけど、私は最高の誕生日を迎えられた。
「貰ったの?シンちゃんに?」
そんな気持ちで笑いかければ、大きな目を見開いてぱちぱちと瞬きをする。
そのまま、信じられない、という気持ちを隠すことなく訊いてくる。
「とても素敵なプレゼントをね」
答えると、今度は嬉しそうにグンマは笑った。
「そうなの?
じゃあ、お父様は幸せだね」
「幸せだよ。
だからグンちゃん、この薬は受け取れないよ。
シンちゃんに意地悪する必要なんてないんだから」
そう言って小瓶を返すけれど、押し返される。
「ダメ。
これは、お父様へのプレゼントなの。
それにシンちゃんも幸せになれるんだよ」
「でも、意地悪するためだったんでしょ?」
グンマの言うことは、よく解らない。
「んーっと。
意地悪だけど、それが目的じゃないから。
素直になって欲しいんだ。
例え、一日でもいいから。
お父様は今のままのシンちゃんが好きかもしれないけど、
シンちゃんだってたまには素直になっていいと思うの。
じゃないと、解らなくなってしまうよ」
突然、真剣な目がじっと見つめてくる。
その目に、問い返す。
「何が?」
「気持ちが。
恥ずかしがったり誤魔化してばかりしてたら、本当の気持ち見失っちゃう。
だから、きっとシンちゃんのためにもなると思うの」
「でもそれは、薬を飲ますこと限定になってしまうんじゃないかな?」
「えっとね。それはないよ。
そんな素敵な薬なんて、僕すぐに発明できないし」
…何か、さらりと凄いことを言われたような。
「…ということは?
素直になる薬なんて、存在しないの?」
「うん。ごめんなさい」
ますますもって、この息子が解らない。
どんな発明をしても驚かないくらいの頭脳はあるけれど、
何もないところで転ぶ程度の間の抜けたこともする。
まぁ…つまり、未だ理解ができていないワケで。
「えーっと、グンちゃん?」
「さっき、シンちゃんに言ったの。
素直になるお薬作ったから、お父様にクリスマスプレゼントにあげるよって。
使用期限は1日…つまりクリスマスの間だけなんだけど、
その間にお父様に飲まされるかもねって」
一生懸命説明しようとしてくれるのは解るけど、やはりいまいち言ってることは解らない。
「これ本当は、ただの甘味料なの。
シンちゃんの嫌いな極甘のね。
それは、教えてるよ。
お父様には無味無臭でばれないって教えるけど、本当は極甘だって。
シンちゃんはああ見えて単純だから、
極甘のモノが出されれば薬入れられたって思って素直になると思うよ。
薬のせいだからって」
解るようで解らない言葉は、まだ続いた。
「でね、賭けをしたの。
シンちゃんに今の話をしたら、絶対にお父様は飲ますって言ったよ。
馬鹿だよね、シンちゃん。
そんなことないって、僕でさえ解るのに」
そう言って苦笑するグンマを見て、少しだけ寂しくなった。
グンマでさえ解っていることなのに、
どうしてシンタローは解ってはくれないんだろうね。
寂しく笑う私を見て、グンマもその笑みを深めた。
「だから、僕は言ったの。
お父様は、飲まないに賭けるってね。
実際にお父様は、
この薬が本物でも飲まさないどころか受け取らないって言ったんだから、
今本当のことをばらしちゃってもいいよね。
でね。僕が勝ったら、1日だけ素直になってて」
一度目を閉じゆっくりと開けられた目は、見た時のないほど真剣な目をしていた。
自分が、愚かに思えた。
グンマも、私の息子なのに。
それなのに私が振り回されるのは、シンタローだけ。
新たに家族になったキンタローのことも忘れ、望むのはシンタローだけ。
ふたりとも、私の大切な家族なのに。
それを今痛感したのに、それでも望むのはシンタローでしかなくて。
それを解っているグンマがいて、キンタローがいて…。
「…ありがとう」
抱きしめた。
思えば、初めてかもしれない。
腕の中で、くすぐったそうにグンマが笑う。
「お父様、抱きしめる相手が違うよ。
僕じゃなくて、シンちゃんだよ」
腕から逃れて、グンマが見上げてきた。
「素直になるのは、シンちゃんだけじゃないよ。
お父様も素直になってよ」
「私は、いつも素直だよ?」
だからお前達を気にも留めず、シンタローばかり求めてしまっている。
だけど、グンマは首を横に振った。
「違うよ。
お父様も、誤魔化してる。
シンちゃんに好きって言ってる気持ちも本当だけど、
お父様は言葉で行動で誤魔化してる。
…怖がってない?
シンちゃんも何処かでそれが解っているんだよ。
だから、怖がってる部分もあると思うの。
それを信じていいのかって」
見上げてくる目は再び真剣で、
告げられた言葉も自覚がある言葉で、何も言えなくなってしまう。
「ねぇ、お父様。
これが、僕とキンちゃんのクリスマスプレゼントだよ。
キンちゃんも一緒にこの計画考えてくれたの。
お父様に断る権利はないよ。
お誕生日を、僕たちにお祝いさせてくれなかったんだから」
だから素直になって、と目が告げてくる。
その強い意志の宿った目に、応える。
「ありがとう。
ちゃんと、受け取ったから」
その言葉に、ふっとグンマが笑った。
「少し早いけど、メリークリスマス。
来年は、僕たちにも一緒にお祝いさせてね。
今年はシンちゃんに譲ってあげるから」
晴れやかに笑うグンマをもう一度抱きしめ、頬にキスをした。
抱きしめたことも初めてならば、キスを送ることも初めてだった。
「メリークリスマス。
素敵なプレゼントをありがとう」
照れながらも嬉しそうに笑うグンマを見て、幸せだと思った。
親子だと知っても親子らしいことなんてしてないくせに、こんなに思われて幸せだと。
手の中には、赤い液体の入る小瓶。
これは魔法の薬なんかじゃなかったけど、私を幸せにしてくれるには十分。
それなのに、まだこれからグンマとキンタローのふたりのおかげで、
シンタローにも幸せにしてもらうことが約束されている。
シンタローからプレゼントされるのは、
誕生日に貰ったモノと同じで、カタチのないモノ。
それだけで幸せだけど、
グンマとキンタローからそれが本当のことだと証拠になるカタチあるモノを貰った。
カタチのないモノとカタチあるモノ。
どちらも大切で、どちらも私を幸せにしてくれる素敵なプレゼント。
明日、シンタローはどんな態度を取るのだろう。
素直になってくれたら嬉しいけれど、
本当は傍にいられるだけで幸せだと言ったら、笑うだろうか?
「シンちゃん、今年はお父様のお祝いしないの?」
不思議そうに、グンマが訊いてきた。
「…いつ…だっけ?」
そう答えるだけで、精一杯。
思考が、止まった。
明日だよ、と告げられた言葉が、酷く遠くに聴こえた。
Happy Birthday.
カレンダーで改めて日付を確認しても、今日は11日で明日は12日。
そして、それはマジックの誕生日。
けれど、カレンダーには何の印もつけられていない。
スケジュールを管理しているティラミスたちも、何も言ってこない。
何より、マジックが何も言ってきていない。
これまでなら1ヶ月前から毎日騒いだあげく、
人のカレンダーにグルグルと予定を書き込んで、
さらには、前日となればくっついて離れなかったというのに。
それなのに、今年は違う。
あと数時間で日付は変るのに、何も言われていない。
何も、されていない。
以前なら喜んだことなのに、今年はダメだ。
不安になる。
だって、実の息子ではないと知ったから。
マジックとは、何の関わりのない子どもだと知ったから。
息子だ、とあの時言ってくれたけど、本当は違うのかもしれない。
残業するつもりだったのに、もう無理だ。
こんな状態では、仕事にならない。
でも、部屋に戻りたくはなかった。
連絡が取れる状態で、かからない連絡を待つことなどできなかった。
ふらふらと外に出れば、肌寒さに襲われる。
今更、コートも着ていないと気づいた。
けれど取りに帰る気もおこらなくて、また歩き出した。
街はクリスマスが間近のせいかイルミネーションで明るくて、
それが楽しそうで、余計に寂しさが募った。
時計を見れば、あと数十分で日付が変る。
置いてきた携帯を思った。
アレに、連絡はあったのだろうか。
そう思ったけれど、
帰って履歴を見ることが怖くて、電源さえも消していた。
このまま、何処か遠くに行きたかった。
何もなかったことにして、消えるように新しい人生をやり直して…。
…馬鹿だよなぁ。
どうして、ここまでマイナス思考になるのか。
俺は、悪くないのに。
…そうだ、俺は悪くない。
マジックが、悪い。
絶対に、マジックが悪いに決まってる。
それは間違った考えかもしれない。
でも、まだ前向きなモノへと変った。
踵を返す。
一言言ってやらないと気がすまない。
腕時計に幾度となく視線をやりながら、駆け足で戻った。
時刻は23時54分。
猶予は、あと6分。
勢いに任せて扉を開き、
勢いに任せてガツガツと音を立て、マジックの前に立つ。
電気もつけず、ぼんやりとTVを見ていたマジックは、
酷く驚いた顔をして俺を見上げた。
「…シンちゃん?」
状況が理解していないのか、ぼんやりしたままに名を呼ばれる。
「っアンタ、明日誕生日なんだろ」
焦った気持ちのまま告げた言葉は、無意味に響いた。
「…そうだね。
あと…5分もすれば、誕生日だね」
ちらりと時計を一瞥し、変らずぼんやりしながらも穏やかに笑いながら答えられた。
噛み合わない。
ひとりで必死になって、馬鹿みたいだ。
子どもが駄々をこねるのと、変らない気がした。
勢いが、消えた。
力が抜ける。
「…どうして、何も言わなかった。
いつも、馬鹿みたいに騒ぐくせに」
目を見て、言えなかった。
子どもみたいに目を逸らし、弱々しい声で口走った。
沈黙が降りる。
答えないマジックの顔をみることも逃げることもできず、
馬鹿みたいに立ち尽くしていれば、マジックがぽつりと呟いた。
「…怖かったから」
それは自分の声と同じほどに弱々しくて、
思わず顔を上げれば、マジックが苦い笑みを浮かべていた。
「私は例え血が繋がっていなくても、お前を息子だと言ったことを覚えている?」
その言葉に、頷く。
それは、勿論覚えている。
あの言葉が、どれほどに嬉しかったか。
「…でもそれは本当か、解らなくなったんだよ」
苦笑のままに告げられた言葉に、動揺した。
怖い。
続く言葉は何なのか。
知るのが、怖い。
声を出すこともできず、マジックを見つめた。
マジックは苦笑を浮かべたまま、続ける。
「私は、お前が好きだよ。
親子として…ではなく、それ以上にね。
でも、お前はどうなんだろう?」
そう問うマジックから、苦笑が消える。
真っ直ぐに見つめてくる目に、怯む。
けれどマジックは答えを待つことなく、続ける。
「お前は大きくなるにつれ、私の誕生日を自主的に祝ってくれなくなっただろう?
それは結構、私には辛いものがあった、と言ったらお前は笑うかな。
人の命を数え切れないほどに奪っておきながら、
私は私がこの世に生まれてきたことを祝って…というよりも、肯定して欲しいと思ってしまうんだよ。
…弱いことこの上ないけれどね。
そして、何よりもお前にそれをして欲しかった」
俺は何も言えず、マジックを見つめる。
「以前なら、息子だから、とお前を無理やり連れ出すことができたけど、
今回はその言葉が言えなかった。
…どうしてかな。それが、凄く寂しい。
息子ではないと知って、喜んだせいかな?
お前は怒るかもしれないけれど、あの時私は嬉しかったよ。
血が繋がっていないと知って。
私にとって禁忌などあってないようなものだけど、お前は違うだろう?
お前は、気にする。
だからそれがひとつでも減ったと知って、私は嬉しかったよ。
けど、それが間違いだったのかな?
今は、お前を誘えない。
大義名分がないからね。
誰よりも私の存在を肯定してほしいお前に、それを強要できなくなってしまった。
それならば、いっそ息子だったらよかったのにね」
そう言って、マジックが少し笑った。
力ない笑みは見ていて辛く、胸が締め付けられる。
「…馬鹿じゃねぇの」
やっと搾り出した声。
「お前のことに関してはね」
それでも苦笑で返すマジックに、怒りが生じる。
「…っ俺は、嬉しかったんだ。
あの時、アンタが息子だと言ってくれて。
アンタは本当にどうしようもない親父だったけど、それでも俺は嬉しかったんだ。
それなのに…アンタはその俺の気持ちさえも否定するのか?」
思いのままに言葉にすれば、怒りが悔しさに変った。
マジックは、緩く首を横に振る。
「否定はしないよ。
お前が、そう言ってくれて嬉しい。
でも、お前は?
私の存在を認めてくれるかい?」
諦めたように笑うマジック。
どうして。
どうして、コイツはこうなのだろう。
年甲斐もなく、たかが『おめでとう』と言って欲しいだけなのに、
誕生日を祝って欲しいだけなのに、どうしてそうも話をややこしくする?
存在を認めるとか認めないとか、そんなレベルにまでどうしてなるのか。
それ以前に、マジックは一体俺のことを何だと思っているのか。
今更、存在を認めるとか認めないとか言ってどうする?
認めたくはないが、そんなものはとっくに認めている。
じゃなかったら、他人だと知っている今、ガンマ団に残っているはずはない。
それに、態々馬鹿みたいに今ここにいない。
どうして、そんな簡単なことが気づかないのだろう。
俺は、マジックみたいに言葉にすることも態度にすることもできないと知っているくせに。
何を恐れている?
不安に思っている?
言葉にも態度にもしない、俺が悪いのかもしれない。
でも、マジック。
アンタは、俺の気持ちを軽く見すぎている。
それを知って哀しいと、寂しいと思う自分が情けなくて笑える。
そう思うと、少しだけ落ち着いた。
落ち着いてマジックを見れば、
変らず諦めたような笑みを浮かべながらも、目は捨て犬のようだった。
これが、人殺し集団の頂点にいた男の目だというのだから笑える。
「…なぁ、覚えているか?」
マジックの問いには答えず、訊いた。
「まだ俺が16の誕生日を迎える前日に、アンタが俺を呼び出した時のこと」
何を問われているのか解ったマジックが、静かに頷く。
「あぁ、覚えてるよ。
お前はプレゼントは何もいらない、って言ったね」
懐かしそうにマジックが笑う。
「アンタは、俺が望むなら世界さえ差し出す、と言った」
真っ直ぐに目を見て言えば、マジックもそれを受け止め答える。
「今でも、その気持ちは変っていないよ。
でも、お前がそれを望んでいないと知ってるからしないけどね」
笑みを深めて言うマジックを、俺は笑うことなく見つめ言った。
「俺はアンタがそんなふうに俺を想うようには、想えない」
その言葉に、マジックの笑みが消えた。
沈黙が数瞬続き、マジックが時計に目をやる。
時計は23時58分を指していた。
「それならば、もう出て行ってくれないかな。
私の存在を肯定してくれないのなら、もういいよ。
寂しくなるだけだから。
明日一日、静かにひとりで過ごすよ。
翌日からはちゃんと元に戻るから、明日だけは見逃してくれないか。
おやすみ」
寂しそうに笑うマジック。
でも、言葉は矢のように胸に突き刺さる。
「…誰も肯定しない、なんて言ってない」
「もう、いいよ。
お前も、早く寝なさい」
促すように、扉を見られる。
けれどそんなものを無視して、尚も告げる。
「俺は世界を差し出すほどに、アンタを望んじゃいない」
その言葉に、マジックは深く目を閉じた。
耐えてやり過ごそうとするように。
「…でも。
認めたくはないけど、俺はアンタを認めてる」
呟いた言葉に、マジックが俺を見た。
その目を逸らすことなく見つめた。
「あの時俺は、生れてきたことを本当に喜んでくれている、って解ればいいと言った。
…アンタもそれを望んでるんだよな。
でも、俺はアンタに何もやれない。
世界なんて、差し出せない」
「…世界なんて、欲しくないよ。
ただ、お前がいてくれさえすればいい」
そう言って差し伸ばされた手を取れば、抱き寄せられる。
「世界はやれない。
でも、傍にいてやる。
ずっとアンタが死ぬまで傍にいてやる」
抱き合い額と額をくっつけて、誓うように言った。
マジックが小さく、ありがとう、と言った。
そして、カチリと音を立て針が0時を指し示す。
似合わないことを、らしくないことをしていると知っている。
でも今日だけは、気づかないふりをする。
マジックも、気づかないふりをする。
世界を差し出すほどに、マジックを想っているのか解らない。
けれど血の繋がりがないと知っても、
傍にいたい、いてやりたいと思うほどに、想っている自覚はある。
だから、擦れ違った互いの不安を消す言葉を告げる。
本当はこの言葉ではない言葉を望んでいると知っているけれど、それでも今はこの言葉を。
言葉にならぬ、すべての思いを込めて。
―― Happy Birthday.
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04.11.29~12.12
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